Shop Chart
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BUBBLE CLUB
THE GODDESS + QUIET VILLAGE REMIX
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BUBBLE CLUB
THE GODDESS + QUIET VILLAGE REMIX
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MORITZ VON OSWALD TRIO
Horizontal Structures
HONEST JONS / UK /
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RAHAAN
On & On
STILOVE4MUSIC / US /
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Argo - Zeme L (USSR - Melody 1985) |
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Arthur Brown & Craig Leon - The Complete Tapes Of Atoya (Netherlands - Plexus Holland 1984) |
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Bramlaan - Aloft In A Baloon (Netherlands - 7 Horses 1981) |
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Delay Tactics - Any Questions? (US - Multiphase 1984) |
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Eternal Wind - Wasalu (US - Flying Fish 1988) |
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Goldbroiler & Ehrlichmann - Kino (Germany - TIS 1986) |
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Jiri Stivin - Status Quo Vadis - The Heralding (Czechoslovakia - Supraphon 1990) |
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Robert Bearns & Ron Dexter - The Heralding (US - Awakening Productions 1984) |
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Human Chain - Cashin' In! (UK - Editions EG 1988) |
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Slawomir Kulpowicz - Sndhana (Poland - Polskie Nagrania Muza 1989) |
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K' Alexi Shelby - I Can Go/Vol. 1 - detelefunk |
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V.A. - Philpot Records 50 - Philpot |
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Robag Wruhme - Proviant - Circus Company |
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DJ Duke - Techdisco EP Vol.3 - Power Music |
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Terry Hunter - Madness EP - House Music Records |
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Mike Dearborn - Back To the Future - House Music Records |
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Leron Carson - Red Lightblub Theory - Sound Signature |
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Grimpse - Runner Remix EP - Crosstownrebels |
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Delphic - Doubt - White |
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Dahlback & Krome - The Real Jazz - DK Records |
今週末はどこのクラブに行けば良いのか迷っている人たち、「新しいダンス・ミュージックで踊りたい」と思っている人たちにはこのパーティを推薦しよう。ロンドンの〈ナイト・スラッグス〉(UKガラージ経由のさらなるダンス・ミュージックへの冒険)レーベルから作品を出しているキングダムが来日する!


2011.3.4 FRI
MISHKA TOKYO 1st ANNIVERSARY PARTY with KINGDOM (Night Slugs)
at module
OPEN: 23:00
ENTRANCE FEE: 2500yen-1d(with flyer) / 3000yen-1d(door)
先着100名様にMISHKA特製ステッカーをプレゼント!!
[B2F]
Kingdom (Fools Gold / Night Slugs / from New York)
DJ KYOKO (Roc Trax)
POL x NARG (Laguna Bass / Numbers)
Eccy x BROKEN HAZE (Slye / Raid System)
FYS aka BINGO (Height)
[MC]
Mr. Tikini (Spexsavers)
[B1F]
Dj Ken-ske
Yanatake
Dj Toyo
Shinya
JE$$ROTULL
NOTE
Hosted by Greg Rivera & Mikhail Bortnik (Mishka NYC)
MISHKA TOKYOの1周年記念パーティ開催! Mikhail Bortnik とGregory Rivera、2人のデザイナーが2003年にブルックリンでスタートさせ現在、人気上昇中のストリート系ファッションブランドである"MISHKA"。ニューヨークでの人気も非常に高く、日本でもその人気と価値を確かなものとしているMISHKAの東京店がこの春で1周年を迎えます。ダブステップ以降のベースミュージックを軸に貪欲に音楽性を拡張し続けるレーベル〈Night Slugs〉 〈Fools Gold〉からのリリースが高い評価を得ているKINGDOMが、1周年を祝うべくMISHKAと同郷ブルックリンより来日! DJ KYOKO、ECCY、POL STYLEなどアンダーグラウンドな音楽を積極的にサポートするMISHKAらしい布陣でお届けします。
■KINGDOM (Night Slugs / Fools Gold)
ニューヨークはブルックリンをベースに活躍するプロデューサー/DJ。2006年のファーストミックステープのリリースで話題を集め、Diploや BBCのAnnie MacなどのDJに取り上げられる。L-Vis&Bok Bokの[NIGHT SLUGS]、A-Trakの[FOOLS GOLD]からリリースされたデビューEP「Mind Reader」は、最近のアメリカ発の作品の中でも最も注目すべき作品と言える。また、彼のトレードマークでもある、R&Bボーカルをサンプリングしたプロダクション・スタイルは、"ブルックリンとUKガラージ・サウンドの融合" とも評され、そのヘビーなベース、熟練したダンスサウンドは、"The Fader" や "XLR8R" などの雑誌、ブログ界のトレンドセッター "Pitchfork" や"Discobelle" などからも高い評価を得ている。
https://kkingdomm.com
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Yagya - Rigning - Sending Orbs |
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戸張大輔 - ドラム - Bumblebee Records |
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Gold Panda - Lucky Shiner - R&C LTD |
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Teebs - Ardour - Brainfeeder |
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Bibio - Vignetting the Compost - Mush |
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Inner Science - Elegant Confections - Plain Music |
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Mono Fontana - Cribas - Intoxicate Records |
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Pat Metheny - As Falls Wichita,So Falls Whichita Falls - ECM |
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Hikaru Utada - Heart Station - EMI Music Japan |
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Brian Eno - Ambient4:On Land - Astralwerks |
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下北沢のスーパーでイチゴを買おうと思ったら、棚の後ろ側で何やら蠢いているものがいる。それはヒモに繋がれたブルドッグで、よく見ると不器用にイチゴを食べている。屋外に並べられたイチゴのパッケージから大きなイチゴを銜え出して、好きなだけ食べていたらしい。犬ってイチゴを食べるのかーと感心していたら、少しずつお客さんが集まってきてアハハと笑い声が上がり、ひとり、おばさんだけが店の人に知らせに行った。しばらく店内にいたけれど、「店の前に犬をつないでいるお客さ~ん」というような呼び出しはなかったので、もしかしてほったらかしだったりしたのかしら。さすがにイチゴはほかの店で買うことにして、僕は踏み切りを渡ってジェット・セットに辿り着く。本当はイチゴではなくてココ・ブライスのファースト・アルバムを買いに来たのである。下北沢というところは何をしに来たのか目的を見失いやすい街である。
目的を思い出して買うことができたココ・ブライスは期待以上の出来だった(目的を思い出すことができて本当によかった。ある意味で、それはブルドッグのおかげである。皆さんもイチゴを食べるブルドッグを見たら、自分がいま、何をするためにそこにいるのかよく思い出してみましょう。あなたはもしかすると月から転生してきた戦士だったのかもしれないのです。亜梨子! 紫苑!)
スクウィーの背後にクレーム・オーガニゼイションなどのダッチ・エレクトロがあったことは復刊エレキングにも書いた通り(P10)。北欧で地道に続けられてきた試行錯誤とダブステップとの交錯からメサクやダニエル・サヴィオといった才能が浮上し、現在もその裾野は計り知れないものになりつつある。裏を返していえば、この辺りから生まれてくる音楽は線引きが日を追って難しくなり(あるいは無意味になり)、とくにフライング・ロータス周辺とビートが混ざり合うようになってからは何が飛び出してくるのかまったく見当がつかなくなってきた(昨年の僕のベスト・シングルはホヴァトロン「レッツ・ゲット・ウェット」だったりするけれど、これなんか、スクウィーかどうかはギリギリで、そのようなわかりにくさのなかにフロントラインであることが感じられるともいえる)。
そのような趨勢のなかでココ・ブライスに強く感じられることはヒップホップの要素が増大し、結果的にエレクトロに揺り戻している......ように聴こえることだろう。過剰な要素を太いビートでまとめて行く手際は線が細くなりやすいスクウィーとは対照的で、チップチューンを多用しながらもゴージャスな印象を残すところが大きく違う。エイフェックス・ツインがURをリミックスしたら......というのはさすがに大袈裟だけど、変態じみた骨太のサウンドをイメージしてもらう助けにはなるかもしれない。あるいはスクウィー版ドリアン・コンセプトか。
まだまだ出てくると思う。この辺りからは。ブルドッグの目の前にあった無数のイチゴのように。
UKのテクノ・ミュージシャン、マシュー・ハーバートの2006年のアルバムに『プラット・ドゥ・ジュール』という作品がある。これは食文化の危機をテーマにしたアルバムで、彼はこの作品を作るためにサーモンの養殖場から有名レストラン、下水溝や家庭ゴミの集積場まで歩き回った。そして、グローバリゼーションの時代において、食卓に並べれた食べ物の食材がどうやってそこにやって来たのかを調査した。僕は当時、その主題を面白いとは思ったけれど、彼が強調する食の問題を切実に感じることはできなかった。
......が、2011年、もはやそんな悠長なことも言ってられなくなってしまった。われわれの食生活、日本の農業シーンを激変させるであろう、環太平洋戦略的経済連携協定、通称「TPP」(Trans-Pacific Partnership)がいま騒がれている。
TPPとは、元々は多国間の自由貿易協定のことだが、現状を意訳すれば、米国主導による大規模な規制緩和のことになっている。日本の農家で作っていた野菜よりも格安な米国産の野菜が、どかっとスーパーの野菜コーナーに並んでしまう。すでに農業組合は反対しているが、TPPの規制緩和は食だけにとどまらない、それは医療や保険など広範囲におよんでいる。
じゃがたらのギタリストだった人物は、いま、政治的な問題に取り組んでいる......。去る2月中旬のある晩、OTOさんから電話があって「この問題を誰かと話したい」と言う。二木信に相談したところ、それなら思想家の矢部史郎さん(ドライ&ヘビーのファンでもある)がいいんじゃないかと。そんなわけで、われわれは高円寺の素人の乱のフリースペースを借りて話すことにした。(野田努)
野田:オトさんがTPPを気にしたのってどんな経緯だったんですか?
OTO:昨年、僕のまわりはCOP10で盛りあがっていたんです。
矢部:ああ、生物多様性を守ろうという。
OTO:そうです。そのあと、昨年の10月に横浜APECがあって、そこでTPP参加への意志を菅直人が表明したでんすよね。
矢部:そうでしたね。
OTO:で、TPPとは別に、年次改革要望書というのがあって、表向きは「成長のための日米経済パートナーシップ」についての文書なんですけど、内容的には米国政府から日本政府への要望ですね。その内容がけっこうすごい。しかもこんな重要なことが日本語では読めないんです(笑)。アメリカの財務省のホームページに「今年は日本にこういうことを要望しました」ということが細かく書かれているんですね。
矢部:小泉政権の時代はそれを毎年やっているんですよね。
OTO:みんなその通りにやっているんですね(笑)。
矢部:郵政民営化とかね。
OTO:裁判員制度もそう。で、あるとき「あれ? これって変じゃん」と思ったんです。それで、2008年の年次改革要望書とTPPを照らし合わせてみました。
矢部:ああ、なるほど。
OTO:そんなマニアックなことをするヤツもそういないと思うんだけどね(笑)。そうしたら、内容がTPPとほぼ同じでした。そして、その次の年次改革要望書をずっと楽しみにしていたんです。いつ読めるのかなって(笑)。そうしたら、2010年は出なかったんですよ。
矢部:小沢一郎が止めさせたという説が。
OTO:さすが知ってらっしゃる。そうなんですよね。僕は小沢一郎がどこまで絡んでいるか知らないけど、とにかく日本と米国の関係がギクシャクするときはだいたい中国と日本が仲良くなりそうなときだから。
矢部:ありますよね、陰謀説が(笑)。
OTO:田中角栄はアメリカに殺されたっていうね。だから僕は小沢一郎が入院したら危ないと思っていて。
一同:(笑)。
OTO:いや、だって、病院に行くとみんな脳梗塞になったりするんだもん。まあ、その話はおいておいて、とにかく、年次改革要望書とTPPの内容が同じで、菅直人はいま、この協定に参加しようとしているんですね。TPPって、多国間の自由貿易協定のことで、もともとはシンガポールやブルネイなど小国4カ国の条約だったんですね。貿易額にしても大したことないものだった。そこに米国が割り込んできたんだよね。
矢部:そう、TPPって、内容をよく読むと、日本の農家が農産物の自由化に反対してきたいままでの流れをいっきにひっくり返すみたいなことになっているんです。
OTO:最初はちっちゃい国同士が関税なしの物々交換をやりましょうっていう意味での自由化だったじゃないですか。そこにオーストラリアが入って、で、いきなり米国が入ってきた。
矢部:どうして自由貿易協定がこんなに問題になるのかを話します。国には大きさがあります。大国と小国がある。工業国と農業国もある。そして大規模機械化農業で安い食品を大量に作っている国と、日本のように競争力のないところがある。こういうなかでいきなり「自由貿易協定です関税なしです」ってやると、大国に呑まれてしまうんですね。競争力のない国は、安いモノを大量に作れる大国に呑まれてしまうわけです。スーパーに、米国産、カナダ産、オーストラリア産といった穀物が並ぶと、日本の農家はもう太刀打ちできなくなる、農家を止めるしかない。そうなってしまうんです。
OTO:現状では、農業に関する項目が圧倒的に多いんだよね。ただ、僕は、ローカリゼーションが守られれば良いというか、その土地で作られたものがその土地で消費されるという構図が守られれば良いんだけど。
矢部:地産地消が守られれば良い。
OTO:そうなんです。日本経済が揺れたりもしながらも、でも、つつましいなかの小さな経済が堪えられれば良いんですよ。ところが、環境系の立場に僕はいるから気がついているんだけど、食品安全近代化法というのがあるんですね。この法案が昨年通ったんです。これは何かというと、大義名分的には、食の安全性を国が見ていかなければならないということなんだけど、裏を返せば、国が食をコントロールできる、つまり食品兵器をより可能にする......。
野田:食品兵器?
矢部:兵器? それは聞いたことない。
OTO:安い食品に、人間の身体を満足させる脂肪と砂糖を入れて、満足中枢を満たすというか。
矢部:『スーパーサイズ・ミー』みたいな。
OTO:マクドナルドだけじゃないんだけどね(笑)。『フード・インク』はぜひ多くの人に観てもらいたい。TPPに入ったらこうなるというのがよくわかるから。
野田:あー、『フード・インク』を書いた米国のジャーナリスト、エリック・シュローサーはマシュー・ハーバートもずっと絶賛してましたね。ちなみにシュローサーの代表作となった『ファストフード・ネイション』の映画化のプロデューサーがマルコム・マクラレンでした。
OTO:お~、マルコム、おつとめしてる~。
矢部:誤解されがちなんだけど、日本産が安全で外国産が危険なんだというのは違う。
OTO:そうじゃない。
矢部:そうじゃないんです。TPPということで、米国の安い、どんな農薬使っているのかわからない、どんな遺伝子組み換えかわからない農作物に圧倒されたら、日本の農村でもわけのわからない食べ物を作らないと仕事にならない。国産だから安全ということではなくなってしまう。
OTO:食品安全近代化法に関して補足すると、オバマはこれを承認したんです。これはとんでもないことです。経済による格差社会があって、こんどは食品によって人間の身体を支配できるような法律が通ってしまった。
矢部:ただでさえいま日本は輸入食品でいっぱいですからね。米国の現状を見るとわかるんですが、なぜ米国で食物に関心が高いのかと言えば、それだけ身体に悪いものが溢れていて、『スーパーサイズ・ミー』という映画でも明らかにされていますが、そこで誰がいちばん被害を被るかと言うと、お金がない人たちなんですね。安い食べ物しか買えない家庭の子供なんです。普通の食べ物を食べ過ぎたくらいではここまで太らないだろうっていうヤバい太り方をしている人がいるわけですよ。
野田:たしかに。米国の太り方は異常だよね。
矢部:太っていることが貧困の象徴になってしまっている。
OTO:貧乏人が満足できるのがマクドナルドで、ハンバーガーがいちばん手っ取り早く満足できる。そのための補助金も出ているんですよ。
野田:でも、米国の貧民街にはマクドナルドすらないけどね。
OTO:それはさらに下があるってことだよ。
矢部:おかしな色の炭酸水とかありますね。
野田:あ、炭酸水はひどい。米国のスーパーで、ガロン単位で売ってるのを見たときは驚いた。
OTO:身体を壊すいちばんの兵器が炭酸水だから。
矢部:それが1ドルしないっていうね(笑)。
OTO:ダイエットものって炭酸水に多いけど、あれは糖分の代わりにヤバいもの3種類ぐらい入っている。米国の肥満が7割で、3割が中肉中背を保っているのは、結局、富裕層はそういうものを食べないからだと思っているんだよね。
矢部:貧乏人にしわ寄せがくる構造なんですね。そういう食品問題は中国でも起きている。
OTO:僕は裁判員制度も米国の策略だと思っている。陪審員制度のためのワークショップというか、米国が裁判の現場にも踏み込めるようにするための布石じゃないかと。
矢部:弁護士をいまよりも3倍~4倍に増やしていくための規制緩和があって、そうした市場を作ること、それが米国のメリットになるということでしょうね。
OTO:米国は弁護士が余っているんだよね。彼らが他の場所で仕事をできるようにしてあげたいんだよ。ていうことよりも、日本を米国の防波堤にしたいんですよ。
矢部:僕はそこは意見が違って、それは米国流のやり方ですよね。米国流の政治経済のやり方、僕らはそれを新自由主義、ネオリベラリズムと呼んでいるんですけど、それが最高の体制であると彼らは考えている。
OTO:新自由主義っていうと?
矢部:政治的には民主主義の抑制、民主的な権利を弱めて国家の権利を強めていくこと。経済的には、いち部巨大企業だけが儲けて、富を分配しない超格差社会を作っていく。
野田:80年代にパンクやニューウェイヴの連中が逆らったのってそこだったじゃないですか。パンクが反抗したのは、新自由主義に対してですから。
矢部:サッチャリズムがそうですよね。
野田:そうだよね。政府は、国民全員の面倒はもう見ないと。収益の上がらない炭鉱や国営企業はどんどんつぶしていくと。法人税を下げて消費税を上げる。国民も政府を頼りにするなと。これからは小さな政府にするんだと。
矢部:勝ち組だけで仕切ればいい、貧乏人は黙ってろという体制です。
野田:だからロック・バンドは炭鉱夫と一緒にデモをしたり、スタイル・カウンシルからザ・スミスまでみんなサッチャーに抗ったじゃないですか。
OTO:スタイル・カウンシルはそういうバンドだったんだもんね。実に政治的なバンドだった。
野田:ザ・スミスもそうですが、保守党に研究されるぐらい政治的だったから、実は渋谷系なんかじゃないんです。
OTO:やっぱああいうハードなものを渋谷系に仕立てるっていうのは大事だよね(笑)。
野田:そうなんです(笑)。だからUKのインディ・ロックを聴いている人たちからしたら、今回の問題はわかりやすいと思う。予習済みというかね。
矢部:でも、現在、新自由主義的な考えをする日本人がすごく多いんですよ。自民党員、民主党員、銀行員、エコノミスト......という人たちが、今回も「TPPに乗り遅れたら日本経済は沈没してしまう」と言うわけです。
OTO:そういう奴らがいままでコケているわけじゃん。
矢部:コケているんだけど、コケた原因をつくった連中がまた「じゃあ、こうしたらいい」って言い出すんですよ(笑)。だいたい、エコノミストと言われている人たちは、どうしてこれだけ農水省が反対しているのか、農民が反対しているのか、ということをわかっていない。25年前から農産物の自由化問題で議論してきたことをぜんぶフイにするようなことを平気で言うんですね。このまままTPPが通ったら、農家や食品関係で340万人が失業してしまう、路頭に迷う。だから北海道経団連も反対しているわけですよね。
OTO:北海道は反対を早くから宣言している。もう、農家からみんな、オール北海道が反対になっている。茨城もいま、オール茨城として反対になりそうだよね。
矢部:北海道の経済は農産物がメインだから、TPPが通ったら北海道が終わってしまうんです。農家だろうが、農家じゃなかろうが、北海道全体が終わってしまう。
[[SplitPage]]野田:オトさんからTPPの話を聞いたときに、僕が真っ先に思ったのは農家のことなんです。僕は昔、農家に住み込みで働いたことがあるんですけど、日本の農家はだいたい家族ベースでやっていて、朝が明けないうちに、じいちゃんばあちゃんと息子夫婦が畑に出るんですね。そういった農業を営む家族を組合がまとめているんですよね。
OTO:そう、だからホントに農家にとっては死活問題だよね。
矢部:『北の国から』どころじゃないですよ。
OTO:それでいま、米国がTPPに関して「6月までに返事しろよ」って恫喝しているんだよね(笑)。そんな話が堂々と新聞に書かれているんです。
野田:僕もオトさんと話すまでわかってなかったですからね。TPP問題はまだ広く認識されていないのかもしれないですね。
OTO:あとね、僕がずっと気になっているのは、農薬の問題なんです。ネオニコチノイドというのがそれなんですけど、これが脳に影響を与えると言われていて、鬱病だとか、多動性症候群だとか、食べれば食べるだけ蓄積されているので、限りなく鬱病に向かっていく。しかもこの農薬は浸透性があるものなんですね。いままでの農薬とそこも違う。葉っぱのなかにも果物のなかにも直接入ってくるんです。これはドイツやフランスでは最高裁で禁止にされている。米国は作った本国だけど規制していて、規制の数値がある。日本は作った本国よりも、さらに数値が甘いんです。ネオニコチノイドによってミツバチが減少したって言われてますよね。日本でも米国でもオーストラリアでもミツバチが減少した。だから、(ミツバチは農作物を授粉させるから)、いま食べているうどんの麺が何なのかわからないですよ。トウモロコシのデンプンが入っている可能性が高いです。
野田:やはり食の安全という問題が大きいですか。
OTO:それとモンサント社の遺伝子組み換え食品こそが安全な食品だという思想があるんです。それがオープンにされたら、TPPに入ってしまったら、日本のなかで在来種の農業やってきた農家、自然農はぜんぶ犯罪者にされてしまう。
野田:えー、何でですか?
OTO:モンサント社の主旨以外のことをやっている危険な奴らだと。つまり日本の発酵文化がやられる。つまり発酵なんて酷いことはないと。
野田:納豆が食えなくなるのはマズいですね。
OTO:日本酒とかさー(笑)。
矢部:モンサント社の遺伝子組み換え作物とセットで使う農薬というのがあって、それが簡単なんですよ。手間が掛からなくて経済性が高いんですよね。だから農家にとっても、モンサント社の種子と農薬でやったほうが効率が良いし、儲かるだろってなってしまうかもしれない。ただ、その新しい農薬がどこまで安全なのかわからないんです。つい最近につくられた技術だから。それがいっきに普及してしまう恐れがあるんですね。あと、TPPによって誰が困るのかっていう話をしたほうがいいんじゃないかと思うんです。
野田:それはそうだね。
矢部:だいたい、「船に乗り遅れるな」っていう言い方でTPPに賛同している人たちがいて、エコノミストたちが日本経済のために早くTPPに参加したほうが良いって言うんだけど、彼らが本当に日本経済のことを考えているかと言えば、違うんですね(笑)。彼らは僕ら下々のことまで考えて言っているわけではなくて、ただ自分の利益のために言っているわけですから。
OTO:そうそう(笑)。
矢部:トヨタ自動車はトヨタ自動車の利益しか考えないわけです。北海道や日本の里山がどうなってもおかまいなしなんです。それなのに「日本経済」という言い方をして勝手に日本を代表していることに、まず腹が立つんですよね。彼らは北海道の地域経済のことなんか考えていないでしょ。ちょっと前に「カジノ資本主義」と呼ばれていたんですけど、生活している人たちとは関係のないところで、ものすごく大きいお金が動いていて、それしか考えてない。こっちに投資したらこれだけの見返りがあって、日本でこういう風に法律を変えさせたらこれだけの市場が広がって、郵便局を民営化したらこれだけのお金が手にはいるとか......まあ、ホントに、酷いなと(笑)。僕らの生活がよくなることはまずない。
野田:実際の話、地方への被害というか、地方のコミュニティがどのような打撃を受けるんでしょうね?
矢部:昔、木材の自由化があったとき、それまで日本で植林してこれから売ろうかっていうときに、安い材木が海外から入ってきたわけです。それで日本の林業はできなくなった。
OTO:日本はいっかい林業でそれを経験しているのにね。
矢部:で、林業でメシ食っていた人たちが職を無くして、転職していく。でもそれだけでは話は終わらないんです。森林が放り出されたまま、手入れもされずに荒れてしまった。それで土砂崩れとか、ちょっとした洪水で流木被害が出たりとか。それまで森林の面倒を見ていた人がいなくなってしまったわけだから、森林が荒廃して、それは環境問題になってくる。つまり、林業関係者だけではなく、そこで暮らしている人の土地や水の問題にも関わっているんですね。だから、TPPによって大規模な機械化農業をやったときに、地下水がどうなってしまうのかとか、そういう問題もあるんです。
野田:なるほど、まさに効率化を追求する社会の犠牲になってしまうというかね。新自由主義やそうした農業の問題もありますが、もうひとつTPPには移民問題も絡んでいますよね。移民の規制緩和も入っているんですよね。これはどう思いますか?
OTO:TPPの本質は日本の自主権を奪うことで、その文言が入っているんで。何も日本人には決めさせないよという話なんです。そんなことが突きつけられている。はっきり言って宣戦布告ですよ。移民の規制緩和にしても、海外からの労働力をもっと日本は受け入れろっていう話なんだよね。日本はまだまだちゃんと移民を受け入れていないじゃないかと世界から責められているでしょ。
野田:こんなこと言ったらオトさんにぶん殴られるかもしれませんが......、移民が増えることはちょっと嬉しいですけどね(笑)。
OTO:僕はその決定権が米国にあることが嫌なんだよ。国内労働法よりもTPPの発言のほうが上になってしまうんだよ。自治体と政府が訴えられるんですよ。そんなのもう、日本じゃないでしょ。
矢部:僕はもう、日本人か外国人というようなことで見ていないんですよね。そういう言い方をするなら、日本のエコノミストは日本人の顔をしたアメリカ人ですよ。日本で働いているフリーターは、日本人の顔をしたフィリピン人ですよ。
野田:ああ、なるほど。
矢部:日本人でも、昔悪い条件で働いていた外国人労働者と同じような条件になってしまった。
野田:矢部さんはこの移民の規制緩和について率直なところどうなんですか?
矢部:いっぽうでは......楽しいかな。
一同:(笑)。
矢部:と言ったらものすごく語弊があるんだけど、国際レヴェルの金持ちと国際レヴェルの貧乏人、たとえば、ものすごい金持ちの中国人とものすごく貧乏な中国人の両方が、東京でまみえることなる。そうなるともう、日本とか言っている場合ではないなという(笑)。
野田:まあ、たとえばイギリスなんかはそれをずっと前から経験しているわけだしね。それにならえという意味で言うわけじゃないけど。
矢部:そういう意味では、どうしてアメリカと南米が対立しているのかいまよりも理解しやすくなる。東京で、目の前でそれを見られるようになるんじゃないですか。ホワイトカラーでは英語で話す会社が現れるいっぽうで、現場ではスペイン語やポルトガル語の労働者がごろごろいるわけだから。
二木:移民が入ってくることに対する危機意識は、こんごもどんどん高まってくると思うんですよね。そこはどう思います?
矢部:国民皆保険制度とか、日本がいままで積み上げてきた比較的平等な制度が崩れるということはあるよね。移民がどんどん入ってくるという危機感とそれは別々には考えられない。ただ、問題の原因は移民ではない。
OTO:マイケル・ムーアの『シッコ』みたいな世界になっていくよ。
矢部:でしょうね。
OTO:外国から利潤目的の医療が入ってきますよ。日本のテレビのCMがいつの間にか米国の保険会社に席捲されたように。
矢部:すごく整理しちゃうと、僕はパンク上がりなんですが、かつてのイギリスのパンクが何に抵抗していたのかということが、この10年ですごくわかりやすくなってしまった。日本が格差社会のひどい有様になって、生活水準ギリギリの、いや、それ以下のワーキングプアという人がどうして出るようになってしまったのかと言えば、やはり新自由主義という政策が原因なんです。この政策がイギリス、米国、日本で広がっていったんですね。「世界の流れに乗り遅れるな」と言っているのも、つまり「新自由主義政策に適応しなさい」と言ってるんですね。もちろんそれに反対している人たちがたくさんいる。南米の人たちだとか、韓国の農民だとか、フランスの農民だとか、世界中にいるんです。日本のメディアでは「自由貿易協定推進」という論調が強いのでわかりにくいですが、海外の情報をよく見れば、自由貿易協定に反対する人たちがたくさんいる。
野田:オトさんが言ってる米国の食品が出回るっていう話ですが、それこそシュローサーが『ファストフード・ネイション』で書いていますけど、要は買わなければ良いと。仮にTPPが通ったとしても、消費者がうまく商品を選ぶことができれば良いかなと思うんですけど。
OTO:それは自覚的消費者といって、ローカリゼーションにとっていちばん大事なんだよ。たしかに自覚的消費者が増えれば良い。でもね、現状を言えば、これがなかなか増えないんですよ。都市部の自覚的消費者と農村部の自覚的消費者といると思うんだけど、このコミュニティをもっともっと広げていかないと。だけどね、今回のTPPはこのローカリゼーションすら強権的に不可能にしていくものだから、僕はなおさら強く反対したいんです。みんなどこまでTPPの危なさに関して自覚的ですか? と僕は言いたいんです。
最後にいくつかTPP問題を考えるうえでの参考図書を挙げておきましょうね。
まずは農林中金総合研究所が今年の2月にリリースした『TPPを考える』(石田信隆 著)。これは農業を中心とした考察がある。
また、より広範囲でのTPP問題を扱っているものでは、農文協が編集した『TPP反対の大義』がある。
また、今日の食文化の問題に関しては映画『フード・インク(邦題:いのちの食べかた)』を観るのが手っ取り早い。
座談会でも出てくるアメリカ人ジャーナリスト、エリック・シュローサーによる『ファストフード・ネイション(邦題:ファストフードが世界を食いつくす)』も有名。これが健康の問題のみならず、社会問題であることがわかる。ファストフードの歴史に関する著述はとくに興味深い。
最後に音楽について。まずポール・ウェラーのアンチ・サッチャリズムに関しては、ザ・ジャム時代の"Town Called Malice(悪意という街)"がその先駆的な曲として知られる。「平穏な人生を夢見るなんて無駄なこと/君がやってもいないことで謝るな」。スタイル・カウンシルに関しては1985年のあの素晴らしい"Walls Come Tumbling Down!(壁を崩そうぜ!)"でしょう。「金持ちと貧乏人に分けられて、団結は脅かされる/階級闘争は神話ではなく現実/壁を崩そうぜ」。ザ・スミスに関しては新自由主義によって荒廃する地方都市(マンチェスター)の憂鬱そのものだが、もっとも有名なのは1988年のモリッシーのソロ・アルバム『ヴィヴァ・ヘイト(憎しみ万歳)』の最後に収録された強烈な"Margaret on the Guillotine(ギロチン台のマーガレット)"だ。「親切な人が素晴らしい夢を持つ/ギロチン台のマーガレット/僕をうんざりさせる/おまえはいつ死んでくれるんだい?」
ちなみにビリー・ブラッグ(ポール・ウェラーと共闘したフォーク・パンク歌手)の1980年代のほぼすべての作品、とくに"Thatcherites(サッチャリティズ)"、そしてエルヴィス・コステロの"Tramp The Dirt Down(こきたない浮浪者)"もこのスジでは有名。他にもクラスの"Nineteen Eighty Bore(80年代の倦怠)"、ヒューマン・リーグ"The World Before Last(それまでの世界)"、ピンク・フロイド"The Post War Dream(戦後の夢)"、ジ・エクスプロイテッド"Don't Pay The Poll Tax(人頭税を払うな)"、マニック・ストリート・プリーチャーズ"If White America Told The Truth For One (もしも白いアメリカがひとりのために真実を言うのなら)"等々たくさんある。カヴァー曲だがニューエイジ・ステッパーズの"フェイド・アウェイ"も完全にそう。「金持ちはどんどん金持ちに/貧乏人はどんどん貧乏になる/どうか私の言うことを聞いて」。ザ・クラッシュの『サンディニスタ!』も、アメリカの中南米支配に言及しているという点では、ネオリベラリズム批判とも言えるでしょう。そしてシニード・オコナーの怒りに満ちた"Black
Boys on Mopeds(モペッドに乗った黒い少年たち)"。「マーガレット・サッチャーがTVにいる/北京における数々の死に動揺している/彼女が怒るなんておかしな話/彼女はそれと同じことをしているのだから」
OTO:言うまでもなく、日本のポスト・パンクを代表するバンド、じゃがたらのギタリストだった人。昨年は、初期の未発表ライヴ音源『エド&じゃがたらお春 LIVE1979』をプロデュースしている。なお、現在OTOは、サヨコオトナラのメンバーとして活動中。昨年、セカンド・アルバム『トキソラ』をリリースしている。
矢部史郎:思想家/文筆家。早くからネオリベラリズム批判を展開、また反戦運動や労働組合などさまざまな社会運動にも関わっている。山の手緑との共著に『無産大衆神髄』と『愛と暴力の現代思想』、著書に『原子力都市』がある。思想誌『VOL』の編集委員でもある。ネオリベラリズム批判に関しては、『無産大衆神髄』から読むのがオススメ。
インディ・ロックという言葉にならって、欧米ではこの1~2年でインディ・ヒップホップという言葉がよく使われるようになった。巨大娯楽産業と化したヒップホップやお馴染みのギャングスタ・ラップに対抗するカタチで、1990年代以降に登場した〈ソウルサイズ〉や〈ディフィニティヴ・ジャックス〉、〈ロウカス〉や〈ストーンズ・スロウ〉......DJシャドウ、ブラッカリシャス、MFドゥーム、フリースタイル・フェローシップ、マッドリブ、あるいはデンジャー・マウス......などなどをインディ・ヒップホップと呼んでいる。それにならえば、日本のインディ・ヒップホップはブルー・ハーブとシンゴ02によって本格的にはじまったと言えるだろう。その後も数々のユニークなアクトが出てきて(中略)......。そしてスラックは、その最前線にいるひとりである......などという白々しい書き出しが心底バカバカしくなる。そんな愛らしいアルバム『我時想う愛』だ。
ラップにおいて、いまにもスピーカーからツバが飛んできそうな、やたら滑舌の良いフローというのが主流にあるけれど、スラックのそれはむしろ逆、舌足らずの発音を活かした独特のフローを見せる。滑舌の良さとは言葉を正確に伝えたい、韻(ライム)を聴いて欲しいという強い気持ちから来るのだろうけれど、そう考えるとスラックは、正確に伝わらなくてもそれは大した問題ではない、むしろ言葉の押しつけがましさを忌避したいとでも言わんばかり。『我時想う愛』は例によって歌詞カードはない......いや、それどころか曲名のクレジットすらない。表1のアートワークすらない。実に愛想のないパッケージだが、大袈裟な態度を好まないスラックらしい出し方だと言える。
そしてCDはこうしてはじまる。「あーあー、マイクチェック、マイクチェック、これはスラックのCD。キーワードは......なんだろう......」、彼は自嘲気味に笑う。そしてつぶやく。「まあ、いつも通りか、"テキトー"」
"テキトー"という言葉を敢えて口にするのはデビュー・アルバム『My Space』以来のことで、『我時想う愛』はいまのところもっとも多くの人に好かれている『My Space』の日常感覚をもった作品だと言える。あるいは、ひと言で言えば『我時想う愛』はメロウでソウルフルなアルバムだ。スラム・ヴィレッジの『ファンタスティックvol.2』のように。
そしてこれは、RCサクセションの『シングルマン』めいた叙情をもったアルバムで、そういう意味では七尾旅人の昨年のアルバムとも決して遠くはない。ある種のボヘミアニズムが描かれているのだ。彼がいう"テキトー"とはまさにそれのことで、生き方があらかじめきっちり決められたこの疲れる社会で、しかしなるべく多様に生きること――だと言い換えることができる。スラックにしても、あるいはSFPのような連中にしても、とにかく生き方の多様性を阻む力に抵抗しているように思える。東京という都市にはとくに、テキトーな人たちを許さない冷酷さがある。正社員になるしか生活がないように思わせている。彼らが経済活動(ビジネス)に関してどこか無頓着なのも、そこに起因しているとしか思えない。話を戻そう。
1曲の"But Love"は心地よく沈んでいくような、メランコリックなラヴァーズ・ラップ。最初のスネアの入り方からして格好いい。そして洒落たピアノをバックにPSGのメンバーのひとり、ガッパーが共演する"Noon Light"が続く。問題は3曲目の"東京23時"だ。シーダとコージョーが参加したこの曲のセンチメンタリズムは、アルバムにおいて際だっている。夜の11時の荒涼とした東京を目の当たりにしたときのあらゆる感情が頭をめぐる。魅力あるラッパーたちによるこの強力な曲を聴いてしまうと、その余韻すらも惜しくて、それに続く内省的な"いつも想う"がなかなか耳に入ってこない。それほど"東京23時"にはずばぬけたものがある。
ブダマンキーがトラックを提供した"Come Inside"では日々の不安と恋の喜びを、ダウン・ノース・キャンプのタムが参加した"We Need Love"では彼らなりの表現で愛を賞揚する。ワッターによるイルなトラックの"タワ言"では仲間への言葉を綴り、ヤヒコが参加した"方の風"では夏の日の気怠い愛の時間を描写する。
イスギのラップをフィーチャーした"My Hood My Home"からアルバムはゆっくりとアップリフティングする。スウィート・ソウルの"Can Take It"は歌詞の内容的にはRCサクセションの"ぼくとあの娘"、スカッシュ・スクワッドが参加した"何もない日に"は、その題名が物語るように彼らのボヘミアニズムが謳われている。それは『我時想う愛』においてもっとも美しい曲かもしれない。そしてクローザー・トラックの"Had Better Do"は不吉な響きを擁しながら、中途半端に、実にあっけなく、尻切れトンボのように、フェイドアウトする......。その肩すかしなエンディングは『我時想う愛』への評価をぼやけたものにするかもしれない。しかし、これは間違いなくマスターピースだ。格好の付け方をわきまえたエレガントな音楽で、ある意味ディアンジェロのように、そしてハートのこもった美しい作品だと思う。