「P」と一致するもの

interview with Co La - ele-king


Co La
No No

Pヴァイン

ElectronicNoiseExperimental

Tower HMV Amazon iTunes

 コ・ラとは、まあ「コーラ」のことなのだけれども、そのネーミングから発せられるある種傍若無人な批評性とは別に、「ー」が「・」になることで生じてしまっているこのなんともいえない吃音、休符、そしてその真空にも似た半拍に吸い寄せられてくる多大なノイズこそが、この奇態なアーティストの本尊にしてコアなのではないかと、彼の音楽を聴くたびに思わせられる。

 彼ことコ・ラ、ことマシュー・パピッチは、現エレクトロニック・ミュージック・シーンを牽引するもっとも柔軟な知性、OPN(ワンオートリックスポイントネヴァー)主宰の〈ソフトウェア〉を象徴するプロデューサーである。プロデューサーというべきか、アーティストというべきか、ミュージシャンというべきか、そうした呼称の遠近法の中になかばペテン的に存立している彼の音は、ときにアートに近接し、ときにフロアでひとを躍らせ、そして幸せなことにポップ・ミュージックとしてもわれわれのヘッドホンやステレオを賑わせてくれる。このもってまわった言い方にピンとこなければ、ともかくもこの10月にリリースされた新譜『ノー・ノー』を再生してみてほしい。

 雑音に騒音、音楽のような何かに音楽らしい輪郭を与えているのはビートのみで、それとて一定不変の安心を約束してくれない。どこか執拗でせわしなく、あまのじゃくで、ときに攻撃的ですらあるコンポジションに、われわれはたとえばクリス・バーデンが好きだと述べる、あるいはかつてパンクやハードコアに心を奪われたのだというパピッチのひとつの精神を見出すだろう。「コーラ」から長音を奪ってしまう感覚は、まさにこのあたりに由来するようにも感じられる。

 しかし、彼にはまたもう一つ重要な背景がある。2000年代半ばのボルチモアの実験主義者たちの極北、ポニーテイルやエクスタティック・サンシャイン──前者はポストロックやマスロックの文脈でも解釈されるカラフルでノイジーなアート・ロック・バンド、そしてより深いサイケデリアを展開する後者こそはパピッチとポニーテイルのダスティン・ウォングによるギター・デュオ・ユニットである。テリー・ライリーやあるいはマニュエル・ゲッチングなどを彷彿とさせながら2本のギターが螺旋を描いて楽しげにもつれ合うエクスタティック・サンシャインの音楽がコ・ラのスタート地点に存在することは、彼の根元にポジティヴなエクスペリメンタリズムが存在することを証すものでもあるだろう。

 ということで、ギターをエイブルトンに持ち替えたパピッチの、騒音と愛嬌が半ばするエレクトロニック・プロジェクト、その第2章に耳を傾けてみよう。耳というよりも五感で受け止めることを、この「ノー・ノー」という雑音たちは望んでいるのかもしれないけれども。

■Co La / コ・ラ
ボルチモアのエクスペリメンタル・デュオ、エクスタティック・サンシャインの片割れ、マシュー・パピッチによるエレクトロニック・プロジェクト。2011年に米アンダーグラウンド・テープ・レーベル〈NNA〉よりデビュー作『デイドリーム・リピーター』をリリースし注目を集める。後にOPN主宰の〈ソフトフェア〉より『ムーディ・クープ』(2013)『ノー・ノー』(2015)を発表、エレクトロニック・ミュージックのフロンティアを掘削するプロデューサーの一人として活躍を期待される。

言語化される前のことばや、新生児が発する音、咳やあくび、泣き声といったフィジカルで制御不可能な音に興味があったね。

あなたの音楽は、一定のビートはあるものの、さまざまなサンプリング・マテリアルがめまぐるしく切り替わって、ある感情や情緒が持続し展開するのを意識的に避けているような印象があります。こうした編集は快楽的に追求されたものなのでしょうか?
それともコンセプチュアルに目指されたものなのでしょうか?

コ・ラ(Co La、以下CL):加速感やスピード、直線感に僕は快楽を見いだせる。いまの興味はダイナミズム、ムード、感情移入や混乱状態といったところかな。自分の音楽が目指すところは前進だね。もちろんそこには調査も含まれるけど停滞はしない。

今回用いられている音声には、くしゃみや赤ん坊の泣き声、叫び声などヒューマンなノイズが多いですね。これは意識的にディレクションされているのですか? それともあなた自身に起こった何がしかの変化によるものなのでしょうか?

CL:作曲において声という基本的な要素を使用しつつも、歌わずにある種の拡張されたテクニックを用いている。制作の段階では言語化される前のことばや、新生児が発する音、咳やあくび、泣き声といったフィジカルで制御不可能な音に興味があったね。

以前『レスト・イン・パラダイス(Rest In Paradise)』(2011)を「家具の音楽」(musique d'ameublement)として語っておられましたが、あなたにとって作曲行為は空間デザインに近いものなのですか?

CL:建築は自分の作曲のある部分には適切な類似点だと思う。でも、アンビエンスの概念はよく「家具の音楽」と同意義とされることがあるけれど、『ノー・ノー』はそれとはかけ離れたものだよ。

コ・ラでの取り組みは、方法論としてはエクスタティック・サンシャインの真逆にあるように感じられます。というのは、ESには多少即興的な要素もあるのではないかと思うからです。コ・ラにおいては即興性を意識することはありますか?

CL:たしかに音楽はまったくちがうよね。でも、じつはエクスタティック・サンシャインの音楽は練って作られたもので、入念にリハーサルもした。それに僕たちは大した即興演奏ができるわけでもない。コ・ラにおいては即興をあまり意識してはいないかな。でも〈パン〉でやっているリフテッドのプロジェクトでは、もっと自由に探求をしているよ。

書かれていないルールっていうのかな。僕は曲を作ることによってその領域を探索していた気がする。

「ノー・ノー(No No)」というのは、否定を表すというよりはオノマトペのようなものでしょうか? タイトルの由来について教えてください。

CL:オノマトペの要素は興味深いよね。僕はダダイズムの自動筆記とかコンクリート・ポエトリーのファンだよ。「ノー・ノー」は何か禁止されたものを表す口語的な言い方なんだ。書かれていないルールっていうのかな。僕は曲を作ることによってその領域を探索していた気がする。疑念や困惑を抱きはじめるのに十分なくらいに、一定の形式をわずかに保ちつつも、そこから外れた音を使ってね。

地元ではパンク・シーンが強固だったようですね。ミスフィッツやラモーンズがお好きだったというエピソードは少し意外でもあります。そういった音楽はあなたにどんな影響をもたらしたと思いますか?

CL:『ノー・ノー』に取り掛かる前に、自分が高校生だったときのレコード・コレクションを聴き返していたんだよね。パワー・バイオレンス、スラッシュ、グラインド・コアとかだよ。音の面でそれらを参照するのではなくて、その音楽の持つ、ときにユーモアに溢れていて、ときに戦略的なイデオロギーを思い出したかった。『ノー・ノー』は攻撃的なコ・ラのアルバムでそれを定義するために、ある点においては自分の昔の感心と向き合ったりしたね。

パワー・バイオレンス、スラッシュ、グラインド・コア。音の面でそれらを参照するのではなくて、その音楽の持つ、ときにユーモアに溢れていて、ときに戦略的なイデオロギーを思い出したかった。

また、クリス・バーデンに惹かれてアート・スクールに進まれたそうですね。あなたが指摘する、不条理、科学、暴力、そしてヒューモアという要素は、まさにコ・ラにおいても実践し模索されているように思います。彼の「作品」としてもっとも衝撃を受けたものについて、あるいはクリス・バーデンとあなたの音楽観・芸術観について教えてください。

CL:クリス・バーデンは僕のインスピレーションのひとつで、とくに彼の思考のスタイルに注目しているよ。成功した芸術作品は自身のロジックと、それを支えるために実例と主張を兼ね備えていなきゃダメだ、と個人的には思っている。マテリアルとコンセプトの連帯と、一時的にミクロなマニフェストも必要になってくる。僕はバーデンの「ショック」にはそんなに興味はないんだけど、次々と強烈さ、眩しさ、粉砕、そして奇妙さといった状況を作り出す彼の能力にはとても感心があるよ

〈ソフトウェア〉は現在のあなたのホームと呼び得る場所ですか? また、〈ソフトウェア〉はなにかと息苦しい時代に遊び心やジョークを表現し発信できている限られたレーベルだと思いますが、客観的な視点から期待していることはありますか?

CL:うん。〈ソフトウェア〉はホームだね。彼らはとても献身的だし、わずかなコンセプトでも理解してくれる。ダニエル(OPN)のキュレーションは素晴らしいと思うよ。彼は特異さと共感の間のバランスを取るのがとても上手だね。あとユーモアもある。

僕には情報的なノイズをツールとして、また有益だと捉える傾向がある。“スクイージー”や“ガッシュ”といった、かなり負荷が掛かっていて複雑に展開してく曲にそれは表れているね。

あなたのノイズ観についての質問ですが、本作中であなたがもっとも「ノイジー」だと感じる曲はどれですか? 理由についても教えてください。

CL:僕には情報的なノイズをツールとして、また有益だと捉える傾向がある。“スクイージー”や“ガッシュ”といった、かなり負荷が掛かっていて複雑に展開してく曲にそれは表れているね。だからこれらの曲は、不安や困惑を生み出しているという意味では「ノイジー」だといえる。『ノー・ノー』の大部分は困惑の要素と透明な瞬間のバランスを保っているよ。僕はガラクタのようなアクチュアルなノイズとディストーションを、けっこう象徴的に使っている。それらは不調和を表象しているけれど。必ずしもストレスを感じさせたり疑問を投げかけたりするものではないんだ。

歌を紡ぐことやギターでフレージングするというアプローチはいまのところあまり興味はないですか?

CL:しばらくの間、ギターには興味がないんだよね。エクスタティック・サンシャインのときからギターはとってあるけど、正直に言うと、一年はギター・ケースを開けていない。

今年よく聴いた音楽や素晴らしいと感じた作品について、とくにジャンルに関わりなく教えてください。

CL:今年はグライムをたくさん聴いたな。マーロ、シャープ・ヴェインズ、ミスター・ミッチとか大好きだよ。それからヴォイシズ・フロム・ザ・レイクはほぼ毎日聴いている。他によく聴いているのはフォーク(Phork)、モーション・グラフィックス、ジェレミー・ハイマン、マックスDとかだね。


Yarn/Wire and Pete Swanson - ele-king

 じつは2012年に本誌のノイズ・ドローン特集にてインタヴューを敢行した際に、本作の話題はすでに出ていたものの音沙汰がなく、もはや完全に無かったものと思われていたリリースがこれ。NYCはブルックリンの非営利団体/クリエイティヴ・スペースである〈イシュー・プロジェクト・ルーム(Issue Project Room)〉からのアーティスト・イン・レジデンスの一貫でリリースされた本作品、現在はLAに拠点を移したピート・スワンソンの過去数年間におけるNYCでの音楽活動の集大成とも呼べる秀作である。

 2xパーカッション、2xピアノで構成されるエンセンブル、ブルックリンを拠点に活動するインスト・カルテット、ヤーン/ワイアー(Yarn/Wire)。これまでにトゥー・ヘッデッド・カーフ(2 Headed Calf)やラウド・オブジェクト(Loud Object)のトリスタン・ペリッチなど一癖も二癖もある電子音楽家との見事なコラボレーションを発表しているだけに、今回のピートとの共作へ僕の期待値は高かったわけである。結論から言えば僕はこのレコードに裏切られなかったわけだ。

 2012年の〈タイプ〉からの作品である『マン・ウィズ・ポテンシャル(Man With Potential)』以降、それまで披露していたエレクトロ・アコースティック・サウンドを止めて、ダメージド・テクノというか、ファックド・アップ・チップチューンというか、ユーロラック・モジュラー・シンセサイザーによるグルーヴとベースを無視した、とにかく野蛮なピコピコに傾倒してきたピート・スワンソン。ちょうど2年前の年末のNYCで、その年に僕が頑張って彼を来日させようと奮闘した努力を水の泡にしてくれた怒りをガツンと言ってやろうと彼を呼び出したものの、僕は東海岸を例年以上に襲う寒波で震えながらほぼ文無し、全身から不憫なオーラをただよわせる僕にピートは、んまーいピザを奢ってくれたり、ローカル・レコ屋を回っていっしょにディグったり、元ダブル・レオパーズのクリスがやってるヒップな総菜屋を紹介してくれたり、とすさまじいナイスガイぶりを発揮してくれたので当然何も言えるわけがなく、自身の不甲斐なさが身にしみた、なんてこともなくただただ感謝しただけであった。

 話がだいぶ反れた。まぁ、その時にヲターなシンセの話や、いかにデッドCが偉大か、なんてくだらない話をしながら、なんとなくピートから感じた印象は、彼にとってのピコピコはわりとビジネスライクな戦略だったんじゃないかな、と。いっしょにレコードをディグりながら垣間みた彼の嗜好は、どちらかと言えばニューウェイヴィなものとアーリー・エレクトロニクスといった傾向が強かったのもあるけども。

 なんにせよ、このレコードから聴けるサウンドにピートの本質的な美意識を強く感じている。イエロー・スワンズとしてガブリエル・サロマンとともに病的なほどがむしゃらに活動してきた膨大な音源から汲み取ることのできるそれと、『マン・ウィズ・ポテンシャル』以前の彼の作風を現在のピートの最大限の手腕をもってもっとも洗練させた形に完成させたと言っていいだろう。タイトル・トラックはヤーン/ワイアーによるインプロとライヴ・パフォーマンス向けのフレーム・ワークをピートがレコーディングし、再編、ライヴ・エレクトロ・ミックスとして再構築したものである。“コレクション”はピートが名機モジュラー・シンセ、EMS VCS3を演奏したもののレコーディングを下地にして、後にヤーン/ワイアーとともにアコースティック・サウンドを重ねてまとめられている。2曲のトラックがそれぞれ真逆なプロセシングを経て完成され、不思議にシンメトリックな音源となっている点も重要である。

 過去10年以上のUSインディ・ミュージック界において、マスタリング・エンジニアとして偉大な功績を残してきた彼にしか成し遂げられない妙技であろう。あれ? 褒め過ぎ? まぁこれが売れるか売れないかっつたらそんな売れないだろうからいいか。


欲望するインタビュー - ele-king

「意外な組み合わせ」×「屈託のないインタビュー」
個人的なのに普遍的な、ありそうでなかったインタビュー集が登場

全15 組30 名の対談を収録! !

新感覚インタビューweb サイト「QONVESATIONS」を再編集し、新規インタビューや対談を収録してまとめたインタビュー集です。
登場するインタビュアーは、アーティスト、写真家、開発者、漫画家、アート・ディレクターなど、普段はインタビューをされる側の人たちです。

彼らに、「いま、あなたが話を聞きたい、異業種の相手に、インタビューをしてください」というお題を投げかけて、誰に何を聞くのか、という興味深い結果をまとめたのが本書になります。

個人的な問いを立て、異業種のインタビュイーを指名して話を聞いていきます。
そこでは、「何で私と結婚しようと思ったのか」、「死んだ後はどうなるのか」といった身近なテーマから、「スティーブ・ジョブズを育てることは出来るのか」、「人間にとってロボットとは何なのか」という好奇心によるテーマまで、広範囲に及びます。

しかし、個人的な問いから始まったはずの対話が進んでいくと、「家族」「知恵」「発送」「成功」「未来」という、誰しも見に覚えのある普遍的なテーマを含んでいることに気づかされます。

さらに、インタビュアーが、知りたい、探求したい、という個人的な問いを仮説として、対話によって検証をしていくドキュメントの側面もあり、その過程は、そのまま読者の読後感につながります。

本書の魅力は、まさにここなのです。

さまざまなメディアコミュニケーション手段があふれる一方で、『問い』が少なくなってしまっているように感じます。
しかし、社会が複雑化すればするほど、インスタントな「答え」よりも、個人の視座に根ざした「問い」こそが、大切になってくるのではないでしょうか。
僕たちが本当に手にしたい「答え」というのは、良い「問い』」からしか生まれ得ないのではないかと思うのです ──まえがきより

■目次

はじめに

第1章 家族について
 Q僕と結婚しようと思ったのはなぜですか?
  青山裕企 (写真家)→ 青山庸子 (会社員)
 
 Q子育てで大切にしていることは何ですか?
  えぐちりか (アーティスト/アート・ディレクター)→ Chara (ミュージシャン)

 Qどうやって私を育ててきたのですか?
  川上恵痢子 (アート・ディレクター)→ 川上史朗 (建築家)

第2章 知恵について
 Qどうすればモノを見極められますか?
  毛利悠子 (美術家)→坂田和實 (古道具屋 店主)
 
 Qなぜ、バービー・コレクターになったのですか?
  松井えり菜 (アーティスト)→ 関口泰宏 (バービー・コレクター)

 Qいま、お寺にできることは何ですか?
  勅使河原一雅 (アート・ディレクター/ウェブ・デザイナー)→ 原 和彦 (臨済宗常福寺 住職)

AFTER QONVERSATIONS #1
 初のインタビュアー体験は、いかがでしたか?
  毛利悠子 (美術家)×松井えり菜 (アーティスト)

第3章 発想について
 Qアスリートの能力を、どう活かしていきますか?
  伊藤直樹 (クリエイティブ・ディレクター)→為末 大 (元プロ陸上選手)
 
 Q映画に、未来はありますか?
  川田十夢 (開発者/AR三兄弟 長男)→ 大林宣彦 (映画監督)

 Q将棋には、ロジックだけで勝てますか?
  長谷川踏太 (クリエイティブ・ディレクター)→ 渡辺 明 (棋士)

第4章 成功について
 Qどうしてそんなガチャガチャをつくるんですか?
  タナカカツキ (マンガ家/映像作家)→ 古屋大貴 (株式会社奇譚クラブ 主宰)

 Q本屋さんを営む醍醐味は何ですか?
  大図まこと (クロスステッチ・デザイナー)→森岡督行 (書店 店主)

 Qどうすれば自分らしいお店がつくれますか?
  橋詰 宗 (デザイナー)→ 間口一就 (バー 店主)

AFTER QONVERSATIONS #2
 どうして新しいお店をつくったのですか?
  森岡督行 (書店 店主)×原田優輝(QONVERSATIONS)

第5章 未来について
 Qロボットの未来はどうなりますか?
  谷口真人 (アーティスト)→ 高橋智隆 (ロボット・クリエイター)
 
 Qイノベーションを生み出す方法はありますか?
  太刀川英輔 (デザイナー)→ 堀井秀之 (東京大学i.school エグゼクティブ・ディレクター)

 Qニュースアプリは社会を変えられますか?
  田中良治 (ウェブ・デザイナー)→ 鈴木 健 (スマートニュース株式会社 代表取締役会長 共同CEO)

あとがき


■著者情報
原田優輝(はらだ・ゆうき)

1981年生まれ。QONVERSATIONS主催。編集者/ライター。「DAZED&CONFUSED JAPAN」、「TOKION」編集部などを経て、「PUBLIC-IMAGE.ORG」の編集長を務め、400名以上のクリエイターにインタビューを行う。2012年にQONVERSATIONSを創刊。現在は、カルチャー、デザイン、ファッション系媒体の企画・編集・寄稿、ムック制作、ウェブサイトのディレクション、クリエイターのコーディネート、トークイベントの企画・司会進行などを手がける。

■QONVERSATIONS (カンバセーションズ) とは?
インタビュアーという存在にスポットを当てるこれまでにないインタビューサイト。カンバセーションズがキュレーションしたクリエイターや文化人がインタビュアーとなり、彼らがいま本当に話を聞きたい相手に、独自の視点でインタビューを行っている。2012年の創刊以来、大学教授から水草ショップ店長まで幅広いジャンルと内容のインタビューが、サイト上にアーカイブされている。
qonversations.net


Oneohtrix Point Never - ele-king

 いよいよ来週11月10日にリリースが迫ってきたOPN、最新アルバム『GARDEN OF DELETE』から新曲“STICKY DRAMA”が公開された。

 これが……ちょっと凄まじくグロい力作なのだ。
 ぜひ、見て欲しい。
 ただし、食事中に観ることはお勧めしない。
 ではいつ観ろって? いますぐに、だ!

 https://pointnever.com/sticky-drama

Imaginary Forces - ele-king

 実験/電子音楽を主体として旺盛なリリース活動を展開してきた〈アントラクト(Entr'acte)〉だが、近年はサム・キデル(Sam Kidel)、ガイ・バーキン&サン・ハマー(Guy Birkin & Sun Hammer)、カイル・ブラックマン(Kyle Bruckmann)など「インダストリアル/テクノ以降の先端テクノ=電子音楽」を模索するようなアルバムを世に送り出している。それは90年代の電子音響から00年代のエクスペリメンタル、10年代のインダストリアル/テクノを経由したうえで、「テクノ」をアップデートする試みでもある。今回ご紹介するイマジナリー・フォーシズ(Imaginary Forces)の新作『ロウ・キー・ムーヴメンツ(Low Key Movements)』もまた〈アントラクト〉の提案する「新しいテクノ」といえよう。

 イマジナリー・フォーシズ=アントニー・J・ハート(Anthoney J Hart)は、1979年生まれの電子音楽家である。彼はロンドンを拠点に活動をしており、2010年以降、セルフ・レーベル〈スリープ・コーズ(Sleep Codes)〉を中心に、〈ファング・ボム(Fang Bomb)〉などから12インチやカセット作品を発表する。2015年も〈ベドウィン・レコード(Bedouin Records)〉から12インチ盤『シフト・ワーク』などをリリースした。

 本作『ロウ・キー・ムーヴメンツ』はアルバム作品である。その音は一聴して分かるように、〈ラスター・ノートン〉などの電子音響的なコンポジションと、〈モダン・ラヴ〉などのインダストリアル・テクノ的なアトモスフィアのハイブリッドといえる。また、強く刻まれるビートの上にはモジュラーシンセ的な(実際に使っているかはどうかではなく)アナログな電子音がウネウネと生成しており、電子音響・インダストリアル・モジュラー・ムーヴメントの混合物として強烈な魅力と快楽を放っているのだ。単なるエクスペリメンタルではない。むろん単なるテクノでもない。2010年代に発生したさまざま潮流の混合物としての音響体が、「テクノ」をアップデートしていく。しかし同時にどこか冷めてもいる。まるで都市という廃墟の空気のように。その意味で、2010年代以降のインダストリアル・テクノ勢にあって、もっともスロッビング・グリッスルに近いクールさと過激さと重厚さと実験性を兼ね備えている、とは言い過ぎだろうか。

 アルバムには全7曲が収録されていて、その電子音とビートは、さながらコンクリートの建築物のように重厚にビルドアップされていく。1曲め”インナ”は、短い33秒のオープニングトラック。アルバムは不穏な電子音と微かな反復音から静かに幕を開け、2曲め“ア・ベッドルーム・ウッドフォード・グリーン”から、重厚なビートと刺激的な電子音が一気に流れ出していくというわけだ。以降、ヘッカーを思わせる電子ノイズの奔流と、ピート・スワンソン的なヘビーなビート、アルヴァ・ノトのような精密なコンポジションなどが急速融合し、聴き手を音の奔流の中に巻き込んでいくだろう。個人的なベスト・トラックは“イースト・マン”。ザラついたロウなビートと電子音が瞬間風速のように生成するさまが途轍もなくクール、そして刺激的。

 イマジナリー・フォーシズことアントニー・J・ハート。彼の名は、今後、電子音楽/音響、インダストリアル/テクノの領域で重要な「記号」としてアンダーグラウンドな情報圏の中で流通するのだろうか。むろん、そんなことは誰にも分からない。が、本作『ロウ・キー・ムーヴメンツ』の圧倒的な快楽性と魅惑は事実だ。00年代の電子音響、10年代以降のインダストリアル/テクノに興味をお持ちの方ならば必聴と断言する。今後の〈アントラクト〉の動向と共に注視していきたいアーティストである。

CE$ - ele-king

MY GRIME CLASSICS

Slackk - ele-king

 ヴィジョニスやマーロなど、11月はグライム・シーンの最前線で活躍するアーティストたちの来日が決定しており、スラックの名前もそこに堂々と連なっている。彼は〈ローカル・アクション〉や〈アンノウン・トゥ・ジ・アンノウン〉といったレーベルからのリリースや、ロゴスらとともに開催するパーティ〈ボックスド〉を通し、グライムの可能性を開拓する第一人者だ。ジェイムス・ブレイクからニコラス・ジャーにいたるまで、幅広い音を提供し続ける老舗レーベル〈R&S〉からも、スラックはEP「ブラックワーズ・ライト」(2015)をリリースした。今回、その凶暴なビートと端麗なメロディが混在するサウンドを携え、スラックが初めて日本の現場へやってくる。
 来日公演は11月12日に大阪、翌日13日に東京で開催。大阪公演にはCE$や行松陽介ら関西シーンの立役者たちが出演し、フォトグラファーの横山純によるUKにおけるグライム・シーンの現在をおさめた写真展も行われる予定だ。東京公演には、1-ドリンク、DXやポータルといった多彩なプレイヤーたちが、「グライム」や「ベース」をキーワードに集う。グライム・ヘッズだけではなく、新しい音に飢えている方も是非お近くの現場へ。

Slackk - Bells - R&S Records - 2015

Slackk(Boxed / R&S Records/ Local Action Records)


(Photo credit: Jun Yokoyama)

 インスト・グライムのシーンにおいて指標となる存在、Slackk。彼が創設したロンドンにおける重要なクラブ・イベントであるBoxedでは、いままさに頭角を現さんとするプロデューサーと、時代の数歩先をいく音を探求するDJがステージに立つ。そこでの活動や、週一でレギュラーを務めるリンスFMでの彼のDJセットは、まさに次なるシーンの最前線において鳴らされる音の縮図だ。
 スラックは自身の楽曲においても、細分化するグライムの核心を突いており、〈Local Action〉、〈UTTU〉、〈Numbers〉そして〈Big Dada〉といったレーベルからリリースを重ねている。それらの作品で方々から賞賛の言葉を浴びた後、2015年には伝説的なレーベル〈R&S〉と契約し、EP「Blackwards Light」を発表した。


【大阪公演】
Hillraiser
日時:2015年11月12月 19:00開演
会場:Socore Factory
料金:2000円
DJ:
Slackk
CE$
行松陽介
satinko
ECIV_TAKIZUMI
Photo Exhibition:Jun Yokoyama

【東京公演】
T.R Radio presents Slackk From London at Forestlimit
日時:2015年11月13月 21:00開演
会場:幡ヶ谷Forestlimit
料金:2000円
DJ:
Slackk
Dx (Soi)
1-DRINK
BRF
Zodiak (MGMD)
PortaL (Soundgram / PLLEX)
NODA
Zato
Sakana
MC:Dekishi

U.S. Girls - ele-king

 突き抜けてぶっ壊れたローファイ・ストレンジ・ポップをマイク片手にひとり繰り出す「アメリカの女の子たち」ことメーガン・レミー。そんな彼女が、いよいよまさかの〈4AD〉から新作をリリースした。事件というよりも事故ですよ、これは。

 最初に彼女の音楽を聴いたとき、真っ先に思い浮かんだのは、サイケでアシッドフォーキーな演奏に溶け入るように、エコーにまみれたフリーフォームな歌声を飛び回らせて美しいメロディをつづる宅録シンガーソングライター、アザリア・スネイル(90年代のUSローファイ・シーンを語るには絶対ハズせませんよね?)だったりした。もしくは、00年代でいうならブルックリンのフリークフォーク・デュオ、ココロジーとかラウ・ナウやイスラヤを輩出したフィンランドのアヴァン・ポップ・レーベル〈フォナル〉人脈だったりしたのだが、ここでは、グライムス、ジュリア・ホルター、ジュリアナ・バーウィック、グルーパーあたりの名前を出したほうが話をつかみやすいだろう。

 2008年にUKの変テコ音楽レーベル〈チョコレート・モンク〉より最初のCDRをリリース。その後、こちらも負けず劣らず変テコなレーベル〈シルトブリーズ〉から作品を出していた頃は、まだざらついたギターノイズ〜ジャンク〜ドローンの成分を多分に含み、暗い夜気に包まれた暗黒志向も垣間見えた。しかし、3枚めとなる『USガールズ・オン・クラアク』(2011)あたりから、挙動不審ともいえる彼女の音楽性が、突飛に突飛を重ねながらもより意識的にポップの意匠をまといはじめる(いや、アングラ志向を脱ぎ捨て、本来持て余していたポップ志向がむき出しになった、というほうが正しいのかも)。そして、続く〈ファットキャット〉からリリースされた『ジェム』(2012)ではついにすべての針がカキーンとポップ・サイドに振り切れ、ときにドギツくときにグラマラス(スペース・サイケ・プログレ・バンド=ダナヴァのカヴァー曲“ジャック”の歌い方なんてもろマーク・ボランですね)に立ち振るまう、バンド仕立てのUSガールズが完成する。

 そして、本作『ハーフ・フリー』である。「半分自由」というが「限りなく自由」である。いや、これはことメーガンの作り出す音楽に関してであって、彼女が生まれ育った「自由の国アメリカ」における自由なんて幻想は、もはや誰の目から見ても崩壊している。なるほど。だからこそこのタイトルなのだろうか……?

 閑話休題。アルバムの話に戻そう。本作でも、くぐもったシンセやざらついたリズムを軸とするヴィンテージ感に覆われたトラックは相変わらずで、あらゆる種類の音楽が飛び出そうとも、そこには懐かしくてキャッチーな感触がある──これはUSガールズの強力な武器である。しかも、恐れを知らないポップ志向にさらに磨きがかかり、本作ではこれまで以上にダビーでディスコティックなトラックに加え、ソウルフルな歌声もそこかしこで聴くことができる(といってもコブシを効かせた歌声は甲高く、どこかで何かがハズれている……いつになく無邪気だ)。

 戦争未亡人の心の内を描いたというアンチ・アメリカ・ソング“ダムン・ザット・ヴァレー”では四方八方に音とビートがこだまするダブ・ポップをかましながらアメリカを抗議し(メーガンがヒラリー・クリントンよろしく、パンツスーツにメッシュの入った髪をキメて、ゴールデン・マイク片手に歌い上げるPVも最高〜!)、パーカッシヴなリズムにオーケストレーションを織りまぜたエレガントな上ものが乗るハウシーなバラード“ウインドウ・シェイズ”ではポップスターのごとくしっとりとした歌を聴かせる。そして、“ニュー・エイジ・スリラー”“ネイヴィー&クリーム”“ウーマンズ・ワーク”では、トレードマークともいえるコラージュ感覚にすぐれたローファイ・シンセ・ポップで漂い遊んでみせ、不意打ちの“セッド・ナイフ”では前作ゆずりのグラマラスなギター・ロックでどどどっと畳み掛ける。

 それは、どことなく初期のケバケバしたブライアン・イーノが歌謡ポップスに出会ったような、異形の耳ざわりを残す。そして、まぶたの裏にはダンスホールに浮かぶミラーボールの残像がチカチカと焼きついて回り続ける。くるくるくるくる。ああ、この壊れた懐かしさはなんだろう。60年代ガールズポップ〜70年代ディスコ。80年代シンセポップ〜90年代インディ・ロック。さらには00年代のノイズ/ドローン〜バレアリック/シンセウェイヴなどなど、メーガンが繰り出すさまざまな音楽のなかに記憶されている良きアメリカの幻影がどこからか漏れ聞こえるているのだろうか? ともあれ、彼女はアメリカを憎む。そして、同時にアメリカを愛している、のかどうかは知らない……。

 誰もがよく知るスタジアム・ロッカー、ブルース・スプリングスティーンは、80年代の大ヒット曲“ボーン・イン・ザ・USA”でベトナム帰還兵によるアメリカ批判を歌にし、強く拳を振り上げながら熱唱した。それは規模の大きさこそケタ違いだけれど、いままさにメーガンが“ダムン・ザット・ヴァレー”を熱唱する状況とまったく同じではないか。
 アメリカ生まれのUSガールズ(現在はカナダ在住)。リアルに「ボーン・イン・ザ・USA」であるそんな彼女、どうやらやっぱりボスの大ファンだとか。

今年もJOLTがやって来る! - ele-king

 在豪ソニックアートの先駆的組織「JOLT Arts INC.」と、スーパーデラックスを根城にながらく先鋭的なパフォーマンスを展開してきた「TEST TONE」がタッグを組むライヴ・パフォーマンス・シリーズの2デイズ、昨年は鈴木昭男と齋藤徹、メルツバウと千住宗臣とロカペニスに、日豪オールスターキャストのTHE NISなど、日豪の表現の先端をきりとってきた、JOLTが今年も来襲!

 たんなる見本市的なお披露目にとどまらず、音と映像の科学反応を通して、観客のみならず演者の耳をも拓きつづけるこの企画らしい組み合わせが今年も目白押し。詳細は以下や関連HPなりで確認していただきたいが、灰野敬二と大友良英のおよそ10年ぶりのデュオはもちろん、PHEWとロカペニス、昨年のパフォーマンスもすばらしかったAMPLIFIED ELEPHANTSはこのフェスのための作品をひっさげて登場するという、あらたな視聴覚体験を求める貪婪な観客にこれ以上ないうってつけのイヴェントであることうけあい。個人的には──いや、全部観たいにきまってます。豪華ラインナップを謳うイヴェントはあまたあれど、またそれらに少々食傷気味ないま、外からの視点をもちこんだJOLTのようなイベントはまことに貴重といわざるを得ない。

■JOLT TOURING FESTIVAL 2015

●2015年11月12日(木)


AMPLIFIED ELEPHANTS

場所:
SuperDeluxe
www.sdlx.jp/2015/11/12

時間:
開場19時/開演19時30分

チケット:
前売り2800円/当日3300円 (+drink)

出演:
PHEW×ROKAPENIS(V.I.I.M project)
BLACK ZENITH(DARREN MOORE×BRIAN O’REILLY)
AMPLIFIED ELEPHANTS(from AUSTRALIA)
PHILIP BROPHY(from AUSTRALIA)
DJ: Evil Penguin

●2015年11月13日(金)


灰野敬二 大友良英

場所:
SuperDeluxe
www.sdlx.jp/2015/11/13

時間:
開場19時/開演19時30分

チケット:
前売り2800円/当日3300円 (+drink)

出演:
灰野敬二(HAINO KEIJI)×大友良英(OTOMO YOSHIHIDE)
L?K?O×SIN:NED ×牧野貴(MAKINO TAKASHI / FILMWORKS)
田中悠美子(YUMIKO TANAKA)×MARY DOUMANY
森重靖宗(MORISHIGE YASUMUNE)×CAL LYALL×)-(u||!c|<(JAMES HULLICK)×中山晃子(NAKAYAMA AKIKO / ALIVE PAINTING)
DJ: Evil Penguin

2 DAY PASS 前売り4500円/当日(11月12日)5000円(+drink)

企画・制作:JOLT, Test Tone and The Click Clack Project
問い合わせ:jolt2015@super-deluxe.com
INFO:joltarts.org


Funkstörung - ele-king

 世はエレクトロニカ・リヴァイヴァルである。完全復活のAFX,アクトレス、アルカ、OPN、ローレル・ヘイロー、今年はプレフューズ73も復活したし……ポスト・ロックへの注目と平行してそれが存在感を増していった90年代後半の様相がそのまま移植されたかのようだ。
 ドイツのファンクステルングは、90年代後半のエレクトロニカ第一波における主役のひとつである。ビョークの「オール・イズ・フル・オブ・ラヴ」(1998年)は、オリジナルよりも彼らのリミックスのほうが人気があった。しかもそのヴァイナルは、メジャーではなく、〈ファットキャット〉という小さなレーベル(後にシガー・ロスやアニマル・コレクティヴを見出す)からのリリースだったのにも関わらず、相当にヒットした。また、その曲はビョークがエレクトロに/IDM的なアプローチを見せた最初期の曲でもあったので、エポックメイキングな曲ともなった。インダストリアルなテイストで、音をひん曲げたようなあのドラミングに誰もが驚き、「ファンクステラングって何もの?」となったわけである。当時は、「あれがグリッチ・ホップっていうんだよ」などと言っていたね。そう、彼らはその名の通り、IDMだろうがテクノだろうが、ファンキーなのだ。

 そんな伝説のプロジェクトが10年振りに復活して、新作を発表した。往年のファンはもちろん、最近この手の音にはまっている若い世代にまで評判が広まっている。そこへきて、11月7日には日本でのライヴも発表された。エレクトロニック・ミュージックの祭典、EMAF TOKYOへの出演だ(他にもアクフェンやヒロシ・ワタナベ、インナー・サイエンスなど大物が出演)。
 ここに彼らの復活を祝って、ミニ・インタヴューを掲載。記事の最後には、日本のためのエクスクルーシヴ・ミックスのリンク(これが格好いい!)もあります。
 読んで、聴いて、EMAFに行きましょう。

Funkstörung インタビュー

■マイケル、クリス、今回の来日を非常に楽しみにしています! 公演に先だって幾つか質問させて下さい。

F:ぼくらも楽しみだよ! もちろんさ。

■10年振りのニュー・アルバム『Funkstörung』のリリースおめでとうございます! 日本でもアルバムは好評ですが、先ずは再結成の経緯を教えて下さい。

F:ありがとう! 友人であるMouse On MarsのAndi Tomaが、ぼくらふたりを彼らの活動の21周年記念の作品である「21 Again」に誘ってくれたんだ。その際にぼくらふたりは多くのことを話したんだけど、Funkstörungを再結成する良い切っ掛けなのかもしれない、とお互いに考えたんだよね。いろいろな曲をふたりで聴きながら、すぐにぼくらは(しばらく活動を一緒にしていなかったんだけど)いまでも「波長が合っている」ことに気付いたんだ。

■ニュー・アルバム『Funkstörung』はModeselektor主催のMonkeytownレーベルからのリリースとなり、とても興奮しましたが、どういった経緯でMonkeytownからのリリースとなったのですか?

:とてもエキサイティングなことだよね。:-) Andi Toma(Mouse On Mars)がMonkeytown Recordsを薦めてくれたんだ。Monkeytownのリリースは好きだったし、Modeselektorを昔から知っていた事もあって直感的に良い事だと思ったね。

■本作ではAnothr、ADI、Audego、Jamie Lidell、Jay-Jay Johanson、Taprikk Sweezee(アルファベット順)という6組のゲスト・ヴォーカルが9曲で参加していますが、ヴォーカル作品を多く収録した意図やコンセプトなどを教えて下さい。またヴォーカルの人選はどのようにしたのですか?

:これと言ったコンセプトはないんだけど、敢えて言うなら成熟したアルバムを作りたかったんだ。ブレイクの多用や過剰なディテールへの拘りではなく「リアル」な曲を書きたかった。インストゥルメンタルの楽曲は、多くの場合ぼくらを満足されてくれないから、ヴォーカリストをフィーチャーしたアルバムを制作することに決めたんだ。何か人間的な要素、もしくは声が与えてくれるインスピレショーン、をぼくらは必要としていた。良い例なのが、親しい友人であり近所に住んでいる「Anothr」なんだけど、彼はいわゆる「インディ・ロック」の人で、複数の楽器を演奏するマルチプレイヤーなんだけど、何か特別な要素をぼくらの楽曲に与えてくれたよ。多くのことを彼から学んだね。SoundCloudを通して知り合ったオースラリアのシンガー「Audego」との制作も楽しかったね。彼女の声を聴いてぼくらは鳥肌が立つんだ。テルアビブの「ADI」はぼくらのマネージャーの友人なんだけど、ぼくらにとって完璧な調和と言えるモノになったよ。彼女は近くビッグスターになると思う、素晴らしいのひと言だね。「Jay-Jay Johanson」とは、古き良き時代からの知り合いで、もう15年前のになるのかな、当時の彼のアルバムをプロデュースしているんだ。「Taprikk Sweezee」はハンブルクで知り合った気の知れた友人で、過去にも多くの制作を一緒にしている。(Michael Fakeschのアルバム『Dos』のシンガーは彼なんだ)18年くらい前に初めて「Jamie Lidell」のパフォーマンスを見たんだけど、彼と制作を共に出来たことは夢の様だったね。いくつかの理由があって彼とは一緒に制作を行えていなかったんだけど、今回のアルバムでそれが叶ってとても誇りに思うよ。

■1995年に発表された「Acid Planet 1995」から20年経ちますが、制作や作品に関する一貫した考えはありますか?

:20年……。長い期間だよね? 実際には1992年に収録曲を制作していたから、20年以上音楽を作り続けていることになるよね……。Crazy! 一貫した考えと言えるのはたぶん、つまらない音楽を作りたくないということなんだと思うよ。ぼくらの楽曲は(多くの場合)いろいろな音やディテールが詰め込まれていて複雑だと思うんだけど、このアルバムに関して言うと(代わりに)いろいろなアイデアが楽曲に詰め込まれているんだ。リスナーをつまらない気持ちにさせたくないし、もっと言えばぼくら自身がつまらない気持ちになりたくないんだ。

■最新作に関する何か特筆するエピソードがあれば教えて下さい。

:一番特別なエピソードと言えば、ぼくらがこのアルバムを完成させたということだろうね。。10年間コミュニケーションを取っていなかったからね。こんなに長い期間を置いてからたFunkstörungとしてアルバムを完成させた、というのはとても特別なことだと思うね。

■現在はミュンヘンを拠点に活動されていると思いますが、ミュンヘンまたドイツの音楽やアートの状況に関して、マイケル、クリスが感じられる事を教えて下さい。

:多くの音楽、イベントなんかはたしかにあるんだけど、ぼくらはあまりそれらにコミットしていないんだ。スタジオに居て毎日音楽を作っている、只それだけなんだよ。;-)

■ 印象に残っている国、イベント、アーティスト等あったら教えて下さい。

:もちろんだよ。ビョークと一緒に仕事をした事は強烈な記憶として残っている。リミックスを2曲作っただけなんだけどね。魔法の瞬間だったよ、彼女の声をエディットしていたときっていうのは。その他にもニューヨークのグッゲンハイム美術館でパフォーマンスしたことは素晴らしかったね。Jamie Lidell、LambのLou Rhodesと仕事出来たことも特別だし……。Wu-Tang Clanのリミックスをしたことも……。オーストラリアでのツアーも……。この20年間、とても素晴らしい瞬間が幾つもあったね。

■ 今後のプラン等をお聞かせ下さい。

:新しい楽曲を制作していて、今年中に発表されるかもしれないんだ。12月には幾つかのライヴが控えている。新しいミュージック・ヴィデオも制作中だね。

■今回日本を訪れる際に、何か楽しみにしていることはありますか?

:和食を食べることだね! (本当に美味しいよね)他には、秋葉原にクレイジーなモノを探しに行くこと、渋谷のスクランブル交差点で人の波に押し潰されること、原宿で(流行の先端を行っている)ヒップスターたちを見ること、大阪のアメリカ村で買い物をする事こと。本当に日本ではクールなことがいろいろと出来るよね。今回は実現出来なさそうなんだけど、富士山に登るのも良いアイデアだね。(日本は大好きだし、いつも良い時間を過ごさせてもらってるよ!)

■最後に、日本の電子音楽リスナーにメッセージをお願いします。

:イベントで会えるのを楽しみにしてるよ!

Funkstörung▼プロフィール
 1996年結成、かつて、オランダの〈Acid Planet〉〈Bunker〉レーベルからアシッド・テクノ作品も発表していたドイツはローゼンハイム出身のマイケル・ファケッシュとクリス・デ・ルーカによるエレクトロニック・デュオ。それぞれのソロ名義ではセルフ・レーベル〈Musik Aus Strom〉からも作品を発表。
 エレクトロニカ、アンビエント、ヒップホップ、ポップスの要素を融合させたサウンドをベースに穏やかな風が吹き抜ける草原と溶岩が流れ出す活火山の風景が同居したかのような、未知のエクスペリメンタル・ポップを生み出し、爆発的人気を博す。
 99年のリミックス・アルバム『Adittional Productions』における、ビョークやウータン・クランといった大物たちのリミックスで知名度を上げ、00年に1stアルバム『Appetite For Distruction』をリリース。脱力したヴォーカルと感電したラップが絡み合う、メロウかつ鋭い金属質のブレイク・ビーツ・サウンドでその実力を遺憾なく発揮し、テクノ界に新風を吹き込んだ。クリストファー・ノーラン監督映画『メメント』の日本版トレーラーにビョーク「All Is Full Of Love (Funkstorung Mix)」が起用された事でも注目を集める。またテイ・トウワをはじめ日本のリミックスなども手掛け、国内外において非常に高い評価を得ている。 
 2015年、活動休止を経てモードセレクター主宰レーベル〈Monkeytown〉から10年振りに新作を発表、ゲスト・ヴォーカルとして、ジェイミー・リデルをはじめ、ハーバートやテイ・トウワ作品に参加してきたドイツ人シンガーのタプリック・スウィージー、スウェーデン人シンガーのジェイ・ジェイ・ヨハンソンらが参加。究極に研ぎ澄まされたトラックをポップソングまで昇華させた最高傑作が誕生した。
https://www.funkstorung.com

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★新作情報
『Funkstörung』-Funkstörung
https://itunes.apple.com/jp/album/funkstorung/id998420339

★来日情報
11月7日(土曜日)EMAF TOKYO 2015@LIQUIDROOM
https://www.emaftokyo.com

★エクスクルーシヴ・ミックス音源
Funkstörung Exclusive Mix for Japan, Oct 2015
https://soundcloud.com/emaftokyo/funkstorung-phonk-set-oct-2015



Funkstörung interview

I'm looking forward to your appearance at EMAF Tokyo. Could I have some questions prior to the event please?

We are looking forward to it, too!!! Sure.

Congratulations on the release of your new album entitled "Funkstörung".
1. How the reunion of the unit come about?

Arrogate Gozaimasu!
Our friend Andi Toma (Mouse On Mars) invited us to do a song with Mouse On Mars for their anniversary record '21 again'. We met and talked a lot and soon we thought this might be a good chance to reactivate Funkstörung. After listening to loads of songs we instantly recognized that we are still on the 'same wavelength'...

The album "Funkstörung" has been released on Monkeytown Records run by Modeselektor.
2. What has made you decide to release the album on the label?

I'm so excited about this. :-)
Andi Toma recommended Monkeytown to us...and since we liked the MTR releases and knew the Modeselektor guys from back in the days, we had a good feeling about it.

There are 6 vocalists featured for 9 tracks in this album. (To name all alphabetically, ADI, Anothr, Audego , Jamie Lidell, Jay-Jay Johanson and Taprikk Sweezee)
3.  What was your intention / concept about these vocalist selections?

We had no real concept, but somehow we wanted to do a grown-up album. Instead of focusing on breaks and an overload of details we wanted to write 'real' songs. Since instrumental tracks don't satisfy us most of the times we decided to do a vocal album. We needed that human element and as well the inspiration vocals give us. Anothr, who is a close friend and neighbour is the best example: He added some special flavour to our songs since he is more a kinda 'Indie Rock' guy and multiinstrumentalist...we learned a lot from him. Australian singer 'Audego' we found via soundcloud was really a pleasure to work with, Her voice really gave us goose bumps. ADI from Tel Aviv is a friend of our manager and for us it was a perfect match. She is going to be a big star soon...she is brilliant! Jay-Jay Johanson we knew from 'the good old times'...we have been producing one of his albums almost 15 years ago. Taprikk Sweezee is a good friend from Hamburg with whom we have been working a lot together in the past (he is the singer on Michael Fakesch's album 'Dos'...) Jamie Lidell was a dream to work with from the day we saw him playing for the first time (which is about 18 years ago)...due to different reasons we never managed to work with him and so we are extremely proud that this time it really happened.

20 Years have been passed since the release of "Acid Planet 13" in 1995.
4. Is there any consistent thoughts behind your production throughout?

Long time...isn't it? In fact we did those track back in 1992, which means we are doing music since over 20 years...crazy!

Maybe the most consistent thought is that we don't wanna do boring music. That's the reason why our songs are often so complex with loads of sounds and details and -like on this album- with loads of ideas within the song. We just don't wanna bore people...and even more important we don't wanna bore ourselves.

5. If there's a special story / episode regarding the latest album, it would be great to hear it.

The most special story is that we really did this album...after not talking to eachother for 10 years. I think this is something very special if you re-unite after such a long time.

You are currently based in Munich, Germany.
6. Could you tell us about your opinions on a situation music (and/or) art in Munich / Germany are in? (from each of you, please?)

There is definitely a lot music, events, etc. going on but we are kind of isolated from all that. We are sitting in our studios all day making music and do nothing else ;-)

7. Please let us know of any countries, events or artists you have been impressed by and would still remember?

Of course one of the most intense memory from the past was working with Björk. Even if we only did two remixes, but to work with her vocals was a very magic moment. Besides to that playing at Guggenheim Museum New York was amazing...also working with Jamie Lidell or Lou Rhodes from Lamb was very special....or remixing Wu-Tang...and our Australia tour...oh man...we had some great moments over the last 20 years.

8. Please let us know of your upcoming plans. (Excuse me if this is too fast to ask..) 

We are working on new tracks right now (which might be released already this year) and we're going to play some live shows coming up in December. There is also a few new videos in the making.

9. Is there any particular thing(s) you've been looking forward to do in Japan? 

...to eat Japanese food (which we love!), to check out all the crazy toys in Akihabara, to get squashed a Shibuya crossing, to see all the super hippsters at Harajuku, to do some shopping at american village Osaka...oh man, there is so much cool stuff to do in Japan. Actually it would have been great to walk up Mount Fuji, but unfortunately it's not the right time :-(...anyway...we love Japan and always had a great time there!

10. Lastly, please leave a message for electronic music listeners in Japan.

Come to our concerts!! We hope to see you guys there!


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