「Dom」と一致するもの

Sensational meets koyxeи Japan tour 2012 - ele-king

 野蛮人が来日する。センセーショナル、人は彼をラップ界のリー・ペリーと呼ぶ。ラップ界には、ある意味ではかなりの数のリー・ペリーがいるかもしれない。その強豪揃いのシーンのなかにあって、センセーショナルはよほどのことがあるからそう呼ばれている。音楽ライターのスペクターがはじめた〈ワードサウンド〉は、IDMとヒップホップの水を埋めたレーベルだが、1997年、1999年と、そこから出た最初の2枚はぶっ飛ぶためだけに生きている男の美しい記録として忘れがたい。


Scotch Bonnet

 NHK名義で知られる、大阪人かつベルリン人のコーヘイ・マツナガは、2006年に最初のコラボレーション・アルバム『Sensational Meets Kouhei』を〈ワードサウンド〉から出すと、2010年にはマンチェスターの〈スカム〉(ゲスコムのメンバーによる)から『Sensational Meets Koyxeи』も出している。つい先日も、NHKはセンショーナルとDJスコッチエッグと一緒にヨーロッパをツアーしている。

 今回は、センセーショナル+コーヘイ以外には、言わずと知れた才人Scotch Bonnet(DJスコッチエッグ)、そして大阪ではAOKI Takamasa(ele-kingは彼の音楽が大好きです)、東京では中原昌也(『エーガ界に捧ぐ(完全版)』を出したばかり!)、そしてこれまた注目のKakato ( 鎮座Dopeness x 環Roy )が出演する!
 そして、センセーショナルとNHK、DJスコッチエッグは9月12日(水)21:00~@DOMMUNE、あります。前半、この伝説の奇人に編集部野田がインタヴューします。

Sensational (ex, Jungle Brothers aka Torture)
 Tortureの名前で活動していた頃、Jungle Brothersとして94年の3作目『JBeez Wit Da Remedy』に参加、そして彼の伝説ははじまった。
 芸術家はいつの時代も気ちがいじみた特質性、風変わりな人柄に富んでいるが、sensationalは他に類を見ない正に唯一無二の超オリジナルなラッパーだ。95年、Sensationalに改名しソロアルバム『Loaded With Power』(WSCD022) 、3作目のアルバム『Heavyweighter』 (WSCD037)をリリースした頃には、NY『タイムアウト』誌で「Sensational is underground hip-hop's number one upstart-in-waiting(待ちに待ったヒップホップ・アンダーグラウンド界のNo.1の成り上がりMC)」と称された。多くのラッパーがサンプリングを使うなか、彼はすべてオリジナルトラックで臨み、そのブレイクビーツに乗せた彼の鈍りきったフロウ、詩のように優美なフロウがILLなヘッズを虜にしている、まさに伝説の奇人!

Scotch Bonnet ( Scotch Egg / Berlin )
 DJ Scotch BonnetはDJ Scotch Eggとして活動するUK在住の日本人、本名「シゲ」の新プロジェクト。ヨーロッパを中心に活動。活動の初期はガバ~ブレイクコア~チップチューンを演奏する次々世代のテクノアーティストとしてブレイクコアのアーティストを多数輩出している〈ADAADAT〉〈wong music〉から2枚のアルバムと7インチ、10インチのアナログシングルを各1枚ずつリリースしている。ATARI TEENAGE RIOT /ALEC EMPIREとのヨーロッパツアーで頭角を現わし、その後μ-ziq / APHEX TWIN/ Bong-ra. /VENETIAN SNARES等、ブレイクコアや異端テクノ系のビッグネームと多数共演、UKでは2ndアルバムリリース時に英国ラジオ局BBCが彼の特別番組を放送する等、ほぼ毎日行われるGIGでヨーロッパ全土を席巻し、注目の的となっている。マンチェスターの「FUTURE SONIC FESTIVAL」やロンドンで行われるエレクトロニック・ミュージックの祭典「GLADE FESTIVAL」、70年代から続く老舗巨大フェス「Glastonbury festival」など多数のフェスティヴァルに出演。

■大阪公演at Conpass
9月14日 (金)
18:30 open / 19:00 start

Sensational meets koyxeи ( ex, Jungle Brothers + NHK )

DJ Scotch Bonnet ( aka DJ Scotch Egg / small but hard / Berlin )
Jemapur ( Saluut, Beta, Phaseworks )
Yuki Aoe ( concept )
DJ AOKI Takamasa
DJ Kouhei Matsunaga

ADV 2500 . DOOR 3000
https://www.conpass.jp


■東京公演at Super deluxe
9月16日(日・祝日前)
19:30 open / 20:00 start

Sensational meets koyxeи ( ex, Jungle Brothers + NHK )

Kakato ( 鎮座Dopeness x 環Roy )
DJ Scotch Bonnet ( aka DJ Scotch Egg / small but hard / Berlin )
Jemapur ( Saluut, Beta, Phaseworks )
DJ NHK fm
DJ 中原昌也

ADV 2800 . DOOR 3500
https://www.sdlx.jp/2012/9/16



https://koyxen.blogspot.com
https://nhkweb.info
https://twitter.com/kouheimatsunaga

5lack - ele-king

 「よろしければどうぞ」と、告知らしい告知もなくリリースされた5lackの『情』は、非営利目的でMediaFireにアップされたzipファイルである。いま現在、ヒップホップにおける最新音源が、フリーのミックステープとしてタイムライン上を無限に流れていくものだとしても、本作を思いつきの企画ものとして聞き流すことは、少なくとも私にはできそうにない。『情』(譲)は、まぎれもなく『我時想う愛』(2011)以降のメランコリアの延長に立つ作品である。いや、もっと露骨に言おう。大ネタ使いのサービス感が吹っ飛ぶくらいの想いを、彼はこのミックステープに込めている。これはすでに削除されているので内容への言及は避けるが、7月12日ごろ、恐らくは本作のリリースと関係していたのであろう心の内側を、彼はブログで苛立つように綴っている。

 思えば、とくに震災以降、You Tubeの突発的な利用やDommuneへの出演などを通じて、彼は聴き手に要求する金銭的な対価を下げていった。『この島の上で』(2011)には値段こそ付いたものの、リリースは異様なほど突然で、ほぼノン・プロモーション。「ヒップホップで自立する方法」以前にあるべき志のようなものを、彼はまず自分自身に対して強く必要としたのかもしれない。それは、あるいは理想主義者のロマンか虚勢だったのだろう。だが、私はその変化をいまでは違和感なく受け止めている。結局のところ、人生は一度きりであり、不可逆であり、その一回性の上に刻印されたあの圧倒的な破壊の余韻は、日々が隠し持つ偶然性(自分は今日、たまたま生きているのだという雑感)を顕在化させるには、十分すぎやしなかったか。その時、彼にとって、いったいどれだけの物事が不要に思えたのだろう? 例えばtofubeatsら平成以降の新世代が、無料配信の文化圏からiTunesチャートをおそるおそる(だが鮮やかに)駆け上がっていったのと逆行するように、彼はむしろ、トーナメントの階段を静かに降りて行った。

 全体的な雰囲気で言えば、『情』は、『我時想う愛』にさらけ出した「不安や罪の意識」の延長線上に、私たちが共通の記憶として持つ久石譲のピアノ、そして重厚なオーケストレーションを大胆に引用した作品である。それだけでレジュメできると言えばできるだろうし、当然、スタジオジブリ作品群の断片が、記憶のそこかしこをかすめていく。さまざまな冒険や旅、恋の記憶がよみがえる。最初の数回を聴いているうちは、そうした大ネタのサービス感にこちらも調子づくが、次の数回では、そのトラックがしかし、これまでの作品となかなか矛盾しない質感だと気付き、その後の数回ではむしろ、元ネタの持つ属人的・属作品的なブランド感が、トラックの後景へと少しずつ退いていくのを感じることになる。それくらい、『情』のビート・プロダクションは彼のディスコグラフィーと整合している(例えば、メロディアスなピアノ・ループが夜遊び後の空虚さを優しく染め上げる"朝の4時帰宅"は、"東京23時"のアフター・ストーリーのようで、フィンガースナップが幻想的なアンビエンスの上に響き渡る"想い出す"は、初期のクラシック"I Know About Shit"を文字通り、想い出す)。

 だが、いやだからこそ気になるのは、やはりその主題である。「何か良いことを言わなければならない、何か気の利いたことを言わなければならない」(野田努)というオブセッション、それをドメスティック・ラップの領域で仮に<パンチライン症候群>と呼ぶなら、その風潮のなかであえて「俺はテキトーである」ということを表明しなくてはいけなかったS.L.A.C.K.の辛さは、いま思えば彼の真面目さのコインの表裏としてあったのだろう。そんな彼が、震災後の言語表現におけるプレッシャーをむしろ進んで受け入れたのは、それゆえに飛躍ではなかったと思っている。あえて断じて言うなら、『この島の上で』は、リスナーを選び直し、シーンから選ばれ直そうとするような、ごくヘヴィな試みだった。そして本作『情』においても、彼はこの国を、あるいは強固に続いている(ということにされている)日々の風景を、ごく低温度で見つめている("朝の4時帰宅")。そこには、自戒と挑発が蠢く。そう、"テキトー"から出発したS.L.A.C.K.が、やがて5lack、そして"娯楽"へと当て字されていくに伴って、彼の眼差しはむしろその深刻さを強めている。

 だが、震災以後という文脈に対して、頭からがんじがらめになっているわけではない。もちろん、一定の確率で今日も生きていられる人間として、彼がある種の重荷を背負ったのは間違いないだろう。だがここには、そこからもう一度パーティ(=あくびが出るほどの退屈さ)へと出かけていくための、模索の手振りが垣間見える("これがなければ")。ある程度、正常に引き継がれている日々の、表面的にはごく平和な断片を不可避なものとして受け止め、今度はその先に言葉を置いている。そして、割れるような喝采のライヴ・サンプルが飾られた"気がつけばステージの上"は、ステージという遊び場であり、また処刑台でもある場所へともう一度向かう徒労感、義務感、そしてそれでも沸き起こる、果てるような高揚感を丹念に描く。が、そんな自分さえをも外から見てしまう再帰性が、この作品に翳りを与えていることも指摘しておきたい。どれほどテキトーを気取っても、もう以前のようには笑えない。ならば、重い足取りで泥のなかを進むまでだ。

 もちろん、自然主義の位相における現実描写・内省吐露という、純文学めいた詩作表現が、必ずしもポップ・ミュージックにおいて特別な効力を発揮するわけではない。あえて皮肉めいた言い方をすれば、いまもっとも安易な方向性であることもまた事実だ。だが、このセンチメンタリズムを内破したとき、彼はまた美しく、気怠そうに笑うだろう。彼の真摯な遠回りを私は楽しんでいる。いまはまだ、決して華麗ではない、撤退するようなネクスト・ステップを踏んだ(「何も怖くねえ/俺は進むyeah」"想い出す")。だが現時点でのそれは、この国のポップ・ミュージックに対する切実な疑問符でもある。ウォーク・オン・ザ・ダーク・サイド、暗闇を行け。

BASSの時代 - ele-king

 日本のベース・ミュージックについて改めて考えてみると、「ベース・ミュージック」という言葉を日本人が使いだしたのは東では〈Drum & Bass Sessions〉、西では1945 a.k.a KURANAKAが率いる〈ZETTAI-MU〉に代表される方々が支えてきた「ドラムンベース」や「ラガ・ジャングル」の登場以降だと推測される。
 しかし、近年では「ベース・ミュージック」という言葉の意味にかなり広がりを持つように進化し続けていると思う。もともとは海外でマイアミ・ベースやゲットー・ベースなどのヒップホップやエレクトロからの流れが「ベース・ミュージック」と言われだしたのがはじまりだろうし、「DUB STEP」という言葉にある「DUB」についてはもっと昔から存在する手法だ。
 そんな「ベース・ミュージック」の言葉が持つ深いポテンシャルに注目し、日本におけるベース・ミュージックの現在進行形を体験できる貴重な機会があったので、少々時間は経ってしまったが、レポートしようと思う。

 〈Outlook Festival〉とは、ヨーロッパはクロアチアにて数日間に渡って開催され、世界中のアーティストやDJ、そしてサウンドシステムが集結する世界最大級のベース・ミュージックの祭典だ。その錚々たるラインナップには、リー"スクラッチ"ペリーやマックス・ロメオやジャー・シャカといった、生きるレゲエ・レジェンドたちからスクリームやデジタル・ミスティックズなど、最先端ダブステップ・アーティストが一斉に名を連ねる。

 ある日、Part2Style Soundの出演するクロアチアの〈Outlook Festival〉に同行したeast audio sound system(イーストオーディオ・サウンドシステム)のtocciの体験談として「BASS MUSICは体で体感する音楽である。しかるべきサウンドシステムで鳴らせば、その重低音は肌から伝わり、体のなかを振動させ、ついには喉が震えて咳き込むほどの音楽だ」という見解を、過去にサイトにアップしていたのを読んで、自分の目を疑ったのと同時に「体感してみたい」という思いが芽生えた。その個人的な思いは「Outlook Festival Producer Competition」という、勝者はクロアチアへのチケットを手にすることができるコンペに自作曲を応募する形でぶつけてみた。仲間や応援してくれたみんなのおかげもあって、数多く存在するファイナリストまでは残れたものの、結果としては敗北に終わり、悔しい思いをしたのも記憶に新しい。
 そんな〈Outlook Festival〉の日本版がPart2Style とイーストオーディオ・サウンドシステムによって、今年も開催されると知ったのは春のはじまりのころで、それを知ってからは毎日のように「Outlookを体験したい」と心のなかで連呼したが、どうしても行きたい思いとは裏腹に、諸事情により今回のフェスへの参加を諦めていた。
 その矢先、小説家であり、ライターであり、大阪の夜の飲み先輩であるモブ・ノリオさんから一本の電話がかかってきた。
 以前、モブさんにとあるパーティで会ったときに酒を飲みながら〈Outlook Festival Japan Launch Party〉がいかなるものかと熱く説明したことがあり、そのときに何度も「それにはお前は行かなあかんやろ」と言われたが、「行きたいですねぇ......」と返すのが僕の精一杯の返答だった。それを察しての電話口だった。「〈Outlook〉行くの?」と聞かれ、「めちゃくちゃ行きたいですけど、もう諦めました」と返すと「行かんとあかんときっていうのは、どうしても行かんとあかん。お前、ああいうことを自分で書いといて、いかへんつもりなん? それはあかんぞ......あのな、エレキングで取材の仕事をセッティングしたから、行って来てレポートを書いてみぃへんか? 文化を体験するって行為は絶やしたらあかんで」
 涙がでるほどの奇跡が起きた。僕のなかで行かない理由はなくなった。

 5月26日、TABLOIDの隣にある、日の出駅に着いたときに、まず驚いた。改札を通るときに重低音の唸りが聴こえてきたからだ。駅から会場までの近さも手伝って、初めて行く会場への方向と道のりを重低音が案内してくれた。会場の建物がどれなのかは、低音の振動でコンクリートが「ピシッ」と軋む音でわかった。ついに ここに来ることができた、と胸が高まった瞬間だ。

 会場に入り、さっそくメインフロアであるホワイト・アリーナへ向かうと、先ほどの駅で聴いた重低音の唸りがSPLIFE RECORDINGSがかけるラガ・ダブステップだったことがわかる。そびえ立つモンスター・スピーカーたちの城から発せられるその音は、「爆音」なんてものではなく、まるで生き物のようにスピーカーから"BASS"が生まれ、フロア中を駆けめぐった後、壁を登り、遥か高い天井で蠢く、「獣帝音」と言えば伝わるであろうか。そう、これがイーストオーディオ・サウンドシステムとTASTEE DISCOが繰り出す、メインフロアの音だ。驚いたのは、出番が終わったあとにSPLIFE RECORDINGSのKOZOから聞いたところによると、これでまだ50%ぐらいの音量だというのだ。驚きとともに、100%の音量を出したときに自分は正気でいられるのだろうか? 建物は大丈夫なのだろうか? などと、少しの不安と緊張感を抱くとともに、武者震いをするかのように心を踊らせた。

 大阪から到着したばかりで腹がすいていたので、メインフロアの後方にあるFOODブースへと向かった。
 DUUSRAAのカレーを注文し、待っているあいだにおもしろい出来事があった。テーブルの上に置いてあった誰かのカクテルのカップが、重低音の振動で勝手に動き出し、なかに入ってあるカクテルが噴水のようにしぶきを上げ、こぼれだしたのだ。それぐらい、建物自体が振動していたということだ。

 知人の皆と、久しぶり感がまったくない(1ヶ月前に会ったばかり)挨拶やジョーク等を交わし、会場全体をウロウロとまわるうちに最初の狼煙が上がった。Part2Style最重要ユニット、ラバダブマーケットの登場だ。Erection FLOORと名付けられたフロアで鳴り響く、姫路は最高音響サウンド・システムの音も、サブ・フロアという陳腐な言葉では片づけられない、まさしく最高の音だった。その音は暖かく、どれだけの音量で鳴っていたとしても耳が疲れない、例えて言うならマホガニーサウンドだ。しかし、鳴っている音量はかなりのもので、ここのフロアが階段を登った2階にあったのも手伝ってか 振動が床を伝い、足から体全体が震え、まるで自分がスピーカーになったような錯覚すら覚えた。そんな最高音響でのラバダブマーケットのライヴは、フロアの反応も最高だった。Dread Squadの"Sleng Teng International Riddim"にジャーゲ・ジョージとMaLが歌う"Digital dancing mood"~e-muraのJUNGLEビート本領発揮の"Bubblin'"~突き抜ける"MAN A LEADER"の流れは、正にリーダーが告げるこのフェスの本格的開始合図だった。そしてその勢いは櫻井饗のエフェクターを駆使した多彩なビートボックス・ライヴへと継がれていった。

 ホワイト・アリーナへ戻ると会場にも人が溢れ返っていて、LEF!!!CREW!!!が、フロアにいるオーディエンスをハイテンションでガンガンにロックしていた。休憩しようと外へ向かう途中にグラス・ルームではDJ DONが、まだ生まれて間もないベース・ミュージック、ムーンバートンのリズムで"Bam Bam"をプレイしていた。僕もよくかけるリミックスだ。ついつい休憩のつもりがまたひと踊りすることに。Jon kwestのアーメンブレイクを切り刻んだムーンバートン(これまた僕もよくかける)など、ニクイ選曲にTRIDENTがパトワのMCで煽る。108BPMという、遅いような早いような不思議なテンポに錯覚してしまい、ついつい踊らされてしまうのがムーンバートンの魅力だろう。

 外の喫煙ブースでマールボロのタバコをもらい一服してからなかへ戻ると、さっきのグラス・ルームでは函館MDS CREWのボス、SHORT-ARROWがSUKEKIYOのMCとともにジャングルをプレイしていた。同じく函館から来ていたKO$は今回、カメラマンとしてもかなりいい写真を撮っていたので、是非チェックしてほしい。ここでも先ほどラバダブマーケットのライヴでも聴いたDread Squadの"Sleng Teng international"が聴けたし、時を同じくしてホワイト・アリーナではTASTEE DISCOがスレンテンをかけていた。

 この〈Outlook Festival Japan Launch Party〉の興味深いポイントとして、「ベース・ミュージックに特化したフェスティヴァル」ということでは日本ではかなり早いアクションだということだ。以前からPart2Styleは"FUTURE RAGGA"というコンセプトのもと、コンピュータライズドなレゲエをやっていたし、ジャングルやドラムンベースはもちろんのこと、最近ではダブステップやクンビアも自分たち流に消化して発信していたし、ムーンバートンを僕が知ったきっかけはMaL氏とNisi-p氏がふたりで作ったミックスだった。それらやその他もろもろを総じて、ベース・ミュージックと日本内で呼ばれ、波及しだしたのは ごく最近のことであり、まだまだ発展途上といえる段階だろう。スレンテンのベースラインは、この新しい試みのなかでも 互いに芯の部分を確かめ合うように呼応する不思議な信号や、電波のようにも聴こえた。

 時間が深まっていくなか、eastee(eastaoudio+TASTEE)が本領を発揮しだしたと感じたのはBROKEN HAZEのプレイだった。重低音が何回も何回も、ボディブローをいれてくるように体に刺さりまくる。激しいビートとベースで、まるでボクシングの試合でボコボコにされ、痛いどころか逆に気持ちよくなってしまう感覚だ。パンチドランカー状態になってしまった体を休めに、バー・スペースへ行きDUUSRAA Loungeの音が流れる中、友人と談笑したりした。

 上の階では、ZEN-LA-ROCKPUNPEE、そしてファンキーなダンサーたちによってオーディエンスが熱狂の渦と化していた。音の振動によってトラックの音が飛ぶトラブルもなんのその。
「皆さん、低音感じてますか? Macも感じすぎちゃって、ついつい音が飛んじゃいました。低音はついに800メガヘルツに到達! Everybody say BASS!!」とトラブルすらエンターテイメントへと変換させる話術は、お見事の一言では片づけられないほど素晴らしく、ごまかしや隠すことの一切ない、正に全裸ライヴだと実感した。ZEN-LA-ROCKは独自にこのフェスティヴァルをレポートしているので併せて見てほしい。



 楽しいライヴを満喫した後は、D.J. FULLTONOを見にグラス・ルームへと移動する。個人的にエレクトロやシカゴ・ハウス、ゲットーベース等を2枚使いでジャグリングをガンガンやっていた頃を知っているだけに、いま、日本のJUKE/JIT第一人者として〈Outlook Festival Japan〉に出演していることが不思議であり、同じ大阪人として嬉しくもあった。彼がプレイしている時間のフロアは、このフェスのなかでもっとも独特な空気を放っていただろう。矢継ぎ早に、時にはトリッキーに繰り広げられるJUKEトラック、"FootWurk"という超高速ステップ、難しいことは言わず自然体な言葉でフロアを煽るMC、仲間たちお揃いのBOOTY TUNE(FULLTONO主宰レーベル)のTシャツ、ブースに群がるクラウド、汗だくになりながらも、次々とフットワークを踊り、DJブース前のフットワークサークルを絶やそうとしないダンサーたち、出演者、観客、スタッフ、なんて枠組みは取り払われたかのように、そこにいる皆で夢中になってフロアを創った時間だった。その素晴らしさは、FULLTONOが最後の曲をかけてすぐさまフロアに飛び出し、さっきまでDJをしていた男がいきなり高速フットワークを踊りだした時に確認できた。僕にはその姿が輝いて見えた。

 メインフロアに戻ると、Part2Style Soundがいままで録りためたキラーなダブ・プレートを惜しげもなくバンバン投下しフロアをロックし続けていた。そのスペシャル・チューンの連発にフロアのヴォルテージが高まりすぎて、次の日に出演予定のチャーリー・Pが我慢できずにマイクを取ったほどの盛り上がりだ。そしてその興奮のバトンとマイクは、DADDY FREDDY(ダディ・フレディ)へと渡された。高速で言葉をたたみかけるダディ・フレディのライヴは圧巻であった。何回も執拗にライターに火を灯せ! とオーディエンスに求め、フロアは上がりに上がった。早口世界チャンピオンは上げに上げた後、だだをこねるように「もう行っちゃうぞ?」とフロアに問う。フロアは声に応え、ダディ・フレディを放そうとはしない。チャンピオンはノリノリでネクスト・チューンをうたい終えた後、またフロアに問う。「おれはもういくぞ!?」と。もちろん皆は声に応える。するとチャンピオンはノリノリで「ワンモアチューン!」と、まだまだ歌い足りなさそうだが、やはりチャンピオン。どのアクトよりも怒涛の勢いを見せつけた、素晴らしいステージだった。

 チャンピオンの勢いに圧倒された後に続いて、特別な時間がやってきた。
 DJ、セレクタのセンスと腕が問われる真剣勝負、サウンド・クラッシュ。今回、かなり楽しみにしていたイベントだ。NISI-Pの司会によってルール説明が行われ、場内は緊張感に溢れた。今回のルールとして、はじめにくじ引きで第1ラウンド出場者である3組の順番を決め、1ラウンド目はダブ・プレートではない曲で3曲ずつかけ、次ラウンドの順番が決まる。第2ラウンドが「Dub Fi Dub」(ダブプレートを1曲ずつかける)の流れだ。第2ラウンドで決勝進出の2組が決まり、ファイナルラウンドで一対一の対決となる。
 第1ラウンドの一番手はHABANERO POSSE(ハバネロ・ポッセ)だ。普段からイーストオーディオ・サウンドシステムの音を研究しているだけあって、音の鳴りはピカイチだった。ガンヘッドのDJにFYS a.k.a. BINGOのMCの勢いもハンパなく、スピーカーとオーディエンスを存分に震わせた。続いて、JUNGLE ROCKがプレイするジャングルはレゲエのサウンドマンの登場を物語る。サウンドクラッシュはレゲエから発生した文化だ、と言わんばかりにフロアに問いただす。最後に登場したDEXPISTOLSは、なんとレゲエ・ネタで応戦し、エレクトロの先駆者が異文化であるクラッシュへの参戦表明を見せつけたことで、このサウンドクラッシュがいままでのどのサウンドクラッシュとも違う、斬新なものであるかがわかっただろう。今回のサウンドクラッシュの見どころとして、ヒップホップやエレクトロの文化やレゲエの文化などが、カードの組み合わせによって異種格闘技戦となっていることも、おもしろい試みだ。
 肩慣らしともいえる第1ラウンドを終え、いよいよ本番、ガチンコ対決となる第2ラウンドへと続く。トップバッターはDEXPISTOLSだ。第1ラウンドのときとは、やはり気合いの入り方が違い、ダブプレートには自身たちの曲にも参加している、ZeebraJON-Eがエレクトロのビート上で声をあげ、DEXPISTOLSがDEXPISTOLSであることをオーディエンスに見せつけた。
 続くはHABANERO POSSE。ムーンバートン・ビートにのるラップの声の持ち主に耳を疑った。なんと、Zeebraのダブ・プレートである。まずは「ベース好きなヤツは手を叩け!」と、"公開処刑"、そしてビートがエレクトロへと急激にピッチが上がり、DEXPISTOLS自身がZeebraをフィーチャーした"FIRE"のダブへと展開し、DEXPISTOLSへ向けたレクイエムを送る。逆回転のスピンの音が少し短くて、思ったことがあった。「あれはもしかして、レコードかもしれない......。」その盤はアセテート盤と呼ばれる、アナログレコードをわざわざカットして鳴らされたものであるのも、block.fmで放送された後日談にて確認できた。HABANERO POSSEは、ぬかりのない綿密な作戦と、業が成せる完璧な仕事を僕らに見せつけたのだ。
 ラストのジャングル・ロックは、アーメンブレイクと呼ばれるジャングル・ビートに、猛りまくったMCで問う。「さっきも、V.I.Pクルーがかかってたけど、V.I.Pクルーって言ったらこの人だろ!?」と、BOY-KENがうたう様々なクラッシュ・チューンでレゲエの底力を見せつけた。
 ファイナルラウンドに駒を進めたのは、HABANERO POSSEとJUNGLE ROCKの2組だ。本気の真剣勝負の結果である。誰もそこに異論を唱える者はいなかったと思うし、オーディエンスの反応にも間違いなく現れていた。戦うセンスと実力だけがものをいう、音と音のぶつかり合い。それがサウンドクラッシュという音楽の対話だ。
 ファイナルラウンド、先行はJUNGLE ROCKだ。「おれがこのダブとるのに、いくら使ったと思ってんだよ!」と意気込みを叫び、ダブを投下した。鎮座ドープネスリップ・スライムからはPESとRYO-Zという、豪華なメンツにフロアは沸きに沸いた。そして後攻にHABANERO POSSE。なんとその場のゲストMCにSEX山口を迎え、マイクでフロアに物申す。「おれらの敵はJUNGLE ROCKでも、DEXPISTOLSでもない。本当の敵は、風営法だ!」なんと、YOU THE ROCKがラップする"Hoo! Ei! Ho!"のダブだった。



 優勝は満場一致で、HABANERO POSSEが受賞した。展開の読み、選曲、音像、すべてにおいて郡を抜く存在だった。本当に、普段から音の鳴りを研究した努力の賜物だったと思うし、あの時間にあのダブ・プレートを聴いた時の、ドラマのような展開に感動した。近年、風営法を利用した警察が、文化を発信している場所となるクラブを摘発していることへの、強烈なアンチテーゼを意味するメッセージでもあった。クラバーたちの真の戦いとなる風営法を、サウンドクラッシュという戦のなかで伝え、勝利という名の栄光を掴んだ、真のチャンピオン誕生の瞬間だった。

 この頃には酔いもできあがってしまって、BUNBUN the MCのライヴではPart2Styleのメンバー、DJ 1TA-RAWがカット(バックDJ)をやっているにも関わらず、大阪のオジキの大舞台を応援したい気持ちで僕もDJブースにノリこんでカットをやるが、酔った手がCDJの盤面に当たってしまい、ズレなくてもいいリズムがズレてしまって、「WHEEL UP!Selecta!」とすぐにお声がかかり、ネクストチューンへ。大変、お邪魔いたしました。。もちろん、ライヴはいつにも増して、大盛況であった。酔いも深まる中、タカラダミチノブのジャーゲジョージをフィーチャーしたDJにシビれ、朝を迎えた。

[[SplitPage]]

 2日目はひどい2日酔いのなか、昨日が夢のような1日だったため、目が覚めてもまどろみ状態がなかなか覚めなかった。そんな状態で、酒を飲む気分になれなかったので、この日はレッド・ブルだけを飲んで過ごした。
 会場に到着して、ブランチに虎子食堂のごはんを食べようと、真っ先にフードブースへ足が進む。フェジョアーダという黒豆ごはんを注文し、知人と一緒に「初めて食べる味ですねー」なんて話しながら、美味しくいただく。ふと、ブースの方へ向くと、Soi Productions(ソイ・プロダクションズ)がスタートダッシュのドラムンベースをブンブン鳴らしていた。会場の音も、昨日よりも開始直後からよく鳴っている印象だった。考えたら昼の2時だ。鳴らせる時間には鳴らさないと、サウンドシステムがもったいない。目もスッキリ覚めるほどのベースを浴びて、2日目がはじまったことを改めて確認した。

 バー・スペースではDJ DONがクンビアを気持ちよくかけている。今日はどうやって過ごそうかな? とタイムテーブルを見ながら周りを見渡す。ここは〈DUB STORE RECORDS〉や〈DISC SHOP ZERO〉がレコードを販売しているフロアでもある。ふと見ると、E-JIMA氏がレコードをクリーニングするサービスなんてのもあって、もしレコードをもってきてたら、超重低音でプレイする前にキレイにしたくなるだろうな、と思ったりした。

 入り口付近のグラス・ルームではKAN TAKAHIKOがダブステップのベースの鳴りをしっかりとたしかめるように、自作曲も交えながらプレイしていたり、2階へ行くと、DJ YOGURTがスモーキーで渋いラガ・ジャングルをかけていて、最高音響で聴くアーメン・ブレイクは体にスッと馴染みやすく刺さってくることを確認したり、NOOLIO氏との久々の再会がグローカル・アリーナで太陽を浴びながら聴くグローカルなハウスだったり、ホワイト・アリーナに戻っては、G.RINAの生で聴く初めてのDJにテンションが上がってしまい、BUNBUN氏とふたりしてかっこええわ~なんて言いながら楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

 グラス・ルームでワイワイと楽しそうにやってたNEO TOKYO BASSの姿は、誤解を招くのも承知で書くと、やんちゃな子どもたちが はしゃいでいるようにも見えて、その楽しそうな姿に、ついついこっちまで指がガンショットの形になってしまった。クボタタケシのクンビア・ムーンバートンを交えたセットも素晴らしかった。この時にかかっていたKAN TAKAHIKOの"TOUR OF JAMAICA"のエディットはこのパーティ中に最も聴いたチューンのひとつだ。

 Tribal Connection(トライバル・コネクション)の1曲目は、ジャングル・ロックの昨日の決勝戦のチューンだった。昨日のバトルの雰囲気とはうってかわって、パーティ・チューンに聴こえたのもセレクター、DJとしてかける意味がかわって聴こえたりもして、趣が深かった。悔しそうに、そして楽しそうに。深いジャングルの時間だった。続くJxJxはグラス・ルームをファンキーに彩るムーンバートンで、大都会の夕暮れの時間を鮮やかに彩った。

 そうこうしている内にはじまったPart2Style Soundが、確実にメインフロアを唸らす。興奮もピークに近づいてきたところで、やってきたのはCharlie P(チャーリー・P)だ。まだ若いらしいが、堂々としたステージはベテランのようで、スムーシーに唄うその声は、ときに激しく、ときにまとわりつくように耳から脳へとスルリと入ってくる。続いて登場したSolo Banton(ソロ・バントン)は先日、大阪で見た時よりもキレがあり、"Kung Fu Master"や"MUSIC ADDICT"など、堂々としたステージングでオーディエンスをグイグイ引き寄せる。そして時には、ソロとチャーリーが交互に歌ったり、お互いの声質が異なることによるスペシャルなブレンド・ライヴを展開した。かなりマイクを回しあっただろう。時間が終盤に近づくにつれ、グルグルと回るマイクをもっと回せと口火をきったのはRUMIだ。"Breath for SPEAKER"の「揺らせ! スピーカー!」のフレーズで、正にスピーカーとフロアを存分に揺らした。すかさずソロがたたみかけるようにうたう、すると今度はなんと、CHUCK MORIS(チャック・モリス)が出てきては「まんまんなかなか、まんまんなかなか、ド真ん中!」と、すごい勢いで登場し、「たまりにたまった うさばらし! Outlookでおお騒ぎ!」と、けしかけては、「ハイ! 次! ソロー!」とソロ・バントンにマイクを煽る。ソロがすかさず歌い返すも、Pull UP! ちょっと待ったと、いきなり現れた二人のMCに たまったもんじゃないソロはなんと、ダディ・フレディの名を呼んだ。「ジーザス、クライスト!」とダディフレディが一言、そこからのトースティングは即座にフロアを頂点へとのし上げた!!! ダディ・フレディは会場に集まった皆と、Part2Styleに感謝を述べ、よし、マイクリレーしよう!と閃き、なんとスペシャルなことか、ダディ・フレディとソロ・バントンとチャーリー・P、3人の怒涛のマイクリレーがはじまった。これにはフロアもガンショットの嵐!! 最高のスペシャルプレゼントステージだった。Nisi-pが「もう一度、3人に大きな拍手を!!」と叫ぶと、会場は拍手大喝采に見舞われた。



 SKYFISHがクンタ・キンテのフレーズを流したのはその直後だ。ラスコの"Jahova"にチャック・モリスが歌う、"BASS LINE ADDICT"。続くRUMIのアンサーソング"BAD BWOY ADDICT"と、さすが、UK勢にも引けをとらないふたりのコンビネーションがフロアをぶちかました。今回のフェスで誰が一番のアクトだったかなんてことは、到底決められないけども、個人的にBASSを浴びる、いや、BASSをくらったのはNEO TOKYO BASSのときだ。腹にかなり直撃で受けてしまい、なんというかお腹のなかで内臓が揺れているのだ。いや、いま思い返せばそれが本当だったかはわからない。しかし、記憶していることは、体のなかが、なかごと、ようするに全身震えていたのだ。音が凶器にも感じた瞬間だった。ずっとフロアで聴いていたから低音には慣れているはずなのに、NEO TOKYO BASSがエグる、BASSの塊に完全にKOされてしまった。
 メインフロアを出た後、グラス・ルームでは、KEN2D-SPECIALが"EL CONDOR PASA"を演奏していた。どうやらラスト・チューンだったらしく、もっと見たかったが、そこで久しぶりの友だちと会い、話をしながらINSIDEMAN aka Qのかけるディープなトラックに癒された。少し外で休憩した後はクタクタだったのもあり、グローカル・エリアの帽子屋チロリンにて少し談笑したりした。すぐ隣にあるグローカル・エリアで見た1TA-RAWから大石始への流れはトロピカル・ベース~ムーンバートン~クンビア~民謡と、自然に流れるダイナミクスへと昇華され、僕が見たグローカル・エリアでは一番のパーティ・ショットだった。そして最後に見たのは、OBRIGARRD(オブリガード)だ。ハウスのビートから徐々にブレイクビーツ、クンビアへとビートダウンしてく"Largebeats"~"Ground Cumbia"の流れは素晴らしく、個人的にエンディング・テーマを聴いているような、寂しく、狂おしい瞬間だった。

 僕の〈Outlook Festival 2012 Japan〉Launch Partyは、こうして幕を閉じた。
 いまになって思い返してみても、なんて素晴らしく、楽しい体験だったのだ。体験したすべての人たちが、それぞれの形で、記憶に残る2日間になったと思う。そして日本のベース・ミュージックにとっても、キーポイントとなるような歴史的な2日間だったのではないか。
 出演していた あるアーティストに「今回出演できて、本当に良かった。もし、出演できていなかったら、自分がいままでベース・ミュージックを頑張ってきたことはなんだったんだろう? と、思っていたかもしれない」という話を聞いた。もちろん、自分も「出たいか?」と問われたら、即答で「出たい」と答えるだろう。それほどまでに、魅力溢れるパーティだ。個人的に思う〈Outlook Festival 2012 Japan Launch Party〉が残した大きな功績は、アーティストやDJたちが「次も出演したい」と、または「次は必ず出演したい」と、いわば、「目標」を主宰たちが知らず知らずのうちに創ったことだろう。その目標を叶えるためにも、来年、再来年と、また日本で〈Outlook Festival〉が開催されることを、切実に願っている。

 Part2Styleとイーストオーディオ・サウンドシステム、会えた方々、関係者の方々、そして体験する機会を与えてくれた「ele-king」の松村正人さんとモブさんに最大級の感謝をここに記します。

追記
 そしてこの夏、Part2Style Soundが2011年に引き続き、本場はクロアチアで開催される〈Outlook Festival 2012〉に出演する。本場のベース・ミュージック フェスティヴァアルに2年連続で出演し、何万人といった海外のオーディエンスを熱狂させることを思うと、同じ日本人としてとても誇らしい気分にさせてくれる。
 きっと彼らはまた素晴らしい音楽体験を得た後、その景色を少しでも日本へと、形を変えて伝えようとしてくれるだろう。
 進化し続ける「ベース・ミュージック」。未来のベース・ミュージックはどんな音が鳴っているのだろうか。
 僕はその進化し続ける音楽を体感して追っていきたい。

ICHI-LOW (Caribbean Dandy) - ele-king

偶数月第二月曜@The ROOM、奇数月第四火曜@虎子食堂等々のレギュラーでCaribbean Dandyはプレイ中。その他個人活動はTwitterの@ICHILOWをチェックしてください。

8/30映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』公開記念配信DOMMUNEに出演します!

映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』公開に乗っかって
自分的ボブがらみソングベスト10


1
ETANA - LOVE MYSELF - CANNON

2
LUCIANO - JAH LIVE - CANNON

3
BOB MARLEY & THE WAILERS - COULD YOU BE LOVED 12mix - ISLAND

4
Luciano, Louie Culture, Terror Fabulous - IN THIS TOGETHER - Xterminator

5
BOB MARLEY & THE WAILERS - EXODUS - TUFF GONG

6
DAMIAN "JR.GONG" MARLEY - Welcome to Jamrock - GHETTO YOUTHS / Universal

7
Lauryn Hill & Bob Marley - Turn Your Lights Down Low - ISLAND

8
BOB MARLEY & THE WAILERS - NO WOMAN NO CRY - ISLAND

9
PETER TOSH - BUSH DOCTOR - Rolling Stones

10
Dean Fraser - Redemption Song - Joe Gibbs Music

Chart JET SET - ele-king

Shop Chart


1

Lindstrom - De Javu / No Release (Smalltown Supersound) /
Lindstromが今年の頭にリリースしたフルアルバム『Six Cups Of Rebel』からのリミックス・カット第2弾作品!アルバム中で最も強烈な存在感を放っていた"Deja Vu"をRub-N-Tugが更なる高みを望むアシッド・ディスコ・ダンサーへと昇華させた卒倒覚悟の衝撃作品!

2

J Rocc - Minimal Wave Edits Vol.2 (Stones Throw) /
Nyブルックリンのカルト・エレクトロ発掘レーベルMinimal Waveの音源をP.B.W.が監修した、例のコンピ・シリーズから派生したリミックス・シングル第2弾。

3

Onra - Deep In The Night (Fool's Gold) /
デジタルでの先行配信で既に盛り上がりを見せていたブツが、UsのFool's Goldより待望の12"リリース! 誰もが待ち望んでいた路線だけにファンならずとも要チェック!

4

Trinity (Sadat X, Ag & Dj Jab) - Sunshine (Fat Beats) /
これまに数々のクラシックを残してきたレジェンド=SadatxとA.G.、プロデューサー/DjのDj Jabの三つ巴ユニットがこのTrinity Project! とりあえずタイトル曲がヤバすぎます!

5

Teengirl Fantasy - Tracer (R&S) /
脱臼ベース鬼才Actressリミックスを搭載した前12"『Motif』で好調のベルジャン老舗R&Sへと電撃を果たしたレフトフィールド・ポップ・デュオがヘッズも驚愕の強力アルバムを完成です!!

6

Funkineven & Fatima - Phoneline (Eglo) /
『Follow You』も当店メガヒットしたスウェーデン出身のソウルSsw、Fatimaと、漆黒のドファンキー鬼才Funkinevenがガッツリ手を組みました! 極上のエレクトロ・フューチャー・ソウル!

7

Chris Coco - Freedom Street (Melodica) /
ロンドンのチルアウト職人Chris Cocoによる超絶品アルバム!!ゆったり柔らかいオーガニック・ダブ・サウンドに多彩なヴォーカルをフィーチャー。何もかもトロける特大傑作です!!

8

Adrian Sherwood - Survival & Resistance (On-U Sound) /
ソロとしては6年ぶりとなる3作目。ダブ~レゲエを下敷きに、ジャズやブラジル音楽、エレクトロニカの要素も取り込んだ極上のチルアウト・ベース・ミュージックが完成です!

9

Mala - Cuba Electronic (Brownswood) /
ダブステップのパイオニアDigital MystikzのMalaが、Gilles Petersonと共にキューバで制作した話題の新作『Mala In Cuba』からの先行12インチ・カット!!

10

Roland Tings - Milky Way (100% Silk) /
既に大変な反響を呼んでいる新鋭Roland TingsのデビューEp。100% Silkど真ん中のアーリー~アシッド・ハウス通過ベッドルーム・フロア・サウンド!!

 8月2日(木曜日)、〈ハウス・オブ・ヴァンズ〉にて、ワッシュド・アウト、チェアリフト、レモネード......というツボをついたラインアップがあった(https://www.brooklynvegan.com/archives/2012/08/washed_out_play_2.html)。
これに行こうかなと思っていた矢先に、〈カメオ・ギャラリー〉で、ジーノ・アンド・オークランダーがプレイすると聞いた。『エレキング』に載ってるローレル・ヘイローも出演するという。これは興味深いと「女性と電子音楽」がテーマのエレキング・ブック『vol.6』を持参した。その『vol.6』をジーノ・アンド・オークランダーのリズに渡すと、興味深そうに自分たちのインタヴューを読み(見て)、共演の日本人アーティストのナオ・キタフチに「なんて書いてあるの?」と質問攻めにする。 
 会場の〈カメオ・ギャラリー〉は、ラヴィンカップ・カフェの奥にあり、カフェと  会場を行ったり来たりできる。近くに、ラ・サラ(音楽会場)/カンティナ・ロイヤル(レストラン)もあるが、ショーを見にきた人も、食事しに来たお客さんもミックスで出演バンドたちがブースでハング・アウトしているのが見れる。

 ローレル・ヘイローは、ショーを通して「男前」な印象だった。長い髪を振り乱し、スニーカーに半パン 、Tシャツというラフな格好で、目の前にある機材をすらすら操る。ネオン色のライトが照らされ、ところどころでスニーカーのラインが蛍光ピンクに光り、妖艶な雰囲気をも醸し出していた。観客がステージ上の彼女ひとりをじーっと凝視している図は少しおかしな感じがしたが、みんな真剣に見入っていた。   
 それに比べてジーノ・アンド・オークランダーは、見せるライヴだった。インタヴューで「毎回ライヴは違う」とリズが言っていた通り、前回見たときと印象は違った。前回は、初めて見たので、すべてにおいて新しい感じだった。今回は基本の流れと、次に来る物が何となく想像できた。目新しさより、瞬間瞬間に音を作り上げていく、ふたりのやり取りが興味深かった。明確な合図はないのだが、ピンポイントで互いの音を受け止め、横に上に広げていくのは、長年築き上げたチームワークなのだろう。突然登場するリズのフランス語のヴォーカルも音に沿っていて、音楽というより見るアートピースであった。

Laurel Halo/Xeno & Oaklander@ Cameo 8/2/2012
photos by Daniel Catucci

 次の日金曜日は、「セレブレート・ブルックリン」という毎年夏にプロスペクト・パークで開かれるイヴェントにワイルド・フラッグ、ミッション・オブ・バーマ、テッド・レオを見に行った。会場には簡易シートがあり、その後ろや横の芝生にもシートを引いて、のびのびしている人たちがいる。
 今回のショーはフリー(任意で$3の寄付)で、野外だというのに、サウンドも悪くなく、電飾も凝り、プロフェッショナルなカメラが数箇所で動き、後ろからでも、スクリーンで見ることができた。オーディエンスの層がウィリアムスバーグと違って、マナーのある大人で、オールエイジだからか、子供も多かったし、隣に座ったお姉さんもとても爽やかに席を譲ってくれた。

 ミッション・オブ・バーマは、経歴が長いだけあり(80年代から活動している)、演奏がタイトで安心して見れた。オーディエンスも年配なのだろう、みんな椅子に大人しく座って見ていた。ワイルド・フラッグがはじまると、どこからともなく人が現れ、椅子のあいだを立っている人が占領した。係員が「スペースを開けて!」と注意していたが、すでにロックしはじめたオーディエンスは言うことを聞くはずがない。私の隣では、子供も踊っていた。

セレブレート・ブルックリン
Wild Flag at Prospect Park - photos by Amanda Hatfield@BrooklynVegan

 ワイルド・フラッグを見るのは3回目。出てきた瞬間から大きな声援で、彼女たちの人気が伺える。キャリーは黒のトップにタイト・パンツ。メアリーは赤のボーダートップに黒のタイトスカート、レベッカは白黒ボーダーシャツに黒スカート、ジャネットはフロントに光ものがついた黒のドレスと、すでにキャラ分けもできている。
 全員女の子で、ステージに華があるし、みんな歌える。コーラスにも熟練を感じる。日本でまだ人気が出ないのは、このど迫力のライヴを見ていないからだと思う。演奏している彼女たちからは目が離せないし、スーパー・バンドと呼ぶに相応しいオーラを放っていた。

Wild Flag @ Propect Park Band Shell 8/3/2012
photos by Amanda Hatfield@BrooklynVegan

 こういった野外ライヴは、プロスペクトパーク以外にも、ウィリアムスバーグパーク、マカレンパーク、サウスシーポート、ピア84などで毎日のようにやっている(今週のセレブレート・ブルックリンは、元ダムダム・ガールズ、ヴィヴィアン・ガールズなどのフランキー・ローズとリトル・ドラゴン)。ニューヨークでライヴを見たいなら夏はオススメの季節だ。フラッと遊びに行くといろんなミュージシャンにも出会えるし、現実逃避もできる。

Bob Marley - ele-king

 今週末から東京周辺をボブが駆けめぐる(地方の方は8月30日のdommueをチェック)。9月1日から公開されるボブ・マーリーのドキュメンタリー映画、実に2時間を超える大作『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』を記念してのボブ月間のはじまりである。ちなみに監督は、パレスチナ武装組織によるミュンヘン・オリンピック時の「黒い九月」事件を扱った映画『ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実』を撮ったグラスゴー出身のケヴィン・マクドナルド。ある意味では打って付けと言えよう。
 1981年5月、ガンのためにこの世を去ったボブ・マーリーは、アフリカ大陸をふくめると世界でもっとも聴かれている音楽家だと言われている。彼の反植民地主義を反映した力強いメッセージ・ソングから美しいラヴァーズ・ロックまで、日本全国には数多くのボブからの影響がいまも存在しているので、これを機にみんなで歌いましょう。おのおのの意味を込めて、せーの、「ウィ・ドン・ニィィィィ・ノー・モー・トラボー」

■8/19(日)
『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』公開記念PARTY
Bob Marley songs Day @海の家OASIS
"ボブを歌ってジャマイカに行こう!"
応募締切8/9。メールまたはオアシスカウンターで。
ボブ・マーリー・ソングス・デーは1994年、OASISではじまり、5月のONELOVE JAMAICAFESTIVALの主要企画としても親しまれ、引き継がれている人気イベント。予選通過した一般応募者が、オアシスバンドをバックにボブ・マーリーを歌い、優勝者にはジャマイカ行きのチケットが授与されます。
場所:海の家OASIS 神奈川県三浦郡葉山町森戸海岸
TEL :049-876-3812(期間中のみ)
時間:14:00〜18:00
料金:Music Charge ¥1.000
guiest:南條倖司 & CHAN MIKA
OASIS https://www.oasis-jahnodebeach.jp/

■8/30(木)
@「DOMMUNE」
著名人らが語るボブ・マーリーとLIVE
場所:DOMMUNE(渋谷区東4-6-5 サンライズビルB1F)
時間:19:00〜
進行:Ackky、DJ Hakka-K
GUEST:工藤Big"H"晴康、ランキンタクシー、ICHI-LOW(Caribbean Dandy)and more...
DOMMUNE https://www.dommune.com/

■8/31(金)
「BOB MARLEY/ ROOTS OF LEGEND release party」
"レゲエ"という一つの音楽ジャンルを世界に広めた伝説のカリスマ、ボブ・マーリー。彼の波乱に満ちた人生、その"素顔"を描いた映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』(ジャマイカ独立50周年記念作品 ボブ・マーリー財団初のオフィシャル・ドキュメンタリー)のリリース・パーティ。レゲエに限らず様々なジャンルからボブ・マーリーの生き様、メッセージに感銘を受けたアーティストが集い彼に因んだパフォーマンスを披露する。ONE LOVE !
場所:eleven(港区西麻布1-10-11 セソーラス西麻布B1/B2)
時間:22:00 open
料金:¥3,000
   ¥2,500 with flyer
   ¥1,000 early bird(〜23:30)
LIVE:Hiroshi Fujiwara +INO Hidefumi
   工藤Big"H"晴康
   NESTA BAND
   渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET/THE ZOOT16/猪苗代湖ズ) and more...
DJ:PART2STYLE SOUND(1TA-RAW/Ja-ge/TAKASHI-MEN)
  SLENGTENGS( 後藤トシユキ/長谷川ケンジ ) and more...
eleven https://go-to-eleven.com/

■9/1(土)
角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、吉祥寺バウスシアター他にて3週限定ロードショー開始!!!!

■9/8(土)
「BOB MARLEY SONG NIGHT」ーボブ・マーリーの歌をみんなで歌おう!ー
15周年を迎えた老舗レゲエ・クラブ"OPEN"のDJたちが、心を込めて選曲します。ボブはもちろん、ピーター・トッシュ、バニー・ウェイラー、リタ・マーリー、ジュディ・モワット......。他のアーティストによるカヴァー、すべて、かけます、かかります。リクエストもOKですよ。
場所:OPEN(新宿区新宿2-5-15-B1 TEL:03−3226−8855)
時間:21:00〜5:00
料金:¥1,000/1drink
出演:工藤Big"H"晴康、絵里奈、レゲリーマン、YU-KO and more!
   只今、出演者募集中です。カラオケ、ギターでの弾き語り、アカペラ、なんでもOK!
   当日の夜11時までに集合してください。
DJ:Mr.NAKAMURA、TAROU、KATSU、Luv Kiyoshi、工藤Big"H"晴康

■9/15(土)
REGGAEでいいじゃないか!〜THANK YOU BOB MARLY〜
場所:warp(武蔵野市吉祥寺本町1-30-10)
   bar Cheeky & warp
時間:warp open 24:00
   bar Cheeky open 21:00
料金:warp ¥2,000/door
   bar Cheeky door free
LIVE:SPECIAL BAND
selector:工藤 Big"H"晴康、山名 昇、AXEMAN、大石 始、RAS KOUSKE、SHlNIS、Massa Tora I &Ras Issy、8×8、Take Hi-Fi and more...
FOOD:world kitchen BAOBAB
warp https://warp.rinky.info/

■9/21(金)
NEW PORT Presents Luv&Dub Paradise at bar bonobo
"DISCO DEVIL & STREET PLAYER"
場所:bar bonobo(渋谷区神宮前2-23-4)
時間:open/start 22:00
料金:door \1,000
Special Guest:工藤Big"H"晴康 and more...
DJ's:DJ AGEISHI(AHB.pro)
   DJ NORI(Smoker/Gallary)
   DJ SHO(HOUSE NATION since1985)
Lounge:DJ Hakka-K(Luv&Dub Paradise)
JAHTOME(Ambient Dub Set)and more...
GJ:魔人
bar bonobo https://bonobo.jp/
Luv&Dub Paradise https://www.luvdub.jp/
NEW PORT https://newport1999.com/


『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』
9/1(土)より、角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、吉祥寺バウスシアター他にて3週限定ロードショー!

監督:ケヴィン・マクドナルド 『ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実』『ラストキング・オブ・スコットランド』
出演:ボブ・マーリー、リタ・マーリー、ジギー・マーリー、セデラ・マーリー
バニー・ウェイラー、ピーター・トッシュ、リー・ペリー、ジミー・クリフ、クリス・ブラックウェル
エグゼクティブ・プロデューサー:ジギー・マーリー、クリス・ブラックウェル
2012年/アメリカ、イギリス/144分/1998×1080 1:1.85(FLAT)/5.1ch
原題:MARLEY/字幕翻訳:石田泰子/字幕監修:藤川毅
後援:ジャマイカ大使館、ジャマイカ政府観光局
公式HP:https://www.bobmarley-movie.jp
公式facebook:https://www.facebook.com/bobmarley.rootsoflegend
公式twitter:https://twitter.com/Bmarleymovie


配給:角川映画
宣伝:ミラクルヴォイス
〒150-0033 渋谷区猿楽町26-13 グレイス代官山A棟301
TEL:03-6416-3681 FAX:03-6416-3699 E-MAIL:info@miraclevoice.co.jp

interview with Heiko Laux - ele-king

 ハイコ・ラウクスはジャーマン・テクノを体現するような人物だ。テクノ黎明期に多感な10代を過ごし、周囲の誰よりも早くシンセサイザーとドラムマシンで楽曲制作を開始。94年に地元ヘッセン州の小さな町でレーベル〈Kanzleramt〉を立ち上げた。それがスヴェン・フェイトの目に留まり、フランクフルトの伝説的クラブ、〈Omen〉のレジデントに抜擢される。99年にはテクノ・キャピタルとして勢いを増していたベルリンに拠点を移し、変わらぬ情熱と熟練のスキルで制作活動とDJ活動ともに精力的に続けている。

 数ヶ月前、宇川直宏氏に「今年もFREEDOMMUNE 0 <ZERO>やるから、いいテクノDJブッキングしてよ!」と言われて真っ先に思い浮かんだのが彼だった。実際に出演が決まり、〈eleven〉でのアフター・パーティと大阪〈Circus〉でもそのプレイを披露することになったハイコに、ベルリンで話を聞いた。テクノ・ファンならすでにお馴染みのベテラン・アーティストだが、3年ぶりの来日ツアーに先駆けて、これを読んでその素晴らしいプレイのイメージを膨らませて頂ければ幸いだ。


ドイツのテクノもデトロイトの影響を受けてはじまったようなものだからね。そのデトロイトの人たちはクラフトワークに影響を受けていたりするわけだけど。


初めまして。もうすぐFREEDOMMUNE 0 <ZERO>に出演のため来日されますが、私があなたをブッキングしたんですよ。その経緯から少し話させて下さい。実は、きっかけは今回共に出演するDVS1をEle-Kingのために昨年インタビューしたことだったんです。

ハイコ:へえ? どういうことかな?

彼が、90年代にあなたをミネアポリスに呼んだことがあって、その縁であなたに〈Tresor〉でDJする機会をもらったと言っていました。それが初めてベルリンでプレイした体験だったと。

ハイコ:ちょっと待って、いまもの凄い勢いで頭の中の記憶を呼び戻してるから... でもDVS1という人は知らないな。前は違う名前でやっていたのかな?

あれ? 覚えていないですか? それは意外ですね。ではその事実関係は日本で再会した際にDVS1本人と確認して頂きましょう。いずれにせよ、その話を聞いたのが昨年のちょうど同じ頃で、そのすぐ直後にあなたが〈Berghain〉に出演していたので、初めて聴きに行ったんです。

ハイコ:ああ(ニヤリ)、あの日あそこに居たのか。あれは......かなりいいセットだった。

めちゃくちゃ凄かったです(笑)。それで一発でヤラれてしまったんですよ。そのときに、「この人を日本にブッキングしよう」と思ったんです!

ハイコ:そうか、ありがとう。実はね、公にはしていないんだが、CLR Podcastに提供したミックスは、あの日のセットの中の2時間分なんだ。あそこのクラブは録音だの撮影だのに関してはとてもうるさいからね、ここだけの話だけど! うん、あれはかなりいいパーティだった。

2009年の〈WIRE〉に出演して以来、日本には行ってませんものね?

ハイコ:そうなんだよ、だからもの凄く楽しみにしている。そろそろ行きたいと思っていたところだよ。

それまでは、わりと定期的に来日してましたよね?

ハイコ:2000年か2001年くらいから、ほぼ1年おきには行っていたね。

これまでの来日体験はどうでしたか?

ハイコ:いい思い出しかないよ。日本は大好きだ。僕は食べるのが好きなんでね、食べたいものがあり過ぎて困るくらいだ(笑)。初めてスキヤキを食べたときなんて、発狂するかと思ったよ! ヤキニクとか、コウベビーフとか...... とにかく日本の食べ物のレヴェルの高さは凄い! もう6回くらい日本には行ってるけど、毎回驚きがあるね。

ちょっと音楽の話に戻しましょうか(笑)。実は私は90年代のテクノについてデトロイトのことはある程度知っているんですが、ドイツのことはほとんど知識がないので、ぜひその頃の話、そしてあなたがどのような体験をしてきたのか教えて頂きたいんです。

ハイコ:まあドイツのテクノもデトロイトの影響を受けてはじまったようなものだからね。そのデトロイトの人たちはクラフトワークに影響を受けていたりするわけだけど。

バイオグラフィーによれば、ファーリー・ジャックマスター・ファンクの「Love Can't Turn Around」に衝撃を受けて音楽をはじめたとのことですが?

ハイコ:そうだね、まああの曲は一例だけど、ああいうサウンド、いわゆるTR-909のドラムととてもシンプルなベースだけであれだけパンチのある曲は衝撃だった。ああいう音が部分的に使われている曲は聴いたことがあったけれど、シカゴハウスからはそれまで感じたことのない凝縮されたエネルギーを感じたんだ。「俺はこれをやりたい」と思ったんだよ。

それはラジオで聴いたんですか?

ハイコ:いや、クラブだよ。当時は兄がDJをしていたので、まわりの子たちよりも早くクラブに行くことが出来たし、家にそういうレコードがあった。シカゴ・ハウスやUKノアシッド・ハウスなどだね。それ以外はまだポップ・ミュージックしかなかったけれど、あの頃はポップ・ミュージックのシングルにもB面に風変わりなダブ・ミックスなどのインスト・ヴァージョンが入っていた。そういうシンプルなグルーヴの音楽を好んでいたね。特定のサウンドを上手く組み合わせれば、とても少ない音で凄い威力のある曲が出来上がるというところに魅了された。

かなり早い段階から自分の曲を制作することに興味を持っていたようですね?

ハイコ:ああ、もう10代半ばから。小さなバイクに乗れるようになった頃に、最初のキーボードを買いに行ったのを覚えているよ。14歳とかじゃないかな。

その歳ですでにクラブに行って、制作も始めていたんですね?

ハイコ:ああ、地元のバート・ナウハイムという小さな町から、兄の車に便乗してフランクフルトのクラブに出入りしていた。あの頃聴いたDJといえば、スナップ(Snap!)のプロデューサーのひとりだったミヒャエル・ミュンツィッヒなどだね。彼はいつも、ド派手な衣装で現れた。インディ・ジョーンズみたいな帽子を被ったり......毎週違う格好で(笑)。でも誰よりもクールな音楽をかけていた。彼はビートマッチ(曲のピッチを合わせる)だけでなく、ハーモニーをミックスしていたのが印象的だった。前の曲のブレイクのときに、例えばピアノのハーモニーが入っていたとしたら、次の曲のBPMの違うイントロのハーモニーと混ぜるんだ。そこから全然リズムが変わったり。それがとても新鮮だったね、「こういうことも出来るんだ」と思った。いまそういうやり方をする人は全然いない。でも僕は、いまでも選曲をするときにハーモニーで選んだりするよ。他に僕が体験したことと言えば、クラブ〈Omen〉の盛衰だけれど、それもバイオグラフィーに書いてあることだね。

当然、DJとしてスヴェン・フェイトからも大きな影響を受けていますよね?

ハイコ:完全に。スヴェンとの出会いは、僕のキャリアのターニング・ポイントになったから、特別な存在だね。あの頃は誰もが〈Omen〉でプレイすることを目標にしていた。だから僕も自分から「やらせて下さい」なんて野暮なことは聞かなかった。その代わり自分でレーベル(〈Kanzleramt〉)を始めて、曲を出すようになった。そしたら、96年にスヴェンがライヴをやらないかと誘ってくれたんだ。そしてライヴ出演したら、またやって欲しいと言われて、「実は僕はDJもやるんです」と言った。当時、金曜日がスヴェンの日で土曜日が外部のゲストDJがプレイしていた。その土曜日に何度かやったところ、「金曜日にお前の枠をやるから、好きな奴を呼んでパーティをやれ」と言われた。だからサージョンやニール・ランドストラムなどを呼んで一緒にやっていた。店が閉店するまで、それを続けたんだ。

ライヴもやっているんですね? それは知りませんでした。

ハイコ:実はそのときと、すぐ後に一度「POPKOMM」(かつては毎年開催されていたドイツ最大の音楽見本市)だけで、それ以来全然やっていないんだ。他のアーティストとコラボレーション、例えばテオ・シュルテと一緒にやっているオフショア・ファンクなどでは何度かやっているけど、ソロは全然やっていない。それも最後にやったのは2008年だ。その後はDJしかやっていないね。でも、今年のADE(Amsterdam Dance Event)で久々のライヴを披露する予定だよ。とても楽しみだけど、ライヴとなると途端にナーヴァスになる(笑)。

[[SplitPage]]

僕はたしかにラップトップを使っているけど、間違いなくDJをしているからね、そこが違うんだと思う。僕はちゃんと曲を「触っている」。それが鍵なんだよ。こういうシステムを使うと、オートシンクも簡単に出来るけど、それをやってしまうとDJの醍醐味がなくなってしまう。

少し意外なのは、あなたがハウスから音楽の道に入ったということですね。テクノ一辺倒なのかと思っていたので。

ハイコ:というか、あの頃はテクノというものが存在していなかったんだよ。デトロイト・テクノもシカゴハウスの影響で出て来たものだからね。テクノへと加速していったのは90年代初頭のことだよ。

そういう流れのなかで、あなた自身もよりテクノに傾倒していったと?

ハイコ:そういうこと。だからテクノ・ブームがやって来る少し前に、すでにこういう音楽に脚を踏み入れていたのは、幸運だったと思う。周りがテクノに目覚めた頃には、すでにシンセサイザーやドラムマシンに親しんでいたからね。だからテクノが確立される前から、テクノをどうやって作るのかは分かっていた。ハウスを速くして、テクノのエネルギーを足せば良かったんだ。

そう考えると、あなたはドイツにおける第一世代のテクノ・アーティストと言えますね。

ハイコ:やはり僕よりも、スヴェン・フェイトやジェフ・ミルズやDJヘルの方が僕よりも先にやっていたけれどね。僕の出身の小さな町では輸入盤のレコードを売る店なんてなかったから、それほどたくさん聴けたわけではなかったし。アンダーグラウンドな音楽は、大都市に行かないとアクセスできなかった。僕がレコードを買っていた隣町の店なんて、半分が自転車屋で、店の半分がレコード・コーナーになっていたからね(笑)。レコードを売るだけでは、まだ商売にならなかったからだ。〈Omen〉の前身だった〈Vogue〉というクラブで、スヴェンを聴いたり、90年代に入ってからジェフ・ミルズやジョーイ・ベルトラムのプレイを聴いた。
 それでデトロイト・テクノに開眼して、「そうか、こんなことも出来るのか!」と思ったね。特に、ジェフ・ミルズを見たときは度肝を抜かれた。プレイしたレコードを次々と背後に投げ捨てながらプレイしていた(笑)。傷がつくとか、そういうことを気にせずにバンバン投げ捨ててたね......そういうクラブが身近にあって、本物のアーティストを間近で見て体験することが出来たのはとても幸運だったと思う。ジェフがヨーロッパで初めてやったのは〈Omen〉だったんじゃないかな。当時は、フランクフルトがドイツのダンス・キャピタルだったからね。ベルリンの壁が崩壊してからは、フランクフルトとベルリンのライヴァル関係がしばらく続いた。もちろん、その後ベルリンが勝つことになるわけだけども...... 90年代前半はほぼ同等のレヴェルだった。その競争意識が、音楽にもプラスに働いたと思う。

なるほど。そういう環境の中で、あなたのDJスタイルも築き上げられていったわけですね。あなたも当時のジェフのようにターンテーブル三台を操ることで知られていましたよね?

ハイコ:そうだね。かつては、三台使ってレコード1枚あたり2分くらいだけ使ってどんどんレイヤーしていくスタイルをやっていたけど、いま(のレコードで)同じことをやっても上手くいかない。ただテクニックを見せびらかすだけみたいになって、せわしなくて聴いている方は楽しめないと思うんだ。お客さんも世代交代しているからね。でも三台使ってプレイするのは楽しいから、またやろうと思っている。新しい使い方を考えているところだ。一時期は、なるべく展開や要素を削ってどこまでできるか、というプレイに挑戦していたんだけど、それも退屈になってしまって。だって、二台だけだと、あいだの5分間くらいやることがなくて(笑)。
 いまはSeratoを使ってプレイしているけど、Seratoが面白いのはレコードの好きな部分を好きなようにループできるところ。この機能を使うと、レコードとはかなり違ったことが出来る。また、Seratoの場合、曲の途中で停止しても、また好きな瞬間から狂いなく再生することができるから、曲の抜き差しが正確に、より自由に出来るようになった。レコードだと、ミュートできても曲の尺は変えられないから終わるまでに何とかしなければいけないというプレッシャーがある。でも、Seratoなら、好きなだけブレイクをホールドして、好きなタイミングで曲を戻すことが出来る。Seratoのおかげで、アレンジメントの幅が広がったと思うよ。
 いまはCDJ三台と、それぞれに効果音などを入れたUSBスティックも使ってさらに自由な組み合わせが出来るようにしている。だから単なるDJというよりは、サンプラーを取り入れているようなプレイだね。「遊び」の幅が広がった。今はブースで暇を持て余すこともなくなったよ(笑)。またDJすることが楽しくなっている。一時期は楽しめなくなっていたのも事実なんだけど、今は自分でも楽しめる新しいプレイの仕方を確立しつつある。

私は個人的にヴァイナルDJを好むことが多く、とくにテクノやハウスに関してはラップトップDJに感心することは滅多にないんですが、あなたのプレイは別格だと思いました。レコードでやっているようなライヴ感というか、臨場感がありましたし、長い経験を感じさせる確かなスキルがわかりました。

ハイコ:わかるよ、僕も同じだから。僕はたしかにラップトップを使っているけど、間違いなくDJをしているからね、そこが違うんだと思う。僕はちゃんと曲を「触っている」。それが鍵なんだよ。こういうシステムを使うと、オートシンク(自動的にピッチを合わせる機能)も簡単に出来るけど、それをやってしまうとDJの醍醐味がなくなってしまう。自分の手で合わせるからこそ、そこにエネルギーが生まれるんだ。ソフトウェアでプログラムされてしまっていると、そのエネルギーがない。完璧にシンクされた曲を次々と並べていくなんて、簡単過ぎるし何の面白味もない。やっている方もつまらない。その場の思いつきで新しいことを試していくことが面白いんだからさ。僕はフォーマットではなく音楽を重視するから、何を使ってプレイしているかはこだわらない。音源がCDでもラップトップでも別にいいと思う。それを使って何をするか、が問題なんだよ。いまはラップトップを使うのが面白いから、しばらく使ってみるつもりだ。

先ほどフランクフルトとベルリンがライヴァル関係にあって、いまはベルリンがその競争に勝ってテクノ・キャピタルになっているという話が出ましたが、その両方を見て来たあなたはベルリンの現状をどう受け止めていますか? ここ数年でテクノはさらにリヴァイヴァルした印象がありますけど?

ハイコ:とくに何とも思わないな(笑)。自分が幸運だとは思うけれどね。ごく自然なことだと思う。街やそのシーンの勢いというのは移り変わりがあり、より活気があるところに人が集まって来るのは自然なこと。テクノのシーンに関わりたいなら、ベルリンにはそういう仕事がたくさんあるし、その上観光客も大勢やってくる。ここにいればいろんな人に会えるし、活動の場を作っていける。レッド・ホット・チリ・ペッパーズからジョージ・クリントンまで、みんなやって来るから観ることが出来る。生活費も安いしね、これほど条件が整っていて、ニッチなアーティストにまで機会が与えられている街は他にない。これはテクノに限ったことではないし、他のジャンルも、演劇やアートに関しても同じだ。さらにベルリンはとてもリラックスしていて競争がない。周りを蹴落とそうとするような人はいない。そしてとてもリベラルだね。僕は99年にベルリンに移って来たけど、一度も後悔したことはないよ!

 

【来日出演情報】
8/11 FREEDOMMUNE 0 <ZERO> @ 幕張メッセ
8/17 AFTER FREEDOMMUNE +1<PLUS ONE> @ 東京eleven
8/18 CIRCUS SHOW CASE @ 大阪Circus

【リリース情報】
Jam & Spoon - Follow Me (Heiko Laux SloDub)
https://www.beatport.com/release/follow-me!-remixes-2012/924547
発売中

Sterac - Thera 1.0 (Newly Assembled by Heiko Laux) of "The Secret Life on Machines Remixes" on 100% Pure vinyl/digi with Ricardo Villalobos, Joris Voorn, Vince Watson, 2000 and One, Joel Mull, ...
2012年8月発売予定

Rocco Caine - Grouch (Heiko Laux & Diego Hostettlers 29 Mix) (12"/digi Drumcode)
近日発売予定

Heiko Laux & Diego Hostettler - Jack Up Girl (12"/digi on Christian Smith's Tronic TR89)
近日発売予定

Heiko Laux - Re-Televised Remixed (12"/digi on Thema Records NYC)
original and remixes by Lucy, Donor/Truss
近日発売予定

Heiko Laux & Luke - Bleek (on Sinister, 4-tracker V/A with P?r Grindvik, Jonas Kopp & Dustin Zahn)
2012年秋発売予定

Mark Broom & Mihalis Safras - Barabas (Heiko Laux Remix)
other remixers: Slam
近日発売予定

 7/31火曜日の朝、突然やってきた知らせ。「オリヴィア・トレマ・コントロールのビル・ドスが逝去」
 アセンスのローカル新聞フラッグ・ポールのゲイブ・ヴォディッカがいち早くツイートすると、『ブルックリン・ヴィーガン』も「これが嘘であって欲しい」と祈りながら、アップデートをはじめた。
 そのツイートから数時間後、オリヴィア・トレマ・コントロールのオフィシャル・サイトが、「We are devastated by the loss of our brother Bill doss. We are at a loss for words.(僕達の兄弟分、ビル・ドスの逝去に打ちひしがれ、言葉を失っています)」とコメントを載せる。チャンクレットなど、他のサイトでも、どんどんアップデートがはじまり、真実として受け止めるしかなかった。

 私もその日は、何も手に付かなかったが、彼との思い出を少しでもシェア出来たらとここに書いて見る。

 オリヴィア・トレマ・コントロールを初めて知ったのは、私がLAにいた1996年のことだった。その頃、アップルズ・イン・ステレオの『ファン・トリック・ノイズメイカー』が日本のトラットリアからリリースされ、私も大好きで聴いていたので、彼らのショーに行った。そのときの対バンがミュージック・テープスとオリヴィア・トレマ・コントロールで、アップルズ・イン・ステレオを見に行ったにも関わらず、私はこのふたつの対バンにいままでにない感動を覚えた。これがきっかけで、日本ではまだ知られていない、こういった素敵なアメリカのインディ・バンドを紹介していこうとレコード・レーベルをはじめた。彼らとの出会いで、自分の進んで行く道を確認したのだ。

 彼らとたちまち友だちになった私は、彼らの住むアセンスに滞在することになる。いまでも1年にいちどは里帰りしている。

 私が住んでいたのは、ビルのバンド・メイトで、エレファント6の中心人物のウィルの家だった。そこでは毎日のようにオリヴィア・トレマ・コントロールの練習がおこなわれていた。ビルはリーダー的役割で、まわりに気を使い、心優しく、まだ英語もろくにしゃべれなかった私の面倒を見てくれた。オリヴィアにインタビューするときは彼が答えてくれた。初来日したときに、みんなで渋谷を散策したのが、つい最近のように思い出される。

 彼らは2010年再結成し、先月6月のノースサイド・フェスティヴァルでNYでプレイした。そのとき久々にビルと会って、これからのオリヴィアの活動などについて話した。「ヨーロッパは、すでに決まっているから、次は日本にも行きたいね。この(ノースサイド)次は、シカゴのピッチフォーク・フェスだから、来るなら言ってね。ゲストにいれるから」とウィンクされたのが、最後の会話になった。
 エレファント6に関する記事をまとめようと、彼用のインタヴューもすでに送り、会ったときに「インタヴュー返すの遅れてゴメン! ツアーから帰ったらすぐに返すよ」と言われたのに、返って来ないインタヴューになった。

 彼のお葬式は8/4(土曜日)アセンスの音楽会場である40ワットでおこなわれる。オリヴィアも良くプレイした馴染み深い場所だ。彼の家族は、地元の音楽家支援サイトに寄付ページ(nuci's place)を設けている。彼にお花、愛を贈りたい人は、こちらへ。 https://www.nuci.org/help/donate-online/

 ビルは、クリアな声でハーモニーを大事にする、素晴らしいシンガーだった。暫くはオリヴィア・トレマばかりを聴いてしまうんだろう。
https://m.pitchfork.com/features/afterword/8908-bill-doss/
(写真の下の文章の最後の"here"をクリックすると、ビルの素晴らしい作品集が聞ける)

 最初にアッタチした写真(01/02)は、1996年に彼らを始めてLAで見た時に撮った物。写真ケースに入れたら、くっついて離れずNYに移っても、ずっと私の部屋に飾られている。その他、アセンス時代の思い入れのある写真。書きかけのUS POP LIFE本を仕上げなければ。

 レスト・イン・ピース、ビル
 安らかにお眠り下さい。

 Rest in peace Bill Doss
 8/1/2012 Yoko Sawai

FREE DOMMUNE - ele-king

 みなさんご存じのように、来週末の8月11日には幕張メッセでFREEDOMMUNE0<ZERO> のリターン・マッチが開かれます。何でしょうか、宇川直宏の根性というか、精神力というか、ガッツというか、とにかく尋常なパワーではないことは事実ですよね。人並みはずれたエネルギーには、本当に敬服します。まったく恐ろしい男です。

 屋内でやるので、天候によって中止になることもないでしょう。昨年のことが10年前のことのようにい思われますが、あのとき泣いた人も安心して行くことができます。良かった、良かった。
 やっぱりどんなフェスティヴァルでも「第一回目」というのは特別な楽しみがあり、特別な緊張感があるものです。
 さてさて、どんなことになるのやら......

 開演前に「FREE ele-king TV Vol.21」をやることになりました。早い時間ですが、冷蔵庫で冷やしたビールをぐいっとやりながら、笑ってやってください。よろしくお願いします。それでは11日にお会いしましょう。

●17:00-18:00「FREE ele-king TV Vol.21」
"FREEDOMMUNE0<ZERO> A NEW ZERO開会宣言"
出演:野田努(「ele-king」編集長)、三田格(音楽評論家)、
松村正人(元STUDIO VOICE編集長)、磯部涼(音楽評論家) 、宇川直宏(DOMMUNE主宰)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159