「E E」と一致するもの

- ele-king

OGRE YOU ASSHOLE - ele-king

 いま現在、私を完璧にトランスさせることのできる日本のバンドは、オウガ・ユー・アスホールであります。『homely』以降の彼らのライヴは、「ドリーミー」なんて生やさしいものではない、まさしく「サイケデリック」そのもの。「ロープ」という曲は、ヴァージョンによっては「ドープ」と呼ばれているけれど、私はライヴで演奏されるこの曲を世界中の人に推薦したいと思う。ライヴ会場で聴かなければ、この曲の真実は伝わらないし、そして、20分にもおよびであろうこの演奏を聴いたら、その日たとえどんなに嫌なことがあったとしても、1日のうちに2回以上も電車のダイヤルが乱れても、満天の星のなかをドライヴできる。初めての人は、日本にこんなバンドがいたことに驚きを覚えるでしょう。日本にもこんな、強いてたとえるなら、初期ピンク・フロイドとカンが混ざったようなバンドがいるのです。最新号の紙ele-kingの表紙も飾っています。
 というわけで、12月28日恵比寿リキッドルーム。今年最後のフリークアウトを楽しみましょう!


Eccy - ele-king

ども、Eccyです。今年もあっという間に終わってしまいましたねー。
結局リリース出来ませんでした(泣)。が、しかし! 何か最近気合いも入ってきたしモチベーションも上がってきたので、来年はリリースすると思われます! いやします! しよう! する! 出来るかな? いやしなきゃ! するでごわす!するなっしー! するめいか! するーざふぁいやー! ちゃかかーん! ということで、2013年のベストアルバムトップ10を書きました。載せたいのもっといっぱいあったけど悩みに悩んで絞りました。ではわたくし、2014年はもっと頑張ります! みなさんよいお年を!(紅白あまちゃん特集楽しみっすね)

https://twitter.com/_Eccy_
https://soundcloud.com/eccyprodukt
https://yusukekiyono.tumblr.com/

10 Best Albums Of 2013


1
Oneohtrix Point Never - R Plus Seven (Warp)

2
Jon Hopkins - Immunity (Domino)

3
Bonobo - The North Borders (Ninja Tune)

4
Danny Brown - Old (Fool's Gold)

5
Atoms For Peace - AMOK (XL)

6
相対性理論 - TOWN AGE (みらいレコーズ)

7
Sky Ferreira - Night Time, My Time (Capitol)

8
Zomby - With Love (4AD)

9
Pusha T - My Name Is My Name (GOOD)

10
Quasimoto - Yessir, Whatever (Stones Throw)

Cate Le Bon - ele-king

 「ルー・リードが死に場所として選んだところはやはり都市であったと誤解をさせて欲しかった」という三田格さんの文章を読みながら、わたしが思い出していたのはニコのことである。人間、一定の年齢になると死に方を夢想する瞬間もある。わたしにとっての理想形はニコだ。
 イビサ島で自転車でこけて死んだ。なんて、ごっつくていい。過去16年間、夏になると行っているのでイビサをチャリキで疾走する感じはよくわかる。あそこでこけて頭を打って死ぬなんて、実に清々しい。その最期だけで、ニコはわたしの永遠のヒロインである。

             ************

 ウェールズのニコ。と呼ばれるケイト・ル・ボンについては、例えば『ピッチフォーク』なんかは、両者の欠伸しながら歌っているような歌唱法の相似について、「生まれながらにして両者ともそういう歌い方をする」と書いている。それが皮肉にしろ何にしろ、ケイト・ル・ボンはニコに影響を受けている。んでそれは、全然悪いことではない。
 アデル→ダスティ・スプリングフィールド、リリー・アレン→ザ・スリッツのリリックス、というように、現代の女子アーティストは過去の女性アイコンのペルソナを借りなければアイデンティティ的に成立が難しいようなので、ニコまで出て来たというのは喜ばしい限りだ。
 が、その彼女がロスに移住したというので、整形&増乳でもしてハリウッド系に変身するのかと不安になったが、彼女が彼の地で製作したのは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドに黙って言うことを聞かせているニコ。みたいなアルバムだった。フリーキー・フォークとか、サイケ・フォークとかいうカテゴリーに納められがちな彼女の新譜は、70年代もここまで行けば神々しい。トム・ヴァーラインの息遣いも聞こえる。後半のより実験的な曲群を聴いていると、ヴェルヴェッツのジョン・ケイルも思い出すのだが、そういえば彼もウェールズ出身のロス在住者だ。ひょっとすると、彼らはロスで会ったりしたのかしら。というようなことも夢想させるアルバムだ。
 上記のキー・ワード(アデルとリリーは除く)で引っかかるものがある人は聴いてみて損はない。冬の暗い午後には(UKはもう4時には暗闇だ)じわじわ来るアルバムである。

             *********

 すっかり芸能界の重鎮&ご意見番になっているという点では、UKの和田アキコになった感のあるノエル・ギャラガーがこんなことを言っていた。
 「レディー・ガガとかマイリー・サイラスとか、音楽以外のパフォーマンスで物議を醸すことがフェミニズムだと思っている女たちは、実は音楽界での女性アーティストの発展を5年ぐらい後退させている。本当に良い曲さえ作っていれば、そんな小細工は不要だろう。Sisters are not doing it for themselves.」

 リリー・アレンは、ビッチという言葉について「他人の反応など気にせず、言いたいことを言う女」と定義している。が、アタシはこんなことまで言えるのよ。平気で炎上だってさせちゃうの。みたいな過激ちゃんたちは、実は他人の目が気になって仕方ないからこそ「もっと私を見て」コンペに参入するのである。
 なんというか、ビッチ。はもういい。
 過激ちゃんや奇抜ちゃんたちの妙な切羽詰り感というか、不安定なきーきー声は聴きたくない。メンヘル上のプロブレムとフェミニズムというのはまた別の問題である。
 女であるということは、そんなに七転八倒するような大変なことではない。
 女であるということに自分の存在価値や存在意義を見出そうとさえしなければ。

 保育園の教室でわざと本棚の角に頭ぶつけて劇的に号泣する子や、ワンピースの裾をまくって裸体を晒しながらじっとり保育士を見ている子のような「私を叱って。そして抱いて」オーラを全開にしている女児が「ビッチ」タイプだとすれば、ケイト・ル・ボンは、いつも教室の片隅で黙々とお絵かきしているタイプだ。普段は何処にいるかわからないが、「え、これ、あなたが描いたの?」と思わず声をあげたくなるような絵を描いている女児である。こういう子が毎年クラスにひとりかふたりはいる。
 彼女なんかはマグカップまで焼いているそうで、焼いているうちにいつの間にかアルバム・タイトルの『マグ・ミュージアム』と呼べるほどの数になったというから、本当に物を拵えるのが好きなんだろう。
 男も女もない純然たる創造欲を感じさせる女子の音楽が、今年はやけに聴きたくなった。彼女たちは「女である」というどうでもいいようなファクトに拘泥して病んで気張って行き詰まっておらず、何よりもまず、創造することの楽しさを感じさせてくれるからだ。
 ケイト・ル・ボンとヴァレリー・ジューンとサヴェージズがわたしの2013年トップ・アルバム10に入っているのはそのせいだ。彼女らには自転車でこけて死にそうな気配がある。

Compilation Albums - ele-king

 コンピレイションを3~4枚。

Various Artists - New German Ethnic Music  Karaoke Kalk

Amazon iTunes

 エレクトロ・アコースティックならぬエレクトロニカ・アコースティック系の〈カラオケ・カルク〉が企画したのはドイツのフォークロアをマーガレット・ダイガスやウールリッヒ・シュナウスをはじめとするクラブ系のプロデューサーたちが電子化するというもので、1970年代にヘンリー・フリントがアメリカでブルースやカントリーをエレクトロニック化した「ニュー・アメリカン・エスニック・ミュージック」に習ったものだという。このところドイツでは過去の音楽に関心が集まっているらしく、移民たちがドイツに持ち込んだ音楽を浮き上がらせるためにリミックスという手法を選択したのだとか。なるほどトーマス・マフムードは北アフリカ起源のグナワをダブに変換し、グトルン・グットはクロアチアの無伴奏男性合唱、クラッパに重いベースをかませて高い声を引き立てている。マーク・エルネストゥスの興味はモザンビークに移ったようですw。

 元の曲がわからないのでジャーマン・ネイティヴのようには楽しめないものの、基調となっている重苦しさはブルガリアン・ヴォイスを思わせるものが多く、オープニングのムラ・テペリはまったくそのまんま。言われてみれば明らかにトルコ系の名前だったカーン(エア・リキッド)はかつての出稼ぎ先だったギリシア音楽をゴシック風にアレンジしてみせる(古代を中世化させたわけですね)。奇しくも2013年はトルコ人9人を殺害したネオ・ナチで唯一自殺しなかった女性、ベアテ・チェーペの裁判がドイツ中の注目を集め続けた年だけにトルコ系のプロデューサーが健在だったというだけで嬉しい知らせといえる。ワールプール・プロダクションズのエリック・D・クラークがキューバ系だったということも初めて知った。
 グルジアや南米からのエントリーもあって、2013年には相変わらずモンド気分な『ザ・ヴィジター』をリリースしたマティアス・アグアーヨと第2のジンバブエと化しているベネズエラのニオベはそれぞれヴェトナム・カン・ホーというフォーク・ソングとスペインのルネッサンス合唱を題材にレジデンツ風ラウンジ・ミュージックに仕上げている(そう、個人的には南米組、圧勝です)。つーか、トラック・リストは面倒くさいので以下を参照。
https://www.inpartmaint.com/shop/v-a-new-german-ethnic-music-immigrants-songs-from-germany-electronically-reworked/

HouseIDM

Various Artists - Scope Samurai Horo

Amazon iTunes

 なんだか補完しあっているようだけど、同じドイツから〈サムライ・ホロ〉がコンパイルした『スコープ』は期せずして、フォークロアとはなんの関係もないのに、似たような重厚さにに支配され、フェリックス・Kのヒドゥン・ハワイと同じく、ベーシック・チャンネルを通過したストイックかつスタイリッシュなミニマル・ドラムンベースを聴かせる。イギリスからASCや最新シングルがまさかの〈トライ・アングル〉に移ったニュージーランドのフィスなど、集められたプロデューサーはドイツだけとは限らず、このところ頭角を現しつつあるサムKDCや2011年に『テスト・ドリーム』が話題となったコンシークエンスの名前もあるものの、まるでひとりの作品を通して聴いているような統一感があって、その意志の堅さには恐れ入る。こういった音楽をマイナー根性ではなくファッショナブルな感覚で聴いていただけたら。



ExperimentalDrum'n'BassIDM

Various Artists - We Make Colourful Music because We Dance in The Dark
Greco-Roman

Amazon iTunes

 大量に吐き出される音楽にはやはり無意識が強く反映され、日本のそれには奇妙な躁状態が表出しているように(なんで?)、ヨーロッパはいまだ深い闇に沈んでいるようである。2017年までにEUからの離脱を国民投票で決めるだなんだと騒がしくなってきたイギリスは、しかし、まったく雰囲気が違っていて、ディスクロージャーのシングルをリリースしてきたグレコ・ローマンがコンパイルした『ウイ・メイク・カラフル・ミュージック・ビコ-ズ・ウイ・ダンス・イン・サ・ダーク(僕たちは暗闇で踊るのだから、カラフルな音楽をつくるのさ)』は(思わずタイトルで買ってしまったけれど)、たどたどしさをなんとも思っていない勢いと若さに満ち満ちている。ディスクロージャーとデーモン・アルバーンのDRCミュージックに参加していたトータリー・イノーマス・イクスティンクト・ダイナソー以外はまったく知らないメンツだったけれど、バイオとテルザがとても耳を引き、調べてみたら前者はヴァンパイア・ウィークエンドのクリス・バイオで、それこそヴァンパイア・ウィークエンドのトラックを使い回したハウス・ヴァージョン。ハーバートがデビューさせたマイカチューのプロデュースによるテルザはゼロの飯島さんもお気に入りのようで、「踊ってんじゃなくて戦ってんのよ/輝いてんじゃなくて燃えてんのよ/触ってんじゃなくて感じてんのよ」という歌詞を気だるげに歌っています。


Various Artists - Young Turks 2013 Young Turks

Amazon iTunes

 この辺りのシーンの火付けは野田努が言うようにジ・XXなんだろう。同じくレーベル・コンピエイションとなる『ヤング・タークス2013』はジ・XX「リコンシダー」にサウンド・パトロールで紹介したFKAトゥィッグス「ウォーター・ミー」とまー、レア・シングルばりばりで、コアレスのニュー・プロジェクト、ショート・ストーリーズ「オン・ザ・ウェイ」まで入ってますよ。いやー、こんなに勢いがあったら、そらー、EUも飛び出しちゃうかも知れませんねー。とはいえ、ギリシャを見放さなかったことで、EUには現在、周辺から弱小国が相次いで加入を決め、入れてもらえないのはトルコだけという感じになっています。〈ヤング・タークス〉というのは若いトルコ人という意味だけどね。

ExperimentalHouseAmbientElectro

ele-king vol.12  - ele-king

〈巻頭インタヴュー〉オウガ・ユー・アスホール
〈第二特集〉ブリストル・ニュー・スクール
〈第三特集〉ポスト・ジャズ菊地成孔            他
※電子書籍版へのアクセスキーがついています

 もういい歳こいてることは重々承知、僕は未だに自分の放浪癖を更正するすべを知らない。この原稿を書いている現在も、何の因果かヨーロッパを放浪している。これは、まあ、そのドリフト録とでも言うべきものだ。そもそもはふとした思いつきでLAに向かったことから始まるこの生活だが、今回の最終目的地もいちおうのところLA。僕の放浪はLAに始まりLAに終わるのだ。いや、終わればいいんだけれども。

 といいつつ、この記録を書きはじめた10月には、ローブドア(Robedoor)のヨーロッパ・ツアーのコラボレーターとして暗雲立ち籠める最悪の欧州をドリフトしていた。しかし彼らとの出会いは僕が初めてLAに長期滞在していた2009年に遡る。当時はLAの〈エコー・パーク〉をヤサにしていて、ローカルたちが集うギャラリーや人ん家で夜な夜な催されるアホなパーティーを通じて親交を深め云々、そこからずっとつながる縁である。

■Oct14th
 ローブドアのブリット(〈NNF〉主宰)とアレックスにベルリンにて久々の再会を果たし、昨年LAでの対バン以来初めて観る彼等のデュオ編成でのパフォーマンスに度肝を抜かしたのは言わずもがな、今回のツアーの前半戦をサポートしたスウェーデンからのナイスガイ、マーティンによる初めて見るサンド・サークルズ(Sand Circles)のライヴ・セットは素晴らしいものであった。〈NNF〉からの過去のテープはどちらもヴァイナルをプレスするにじゅうぶんなクオリティであるが、それを納得させるセットだ。
ショウ終了後、再会の感激冷めやらぬ我々はベルリンの寒さをものともせず、さらに寝床を提供してくれたお姉チャンの家が5階で勿論エレベーターが無いため全力で機材を持ち込むことによって全員熱気すら放ち、ヨーロッパの一般的ボロ・アパートの何たるかを忘れシャワーの順番を譲り、みなを起こさぬよう悲鳴を抑えながら3日ぶりのシャワーを冷水で浴びていた。

■Oct15th
 翌朝ムニャムニャのままプラハに向け出発。国境を越え、チェコに入国した途端に濃霧に包まれるハイウェイ。ようこそ暗黒のチェコへと言わんばかりの歓迎にテンションも上がる。幻想的なプラハの町並みに感銘を受けながらダンジョン感全開のハコでのショウ。この日のローブドアのセットは素晴らしかった。勿論この土地で得た僕の心象風景とローブドアのサウンドが相乗効果をもたらしたのであろうが。僕が嗜好するような音楽シーンがこの土地に根づいているのかはわからないが少なくともこの日集まった多くのオーディエンスが熱烈にソレを求めているのがビンビンに伝わってきた。この日の主催者たちが運営する〈アムディスクス(AMDISCS)〉等のDIYレーベルが放つ多くのリリースからもそれをうかがい知ることができる。


そしてこの画のように野暮ったい。しかし野暮なオーディンスこそがリアル。ノー・ハイプ・シット。見よ前列のお姉ちゃんを。

寝床への道中、マシンガントークで町のあっちこっちの歴史を熱弁するこの日のプロモーターの一人(名前失念)は最高だった。僕らのために用意してくれた寝袋のひとつがテントだったのは意味わからんかったけども。

■Oct 16th
全員が早起きした。宿先の正面にそびえ立つ重そうな教会前(Church of the most sacred heart of our load)で朝市が催されており、僕らは大量の新鮮な果物とチーズを購入し……って、そう、チーズ。ローブドアのアレックスは食品輸入関係の仕事をこなしているためか、とにかくチーズに目がなく、僕らはツアー全日程を通してあらゆるチーズをつねに喰っていたため、車内はつねにチーズ臭で充満していたであろう。
この日のショウはウィーンのフラック(Fluc)で移動時間に余裕のある僕らは満場一致でクトナー・ホラのセドレツ納骨堂に寄ることにした。メタル系バンドのジャケで写真が濫用されているアレである。ノリでホトケをLEGOのごとく積み上げてみました的な実物に感銘を受けながら僕らは今回初めての観光らしい観光に充足した。

 フラックで僕らを迎え入れてくれた〈ヴァーチャル・インスティテュート・ヴィエナ(VIV)〉を主催するステファンとシーラは間違いなくウィーンでもっともイケてるカップルだ。シーラは最高の手料理をふるまってくれ、サウンドチェック後に僕らはそれを堪能し、ステファンは自身のNHKヴァイヴなプロジェクトJung An Tagenでナイスなオープニング・アクトを務めてくれた。ハコのサウンドシステムもさることながら、この日はDJ陣が素晴らしかった。SKVLKRVSHと名乗るアンチャンは僕の今年度のヘヴィロテをほぼ網羅してくれたし(D.R.I.からピート・スワンソンのミックスとか最高過ぎる)、そして何故かジェノバ・ジャクジーが80'sゴス全開のDJを……。
どうやらヨーロッパ・ツアー中であったアリエル・ピンクス・ホーンテッド・グラフィティに参加していた彼女は、最高潮に達したメンバー間の不和によりツアー半ばにして脱退し、強引にソロ・ツアーを慣行していたらしい。アナーキー過ぎる……。


酔いどれアレックスとジャクジー。何でジャクジーなのよってツッコんだら超真顔で本名だからと仰っておりましたが……

■Oct 17th
 お次はチューリッヒへ、ちなみに僕は今回のドリフトに際してビザも帰りの航空券も取得しておらず、EU加盟国でないスイスに入国するのを危惧していたが、問題なく国境を通過できた。高架下とスケート・パークに隣接するハコ〈Klubi〉は、どことなく新大久保〈アースドム〉を彷彿させる構造と音作りで、爆音での演奏を熟知しているようだ。プロモーションからアテンド、サウンドメイキングまで手掛けてくれたロジャーはソルト(Soult)としてホーラ・ハニーズ(Hola Honeys)のプロモーション・ツアーでNHKと共に来日もしている。ソリッドなDJを担当していたお姉ちゃんが用意してくれた豪勢な食事は、あまりのうまさに全員が無言でガッついていた。
満腹で弛緩しながらも、このあまりにも勿体ない待遇の何たるかを、僕にとって初めてのヨーロッパ・ツアーであるがゆえのカルチャー・ショックなのか、それとももしかしたらヨーロッパにおけるミュージシャンシップはゲストを快く迎え入れることがひとつのステイタスなのかしらんなどなど夢想しながら眠りについた。

無駄にドリフトは続く……

ackky (journal) - ele-king

7incシングル"Painting in November" 絶賛発売中!
radloop.com
ackkyjournal.cx

最近観た映画で面白かった作品(DVDレンタルと成さん(bonobo)コレクション)


1
LOVE STREAMS - JOHN CASSAVETES

2
THE MASTER - Paul Thomas Anderson

3
Spring Breakers - Harmony Korine

4
ペトラ・フォン・カントの苦い涙 - Riner Werner Fassbinder

5
アメリカの友人 - Wim Wenders

6
DRIVE - Nicolas Winding Refn

7
十階のモスキート - 崔 洋一

8
裏切りのサーカス - Tomas Alfredson

9
人生はビギナーズ - Mike Mills

10
世界にひとつのプレイブック - David O Russell

Ultramarine - ele-king

 ウルトラマリンなんていったい誰が覚えているんだっていうの。誰も覚えていないよ。これだけ消費が速い世界で15年ぶりに新作を出したからといって、誰も騒ぐまい。誰もね。あの弱っちい清水エスパルスが試合で信じがたい逆転勝利を果たした次の週だったから、気分が良かったのだ。レコード店の新譜コーナーに面出しされている「Ultramarine」の文字に驚き、何も考えずに買って、そしてそのままだった……、それから後味の悪いリーグ最終戦の日に、家で聴かれないまま放置されているこのレコードに気がついて……で、わりと頻繁に聴いている。
 実は、僕はいまでも覚えている。1993年6月26日(27日だっけ?)、昼間の1時かそのぐらいだ。グラストンベリーの、心地良い初夏の風を浴びながら、NMEステージの芝生に寝っ転がって、ウルトラマリンの演奏を聴いていた。なかば微睡みながら聴いていたので、どんな音だったのかは思い出せないが、その演奏が素晴らしかったことだけは覚えている。素晴らしかったというのは、その時代のその時間帯にもっとも相応しい音を出していたということだ。
 ウルトラマリンとは、サマー・オブ・ラヴの余韻がまだ残る時代に、ハウスとダブとジャズとフォークとカンタベリー的な牧歌性とをかき回し、透明な音色と美しい旋律にろ過したバンドだった。いまとなっては90年代の音楽の秘密のひとつと呼べるかもしれない。ロバート・ワイヤットをゲストに招いたり、ケヴィン・エアーズの曲を歌ったり、後にカール・クレイグがリミックスを手がけていることからも、ウルトラマリンの音楽がどんな傾向のものだったのかお察しいただけると思う。ジャケに大きく「STAR」という文字の描かれた『Every Man And Woman Is A Star』(1991年)は忘れることのない名作だが、しかし同時に忘れたい作品でもある。あまりにも甘く、お茶目かつ無垢で、負けることにも慣れた大人が振り返るには気恥ずかしくもあるのだ。ウルトラマリンは、その後メジャーの〈Blanco Y Negro〉に移籍して、『United Kingdoms』(1993年)や『Bel Air』(1995年)など何枚かのアルバムをリリースしているのだが、当時、瞬間的だが多くのリスナーを惹きつけたウルトラマリンは、ゆっくりと忘却の彼方へと葬られていくのである。

 しかし、橋元あたりが「ドリーミー」という言葉をやたら使う度に、ウルトラマリンも知らないクセに何言ってんだか……と思っていたのも事実だ。それでは久しぶりに聴いてみようじゃないか。そして、試しに『Every Man And Woman Is A Star』に針を落とすと、「あれ、こんなだっけ、こんなだっけかな?」と、自分のなかで虚妄と化したグラストンベリーの思い出との落差に居心地の悪さを覚え、結局のところ、音楽作品というよりもウルトラマリンそのものがタルホ的な郷愁となっていることを悟る。
 が、『ディス・タイム・ラスト・イヤー』、衝動的だったとはいえ買ってしまった以上は、貧乏根性も手伝って、聴かなければと思って聴いていると、やはり良いナー、ウルトラマリン、こんなに良かったっけ……と感心する。本当に素晴らしい。尖っているわけではないが、むしろ尖っていないからこそ素晴らしい。彼ら自身も、15年ぶりに新作を出すからには、いまこの時代に自分たちの音楽の受け入れ先があることを感じているのだろう。音楽性の幅もあり、質の高い音響を作れるスキルを持っている連中だが、『ディス・タイム・ラスト・イヤー』は方向性も間違っていない。90年代の諸作と比較すると(もともと角が取れている連中だったが)さらにまた角が取れている。つまり、より平穏でアンビエントなテイストを注ぎながら、『Every Man And Woman Is A Star』の頃の淡い幻覚と切ない旋律も捨てることなく、ゆったりと展開する。その力の抜け具合が片足はクラブに浸かっていた昔よりも良い。ブラジリアンの混じった“ファインド・マイ・ウェイ”、フュージョン風の“アイコンタクト”、アシッド・ハウスのベースを透明なポスト・ロックにろ過した“デコイ・ポイント”、陶酔のアンビエント・ダブの“ウィズイン・リーチ”……いいぞいいぞ、完璧に現実逃避させてくれる。そして、聴き込んでいると、20年前の6月のサマセット州の農場で聴いた音はたしかにこんな感じだったと思えてくるのだ。……あのとき、「絶対にどんなことがあっても、自分はまたここに戻ってこよう」と29歳の自分は心に誓ったものだが、あれ以来行っていないし、残りの人生のなかでももう行かないんじゃないかと思う。いや、正確に言うなら、1993年6月のサマセット州は、もうあの場所にはないのだ。『Every Man And Woman Is A Star』は、2003年、〈ラフトレード〉によってリイシューされ、ボーナス盤には1993年のグラストンベリーでのライヴ演奏が1曲収録されている。僕はその1曲を聴くためだけに、いつかそのCDを買う可能性がないとは言えないが、極めてゼロに近い。 

Youth Code - ele-king

 どうやら昨年頃からその兆候が見えていた90'sリヴァイヴァルは完全にトレンドとなってしまったようだ。

 ときに野生の鹿を轢きかけるなどして肝を冷やしながら極寒の東海岸をドリフトしている昨今のわたくしですが、先日、ブルース・コントロールのふたりの運転で移動しながら連中が車内でフロント242(Front 242)をかけていたので、何でこんなん聴いてんのよと訊ねたところ、ラス曰く、だって安いじゃん。とまっとうな回答が返ってきた後、でもEBMはいま結構流行ってんだよとのこと。確かにここ数週間ブルックリンを徘徊していたかぎりそれは充分に感じられた。たしかに昨今のUSインディー・シーンにおけるキーワードはインダストリアルというよりはボディ・ミュージックなのかもしれない(三田先生は流石です)。

 コールド・ケイヴに代表されるミニマル・ウェーヴ・リヴァイヴァルはボディ・ミュージック・リヴァイヴァルに完全に移行したと言っても過言ではあるまい。ユース・コード(Youth Code)はLAを拠点に活動する超スキニー・パピーな男女ユニットである。個人的にとてもアガッているおもな理由はこの男、ライアン・ジョージ。彼はかつて燻し銀のオールド・スクール・ハードコアを聴かせてくれたキャリー・オン(Carry On)のメンバーである(このあたりのバック・グラウンドも相当コールド・ケイヴと被ってるよね。だってウェスのアメリカン・ナイトメアも同時期に限りなく同じシーンで活動してたわけだし……)。
この手のサウンドにおける看板レーベルと言える(ジェネシス・P・オリッジの再発とかも精力的にやってますからね)〈ダイス・レコーズ(Dais Records)〉から発表された彼らの初のセルフ・タイトル・フルアルバムとなる本作は完全にボディ・ミュージックとしか形容できないビシバシ系のトラックにハードコアな男女ヴォーカルが畳み掛けるハイテンションな内容だ。またこのお姉ちゃんがブルータルなんですよ。Youtubeを見る限りパフォーマンスも相当テンション高めなんで近いうちに見たいなー……

 でもヒップなDJたちにとっては良いトレンドではないでしょうか。だってEBM系のレコードはワゴン・セール出没率高いですからね。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868 869 870 871 872 873 874 875 876 877 878 879 880 881 882 883 884 885 886 887 888 889 890 891 892 893 894 895 896 897 898 899 900 901 902 903 904 905 906 907 908 909 910 911 912 913 914 915 916 917 918 919 920 921 922 923 924 925 926 927 928 929 930 931 932 933 934 935 936 937 938 939 940 941 942 943 944 945 946 947 948 949 950 951 952 953 954 955 956 957 958 959 960 961 962 963 964 965 966 967 968 969 970 971 972 973 974 975 976 977 978 979 980 981 982 983 984 985 986 987 988 989 990 991 992 993 994 995 996 997 998 999 1000 1001 1002 1003 1004 1005 1006 1007 1008 1009 1010 1011 1012 1013 1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021 1022 1023 1024 1025 1026 1027 1028 1029 1030 1031 1032 1033 1034 1035 1036 1037 1038 1039 1040 1041 1042 1043 1044 1045 1046 1047 1048 1049 1050 1051 1052