「S」と一致するもの

Chart - JET SET 2013.04.15 - ele-king

Shop Chart


1

Phoenix - Entertainment (Glassnote)
超待望の最新5th.アルバム『Bankrupt!』からの激話題リード・トラック!!Us/Glassnoteからのマーブル・カラー・ディスク完全限定盤。

2

J Dilla - Anthem / Trucks (Pay Jay Productions)
死後に見つかった2インチ・マスターテープを、Dillaの側近エンジニア Dave Cooleyがミックス&マスタリングしてリリース! こちらは初回限定、クリア・ヴァイナル&クリア・ケース仕様。

3

Lady - Money (Truth & Soul)
Aloe Blaccのプロデュースを手掛けたコンビが送り出した話題のデュオLadyによる、フリーソウル・ファンも直撃の名曲が待望のシングル・カット!!

4

原田茶飯事 & Expresso Cansai - 太陽 (Dabada / Jet Set)
1stアルバムからの人気曲「太陽」と、初披露となる同曲の"Dj Yogurt & Koyas Remix"を収録した7インチ・シングル!

5

Syclops - A Blink Of An Eye (Running Back)
Dfaからのアルバム・リリース以来ご無沙汰となっていたベテランMaurice Fulton手掛ける、Syclopsによる話題の2ndアルバム!!

6

Extra Medium - Extra Medium Ep (Record Breakin')
East Liberty QuartersのKeyプレイヤー&DjであるSam Champと、Dilla~Spinna~Moodymannライクな質感で人気のBuscrates 16-bit Ensembleによる超強力プロジェクト!

7

Major Lazer - Free The Universe (Because)
ご存じDiploとSwitchによる最強デュオMajor Lazerが4年振りとなる2nd.アルバムを完成。ダンスホールを軸に、ダブステップやムーンバートン、トラップにラガD'n'bまで繰り広げられる即戦力ボム満載盤です!!

8

Pat Metheny - Are You Going With Me - Gu Remix (Strictly Jazz Unit Muzic)
Slip Away等でもハウス・ファンには馴染み深いジャズ・ギタリストPat Methenyが"Ecm"より82年にリリースした名作"Are you Going With Me"をGlen Undergroundがリワーク/エディットを施し傑作ハウスへと仕立て上げた注目作品!

9

Letherette - D&t (Ninja Tune)
前Ep"Featurette"に続く、来たるデビュー・フル・アルバムからの2ndシングルがまたしても強力です。リミキサーにDorian Concept等が参加!

10

Blu - Thelonius King (Nature Sounds)
Bombayによる辺境的なドープ・トラックに、Blu, R.a. The Rugged Man, Durag DynastyのTristateという今までにない組み合わせが実現! Side-bにはBluによるリミックスを収録。

第8回:墓に唾をかけるな - ele-king

 その日、わたしは街の裏通りにある小さなパブで、仕事帰りに人と会う約束をしていた。
 そこは薄暗く古いパブで、流行のワインなどを飲ませる小奇麗なパブではない。窓際には年季の入ったスヌーカー・テーブルがあり、カウンター上方のフラット・スクリーンではない分厚いテレビはいつもフットボールの試合を映している。が、その日、パブに着いてみれば、なぜかテレビはBBCニュースを映していた。

 「え。サッチャー、死んだの?」
 と吃驚しているわたしの背後から入って来た、塗装業者らしいペンキで汚れたバギー・ジーンズのおっさんは、テレビに映し出された「Baroness Thatcher Died」のヘッドラインを読むなり、おもむろに両手でガッツ・ポーズを取った。
 「YES!!」
 PCの前に座って仕事をしている階級の人びとはもっと早く訃報を知ったのだろうが、ブルーカラーの労働者が彼女の死を知ったのは夕方だったのである。んなわけで、パブのなかはいつになくざわついていた。アフター・ファイヴの熱気に盛り上がる若人たちが集うパブとは異なり、通常は、陰気な顔をした中高年労働者がむっつり飲んでいるタイプのパブなのだが、その日ばかりはムードが違っていた。
 BBCニュース24は、各界著名人の反応を報道している。「元労働党のMP、ジョージ・ギャロウェイは、ツイッターにエルヴィス・コステロの曲『Tramp the Dirt Down』のタイトルを書いています」と女性ブロードキャスターが告げると、誰かがパブの奥から叫んだ。
 「Well said, George!」
 パチ、パチ、パチ。と誰かが叩いた拍手の音が、じわじわ店内に広がって、いつの間にかおっさんもおばはんも全員が手を叩いていた。
 笑っている人は誰もいなかった。みんな疲れきった顔をしていた。
 ああ。きっとこれは、この国の労働者がサッチャーを送る音なのだ。と思った。

 その日の深夜、ダンプの運ちゃんをしている連合いは、ロンドンのブリクストンを通ったらしい。
 「ロンドン暴動の直前と似たような雰囲気があった。夜中に路上で飲んで喚いてパーティしてやがんだよ。お前ら、サッチャーなんて知らねえだろ。っていうようなガキどもが」
 と言っていた。
 翌日の新聞を読むと、アンダークラス人口の多さで知られているリヴァプールでは、路上で火を燃やして祝賀するフディーズたちの写真が撮影され、ブリストルでは、ミドルクラスのスタイリッシュなインテリゲンチャたちが警官隊と衝突している写真が撮影されていた。「各地の"ザ・レフト"がバロネス・サッチャーの死を祝賀した夜」という見出しが付いている。嬉しそうに中指を突き立てて小鼻をふくらませているティーンズや、ビール缶を片手に泥酔しきった目つきで警官に悪態をついている30代のミドルクラスのお坊ちゃまたち。
 現代の英国の"ザ・レフト"というのは、こういう人たちなのだろうかと思った。
 毎日クソのような時給で朝から晩まで働き、サラリーではなく、ウェイジと呼ばれる週払いの賃金を貰い、そのクソのような賃金からでさえ税金を巻き上げられ、サッチャー政権に騙されて公営住宅を買ったら自宅のメンテ費用が払えなくなり、真冬に暖房が崩れて凍死した者もいたという、本当に故人がしたことを知っている"労働者たちの層"は、それらの写真のなかで浮かれたり、激昂してみせたり、泥酔したりはしていなかった。
 本当に彼女に苦しめられた人や、いまでも苦しんでいる人たちは、おそらく朝早く起きて仕事に行くため、とっくに寝ていた。

            ************

 サッチャーが亡くなった日、わたしがパブで会っていたのは、一昨年まで成人向け算数教室で講師をしていたRだった。
 先の労働党政権は、読み書きのできない成人の再教育に力を入れていたので、無料で算数と英語の再教育の場を提供していた。が、現保守党政権はこれらのプロジェクトへの補助金をカットした。あの党は、いつだって底辺層の底上げには興味がない。
 政府からの支援が無くなったので成人向けの算数教室と英語教室は有料になり、当然のごとく生徒数は激減し、これらの教室を運営している団体数も激減した。そのため、Rは食って行けなくなり、現在は大学に勤務しているが、自腹でコミュニティセンターの一室を借り、無料の成人向け算数教室を再開するつもりだという。
 「サッチャーが死んだからと言って、何が変わるわけでもない」
 と、醒めた顔つきでテレビを見ていたRは、昔ヴォランティアでアシスタント教員をしていたメンツに連絡を取り、再びヴォランティアをやらないか。と説得して回っている。
 かくいうわたしも、算数の得意な日本人としてアシスタントをしていた時期があるのだが、「いや、いまは昼も夜も働いて、その間に主婦業もやってるから、無理」と一度断ったのに、Rは執拗に攻めてくる。アンダークラスのシングル・マザーもけっこう教室にはやって来るので、保育士のわたしは託児サービスが提供できる点で便利なのである。
 「金がないとか、子供がいるとか言って教室に来ない人びとが、もっとも再教育が必要な人びとなんだ。ってのはわかってるよね」
 「わかってる。けど、時間がない。夕方にそんなことやってたら、誰がわたしの子供のご飯つくんの」
 「一緒に連れて来たら」
 「ええっ!?」
 「フィッシュ&チップスおごるよ、毎週。教室の隅で食べさせたら? で、スペアのラップトップ持ってくるから、ゲームさせたり、宿題させたりしたらいい。算数はもちろん僕が見るし。子供に九九覚えさせるの得意」
 「えええっ!?」
 と、だんだんコーナーに押しやられてジャブを連打されているわたしの虚ろな目に、テレビの画面の中でサッチャーの偉大さ、崇高さを語り倒しているデヴィッド・キャメロンの顔が見えた。
 彼は、紛れもなくサッチャーの末裔である。
 イートン校からオックスフォードという超エリートお坊ちゃまの道を辿りながら、常に目立たないギーク青年で、ザ・スミスを偏愛していたというキャメロンは、いったい彼らの曲から何を聴いていたのか、モリッシーがギロチンにかけたがっていたマーガレットの政策を模倣している。サッチャーの政策を発端として発生し、21世紀には英国の癌と呼ばれるほど拡大した、いわば「真のサッチャーのレガシー」と言っても良いアンダークラスという階級を、彼の政府は冷酷に切り捨てようとしている。母親が残したMESSをきれいにするどころか、鉄の女の息子たちは、そのMESSをさらに広げようとしているのだ。

 「わかった。やる」
 「Thanks. I knew you would say that」
 と言われたときには、罠にはまった。という気もしたが、サッチャーが死んだ日である。彼のような人の頼みを、こんな日に断るわけにはいかない。

            ************

 「生きているときの彼女は、俺の敵だった。だが、死んだ彼女は俺の敵ではない。俺は彼女の墓の上で踊る気はない」
 というジョン・ライドンの発言は、現代の英国の所謂"ザ・レフト"の人びとには評判が良くないようだ。それは、「悪い魔女は死んだ」と歓喜して踊るパーティ・ピープルの士気を盛り下げる言葉だからである。セックス・ピストルズのジョニー・ロットンは、ザ・スミスのモリッシーのようにべたべたに直球のアンチ・サッチャー声明を発表しなかったので、肩透かしだったそうだ。
 しかし、わたしには、それがピストルズとザ・スミスというバンドの役者の違いだったように思える。

 死人を相手に、勝ち誇ったような顔をしてパーティをしてどうする。
誤魔化されるな。真の敵と戦え。


 「そもそも、コステロのあの歌は、あの女が死んだら墓を踏みつけてパーティしてやる。という歌じゃないよね。彼女より俺たちは先に逝くだろうという、かなしい歌だ」
 と、Rは言った。
 彼のような人は、故人の墓には唾をかけない。そんな暇があったら、することは山ほどあるからだ。テーブルの上に広げられたスプレッドシートには、以前、算数教室に来ていた生徒とアシスタントの名前がずらりと並んでいる。
 「これ、ひょっとして、全員に連絡取ってるの?」
 「うん」

 政治家たちはサッチャーの葬儀の件で揉め、"ザ・レフト"の人びとは、葬儀当日のプロテストの準備で盛り上がっている。
 そしてRは、葬儀の日などまったく関係なく、スプレッドシートを広げて電話をかけ続けているだろう。
 Rのような人のことは、新聞やニュースサイトには一行も書かれていない。だが、本気でサッチャーのレガシーの後始末をしようとしているのは、彼のような名もない末端の人々だ。
 わたしにとってもっともブリティッシュなのは、彼のような人びとである。

HDを捨てレコ屋に行こう - ele-king

坂本慎太郎 - 幽霊の気分で(Cornelius Mix)/悲しみのない世界(You Ishihara Mix)
zelone records

噴水プールのまわりをアシッドの浮き輪で浮かんでいる音響。コーネリアスと石原洋のリミックス収録のレコードストア・デー(4月20日)限定の7インチ。音もアートワークも良い。早い者勝ち。

PychedelicPop

Baio - Sunburn EP Greco-Roman

あれもハウスこれもハウス。これは、昨年、配信で発表したヴァンパイア・ウィークエンドのベーシストによるハウス、そのアナログ盤。初期のベースメント・ジャックスを思わせるバレアリックで、出すなら夏前しかない。パーカッション、メロウなギター、キックドラム、うねるベースライン、美しいメロディ......新しくはないが良い曲に違いない。

House

Disclosure Feat. AlunaGeorge - White Noise PMR Records

7インチ時代のガラージ風のアプローチはどこに行ったのだろう。

House

A/T/O/S - A Taste Of Struggle Deep Medi Musik

曲調からは初期のトリッキーを思い出すが、リズムにはUKガラージが入っている。B面にはスクリームとコモドーのリミックス収録。どちらも格好いい。

DowntempoR&BDubstep

TOWA TEI - Licht(リヒト) ワーナー

テイ・トウワによるクラフトワーキッシュな新曲。リズムも音色も、細かいエディットも可愛らしく、後半のメロウな展開も良い。何かしながら家で聴くには最高。

https://itunes.apple.com/jp/album/id630063567

KroutrockTechnoPop

Rainer Veil - Struck EP Modern Love

インダストリアルと呼ばれているシーンが、実験とレイヴの激突であることを告げている1枚。新人だが、この先が楽しみ。

JungleExperimental

Mark Ernestus presents Jeri-Jeri with Mbene Diatta Seck - Xale Ndagga

Mark Ernestus presents Jeri-Jeri - Bamba Ndagga

昨年から続いているマーク・エルネストゥスのこのシリーズはまったく外れ無し。セネガルのアフロ・トライバル・ファンク+ベルリン・ダブ、録音の良さがハンパない。芸術的な領域。素晴らしいポリリズム。2枚とも推薦。

AfricanDubFunkMinimal

Aoki Takamasa - Constant Flow Svakt

スイスのアナログ盤専門レーベルからの第二弾。欧州では圧倒的な評価をほこるアオキ・タカマサ。20分を越えるテクノ旅行、じっくり時間をかけて景色が変わる。題名曲のみ収録。

TechnoMinimal

Justin Timberlake - ele-king

 ジャスティン・ティンバーレイクのことがよくわからない。と、思ったのはクレイグ・ブリュワー監督『ブラック・スネーク・モーン』(2006)を観たときのことだ。映画はメンフィスを舞台に元ブルーズマン役のサミュエル・L・ジャクソンがセックス依存症のビッチであるクリスティーナ・リッチを鎖で縛ってブルーズを聴かせて調教、いや、救済するというとんでもない話で、ゆえにたまらなく熱い一本なのだが、そこにティンバーレイクがいることの必然性が飲み込めなかった。彼は作中で哀れな兵士、アメリカの田舎の貧しい白人のひとりだったが、"セクシー・バック"で大ヒットを飛ばしたポップ・シンガーがなぜその役を?と。それならば、デヴィッド・フィンチャー監督『ソーシャル・ネットワーク』(2010)で(ナップスターの)ショーン・パーカー役をチャラくやっていたほうがまだ納得できたが、そのあと、アンドリュー・ニコル監督『タイム』(2011)で格差社会の「下のほう」にいるヒーローを演じているのには疑問が残った。このひとはいったい、どういう像を期待されているのだろう。いずれにせよ、彼のことが妙に気になるようになったのは映画のなかでその姿をしばしば見かけるようになってからだ。
 だが、俳優業が続き、久しぶりに音楽業界に帰ってきたティンバーレイクの第一弾シングル"スーツ・アンド・タイ"で引っさげてきたイメージ(ヴィデオの監督はデヴィッド・フィンチャー)にはもっと驚かされた。トム・フォードのタキシードを着て、バック・バンドを従えつつスタンドマイクを持って歌うその白黒の映像に......いや、アカデミー賞やグラミー賞を見ていれば、古き良き(そしていかにも白人的な)洒脱なショウビズの世界が、いまだにノスタルジーとして強烈にアメリカで求められていることは感じる。だが果たして、それをいま負うのがティンバーレイクでいいのだろうか? それでも事実としてティンバランドがプロデュースしジェイ・Zが召喚されたそのシングルは、マリンバの音色が上下しホーン・セクションが軽快にスイングしながら、70年代のソウルと現行のヒップホップを行き来する洗練の極みのようなポップスで、多くの批評家が舌を巻かずにいられなかった。あるいは、フォー・テットのリミックスを聴けば、実験的な音に貪欲なプロデューサーたちの興味を変わらず掻き立てていることがわかる(過去にディプロやDFAもリミックスを担当している)。どうしてジャスティン・ティンバーレイクだけが、このポジションにいられるのだろう? イン・シンクなんていうボーイズ・グループのリード・シンガーだったアイドルが? 日本でこれができるイケメンが誰かいないか30分ほど真剣に考えてみたが、誰ひとりとして思いつかなかった。僕が日本のイケメンを知らないせいかと思い、友人に「ジャスティン・ティンバーレイクの新曲聴いた?」と尋ねたら、「ブリトニー・スピアーズの元カレの?」と関係ない答が返ってきた。ああ、そう言えば、そんなこともあったなあ......。

 果たしてティンバーレイクの7年ぶりの新作、『20/20 エクスペリエンス』は2013年の耳を大いに愉しませてくれる。ティンバランドのプロデュースが数年前よりも90sリヴァイヴァルの時運を味方につけているということもあるし、大きくは70年代のソウルを参照して、ドレイク以降、フランク・オーシャン以降を睨みつつアップグレードするという方向性はジャストなように思える。ビートもアレンジも多彩だし、じつはキャリアの長いティンバーレイクの歌唱もこなれたものだ。まあ、今回のレトロ・スタイルも基本的には色男のヴァリエーションということだろうが、モードがしっかり定まっている。プログレを意識したということらしく、そのせいか長尺曲が多いが7分を超えるものは若干冗長に聴こえなくもないし、"ミラーズ"のような曲でかつてのアイドル・シンガーのイメージが微妙にチラつくときもある。けれども、"レット・ザ・グルーヴ・ゲット・イン"のアフロ・パーカッション、"ザット・ガール"のセクシーなファンク、"ボディ・カウント"で見せる一時期のベースメント・ジャックスのようなねちっこいラテン・フレイヴァーなど、聴きどころは多い。"ブルー・オーシャン・フロア"に至ってはビートレスのアンビエント風R&B(チル・アンド・ビー......?)で、なんだかちょっと笑えてくる。資本の力と言えばそれまでかもしれない。だが、メインストリームとアンダーグラウンドの動向をしたたかに吸収したこのポップ・アルバムは、批評家の評価を満遍なく集めながら、またしても大ヒットを飛ばすのだろう。

 ところでブリトニー・スピアーズと言えば、ハーモニー・コリン監督の新作『スプリング・ブレイカーズ』のもっとも感傷的なシーンで彼女のチープなバラードが聖歌のように扱われていた。春休みにフロリダでハメをはずすギャル4人の、愚かな白い子どもたち(ホワイト・トラッシュ)のソウル・ミュージックとして......。で、あるとすれば、彼女たちはこの2013年にジャスティン・ティンバーレイクのこのアルバムを聴くだろうか? いや、きっと......聴くだろう。そのときここに忍ばせられたサウンドのチャレンジに彼女たちが事故的に触れるとすれば、それは少しばかりワクワクする。
 このアルバムを聴いても結局僕にはジャスティン・ティンバーレイクのことはよくわからないし、特別に思い入れられるわけではない。おそらく彼は、何かを負っているシンガーではないからだ。けれどもだからこそ、颯爽と衣装を着替えてステージに立ち、次から次へとサウンドを乗り換えることができる。他のサンプルは、やはり僕には思いつかない。

MaNA (Life Force) - ele-king

4/20 @Seco Shibuya Life Force "Airborne Bass"
More info: https://lifeforce.jp

5-April-2013


1
Metasplice - Decant - Morphine

2
Anthony Naples - El Portal - The Trilogy Tapes

3
Anno Stamm - I Still Have The Photographs - All City

4
Albinos - Apocalypta - Antinote

5
Syclops - Sarah's E With Extra P - Running Back

6
Elgato - We Dream Electric - Unknown

7
Holdie Gawn - Graenul - Sylphe

8
Innerspace Halflife - Edo Tensei - Latency

9
Felix Dickinson & Nick The Record feat. Kaidi Tatham - Unbreakable - Ene

10
Unknown Artist - Untitled (Aniara Edit) - Verktyg

 6月29日土曜日、DUM DUM LLP(高円寺にお店を構えながら、ギターウルフからきのこ帝国まで、数多くの日本のすごいロック・バンドのライヴをサポートしている気さくな会社)とele-king(追放者による、世を忍ぶ両性具有者に人気の自己満足音楽メディア)は、この度、一緒にイヴェントをやることにした。
 もちろん、最近のele-king(いまだ律儀にもレコードとカセットとCDを大量に買っている古典派)が偏愛する、快速東京、きのこ帝国、SIMI LAB、砂原良徳、OORUTAICHI、ミツメ......、この半年でele-king(アシッド漬けの季刊誌)と愛人関係ではないかと噂されている下津光史(踊ってばかりの国)、そして、これから好きになりそうなgroup_inouやスカート、森は生きている、そして、ドイツからは、20年前から大好きなマウス・オン・マーズ、韓国からは、我らが英雄YAMAGATA TWEAKSTERの出演も決まっている。
 DUM DUM LLP(日本で一番のジーザス&メリー・チェインのコレクターであると自負する会社)との会議によって、当日はバーベキューも計画中である(量に限りアリ)。また、ディスクユニオン(世界でもっとも多種なレコードのビニール袋を売っているお店)が当日出店、掘り出し物アリの100円市開催ほか、橋元のフリマ、長州のMCなどいろいろ考えているので、疲れたときの暇つぶしには事欠かさないでしょう。

 それで場所、なんと、渋谷(20年前の若者の街)のO-WEST BUILDING(O-WEST・O-nest・7th FLOOR 三会場同時開催です)。午後3時からはじめて夜の10時までやる。出入り自由なので、腹が減ったら、好きなところで好きなだけディナーをどうぞ。飲み物の持ち込みだけは止めて欲しい。安く済ませたい人は、先行予約しよう。およそ1700円お得。
 出演者とDJはもうちょっと増える予定。ele-king(ロック魂を欠いた、尻尾と角を持った半身獣)でも何かやります。

【DUM-DUM PARTY 2013】
Curated by ele-king & DUM-DUM LLP

日時:2013年6月29日(土)
会場:渋谷O-WEST BUILDING(O-WEST・O-nest・7th FLOOR 三会場同時開催)
開場/開演:15:00(22時終演予定)
出演:
Mouse on Mars(ドイツ)
OORUTAICHI
快速東京
きのこ帝国
group_inou
SIMI LAB
下津光史(踊ってばかりの国)
スカート
砂原良徳(DJ)
ミツメ
森は生きている
YAMAGATA TWEAKSTER(韓国)
...and more!

........................................................................
チケット:¥6,300(税込 / 全自由 /1ドリンク代別)
※3才以上有料
来場者全員特典:特製ZINE
チケット:5/11(土)発売
チケットぴあ(0570-02-9999)
LAWSON TICKET(0570-084-003)
イープラス(https://eplus.jp/
※ディスクユニオン、高円寺DUM-DUM OFFICE店頭でもお求め頂けます。

◎最速最安値先行予約
2013年4月15日(月)~4/26(金)(平日のみ12時~18時)
高円寺DUM-DUM店頭とweb予約販売¥4,649(税込/D別)
........................................................................

『DUM-DUM PARTY 2013』

イベント特設サイト
https://party.dum-dum.tv/
※タイムテーブルや最新情報を随時発表していきます。

ル・トン・ミテ - クモコクド(雲国土)
SWEET DREAMS PRESS amazon

昨年末に『クモコクド』という、とてもカラフルでキュートでエレガンスでチャカポコでトタパタなアヴァン・ポップ・アルバムをリリースしたル・トン・ミテことマクラウド・ズィクミューズおじさんと、メンバーであり、奥様でもあるアン・ブルーニさんが来日を果たします。

マクラウドおじさんはアメリカ・アーカンソー州生まれ。その後ワシントン州オリンピアに移って、『シンプソンズ』のマット・グローニングや〈Kレコーズ〉のキャルヴィン・ジョンソン、スリーター・キニーやビキニ・キルといったバンドを輩出したことでも知られる名門エバーグリーン・カレッジに入学。そこで活版印刷と音楽を身につけました。

現在はベルギーのブリュッセルを拠点にし、クラムド・ディスクで働いたり、オケ(Hoquet)というバンドを率いたり、奥様のアンさんとゲスト・ハウス兼ギャラリー兼活版印刷工房のホテル・ラスティックを運営したり......と、マルチ・タレントぶりを発揮。そんな活動はディアフーフやフィル・エルヴラム(マウント・イアリ)、アールトやロンリー・ドリフター・カレン、マヘル・シャラル・ハシュ・バズ、テニスコーツ、yumboに野村和孝(PWFR Power)......と、素敵な出会いをさまざまに誕生させてきました。

そんなマクラウドおじさんのポップスはストレンジだけど本当に優しくて温かい――。オリンピア発祥のインターナショナル・ポップ・アンダーグラウンド、そのなかでもとびきり洒落てて妙ちきりんなル・トン・ミテのジャパン・ツアーをぜひお見逃しなく!

■Le Ton Mité Japan Tour 2013
ル・トン・ミテのジャパン・ツアー2013

■4月20日(土)東京・八丁堀 七針(070-5082-7581)
東京都中央区新川2-7-1オリエンタルビル地下
出演:マクラウド・ズィクミューズ(ル・トン・ミテ)、Che'-SHIZU(向井千惠+西村卓也+工藤冬里+高橋朝)
開場 7:00pm/開演 7:30pm 料金 2,200円(予約)/2,500円(当日)
予約:会場

■逆まわりの音楽 その5
4月21日(日)東京・立川 ギャラリー・セプチマ
東京都立川市柏町3-8-2/多摩都市モノレール砂川七番駅より徒歩2分
出演:ル・トン・ミテ、秋山徹次+Amephone's attc、スッパマイクロパンチョップ+野中太久磨、人形劇団銀座擬人座(クラモトイッセイ+酒井泰明 from moools)、河野祐子
開場 4:30pm/開演 5:00pm 料金 2,000円
予約:会場、スウィート・ドリームス・プレス、安永哲郎事務室

■4月22日(月)岐阜 本田(058-264-2980)
岐阜県岐阜市金屋横町5
出演:ル・トン・ミテ、マヘル・シャラル・ハシュ・バズ
開場 6:30pm/開演 7:00pm
料金 2,000円(予約制/定員になり次第締め切りとさせていただきます)
予約:会場(058-264-2980)

■4月23日(火)名古屋 パルル(052-262-3629 *当日の案内のみ)
愛知県名古屋市中区新栄2-2-19
出演:ル・トン・ミテ、夕食、葉っぱの裏側シスターズ
開場 7:00pm/開演 7:30pm 料金:2,000円(一般)/1,500円(住民)*ドリンク代別
予約:会場(新見)、スウィート・ドリームス・プレス

■4月24日(水)金沢 オヨヨ書林・タテマチ店(076-261-8339)
石川県金沢市竪町14-1
出演:ル・トン・ミテ、工藤冬里、工藤礼子
開場 7:00pm/開演 7:30pm 料金:2,000円
予約:会場、主催、スウィート・ドリームス・プレス

■4月25日(木)京都 喫茶ゆすらご(075-201-9461)
京都市上京区仁和寺街道七本松西入二番町199-1
出演:ル・トン・ミテ、川手直人、CRAZY POKYU
開場 7:00pm/開場 7:30pm 料金:2,000円 *ドリンク代別
予約:会場、スウィート・ドリームス・プレス

■4月26日(金)鳥取 ボルゾイ・レコード(0857-25-3785)
鳥取県鳥取市新町201上田ビル2F
出演:ル・トン・ミテ、川手直人、tanaka sings empty orchestra、ロンサム・パイロット
開場 7:00pm/開場 7:30pm 料金:2,000円
予約:会場、スウィート・ドリームス・プレス

■コンサートクモコクド
4月27日(土)松江 清光院下ギャラリー
島根県松江市外中原町清光院下198-1
出演:ル・トン・ミテ、ダルガリーズ、村上ゴンゾ、川手直人
開場 4:00pm/開演 5:30pm 料金:1,500円(予約)/2,000円(当日)
予約・問い合わせ:北殿町CARRÉ(0852-23-5767/carre.matsue@gmail.com)

■マルティチュードにおけるコモンのオレンジ
5月1日(水)広島 ふらんす座(082-295-1553)
広島県広島市中区十日市町1-4-3
出演:ル・トン・ミテ、祝島ヘル
時間・料金未定 予約・問い合わせ:会場

■5月2日(木)松山・三津 アジとサバ
*アジとサバ周辺で行われているレジデンシーの作品を見ながら回るアート・ツアー
出演:ル・トン・ミテ、マツヤマヘル
時間:田中戸に2:00pm集合

■5月3日(金)松山・道後 ワニとサイ(080-3319-2765)
愛媛県松山市道後湯之町1-39
出演:ル・トン・ミテ、マツヤマヘル
開場/開演 7:00pm

■5月4日(土)神戸 のらまる食堂(090-1240-0442)
兵庫県神戸市中央区元町通5-8-12
出演:ル・トン・ミテ、若尾久美、光永惟行、Les nico、宮西淳、倉本高弘
開場/開演 4:00pm 料金:カンパ *ドリンク代別
終演後に鍋会あり(参加者は鍋代として1,000円を申し受けます)。

■FIELD UPSETTERS
5月5日(日)大阪 FLOAT(090-9860-2784)
大阪市西区安治川2-1-28 安治川倉庫
出演:ル・トン・ミテ+ダルガリーズ、bonnounomukuro、YPY(bonanzas、goat)、Song Sloth Giantize、buffalomckee
フード:たかさきっちん
開場 4:00pm/開演 4:30pm
料金:1,500円(小学生以下のお子様は同伴者がいる場合無料)

■家宴 vol.12 フェス!!
5月6日(月)奈良 sonihouse(0742-87-0670)
奈良県奈良市学園朝日元町1-499-3
出演:ル・トン・ミテ、テニスコーツ、梅田哲也、米子匡司 *音の部(3:30pm~)
フード:山フーズ *食の部(6:30pm~)
開場 2:30pm/開演 3:30pm
料金:6,500円(フリー・ドリンク)*定員:25名
予約:「info@sonihouse.net」(参加希望日、お名前、人数、ご連絡先をお知らせください)

■HOTEL MOTEL TIME -avec Hôtel Rustique-
5月8日(水)京都 ユーゲ(075-723-4707)
京都府京都市左京区下鴨松原町4-5
出演:ホテル・ラステック(マクラウド・ズィクミューズとアン・ブルーニ)、ミッチー(ダルガリーズ)と山路知恵子
特別展示:アン・ブルーニ
開場 7:00pm/開演 8:00pm 料金:888円

■5月10日(金)仙台 book cafe 火星の庭(022-716-5335)
宮城県仙台市青葉区本町1-14-30-1F
出演:ル・トン・ミテ、le quatre du yumbo、人形劇団ポンコレラ
開場 7:00pm/開場 7:30pm
料金:1,800円 *ドリンク代別/定員30名
予約・問い合わせ:yumbo.shibuya@gmail.com(澁谷)

■ジャド・フェア&ノーマン・ブレイクとテニスコーツのジャパン・ツアー2013
5月11日(土)東京・渋谷 オ・ネスト(03-3462-4420)
東京都渋谷区円山町2-3-6F
出演:ル・トン・ミテ、ジャド・フェア&ノーマン・ブレイク(ティーンエイジ・ファンクラブ)、テニスコーツ
開場 7:00pm/開演 7:30pm 料金 3,800円(前売)/4,300円(当日)*ドリンク代別
チケット:会場、チケットぴあ(Pコード:195-926)、ローソン・チケット(Lコード:73154)、e+、スウィート・ドリームス・プレス

TOTAL INFO : スウィート・ドリームス・プレス

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・アルバム『クモコクド』についてはこちら
https://www.sweetdreamspress.com/2012/12/le-ton-mite-kumokokudo.html

・最新ビデオ「I Grec」
https://vimeo.com/63110669

なお、今回のツアーに合わせてグラフィック・アーティストとして活躍する奥様アン・ブルーニの作品展「m e t a m o r p h o s i s」が島根県松江市の清光院下ギャラリーで開催されます。また、彼女の作品の一部は立川公演(4月21日)と京都公演(5月8日)にも展示されるようですので、こちらも併せてお楽しみください。詳しくは以下に。
https://www.sweetdreamspress.com/2013/04/
ann-brugni-exhibition-m-e-t-m-o-r-p-h-o.html

The Lions - ele-king

 ザ・ライオンズは、2007年頃、米西海岸はLAのレゲエ、スカ、ファンク、ヒップホップなどのフィールドの精鋭ミュージシャンが集結して誕生した企画性の高いユニットだ。その2008年の初作『Jungle Struttin'』(Ubiquity Records)を覚えている人も多いだろう。レゲエ、USファンク、エチオ・ファンク、クンビアなどのリズムが混在し、ダブ・ミックスが施されたりする音作りが話題を集めた。そこには、レコード・マニア然とした演奏家たちが集い、曲によって欲しいゲスト・ミュージシャンやヴォーカリストを仲間に加えながらやりたいようにやる、自由度の高いセッション・グループ的雰囲気が濃厚だった。そしてそのアプローチは、このところ世界中で興隆している、"レア・グルーヴ"を極めて現代的に実演再生するミクスチャー・インスト・バンドの系譜に置かれるタイプのものだった。

 そのメンバーには、西海岸を代表するスカ~ロックステディ・グループ:ヘップ・キャットのヴォーカルで、俳優としても活躍するアレックス・デザートや、同じくヘップ・キャットの歌手兼鍵盤奏者デストン・ベリー、デ・ラ・ソウルやメイシー・グレイらのサポート・ギタリストでもあるコニー・プライス、ビッグ・ダディー・ケインやトーン・ロックのエンジニアでもあったスティーヴ・ケイがダブ・ミキサーとして参加するなど、その布陣を見ても趣味人たちのセッションという趣がプンプンしていたものだ。

 しかし今回の5年ぶりの新作では、グループの印象は随分変化していて、まさしく彼らの自由度の高さが実証されている。上述の4名は継続して中心構成員であり続けているものの、インスト曲主体の前作と打って変わって、今回は1曲以外すべてヴォーカル・チューン。さらに、新たにヴォーカリスト、DJとして参加した2名が、"先輩"のアレックス・デザートよりも多くの曲でマイクを握っている。
 ひとりはカリフォルニアの伝説的スカ・バンド:オーシャン11のヴォーカリスト:マリック・ムーア、もうひとりはI&Iサウンド・システムのMCで、スライ&ロビーのロビー・シェイクスピアーのいとこ、ブラック・シェイクスピアー。オーソドックスなロックステディ・マナーの歌唱を得意とするアレックス・デザートに対し、この2名がかなり"ロッカーズ"なムードを導入しているのだ。さらに1曲、スタジオ・ワン・レジェンド:ヘプトーンズのリロイ・シブルズが、同輩の名歌手フレディ・マッケイの「Picture on the Wall」でシビれる名唱を聴かせる。つまり全12曲のうち、11曲を4人のヴォーカリストで歌いまくる作品になっているわけだ。

 プロデューサーとしてクレジットされているのは、前掲のコニー・プライスとスティーヴ・ケイ、そして、数々のレゲエ・レジェンドの後ろでドラムを叩いてきたブレイク・コリーという3名のインスト・ミュージシャン。つまりここまでの流れから見る限り、要するにザ・ライオンズとはインスト・ミュージシャン主導のユニットであり、そのときどきの作品によってヴォーカリストを呼び寄せる。そして今作のコンセプトが"ロッカーズ"・レゲエ、ということなのだろう。コア・メンバーとして一定の演奏家を固定する以外はプロジェクトごとにミュージシャン、シンガー、DJを迎え入れるスタイルは、NYのイージー・スター・オール・スターズでもすっかりおなじみだが、こうした1回の企画ごとに仕切り直す集団の自由なあり方もかなり現代的なように思う。

 音の方では、徹底してヴィンテージ・レゲエのフィーリングを追求している。リズム・トラックはすべて往年の流儀でテープ録音され、ハモンド・オルガンなどの古い楽器に起因する"幸せな"ノイズは基本そのまま放置してある。アルバムは未発表ミックス等も加えた7インチ盤ボックス・セットでも発売されたが、アナログ盤用にはマスタリングも変えている。こうした、新録作品でヴィンテージ・サウンドを真剣に追求するというトレンドも、欧米の(特に比較的若い)レゲエやファンクのバンドの間ではかなり一般化してきており、その点からも、このライオンズは実に今風のレゲエ集団であると言えるだろう。

 まして、本作はブレイケストラ(Breakestra)、アロー・ブラック(Aloe Blacc)、マッドヴィレイン(Madvillain)らの誉れ高い作品を世に送り出した、ファンク、ジャズ、ソウル、アフロ・ビートなどのルーツ&ヴィンテージな感覚を30~40年の時空を超えてニュー・サウンドに再生させるスペシャリスト:カリフォルニアの〈ストーンズ・スロウ〉レーベルがレゲエに手を出す最初の作品でもある。そうした過去のストーンズ・スロウの作品に顕著だった、新しく、鮮やかな懐古趣味でもって、2013年のアメリカ西海岸よりヴィンテージ・ロッカーズ・サウンドを世に問うわけである。

MP3でスプリフは巻けないだろ
33回転の音の方がずっといい
だけど一層ナイスなのは 12インチのサウンド
トップは激しく ボトムはたっぷりしてる
このジェネレイションは ルーツに立ち返ろうとしてるのさ......
"This Generation"

 このアルバムのあちこちから、70年代中期にバーニング・スピアーの伴奏をしたブラック・ディサイプルズ・バンドのアンサンブルが、そのドラマーで映画『ロッカーズ』の主演だったホースマウスのシンコペイションが、聴こえてくる。ヴィデオを観れば、デイヴ・ワイルダーの弾くベイス・ギターも、ホースマウスの相棒だった当時のロビー・シェイクスピアーが弾いていたヴァイオリン・ベイスだ。あるいは Mr. レゲエ・ドラム=スライ・ダンバーのドラミング・スタイルだって、その激しさを強調して引用されている。
 全篇、オーセンティックなルーツ・ロック・レゲエに、ひとつまみの、それぞれに異なるオリジナルな新味を振りかけた仕上がり。そしてメロウネスが支配するヴォーカル・ラインからは、アルトン・エリスが、ケン・ブースが、フレディ・マクレガーが聴こえてきたりもする。

 マニアックさ極まって少々衒学的な瞬間もあるが、レゲエはかように豊かなレファレンスの集積であり、いまルーツ・ロック・レゲエを志向するということ自体、大なり小なり啓蒙なのだ。聴く人の世代や、これまでのレゲエ体験の多寡によって聴こえ方は大きく変わるだろうし、耳を澄ますポイントも違ってくるだろう。そのことも含め、とても奥深く、楽しいアルバムだ。
 全然イケてないように見えるかもしれないが、このジャケットのアイス・クリーム・ワゴンを改造したような車と、地べたに置かれたスピーカー。これこそが、そもそもの"サウンド・システム"なのだ! これは I&Iサウンド・システムの持ち物で、ブラック・シェイクスピアーが西海岸で実際に、このいにしえのスタイルの"移動ディスコ"を稼働させているらしい。つまり今回のザ・ライオンズは、このスピーカーから流れ出るのが似合う音の世界、ってことだ。

〈This Generation〉

〈This Generation (Dub Version)〉

〈Roll It Round〉

vol.49:ミネアポリスの思い出 - ele-king

 先週土曜日は、ミネアポリスのバンド、バースディ・スーツのライヴをローアー・イースト・サイドのピアノスに見に行った。
 https://www.facebook.com/birthdaysuits
 https://birthdaysuitsshows.tumblr.com
 https://www.pianosnyc.com

 ミネアポリスは、プリンスやリプレイスメンツなどのバンドを生み出した音楽の盛んなクリーンな都市で、10000以上の湖があるとも言われる湖の都市である。日本の茨城市とはシスター・シティである。

 この土曜日、会場ピアノスは、ブリッジ・アンド・トンネル(ニュージャージやロングアイランドなど、マンハッタンにブリッジやトンネルを使って来る人を指すスラング)が集うことで有名な場所。ヒップ・スターのいない人の群れを抜け、奥の会場へ。バースディ・スーツの前はエレクトロなバンドがプレイし、お客さんもそこそこ入っている。バースディ・スーツとは、生まれたままの姿、裸の男の子などの意味があるらしいのだが、今日のバースディ・スーツは日本人男子2人組、ギターとドラム。著者とは、2年前にハード・ニップスとSXSWで共演して以来である。
 パンクでバズなギターのディストーションと、癖のないヴォーカルの夢心地と対象に、ドラムの野生的ドラミング(+蛍光ピンクテープ)のパフォーマンスは、他のバンドの観客をグイグイ惹きつけていた。イギリスで活躍しているボー・ニンゲンやエッジの効いたジャパンドロイズにイメージが被る。

 著者は10年前ぐらい前にミネアポリスに滞在し、毎日のようにライヴに通って、バンドと交流を深め、ミネアポリスのコンピレーション『10,000 レイク・ストーリー』をリリースするなど、ミネアポリスは、思い入れのある都市である。会場では、懐かしい人に再会した。

 先手のミネアポリス・コンピレーションにも参加している、ハーマー・スーパースター。
 ハーマー・スーパースターことショーン・ティルマンは、セイントポール(ミネアポリスのツインシティ)出身で、バースディ・スーツとは地元友だち。現在はブルックリン在住で、ただいまツアー真っ最中だが、合間をぬって顔を出してくれた。彼は、ストロークスのジュリアン・カサブランカのレーベル、〈カルト・レコーズ〉から『Bye Bye 17』というアルバムを4月23日にリリースする。
 https://harmarsuperstar.com/
 https://www.cultrecords.com/

 もうひとり、田中ヒロくんは、ショーンと同じ頃にミネアポリスで出会って以来、10年ほど顔見知りで、最近はSXSWやLAで偶然遭遇していた。現在LA在住の彼は、全身一体ウエルカム! な、すばらしいキャラの持ち主で、カーシヴ、ロウレンス・アームス、マイナス・ザ・ベアなどのバンドとツアーをともにし、写真を撮って、最近〈アジアンマン・レコーズ〉から初の写真集『Dew Dew, Dew Its』を発売した。現在では、彼がまわるバンドのツアー会場と、東京のある美術館の売店で買えるそうだ。写真は自然な状態を、生々しく写している。そして、それらが人を警戒心を解き、瞬間を際立たせているが、そこは彼の才能。まったく素晴らしい。
 https://www.asianmanrecords.com/hiro/

 バースディ・スーツを見に行ったのだが、ミネアポリス繋がりで、バンドと人の新たな一面を発見できた。この後、みんなで飲みに行くのだが、誰ひとり最後まで帰らない。バースデー・スーツはこの後も休みなしでイースト・コースト~ミッド・ウエストと4月中旬まで旅を続ける。

Mala@ele-king TV - ele-king

 今月の20日に東京でのDJを控えているダブステップのカリスマ、マーラが、ドミューンに生出演します。DJプレイは、本番でしかやらないという彼の主義のため、現場に行ってもらうしかないようですが、18日は公開インタヴューということで、喋ってくれます。盟友ゴス・トラッドも同席しての、ディープ・メディ・ミーティングといった感じになりそうです。夜7時から9時まで、お見逃しなく。ele-kingもサポートさせていただきます。たまにはdommuneにも来て下さいね。
 それで、予習。『マーラ・イン・キューバ』の素晴らしいPVを見つけたので、まだの人、ご覧下さいませ。そしてDBSに行こう。

Mala - Cuba Electronic


"Noches Sueños"--Mala featuring Danay Suárez [Official Video]


タイトル:ele-king TV Presents "MALA IN DOMMUNE"
出演:MALA、GOTH-TRAD、野田努(司会)、チクヒコウイチ(通訳)
内容:UKダブステップ界の最重要人物MALAがDOMMNEに登場! アルバム『MALA IN CUBA』で新たなる新境地を開拓! 音楽革命家MALAが主宰するレーベルdeep mediを解説!
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