「ZE」と一致するもの

メガネ - ele-king

 映画でアンニュイな女性像を観たのは『もう頬づえはつかない』(79)が最初だった。桃井かおり演じる人生に対してつねにいぶかしんで、これでもかと気だるげな女性像はそれまでのステロタイプだった若者のイメージを覆し、いまから思えばプレ・パンク的なムードを漂わせていた。芳村真理演じるタレント・マネージャーが「社会を動かせると思った」と口ばしる吉田喜重監督『血は渇いてる』(60)や加賀まりこがアゲ嬢のはしりを演じる中平康監督『月曜日のユカ』(64)など時代とともに積極的でアグレッシヴになっていった女性像が伊藤俊也監督『女囚701号さそり』(72)による梶芽衣子を最後に完全に方向転換してしまった瞬間とも言える。そして、80年代以後、脱力キャラはスタンダードな表現と化し、最近では安藤桃子監督『0.5ミリ』(14)によってけっこうな洗練が加えられていた。

 メガネもその系譜にいる。ごくごく日常的な題材が大半を占め、“夏バテ”では「暑〜い」「だる〜い」とまったく感情を波立たせることなく、たどたどしいラップがどこまでも続く。ミックスがそのように心掛けているからだろうけれど、言葉がすべてクリアにわかるのがよく、「気」が抜けているわりに「気持ち」はむしろ過剰なほど伝わってくる。押し付けてくるものがまったくなく、引くだけ引いているにもかかわらず、それこそ『もう頬づえはつかない』同様、主役が隠せば隠すほど感情が剥き出しになってくるかのような転倒も起こってくる。また、ミニマルに徹するのかと思えば気の抜けたラップはそのままにいきなり宇宙に思いを馳せたり、“優しさ”では人間論にも接近したりと、パースペクティヴが固定されていないのもいい。“生きる”ではタイトル通りの葛藤がそれと感じさせることなく述べられていく。

 プロデューサーの力量なんだろうか、驚くのはプロデューサーが13人も参加しているにもかかわらずトータル感がまったく損なわれていないことで、前半は穏やかに脱力感を増幅させつつ、Ryuei Kotogeによる“夏の終わり”ではダブとウエイトレスが交錯したような独特の展開がまずは耳を引く。7曲めとなるScibattlonの“お好み焼きはダンスホール”からは多方面に向かって実験的な様相を呈しはじめ、食品まつりによる“夜に溶ける”はノイジーなボディ・ミュージック仕立てで相変わらずセンスがいい。それ以外のプロデューサー名を羅列すると、Bestseller、Gnyonpix、Franz Snake、クラーク佐藤、Uncle Texx、石井タカアキラ、エスケー、Xem、Indus Bonze、Ucc3lli、フィーチャリングMCはMC Dovasa、ペリカン、MC松島、Dizと、全曲、じつによくできている。

 メガネは普段、名古屋のOLだそうで、脱力というのが感情労働の放棄だとしたら、Charisma.comは対照的にここ3年ほどあからさまな怒りと罵倒で注目を集めてきた東京のOLデュオ(映画の女性像でいえば吉田大八監督『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(07)やタナダユキ監督 『百万円と苦虫女』(08)からまっすぐに来た感じでしょうか)。正直、ワーナーに移籍してからはやや手が伸びなくなっていたところ、新作のジャケット・デザインがデビュー作『アイアイシンドローム』と同じ発想だったので、まあ、どれだけ煮詰まっているかを確認してみるかと。初めて“HATE”や「飾りじゃないのよ 中指は」といったウィットのある歌詞を聴いたときの驚きはもちろんあるわけはなく、こちらも刺激には麻痺しているので、どうしても新機軸を求めてしまいますけれど、罵倒と表裏一体をなしていた皮肉がそれだけで成り立つフォーマットを構築しきれていないので、やはりまとまった作品としては物足りなさが残る(同じ発想の繰り返しだけに、視線を逸らしているジャケット・デザインが『アイアイシンドローム』のように確信を持っていないことを曝け出しているともいえる)。メジャーに行かなければよかったのに……という結果だけは避けてほしいです。

GLOBAL ARK - ele-king

 DJ MIKUは90年代世代にとっては司祭。この男が、1992年から1995年のあいだの都内のアンダーグラウンド・テクノ・パーティにおいて、どれほど多くの人間を踊らせたことか。この時代の関東在住のテクノ好きで、彼がレジデントを務めたウェアハウス・パーティ「キーエナジー」で踊っていない人間はまずいない。「キーエナジー」で朝まで踊って青山マニアック・ラヴのアフターアワーズに行くというのが当時のお決まりのコースだった。
 その東京オリジナル・レイヴ世代の司祭と有志ある仲間のDJたち、ミュージシャンらが集い、「GLOBAL ARK」という本格的な野外レイヴ・パーティがはじまっている。今年でもう5回目になるそうだ。
 簡単な話だ。昔はクラブもレイヴも安かった。だから音楽を楽しみたい金のない若者は(コンサートよりも)クラブやレイヴを好んだ。DJ MIKUがいまやりたいのはそれで、しかもあの頃のパーティはみんな手作りだった。その手作り感もじつはものすごーーーく重要だった。誰も金のかかった内装を欲しかったわけではないから。
 (マニアック・ラヴなんか照明も手動でやったり、ぼくたちも自分たちでDJパーティを企画したときは、当然自分たちで場所を借りて、掃除から機材の運搬まで何から何までぜんぶ自分たちでやった。DIYをそれで学んだといったら格好良すぎだけど、いい意味でいまよりハードルが下だったし、いい意味で商売気がなかった)

 以下は、「GLOBAL ARK」の開催主旨の原稿からの抜粋です。

 「本来の野外ダンス・パーティの基本形である、近い・安い・楽しい! を実現する野外パーティはどうだろうか? 最近ないな……。(略)誰もが気軽に楽しめるFEEと都心からも近いキャンプ場。ピースフルな雰囲気。踊りに行くのに貯金しなくても大丈夫! 選ばれしリッチマンじゃなくても大丈夫! ひとりで来ても大丈夫! そんなパーティがまた復活したらいいな。という単純なきっかけで開催を決意したのが5年前でした」

 6月4日昼から6月5日までのあいだ、奥多摩をずうっと進んで山梨県に入るとある【玉川キャンプ村】にて「GLOBAL ARK」は開催される。入場は、前売りで5千円、当日で6千円。儲けるとか考えない。なによりもオリジナル・レイヴの精神によって生まれたこの野外レイヴ・パーティ、とくに「レイヴっていったいどんなものなの?」という若い人たち、梅雨入り前のいい季節だし、行ってみる価値は大いにありです!

■GLOBAL ARK

2016.6.4.sat - 6.5.sun at Tamagawa Camp Village(Yamanashi-ken)
Gate Open:am11:00 / Start: noon12:00
Advance : 5,000 yen Door : 6,000 yen
Official Web Site : https://global-ark.net

■ Line up

- Ground Area -

Eduardo de la Calle (Analog Solution / Cadenza / Hivern Discs / SPA)
Nax_Acid (Aconito Records / Phorma / Informa / Kontrafaktum / UK, ITA)
ARTMAN a.k.a. DJ K.U.D.O.
DJ MIKU
KAORU INOUE
HIDEO KOBAYASHI
GO HIYAMA (Hue Helix)
TOMO HACHIGA (HYDRANT / NT.LAB)
MATSUNAMI (TRI-BUTE / EXPECTED)
NaosisoaN (Global Ambient Star)

Special Guest DJ :
DJ AGEISHI (AHB pro.)

- River Area -

DJ KENSEI
EBZ a.k.a code e
DJ BIN (Stargate Recordings)
AQUIRA (MTP/Supertramp)
R1(Horizon)
DJ Dante (push..)
DJ MOCHIZUKI (in the mix)
Shiba@FreedomSunset - Live
山頂瞑想茶屋
ENUOH (ΦΤΦ / THE OATH)
OZMZO aka Sammy (HELL m.e.t)
Kojiro + ngt. (Digi-Lo-t.) - Live
SHIGETO TAKAHASHI (Time and Things)
NABE (Final Escape)
KOMAGOME (波紋-hamon-)
PEAT (ASPIRE)
VMIX (Twinetrax)
AGBworld (INDIGO TRIBE)
TMR Japan (PlayGroundFamily / CANOES BAR TAKASAKI)
Nao (rural / addictedloop / LivingRoom)

- Wood Lounge -

TARO ACIDA (DUB SQUAD)
六弦詩人義家 - Live
Dai (Forte / 茶澤音學館)
ZEN ○
Twicelights (ADSR) - three-man cell - Live
DJ Kazuki (push..)
ALONE (Transit / LAw Tention)
Yamanta (Cult Crew / Bio Sound)
TORAgon (HIPPIE TWIST / NIGAYOMOGI)
DUBO (iLINX)
MUCCHI (Red Eye)

Light Show : OVERHEADS CLASSIC - Ground Area -

Vj : Kagerou - River Area -

Sound Design : BASS ON TOP

Decoration : TAIKI KUSAKABE

Bar : 亀Ba

Food :
Green and Peace
Freewill Cafe
赤木商店
Food Studio ODA家
Gypsy Cafe

Shop:
Amazon Hospital
Big ferret
UPPER HONEY

FEE :
前売り(ADV) 5,000円 当日(DOOR) 6,000円
駐車場(parking) : 1,000円 / 場内駐車場1,500円
(場内駐車場が満車になった場合は
キャンプ場入口から徒歩4-5分の駐車場になります)
テント1張り 1,500円
Fee: Advanced Ticket 5,000yen / Door 6,000yen /
Parking(off-track)1,000yen /(in the Camp Site)
1,500yen
Tent Fee 1,500yen

【玉川キャンプ村】
〒490-0211 山梨県北都留郡小菅村2202
TEL 0428-87-0601
【Tamagawa Camp Village】
2202 Kosuge-mura, Kitatsuru-gun, Yamanashi-ken,
Japan

● ACCESS
東京より
BY CAR
中央自動車道を八王子方面へ→八王子ジャンクションを圏央道青梅方面へ
→あきる野IC下車、信号を右折して国道411号へ→国道411号を奥多摩湖方面へ約60分→奥多摩湖畔、深山橋交差点を左折7分→玉川キャンプ村

BY TRAIN
JR中央線で立川駅から→JR青梅線に乗り換え→青梅駅方面へ→JR青梅駅で奥多摩方面に行きに乗り換え→終点の奥多摩駅で下車→奥12[大菩薩峠東口経由]小菅の湯行バス(10:35/13:35/16:35発)で玉川停留所下車→徒歩3分

Tamagawa Camp Village
2202 Kosuge-mura, Kitatsuru-gun, Yamanashi-ken, Japan
Shinjuku(JR Chuo Line) → Tachikawa(JR Ome Line) → Okutama → Transfer to the Bus to go Kosuge Onsen.Take this bus to Tamagawa Bus Stop

Okutama Bus schedule:10:35 / 13:35 / 16:35
(A Bus traveling outward from Okutama Station)
(Metropolitan Inter-City Expressway / KEN-O EXPWY)
・60 minutes by car from KEN-O EXPWY "Hinode IC"Metropolitan Inter-City Expressway
・60 minutes by car from KEN-O EXPWY "Ome IC"(Chuo Expressway)
・60 minutes by car from CHUO EXPWY "Otuki IC"Chuo Expressway
・60 minutes by car from CHUO EXPWY "Uenohara IC"

● NOTICE
※ ゴミをなるべく無くすため、飲食物の持ち込みをお断りしておりますのでご協力お願いします。やむおえず出たゴミは各自でお持ち帰りください。
※ 山中での開催ですので、天候の変化や、夜は冷え込む可能性がありますので、各自防寒着・雨具等をお忘れなく。
※ 会場は携帯電波の届きにくい環境となってますのでご了承ください。
※ 違法駐車・立ち入り禁止エリアへの侵入及び、近隣住民への迷惑行為は絶対におやめください。
※ 駐車場に限りがあります、なるべく乗り合いにてお願いします。
※ お荷物・貴重品は、各自での管理をお願いします。イベント内で起きた事故、盗難等に関し主催者は一切の責任をおいません。
※ 天災等のやむ終えない理由で公演が継続不可能な場合、アーティストの変更やキャンセル等の場合においてもチケット料金の払い戻しは出来かねますので何卒ご了承ください。
※ 写真撮影禁止エリアについて。
GLOBAL ARKではオーディエンスの皆さまや出演者のプライバシー保護の観点から各ダンスフロアでの撮影を禁止させていただいております。 そのため、Facebook、Twitter、その他SNSへの写真及び動画の投稿、アップロードも絶対にお控えくださるようお願いします。尚、テントサイト、フードコートなどでの撮影はOKですが、一緒に来た友人、会場で合った知人など、プライベートな範囲内でお願いします。

Chimurenga Renaissance - ele-king

 3月末に首相官邸で行われたアベとムガベの握手がまるで独裁政権の契り合いに見えてしまったからではないけれど、ムガベ大統領が30年以上も牛耳るジンバブエにルーツを持ち、父親がンビラ(親指ピアノ)奏者としてマリンバ・アンサンブルを率いていたテンダイ・マレーアと、コンゴに起源を持つらしきフセイン・カロンの2作目を。マレーアはディゲブル・プラネッツのシュマエル・バトラーとスター・ウォーズ由来らしきシャバズ・パレシィズとして〈サブ・ポップ〉からも2枚のアルバムをリリースしてきた成長株。ユニット名に使われているチムレンガとは戦いとか抵抗といった意味らしく、近年は人権や社会正義を示すようにもなっているという(タイトルの「銃を持った女たち」とは橋元さんのことだろうか?)。

 2年前のデビュー・アルバムはそれこそシャバズ・パレシィズに作風も近く、マルカム・マクラーレンを思わせるシャンガーンなどもありつつ全体としてはヒップホップの範疇に留まるものではあった(映像も楽しめる→https://www.youtube.com/watch?v=2ChY5_uSR-8)。それが、ここではジャケットに貼られたステッカーでも強調しているようにジンバブエのビートとコンゴのギター奏法が前面に押し出され、US風のヒップホップはかろうじて殻を残しているだけに過ぎない。セネガルのヒップホップなどはあまりにもアメリカのコピーでしかなく、アフリカの遺伝子がむしろ移民先で花開くという図はダンス・ミュージック全体に見通せることとはいえ、これだけ面白い例はなかなかないかもしれない。レーベル・サイドはこれに「アフロ-フューチャリスト・ヒップホップ」というレッテルを与えている。

 透明度の高いギター・サウンドが終始、明るいムードを呼び込むのに対し、歌詞はかなり政治的らしく(それはムガベに対するもの? それともアメリカ?)、「およげ!対訳くん」とかで取り上げてくれないかなーと。前作同様、宇多田ヒカルが絶賛していたジーサティスファクションからサッシー・ブラックもMCで参加。アナログ・オンリーのようで、ダウンロード・コードが付いてます。

 アフリカついでに、ドミューンでもけっこう受けたゴールデン・ティーチャーのメンバーが参加したグリーン・ドアー・オールスターズのデビュー作も。これはグラスゴーとガーナ、そして、ベリーズ(旧英領ホンデュラス)から複数のグループが混在としたセッション・バンドで、どうやら主導権を握っているのはグラスゴーのグリーン・ドアーというスタジオ(〈ZEレコーズ〉からマイケル・ドラキュラの名義でアルバムをリリースしていたエミリー・マクラーレンがプロデュース)であり、同じくグラスゴーのハントリーズ&パーマーズ(『クラブ/インディレーベル・ガイドブック』p.55)から主宰のアウンティ・フローやオプティモのJ・D・トウィッチが最終的に宅で仕上げているという過程はどうしてもエイドリアン・シャーウッドのニュー・エイジ・ステッパーズを想起させる。ただし、レゲエではなくアフリカ。アリ・アップの役回りはやはりゴールデン・ティーチャーのキャシー・オージでしょうか。

 オープニングからしばらくはイメージ通りのアフリカ音楽が続き、だんだんダブを多用したり、クラブ的なスキルが比重を増してくる。エンディング近くになってくると、パーカッションの刻み方だけでアフリカ音楽を感じさせるだけで、チムレンガ・ルネッサンス同様、形式性はどんどん希薄になっていく。どこまでやったらレゲエとは呼ばれなくなるかという問いがニュー・エイジ・ステッパーズに存在していたとしたら、同じことがここではアフリカ音楽によって行われていることは間違いない。時にハンドクラップだけ、ハットとコーラスだけでアフリカがそこに立ち現れてくる。

 ハドソン・モホークやラスティといったベース系だけでなく、グラスゴーといえばメアリ・スチュワート人気といい、スコットランドの独立騒ぎであれだけ高揚したんだから、面白い音楽が出てこないほうがおかしいともいえるけれど。

Frankie Cosmos - ele-king

 ああ、短い。1分、2分たらずのポップ・ソングが15曲。気がつけばすべて終ってしまっていて、しかしその終ってしまった時間のなつかしいこと……。

 いわゆる2ミニット・ポップというのとはニュアンスがちがう。楽天的でキャッチー、かつ鉄壁のポップ・フォーマットを持っている、というのではなくて、それはさながらため息のような、笑い声のような、問いかけであり独白であるような、とりとめのない一筆書きの感情の束というのに近い。「曲」という単位がふさわしいのかどうかもわからない。メモ紙が風に飛ばされるようにわっとこちらにやってきて、その白い残像を網膜にやきつけてどこかへ消えていく。なんと軽やかで、しかしなんという質量をもっていることか。

 ああ、いまのあれは何だったのだろう……心地よい渇きとともにあらためてわれわれはその名を記憶する。フランキー・コスモス。ニューヨークのシンガーソングライター、グレタ・クラインのプロジェクト。齢20歳ちょっと。2014年の『ゼントロピー(Zentropy)』をご存知のかたも少なくないはずだ。しかし彼女を聴くのに順序やバイオは関係ない。どこを切ってもそのままのフランキー・コスモスが姿をのぞかせるし、彼女に触れることがそのまま彼女を聴くことになるということを私たちはすぐ知ることになる。

 ローファイでシンプル。ギター主体のバンド・アンサンブルが基本だが、楽曲をつくるのは彼女であり、あくまでクラインのプロジェクトとして成り立っている。素朴ではあるが、それを天然と呼ぶにはあまりに聡明かつ理性的、そしてヘタウマというにはあざとさがない。ビート・ハプニングを思わせる。キャルヴィン・ジョンソンのあり余るタレント性の中から、ちょっとした露悪性というかクセの強さを差し引くイメージだ。あるいはそのキャルヴィンによる〈Kレコーズ〉のタイガー・トラップの自然体を思い出す。旋律のひとつひとつが生き生きとして、風のように力が抜けている。かつ構成的でも様式的でもない。音楽でなくてもよかったのではないかという普遍性と、音楽でなくてはならなかった特別なよろこびに満ちている。

 歌われていることは、基本的には一人称の、クライン自身の生活に根差すことがらのようだ。物語性や詩的な飛躍が強いわけではないが、体験を生々しくつづるというのでもない。まだとても若いのに、どことなくものを儚み、倦んでいるような調子があるのがとても印象的だ。いまは離別したとおぼしき思い人の町をひとりで歩き、いろんなものに相手の気配を感じとっていくというかわいらしい心情の歌われる"O・ドレッデッド・C・タウン"も、最終的に耳に残るのは「I don't know or care to know」という諦めのニュアンスばかり。バンドには彼氏さんだというポーチズのアーロン・メインも参加し、彼のポーチズにもクラインが参加していて、昨年はふたりで制作したEP『フィット・ミー・イン』もリリース、ポーチズに寄った柔らかいシンセ・ポップが収められているばかりか、ジャケットのアートワークにもふたりを思わせる男女のドローイングを用いていて、とてもよい関係の中に音楽が紡ぎ出されていることはわかるが、恋にはじけ夢中になるというテンションはまるでない。

 若いことは華やいだことでなくていい──クラインのみずみずしさはティピカルな若さのモチーフを解体してくれる。そう気づいたとき、彼女の感じているはずの風や光が、生々しい量感を帯びて肌に触れてくる。それは筆者にとっても「ニュー・シング」とよぶべき瞬間だった。

OPNとFKAツイッグスがコラボ!? - ele-king

 どこまで交友の輪を広げるつもりなのでしょうか。「ともだち100人できるかな」とでも言わんばかりに、またしてもOPNが新たなコラボレイションを仄めかす映像を公開しました。お相手はなんと、FKAツイッグスです。ふたりはそれぞれ、同じ2秒ほどの短い動画をインスタグラムに投稿しています。今後のふたりの動向に注目です。

https://www.instagram.com/p/BEG-PMYDhxq/

https://www.instagram.com/p/BEG-bpSC-rv/

@eccojams_が投稿した動画 -

Susumu Yokota - ele-king

 ダンス・カルチャーとは朝まで踊ること。いちどダンスフロアに出たら水分補給以外はフロアに居続けること。現実には起こり得ないと思っていたことが目の前で起きていること。知り合いと会うと、いや、初めて会ったひとともハグしあって、「愛してるよ~」と真顔で言い合うこと。気持ち悪いよなぁ、でも当時はそれが普通だった。で、明け方、帰るときに(踊りすぎで)膝がガタガタになっていることに気がつくこと。ダンス・カルチャーとは朝日がやたら眩しいこと。あるいはトイレ付近で……(これ以上は書かないでおこう)。
 あの地下の階段を下りるときいつもドキドキした。今夜は何が起きるんだろう、明け方にはどうなっているんだろうと思ってドアを開けた。クラブはビールを片手に談笑する場ではなく、ただ無心に踊る場であり、クラバーはDJを見るのではなくお互い(もしくは宇宙)を見ていた。これが1992年から1994年の東京の週末に起きていたことだった。

「ダンス・カルチャーとは、ラジカルに対立するふたつのレイヴすべてに関する事柄が一体化されたものである。ひとつ、トランセンデントラル(超越的)で、ネオサイケデリックかつより高次な意識の論述──ヒューマニティ/ガイア/宇宙が結合する海。もうひとつ、エクスタシーとレイヴ・カルチャーがせき立てる10代の安っぽいスリルのラッシュ・カルチャー……」サイモン・レイノルズ『Generation Ecstasy』

 この狂騒の季節において欧州(とくにUKとドイツ)の主要都市では、多くの記録者(プロデューサー)が多くのドキュメント(作品)を残しているが、横田進は東京において数少ない記録者のひとりだ。この度サブライムから再発された『Acid Mt.Fuji』は彼の代表的な記録のうちの1枚。1994年の作品である。
 じつはこの前年のEBI(海老)名義のアルバム『Zen』(ベルリンのスペース・テディからリリース)やFrankfurt-Tokio-Connection名義の諸作(フランクフルトのハートハウスからリリース)の頃がダンス・ムーヴメントのピークだったので、『アシッド富士山』はその第一段階の最終章と言える。メロディ重視の曲作り、ささやかなアンビエント・タッチは熱から冷めようとする次の季節の予兆ともいまとなっては言えるが、まあやはり、『アシッド富士山』(というタイトル)であることは誤魔化しようがない。再発されたこのCDには、1994年6月の伝説のライヴが収録されているが、それは狂騒の季節の記憶の断片、それ以外の何ものでもない(そういう意味では貴重な音源)。
 ぼくは1995年の『Metronome Melody』を評価している。透き通った音色の綺麗なメロディ、それが横田作品の最大の魅力だったと思っているからで、実際の彼も物静かで耽美的な人だった。しかし本来ならダンスしなかったそういうひとたちもダンスなしではいられなかったのが1992年~1994年の東京のアンダーグラウンドだった。あれは何だったんだろう……何年も経って、いろいろな人がさまざまなことを考えている。ある海外の批評家が、あれは、社会のさまざまなプレッシャーから集団まるごと解放されてしまった状態であり、ゆえに当たり前だと思っていたことがじつはプレッシャー(抑圧)だったと気づいてしまったと、よってノンポリ集団が社会とリンクしていくのである云々と分析していたことがあったけれど、それはたぶん正解で、たぶん間違ってもいる。

 去る3月27日は横田進の一周忌ということで、生前につきあいのあった人たちが集まった。その会場となった渋谷のクラブ・ギャラクシーに向かう途中で、桜を見ながら、ああ、横田さんはこんなに桜が綺麗なときに亡くなられたのか、そういえば彼の最高傑作の1枚は『SAKURA』というタイトルだったな、と思った。

news_Moe and ghosts × 空間現代『RAP PHENOMENON』、いよいよリリース、そしてレコ発のお知らせ

 彼女は、そうだね、たとえば最近の、ゆるふわ系女子がラップしましたっていうのとはわけが違うんだよ。ホンモノのラッパーだ! と、信頼のおける某ライター氏が言っておりました。たしかに……Moe and ghosts 、その速くて独特のアクセントのフローに、ジャズドミュニスターズなどで聴いてびっくりされた方も多いでしょう。
 早くから期待が高まっていたMoe and ghostsと空間現代との共作『RAP PHENOMENON』は、いよいよ来週の水曜日(6日)に発売されます。
 また、4月6日にDOMMUNEにてオンライン・リリース・パーティ、5月30日には渋谷WWWにてZAZEN BOYSとのツーマン・レコ発も決定しました。これ、間違いなく注目作です。



Moe and ghosts × 空間現代
RAP PHENOMENON
NKNOWNMIX 42 / HEADZ 212
2016年4月6日発売

Amazon

■TRACK LIST:

01. DAREKA
02. 不通
03. 幽霊EXPO
04. TUUKA
05. 新々世紀レディ
06. 可笑しい
07. 少し違う
08. TASYATASYA
09. 同期
10. DOUKI
11. 数字
12. ITAI

Moe and ghosts: Moe, Eugene Caim
kukangendai: Junya Noguchi, Keisuke Koyano, Hideaki Yamada

All lyrics by Moe and Junya Noguchi
Except Track 6 (Mariko Yamauchi "It's boring here, Pick me up.")
All music produced by kukangendai
Except Track 1, 4, 8, 10, 12 produced and mixed by Eugene Caim, contain samples of kukangendai

Recorded by Noguchi Taoru at Ochiai soup
Rap Recorded and Mixed by Eugene Caim at DADAMORE STUDIO
Mixed and Mastered by Tatsuki Masuko at FLOAT

Photographs: Osamu Kanemura
Design: Shiyu Yanagiya (nist)

 2012年に発売され異形のフィメール・ラップ・アルバムとして話題となった1st『幽霊たち』から、約4年振りの作品リリースとなる"Moe and ghosts"と、昨年はオヴァルやマーク・フェル、ZS、OMSBら国やジャンルを越えたリミキサーが参加したリミックス・アルバム『空間現代REMIXES』をリリースし、日本最大級の国際舞台芸術祭「フェスティバル/トーキョー」に出演するなど各方面で注目を集める"空間現代"のコラボ・アルバムが発売決定。
 2015年に開催されたHEADZの20周年イベントにて初披露されたこのコラボレーションは、巷の安易な共作ではなく、互いが互いの音楽を研究しつくし、互いの音楽が寄り添いつつ並列し昇華される、前代未聞のコラボレーション、前代未聞のラップ・アルバムに仕上がった。
 山内マリコの小説「ここは退屈迎えに来て」のテキスト使用した楽曲や、未だ謎に包まれるMoe and ghostsのトラックメイカー、ユージーン・カイムが空間現代をリコンストラクトしたトラックも収録。
 ジャケット写真は金村修。ジャケットデザインはブックデザイナーの柳谷志有。バンド録音は、にせんねんもんだい等の録音を手がける野口太郎。ラップ録音はユージーン・カイム。ミックス・マスタリングは砂原良徳やiLL等を手がける益子樹が担当。
 2016年4月6日にDOMMUNEにてオンライン・リリース・パーティ、5月30日には渋谷WWWにて、ZAZEN BOYSとのツーマン・レコ発が決定している。

■アルバムのティザー映像

■LIVE

2016年4月6日(水)
@DOMMUNE 21:00-24:00
【"RAP PHENOMENON" ONLINE RELEASE PARTY】
LIVE:Moe and ghosts × 空間現代
DJ:GuruConnect(from skillkills)

2016年5月30日(月)
@渋谷WWW
【"RAP PHENOMENON" release live】

LIVE:
Moe and ghosts × 空間現代
ZAZEN BOYS

open18:30/start19:30

前売:3000円(+1D)
※ぴあ[Pコード:295-316]、ローソン[Lコード:75789]、e+[https://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002187031P0030001]にて4/9~販売開始

https://www-shibuya.jp/schedule/1605/006575.html

珍盤亭娯楽師匠 - ele-king

カンフー映画・サントラ7inch record

DJ SHIBATA (探心音 / THE OATH) - ele-king

2016.03.Chart

interview with Hocori - ele-king


Hocori - Duet
Conbini

J-PopSynth PopHouse

Tower

 Hocoriのふたりの話には、「(笑)」が多い。
かたや聞き手への気づかいや持ち前のエンターテインメント精神から。かたや謙虚さや韜晦、自分たちへの客観的な視線から。心地よく笑いが差し挟まれ、空気がほぐされていく。とても自然で落ち着いた間合い。Hocoriの音楽の魅力もちょうどそんなふうだ。

 現在の音楽にかつてほどのカルチャー的な求心力はないかもしれないが、それでもポップ・ミュージックにはまだまだ役割がある。10代のめちゃくちゃさや20代の機動力ではなく、少し引いたような落ち着きの中に、苦みもけだるさも熱もとけているHocoriのダンス・ナンバーは、イヤホンの中でふと筆者を我に返らせ、ときおり忘れがたいフレーズをあたまの中に繰り返しては帰路の足取りを軽くしてくれる。ちょうどいい音で、ちょうどいい距離感で、少し深めに間合いに入ってくる。それは年齢が近いせいもあるかもしれない。本で読むものとも映像として入ってくるものともちがうやりかたで、日常の中にとけこみながら、その風景を少し揺すぶって弾ませてくれる。彼らの息づかいを通して、いま生きている場所へのシンパシーの回路が開いていく。

 桃野はモノブライト、関根はgolf、それぞれ別にバンドの活動があり、彼らはそれらと並行して、つくりたいときにつくり、やりたいことだけをやり、出せそうになったら盤を出すというこの「ホコリ」を積み上げている。そうした緩やかなスタンスに、彼らの音の気持ちよさと鋭さのヒントがあるだろう。ガツガツいくだけが能ではなく、ただ続けるだけが吉でもない。このたびリリースされた5曲入りEP『Duet』を題材に、彼らのありかたについて訊ねてみよう。

■Hocori / ホコリ
ロック・バンドMONOBRIGHTのフロントマン桃野陽介と、エレクトロ・ポップ・バンドgolf、映像グループSLEEPERS FILMにて活動する関根卓史による音楽デュオ。2014年に結成され、2015年7月、ファースト・ミニ・アルバム『Hocori』を発表。アパレル・ブランド〈ユキヒーロープロレス〉とのコラボ盤『Tag』などにつづき、2016年3月、モデルの田中シェンを迎えた企画盤『Duet』をリリースした。

以前お話をうかがってから、少し時間が経ちましたね。Hocori自体はとてもマイペースにご活動されているユニットだと思うんですけれども、この間、おふたりはそれぞれどんなことをされていたんですか? 桃野さんはバンド(モノブライト)のほうが動き出したりしましたよね。

桃野陽介(以下桃野):そうですね。バンドのほうの曲をつくったり、レコーディングのタイミングも近かったので、Hocoriと並行してかなり引きこもり気味に集中していました。引きこもるのは珍しいんですけどね。でも、ライヴもなかったですし。

ああ、年内はなかったですもんね。

桃野:ただ、今回は関根さんがトラックをまるまるやっているので、僕はメロディとか詞だけというか──バンドではけっこう頭を使ってデモをつくっていたけど、こっちのほう(Hocori)では関根さんのトラックに感じたものを乗せていく、というやり方になりましたね。

関根卓史(以下関根):より合作っぽくなっているかもしれないですね。『Hocori』は半分くらい桃野くんのデモから起こした曲があったけど、今回は一からつくっていったんですよ。僕から投げて桃野くんから返してもらう……そういう曲しかないんで。

それは大きくちがいますね。今回の盤を考える上で根本的なことかなと思います。関根さんはSLEEPERS FILMのほうでお仕事として映像をつくったりという時間が長かったんですか?

関根:そうですね。あとはミックスとか、そういう仕事もわりとやっていました。自分のgolfのほうの音源も作っていましたが……、ついに出せなかったですね(笑)。

桃野:ついに(笑)。

ははは。きっと、このHocoriっていうプロジェクトは、その意味ではやりやすいんでしょうね。リラックスしてつくれるというか。

関根:停滞しないっていうか。いい感じに責任が分担されるので(笑)、重くないんですよ。

桃野:そう、重くない。

関根:すごくいいですね、それが。健全って感じ。

あはは。縛られずに、やりたいことだけやれると。

関根:そうですね、やったことのないことをやれたりとか。かなり貴重なことだと思います。

そうやって自分たちのペースを保てるのは、このユニットの肝かもしれないですね。ほんとに、のびのびつくられている感じがします。

今回はもうちょっと「聴かせたくて」つくった感じがあるかなと思います。目の前にいるひとたちに。(関根卓史)

さて、リリースなどを読むかぎりだと、今回の作品はかなりはっきりコンセプトが掲げられていますね。「聴いて見てオシャレになれる新しい1枚の続編」。

桃野:ははは。

とすれば、この一枚の中におふたりの「オシャレ」の観念とか基準が反映されているというふうに読めますが、どうですか? 

桃野:まずは、好きなことをやってますよね。それから、デュエットということを意識しているので、コラボレーションの要素は強いです。あと、以前は曲をつくってから──つまり盤を出してからライヴをやるという順番でしたけど、今回はライヴをすることで「こんな曲も欲しいな」という必要が生まれてきたことも大きいかもしれません。僕だけで歌ってるのもなあ……って。いっしょに歌おうよというノリが出てきましたね。

ライヴのプロセスは今作にとって大きい、と。

関根:それは大きいですね。むしろ、その雰囲気がいちばん先にあるかもしれません。

なるほど、そう言われてみれば『Hocori』はもっとベッドルーム感が強かったかもしれないですね。

関根:そう、それに比べれば、今回はもうちょっと「聴かせたくて」つくった感じがあるかなと思います。目の前にいるひとたちに。

前に向ける感じ、一歩出る感じはよくわかります。まず関根さんにおうかがいしたいんですが、今回も総じてファンキーなシンセ・ポップで、そのあたりは前作の延長上にあるものかと思います。一方で、たとえば音色的にトレンドとして意識したものなんかはありますか?

関根:ああ……トレンドとはけっこう無縁かもしれないです。でも僕の中のトレンドはあって、今回はLinn Drumの音をたくさん使いたかったのと、707(Roland TR-707)っていうリズムマシンも使いたかった。あとはエレキ・ギターを使いたかったですね。

ねえ! そこは印象深かったですよ。1曲目もそうですけど、その次とかも(“Game ft.田中シェン”)。

関根:そうそう、ロングトーンのエレキ・ギターが使いたかったんですよ。そういうふうに、やりたいもののキーワードはあって。自分でちょうどブギーっぽいものとかシンセ・ファンクとかをよく聴いていたので、その影響もあるかもしれないですね。あとは前回いただいたハウスの本(『HOUSE definitive 1974 - 2014』)をずっと読んでましたよ(笑)。

おおー、ありがとうございます。ブギーはやっぱり、ここしばらくは流れが来てたみたいですけどね。その意味では、トレンドは意識せずとも、時代とちゃんとリンクしている部分はあるんじゃないですか。

関根:ああ、自然とそういうところはあるのかもしれないですね。……そうできているのかわからないなあと思いながらつくっていたんですが。

でも、“Free Fall”はファッション・ブランド〈ユキヒーロープロレス〉さんのショーケースで使われるということですよね。それは流行とか世間とも無関係でいられない部分というか。この曲は、ショーケースのお話ありきでつくられた曲ですか?

“Free Fall”

関根:発端としてはそうですね。むしろ曲のイメージとかは向こうからいただきました。ミュージシャンの方ではないので、具体的にこうつくってほしいというような要望があったわけではなくて、印象だけですけども。「バーンといく!」みたいな。

桃野:感覚的なものを伝えてくださったわけです(笑)。

ははは。でもファッション・ショー的な場所でかかるわけですよね。ランウェイで鳴るっていうようなことを意識しました?

関根:プロレスとかだとオープニングが重要じゃないですか。入口の曲というか。それに相当するものをつくってほしいということだったので、僕らなりに考えまして。……本当にこれで合っているのかというのはわからないですが。

桃野:そもそも〈ユキヒーロープロレス〉の手嶋(幸弘)さんというひとが、ファッションの方ではあるんですが、プロレスとか特撮とか、ヒーロー的要素を取り込んでいらっしゃるんですよ。だから曲のイメージなんかも「闘いの前の男の気持ちを……」みたいにおっしゃって。でも、「闘いの前」といっても……僕は闘ったことがないというか、闘わずに生きてきたわけでして。

関根:30数年間ね(笑)。

あはは! 深夜の愛を歌ったりされているわけですからね。

桃野:そう。でもとにかく熱いものをお持ちの方なんですよね。レスラーのパッションがあるというか。だからファッションと僕らが交わるといっても、このかたがすでに変化球といいますか。ファッション業界において。

ああ、王道ではないと。

桃野:そう、言っていることもそうだと思うんですよね。僕は前の作品のときから、Hocoriでは夜の歌を歌いたいと思っていたところがあるので、その気持ちとうまく合わせられるようなものにしたいなと──言葉はプロレスっぽいものを意識しながらも、夜の男女の雰囲気やメッセージになっていればいいかなって考えていました。

なるほど。歌詞の冒頭のカウントダウンみたいな部分(「3.2.1 Are you ready?」)も、闘いの幕開けを告げるようなイメージだったり?

桃野:そうですね。格闘的な言葉を散りばめてやりたいなというところですよね。

関根:盛り上がっていく雰囲気を解釈するとこうなったという。

「そうでもないひと」代表として、こんなに楽しいことができるよというものを示せたらいいのかなと思います。何か……ポジティヴなものを。(桃野陽介)

なるほど。では「前に行く」雰囲気が感じられるのは、曲そのもののコンセプトでもあるわけですね。……しかし闘ってこなかったひとが考える闘いの曲というのはおもしろいです。

桃野:普通の家庭でしたしね。パンクの人でもないし……。

関根:怒ってない。

桃野:そう、怒れてない。だけど、どっちかというと僕のほうが怒っていると思います、関根さんと比較したら(笑)。

ははは。怒りが根本にある音楽もありますけれども、おふたりのモチヴェーションからは遠そうですね。

桃野:それに、何かに秀でる人生を歩んできたわけでもないので。「そうでもないひと」代表として、こんなに楽しいことができるよというものを示せたらいいのかなと思います。何か……ポジティヴなものを。

怒りを楽しいものに読み替えるというか。その感じはよくわかります。

桃野:いままでより明るい要素を考えようという気持ちは、わりとはっきりあったと思います。

関根:そうだね、すぐマイナーになっちゃうので。

たしかに(笑)。

関根:僕の中では勝手にハードロックっていうのもありました。すごく浅いハードロックだけど。

ギューンっていうのはね、ほんと今回チャーム・ポイントっていうか。すごくいいですよね。関根さんのすごく巧妙な……老獪といってもいいようなプロダクションづくりによって、なんともオシャレに仕上げられていると思います。

関根:ヤなかんじのギターをね……入れてるんですよ(笑)。

だからすごく楽しくつくられていつつ、攻めた曲にもなっていると思うんですが、一方では「お仕事」の作品でもあったわけじゃないですか。

関根:題材をもらってつくったという意味では、まあ、そうではありますね。

そういうのは、Hocoriとしては初めてになりますか?

関根:そうですね。

それは、クリエイティヴの上ではなにか作用があったと思います?

桃野:僕は、何かテーマをいただいてつくるというのが好きなので。マイペースにつくっているのとはちがう刺激があった気がしますね。「ない発想」をいただく、というか。

関根:僕らのプロジェクト自体がそういう発想の下に成り立っているから──

桃野:外部からの刺激でつくる、みたいなね。

関根:そう、もともとこのふたりの間での成り立ち方でもあるから、けっこう自然に受け入れられましたね。何の違和感もなく、Hocoriっぽい音楽として消化できているかなと思います。

ええ、ええ。お仕事というと「割り切る」ものというイメージがありますけど、ぜんぜんそんなふうな感じがないですね。

関根:むしろ楽しんでいるという感じですかね。とくに今回はそういうひととお仕事できている。あくまで僕らのスタンスを理解してくれた上でいっしょにやろうよと言ってくれているので。だから、「仕事」であるために何かができなかったというようなことはないですね。

桃野:そうですね。「男」とか「闘い」とかも、べつに押しつけられるわけではなかったですから。「Hocoriの中のそれをお願いします」というような。

絵を描いていたりとか、発想を楽しむひとなんだなあと思うところがあって、ものづくりを楽しむひとなのかなあと。(桃野)

なるほど。2曲目の“Game ft. 田中シェン”ですけれども。ピアノからはじまって、ファンキーなベースが入ってきて、シンセやらギターやらが入って……って音数が増えていきつつもミニマルな感じが崩れないですよね。抜き差しが絶妙です。これは田中シェンさんが入るということで、詞とかに影響はありました?

“Game ft.田中シェン”

桃野:もともとデュエットというか、コラボ的なものをやりたい気持ちはあって。それは最初のミニ・アルバムの頃からアイディアとしてはありましたね。田中シェンちゃんは、“Lonely Hearts Club”のMVに出てもらっていたので、そこからのきっかけです。インスタグラムとかを見ていても、絵を描いていたりとか、発想を楽しむひとなんだなあと思うところがあって、ものづくりを楽しむひとなのかなあと。歌は聴いたことがなかったんですけど……というか一回も歌ってないかもしれないですけど、そういう心意気のひとはいい声だろうと予想して。きっとお願いしても大丈夫だろう、なんとかなるだろうと思ってお願いしたら、「やってみたいです」ということになりました。

そうなんですね。お願いする前から曲はできていたんですか?

桃野:デモみたいのはありましたよね?

関根:そうですね、でも同時進行だったかな。「これを歌ってください」という感じではなかった(笑)。ちゃんと用意ができている段階ではないのに「やってくれよ」と言っている感じで、ちょっと無茶なお願いだったかもしれません。

でも、まさにそれこそインディ的なつながりというか。準備できたものの上に座ってもらうっていうのじゃなくて、ある意味理想的ですね。

関根:そうですね。いつになったらその曲が出てくるのかなって思われていたとは思いますが。やるって言ったけど、何をやるのかなーって(笑)。

桃野:何かやりたいなあというくらいでずーっと止まっていたので(笑)。

じゃ、田中さんがどんな声だったりヴォーカリゼーションだったりっていうことは何も知らずに進めていった?

桃野:まるで知らなかったですよね?

関根:そんなことありえるのかという。ほぼぶっつけ本番なかたちでしたね。

すごい(笑)。でも結果とてもハマりましたね。

関根:めちゃくちゃよかったですね。

桃野:やっぱりよかったじゃん! と。「ジャケ買い」に近いものがありましたけどね(笑)。やっぱいいジャケっていいアルバムなんだなという喜びに近いものが。

ははは。でも、それを曲でもって実証したわけですから、結果オーライというか。もともと歌い上げるようにはつくられていませんしね。どちらかというとコーラスっぽい感じで。

関根:そこはそうかもしれませんね。

では、彼女が歌ってくれるものとしてではなくて、いちおうご自身の曲のような感じで言葉をつくられているわけですね。

桃野:そうですね……二人称的なものを出した歌をHocoriでやりたいなと思っていたので、どっちみちハマるような気はしてましたかね。さすがに別のひとでもいいとは言いませんけれども、歌として「二人の関係」を歌うものであれば大丈夫かなあと。

二人称的というのは、二人の関係性に焦点があたるものっていう意味ですかね。なるほど。

桃野:そうなればいいなあと。“God Vibration”もそういう曲のつもりなんです。でも今回はとくに夜の営みっぽい曲なので……それはできたらかわいいひとがいいなあと。

ははは!

桃野:欲望が注ぎ込まれていますね(笑)。

かつけばけばしくないというか、少し中性的な雰囲気もあって、素敵な方ですよね。サウンドの点ではどうですか。とくにそういうことには左右されることなく?

関根:そうですね、これ自体はかなりミニマルにつくったもので……ベースラインだけで曲の展開を構成していく感じなので、どう料理してもいいトラックだなあと自分では思っていて。そこに桃野くんがおもしろいリリックとメロディを持ってきてくれたので、奇妙な感じで。これは成功だなあと感じました。

どんどん空気が入れ替わってもいいと思っているし、濃くなってもいいと思ってるし。さらに違和感を乗せられるひとをくっつけられれば楽しい、みたいな。(関根)

桃野さんも本当に桃野節というか、独特のフロウをお持ちですからね。ああ、これこれ、きたぁ! っていう。はっきり記名性を持った歌唱ですよね。しかも関根さんのトラックに対してこってりめというか……

関根:そうですね(笑)。こってりしたものが乗ってくるのが本当に楽しくて。

桃野:Hocoriはそれが売りですね(笑)。どんなに濃くしてもけっこうちゃんとマイルドに混ざるという。僕はけっこう安易なので、この曲なんかはトラックをもらったときに「ピアノではじまる曲かあ」と、すぐにホール&オーツを思い浮かべたので、じゃそういう感じにしようと思いまして。

関根:PVが送られてきましたね。“プライヴェート・アイズ”のPVが。

ははは!

関根:ぜんぜん思っているものがちがったんですけど、やっぱいいなと思いましたね。おもしろいです。

Hocoriはマインドもインディだし、音楽もわざわざポピュラリティにおもねるようなものじゃないのに、プロダクションが本当に整ってるんですよね。そこはあんまりインディ感がないというか。目立たないけどキメが細かい。今回は他のゲスト迎えられて、きっと手ごたえがおありだと思います。

関根:二人とも閉じたものにする気はなくて、どんどん空気が入れ替わってもいいと思っているし、濃くなってもいいと思ってるし。さらに違和感を乗せられるひとをくっつけられれば楽しい、みたいな。

この曲は現段階での、そのひとつの極点かもしれないですね。

関根:ああ、そうかもしれないですね。僕ら的にも。いちばんわからなかったかもしれない。最後まで。いったいどうなるのかが(笑)。

桃野:(田中シェンさんの)歌知らないでやってますからね。

関根:きっと良いに違いないということだけで、全員をつれていった。

ちゃんと駅に着きましたね。

関根:ほっとしたって感じです。

前回のインタヴューでも言っておられたとおり、桃野さんの独特の韻律と語呂合わせというか、意味はわからないんだけどこれでしかない、なぜかストンとはまる、というものがあるじゃないですか。フレージングふくめ。

桃野:ははは。いや、その、この曲の詞の場合は、行為をどう音楽的に伝えるかという問題もあったので……。

結果バンド名でそれをほのめかすという(笑)。
※(「a-ha ABBA リフレインしてAH-BA」“Game”歌詞より)

桃野:ABBAとかa-haという形で(笑)。

こういう奇蹟みたいなものがあるわけですよね、関根さん。

関根:これが来るとほんとに僕は楽しくて。なんだよこれ、と思って(笑)。

桃野:意味はないわけですから、「a-ha」とか言ってても。

あー、すごいエイティーズとか好きなんだなー、くらいにも聴こえますしね。

男二人組っていうと、どうしてもエレキ・ギターとヴォーカルみたいなスタンスですもんね。エイティーズって。(桃野)

“狂熱の二人”なんですけども。これはもう、最強感がやばいです。無敵感というか。男声コーラス最強ですね。

桃野:これはライヴで先にやってたんですよ。

関根:それがすごくよくって。ウケもよかったし、僕らも楽しいから。……僕と桃野くんの声って、ぜんぜん合わないんですよね。合わないというか、ちがうというか。だから録るとすごくおもしろいんですよ。

ヴォーカルの比重がわりと半々ですよね。

関根:曲名で「二人」って言ってるだけあって、かなり「デュエット」な曲になりましたね。

桃野:ライヴでよかったっていうこともありますけど、盛り上がるというか、明るいのもひとつやっとこうか、ということで。

関根:明るくなってるかは謎だけど(笑)。まあ、二人で歌えるいい感じのが欲しいということになって。

Hocoriでこんなにがっつり関根さんが歌われるのは──

関根:初めてですね。Cメロ歌っちゃってますよ。

ははは。私はこの曲がいちばん好きなんですよ。男性が二人で暑苦しく歌うっていうのがいいですよね。

関根:最近あんまりないですよね。そこは思いましたね。

ホール&オーツはちがうとはいえ、少しそういう気分もあったんですかね。

桃野:男二人組っていうと、どうしてもエレキ・ギターとヴォーカルみたいなスタンスですもんね。エイティーズって。

関根:(ギターに対して)オマエ、出てきちゃったな、みたいなパターンすごくあるもんね。ずっと後ろにいたのに(笑)。でもまあ、僕はどうせ出るならがっつり出ようと思って。そこはすごく意識しましたね。
 でも、僕と桃野くんの声が混ざると、びっくりするくらい僕の声が前に来ないんですよね。自分のをめちゃくちゃ前にしないとそろわない。ほんと、恐ろしいくらい出てこないんですよ。

いや、恐ろしい声をしていらっしゃいますから。それは単に声量の問題とかではなくて?

関根:たぶん占めてる音域が全然別だと思うんですよ。

桃野:僕は中域をずーん! とひた走るような声なので。

関根:僕のほうはもうちょっと上と、下に滲んでいるので……いくらやっても絡まないんですよ。

桃野:ドンシャリが(笑)。たぶんいちばん耳にくる中域を僕ががっつり占めちゃっているから。

関根:でも逆に言えば、うまくヴォーカルを配置できるんですよ。なので、音像としては一体になっていると思います。ミックスのイメージとしては真ん中が桃野くんで、まわりが全部僕、というような。そこはおもしろかったですね。

桃野:サビとかすっごい混ざりましたよね。

だからといって、強い個がひとつあって、それをもうひとつが包んでいるというよりは、ちゃんと競合しているというか。「狂熱の二人」っていう感じがしますよ。ということは、歌詞とかは自分の部分だけ分担して?

関根:そうですね、いちおう考えて。

桃野:でも掛け合いをしようというときは、関根さんが「こんなメロどう?」って投げてくれたものに歌詞をつけたりはしました。

音なりメロディなりを優先してつくられているということですよね。ものすごく複雑な詞というわけじゃないですから、もともとそこまで作りこむということはないのかなとは思いますが。

関根:そうですね。

それこそクラシックなヒップホップみたいな、みんなでワイワイやってる感じ、それでコーラスまでやっちゃうようなイメージをなるべく持てればいいなって。(関根)

この曲は本当に好きなんですよ。つくる上で、仮想のライヴァルというか、これに対抗しようというようなものがあったりしました?

関根:それは、まったくないんですよ。すごくオリジナルなものだと思います、その意味では(笑)。なにか、「できちゃった」という感覚がありますね。

桃野:『狂熱のライヴ』って意味ではレッド・ツェッペリンですが(笑)。

関根:名前だけね! 

桃野:あの雰囲気はすごくイメージしたんですけどね。「ギターがこっちは歪んできたぞ、どれどれこっちも……」みたいな。

関根:まあ、ノリはね(笑)。

ははは!

桃野:そう、ノリは(笑)。でも、いびつさ、ということだと、レッド・ツェッペリンはすごくいびつですよね。

関根:うまいのかうまくないのかよくわからない。

桃野:たぶん、どっちかの比較で言えばうまくないのかもしれない。でも、4人混ざったときのノリみたいなものがかっこいい。その意味ではこの曲もそういう揺れがあるような気がします。

関根:僕はHocori全般について、ポップス──も、そうなんですけど、わりとヒップホップに近いイメージを持ってつくっているところがあるんですよね。たとえば“狂熱の二人”とかも、それこそクラシックなヒップホップみたいな、みんなでワイワイやってる感じ、それでコーラスまでやっちゃうようなイメージをなるべく持てればいいなって。この曲もほとんどワン・ループでつくっているんですけど、それこそアフリカ・バンバータだったりとか、みんなでガヤガヤとやってるノリが出てたらいいなって思います。まあ、比較になっているかどうかはわからないですけど(笑)。

トラック自体が、そういう空気なりノリなりを乗せるための枠というか乗り物になっているというか。それはたしかに感じられますよ。

関根:そうですね、そういうものがあるようになればいいなというふうには思っています。気持ちとしてはカニエ・ウェストに近いというか(笑)。

ええ、ええ。曲がとても開かれたものだっていうのはわかります。趣味性はあるけどけっして閉塞しないし。

関根:やりたいことやりつつ、みんなと混ざって、それで新しいものにしようと考えているというか。ヒップホップのひとたちのそういうマインドが好きなんです。「いいよね」とか言いながら、ほんとにいいかどうかわからないものをみんなでつくっていっちゃう、みたいな。すごくシンプルなことをやっているんだけど楽しい、という感じ。

「作曲」ではなくて、なにか空気を混ぜていくというような考え方ですかね。

関根:そうですね。だから枠組はシンプルなほうがいいし、それでいて特徴がちゃんと出たほうがいいし、きれいにまとまらないほうがいいし。

でもほんとに、そのシンプルなベースラインがとても艶っぽかったり、とにかく洗練されているんですよね、関根さんのつくられる音っていうのは。しかし、いま「みんなと混ざる」っておっしゃいましたけど、実際は二人ですよね(笑)。二人だけど「みんな」って雰囲気は、言われればたしかに感じますね。

関根:二人だし、閉じた空間という気がするけど、でも何かいろんなものを巻き込んでつくっているイメージではあるというか。

桃野:想像はしていますね。いろんなひとを巻き込むような感覚は。しかし“狂熱の二人”っていう曲で、歌い出しが「狂熱の二人」っていうのは……

(一同笑)

桃野:もう、すごいベタな……。でもサビ始まりなんだ、みたいな(笑)。

関根:洒落たタイトルはなんだったんだ、って(笑)。

ツェッペリンを下敷きに感じさせつつ、でもすごいテンションのタイトルで素敵ですよ。普段使わない言葉じゃないですか。

関根:言い過ぎ感がありますよね。

そう、過剰さがいいですよね。邦題つけたひとはすごいと思うんですけど、「熱狂」はあっても狂熱ってふつう言いませんから。

桃野:マスタリングのとき、間違えられてましたからね、この曲。「熱狂の二人」になってました(笑)。普段使わない言葉だから、パッと見て「熱狂」ってインプットされちゃったんでしょうね。

その違和感は大事なものだと思いますよ。ほんとのところはどこから付いたタイトルなんですか?

桃野:先に詞ができていたんで……。でも、もともとは英語のタイトルで縛りをつけていたんですけど、1曲くらいは日本語もいいんじゃないかと。それに「狂熱の二人」でしかないという感じもあったので(笑)。ライヴでもずっと呼び名がない状態たったんですよ、この曲は。

あと、「の」の用法も特殊。『進撃の巨人』の「の」みたいな。どういう「の」なんだっていうところにもインパクトというか違和感があります。

桃野:それは、『狂熱のライヴ』だったので……。

いや、「ライヴ」ならわかるんですけど、「二人」っておかしなことになりませんか(笑)。そういう違和感が、詩ってものを生む。

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ちゃんと前に進んだ感じは僕らの中にもありました。まったく関係のない別のことをやったわけではなくて、前の作品を踏まえた上で、音楽的に前に進めたのかなと。(関根)

ではぜひ4曲目のお話も。これは「4曲目」というよりも“Intro”(『Hocori』収録)のリ・エディット的という……?

関根:そうですね。「リ・エディット」ということにしたんですけど、僕の〈Conbini〉ってレーベルにはもうひとり相方がいて、〈ENNDISC〉っていうレーベルをやってるひと(DEGUCHI YASUHIRO)なんですが、そのひとといっしょに前の作品の1曲をぐちゃぐちゃにして、再構築して。そしたらこうなったという感じです。

リ・エディットというかたちだからこそできたことかもしれないんですが、最初、わりと流行とは無縁のところでつくった盤だとおっしゃっていたじゃないですか。でも、この曲はある意味でいちばん流行を感じるというか。

関根:いまっぽい?

そうそう、いまっぽいと感じましたね。それこそオルタナR&Bみたいなものから〈PCミュージック〉みたいな音楽性までの間をとるような。

関根:たしかにそれは多少あるかもしれないですね。

それはやはり「リ・エディット」みたいなかたちだからこそできた実験、みたいなことでしょうか?

関根:そうですね、Hocoriらしさみたいなものを僕も出口さんもつかめているからこそ考えられることというか。もともと歌が入っていて、それもすごくよかったんですよ。もともとのアレンジに歌詞をつけていたものがあったんです。でもそのまま出してもおもしろくないということで、再構築しようと。それはわりと気軽な感じでやったんですけどね。

あ、気軽な感じで。唐突に終わる感じもありますね。やりかけ感というか。

関根:いい曲っぽいんだけど……みたいな(笑)。

そうそう、いい曲っぽいんだけどここまでなんだ? という感じ。5曲目を1曲としてカウントするかどうかはいったん措くとして(“Game”のインスト。コンセプチュアルな1曲と考えることもできる)、4、5曲というコンパクトなものなのに、けっこう多彩な音楽性が盛り込まれているんですよね。前作からは基本的な方向性は変わらないながらも、すごく異なった作品だと思います。

関根:そうですね。煮詰められた感じもしますしね。ちゃんと前に進んだ感じは僕らの中にもありました。まったく関係のない別のことをやったわけではなくて、前の作品を踏まえた上で、音楽的に前に進めたのかなと。

桃野:より混ざって、ちゃんと音をつくれる体制になったんじゃないかなという気がしますね。

世界中でいちばん僕が僕の声に飽きているんです! そこをどう楽しくやるか。(桃野)

関根さんに対して、前回から差別化してとくにやってほしかったこととかはありました?

桃野:一方的な要望はとくになかったですけど、いっしょに歌いたいというのはありましたよ。やっぱりgolfのフロントマンというのもあるし。Hocoriで関根さんの声を聴きたいなということは大きかったと思います。……僕の歌にいちばん飽きているのは僕なので。

関根:あはは!

桃野:たぶんそうなんですよ。世界中でいちばん僕が僕の声に飽きているんです! そこをどう楽しくやるか。音楽は自分が楽しい、大好きなものなんだけど、その音楽をやる上で自分の声をどう楽しむかという問題がありますからね。そのときに、コーラスだったりとか、ちがう声というものが僕にとってはすごく大事で。

声って、プロダクションというのとはまた別のレベルでも意味を持ちますもんね。

関根:そうですね、かなりのレベルで音楽の識別子になるというか。絶対的におもしろいものですし。絶対にそこがオリジナルになりますから。

桃野:最終的に、決定的にちがってくるものは声ですからね。

たしかにそうですね。ひとの声を聞くときは音楽的な耳で聞いてしまうものですか?

桃野:僕、けっこう誰の声か当てるの得意なんですよ。テレビっ子なんですけども。いつも当てっこしてるんです。「あ、いまの声は有村架純ちゃんだ」とか。……まあ、主にドラマです。

(一同笑)

桃野:CMの曲なんて、たまにわからないときは調べたりして。

テレビっ子のドラマ好きというのは以前もおっしゃっていましたけれど、言葉とか世界観にも影響ありますもんね(笑)。関根さんのことはヴォーカルとしてはどう見えます?

桃野:僕は好きですね。最初に聴いたイメージは、やっぱりバンド畑からすると、マシュー・スウィートの──

ああー! たしかに。

桃野:そう、ちょっとハスキーというか、なんというか。あの声の感じがあって、じつはギター・ポップとかはめっちゃハマるんだろうなとか思いながら聴いてはいて。……だからマシュー・スウィートだと思ってしゃべります。

ははは!

桃野:ははは! そういうイメージを、初めてしゃべったときにも持ちました。歌声のほうがいいですけども。

Hocoriのまわりには、どこかギター・ポップ的なものも感じられるかもしれないですね。直接的に参照する部分はないと思うんですけど、成分の中に含まれているというか。お二人ともそこは共通していますか?

桃野:もともとの立ち位置みたいなものにはあるかなと思います。

関根:僕自身はそんなに熱心に聴いていたわけではないんですけど、やっぱり言われることが多くて。

へえ。いまピンときました。

自分らからただ自然に流れ出しているものが、懐かしいものになっているというか……原体験が出てきているんでしょうね。(桃野)

桃野:僕はモノブライトとかで「いい曲」風にしたいなと思うときは、基本マシュー・スウィートの『ガール・フレンド』(1991年)を聴きますね。いい曲いっぱい入ってるんで。

ははは! でも、なるほどですね。「いい曲」の概念そのものになっていると(笑)。

桃野:あれはほんと、そうですよね。まずあのアルバムを聴いて、それで方向性を決めるんですよ。でも、そうやってつくっていくとだいたいコード感が近くなってしまって。

リアルタイム……じゃないですよね?

桃野:いや、僕その頃、小3ですもん。さすがにあんな毛皮のコートを羽織って「寒いね」みたいなことは……

(一同笑)

ちょっとませてますね。

桃野:まだしも『キミがスキ・ライフ』(2003年)とかなら、奈良美智さんのジャケットとか可愛いですけど。

それもまたちょっとませてるとは思いますが(笑)。でも流行云々は意識しないながらも、お二人ともちょっと古いものに気持ちが惹かれるんですかね。そういう、ある種「懐かしい」モードはこれからのHocoriにも基本的に引き継がれていくものです?

関根:どうなんだろう、わからないですね。たしかに言われてみればちょっと懐かしいものなんですけどね、全部。

桃野:自分らからただ自然に流れ出しているものが、懐かしいものになっているというか……原体験が出てきているんでしょうね。10代のときに刺激を受けたものが、リアルタイムではないにしろ、身体に染みついたものとして出てきている。

関根:でも、どうしたって懐かしくて哀しい感じになるんだよね、たぶん。

ああ、「どうしたって」そうなる。それはほんとにこのユニットの個性ですね。“God Vibration”のPVとか、あの駐車場のターンテーブルで外国人が踊っている感じ……あの切ない、夜が回って音楽が回ってっていう感じ。あそこには回るということが醸し出すノスタルジーみたいなものがありますよね。その上でHocoriの音楽はホログラムみたいに回るんですよ。

桃野:アナログ世代ではけっしてないんですけどね。でも、回るっていうのは何かあるかもしれないですね、音楽との間に共通するものが。

メリーゴーランドとか、懐かしいものは回る(笑)。

関根:繰り返す、とかね。それはあるかもしれないです。

どうしたって悲しくなるというのは、どうしたって懐かしくなるってことでもあるというか。

関根:意識しなくてもついて回るのかなあ。限りなく未来感を描いているつもりでも、僕らがやるとどこか懐かしくなってしまう。

桃野:未来っていうのはすでに懐かしいですよね。……これ、なんかカッコいい言葉じゃない?

ははは。でも、わかりますよ。『未来世紀ブラジル』とかっていうとほんとに懐かしくなってしまいますけども。

桃野:どのみち全部懐かしいものってことにもなっちゃうかもしれないですよ。自分たちが新しいものだと思ってつくっていても。ポストロックとかが出てきたときも、無理してんなって感じたりしましたもんね。これ、ジミヘンとかがセッションでやるようなことじゃない? 無理して新しくない? って。ジミヘンのライヴの余韻の部分を曲として出しているのがトータスみたいな感じがしてて。

ああ、なるほど。当時は「壁紙の音楽」って呼ばれていたくらいなので、当たっているんじゃないでしょうか。マイク前でエゴを剥き出しにして歌うのに対して、壁紙みたいな音楽がポストだという。

和感を大事にしているというのは、新しさを求めているということでもあって。毎回、新しいプロダクションをつくっているイメージではありますね。(関根)

では、本当に「狂熱のライヴ」をやることはないんですか?

関根:やりたいよね。

桃野:びっくりするほどライヴの予定が決まってないんですけどね(笑)。

いや、コンセプトの上だけでも(笑)。今回はぜったい哀しくしないぞ! とか。

関根:それは、ぜんぜんあり得ますね。

それでもどうしても哀しくなってしまうなら、それも素晴らしいですね。なんでしょう、お二人から考えつかないような音って。

桃野:なんだろう……。

関根:スタイルじゃないんだろうと思うんですけどね。ジャンルとかではない部分で新しさがあると、思いもよらないことになるかもしれない。

桃野:かといって、トム・ヨークみたいに工事現場の音を録って……っていうような方向もはたして新しさなのかどうか。本当に新しいものって、何なんでしょうか……。

そういう話になってきますよね。

桃野:新しいものなんて生まれうるのか、みたいな。

関根:僕の中では、Hocoriの作業というのは、「○○みたいに」っていうふうに思ってつくらないことが多いんです。本当に。違和感を大事にしているというのは、新しさを求めているということでもあって。毎回、新しいプロダクションをつくっているイメージではありますね。アウトプットとして新しい感じが出ていないのは、まあ、キラキラな音にしていないからですかね……。

ああ、なるほど。キラキラふうに想像させるところはあると思うんですけど、実際キラキラじゃないですよね。

関根:だから、新しい音楽という意味ではすごく意識してつくっているんですよね。自分たちでコントロールできないもの同士がぶつかったところに何かないかなあとずっと思っている、というか。

桃野:本当に新しいものを探すのはすごく大変なことなので、やっぱりいま新鮮な音を探すということになるかもしれないですね。それが違和感につながるものなんですかねえ。

Hocoriは、お互いが違和感を与えあっているわけですもんね。

桃野:そうですね。僕は、ソロで、ひとりで音楽活動をやるというのはぜんぜん考えられないタイプで。たとえば「関根さんがやろうとしてたのはこういうことか」って、発見することで何か新しい要素に出会いたいんです。そうじゃないと自分の楽曲が退屈に感じちゃうんですよ。

ただでさえご自身の声に飽きているのに(笑)。それで、違和感に出会いにくいソロ活動はあんまり考えられないと。

桃野:僕はそうなんですよね。予想しかつかない。予想通りでしかない(笑)。ソロってそうじゃないですか!?

(一同笑)

桃野:だから、予想通りを新しいと思ってやれる方というのがうらやましいです。それでユニットを組んだりバンドを組んだりということになりますね。

それはおもしろいですね。ソロだからこそほんとにやりたかったことがやれる、というわけではない。

桃野:そうですね。

Hocoriは新しい記号を準備するとかそういう派手な新しさを示すユニットではないと思うんですけど、「そういえばあまり聴いたことがない」という意味では攻めていますよね。ただ、趣味が良すぎて。すごく地味な差を突いてくるわけじゃないですか、関根さんなんて。けっしてわかりやすい新しさじゃないんですよね……。

関根:わかりやすくはないかもしれないですよね(笑)。

雑食的にいろいろなものを取り入れるけど、いまのプロダクションでやるし、流行もうまく入れるけど、最終的には強烈な個性に落とし込んでいく──そういう感じが好きなんです。(関根)

では、音楽にこだわらずにいまかっこいいな、おもしろいな、と感じるものは何でしょう? ポップ・ミュージシャンでもあるわけなので、流行と切れてはいても、何がかっこいいかという感度はバリバリ働いているわけじゃないですか。

桃野:テレビばっかり観てますね……。いまパッと思いつくのは、ハリウッドザコシショウですかね。去年、自分の中で大ブレイクした芸人さんなんですよね。最近は天変地異というか、こんなものが理解されるんだろうか、っていうようなものがボンボンと注目されていて、お笑いってすごいんですよ。僕はグランジが好きだったんですけど、なにか、そういうひっくり返されるような驚きがあるんです。ニルヴァーナみたいな。

ちょうど話題になっていますね。賞を取られた?

桃野:でも、新しいというよりは、スタンスはずっと一貫していて、時代のほうがはまったという感じなんです。

関根:僕、その賞を獲ったネタを見たんですけど、たぶんあれでもめちゃくちゃポップスに落とし込んだんじゃないかな。でも、それってすごく大事だなって思った。本当にアンダーグラウンドなんだけど。僕も昔からすごく好きだったんですよ。

桃野:ものまねってものを破壊して、めちゃくちゃ似てないことをやっているだけなんですよ。あえて言葉で説明するなら。ただの破壊活動なのに、それを成立させるものが何なのか……。

関根:漫☆画太郎だよね。

桃野:音楽でいうと誰だろう。レジデンツとか? ……それは音楽なのか? ってところまで行っているのに、ちゃんと音楽として成立させるっていう、ちょうどそんな感じなんですよ。

へえー。やっぱり、シーンが成熟しているからこそ賞をもらえる、みたいなところもあるんでしょうか。

桃野:それはあるんでしょうねえ。

関根:いろんなタイプのひとが出てオッケーな状態にはなっているのかもしれないですよね。

そこは音楽も難しいですよね。産業としては行くとこまで行ってどん詰まっているのに、それを破れるようなものを見つけて評価できるのかというと……。

関根:あそこまでバンっと出られるかというと、難しいかもしれないですね。

桃野:ジャンルももういっぱいあってよくわからないし。だから、そのひとの発想に触れるということになってくるのかな。

「ひと」はたしかに違和感の源泉ですよね。関根さんはどうですか? 最近カッコいいと思うものは。

関根:僕は、ベタですけど、去年はあれを聴いていたんですよ。ダニー・トランペット&ザ・ソーシャル・エクスペリメント。

おお!

関根:すごく好きで。さっき言っていたようなことと重なるんですけど、とにかくみんなで何かおもしろくていいものをつくろうというムードがすごくあるんですよ。それで、雑食的にいろいろなものを取り入れるけど、いまのプロダクションでやるし、流行もうまく入れるけど、最終的には強烈な個性に落とし込んでいく──そういう感じが好きなんです。去年は本当に、そればっかり聴いてましたね。

へえー。関根さんの映像にもそういうムードはあるかもしれないですね。

関根:どこかちゃんとジャンクで、でもどこかリッチな部分が残っているという感じ。それが好きなんですよ。音楽ではそれが衝撃的にヒット作でした。僕の中では。

「ホコリまみれ」になった音楽を楽しめたらいいなと思いますね。(桃野)
いまの出会いの中に、きっと次の出会いが入ってるんじゃないかっていう感じ。そこでハプニングは起こると思うんですよね。(関根)

固有名詞がきけてうれしいです。Hocoriはプロジェクトをふたりで完結させるつもりでもないというお話でしたが、ここから考えられる展開としてはどんなことがあるんでしょうか?

桃野:この企画盤をつくって、「ホコリなもの」──プライドという意味ですけど──って、意外とひとつじゃないなと思ったんです。音楽一筋ではなくて、大なり小なり、みんな何か持っているじゃないですか。マンガでもテレビでも。誰かの中に、そういう「ホコリなもの」を感じたときに、コラボなんかをやっていければなと。ユキヒーロープロレスさんだったら、自分のファッションという土俵に特撮とかプロレスを持ってきたりしているし、シェンちゃんだったらイラストとか。そうやって「ホコリまみれ」になった音楽を楽しめたらいいなと思いますね。

わざわざ「どうコラボレーションするか」って、形から考える必要はない。

関根:ひたすらハプニングを期待していますね。

期待というのは、「ハプニングを獲りにいく!」という能動的な意味ではないですよね(笑)。

関根:どこかにいつも転がっているものなんですよ。きっと(笑)。

そのスタンスはいいですね。いまっぽいとすら言えるかも。獲りにいかなくてもあるじゃないか、出会えるじゃないかと。

関根:出会えるんじゃないかと思うし、いまの出会いの中に、きっと次の出会いが入ってるんじゃないかっていう感じ。そこでハプニングは起こると思うんですよね。何もないところに突然生まれるわけではないかなって。

音楽のありかたとしてすごく健康──健康というとヘンなニュアンスが混じりますけど、やりたいときにやって、出せるときに出すっていうのが、それが音楽だっていうところがあると思います。祝福すべきありかたじゃないですかね。

関根:気持ちのいい音楽のやり方、つくり方ですよね。そうじゃなきゃいけないって……やっぱりちょっと思います。

桃野:こういうことって、なかなか、意外と成立しないですから。あと、曲数的にはやっと8曲9曲ってくらいになるので、ようやくツーマン・ライヴができます(笑)。

関根:ようやく。これまでは30分以上できないっていうのがあったので。

ははは。でも、今回ライヴの中から発想された曲があったように、ライヴができるとまたいろいろ動いていきそうですね。

桃野:まだ決まってないですけど、そうですね。

音楽的には、「夜の音楽」が「昼の音楽」になったりという展開はないですかね? 4曲めなんて資料には「この曲を通して伝えたいことは『深夜0時、僕の電車で。走らなきゃいけない愛(レール)がある』」って書いてありますから。

関根:ははは! だからなんだよ、っていう。この曲は歌詞をCDに載せていないので、代わりに何が重要なのかを言おう、って(笑)。

桃野:簡潔に書こう、って(笑)。

ははは。その「夜感」ですよ。そのテーマはやっぱり不動なんでしょうか。

桃野:いや、昼に愛が落ちていれば、拾いにいきますよ。でも、何か、落ちてる感じがしないんですよね。それでやっぱり夜ばっかりになってしまう。

昼に愛が落ちていれば、拾いにいきますよ。(桃野)

では、何か年齢が上がるなりいろんな変化を迎えることで、昼の音楽が出てくるかもしれないですね。

桃野:高齢者になれば昼の愛が見つかるかもしれないですね。

それはきっと早朝ですね(笑)。

関根:早朝の愛。カロリー低そうでいいね。

桃野:でもまだこの年齢だと、みんな日中働いて……っていうサイクルになるじゃないですか。だからやっぱりまだ夜ですかね。

以前も言いましたけど、若いひとがポップスで夜の愛を歌うっていうのは、いまはけっこう珍しくないですか。夜の愛っていうテーマを歌うのは難しいんだなって。

桃野:昼にがっつりした愛があると、それは夜までがっつりつかっちゃうことになると思うので、10分以上の尺がないと歌いきれなくなると思いますね。

関根:そうなの(笑)?

桃野:夜だったらもう、バッと表現できるんですけど、昼はきっと尺が必要です。

ユニットのイメージが曲のテーマといっしょになって入ってくるというのは、すごくおもしろいことだと思います。Hocoriは夜の愛。──そんなふうに単純に考えてはおられないでしょうけど、突発的な人たちではないということは重要だなと。

関根:そうですね。そういう、何か同じものを見ているところはあると思います。そこがガラッと変わることがあるかどうかはわからないですけど。

桃野:バンドでやれないことをやっているという面もあるので、ひとつのテーマ性を持った歌詞をどこまで書きつづけられるのかというチャレンジもありますね。

なるほど。いつか切り干し大根のように低カロリーな愛を歌われるときにも、きっと関根さんは絶妙のトラックを準備してくださると思うので、年を経るのも楽しみにしています。

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