「ZE」と一致するもの

Clap! Clap! - ele-king

 Clap! Clap!すなわち拍手!拍手!は、手拍子の人力ダンスではない。この洒落っけのあるアートワークが匂わすように、アフロ、ジューク、ベースなどなど、好き勝手にモダンなダンス・ビートを混合して、胸が高まるエキゾティックな体験を1枚のアルバムを通して実現させた。快適な砂漠旅行なんて、誰が想像できる?
 その華麗なるデビュー・アルバム『TAYI BEBBA』は2014年でもっとも重要なアルバムの1枚に数えられるわけだが、日本でもロングセラーになった。そのClap! Clap!がついに来日する。共演者は、妖しいサイケデリック・ハウスを展開するブラジリアンDJ Thomash。そして、ボアダムスのEYヨ。

root & branch / FRUE presents
“It's a Jungle in Here“

11.7 SAT @ 代官山 UNIT / SALOON
Live: Clap! Clap! (Black Acre - Italy)
DJs: EYヨ (BOREDOMS)
Thomash (Voodoohop - São Paulo)
and more to be announced!!
Open/ Start 23:30
¥3,500 (Advance)
Information: 03-5459-8630 (UNIT)
https://www.unit-tokyo.com/

Ticket Outlets: PIA (277-030), LAWSON (76761), e+ (eplus.jp), diskunion CLUB MUSIC SHOP (渋谷, 新宿, 下北沢), diskunion 吉祥寺, TECHNIQUE, JET SET TOKYO, DISC SHOP ZERO, clubberia, RA Japan, UNIT
* 9/26 から上記プレイガイド、チケット取扱レコード店及びサイトにて一般発売。

Clap! Clap!
クラップ!クラップ!は、ディジ・ガレッシオやL/S/Dなど多数の名義で活躍するイタリア人プロデューサー/DJ、クリスティアーノ・クリッシが、アフリカ大陸の民族音楽への探究とサンプリングに主眼を置いてスタートさせたプロジェクト。様々な古いサンプリングソースを自在に融合し、そして極めてパーカッシヴに鳴らすことによって実に個性的なサウンドを確立している。彼は伝統的なアフリカのリズムをドラムマシーンやシンセといった現代の手法を通じて再生することにおいて類稀なる才能を持っており、その音楽体験におけるキーワードは「フューチャー・ルーツ/フューチャー・リズム」。クラップ!クラップ!の使命は、トライバルな熱気と躍動感に満ちていながらも、伝統的サウンドの優美さと本質を決して失わないダンス・ミュージックを提示することである。

EYヨ

コンテンポラリーアーティスト。80年中期より、主にパフォーマンスアートの流れからロックグループフォーマットのBOREDOMSをオーガナイズ。SONIC YOUTHのサポートツアーからスタートし、以後海外での活動が多く、初期のJUNK MUSICやAVANT JAZZよりの表現から、さらに包括的、根源的な表現へと変化。現在10人程のドラマーやギターによる編成になっている。ボアドラムのプロジェクトを2007/7/7にNYで77台のドラムセットによりスタート、以後毎年、'08年88台、'11年111台、'13年91台、複数のドラムセットにより、各国で行う。アート関係のコラボレーションやエキシビジョン、画集刊行も各国で多数おこなってきており、ジャケット制作もBECKをはじめ多数。DJは90年中期よりスタート。当時のNU HOUSEやETHNO BEAT, DISCO EDIT, JUNKなACID HOUSE, EXIOTICなGOA TECに影響を受けおり、それらを高速ハイブリッド濃縮したMIX-CDをDJ光光光の名儀でリリースしている。それを含め現在までに6枚のMIX-CDとLIFT BOYS名儀で2枚のCD、5枚のアナログをリリースしている。

Thomash(Voodoohop)

ブラジルはサンパウロにおいて毎回数千人を集めるアンダーグラウンドDiYパーティ『VOODOOHOP』。Thomashはその首謀者であり、DJ、トラックメイカー。異常に遅いスローテクノ、国籍不明の民族音楽、トロピカルサイケデリア、レインボーカラーのシンセサウンド、ラテンのリズム、ダブ、アシッドロックにディープハウス等を比類無いセンスでミックスし、ディープサイケデリックな呪術感を持ちつつ、全てを優しく包み込む太陽のようなオーガニックダンスグルーブ。現在はサンパウロを中心に活動しているが、出身はドイツのケルン。古くはCANなどの多くのクラウトロックを産み、近年はKompaktのお膝元として、60年代から常に革新的な音楽を生み出してきた街で生まれ育った。そのジャーマンブラジリアンのルーツ、ヨーロッパの前衛エレクトロニックダンスミュージックの感性と、ブラジルの南国快楽主義的な空気感が混じり合った、まだ生まれたばかりの不思議なダンスミュージック。2014年3月にカナダのMulti CultiからリリースされたファーストEPは、その名も『Camdomble』。ブラジルの黒人系民間信仰宗教の名前であり『神をまつるダンス』という意味を持つ。地球の裏側、ダンス大国ブラジルの意識を"一歩先"に進めた、Thomashの再来日!

<CLAP! CLAP! 大阪公演>
11.6 FRI @ 大阪 心斎橋 CIRCUS
Open/ Start 23:00-
¥2,500 (Advance)
INFORMATION: 06-6241-3822 (CIRCUS)
https://circus-osaka.com/
* Clap! Clap! 以外の出演者は東京公演とは異なります。


Teen Daze - ele-king

 カナダのヴァンクーバーからティーン・デイズが登場したのは2010年頃。折しもチルウェイヴが話題に上りはじめた頃だった。2012年にファースト・アルバム『オール・オブ・アス, トゥギャザー(All Of Us, Together)』、セカンド・アルバム『ジ・インナー・マンションズ(The Inner Mansions)』を立て続けに発表するが、当時は日本のメディアも盛んにチルウェイヴを扱い、ウォッシュト・アウト、トロ・イ・モワ、ネオン・インディアン、ブラックバード・ブラックバードらのフォロワーにティーン・デイズを位置づけた。しかし、チルウェイヴ・ブームの賞味期限はとても早く、メディアは手のひらを返すように口にしなくなった。もちろん、彼らの音楽が終わったのではなく、それぞれの新たな歩き出しにチルウェイヴという言葉が追い付けなくなっただけのことで、トロ・イ・モワのその後の活動にもそれは顕著だ。

 ティーン・デイズに話を戻すと、ドリーム・ポップやハウス的な要素も取り入れた『オール・オブ・アス, トゥギャザー』と『ジ・インナー・マンションズ』は、大枠で言うならエレクトロニカ~アンビエントとなるのだが、ポスト・チルウェイヴ期の2013年作『グレイシャー(Glacier)』は、甘くドリーミーな前2作に対して、ビターでどこか枯れた味わいを感じさせるものだった。季節なら秋から冬のイメージで、実際にこのアルバムは冬を意識して作ったものだそうだ(表題は「氷河」の意味)。もともとギターの音色を効果的に用いるプロダクションだったが、そうした方向性にギター・サウンドはうまくマッチし、同じアンビエントでもいままでのエレクトロニックな部分から、アコースティックな部分への比重が増したことを感じさせた。そもそもギターでロックをやっていたティーン・デイズの、よりルーツ的なところが表れたアルバムだったのかもしれない。

 そして、2年ぶりの新作『モーニング・ワールド(Morning World)』はさらにオーガニックな作品だ。いままではベッドルームでの宅録作業だったが、今回はバンド・スタイルを志向し、サンフランシスコのスタジオ録音。デス・キャブ・フォー・キューティー、セイント・ヴィンセントともコラボするジョン・ヴァンダースライスらと共同制作している。“インフィニティ”や“ピンク”に顕著だが、ポップかつ骨太なロック・サウンドが目に付き、新生ティーン・デイズを強く印象づける。表題曲や“ライフ・イン・ザ・シー”は夏の終わりをイメージさせるマリン・フレーヴァーなサーフ・ロック調ナンバー。“イット・スターツ・アット・ザ・ウォーター”ではお得意のギター・リフが軽快に刻まれる。個人的なアルバム・ハイライトはストリングス使いが素晴らしい“ヴァレー・オブ・ガーデンズ”、どっしりとしたドラム・ビートに雄大な世界観がマッチした“ユー・セッド”、レイドバックしたフォーキー・ロックの“アロング”で、最後の夜想曲“グッド・ナイト”を含め、いままでとはまた異なる形でアンビエントの概念を示したアルバムではないだろうか。

VOGUE FASHION'S NIGHT OUT - ele-king

 OPN, Rezett, Joy Orbison……。過去のコレクションや主催イベントにおいて、Sk8ightTingとToby Feltwellが率いるファッション・ブランドC.Eはカッティング・エッジなアーティストたちを迎えてきた。今回その歴史に新たな精鋭が加わることに。
 その名はOndo Fudd。説明不要のカルチャー・アイコンWill Bankhead主催の〈The Trilogy Tapes〉からのシングル「Coup D'État」で知られる彼だが、そのキャリアで特筆すべきことはCall Super名義での活動だろう。Special RequestやAkkordのリリースで知られる〈Houndstooth〉から去年リリースされたアルバム『Suzi Ecto』は、彼のテクノやハウス、IDMへの深い造詣が、ベース・ミュージックとも有機的に絡み合った新世代の到来を告げるような一枚だ(今回が初来日)。
 イベントはVOGUE FASHION'S NIGHT OUTにてC.Eが期間限定で出店するショップが会場となる。入場料無料で年齢制限もないので、新しいサウンド&ヴィジョンに飢えている全世代の方々、今週末は迷うことなく会場へ!

VOGUE FASHION'S NIGHT OUT

2015.9.12 (Sat)
18:00 - 22:00

会場:
CAV EMPT SHORT TERM RETAIL EXPERIMENT at BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS
3F, 2-31-12 Jingumae, Shibuya-ku, Tokyo 150-0001
東京都渋谷区神宮前 2-31-12 ユナイテッドアローズ原宿本社ビル 3F
https://goo.gl/maps/5ER8Q

DJs:
Ondo Fudd (The Trilogy Tapes)
1-Drink
Toby Feltwell (Cav Empt)

連絡:
03-3479-8127
www.cavempt.com
www.beautyandyouth.jp

■ Ondo Fudd
Call Superという別名義でも知られるOndo FuddことJR Seatonは、現在はベルリンを拠点に活動するUK出身の音楽プロデューサーである。Will Bankheadが主宰するUKのインディペンデントレーベル「The Trilogy Tapes」から昨年2月に発表した<Coup d'Etat>はカルト的な人気を誇る。来る9月25日にはCall Super名義でニューEP<Migrant>を「Houndstooth」よりリリース予定。
https://soundcloud.com/the-trilogy-tapes/sets/ondo-fudd-coup-detat-ep

■ Toby Feltwell
英国生まれ。96年より「Mo'Wax Records」にてA&Rを担当。
その後XL Recordingsでレーベル を立ち上げ、Dizzee Rascalをサイン。
03年よりNIGO®の相談役として<A Bathing Ape®>や<Billionaire Boys Club/Ice Cream>などに携わる。
05年には英国事務弁護士の資格を取得後、東京へ移住。
11年、Sk8ightTing、Yutaka.Hと共にストリートウエアブランド<C.E>を立ち上げる。
https://www.cavempt.com/

■ 1-Drink
TECHNO、HOUSE、BASS、DISCOの境界を彷徨いながら現在にいたる。 DJユニット"JAYPEG"を経て現在は個人活動中。 ときどき街の片隅をにぎわせている。
https://soundcloud.com/1-drink

■C.E (シーイー)
デザイナー:Sk8ightTing (スケートシング)
ディレクター:Toby Feltwell (トビー・フェルトウェル)

Sk8ightTing がToby.F、Yutaka.H の2 人と共に2011 年にスタートさせたストリートウエアブランド。Philip K. Dick の著書『UBIK』に登場する女性のタトゥー“Caveat Emptor”(ラテン語で“買い手が品質の危険性を負う”の意)がブランド名の由来。シーズンテーマはありません。

2013年3月、2014年9月にはMercedes-Benz Fashion Week TOKYO内のイベントVersus Tokyoにおいて映像と音楽を用いたプレゼンテーションを発表。同年2014年12月にはロンドンのTete Britanで開催された、Late at Tete Britanでもプレゼンテーションを行いました。

www.cavempt.com

この夏、聴き逃した5曲。 - ele-king

 訳あってギター・サウンドばかり聴くはめになり、ゴジラ・エル・ニーニョ(今年のアメリカではそう呼ばれている)とは無関係にぐったりとしている。ベースが懐かしい。トランペットが聴きたい。しかし、僕の前に立ちはだかるのはギター・バンドの山である。ぐあー。それでも次から次へと聴いていくうちに耳に残るものがあるから音楽というのはオソロしい。それもかなり真っ当なポップ・ソングばかりである。どうなってしまったんだろうか、僕の耳は。こうやって集団的自衛権にも慣れて……いや。


1 Jaill / Getaway

よく知らない人たち。アルバムのほかの曲はどれもイマイチでしたが、これは1日1回聴いてしまいます。

2 Destroyer / Dream Lover

長いキャリアの人で、いままでは妙にしみったれていたのに、なぜか急にゴージャス。

3 Drinks / Hermits On Holiday

意外な顔合わせというやつです。ケイト・ル・ボンとホワイト・フェンス(ジー・オー・シーズ)が新バンドを結成。

4 Travis Bretzer / Lonely Heart

カナダからマック・デマルコを甘ったるくしただけ?

5 The Last Hurrah!! / The Weight Of The Moon

オーソドックスなものに耳が慣れきってしまったみたいで、これはノルウェイから。

おまけ。

■Beach House / Sparks

すっかり変わり果てたビーチ・ハウス!

■Astronauts, Etc, / No Justice

おまけのおまけ。ポスト・ビーチ・ハウスだとか!

KGE & HIMUKI - ele-king

 今年2015年、キングギドラの1stアルバム『空からの力』の20周年記念盤が出て、合わせてアニバーサリー・ライヴが開催された。Zeebraはみずからのレーベル〈Grand Master〉の動きと連動していまもシーンを率いているし、K DUB SHINEは名実ともに文化人というか、すっかりタレントだ(120%いい意味で)。
 ここで書きたいのはキングギドラについてではなく、20年前に出た『空からの力』の歌詞カードの最後に記されたスペシャルサンクスのクレジットのことで、当時、高校生だった筆者は、リアルタイムで『空からの力』の歌詞カードのZeebraのスペシャルサンクス欄にある日本のヒップホップ・アーティストの名を、ひとつひとつ「これも聴いた」「これも知ってる」とチェックし、そこに挙がったアーティストをほぼ全員を網羅して楽しんでいた。
 そのときの衝撃の延長線上で、現在もヒップホップのアーティストを取材するライターをやっているわけだが、高校生ラップ選手権や全国で開催される数多のフリースタイル・バトル出演者の名前を聞いても、顔触れを一瞥しても、正直もはや誰が誰だかわからない。全部を網羅しているなどとは口が裂けてもいえないし、そもそも網羅したいという願望がない。ただ、この豊穣な状況はまったく喜ばしいことだと傍観者として見ているだけだ。
 だが、もちろん傍観者としてライターに任じているわけではない。
 本題に入ろう。
 すべてを追いきれない以上、自分である程度取捨選択して聴く以外ないわけだが、その基準はひとつだ。単純に良作を求めてるのではなく、凄いアルバム、凄い曲に触れたい。その作品に触れた瞬間、あるいは凄いものが生まれていると確信めいた予感が脳内を突き抜けたときだけ、傍観者でなくなることができる。いわば自分を傍観者でなくしてくれる音源だけを純粋に探していると言えるだろう。傍観者でなくなるとは、突き詰めれば結局スピーカーであったりヘッドホンと自分だけになるということで、そうなったときはじめて、筆者は書きたいとかインタヴューをしたいと思うのだ。そこに曇りはない。
 9月9日リリースされるKGE&HIMUKI の『LOVE & BLUES』は凄いアルバムだ。
 今作でKGE&HIMUKI のタッグ作品は3作目で(1stアルバム『LOCAL FAMILY』、2ndアルバム『2ND IMPACT』)、これまでもシーンでふたりの評価は一貫して高かった。それでも、この豊穣なシーンの中で、このふたりはやはり知る人ぞ知る存在ということになる。
 トピックの多彩さ、フロウ巧者で知られるラッパーKGE、USでも名高いKOOL G RAPやGuilty Simpsonなど(これはほんの一例だ)の海外勢とのコラボを果たし、安定したプロデュースワークを誇るHIMUKIのふたりのタッグで、下手なものができるわけがない。彼らを知っていれば、この専門誌のレビュー的な評価も、自然に頷けるものに違いない。だが、それがイコール凄いかどうかは、また別の話だ。
 これまでも良作を生み出しているふたりがここにきて、本当に凄いアルバムを作った。ワンループ、サンプリング、ドープ、タイト、王道のヒップホップ、太い、黒い、黄色い。評論家や音楽ライターなら、こういった言葉を駆使して、本作の魅力を解説するだろう。そして、そこに書かれたことは、きっとその通りなのだ。だが、このアルバムの聴きどころ(魅力といってもいい)は、そういったキーワードを並べただけでは足りない。
 この作品が一朝一夕では生まれないスキルの結晶というのは一面真実だが、何より素晴らしいのはソウルがスキルや手管を超えていることだろう。クサい言い方だが『LOVE & BLUES』というタイトルを本当に表現するのであれば、ソウルがみなぎっていなければならないのは必要不可欠だった。だが、それを狙ってやるのは簡単ではない。
 ライムと向き合いながら、感情がライムではなく違う言葉を選んだとしたら、KGEは遠慮なくライムではなく感情の言葉を選びとっている。これは同時に、本作のKGEのキレキレのライムには、すべて感情がほとばしっていることを意味している。
 収録曲中でKGEは「流行りにのっかるのは下手くそ」とラップするが、昔からKGEはビートに乗っかるのが超ウマいラッパーだった。意味と無意味のヘアピンカーブのギリギリのラインを縫うように繰り出すフロウは、LOVEとBLUESを唯一無二の形で結晶させている。そして、そのフロウを引き出したのはHIMUKIのビートに他ならない。いや、ほとんどHIMUKIのビートだけが、このラップを引き出し得たというのが正確だろう。
 本作品のただ1人の客演であるGAGLEのHUNGER(この人選が既にタイトで意味深だ)が、このアルバムのプレスに「全てをつぎ込んだKGEくんの気持ちを一回通して聞いただけでは受け止め切れないほどエネルギーと愛に溢れたアルバム」と言葉を寄せているのを読み、なるほどと腑に落ちるものがあった。

interview with Mayumi Kojima and Makoto Kubota - ele-king

 小島麻由美のデビュー20周年を記念した最新アルバムは、地中海随一のサーフ・スポットとして知られるテル・アヴィヴ産のサーフ・ロック・バンド、ブーム・パムとの心躍るコラボレーション作となった。……と表現すれば陽気なムードも漂うが、イスラエルが置かれた政治的な状況を鑑みるならば、おいそれと東京のインディやJポップと比べるわけにはいかない。建国70年足らず、文化も政情も不安定な場所に芽吹いたその音楽は、それでも翳りなくみずみずしく鳴り響きながら、いまこの列島のポップスと不思議な邂逅を果たした。タフである。
 今回、このコラボレーションにもう一段深い意味を与えるのが、そのたぐい稀な作品群においてたえず日本のポップスのアイデンティティを問いつづけてきた久保田麻琴の存在だ。その名がクレジットされているのを見れば、この企画の仕掛け人かとも思われるが、実際には小島麻由美は小島麻由美として、久保田麻琴は久保田麻琴としてブーム・パムに出会い、ブーム・パムを通してふたりが出会ったかたちになるという。しかし、氏がこの仕事に加わることになったことはただの偶然ということばではカタがつかない。日本のポップスを動かす歯車は、このような出会いによって、しずかに、少しずつ前に向かって回転しているのだと感じられる。
 メジャー・シーンを歩みながらもしなやかなカウンターとしてその歌を紡いできた小島麻由美と、その先見性にいまあらためて瞠目せざるをえない久保田麻琴。『ウィズ・ブーム・パム』を通してイスラエルと日本の音楽について語ってもらった。

■小島麻由美
東京都出身のシンガー・ソングライター。1995年、シングル「結婚相談所」でデビュー。現在までにオリジナル・アルバム9枚、ミニ・アルバム2枚、シングル16枚、ライヴCD1枚、ベスト・アルバム2枚、映像DVD2タイトルを発表。自筆イラストがトレードマークともなっており、1999年NHK「みんなのうた」への提供曲「ふうせん」では、三千数百枚に及ぶアニメ原画も提供。イラスト&散文集『KOJIMA MAYUMI’S PAPERBACK』もある。映画、CMへの歌唱・曲提供、また2001年仏盤コンピレーション参加、2001~2002年「はつ恋」が任天堂USAのCM曲として北南米にて1年間に渡り放映、2006年JETRO主催『Japan Night』(上海)、2009年『Music Terminals Festival』(台湾・桃園)参加など海外のフェスやコンピレーションへの参加も多い。2015年、デビュー20周年を迎える。

■Boom Pam / ブーム・パム
イスラエルを代表するオリエンタル・サーフ・ロック・バンド。現在のメンバーはギタリスト/リーダーのウリ・ブラウネル・キンロト(Uri Brauner Kinrot)、チューバ奏者のユヴァル”チュービー”ゾロトヴ(Yuval "Tuby" Zolotov)、女性キーボーダーのダニ・エヴァ-ハダニ(Dani Ever-Hadani)、2014年秋に新加入したドラマーのイラ・ラヴィヴ(Ira Raviv)の4人。2006年にファースト・アルバムをリリース。WMCE(ワールドミュージックチャートヨーロッパ)のベスト10入りを果たす。その後、ヨーロッパ、アメリカ、カナダ、メキシコ、南アフリカなど全世界でライヴを行う。2012年、2014年に2度来日。現在までに4枚のアルバムを発表し、日本編集のベスト盤『THE VERY BEST OF BOOM PAM』(Tuff Beats)がこのたび発売となる。

■久保田麻琴
同志社大学在学中より、裸のラリーズのメンバーとして活動をはじめる。1973年に東芝よりソロ・アルバム『まちぼうけ』を発表し、その後、夕焼け楽団とともに数々のアルバムを発表、エリック・クラプトン初来日公演の全国ツアーにオープニングアクトとして参加するなど精力的にライヴ活動も行う。またアレンジャー、プロデューサーとしても喜納昌吉の本土紹介に関わり、チャンプルーズのアルバム『ブラッドライン』ではでライ・クーダーとも共演。80年代にはサンセッツとともに海外の多くの野外フェスに登場し。84年にはシングルが豪州でトップ5入りを果たす。90年代からは、プロデューサーとして「ザ・ブーム」らを手掛け、99年には細野晴臣とのユニット、「Harry and Mac」でロック・シンガー・ソングライター・としてカムバック、2000年代にはBlue Asiaプロジェクトなどアジアにおけるプロジェクトを本格化、さらにプロデュース業が充実、CMソングなども手掛けDJや各種講演等多岐にわたって活躍する。著書に『世界の音を訪ねる-音の錬金術師の旅日記』(岩波新書)がある。

ブーム・パムが出てきたときに驚いて。十分にワールドだけど、かつそれ以上にロックンロールだった。(久保田麻琴)


小島麻由美
With Boom Pam

AWDR/LR2

J-PopGarage

Tower HMV Amazon

すごく意外な組み合わせですよね。小島さんと久保田さんですから。

久保田麻琴(以下、久保田):いや、わたしは後付けというか。「こういうメジャーっぽい方がどうしてブーム・パムなのかな?」とは思いましたね。私は、ブーム・パムを2006年か7年くらいに、スペインの〈ウォーメックス〉というバンドの見本市みたいなところで観て。

スペインに行かれたんですね。

久保田:そうです。ワールド・ミュージックの見本市みたいなものを毎年……もう20数年やっているんですよ。でも出演者を立て続けに見ていると、けっこう企画モノみたいなのが多くて。なんか「ワールドだからいい」っていう安直な感じなんですね。私は1週間くらいそこにいて、けっこうずらっと見たんですけど、ブーム・パムが出てきたときに驚いて。十分にワールドだけど、かつそれ以上にロックンロールだった。で、すんげぇ気持ちよくて。それ以来、彼らのことを気にしてたんですよ。そのときに出たファースト・アルバムはあんまりよくなかったんだけれど、「そのうちいっしょにやろうね」くらいの話はあって。
 そうしているうちに、地元で“ハシシ”っていうシングルが出て──それは彼らの曲じゃないんですけど、別のプロデューサーがサンプリングして新しく作っちゃったんですよ。

サンプリングというと?

久保田:ブーム・パムのある部分を切り取って、それを大きく作り直した。それがアップルズのプロデューサーだったMixMonster 。

小島麻由美(以下、小島):あー、そうなんだ。なんかいまっぽい感じだよね。

久保田:DJ系ですよね。トラックメイクというか。

本当にサンプリング的な。

久保田:そうですね。ある曲で「ハシシ」と歌ったところをうまく取って、それでオケを作って歌をまた乗せたんだと思うんです。

小島:そっか。音圧があると思ったらそれだ。サンプリングしているから音圧があるように聴こえるんだ。

「ハシシ」ってちなみにあのハシシなんですか?

久保田:あの辺は原産ですからね。あの辺からスタートしてますから(笑)。

それがやっぱりおもしろくてサンプリングをしたんですか?

久保田:ことばがおもしろいからね。みんなで笑いながら。Youtubeで観られるMVもおもしろいんですよ。中産階級の白人がキマってフラフラになっているのを、みんなで見て笑うっていう感じの。歌詞は何を言っているのか私にはわからないけど。そのときに「あっ、なんだ、地元でアルバムつくればいいじゃん」って思いましたね。1枚めはシャンテルっていうドイツで活動してるDJがプロデュースして、それがあんまりよくなったから。ライヴがすごくいいわりには、CDがダメだな、と。
でも、そうこうしているうちに何年か経って、3、4年前だったと思うけど、サラーム海上から電話があって、「来週ブーム・パムが来ます」という話になった。そこからじっくり話をするようになって。あのときは、ついでにイスラエルのCDのサンプル盤が2、30枚くらいきたんですよ。それもアタリがめちゃくちゃ高くて。


Boom Pam(ブーム・パム)

音楽やっているやつはみんな反戦ですよ。そりゃそうだよ。だってアメリカだっていちばん音楽がよかった67、8年って最低な戦争をベトナムでやっていたわけだもんね。(久保田)

僕はサラームみたいなハードコアなワールド・リスナーとはほど遠い人間なんですけれども、90年代のイスラエルというとイスラエル・トランス──

久保田:さっきも海上とその話をしていたんですけど、いまはそのシーンは終わっていますね。あの時期は国がお金を使って奨励していたらしいんですよ、ゴアとかを。トランス系のDJはそこで育ったりしていたんですけど。

ですよね。そういうイメージがあったんですけど、中東の音楽ってモロッコから何からいろいろありますよね? そういう中において、イスラエルってあんまり印象になかったんです。

久保田:新しい国ですからね。

しかも民族的にも宗教的にもぐしゃぐしゃでしょう? だからなおさらイメージというものがなかった。

久保田:〈ルアカ・バップ(Luaka Bop)〉というデヴィッド・バーンのワールド・ミュージックのレーベルがあって、そこはアフリカの音楽なんかをやっているんですよ。そのレーベル・メイトのイェールって男から連絡があって、喜納昌吉&チャンプルーズをコンピに入れて出したいんだと言うんです。そういう男だから詳しくて、〈マルフク・レコード〉というところで、地元で昌吉が大学生くらいのときにやった“ハイサイおじさん”がいちばんグルーヴが高いんですけど、それをどうしても入れたいと。
その頃は国際電話しかないんで──92、3年くらいだったかな? イェール・エヴレヴという男でね。「イスラエルの音楽ってどうなってるんだ?」って訊いてみたら、そのワールド・ミュージックを紹介してる当のユダヤ人らしき男が、自分のルーツのイスラエルの音楽はちょっと苦手だと。興味がないっていうかね。たしかに私もずーっとイメージがなかったんですよ。

本(『世界の音を訪ねる―音の錬金術師の旅日記』、岩波新書)に書かれていますよね?

久保田:でも、〈ウォーマッド〉っていう、また別のワールド・ミュージックのフェスティヴァルが、10年くらい前にシンガポールにありました。日本でも90年代にはあったんですけどね。そこで観たバンドにイスラエルのチームもあって、イダン・レイチェル(ライヘル)っていうんだけど。まぁ、サラームに言わせるとイスラエルの坂本龍一だっていうようなね、ちょっと男前で、しっとりした曲を作るひとがバンド・リーダーで。 シンガーはエチオピア人と黒人系の男と、演歌っぽい歌を歌ういかにも東ヨーロッパ系の3人がいて、自分の曲とか民謡を彼らに歌わせるバンドなんですね。それを見たときに「アバみたいだな」と思って。すごく歌謡チックなんですよ。イスラエル歌謡っぽい感じがすごくあって。それが最初にテル・アビブにカルチャーありって思ったタイミングでしたね。
 私はジャズはもうずっと離れているので、とくに新しい音楽は耳が閉じてるからあんまり聴かないんだけど、ジャズ・シーンでイスラエルのプレイヤーってすごく多いんだよね。しかもテル・アビブはちょっとやんちゃで、サーフィンの文化があるから、少しビーサン系というか裸足な感じがあって。しかもヤッファーっていうアラブ人エリアがあって、けっこうミュージシャンがそっちに住んでいるんだよ。みんなユダヤ系ではあると思うんだけどね。そこがおもしろくて、物価も安い。そりゃそうだよね。あと食べ物が安全だと。

じゃあイスラエルのなかでもとくにリベラルというか。

久保田:音楽やっているやつはみんな反戦ですよ。そりゃそうだよ。だってアメリカだっていちばん音楽がよかった67、8年って最低な戦争をベトナムでやっていたわけだもんね。でも、アメリカの音楽をわれわれは好きだし、音楽をやっているやつはみんな反戦だった。

じゃあそれと似たような構造がイスラエルにもある、と?

久保田:あるかもしれない。逆に不条理が彼らの心を刺して、その叫びが音楽になっているってことはあるでしょう。

移民たちが第2世代になって、国のアイデンティティができつつあるっていう、ある意味ではいい状況なのと、軍事的な問題点の軋轢。(久保田)

それが近年とくに顕著なんですか?

久保田:建国してから70年くらいですよね? そしてバックグラウンドがいくつもあるんですよ。何十もの世界のエリアから集まっているから。ヨーロッパも中央アジアも、インド、中国、アフリカのひとたちも集まって、そして第2世代ができるまでこれだけ時間がかかった。両親があちこちから来ているわけ。だからアメリカと同じですよね。アメリカは合衆国だったからああいうポップスができた。……あれ、さっきと言うことがぜんぜんちがうか(笑)。

小島:大事大事。全部同じになっちゃうから、ちがわないとね。

移民文化なんですね。

久保田:だと思います。やっとその移民たちが第2世代になって、国のアイデンティティができつつあるっていう、ある意味ではいい状況なのと、軍事的な問題点の軋轢というか。

僕なんかはイスラエルという国に対して偏見があった人間なんですよね。ガザ地区の空爆があったときも、マッシヴ・アタックが公然と手厳しくイスラエルを非難したように、やっぱり反イスラエルみたいなものがありましたから。ただ、実際の音楽シーンにいるひとたちが尖った存在なんだというお話はリアルだなあと。

久保田:あと徴兵ですよね。みなさんやっぱりとられているんですよ。だから軍楽隊に入ったり、郵便係やったりとかして、なんとか。

あと2世っていうのがすごい大きいですよね。

久保田:ブーム・パムのリーダーは両親がチェコとウズベキスタン。

とくにブーム・パムがその中で何かを象徴する存在だったりするんですか?

久保田:やや先輩格だとは思うけど、とくにというわけではないかな。けっこういいバンドが多いんですよ。私がおもしろいなと思ったのが、さっきのテクノやトランスとは対照的に、実際に演奏するひとたちが多いことですね。ドラムが上手なバンドがけっこう多い。体でやるっていうね。こいつら本気だなと思うことがよくあります。

いろんな名前のなかにブーム・パムも挙がっていてんですが、やっぱり彼らがぶっちぎりにおもしろかったので、じゃあやってみようと。(小島麻由美)

Kojima Mayumi With Boom Pam Album Dijest


小島さんはちなみにどういうようにブーム・パムとは出会ったんですか?

小島:そもそもはスペースシャワーの関さんからCDを頂いて、気に入ってたんです。それで20周年企画で「誰かとやってみないか?」というお話になったときに、いろんな名前のなかにブーム・パムも挙がっていてんですが、やっぱり彼らがぶっちぎりにおもしろかったので、じゃあやってみようと。関さんも「大丈夫だと思います」みたいな感じだったから、企画がサッと通った。

じゃあ、ブーム・パムをきっかけに久保田さんと出会ったんですね。

小島:そうですね。

久保田:ブーム・パムはいいバンドなのに日本人とやってしくじるとよくないんで、自分の立場を隠密に作っておいたんです。「あいつらやっぱりよくなかった」って言われたら、お互いの国に対してよくないんで。最終的にはぜんぜんそんな心配はいらなかったんですけど。

小島:結果としては久保田さんとブーム・パムにプロデュースしてもらったという感じだから。

久保田:いやいや、私は後半であと入りした感じなので。

小島:でも曲順を決めていただいたり。

久保田:ははは(笑)。

実際の作業はどんなふうに進んだんでしょう? 今回は原曲があるわけですが、そのデータを個々に送って、アレンジしてもらうという感じでしょうか。

小島:そうです。チューバだから4ビートは無理かなとか、それくらいの感じで。

チューバ、いい味を出してますよね。

小島:それで選んでいって、向こうが仕上げてきてくれて、こちらで歌入れをして。

久保田:だからその頃のことを私は、「なんか作業が進んでるな」くらいしか知らないんですよ。ただ、その時点でレーベルとの間に入って、よかったらいっしょにやるよと。それもおもしろいなということで話が進んだんです。

すごい繋がりですね。

小島:そうですよね。今日初めてお会いしたんです。

えー! そうなんですか(笑)。

小島:「久保田さんが久保田さんが」ってずっと名前を聞いてたけど。今日が初めてです。やっぱりひとと会うとおもしろいですよね。

じゃあディレクションなんかは?

小島:私はなんにも。全部おまかせしました。

久保田:上がってきた最初のマスターの2、3曲を聴いて声が埋もれていたので……外国人だとどうしても日本語を言葉として聴かないじゃないですか。だからちょっとアドバイスしたのがあったくらいで、あとは最終行程のマスタリング。ぼわっとしたものを締めるっていう最後の彫刻ですよね。
 私はいろんなところに行っていろんなことをしますので、最近はマスタリングをすることが多いですよね。不思議な国の不思議なバンドがやるんで、しかもたまたまブーム・バンドと縁があったわけだから、これは成功してほしいなと思っていて。私は「できることがあれば」というポジションを自分で安全弁として作っといたの。

(久保田さんは)日本人じゃないみたい。扉がいっこない感じ(笑)。すごいダイレクトですよ。 (小島)

小島さんはどうなんでしょう、久保田麻琴さんといえばすごい方じゃないですか? 

久保田:いやいや、彼女はそういう先輩が全員大っ嫌いなので。

小島:なんでそんなこと知ってるんですか(笑)。

久保田:有名な方にはアレルギーを起こすってタイプなので、私くらいのサイズでよかったんだろうね。

実際に今日会われてみてどうですか?

小島:いや、すっごい外国に行ったことがある感じがして、日本人じゃないみたい。扉がいっこない感じ(笑)。すごいダイレクトですよ。

久保田:おもしろいのがね、宮古島ってそうなんだよね。浜とかに出てるおばあに話しかけるとね、5分くらいで彼女の人生を語りだすからね(笑)。宮古島の音楽に制作で関わっていて、おじぃおばぁの神歌は一段落したんだけど、30前後の若い子たちのジャズ・バンドも出てきておもしろい。BLACK WAXというジャズだけど、リズムがファンキーなジャムバンドというか。

宮古島の民族性みたいなところを出していると。

久保田:出してるな。曲はアメリカっぽい5、60年代のジャズな感じですよ。

そういう、日本というものをひとつのワールド的な観点で捉えるというような大きな視点が、久保田さんの中に一貫しておありなのではないかと思いますが、そういうもののなかで今回の小島さんのアルバムはどのように……

久保田:論文になりそうだな(笑)。ありがとうござます。素晴らしい質問です。あのね、(曲をかける)私はマスタリングが仕事なんで、まず聴きやすさとか音圧で負けちゃマズいわけ。その点ではこれはオッケーだなと思った。あと、このコラボは歌とバックの混じり合いがすごくうまくいっている。

聴いていてそう思います。リメイクというかトラックを差し替えたとは思えない。

久保田:そうですよね。いまのことばで言えば、ある意味ではオーガニックな仕上がり。楽曲をより一層立体化している感じすらあるっていうかね。「カヴァーしました」っていうよりも──まあ、こっちが先だと言うのは言い過ぎですけど、十分オリジナルに負けないクオリティがあると思いますけどね。ウリ、やったな! いい仕事だぞ! って思いましたね。

このコラボは歌とバックの混じり合いがすごくうまくいっている。(中略)いまのことばで言えば、ある意味ではオーガニックな仕上がり。楽曲をより一層立体化している感じすらあるっていうかね。(久保田)

“泡になった恋”なんかはもともとガレージ感があるというか、そもそもブーム・パムと相性がいいと思うんですよね。でも、その一方ですごくジャジーなものだったりとかもうまくいってますね。

久保田:さっきもサラームとそういう話になったんですけど、アメリカ音楽とかジャズのなかにはそもそも異国性があると思うんですよ。彼女(=小島)は当然ジャズの影響がありますよね。それをブーム・パムが、地中海的な響きでもってやる。文明の発祥の地というか、意外と新大陸のことはもともとそっちにあったりするんですよね。それをうまく小編成のコンボ・バンドで、小島さんのメロディの中から引き出してくる。ちょっとスウィング・ジャズっぽいものは、さらに突っ込んで南イタリアっぽくしてみたりだとか。

あとは「ワールド・ミュージックとしてのサーフ・ロック」みたいな視点というか──

久保田:いや、それを言わせてもらえばね、ベンチャーズの「ノッテケ ノッテケ」なんてさ、あれはアメリカーナではない。あの時点でそこはぶっちぎれてますよ(笑)。だから彼らが“雨の御堂筋”を書くのには何の問題もなかった。ノーキー・エドワーズ自身がたぶんかなりミックスな人だと思う。アメリカン・インディアンとか。エドワーズなんて怪しい名前だけど、きっと本名はちがうんだよ……(笑)。まあ、いずれにせよベンチャーズの中にはすごく異国性があって、それが日本で異常にウケた。
 リンク・レイなんかの音楽もめちゃくちゃエキゾですもんね。

そうですよね。あらためてサーフ・ロックって言われているもののイメージってエキゾなんだなって。中東的なメロディとか音階みたいなものとかもありますし。それを今回この作品で感じたんです。

久保田:よくぞブーム・パムを選んでくれたなって。

小島:やってよかった!

小島さんはブーム・パムのどこがよかったんですか?

小島:うーん、やっぱり、音階と編成と。チューバとか。

久保田:ネットで最近チェックしたんだけど、ニーノ・ロータとかが好きなんでしょ?

小島:ニーノ・ロータ! 好きですね。

久保田:私らからすれば『ゴッド・ファーザー』のイメージがあるけど、彼の音楽自体が南イタリアなわけで──地中海のど真ん中で、古代からの交易地で、いわゆるヨーロッパとは少しちがう。シチリアなんてチュニジアにボートで行けちゃうわけだから。イタリアもまた、その中に異郷を抱えているんだよね。たとえばピチカっていう音楽があって、タンバリンを使うんだけど、そこには毒蜘蛛の絵が描いてある。毒蜘蛛って、南イタリアのシンボルみたいなんですよね。で、それに刺されたときに治療するための音楽とは言われている。ほとんどトランス状態になっちゃうような音楽なんだけど、まぁ、古代的な話です。
 そういう地中海の感性をテル・アビブのいまの子たちは、アメリカのルーツと同じくらいに大事にしていると思うよ。だから小島さんの音楽に、日本の歌謡曲の中にある異国性を見つけて、すごくうまく整理していると思うんだ。鮮やか。ただ、もしかしたら向こうの子なら誰でもできたってわけじゃなくて、彼らだからこそやれたことだったのかもしれない。

そういう地中海の感性をテル・アビブのいまの子たちは、アメリカのルーツと同じくらいに大事にしていると思うよ。だから小島さんの音楽に、日本の歌謡曲の中にある異国性を見つけて、すごくうまく整理していると思うんだ。(久保田)

知的なバンドというよりは、そういうことを身体的にわかっているタイプなんですか?

久保田:いまのテル・アビブの子たちはみんな身体系。知的な人たちはジャズにいくから。もっとエスタブリッシュメントなもの、アメリカのマーケットに刺さるようなものにいくよね、エリートたちは。まあ、テル・アビブはちょっとやんちゃ系かな。やんちゃだけどちょっとインテレクチュアル。そう思います。……まだ向こうには行かないで、楽しみにとってあるんですよ。行ったらきっとすぐケンカになっちゃうから(笑)。

なぜなんですか?

久保田:いや、それはただヨタを言ってるだけなんだけど(笑)。

(一同笑)

久保田:いやいや、好きすぎてヤバいから。あんなところはちょっと、とっておかないと。

さらに先にですか!

久保田:いや、そういう奴いるんだよね。エイドリアン・シャーウッドって男がいてね、80年くらい……〈オン・U〉の最初の頃に会って、僕はいっしょにやりたかったんだ。でも細野さんに反対されちゃってね(笑)。

小島:どうしてなんですか?

久保田:いや、彼はダブが嫌いで。それでいっしょにはできなかったの。でも彼の家に遊びにいってね、そのとき「ほんとにお前らジャマイカとか好きだよな」っていうような話をしたら、「でも好きすぎて行けない」って言ってたんだよね。ロンドンのジャマイカ人とはよく組んでいろんな仕事をしてるんだけど、「もしジャマイカに行って理想が傷つくことがあったら、俺は死んでしまう」って(笑)。

はははは! 彼とは僕もよく会うんですよ。

久保田:ああ、そう? 奥さんのキシは福井の人だったけど、もう別れちゃったんだっけ? ロンドン英語と写真がとてもうまい人だったなぁ。

うまかったですよね。有名なパンク・ロッカーとかもたくさん撮られてましたしね。

久保田:〈オン・U〉の写真も全部そうだよね。まあ、このエピソードはele-kingだと思ってサービスで出したんだけどね──

(一同笑)

久保田:でも、ジャマイカ人じゃないのにあれだけダブをやってるってことには共感もあって、「好きすぎて……」ってセリフには「ああ、こいつ乙女チックなこと言うな」って思ったもんだけど、なんか、いま自分に当てはまってるなって思った(笑)。

そのくらいお好きだと。

久保田:そう、もう好きというかタダゴトではないよね。〈ブルーノート〉とか〈チェス〉とかだってきっとそうだと思うんだけど、はみ出したユダヤの優秀な子たちが、黒人音楽を一つ商業音楽のジャンルとして確立したわけで、でも同じ系の民族がドンパチ戦争やっているっていうのは、なかなかね……。こんなにいい音楽が出てこなかったらボロクソに言ってると思うんだ。不買運動とかしちゃってると思うけど、でもブーム・パムを観たときに「ああ……、わかってるよコイツら」って。で、アルバムをたくさん聴いてみたらどれもすごくよかった。だから、これはきっとシーンがあるなって思ったんだ。
 でも、シーンって、永遠には続かないんだよね。いつだってそう。

では、あるまとまった世代がイスラエルに現われたということなんですか。シーンと呼べるものが活況を呈している、と?

久保田:そうね、世代というか、ちょっとした社会的な状況というか。シーンは確実にある。このコンピレーションは知ってる(https://www.tuff-beats.com/1034/index.html)? ブーム・パムが初めて日本に来たときにもらったCDがあって、なんとかこういうものを自分でもリリースしたいなと思って。僕も準備してたんだけど、〈タフ・ビーツ〉さんが出してくれるっていうから、ぜひ!

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僕はそういうのが好きなの。ひっくり返すのがね。──「これだけ」っていうような閉塞性がいやなんです。 (久保田)

久保田さんは、70年代の『ハワイ・チャンプルー』の頃──細野さんが『トロピカル・ダンディ』なんかをやりはじめるのと時を同じくして、ポップ・シーンから、いまでいうシティ・ポップと言われるようなシーンへ離脱していった印象がありますよね。

久保田:まあ、離脱というかね、居心地いいところに無理しないで居るようになったというか。しかも外国の都市に盤が置かれるようになったときに、自分の音が何なのかと言えるようにしておかなきゃいけないと思った。だって、「お前はコピーだ」って言われたら終わりじゃないですか(笑)。そのためにポーズを取っておこうと。
 その点、テル・アビブの子たちはしっかりしてるよ。ファンクが多いんだよね。でもそれには誰にも文句は言わせない、ってとこがある。アメリカの音楽のもっともよかったときの要素をサっと取り入れてやるわけだから。
「え、お前らこんなにいい音楽をいまだにやってんの!?」みたいな。そういうバンドが多い。ファンケンシュタインってバンドとかさ──

Pファンクから取ってるんですかね。

久保田:いやいや、それでも彼らは無理しない、黒人のフリをしない。アヴェレージ・ホワイト・バンドって──あれはスコットランドのバンドなんだけど、世界のディスコで大ヒットしてね。ドラマーだけちがうけど、みんなスコティッシュですよ? ビー・ジーズはケルト系でしょうね、でもあの音楽で黒人も踊った。僕はそういうのが好きなの。ひっくり返すのがね。──「これだけ」っていうような閉塞性がいやなんです。そういうものを見ると「ロックか? これが?」っておちょくりたくなる。それでカントリーをやろうとしたりとか……なんだろうね、このひねくれ方って。全体主義が嫌いなの。反対のことを言うと怒るとかってさ、「怒る前に聞けよ」って思うんだよね。それは、まあ、ディアスポラ的な考え方なのか、ヒッピーなのか、よくわからないなあ。
 どっちにしても、押し付けられると反発する。逃げる。そういうところはつねにあるかもしれない。

その「反発」をどんなふうに表出するかというところで、久保田さんは拳を振り上げるかわりにゆるい方向に行くわけじゃないですか。そこに新鮮な共感もあったんじゃないかと思うんですが。

久保田:いやもう、そうしないと物事が動かないじゃないですか。

『ハワイ・チャンプルー』は最高にゆるいですよね。

久保田:そうね、武力はぜったいにうまくいかないから。

そのゆるさっていうのは、たとえば「北風と太陽」みたいなもので、北風じゃうまくいかないという確信があって、その上で意図的にやっていたことなんですか? それとももっとセンスみたいなところで──

久保田:うん、「ロックンロール」っていう言葉は引用なんだよね。ロックはタテ、ロールはヨコ、ふたつあって、まるくつながっている。それは音楽から学んだことなんです。人間はひとつの方向だけ持ってるわけじゃない。

もともと宅録少年なんでね。(中略)自分のプロジェクトばっかりやっていたら今回みたいなこともできないじゃない? 俺もリスナーでいさせてくれよっていう。
 あとさ、自分の声は飽きたよ。はははは! (久保田)

久保田さんというと、夕焼け楽団時代はニューオリンズを訪ねられて──

久保田:それは一種のエキゾだよね。やっぱり。アメリカ音楽の中にある異国性、別の知性。

それはハイブリッドなものでしょうか?

久保田:いや、開放感かもね。アメリカン・スタンダードじゃなくて、いろいろちがってていいじゃんっていうね。

それはやっぱりひとつのきっかけになり得たんですか?

久保田:そうだね。それと、喜納昌吉&チャンプルーズ。列島から出てきちゃったんで……『ハイサイおじさん』がさ。

久保田さんは『サンセット・ギャング』の頃はご自身で歌っておられましたよね。

久保田:気がついたら(笑)。それで食えたんで、まあいっかという感じで。

小島:でも、もう歌わないって。

そうなんですよね。

久保田:もともと宅録少年なんでね。(裸の)ラリーズに『MIZUTANI』っていうアルバムがあって、それが第一回のプロデュース作品みたいなもんですね。
録音して再生するっていうことがすごく好きで。それに、自分のプロジェクトばっかりやっていたら今回みたいなこともできないじゃない? 俺もリスナーでいさせてくれよっていう。
 あとさ、自分の声は飽きたよ。はははは!

(一同笑)

久保田:ほんとの歌手じゃないんで……フリはできてもね。自分でいまソロ・アルバムとか作れば、プロデューサー/エンジニアだからそりゃうまくはできるよ。でもそういうことじゃない。これから先、まったくやらないというわけではないけど、それよりおもしろいことがいっぱいあるんだから。ブーム・パムと小島麻由美なんてすごくおもしろいじゃない? そういうことに関わらずにどうする、っていうね。

小島:歌もやって、そういう活動もやったらどうです?

久保田:バンドをやってる頃は、やっぱりメインはミュージシャンとしていなきゃいけないけど、つねに口は出してたっていうか。エンジニアに「外に出てろ」っていって自分でやってたことはあったね。『まちぼうけ』とかもそうだけど。すぐケンカになるから、レコード会社からは問題児だって言われて。

小島:そういうほうがおもしろいですよね。

細野さんなんかは久保田さんとすごく近いところがあると思うんですけど、当時は日本のポップスをどういうふうに更新していくのか、どういうところにアイデンティティを見つけていくのか、みなさんが真剣に試行錯誤されていたわけですよね。ただアメリカの模倣をすればいいのか、というアンビヴァレンスもあって──

久保田:あのね、『ゴジラ』(=『サンセット・ギャング』)のころは、まだ自分たちはオタクなことをやっているつもりだったんです。で、あれが終わって、ようやく執行猶予期間が切れて(笑)、パスポートを申請できるようになって、3年ぶりに3ヵ月間アメリカに行ったんです。それで出来上がった『サンセット・ギャング』を聴いたら、「なんだこのアジアの音楽は」と思ったわけですよ。自分の本にも書いてあるんだけど。

「醤油だ」って書かれてますね。

久保田:そう、そのことがきっかけになってるかな。意識しなくてどうするっていう。

原曲よりロックっぽくなっていたり、原曲よりのんびりになってたり、いちいちおもしろいんですよね。 (小島)

今回のプロジェクトも久保田さんから見ればその延長にあるってことなんでしょうか?

久保田:いや、すごい進化形だよね。まずは小島麻由美っていう、こんなに天然の豊かなシンガー・ソングライターがいて、それをブーム・パムっていうレセプターがうまくスタイルを整えている……いまでしかありえない仕事だし、驚愕のプロジェクトだと思うよ。しかも超ロー・バジェットで(笑)。

小島:あははは!

久保田:ラッキー! って感じだよ。この値段でこれだけ文化価値のあるものがよくできるもんだよ。時代だよなあ……いまだからこそできた。

ぜったいアナログ盤をつくってほしいですけどね。未来人が、この時代にこんなものがあったのかって掘り返しますよ。

久保田:そうだよな、バチッと歴史に楔を打ってるよね、これは。

小島さん的にいちばん驚いた部分ってどんなとこです?

小島:なんかね、原曲よりロックっぽくなっていたり、原曲よりのんびりになってたり、いちいちおもしろいんですよね。

久保田:いちいちおもしろい。いいね!

小島:ユニークでね。とにかく最初からおまかせで、おもしろくやってもらえればと思っていたので。

久保田:自分の素材をどう料理されるのかというところは楽しみなものだよね。

小島:そうそう。

久保田:この余裕は何なんだろうね(笑)?

(一同笑)

久保田:才能だよね、ここは。

小島:私としてはプロデュースしていただくこと自体が初めてなので、とっても楽しかったです。

私としてはプロデュースしていただくこと自体が初めてなので、とっても楽しかったです。 (小島)

小島さんは楽器もされますよね。

小島:でもぜんぜんうまくないですよ。鍵盤ね?

今回は実際のセッションがあったわけではありませんけど、今後はそういうことへも興味が生まれたりしてますか?

小島:ああー、バンドとやるのはおもしろいですよね。できあがったバンドとやるのは、早いし──

久保田:そうね、いままではセッション・ミュージシャン的な人たちとやってたの?

小島:ファーストの頃なんかはインペグ屋さんを……

久保田:おおー! 古いね。久しぶりに聞いたよそんな言葉。いまの人たちは知らないでしょう?

ええ。

小島:なんか、会社なんですよ。そこに「いいベーシストいませんか?」とかって訊ねると、手配してくれるんです。

久保田:そう、手配師がね、先にバンドにギャラを払うんだよな。いまそんなのないんじゃない?

小島:ないんですかね?

久保田:やろうかな。

(一同笑)

小島:そういう中でだんだん知り合いができてくると、あっという間にメンバーができあがっていって。

久保田:セミ・バンドみたいになるんだよな。そこで集まった人たちとライヴもやってるんでしょう?

小島:そうですね、完全にバンドっていう感じかもしれませんね。

久保田:でも、できあがった個性のあるバンドと、まったくちがう人とがとデイトするっていうのはおもしろいものだよね。

小島麻由美 With Boom Pam(Kojima Mayumi With Boom Pam)/ 白い猫(Chat Blanc)


やり直しはなかったですね。 (小島)

今回のブーム・パムさんとのやりとりはどんな感じで進んだんですか?

久保田:もう、データ交換って感じだよね。

小島:しゃべりもしてないです。間に〈Tuff Beats〉さんが入られて、データが届いて。私は歌うだけだったんです。

久保田:でも、オケのやり直しってなかったの?

小島:やり直しはなかったですね。

久保田:すごい! それがすごいよ。その彼らの集中力というか、包容力というか。初めてのシンガーで、しかも外国語なわけだから。グレイトだよね。

このメロディの強さ、というところも大きいんでしょうね。

久保田:それもある。楽曲がまず第一だよね。それはそう。でも曲は彼らが選んでるんだよね?

小島:そうです。でもお送りした曲はほぼ全部やっていただけたかたちになります。最初に5曲送って、その後に5曲送って、さらにもう少し他の曲も聴かせていただこうということで5曲送ったら、もう先の10曲でレコーディングしてくださっていたらしくて。

久保田:じゃあ、次の10曲もすぐにできるね(笑)。やっぱり彼らは音楽の理解力というか、解析力がハンパない。それで、自分らを押しつけようというんじゃなくて、ちゃんとプライオリティをわかってるじゃないですか。歌っていうよりも全体のサウンドと曲を引き出すというね。……30代だよ? 去年も〈フジロック〉で来日したときに感心したんだけど、苗場に来てみたら彼らの宿が取れてなかったんだよ。それで僕はその話をきいてすごく怒ったけど、彼らは落ち着いてるの。戦時下の子たちだから、そんなこと何でもない。われわれは甘やかされているからね……ロックなおっさんだから、まぁそこで瓶割りゃあいいとかね、暴れるとかさ(笑)。

(一同笑)

久保田:私らのときはそうなんですよ。何かあると暴れるっていう。外国ツアーなんか行ったときにはよけい暴れる(笑)。

小島:あはは! でも、宿はどうなったんですか?

久保田:結局とれたんだけど、そこでぜんぜん感情の揺れがなかったの。そんなことくらい何てこともない……。それを見たときに感動しちゃって。こいつらはなんて人間ができてるんだって。ロックは怒んなきゃいけないくらいに思ってたけど、そうじゃない。そんなことを通り越した人間性が彼らにはあったよね。

そういうタフさと、地中海の、本当にいろんなものが溶け込んだカルチャーの、二世としての担い手っていう──

久保田:文化の発祥地だよね。で、国ができて60年経って、そういうふうに自分たちのポップ・カルチャーをつくるということがやっと可能になったんだよ。

そういう場所への久保田さんの注目があって、それももう10年近く前からご存知で、それが今回のようなつながりも生んで──でもきっと、他にもそんなふうにあたためておられるバンドとかカルチャーがあるんじゃないですか?

久保田:いやいや、私はあっためてたりなんてしないですよ。今回だって僕の知らないところで全部起こっていて、そこへヒュッと横入りしただけですよ。お互いに変な形であってはいけないと思って、ポジションはマスタリングというところでつくっていただけで。もう、何の心配もなかったですよ。
音は少しね、ギャラもらっているので良くしましたけども。

(一同笑)

でもね、そういう可能性はいっぱいあると思いますよ。インドネシアなんて、すごいもん。ギタリストなんかももうバリバリの奴らがいて。(中略)そういうのがいっぱい出てくると思うな。

久保田:でもね、そういう可能性はいっぱいあると思いますよ。インドネシアなんて、すごいもん。ギタリストなんかももうバリバリの奴らがいて。あの、誰だっけ、ジョーイ・アレキサンダーくんって言うんだっけ? 子どもなんだけど〈ブルーノート〉と契約しそうになってる子がいるよね。ピアニストでさ。ニューヨークとかでふつうにライヴやっていて。そういうのがいっぱい出てくると思うな。

久保田さんは〈サブライム・フリークエンシーズ〉のようなレーベルなんかはどう思いますか?

久保田:いやもう、「イイんじゃない?」って感じ。がんばってるねーって。

久保田さんや細野さんが目をつけられたのとはまたちがうところからですけれど、80年代にワールド・ミュージックの流れができていきましたよね。それが21世紀に入ってから、どちらかというとインディ・ロックと呼ばれるようなアーティストたちによって──

久保田:ああ、そうね。アメリカのロックなりヨーロッパのロックなりと、たとえばアジアやらクンビアやらが関わるっていうのは、ポジティヴなことだと思いますけどね。アメリカもそうやってバラけてきてるよね。エチオ・ジャズとかもそうだろうし。

だからいまヨーロッパのレーベルなんかは、ヨダレを垂らしてそうした音源と契約を結びたがると思うんですけどね。そういう機運があるんですよ。

久保田:いまテル・アヴィヴの子たちがアディスアベバに行ってちょうど掘ってる最中ですね。MIxMonsterの相棒のKALBATAらが。地球がどんどん小さくなっているよね。

あと、サイケデリックということもキーワードになっていたというか。ワールドというとみなそうかもしれませんが、とくに2000年代のロックにおけるそうした流れでは、サイケが必ずセットになっている印象がありました。

久保田:ああ、そうなのかもね。マインド・エクスパンディングっていうのは、垣根を取るということだから、関係はあるんじゃないかな。

橋元、久保田さんは裸のラリーズにもおられた方なんだから。

そ、そうですよね。久保田さんの前でサイケなんて、すみません……。

久保田:いやいや、そんなの僕ら何にも知らないでやってたよ。大きい音を出してうれしいなあって。何にも知らないことをやるのがうれしいっていう気持ちで。……なんか、このあいだレディ・ガガが「裸のラリーズ(Les Rallizes Dénudés)」って書いてあるTシャツを着てたらしいよ。

そんなことがあったんですか!

インスタで自分で上げてたって。お父さんのジャケット大好き、かなんかコメントしてあって、そのジャケットの下にTシャツがのぞいてるの。いったいどこの工作員が着せたんだかわからないけど(笑)。

(一同笑)

でも、それはひとつ時代的な傾向を物語るものでもありますね。

なんか、ぐちゃぐちゃですね。いろんな世界でいろんなCDがぐちゃぐちゃに混ざってます。 (小島)

そうですよね。あと、今回のコラボで、小島さんの音楽のサイケデリックな部分が見えやすくなっているような気もします。

久保田:ナチュラル・ハイなんだよな。

小島:あははは!

ご自身では、ジャンルの意識とか持たれてたりしますか?

小島:なんか、ぐちゃぐちゃですね。いろんな世界でいろんなCDがぐちゃぐちゃに混ざってます。とくに「このジャンルが好きで、そのジャンルについてはよく知ってる」ってことはないです。

そうなんですね。では「サイケデリックな音」というよりは「サイケデリックな態度」ということになるでしょうか、そういうものが今回強調されて感じられたようにも思いました。

小島:なんか、ドローンでフルートとか鳴ってるとサイケっぽいですよね?

久保田:まあ、そういう感じにはなるよね。でも、あなたの言葉の中にもあるよね。「蛇むすめ」とか言われるとさ、ええーって。

(一同笑)

久保田:怪しくて普通じゃない感じが。

小島:あははは!

久保田:トルココーヒー飲んで「ズビズバ―」(シュビドゥビドゥバ!)とかさ、もう「ワーッ!」って。トルココーヒーがズビズバに帰結するんだよ?

(一同笑)

小島:あれ、なんだろう、思いつかなかったのかなあ(笑)。

歌詞がロジカルというよりは、ポエティックだよね。発音もアナウンサー発音じゃないところがいいというか。「あいうえお」じゃない発音がけっこう入ってる。 (久保田)

(笑)でも、たしかに歌詞としても印象的に聴こえてきますけど、それが音を邪魔しないというか。あんまり歌詞を聴かなくても大丈夫っていうようなヌケのよさがありますよね。そういうところは海外の音楽を聴くのに似ているかなって感じます。

久保田:そうだね、歌詞がロジカルというよりは、ポエティックだよね。発音もアナウンサー発音じゃないところがいいというか。「あいうえお」じゃない発音がけっこう入ってる。中間音というかね。

小島:あんまり口を開けて歌ってないってだけなんですけどね(笑)。

久保田:体質というか、天然というか。

小島:マスタリング・エンジニアとしてお迎えして、とても勉強になりました。

久保田:「とても」って言うときに「トゥティモ」ってなるんですよ。「おー!」って思って。このあざとさはなんだ、と。

(一同笑)

久保田:そしたら、単に口が開かないだけだった、みたいな。それが音楽とピタっと合ったりしていて。言葉と発音と、それからいろいろ入り混じった音楽性がうまく整理されてストンと出てきたというのが、ブーム・パムなりテル・アビブなりというものとものすごい接点で結びついている。

こうしてお話をうかがっていくと、きちんと新しいものをつくって前に進んでおられますよね。日本の音楽を前進させるものというか。「J-Pop」とか「日本のシーン」みたいなことを意識してつくられることはありますか?

小島:うん、でも、有名な人とは比較されたほうがいいよね?

(一同笑)

それは、どういう意味で……(笑)。

小島:だって、やっぱりマニアしか知らない端っこの音楽ってなると淋しいですから。街の人が知っているようなものに……そういうところに向けてつくりたいっていうふうには思いますけどね。でも、だからといって街でかかっているものと同じような音楽をつくりたいというわけではないですね。

やっぱりマニアしか知らない端っこの音楽ってなると淋しいですから。(中略)でも、だからといって街でかかっているものと同じような音楽をつくりたいというわけではないですね。 (小島)

街でかかっているもので意識するような音楽はありますか?

小島:そんなに意識はしないですね。ちゃんと聴けばいいものがいっぱいあるのかもしれないですけど……。(小さな声で)とにかく有名な人が大っ嫌いだから。

(一同笑)

小島:あははは!

ははは! 痛快ですね。ガガ様ではないですが、国内海外関係なく、気になる音楽とかアーティストというのはとくにいないです?

小島:ガレージの人、最近おもしろいよね。あとは、アラバマ・シェイクスが気になりました。

久保田:テーム・インパラって知ってる?

おおーっ!

小島:素晴らしい。

久保田:いや、ほんともうロックなんて聴かないし、素通りするけど、あいつらは聴いてすぐ買いたいと思ったよ。

ええ、ええ。久保田さん、最新作聴かれました?

久保田:最新作は聴いてないんだよ。

ああ、やっぱり以前の音から聴かれてるんですね! 私も大好きだったんですけど、今回ちょいダメなんですよ。

小島:そうなのー!

久保田:ああー。あれだ、どうしてもメジャーになっちゃうとね。M.I.Aとかもそうだったなあ。ちょっとビッグになると失速したりするの、あるよな。

彼らこそはいい意味で変わらないだろうなと思っていたんですが。

久保田:そういうのって意外にプロデューサー・ワークだったりするんだよな。ユニークなところって。で、自分たちのエゴが出てくるとちょっとな……って。よく、プロデューサーの圧力について悪く言われたりするけど、意外に逆だったりするんだよ。

なるほど……。ですが、すごく若いものを聴いていらっしゃいますね。若いというか、リアルといいますか。

久保田:耳に入ってきて良いものはすっと入りますよ。

でも、どこで入るんでしょう? 追っていないと入らないものはありますよ。

久保田:そうだよな、たしかに。Youtubeだったり、人に音源をもらったりとかかな? テーム・インパラは、ライヴを見たいとは思わないけど、いいバンドだよな。彼らはどこのバンド?

オーストラリアですね。もともとは地元のダンス・レーベルから出てたんですよ、あの音が。

久保田:そこのスタジオがいいのかなあ。

では、話をちょっと戻しますと、Jポップや日本のシーンではどうです?

久保田:知らないですね……。

では仕事という意味で、きちんと新しいことを残していきたいんだというような意識を持たれていたりは──?

久保田:大それたことは考えてないね。まあ、集団に属するのが超苦手だから、好きなことをやらせといてくれよーっていう。それだけで生きてるんでね。

われわれのやっていたときから比べれば、もっとずっと洗練されて、進化している。よくぞ、これができましたね。(久保田)

久保田さんはいまどちらを拠点にされているんですか?

久保田:東京ですよ。前は郊外に住んでました。

なにか、ずっと旅をされているようなイメージを持っていたので。

久保田:もちろん、行きますよ。ただ、この7年は宮古島が多かったなあ。20回以上行ったかな? 1週間か2週間行くと、次にまた調べることが出てきて。

それはやはり音楽のための?

久保田:ええ。『スケッチ・オブ・ミャーク』(大西功一監督、2011年)って映画を観てくださいよ。神歌(かみうた)……スピリチュアル・ソングをまだ歌っている人たちがいる。存在は知っていたんですよ、沖縄にいるって。きっと日本にもあった。それは万葉集とかにぜったい通じている。

ご著書の中にもありますが、かつては日本の歌謡曲のいいところを世界に伝えたいんだというような思いもあったわけですよね。

久保田:いや、垣根がないんでね。それがヒッピーの特徴なんですよ。だからいまの若い子はそうなんだろうね。すごくヒッピー化してるはず。世界のいろんなものを聴いたり、サイケって言ったりしてるのはそういうことなんです。上手にね、そういうことをやっている。
 きっとつながってるんだね、その時代とも。「レヴォリューション」っていうのは有効だったわけだ。いまこうして私なんかがやっていられるのもそういうことなのかもしれない。

ますます参照されているんじゃないですか。

久保田:いやいや。

70年代に久保田さんや細野さんが目をつけられていたものは、本当に先を行っていたんだなと。

久保田:楽しいことだけ追っかけていたんですよ。

いや、でもこのジャケだって(『ハワイ・チャンプルー』)、ヴェイパーウェイヴだって言えば、知らない子は「そうだねー」って納得しちゃいますよ。新しいと思ってたら、すごい先にやられてたという。

そう、アートワークの感覚はすごくいまっぽいんですよ。

久保田:アート・ディレクターは私がやってるんですよ。シャツなんです、この地は。シアトルのヴィンテージ屋で買ったアロハ・シャツ。あと、ヴィンテージ屋で買ったデカールとか、絵とか。それをデザイナーに渡して、合わせて貼っといてって。

まさにサンプリングというか。コピペの要領というか。

久保田:そうでしたね。

まさにこういう柄が、ポスト・インターネットなんて言われてるわけなんですよ。ちょっとスピリチュアルな感じもふくめて。

このとき久保田さんは、ハワイへ行ってアジアを感じられて……つまり、ハワイの中にひとつのミクスチャーを見出されて、「チャンプルー」というのはそもそもそこから来ているわけですよね。

久保田:そうですね。

その意味でいえば、今回もそのコンセプトからつながっているという感じがしますね。

久保田:進化形です。われわれのやっていたときから比べれば、もっとずっと洗練されて、進化している。よくぞ、これができましたね。おめでとうございます!

小島麻由美デビュー20th記念ツアー『WITH BOOM PAM』

出演 : 小島麻由美 with Boom Pam

[大阪公演]
■ 2015年8月31日(月) @梅田 Shangri-La

OPEN / START 19:00 / 19:30
TICKET 前売 4,500円 / 当日 5,000円 (1ドリンク別)
問合せ : 清水音泉 06-6357-3666 (平日12:00-17:00)  https://www.shimizuonsen.com

[東京公演]
■ 2015年9月1日(火) @下北沢 GARDEN

OPEN / START 19:30 / 20:00
TICKET 前売 4,500円 / 当日 5,000円 (1ドリンク別) 2015年7月18日(土) 一般発売
問合せ : 下北沢GARDEN 03-3410-3431  https://gar-den.in/

櫻井響 - ele-king

My Best Voice Record

Special Talk:OLIVE OIL×K-BOMB - ele-king


OLIVE OIL
ISLAND BAL

BLACK SMOKER

Hip HopExperimental

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OLIVE OILが7月にBLACKSMOKERから発表したソロ・アルバムのタイトル『ISLAND BAL』は、「島の居酒屋」とでも直訳できるだろうか。このOLIVE OILとK-BOMBという盟友同士の対談を読むと、「島の居酒屋」というタイトルがしっくりくるように思えてくる。もちろんOLIVE OIL×POPY OIL兄弟が徳之島出身で、福岡在住である事実とも関係している。

  だが、「島の居酒屋」がしっくりくるのはそれだけではない。OLIVE OIL×POPY OIL兄弟にしろ、K-BOMBにしろ、旅芸人のように全国津々浦々を渡り歩き、各地のありとあらゆる“シマ”での壮絶なライヴと、変態、変人、強者たちとの交流、そして連日の豪快な遊びを通じてセンスと感性と変態性にさらに磨きをかけ、それらを原動力に大量のビートやラップ、映像や絵を、まるでメシを食い、酒を飲み、セックスをし、風呂に入るのと同じような感覚で日夜吐き出していっているようだ。

  『ISLAND BAL』はそういう彼らの交流と日常的実験のレポートだ。それゆえに音と生活の距離がとても近く感じる。ビート集的側面が強いものの、OLIVE OILは、OMSB、K-BOMB、FREEZE、KOJOE、5lackといった、長年親交を深めてきた全国各地のラッパーの既発のヴァースと新たなビートを組み合わせ、再構築することで最新のラップ・ミュージックを作り上げてもいる。また、OLIVEが今年、金沢で出会ったaddginjahzzというグループのラッパー二人をゲストに招いている。

  音と生活の距離が近い、つまりここで聴ける“肉感的なビート”は、本作のライナーで白石裕一朗(AZZURRO)氏が書いている通り、OLIVE OILが2011年からメインの制作機材をNATIVE INSTRUMENTSのMaschineに変えたことも大きく関係しているのだろう。ジャケットのコラージュは、KILLER-BONGとPOPY OILの合作によるものだ。

  さて、長年の付き合いとなるOLIVE OILとK-BOMBだが、おそらくこれほどまとまった分量の対談記事は初公開と思われる。対談とはいえ、この二人の対話である……まずは恒例となる二人の出会いのエピソードから訊いた。POPY OIL、JUBEも同席して行われた、彼らのはちゃめちゃで、ルーディで、時に驚くほど核心をつくトークをお送りしましょう。

福岡の焼き鳥屋では会計の金額がすごいことになってた。──OLIVE OIL

金の使い方もなんか似てるんだよね。無くなるまで金を使い過ぎちゃう感じ。メシ、頼み過ぎちゃう感じとかね。ははっ。──K-BOMB

OLIVEさんとK-BOMBの出会いは?

K-BOMB:当時はCD-Rを売ってる人があんまりいなかった。CD-Rがビジネスとしてまだ成り立たない頃だよ。

OLIVE OIL:たしかにそう。

2000年代初頭から中盤ぐらいですかね。

K-BOMB:オレはCD-Rで作品を大量に作ってた。で、あるときCHU(INNER SCIENCE)からCD-Rを売れる店があるって教えてもらったのがWENODだったんだ。

OLIVE OIL:CD-R売ってたっすね。WENODに売ってもらってた。

K-BOMB:だから、「オレの他にCD-Rとか売るヤツいるのか?」ってWENODに訊いたら、「いますよ」と。それでOLIVEの作品を聴いたらさ、斬新で最新で歌い辛い感じでたまんないと。そのころトラック作ってくれるいい人を探してたところだったから、すぐにでも会いたかった。そうしたら、「来週(東京に)来ますよ」とまた教えられて、すぐに会った。オレ側のニュアンスとしてはそんな感じさ。

それってどれぐらいの時期ですか?

OLIVE OIL:2006年ぐらいですかね。

K-BOMB:どうなんだろうね。もうね、2000年代に入っちゃうと、オレ、わかんなくなっちゃうんだよ。オレのなかじゃあ、新しいことなんだけどさ、でももう10年ぐらい経ってるっていうことだからさ。ちょっと時空が捻じ曲がっちゃってる。季節感を感じないね。でも、そうなのかもしれない。気持ち的には1980年代ぐらいに会ってるような感じだよね。

OLIVE OIL:ははは。

K-BOMB:初めて会ったのはUNITでのライヴかな? いや、違うか?

OLIVE OIL:WENOD(当時店舗は恵比寿にあった)の近くの神社の裏のバーで会った気がする。

K-BOMB:だいたい年数適当のオレだからさ。1989年の夏、ニューヨークで会ったってことだね。

OLIVE OIL:ははははははははっはーはぁ。

福岡でWENODの神長(健二郎)さんも同席して、OLIVE OIL、POPY OIL、THINK TANKが初対面したという話を聞いたことがありますが、違いますか?

(※2007年11月23日にWILD RIDEというイベントがEARLY BELIVERSで開催。THINK TANKが福岡で初ライヴを行っている。OLIVE OIL、RAMB CAMPらも出演)

OLIVE OIL:そうそう。福岡の焼鳥屋で会いました。THINK TANKが初めて福岡でライヴしたときだ。

K-BOMB:えーーーーーー!? まじで? オレはファースト・コンタクトは恵比寿だと思う。恵比寿で仲良くなって、福岡に行ったはず。だってさ、いきなりさ、知らない人とオレがそんな風に飲むってことないんじゃない? それまで人とメシとかたぶん食いに行ったことなかった。OLIVEと初めてぐらいの勢いで行ったんじゃないかな? 芋の水割りもそれまで飲んだことなかった。だからそれぐらい古い関係だし、OLIVEと出会ってオレ自身の芋がもう捻じ曲げられた。

その福岡の焼鳥屋での出会いが壮絶だったらしいと。

K-BOMB:壮絶だよ、常に。

OLIVE OIL:うちらが店に着いたら、小上がりの座敷でTHINK TANKのメンバーみんなが横になって寛いじゃってた。

K-BOMB:オレたちね、すぐ寛いじゃうタイプだから。

たしか神長さんが両者の間を取り持って、その場で意気投合して、途中で神長さんは「もう任せたよ」って先に消えたみたいな話を聞いたことがある。それは恵比寿なのかな。

K-BOMB:意気投合系だね。

OLIVE OIL:うん。福岡の焼き鳥屋では会計の金額がすごいことになってた。

K-BOMB:金の使い方もなんか似てるんだよね。無くなるまで金を使い過ぎちゃう感じ。メシ、頼み過ぎちゃう感じとかね。ははっ。

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それはOLIVEに常にある雰囲気で、OLIVEはいろいろ絡ませていくからさ。民謡とジャズとか、民謡とヒップホップとか。ひねくれてるのさ。──K-BOMB

オリエンタルな雰囲気や日本昔ばなし的な雰囲気を出したかった。──OLIVE OIL

いずれにせよ、WENODがK-BOMBとOLIVE OILをつなげたことは間違いなさそうですね。K-BOMBとTHINK TANKは最初どういう印象でした?

OLIVE OIL:すげぇ恐い。

K-BOMB:まじで? やだな

OLIVE OIL:だって、全員寝てるわけですよ。畳の部屋で。

K-BOMB:畳だと、オレたち寝ちゃうんだよ可愛い感じで。椅子だと、オレたち野菜とか投げ合っちゃうからさ。

OLIVE OIL:あ、思い出した! そのとき、K-BOMBに「EL NINO(OLIVE OIL×FREEZ)やってるでしょ? オレたちは1997年からEL NINOってイベントをやってるからね」って言われた。

はははは。同じ名前だったから対抗してきたんですね(笑)。

K-BOMB:対抗してきたんだよ。

JUBE:その感じは変わってないよね。いまでも気に入った人物に対抗心むき出しのときたまにみるよ。

OLIVEさんとFREEZさんのEL NINOよりも前から、BLACKSMOKERは同じ名前のパーティをやっていると。EL NINOって1997年からやってたんですね?

K-BOMB:そうだね。たしかOrgan Barで毎週火曜日やってた。イカレたことをやってたよね。

OLIVE OIL:まあ、そういう会話からはじまって、「じゃあ乾杯しよう」と。そしたら、K-BOMBが「魔王って酒があるけど、そこには大魔王ってのがある。もっとこっちのほうが悪いんだろ?」って大魔王という酒を選んだのをよく憶えてる。あれウケたな。

K-BOMB:俺、大魔王のせーでその後、寝ながらLIVEした気がする。

JUBE:たしかに

POPY OIL:僕らが当時福岡でやっていたダダイズムっていうイベントの時にいつも迎えに来てくれる後輩の車のなかでは常にTHINK TANKとK-BOMB、BLACKSMOKERの音楽がかかっていた。

OLIVE OIL:自分は1997年にアメリカに行って、2002年に帰国したんだけど、当時、日本にいる変態系の人たちのビートをすげぇ探してた。福岡でその後輩のキョムってヤツに知り合って、その流れでTHINK TANKとか、全部教えてもらった。

ただ、OLIVEさんとK-BOMBで一緒に曲を作るのはそれから少し先ですよね。

OLIVE OIL:K-BOMBから「TRIPLE SIXXX」(CDは2010年発売。アナログ第一弾は2008年)に入ってる曲のアカペラを直でもらったのが最初だと思う。「BPMもわからないから」って言われて、すげぇ困った思い出がある。

K-BOMB:OLIVE OILは「BPMないんじゃないかな?」っていうのあるじゃない。出来そうだなっていう。ビートが揺れてるからさ。揺れてると、BPMが3ぐらい稼げるような気がするんだ。どこの位置にもコンテンツがあるから、リディムが出るっていうかさ。わかるでしょ? 乾いてると的確に叩かなきゃいけないけど、揺れてると的確な部分の幅が広がるっていうね。

OLIVE OIL:「TRIPLE SIXXX」の「Mr.KATO」が最初ですね。

「Mr.KATO」にはFREEZさんも参加してますね。

OLIVE OIL:EL NINOでちょうど作ってる最中とかだったからね。

K-BOMB:だってさ、あの時期は福岡にライヴしに行くと、次の日の昼からさ、CLUB BASEにベニヤ板みたいなの貼って、「さあ、やりましょう」ってRECがはじまるんだ。もう絶対なんだよ。二日酔いで録らされる。オレはその場でビートを聴いて、リリック書いて、2、3曲録ったりしてさ。そうやって作った曲で世のなかに出てない曲とかいっぱいあるわけ。人の家の二段ベッドの上で正座して歌った歌とか出てないんだ。

OLIVEさんの自宅兼スタジオで録ったりはしなかったんですか?

OLIVE OIL:いや。

K-BOMB:家じゃ録らないよ。もうね、ゲトー団地みたいなところがあるわけよ。福岡からちょっと行ったらさ。「オレは人の家は嫌だよ」つってんのに、車に乗って行ったらもうそこだよね。強制的なんだね、いつも。オレ、人の家は嫌だから、しばらく川歩いてたよ。

OLIVE OIL:川、歩いてた(笑)。

K-BOMB:川歩いてたら、子供たちが魚獲ってて、オレもそれに参加して良い気分になったね。

OLIVEさんがK-BOMBをRECに誘うと。

K-BOMB:いや、みんなでオレを騙すんだよ。

OLIVE OIL:たしかそのときはFREEZの計画だった。

K-BOMB:そう。仲良いから、オレのことわかって来ちゃってたんだろうね。この人に「録音しましょう」って言ったら、「絶対行かない」って言われるから、黙って連れていかれる。「おいしいもの食べたくないですか?」「食べたいね」と。そうやって釣り出されてる。完全に拉致られてる。そうしたら、いつの間にか録ってる。

RECするのが習慣っていうか日常的でスピードが速いんですね。

OLIVE OIL:そうっすね。

K-BOMB:CLUB BASEがあったときはあそこで名作はだいたい録ってるよ。

OLIVE OIL:たしかに。全部あそこかGREENHOUSEで録ってる。

CLUB BASEで生まれた作品には例えば何がありますか?

K-BOMB:RAMB CAMPとTHE LEFTYの曲とかもそうだ。

RAMB CAMP / REBEL MUSIC feat. THE LEFTY (K-BOMB, JUBE)

RAMB CAMPのアルバムとかもそうなんですか?

OLIVE OIL:そうそうそう。

K-BOMB:福岡のラッパーはだいたいあそこで録ってたんじゃないか? 自然にエコーかかっちゃってるの、広いからさ。普通のヴォーカル・ブースより明らかにデカくて、何人もブースにいるっていう感じさ。THINK TANKの録り方と似てるよね。喋り声とか入っちゃってる感じで、アカペラとか聴くとおもしろそうだな。「芋の水割りくれる?」みたいな話し声が入っちゃってんだと思うよ。

ふふふ。

K-BOMB:夕方ぐらいから録りはじめて、それでまた飲んで、次の日にライヴやDJやったりして、福岡に何日もいちゃうんだ。だから、だいたい二日目とか三日目から、オレに付き合えなくなってくる人いるけどね。なんかもう、ゲッソリして、胃液の匂いがプンプンするヤツとか。ははははは。三日とか付き合えるヤツ、なかなかいない。POPY OILぐらいだ。OLIVE OILは上手いこと「違うビジネスがあるんで」って会わない時間が長い。

OLIVE OIL:その三日間でZORJIが痩せていく(笑)。

K-BOMB:そうだね。

そういう録音作業の原点というか、はじまりが「TRIPLE SIXXX」の「Mr.KATO」だったと。

OLIVE OIL:そう。

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福岡にはビートメイカーも多い。CRДMとかLAF とかさ。ラッパーだとREIDAMとか。そういう世代が盛り上がってる感じがする。──OLIVE OIL

OLIVEのせーだ。福岡最高なんだっ。──K-BOMB


OLIVE OIL
ISLAND BAL

BLACK SMOKER

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K-BOMBから見て、OLIVEさんとPOPYさんっていうのはどういう人物ですか?

K-BOMB:オレはこの兄弟と1ヶ月に1回……いやもっと会うときもある。いろんな地方で会うんだ。8月もだいたい一緒にいたりとかするしさ。だからもう家族のよーに過ごしてる。オレは朝早く起きて全員分の洗濯とかしてるよ、OLIVEの家で。風呂も入ってる。

OLIVE OIL:ふふふふふふふ。

K-BOMB:この兄弟はもう天才で、音と映像とアートを兄弟で出来てるっていうのもスゴイけど、普通にワールドクラスのレベルなんだ。だから、近づきたかったっていうのはあるよね。よく解読できないレベルっていうのかな。だいたいオレ、解読できるからさ。だからライバルだし、ファンだし、友人だし、ファミリー的な感じだ。深い感じだと思う。教えてもらうことも多いから。

何を教えてもらうんですか?

K-BOMB:芋の水割りとか音の鳴りとかも教えてもらう。ところで最近、野菜食べてないか?

OLIVE OIL:いや食べてませんよ

ふたりからすると、K-BOMBのファースト・インプレッションは?

OLIVE OIL:そういう人間がいると思わない人物。「そういう人、いるの?!」と驚くような人物だった。

POPY OIL:ライヴでドレッドを片手に持ちながら、片手でパッドを叩いている姿を初めて見て、野生の要素と都会の要素を両方併せ持つ、超越している人物だと感じた。

K-BOMB:オレもこの兄弟に野性的なのもと都会的なものを感じたよね。よく言われがちな“黒い音”とかじゃなくてさ。黒いけど、その黒いとは違うんだ。ポップで、メロディアスで、オレの好みなんだ。

ノイズもあるし、ポップもある。

K-BOMB:あるあるある。質感を感じたよね。

OLIVEさんが海外から帰って来てFREEZさんと会ったときに、日本人離れした野太いラップが出来るラッパーだったから、彼とは一緒にできると確信したというような話をしてくれたことがあります。

OLIVE OIL:そう。オレはエイフェックス・ツインやスクエアプッシャーも好きだったけど、90年代ヒップホップのスタイルをもって、徹底して8、16、24という偶数小節でラップしていくFREEZくんとやることで、ヒップホップのスタイルに自分の音楽を落とし込んでいった。そういう音楽を作っていたときに、今度はK-BOMBがオレの目の前に突如現れた。



K-BOMB:ふふっ。

OLIVE OIL:ラッパーなのに「1小節飛ばしてくれ」とか言われて、「やっべぇなあ」と感じた。

ヒップホップとラップのルールを知りながらそのルールを無視して、それでも王道のラッパーのかっこよさがある。そういうことですか?

OLIVE OIL:そうそう。だから、K-BOMBが3だったり、5だったり、7という奇数小節でラップしていくことに驚いた。

K-BOMB:でもそれはワザとじゃないんだ。同じ歌を同じトラックで歌っても1回目は8だけど、2回目が8とは限らないんだね。ラップを小節数で書いたことがないんだ。それが何なのかオレはまだわからない。感情がこもってくると小節数も変わって来る。感情がこもってなくても変わって来るし、かっこつけても変わって来る。かっこつけながら感情込めても変わって来るしさ。

JUBE:オレが数えたりするからね。でもやっぱり数えられない。4、4、4、1みたいに1が入ってきて、次6とか。挙句に頼りにしてたループはなくなって闇へと誘い込む。お手上げですよ。

K-BOMB:それがわからないんだよ。いいと思うものがそういうBPMだったり、そういう拍子だったりするのかもしれないね。サンプリングする時点でオレはもうそう感じてるよね。これはもう打ち難いっていう、そういうのが大好きだ。ゴールデンループっていうワザがあるからね。

ゴールデンループ?

K-BOMB:何日もそのループをかけっぱなしにしてて厭きないものさ。それがゴールデンループ。やっぱ最高なんだよね。OLIVE OILの聴き方さ。

OLIVE OIL:それは最高。

K-BOMB:名曲っていうのはさ、厭きちゃいけないよな。三日間ぐらいかけてても厭きない。ゴールデンっていうのは裏から入って来たりするものなんだよ。ゴールデンをさらに料理するのってすごい難しくて、ワザとらしくなっちゃたりとかするし、ストレートに行くのは誰しもやる手法なんだ。

『ISLAND BAL』には多彩でユニークなビートがあります。“HENCA”という民謡風の曲なんかもありますね。

K-BOMB:それはOLIVEに常にある雰囲気で、OLIVEはいろいろ絡ませていくからさ。民謡とジャズとか、民謡とヒップホップとか。ひねくれてるのさ。

OLIVE OIL:オリエンタルな雰囲気や日本昔ばなし的な雰囲気を出したかった。

K-BOMB:良いネタが入ったら良い曲が出来るっていうのは当たり前なんだけど、そのネタやモノの処理の仕方で変わってくる。絶対に誰しもが通る道っていうのは360度ぐらいあって、その雰囲気っていうのは誰しもが求めてる。OLIVEはそういうのを散らしてる感じがするけどね。それが技術なんだと思う。音の癖みたいなのを持っててさ。たとえば、だいたいヒップホップのビートメイカーはスネアやキックに重きを置くけど、OLIVEはハットに置いてたりとかさ。

OLIVE OIL:ハット、デカめですね。

K-BOMB:デカいと普通は耳が痛くなる。それが痛くならないとかさ。ちょっとよく聴いてみた方がいい他の人が置いてる重点と全然違うんだ。キックとかもさ、輪郭っていうよりベースに近いようなさ。

うんうん。

K-BOMB:ねぇ。丸い感じの。

OLIVE OIL:ブーン。マルチョーキック 最近食わなくなったけど

K-BOMB:芯っていうよりも周りも持ってる感じだしさ。そこに合うベースっていうのが入ってくる。それはほんとは組み合わせ辛いんだ。

OLIVE OIL:LAでマスタリングしたときに、K-BOMBの曲をスタジオで聴いていたら、TOSHINOBU KUBOTAのエンジニアもやっているアメリカ人が衝撃を受けてて。その様子はミュージック・ヴィデオにも写ってる。

K-BOMB × OLV-OIL / 真夜中のJAZZ

K-BOMB:「真夜中のジャズ」だね。たしかにあのときの彼の動きはTOSHINOBU KUBOTAの曲で踊ってるときとあんまり変わんないかもしれないな。つまり俺はTOSHINOBUなんだ

OLIVE OIL:その場にデリシャス・ヴァイナルのLAJさんも一緒にいて、彼もすげぇ上がっていて、ああいうのが正当な評価だと思う。

K-BOMB:それはビートが良かったから。「真夜中のジャズ」はOLIVEがミュージック・ヴィデオも作ってる。最近、OLIVEはシュールで恐い絵も描くし、いろんなセンスがあるんだ。オレたちの仕事を奪おうとしてるんだ。ふふっ。メシを作るの上手いしさ。そういう凡人離れしてるのはあるよね。

今回のアルバムに参加してるaddginjahzzは誰ですか?

OLIVE OIL:5lack世代ですよね。

K-BOMB:それはやっぱり最高の時期だね。OLIVEは同じ現場でいいと思った人とはやってるね。BIGIz'MAFIAとか名作がもうぞろぞろあるよ。

addginjahzz、ラップの訛りがおもしろいですね。

K-BOMB:このグループ、すごいいいね。声のバランスがいい。

彼らとはどういう出会いだったんですか?

OLIVE OIL:ちょっと前に金沢にライヴしに行ったときに会った。彼らすげぇ喜んでた。「BLACKSOKERから出すアルバムに曲が入っちゃうけど、大丈夫?」って言ったとき、「えええっ?!」って。

K-BOMB:よし、今度みんなで金沢に行こう! OLIVEが作って、光シージャーがかけて、ジャンルを超えてくみたいなパターンいっぱいあるんだ。シージャーがさ、BLACKSOKERの服ばっか着過ぎて、シルエットが俺と一緒みたいなときとかあるからね。

OLIVE OIL:それと福岡に最近Transform(https://transform.website/)って新しいクラブ、バーができた。

K-BOMB:朋晃(ツキツキニッコウ)のところだ。あっこいいよ。どんどんよくなってくるんじゃないかな

OLIVE OIL:福岡にはビートメイカーも多い。CRДMとかLAF とかさ。ラッパーだとREIDAMとか。そういう世代が盛り上がってる感じがする。

K-BOMB:OLIVEのせーだ。福岡最高なんだっ。

今後の話も訊きたいですけど、どうですか?

OLIVE OIL:今後はツアーしたいですね。ライヴをしたい。でもわかんない。もしかしたら作っちゃう可能性も高いから。でもリリースしたり、マスタリング済の音があるから、そういうのを持ってあちこち回るのがいいかもしれない。

K-BOMBはどうですか?

K-BOMB:これからのことはわからないよ。絵の仕事をやんなきゃいけないし、アルバムも作りたいなと思ってるけど、年々CD-Rも出すのが少なくなるぐらい時間がなくなってきちゃってさ。自分の課題がまったくこなせてないから、もっと厳しくしたいね、自分に。

OLIVE OIL:ふふふ。

真面目だ(笑)。

K-BOMB:俺はいつでも真面目さ。。。そろそろ旅行でもしてアルバムつくろーかな。

OLIVE OIL:あーぜひ事務所にもよってください。おいしいもの食べに行きましょう。

K-BOMB:いいね~ おいしいもの食べて……えっ? それって……ふふふ、それは高いよ。

BLACK SMOKER RECORDS PRESENTS
ELNINO

8/29(SAT) at clubasia 23:00-
ACT
KILLER-BONG JUBE BABA YAZI CHEE13 OLIVE OIL
5lack punpee OMSB Hi’spec peepow ROKAPENIS KLEPTOMANIAC
BUN LUVRAW Cocktail Boyz L?K?O VIZZA JOMO LIBERATE TISHIT
and more

弓J (S) - ele-king

Moody Summer 10

 さあさあ、〈サマーソニック2015〉出演の後、マシュー・ハーバートのライヴ・セットでの単独来日公演が決定しているのはご存じだろうか。そのパフォーマンスがどんなにおもしろいものなのか、2011年のこの記事(https://www.ele-king.net/review/live/001729/)を読んでいただくだけでも期待に拍車がかかるだろう。そういう話は後日あらためてご紹介するのでお楽しみに。
 さて、今回ハーバートを観られるのは3とおり。まずは〈サマーソニック2015〉内で開催されるオールナイト・イヴェント〈HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER〉。フランツ・フェルディナンドとスパークスという、ポップと実験性の両極限をゆく奇天烈ゴージャスなコラボレーションが実現するこのオールナイト・イヴェントには、トム・ヨークもDJで参加するなど話題性が絶えず、すでに大きな注目を集めている。だが、それに先駆けてハーバートを目の当たりにできるのが、8月13日、Zeppなんば大阪で開催される特別公演〈Hostess Club Osaka〉。トム・ヨークやジョン・ホプキンスも集い、〈HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER〉の前哨戦にも位置づけられる夜になりそうだ。

そして、単独公演が行われるのが8月18日。恵比寿リキッドルームで行われるこの公演は、他の日本公演(Hostess Club All-Nighter / Hostess Club Osaka)とはちがい、総勢9名(内3名は日本人のホーン・セクション)がステージで演奏する本格的なライヴ・セットとなる。どれを観たものか悩ましいが、なんといっても、コンセプチュアルでどことなく笑いの要素をもったそのパフォーマンスが存分に発揮されるという点では単独公演が最高に期待できるのではないだろうか。ぜひ足を運んでみたい。


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