ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. R.I.P. 鷲巣功
  2. 鷲巣功
  3. Cornelius - Refractions | コーネリアス
  4. Kim Doeon - SLAPSTICK | キム・ドオン
  5. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  6. YUKINO INAMINE + AKIO NAGASE ──琉球ダブ・ダンス・サウンドに注目
  7. This Is Lorelei - The Singer in My Band | ディス・イズ・ローレライ
  8. interview with Wendell Harrison 音楽の楽園=デトロイトから、ウェンデル・ハリソンがファラオ・サンダースとサン・ラーの思い出を語る
  9. Columns P-VINE 50th Anniversary Interview Pヴァイン50周年対談
  10. interview with Toshimaru Nakamura 世界を魅了する、類い稀なる電子音響 | ──中村としまる、待望の初期ベスト盤リリースと超ロング・インタヴュー
  11. Dusty - Dusty & Friends / Commodo - Deep Harbour ft. Alfa Mist / Untold - False Vacuum
  12. Smany ──エスメニーのアルバムが〈Virgin Babylon〉よりリリース
  13. RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO - TOKYO -
  14. 対談 半世紀を経て蘇る静岡ロックンロール組合
  15. Columns 内田裕也さんへ──その功績と悲劇と
  16. Rough Trade ──50周年イベント開催を祝し、恵比寿KATAにポップアップが出現
  17. sibasi kyoto ──京都のレコード喫茶/カルチャー・スペース「しばし」が展覧会シリーズを始動、初開催はテリー・ライリーのオーディオ・インスタレーション
  18. interview with Kinnara : Desi La 「アートによって、私は世界に満足できるようになりました。アートが、私の孤独の多くを壊してくれたのです」 | ──緊那羅:デジ・ラ、インタヴュー
  19. 河内音頭
  20. ele-king vol.37 ボーズ・オブ・カナダ大研究/サイケ&ドリーミー特集

Home >  Reviews >  Album Reviews > Call Super- Suzi Ecto

Call Super

AmbientDubIDMTechno

Call Super

Suzi Ecto

Houndstooth

Amazon iTunes

野田努   Oct 02,2014 UP

 2014年を印象づけるひとつのキーワードが、「IDM/エレクトロニカ」である。ARCAもそうだし、FKAトゥイングスも、AFX人気も、いろいろなところにそれが伺えるだろう。年のはじまりがアクトレスのリリースからだったというのも象徴的だ。
 ニッチではない。この現象は実に説明しやすいもので、最初の「IDM/エレクトロニカ」ブームのときと同じく、アンチEDM(反・飼い慣らされたレイヴ)ってことだろう。対立軸がはっきりしているほうがシーンは面白くなる。
 とはいえ、『スージー・エクト』がダンス・カルチャーと対立しているわけではない。むしろクラブとベッドルームとの境目を溶解して、両側に通じているというか。ロンドンの〈ハウンズトゥース〉が送り出す、ジョセフ・リッチモンド・シートンによるコール・スーパーのデビュー・アルバムも2014年らしい、聴き応えのあるエレクトロニカ作品だ。

 2011年にデビューしばかりのコール・スーパーは、明らかにハウス/テクノのクラブ・ミュージックの側にいた。フィンガーズ・インクをモダンにアップデートしたような……、いや、それをほんとどコピーしたヴォーカル・ハウスである。が、活動の拠点を〈ハウンズトゥース〉に移してからの彼は型を外す方向に向かい、家聴きされることを意識したであろうこのファースト・アルバムでは、OPNとクラブとの溝を埋めるかのようなエレクトロニック・ミュージックを試みているわけだ。

 『スージー・エクト』を特徴付けているのは、エイフェックス・ツインの『セレクティッド・アンビエント・ワークス』を彷彿させるほどの、圧倒的なロマンティックさにある。押しつげがましくない程度に、緊張感のあるリズムをキープしながらも、ドリーミーで、なんとも恍惚としたサウンドを展開、曲によってはフルートやオーブエの生音まで入っている。また、そのリズムもテクノ/ハウス一辺倒ではなく、ボンゴの演奏を活かしたパーカッシヴな心地よさ、ダブの陶酔、アンビエント、いろいろある。つまり、工夫はあるが、屈託のない音楽なのである。

野田努