「MAN ON MAN」と一致するもの

白川まり奈 妖怪繪物語 - ele-king

オカルト・SF・怪奇漫画界伝説の奇才・白川まり奈、驚愕の未発表作品を発掘! ここに刊行!!

『百鬼夜行絵巻』から鳥山石燕や
『稲生物怪録絵巻』を経て水木しげるに到る、
絵物語としての妖怪画の伝統を受け継ぐ偉業
―東雅夫(アンソロジスト、文芸評論家)

カバーは前面金箔押し+2色印刷
本文は6種類の紙を使い分けた、豪華特殊仕様!

没後15年以上経過する、このミステリアスな作家の作品のほぼすべて絶版。熱狂的なファンが血眼になって古書を探しているなか、未発表原稿が存在した。この「妖怪繪物語」は、白川まり奈が生前にライフワークとして取り組んでいた、幻の原稿である。ミントコンディションにて10数年眠っていた驚愕の内容が今明らかになる!! 解説はアンソロジストの東雅夫。妖怪研究家としての白川まり奈の魅力を解き明かす。

封入特典:
『侵略キノコ新聞』と題した投げ込み特別付録付き。マニア必読の知られざる白川まり奈の世界を紹介する。さらにここには、90年代にある雑誌に発表された、誰も読んだことのないであろう、超短編漫画作品を発掘し収録する!

■目次
第一話 鬼 
第二話 鉄鼠
第三話 九尾狐
第四話 付喪神
第五話 天狗の呪い
第六話 八人坊主ひとねぶり
第七話 輪入道
第八話 ムジナの祟り
第九話 河童

解説:東雅夫
未発表原稿との出会いから書籍化まで:古書ビビビ・馬場幸治



■著者プロフィール
白川まり奈(しらかわ・まりな)
一九四〇年長崎県生まれ。二〇〇〇年没。武蔵野美術大学を中退した後、漫画家、イラストレーターとして活動。オカルト系、SF系作品を曙出版、ひばり書房(二〇〇四年閉業)から多数発表。二〇一六年、現在多くの著作が絶版であるなか、幻の未発表原稿を発掘。今回、生前にライフワークとして取り組んでいたという幻の未発表原稿『妖怪絵ばなし』が『白川まり奈 妖怪繪物語』として書籍化される。

Björk Digital - ele-king

 会期が残り一週間を切ってしまったのだが、このタイミングで、改めて未見の方は日本科学未来館で開催中のVR展示プロジェクト「Björk Digital―音楽のVR・18日間の実験」に足を運んでみることをお勧めしたい。タイトルに「18日」とある通り、そもそもこの展示は6月29日から7月18日(月・祝)と会期が極めて短い。それだけにこれは貴重な機会である。

  6月の頭に日本科学未来館の案内があり、気になっていたものの、なんとなく取材を申し込むのを先送りにしてしまっていた展示だった。私事で恐縮だがフリーランスの身の上なので、媒体が先に決まっているものではない、純粋に自分の興味からの取材はどうしても後回しにしてしまいがちなのである。ようやく時間が取れそうだとなったのが、プレス向け展示体験会の3日ほど前。日本科学未来館に問い合わせると、前日28日には「Making of BjörkDigital-公開収録&トーク-」というBjörkが出演するイベントもあるとのこと。Björk本人の質疑に参加できる機会があるなら是非と思ったが、そもそもその時まで、その情報を知らなかったわけで、現実はそんなに甘くない。こちらは担当がDentsu Lab Tokyoだったのだが、丁寧に対応してくれたのものの、キャパシティの限界で取材は叶わなかった。取材が殺到していたようだ。Björkだから仕方ない。
 そういった事情もあり、なんとなく残念な気持ちがあったものの、今回の展示の目玉であるBjörk Digitalの『Vulnicura VR』をいざ体験してみると、力強い感動でそんな残念な気持ちはまったく消え失せてしまった。『Vulnicura(ヴァルニキュラ)』 はBjörkのアルバムで、「VR」はヴァーチャル・リアリティのことだ。

「もしかしたら人類の一つの感覚を変えるかもしれないVRという技術を、非常にエモーショナルな体験をもたらす音楽に取り入れる実験。(VRは)日本ではほとんどゲームコンテンツが中心ですが、音楽にどれだけ可能性があるのか体験して頂くとわかると思います」
 日本科学未来館・展示企画開発課長の中野まほろさんは、今回の展示のVR作品についてそう説明した上で、また今回の展示のVR作品のコンセプトを伝えるBjörkの言葉を混じえて紹介してくれた。
「プロモーションビデオなら四角い画面で1対1、ライヴは同時環境を共有できるが、例えば武道館ではアーティストが小さく豆みたいになって、繋がるという感覚はなかなか得られない。VRはどんな仮想現実環境も作ることができて、インターナルな思いや、あるいは表現したいもの、リスナーと繋がりたいという気持ちを実現できるメディアであるという可能性を(Björkは)感じている。もうひとつ、技術的な話ですが、365度の空間を再現するという意味では、VRは昔のコロッセウムみたいなシアター空間を再現できるメディアだと考えている。そういった新しい表現空間を、現在の世界に新しく創り出すことができる」
 筆者はゲームについてはまったく疎く、いざ展示に触れるまで、前の中野さんの説明であり、ここでのBjörkの言葉にも、その時点で正直まだピンときていなかった。ヴァーチャルリアリティという、いつの間にか聞き覚えのある言葉の語感と、「リスナーと繋がりたい」というBjörkの思いの部分を、頭の中で上手くリンクさせることができずにいたのである。
 いざヘッドセットとヘッドフォンを着用し、『Vulnicura VR』の世界に入り込んだ1曲目、アルバムの1曲目でもある「Stonemilker」(Andrew Thomas Huang監督)。この一瞬で、ぶっ飛んだ。そしてBjörkの言葉や意図を十全に理解することができた。ああ、こういうことだったんだ! という感じである。VRとは「どんな仮想現実環境も作ることができる」というBjörkの言葉通り、視界(というか我が身?)はいきなり360度荒涼としたアイスランドに移される。

  端的に言えば、いわゆるミュージック・ビデオの世界の中に自分が入り込み、視界はすべて仮想現実のその世界になる。唯一目に入る人間は、目の前で、時にこちらを向いて歌いかけてくるBjörkだけである。
 『Vulnicura』は長年の連れ合いとの別れを歌ったアルバムで、内容は非常にパーソナルなものだ。その象徴なのか、荒涼としたアイスランドの風景、足元にはタイガとかツンドラとか、そんな単語を連想させる(本当は何なのかわからない)ひび割れた大地が広がり、Björkが怖いぐらいの美しさで、すぐそこで歌っている。つながりという意味では、本当にBjörkと手を取り合えそうである。

2曲目「Mouthmantrar」を手掛けた監督はJesse Kanda。Jesse Kandaがベネズエラ出身のアレシャンドロ・ゲルシことArcaのハウスメイカーで、長年のコラボレーターだというのは、他ならぬele-kingで知ったことだった。そう言った詳細はここでは触れない。

『Vulnicura』というアルバムの世界観を作っているのが、このArcaだ。Arcaと云えば筆者にはKanye Westの『Yeezus』というイメージが強く、やはりKanye Westの目の付け所に今更ながら感服してしまうのだが、それはさておき、「Mouthmantrar」の世界はBjörkの口の中である。私たちはBjörkの口の中にいる。

  そして、ラストの「Not Get」。これは日本初公開で、ざっと上のように説明したところで返って、興ざめだろうから、世界観の心もとない描写は割愛する。


****

 VRの展示に入る前に、CINEMA(VR以外の展示のひとつ。本展のためにキュレーションされたBjörkのミュージックビデオのセレクション。映像音響は本展のためにリマスターされている)を見て、改めてBjörkが提示してきた世界の新しさに目を見開かれた矢先だった。リリースされて何年も経つミュージックビデオを四角いフレームで見てさえ目新しさを感じる、そのBjörkの世界観を描きだした仮想現実世界である。そこに入り込む意味を具体的に想像してみれば、ある程度とんでもないものが出てくるだろうことは予想できるだろう。だが、どんなに予測を立てても、Björkの世界観には追いつかない。

 最後の「Not Get」は2人づつに区切られ、そこで並んでヘッドセットとヘッドフォンを装着する。みんな同時に曲は始まる。つまり、着脱のタイミングがほぼみんな一緒になるわけだが、「Not Get」が終わって装備を外すと、隣の女性記者と目が合い、お互い呆然と「なんか、すごいものを見てしまいましたね」と言い合うほどだった。

  Björkは、今後も『Vulnicura』の他の曲についても、VRの制作をしていくということで、まずはそれらの楽曲の到来が楽しみで仕方がない。
 手塚治虫やブラッドベリが描いた世界が今こうして現実に到来し、VRについて検索していると、すぐ目についたのがプレイステーションVRが今年の10月に日本で発売するというニュースだった(蛇足だが、筆者はこの手のニュースを知るのは超遅い)。これから仮想現実空間は恐らく驚くべき速さで一般的なものになり、やがてそう遠くはない未来に映画館で楽しめるようになるだろう。「Björk Digital―音楽のVR・18日間の実験」で展示しているのは、来るべき世界そのものだ。

https://www.miraikan.jst.go.jp/exhibition/bjorkdigital.html

ele-king vol.18 - ele-king

音楽を聴かない人でも感じている──
いまおもしろいのはラップだと。

今年に入って、一般誌やサブカル誌もこぞって取り上げているラップ/ヒップホップの盛り上がり。そこでは何が起こっているのか?

ひときわ鮮烈に輝くオルタナティヴ、KOHHを表紙&巻頭にフィーチャーし、
NORIKIYO×PUNPEE、ISSUGI、仙人掌、Mr.PUG、ECD、UCD、OLIVE OIL、WDsounds、BUN、Moe and Ghosts、MARIA、KANDYTOWN、オカモトレイジ、tofubeats、磯部涼、二木信、「3.11以降の日本語RAP 30枚」、「USヒップホップを知るための30枚」ほか充実の誌面。

懐古趣味に彩られる音楽の中で、ヒップホップのほとんどはアクチュアルであり、
現在と未来を見つめている。

どこよりも早く企画を立て、どこよりも遅く仕上がった、
ele-king渾身のラップ/ヒップホップ特集。
 

目次

特集:いまヒップホップに何が起きているのか?

010 interview KOHH、ロング・インタヴュー 取材:山田文大
028 「いまヒップホップに何が起きているのか?」文:磯部涼
032 talking PUNPEE×NORIKIYO+ふたりが選ぶ日本語RAP名盤
043 columns RHYMESTERについて今一度考えてもらいたい 文:宮崎敬太
044 story 日本にラップは根付いたのか?――川崎・BAD HOPに始まる 文:磯部涼
048 interview MONJU(仙人掌、ISSUGI、Mrパグ)、ロング・インタヴュー 取材・文:二木信
062 columns いまなぜTwiGyなのか──『十六小節』刊行について 文:山田文大
064 interview WD sounds(澤田政嗣 a.k.a Lil MERCY)──ハードコア×ヒップホップ
067 interview Fumitake Tamura (Bun)──研磨されるビート/拓かれる聴覚
070 interview 荒井優作──トラップから路上の弾き語りまで
072 interview YungGucchiMane──未来の大器 取材:山田文大
074 interview Olive Oil──南の楽園設計を夢見つづける
078 story 酩酊は国境をも溶かす──「It G Ma」から見る日韓ラップ・シーン 文:磯部涼
080 columns トラップとはなにか? 文:泉智
081 talking オカモトレイジ×泉智「KANDYTWONを語る」
090 interview Moe and ghosts──新「ラップ現象」 取材:デンシノオト
097 talking 二木信×UCD「肯定する力とゆるさ──オレらが好きな日本語ラップ」
106 interview tofubeats──フロウとサウンド重視、発明がなければ面白くない
112 interview MARIA──KOHH、BAD HOPから高校生ラップまで語る
116 talking ECD×水越真紀 つまり「生きてるぜ」ってこと──ECDと考える貧困問題
126 3・11以降の日本語RAP 30枚 二木信+宮崎敬太+泉智
128 columns Beat goes on&on──あれから30年 文:高木完
129 いまUSヒップホップに何が起きているのか? 文:三田格
138 USヒップホップを知るための30枚 選・文:三田格

連載

146 アナキズム・イン・ザ・UK外伝 第9回 わたしたちはもっと遡ったほうがいい ブレイディみかこ
148 乱暴日記 第三回 KOHHとボリス・ヴィアン ~あれもありこれもあり、あれがあるからこれがある~ 水越真紀
150 音楽と政治 第8回 磯部涼
152 ハテナ・フランセ 第5回 配達人に乾杯! 山田容子
154 初音ミクの現在・過去・未来(後編) 佐々木渉
156 ピーポー&メー 第9回 故ロリータ順子(後編) 戸川純

表紙写真:菊池良助

ele-king vol.18 - ele-king

 昔からよく言われることだが、Jポップからは背景が見えない。見えないのが日本の風景だと言われてしまえばそれまでだが、風景らしい風景がないかわりに内面ばかりが語られる音楽を聴き続けるというのは、どこか息苦しい。セックス・ピストルズにはロンドンの下町の匂いがあったし、ザ・スミスからはマンチェスター郊外の街並みが幻視できた。レゲエからはキングストンの熱気が伝播し、シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノは街の知られる1面をレポートした。ブリアルのダブステップからもブレア以降の寂しい郊外が一緒に聴こえた。ヒップホップやグライムにいたっては、それが見えない作品を探す方が困難だろう。(ここで言う背景/背後とは、東京や湘南や札幌など、ただ地名を言うことではない。社会や歴史的背後という言葉に置換しうるものの意味で使っている)
 今日の日本の新しいヒップホップ、KOHHやBAD HOPからは背景も一緒に聴こえる。KOHHは内面的でもあるが、同時に彼が生まれ育ったところ、その背後も見えてくる(見えた気になる)のだ。KANDYTOWNのような、必ずしも経済的に厳しい出自ではない人たちも、その背後を隠さない。自分がどこからやって来たのかということに自覚的だ。要するに、本当の意味でのストリート感覚を内包した音楽ジャンルである。(しかも、言いたいことを言いたい言葉で言えるジャンルだし、そのほとんどがインディペンデントだ)
 ヒップホップは10年以上前から日本の地方都市にも根付いているので、ここで紹介するのはほんのその一場面に過ぎない。しかし、注目して欲しい、たとえば表紙に写っている(キャップを被ってもいなければスポーツシューズを履いているわけでもない)青年が、いまもっとも脚光を浴びているラッパーなのだ。紙エレキングの最新号──いまヒップホップに何が起きているのか?

■vol.18 contents

特集:いまヒップホップに何が起きているのか?

010 interview KOHH、ロング・インタヴュー 取材:山田文大
028 「いまヒップホップに何が起きているのか?」文:磯部涼
032 talking PUNPEE×NORIKIYO+ふたりが選ぶ日本語RAP名盤
043 columns RHYMESTERについて今一度考えてもらいたい 文:宮崎敬太
044 story 日本にラップは根付いたのか?――川崎・BAD HOPに始まる 文:磯部涼
048 interview MONJU(仙人掌、ISSUGI、Mrパグ)、ロング・インタヴュー 取材・文:二木信
062 columns いまなぜTwiGyなのか──『十六小節』刊行について 文:山田文大
064 interview WD sounds(澤田政嗣 a.k.a Lil MERCY)──ハードコア×ヒップホップ
067 interview Fumitake Tamura (Bun)──研磨されるビート/拓かれる聴覚
070 interview 荒井優作──トラップから路上の弾き語りまで
072 interview YungGucchiMane──未来の大器 取材:山田文大
074 interview Olive Oil──南の楽園設計を夢見つづける
078 story 酩酊は国境をも溶かす──「It G Ma」から見る日韓ラップ・シーン 文:磯部涼
080 columns トラップとはなにか? 文:泉智
081 talking オカモトレイジ×泉智「KANDYTWONを語る」
090 interview Moe and ghosts──新「ラップ現象」 取材:デンシノオト
097 talking 二木信×UCD「肯定する力とゆるさ──オレらが好きな日本語ラップ」
106 interview tofubeats──フロウとサウンド重視、発明がなければ面白くない
112 interview MARIA──KOHH、BAD HOPから高校生ラップまで語る
116 talking ECD×水越真紀 つまり「生きてるぜ」ってこと──ECDと考える貧困問題
126 3・11以降の日本語RAP 30枚 二木信+宮崎敬太+泉智
128 columns Beat goes on&on──あれから30年 文:高木完
129 いまUSヒップホップに何が起きているのか? 文:三田格
138 USヒップホップを知るための30枚 選・文:三田格

■連載
146 アナキズム・イン・ザ・UK外伝 第9回 わたしたちはもっと遡ったほうがいい ブレイディみかこ
148 乱暴日記 第三回 KOHHとボリス・ヴィアン ~あれもありこれもあり、あれがあるからこれがある~ 水越真紀
150 音楽と政治 第8回 磯部涼
152 ハテナ・フランセ 第5回 配達人に乾杯! 山田容子
154 初音ミクの現在・過去・未来(後編) 佐々木渉
156 ピーポー&メー 第9回 故ロリータ順子(後編) 戸川純

表紙写真:菊池良助

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 京都の若手レコード店主2人が着想し、地道にDIYで作り上げ、2013年の初回開催以来京都の音楽愛好者界隈では夏の風物詩となっている、《京都レコード祭り》(略称:「レコまつ」)。
 第4回となる今回(2016年7月9日[土]・10日[日]|於:ZEST御池 河原町広場)は、吉田省念バンド・オオルタイチらがライブで参加するなど、例年になく多彩な出演者を揃え、参加者の期待も高まっている。
主催の中心メンバーの1人、加地猛さん(〈100000t アローントコ〉店主)に話を聞いた。(村上潔)

第4回目ということで、これまでと違う点はありますか?

加地:いや、なんもない(笑)。回を重ねるごとにまだ来ていないお客さんを呼べていっているような気はしてるんで、それを続けていくという。やりかたとしてはそんなに変わってない。

前回は老舗の〈太陽レコード〉さんの参加が話題になり、それが『京都新聞』の記事になったりしましたが、今回の目玉は?

加地:〈クレモナ〉さん。お店が復活するタイミング(2009年1月閉店/2016年4月開店)で、参加してくれる。会場の店番に来るのは、先代の寺井さん。だからたぶん、「あー!」ってなるお客さん、いっぱいいると思う。あとは〈BBG-Audio〉さん。中古オーディオ屋さんなんだけど、レコード部門を最近作らはって。まあ、オーディオ部門と両方で来るねんけど。オーディオのほうは、手頃な価格のセットを組んでもらって。あと、会場のDJセットもここに頼んでる。「こういう音も鳴るよ」みたいな感じで。まあ、全部偶然やけど(笑)。
それと、いつもよりライブとかすごい多なってて。6組出るんやけど。それが全部9日に出て(笑)、10日は落語とトークが中心。9日はもうひっきりない感じ。
韓国のNice Legsっていうバンドは、レコまつのことをネットで検索して見つけたらしくて、それでオファーが来て出演が決まった。そういうことで言ったら、今回は外国人の人に来てほしいな、というのがテーマとしてある。ふだん店に来る外国人のお客さんはすごい増えてるのに、この祭りには来てないから。だから、英語ができる人にTwitterで英語で告知してもらったり、ゲストハウス(京都には外国人向けのゲストハウスが多い)にも初めてチラシを撒きに行った。

レコまつの当初からの一貫したスタイルは、レコード屋店主の有志がDIYで作る、ということですよね。いわゆる業界が関係することなく。それが京都で行なわれていることの必然性みたいなものはおそらくあると思うんですが、京都のレコード屋ネットワークのありかたが反映されていたりするのでしょうか?

加地:この祭りに関して言えば、まず俺と村松さん(〈ART ROCK NO.1〉店主)が具体的なことをやってて、あと会議に来る人が5人くらい。

会議ってどのくらいやるんですか?

加地:3回くらいかなあ。実際会ってやるのは。

ではそもそもの初回開催(2013年)に至る経緯というのは?

加地:村松さんと「こういうのやりたいなあ」という話はしていて、「じゃあ、やっちゃいますか」みたいになって。それで、最初は京都のレコード屋全店に声かけてみて、「出てもいいよ」って言ってくれた人たちでやった感じ。そのときに村松さんと俺ですごいやってるから、それがいまに続いてる感じ。

全店に声をかけるっていうのは、いつまでやったんですか?

加地:2年間。2回行って断られたところは、3回目来られたら(断るのに気を遣って)嫌やろうな、と思ったから。

それは、全店に直接足を運んで行った、ということですか? 電話じゃなくて。

加地:行った。電話じゃなくて。

直談判?

加地:そうそう。

初回は21店舗でしたが、参加店舗の数はだいたい一定してますよね。

加地:多少の増減と入れ替わりはあるけど、そんなに変化はないね(今回は24店舗)。ゲスト参加枠があるから、すごい多いイメージはあるけど。

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レコまつに出たことでお店に来るお客さんが増えたっていう声は聞きます?

加地:あんまり聞いたことない(笑)。ただ、終わってからしばらく、見たことない人が来るのは続くね、俺んとこは。

主催者側として理想なのは、ふだんお店に来ないお客さんが、レコまつをきっかけにしてお店に来るようになってくれることですよね。

加地:うん、だから、毎回地図(『京都レコードマップ』。毎年改訂版を発行。無料)を会場で配って。だけど、すぐに目に見える効果が出るわけじゃないかなら、いろいろやってみてる。

レコまつの影響でお店の売り上げが増えるとか、そういうダイレクトな「効果」以外の部分も、シーン全体では大きい意味をもっているようにも感じます。

加地:こういう祭りで、店のこととかあんまり把握してない人が、ばーっと買うやんか。それは、「○○さんのレコードを買いました」っていう意識より、「レコード祭りで買いました」っていう意識のほうが絶対強いと思う。だから、全体的に「レコードを買う」という行為が底上げされるというか、そういう効果があるんちゃうかな。それって、狙ったわけじゃないけど、なんかいい感じにできている気がすんねんな。

参加してるレコード屋同士の関係が、レコまつによって深まったりするんですか?

加地:毎回来る人らはすごい仲良くなってるよ。そのうちどっかに旅行でも行きだすんちゃう(笑)?

年齢構成はどんな感じでしたっけ?

加地:40代・50代、平均するとアラフィフくらいかな。

みなさんが若い頃って、こういうイベントはなかったですよね。だからなにかお手本があったわけじゃなくて。

加地:これね、「京都では(いままで)なかった」っていうのが、やろうかなってなった動機やったりするし。

モデルはあったんですか?

加地:いや、別に。俺は、すごい慣れてたからさ、レコードじゃなかったら。

古本市とか、《左京ワンダーランド》とか。

加地:そうそう、そっちで慣れてたから。この感じでレコード版をやったらいいのんちゃうのって。だから、手づくり市とかの集めかたといっしょで、呼べるところをいっぱい呼ぼうよって感じやったな。

でも結果的には、京都ローカルだけどすごいオープンなイベントになりましたよね。大阪とか神戸からもいっぱい人は来るし。ライブ・トーク・DJも、それ目当てで来る人はたぶんそんなにはいないけど、みんななんだかんだで、レコード買い終わったあと、見てますもんね、ふつうに。

加地:なんなんやろな、あの、がしゃがしゃした感じ(笑)。

ほんとそうですよね、みんな好き勝手に見て、喋ってて。

加地:特に、湯浅(学)さんといしい(しんじ)さんがやってるときは、妙な一体感があんのよ。ほったらかしっていうか、ほんまに、横でなんかやってはるわ、くらいの雰囲気。これやってるとき、なんかめっちゃ、完成度高いっていうか、すごい安心しておれんねん。

あとやっぱり、ジャンルが、これだけ揃えば当然、催しの内容もレコードの品揃えも、全体としてオールジャンルになるし、このごちゃまぜ感が、来る人には楽しいんじゃないですか。

加地:そうやね。まあ、ふだんから京都のレコード屋は、オールジャンルの店多いけど。さらに、ふだん店で扱ってないものをこれにあててきたりしよるから、もうなにが出るかわからへん(笑)。

そういう楽しみもありますね。でもなんで京都ってオールジャンルの店が多いんでしょうね? 大阪とかは専門店のイメージが強いですが。

加地:それはたぶん、街のサイズが影響してると思う。京都って、いわば「街歩き」の街やん。これを買いに行くっていうよりも、「出歩きに行く」ところ。レコード屋に行くことに関してもそうで、特定のジャンルの専門店のものはネットで新入荷をチェックしてればなんとかなる部分はあるけど、オールジャンルだとほんまにいつなにが入るかわからんから、どんなジャンルを好きな人もそれを見てまわって歩く。そうやって、いろんな人がごちゃごちゃ出入りしていくと、お店のほうもオールジャンル化していくんじゃないの? たとえば、〈ART ROCK NO.1〉さんも、もともとちょっと専門店ぽかったけど……。

インディーロック専門のイメージでしたね。

加地:でしょ? けどいまいちばんいろんなもん持ってるからね(笑)。

そうですね、狭い範囲に密集しているからみんな歩いてハシゴするし、レコード屋の近くには音楽好きな人が憩えるカフェもあるし。それでふらっと訪れる人たちのニーズに応えるかたちで、各店の商品構成が多様化するっていうのはあるかもしれませんね。そういえば、レコード屋めぐりに必要な『京都レコードマップ』は今年もレコまつにあわせて出すんですよね?

加地:もうあがってくる頃。今度は、英語と日本語と混合版(2015年は日本語版と英語版を別に作成した)。今回、このチラシ(日本語版のみ)を寺町通りのわりと大きいゲストハウス2軒に置きに行って、どっちもこういうチラシ受け付けてくれなさそうな大きいところで、ほんまに外国人ばっかり来るねんけど、「ああ、全然置きますよ」ってすごいウェルカムで。だから、持って行ったら持って行ったでつながるんちゃうかなって思って。それで、「地図できたらすぐ持って来ます」って言って(笑)。

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わざわざ京都までレコードを買いに来る外国のかたも増えるかもしれませんね。では、関西圏に住んでいて、「レコまつ、行ってみようかなどうしようかな」って考えている人に誘いの言葉をかけるなら、どういったものになりますか?

加地:ああ、あのね……、「こっそり垣間見ることもできます」(笑)。

え?(笑)

加地:それ重要やと思うねん、俺。こういうのって絶対、なにかしら密閉空間やん。でもこれってさ、こっそり見に来れるやん。

あ、外からね。そうですね(会場の〈ZEST御池 河原町広場〉は、地下の長大なショッピングモールの一角。地下鉄京都市役所前駅改札を出てすぐ。絶えず人が行き交う、開放的なエリア)。

加地:通りがかったふりとかもできるしさ。ほんで入れそうやったらちょっと入ってみようかなー、みたいな。めっちゃ大きい規模だったとしても、百貨店の上の催事場とかだったら、やっぱそのフロアに(わざわざ)「入る」みたいな感じがあるけど、これやとさ、ほんまに、「実は別の用事で歩いてるんですけどー」みたいな感じで(笑)。そういう、ちょっと「さらけ出してる」感が特徴的だと思う。

たしかに、オープンすぎる感じはありますね。じゃあ、逆に、コアなミュージック・ラバーには、どんな勧めかたをします?

加地:それは、いちばんの話で言ったら、さっき言ったみたいに、「なにが出るかわからん」っていうのはやってるほうも毎回思ってるし。あと、この様子のおかしいレコード市(笑)、こういうのも「あり」っていうか、なんやろ、「これ楽しくない?」っていうね。そういう提案というか。
たしかに、そういうすごいコアというか、ほんまに音楽好きな人も来るやんか。そんで知り合ったりしたら、その人別になんもしてないのに、どっかで買ったビールとか飲みながら、「楽しいわー!」とか言ってくれるのよ。そういう感じかな(笑)。(こっちが)「え、楽しいの、これ?」って言って(笑)。別にすごいレコードがあったからとかじゃなく、「いや、楽しい」って。それはすごい、いいなって思う。ふだんからだいぶ突っ込んでレコードを買っているような人でも、そんなこと言うんやって思って。こっちからしたら、そこまでマニアックなものを集めて「どや!」って感じでやってるわけじゃ全然ないから、そこはちょっと「ごめんね」っていうところがあったんやけども、でもそういうふうに楽しむ人もいるんやって。それはわりと、はっとしたけどね。なんかレコードで盛り上がってるっていうのが、うれしいんやろね。
1日目のDJしてくれるWATARU.Wくんなんかも、なんでもかんでも聴きたい人なんやけど、一日DJやってくれへんって頼んだら、めっちゃ喜んでくれて、「ここ何か月かで最大の仕事ですよ!」って(笑)。

なるほど。コアな人向けに作っていないところ(こそ)がコアな人なりに楽しめるポイントだっていうのは、おもしろいし、説得力がありますね。では、最後に、今回の目標なんかがあれば。

加地:目標? 目標はね……、「無事で」。やっぱりでかくなってくると……。

運営がたいへんになりますからね。

加地:わりと早い段階で大きいイベントに慣れている〈pocoapoco〉の寺尾さんとかから、「あんまり人ようさん来たら事故とかもあるかもしらんから」って言われて、それで(レコードの)下置き(机の下に置くこと)なくしたんやけど、そのとき正直、俺はまだ「別に大丈夫なんちゃうかな」って思ってたんよ。でもさすがに最近は「そうやな」って思って。「そういうとこもちゃんとしとかなな」って。ほんまに、無事に二日終わったら、すごい安心すると思う。

外からはけっこうカオスにやっているように見えるけど、実はみんな神経を遣ってるんですよね。

加地:それはほんまにそやと思う。

無事に、楽しく二日間が終わることを願っています。ありがとうございました。

*2016年7月2日、〈100000t アローントコ〉にて収録。

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 実を言うと私・村上は、《京都レコード祭り 第1回》にレクチャー担当で出演した経緯がある。そのときはたしか、開催の数日前に加地さんから依頼され、急遽読み上げ原稿を準備し、「入門・はじめてのアナログレコード――聴きかた、買いかた、そしてレコード屋さんがあることの意味」というレクチャーを会場で実演したのだった(第1回の報道記事はこちら→https://buzzap.jp/news/20130730-kansai-analog-record1/)。その際、加地さんらレコード屋店主だけでなく、出演する京都のミュージシャンのかたもスタッフとして早い時間から運営に携わっていて、本当に手づくりで成り立っているイベントなのだということを実感した。そして、回を重ね、来場者が増えていっても、やっぱり主催者の方々は交代でレジを打ち、レコードを袋に入れ、ライブやトークの機材準備をし、来場者からの問いかけに答え、楽しみながら汗をかいている。また、見えないところでは、仕事の合間を縫って(会場で無料配布する)『京都レコードマップ』の細かい改訂作業を行なう協力者もいる。きっと私の知らないところでハプニングやアクシデントもあるのだろうし、間違いなく主催の中心メンバーは準備で寝不足状態なのだろうが、みな当日は張り切って現場で動いている。
私は素直に、この《京都レコード祭り》を毎年開催している方々に敬意を表するし、こうしたシーンの裾野に「参加」できていることをうれしく思う。いわゆる「アナログレコード・ブーム」が喧伝されて久しいし、それを利用した展開も実際あるのだろうが、そうした流れとは無縁の、一つの地域のレコード店主たち──と、そのまわりにいる人たち──が自力で・協同で企画・運営を続けているこのシーンの存在は、街で遊ぶことが好きな、そして音楽の楽しみを人と分かち合いたい人からすれば、きわめて貴重で魅力的なものである。加地さんが言うように、まずはそれを「垣間見てみる」、そしてこの(レコまつという)「場所そのものを楽しむ」ことを実践してみてほしい。それはきっと、誰にとっても、「京都」で「レコード」を楽しんだという、かけがえのない「体験」になるはずだ。
最後に付け加えると、《京都レコード祭り》は、「祭り」と名乗るには奇妙な点があり、ここがとてもおもしろい点なのだ。レコまつは、出店するレコード屋やイベント主演者にとっては、「ハレ」の舞台。いうまでもなく祭りの主体だ。だが、祭りはそれだけでは成り立たない。もうひとつの主体は、それを取り巻く多くの通りすがりの人々。この人たちは純粋に「ケ」=日常の世界を生きている。この両者が偶然の流れによってごちゃごちゃに混在するところが、この祭りの場のいちばんの魅力だ。レコードを探しに来たお客さんは、その両面の要素をもっていて、この立場はこの立場でおもしろい。祭りの世界を、さまざまな立場の人々が、状況に応じて楽しむことができるのだ。だから、ただ外から眺める(=垣間見る)だけでも──会場に出店する〈Bar Rockpile〉では、ビール・ラムネ・冷やしあめ・みかん水を販売するので、お祭り気分も味わえる──興味深いポイントが見つかるだろうし、ぐいぐいとこの空間に浸り込んでいっても非日常の興奮が味わえるだろう。それは、たんに「探していたレコードが見つかった」/「お目当てのミュージシャンの演奏を聴けた」という次元とは異なる、「場の体験そのものの愉楽」というものだ。それを享受することで自然と、この京都のレコードシーンの内在的な地力・魅力に気づくことができるのではないかと思う。まずはほのかな期待を胸に、会場を通りがかってほしい。

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Second Woman - ele-king

 テクノに関して言えば、ぼくには問題点がひとつある。ぼくがもうすでに良いテクノをたくさん知っているということだ。みんなより早く生まれたお陰で、オウテカやベーシック・チャンネルの時代から聴いてきた。IDMというタームが出てきた時代も経験している。ぼくはいまでも日常的にエレクトロニック・ミュージックを聴いているけれど、新作に関しては年々おっくうになってる。すでに自分の日常には、魅力的なテクノがたくさんあるからだ。とはいえ、やはりどうしても飽きる。その多くに関して言えば、高尚なアートなんぞではなく、そして取り立てて言うほどの感情移入もない、ある種の刺激物として消費しているのだから無理もない。それはこの音楽の出自を考えればすぐにわかることだ。
 で、だったら新しいのを聴こうという気になり、本作のように情報としての共有に値する秀作に手を出すハメになる。こちら〈エディションズ・メゴ〉のサブレーベルからリリースされた、BelongのメンバーとTelefon Tel Avivのメンバーのふたりによるプロジェクトで、文句なしに素晴らしい最新エレクトロニカである。
 ミニマルであってミニマルでない。反復されるが不規則で、複数のレイヤーがそれぞれずれていく。単純な快楽主義ではないのだが、彼らはそこを〝聴かせる〟次元にまで押し上げている。オウテカがミニマルをやったと喩えてもいいな。音響体験としてのスリルがあるのだ。

 昔からぼくはエディットが細かいものが好きなので、気が滅入るほどの細かいチョップも心地良く、スラップスティック風に耳を刺激するし、ベーシック・チャンネル以降、マーク・フェル以降にも対応している。
 オウテカの新作も良さそうだし、テクノ(IDM寄りのほう)が盛り上がっているのは確実だ。20年前にエレクトロニカが好きだった人も、いままたこのサブジャンルに注目してもいいかもよ。まあ、ある種の刺激物として。

Fishmans - ele-king

 今年は『空中キャンプ』と『ロング・シーズン』から20周年。フィッシュマンズ結成25周年ということで、1996年12月26日赤坂BLITZでのライヴがCD2枚組でリリースされる。名曲“ナイトクルージング”や30分にもおよぶ大作“ロング・シーズン”が演奏された感動的な夜の録音である。ちょうどそのライヴの少し前に、水越真紀さんと当時バンドの拠点だった淡島通り沿いのワイキキ・ビーチ・スタジオを訪ねた。リハで捻挫したといって、松葉杖をして佐藤伸治がやって来た。
 その当時も時代は大変だった。フィッシュマンズの強い気持ちのあり方は、しかしやがて訪れるよりハードな時代を生きるためのリハーサルだったかのようだ。この揺れ動く世界から逃げずに、そして「歩き出そうよ」と歌えたら、それはいま素晴らしいことに違いない。
 本作『LONG SEASON’96~7』は、zakが新たにミックスを加えている。彼はまったく音の魔術師だ。あらためて最高のダブ・ミキサーであることを確信した。あの日いた人もいなかった人も、必聴である。


フィッシュマンズ
LONG SEASON’96~7 96.12.26 赤坂BLITZ Live

ユニバーサル ミュージック

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Interview with Stuart Braithwaite (Mogwai) - ele-king

 2011年の9月、グラスゴーの小さなフェスでモグワイのライヴを見る機会があった。デリック・メイからジ・オーブ、ワイルド・ビースツなどのジャンル、新旧織り混ざったラインナップ、さらにザ・フォールの次という出番のなか、堂々とメイン・ステージの大トリを務めていた。ステージ上にはファンには馴染み深いセルティックのタオル、エフェクター、そしてスコットランドの国旗のシールが貼られたギター。客席にはスコティッシュ・アクセントで騒ぐ、スコティッシュ・ピープルたち。「荘厳」や「轟音」といったモグワイにかぶさる常套句ももちろん当てはまるライヴだったが、サウスロンドンのグライムMCが畳み掛けるような息づかいで自分の団地についてラップするのを聴いたときのような、圧倒的なローカリティに打ちのめされた夜として記憶に残っている。

 その年に出たアルバムは『ハードコアは死ぬことはないが、お前はちがう(Hardcore Will Never Die, But You Will)』だったが、彼らはそこにシリアスな意味を込めたわけではない。モグワイは2015年に結成20周年を迎えた平均年齢40歳のレペゼン・グラスゴーの「ヤング・チーム」だが、その20年という短くない期間において、彼らはこれまで音楽について、またそれ以外の事柄についても、あまり深くは語ってこなかったし、言葉を使うときは、シンプルなイメージ表現かジョークかのどちらかだったように思う。モグワイを取材した経験のある先輩ライターが「モグワイって音を聴くと思慮深そうだけど、メンバーはそこまで考えているわけでもない」なんて言っているのを聞いたこともある。音楽がすべてを語っていると言えば、それまでなのだが。

 だが近年のモグワイの活動を見ればわかるように、彼らの音や行動の裏には確固たるステートメントが存在しているようだ。2014年にスコットランドのUKからの独立を問う国民投票が行われ、独立派のカルチャー・アイコンとしてキャンペーンの先陣を切っていたのは、何を隠そうこのヤング・チームである。投票が近づくなか、彼らはインタヴューに応え、同郷のミュージシャンたちとライヴまでも行った。投票の結果、反対票が過半数を上回りスコットランドは独立することができなかったのだが、ギター上のナショナル・フラッグが一度もなびかなかったわけではない。彼らのホームであり、スコットランド一の人口を持つグラスゴーでは独立賛成票が過半数を超えていた。あの日、彼らの音楽は人々の声になっていた。


Mogwai - Atomic
Rock Action Records / ホステス

RockPostrock

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 10年代も折り返した2016年、モグワイから強烈な1枚『アトミック』が届いた。ドキュメンタリー作家マーク・カズンズがイギリスの公共放送BBCのために作成した、広島の原爆投下以降の原子力と人間の関係を描いた作品『アトミック・リヴィング・イン・ドレッド・アンド・プロミス(Atomic Living in Dread and Promise)』のサウンドトラックをモグワイが担当し、その楽曲を発展させアルバムに仕上げた作品というだけあって、楽曲の内容もタイトルも、いままで以上にヘヴィーだ。ドキュメンタリーにはヒロシマだけではなく、フクシマも出てくる。つまり、モグワイの音はスコットランドから遠くに住むわれわれにとっても無関係ではないのだ。何度も繰り返し聴くのには適さないかもしれないが、聴かないでいることはためらわれるアルバムである。

 偶然にも米国オバマ大統領が広島を訪問した翌週、モグワイは『アトミック』を携え、広島を終着点とした日本ツアーを行った。取材に応じてくれたのは、チームのキーマンであるギターのスチュアート・ブレイスウェイトだ。彼らが考えてないって? まったくそんなことはなかった。原子力の特別な知識をいっさい使わず、「なんかおかしいよな」という素朴な疑問から編み出された彼のシンプルな言葉にはちゃんと切れ味がある。わからないことであっても閉口しないこと。2011年のあの日以来、列島の人々が学んだ教訓を彼の言葉から思い出す。六本木EXシアターの楽屋裏、スチュアートが口を開けば、そこはグラスゴーだった。

■MOGWAI / モグワイ
1995年にスチュアート(G)、ドミニク(B)、マーティン(Dr)、バリー(Vo,G, Key)によって結成されたグラスゴーの重鎮バンド。翌年、自身のレーベル〈ロック・アクション・レコード 〉 よりシングル「Tuner/Lower」でデビュー。数枚のシングルなどを経て、グラスゴーを代表するレーベル〈ケミカルアンダーグラウンド〉と契約、97年にデビュー・アルバム『モグワイ・ヤング・チーム』を発表する。以来、現在までに7枚のスタジオ・アルバムをリリース。フジロック'06でのトリや、メタモルフォーゼ'10の圧巻のステージその他、来日公演も語り草となっている。2015年10月、ベスト・アルバム『セントラル・ベルターズ』を発表。この4月には、広島への原爆投下70年にあわせて昨年放送されたBBCのドキュメンタリー番組『Atomic: Living In Dread and Promise』のサントラのリワーク集『アトミック』もリリースされた。5月には3都市をまわるジャパン・ツアーを開催し成功を収めている。

去年はまるまる『アトミック』の制作をしていたってことになる。

とうとう東京、大阪、そして広島を回る日本ツアーの開始ですね。けっこうスケジュールは詰まっているんですか?

スチュアート・ブレイスウェイト:いや、そうでもないな。今日は金曜日に日本に着いてから、伊豆に住んでいる友だちの家でゆっくりしていたよ。

すごく良いところじゃないですか(笑)。スチュアートさんはまだグラスゴーに住んでいるんですよね? バリー(・バーンズ)さんはドイツに住んでいるようですが、他のメンバーの方もグラスゴー在住ですか?

スチュアート:俺の住んでいる場所はあいかわらずグラスゴーのウエストエンドだよ(笑)。バリー以外はグラスゴー近郊に住んでいるけど、彼もグラスゴーに家を持っている、集まろうと思えば簡単に会える。

あなたが運営しているレーベル〈ロック・アクション(Rock Action)〉の調子はいかがですか? 

スチュアート:おかげさまで忙しくしているよ。2016年に入ってからもマグスター(Mugstar)とデ・ローザ(De Rosa)のアルバムを出したばかりだし、2015年もセイクレッド・ポーズ(Sacred Paws)やエラーズ(Erros)のアルバムを出せたしね。おっと、それから俺たちモグワイの新作も〈ロック・アクション〉からのリリースだ(笑)。グラスゴーのバンドが多い。リメンバー・リメンバー(Remember Remember)のグレアム(・ロナルド)は最近アメリカへ引っ越しちゃったんだけどな。

ではモグワイの新作『アトミック(Atomic)』について訊いていこうと思います。今作は2015年に放映されたBBCのドキュメンタリー番組(『Atomic Living in Dread and Promise』)のサウンドトラックのために作られたアルバムだとのことですが、制作にはどのくらいの時間がかかったのでしょうか?

スチュアート:最初にできた曲は“ファット・マン(Fat Man)”で最後にできたのは“イーサー(Ether)”だ。制作は2015年の春からはじまって、夏にサントラのためにレコーディングをして、秋にはアルバム用に作業をしていたね。だから去年はまるまる『アトミック』の制作をしていたってことになる。

たしかに、いままでの俺たちのやり方とはぜんぜん違うよな。ジョークを言う余地はなかった。

Mogwai / Ether

これまでのモグワイのインタヴューを読み返してみると、曲名やコンセプトにそこまでこだわっていないという趣旨の発言もされています。ですが、今回は「原子力」というとても明確なテーマがあり、曲名も“リトル・ボーイ(Little Boy)”や“ファット・マン(Fat Man)”といった、その黒い歴史を象徴するワードが多く、いままでのモグワイとはかなり対照的な作品だとも言えるでしょう。今回は制作にあたって、テーマに合わせて一から曲を作っていったのでしょうか?

スチュアート:まず「原子力」というテーマがあって、それに合わせて曲を作っていった感じだ。核技術、核爆弾、原発事故といったトピックがドキュメンタリーには登場するんだけど、それらに準じた事柄から名前がとられている。曲ができてから曲名をつけたんだけどね。たしかに、いままでの俺たちのやり方とはぜんぜん違うよな。ジョークを言う余地はなかった(笑)!

曲を作る段階でBBC側からあらかじめ映像や脚本を渡されていたのでしょうか? 

スチュアート:曲を作りはじめた初期段階から、監督のマーク・カズンズ(Mark Cousins)とは打ち合わせをしていて、そのときに映像に使用する予定の映像を見せてくれた。戦争や科学など、いろんな側面から核を捉えた映像だったね。ドキュメンタリーが完成する前だったから、そのときに見た映像の時系列はバラバラだったんだけど、着想を得るには十分だった。

映像制作陣から具体的な曲のディレクションはありましたか?

スチュアート:マークからディレクションがあったわけじゃなくて、基本的にバンドで自由に曲を作っているよ。もちろん映像に曲をフィットさせた部分もある。良いコラボレーションができたと思う。

広島を訪れる前から核兵器に反対していたけど、実際に平和記念公園へ行ってみたら自分は原爆についてほとんど何にも考えていなかったんだなって思わされたよ。

このアルバムの曲名には、一般的な日本人にはあまり馴染みのないものがあります。たとえば“U-235”は広島に投下された原爆に使用されたウランの同位体のことですが、恥ずかしながら僕はいままで知りませんでした。このサウンドトラックを作っている間、ご自分で原子力の歴史についてお調べになったのでしょうか?

スチュアート:ラッキーなことに、俺たちには化学者の友だちがいてさ。彼にも監督との打ち合わせに参加してもらって、そこで具体的な技術や核の歴史についても話してもらった。じつはその友だちに曲のタイトルをつけるのを手伝ってもらったんだよね(笑)。監督のマークにもテーマに関する助言をしていたよ。名前はアンディ・ブルー(Andy Blue)っていうんだけど、重要人物なのにアルバムにクレジットするのを忘れていたぜ(笑)! ははは!

アンディさんはモグワイのブレーンですね(笑)。一応事実確認なんですが、スチュアートさんはCND(注1)のメンバーなんですよね?

スチュアート:そうだよ。ドラムのマーティン(・ブロック)もメンバーだ。

メンバーになったきっかけを教えていただけますか?

スチュアート:俺はずっと核兵器には反対の立場をとってきた。10年くらい前にギグで広島へ行ったんだけど、そのときに平和記念公園にも行ってね。あれはでっかい体験で、その後にCNDのメンバーになることを決心した。  広島を訪れる前から核兵器に反対していたけど、実際に平和記念公園へ行ってみたら自分は原爆についてほとんど何にも考えていなかったんだなって思わされたよ。

スコットランドでは一般の人々は核兵器や原子力についてどのようなイメージを抱いているのでしょうか?

スチュアート:核は悪いものだって思っている人は多いと思うよ。とくにグラスゴーは近くに原子力施設があるから、核エネルギーに関して危機感を持っている人は一定数いる。それなのに政府は、「原発は雇用をつくっています」的ないい加減な情報を流しているんだよね。数千人規模の雇用を生み出しているって言っているくせに、実際に働いているのは数百人ってところだ。

原発の問題は原子力そのものだけではなくて、かなり複合的な問題だ。

日本でも同じようなことが起きていました。原発の安全神話が広告やメディアを通して世間に流布して、真実が見えにくくなっていった。原発産業の構造もいびつで、原発周辺住民にはお金を払っていたりしますね。住む場所によっても問題に対する意識が違ったりもします。

スチュアート:うんうん、そうだよな。原発の問題は原子力そのものだけではなくて、かなり複合的な問題だ。スコットランドには人口の少ない北部にも原子力施設があるんだけど、その地域の人々は違った考え方をしているかもしれない。

2011年の6月に、大量発生したクラゲが冷却装置に侵入したことが原因で、スコットランドのトーネス原発が停止しました。福島の原発事故の後だったので、日本でも反応している人が多かったですね。ちょうどその出来事の後、僕はグラスゴーにいて、それについて現地の人と話してみたんですけど、原発の停止を知らなかったり、「まぁ、事故が起きたわけじゃないだし」と言う人もいたりしました。原子力関連のニュースはあまり話題にならないんですか?

スチュアート:あの事件はよく覚えているよ。スコットランドのメディアはたいしたことないからなぁ(笑)。情報をかなり絞っているから、詳細がなかなか一般層に伝わっていないんだ。

まずはサン・ラーだろ。それからウィリアム・オニーバー(William Onyeabor)の“アトミック・ボム”。あとボブ・ディランの“戦争の親玉”だな。こういった曲を聴ききながら、原子力について考えるようになったのかもしれない。

スコットランドに限ったことじゃないですよ。ところで、日本には『ゴジラ』や『鉄腕アトム』など、原子力を背景に生まれた文化のアイコンがありますが、そういったものには馴染みはありますか?

スチュアート:『ゴジラ』は大好きだよ! あの作品に原子力と関連した背景があるとは考えて観ていたわけじゃないけど、たしかにその繋がりはかなり説得力があるね。

原子力について歌った曲で、何が真っ先に思い浮かびますか?

スチュアート:何曲か思い浮かぶな。まずはサン・ラーだろ。それからウィリアム・オニーバー(William Onyeabor)の“アトミック・ボム”。あとボブ・ディランの“戦争の親玉”だな。こういった曲を聴ききながら、原子力について考えるようになったのかもしれない。
 自分たちが曲を書いているときも、もちろん同じようなことを考えていた。でも同時期に作っていたすべての曲が、原子力に関する曲だったわけじゃない。自分がやっているもうひとつのグループのマイナー・ヴィクトリーズの曲を作っていたんだけど、その時は気持ちを切り替えて作っていた。自分が作る曲は、その時々でその裏にある伝えたいものは変わってくる。

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人間なんだからそれぞれの自分の考えを持っていて当然だし、俺たちがやることに対して反対意見があって当然だと思う。それでも俺は自分の意見を持つことが大事だと思うし、自分とは違った意見を持つ人々に対しても耳を傾けるべきだと思うし、そうすることに間違いなく価値があるんじゃないかな。

2011年の福島での原発事故のあと、日本では多くのミュージシャンたちが反原発を表明しました。彼らは賛同得た一方で、もちろんさまざまな批判にもあいました。今回、モグワイも原子力への考えを明確にしたわけですが、異なる立場の人々から自分たちが批判を受けるであろうことは予測していたと思います。なぜあなたたちは、そのようなリスキーな選択をする決心をしたのでしょうか?

スチュアート:人間なんだからそれぞれの自分の考えを持っていて当然だし、俺たちがやることに対して反対意見があって当然だと思う。それでも俺は自分の意見を持つことが大事だと思うし、自分とは違った意見を持つ人々に対しても耳を傾けるべきだと思うし、そうすることに間違いなく価値があるんじゃないかな。
 多少はリスキーなことかもしれないけど、今回のプロジェクトは素晴らしいものだってわかったから、自分たちの主張を前に出す決断をすることができた。原子力に関するステートメントだけではなく、俺たちのアティチュードや信条とも共鳴する部分がこのプロジェクトにはあったしね。
 もし自分たちが特定の意見??今回は原子力に関するもの??がなかったとしても、このプロジェクトを進めることができたかもしれない。俺たちの役割は曲を作ることだったからさ。このレコードにある政治的なテキストは監督のマークが考えたもので、俺たちはその考えを広める役割を担っただけだしな(笑)。でも音楽にだけではなく、さらには俺たちの考えにも耳を傾けてくれた人たちもいて嬉しかったよ。

原子力に関するバンドのなかでの意見はみんな一致しているのでしょうか?

スチュアート:もちろん。メンバー全員が同じ意見を100パーセント共有している。

偶然ですが、あなたたちが広島公演を行うのとほぼ同タイミングで、アメリカのオバマ大統領も広島を訪問するんですよね。

スチュアート:彼が訪問するなんて思いもよらなかったよな。日本の人たちがどの程度、普段から広島について考えているかわからないから、今回のオバマ大統領の訪問がどんな意味を持つのか、俺にはよくわからないんだけどね。モグワイがほぼ同じ時期に広島に来ることになるなんて、すごい偶然だよな。

本当に核兵器が必要なのかどうか疑問だし、核兵器を管理するお金を貧困層にまわせばいいのにと思う。なんかおかしいよな。

核軍縮を訴えたプラハ宣言が大きなきっかけとなり、2009年にオバマ大統領はノーベル平和賞を受賞しました。しかし、現段階でアメリカは核軍縮に向け具体的な努力をしているとは言えません。オバマ大統領に対して何か意見はありますか?

スチュアート:彼が核軍縮を訴える姿はかっこいいけどね(笑)。本当に核兵器が必要なのかどうか疑問だし、核兵器を管理するお金を貧困層にまわせばいいのにと思う。なんかおかしいよな。

このアルバムやドキュメンタリーのプロジェクトを通して、あなたたちが成し遂げたいこととは何でしょうか?

スチュアート:このアルバムやプロジェクトがどのような効果を及ぼすまでは俺にはわからない。でも、歴史を振り返ってみて、過去に起きたことを知るきっかけになればいいと思う。具体的に何が変わるかはわからないけど、多くの人々が、この原子力について考えるようになればそれでいいんだ。

スコットランドの独立を支持する意見のなかには、UK全体の政治のなかで、スコットランド票がまったく機能していないというものがある。つまりUKの政治にはスコットランドの声が届いていないということだ。


Mogwai - Atomic
Rock Action Records / ホステス

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それではスコットランドに関連する質問をさせてください。モグワイは2014年のスコットランド独立を問う国民投票に合わせて、独立賛成派として同じくスコットランド出身のフランツ・フェルディナンドらとともに、独立派を支援するキャンペーンを行っていましたが、投票の結果、賛成票が過半数に届かずスコットランドは独立することはできませんでした。現時点から振り返ってみて、あなたはスコットランドの独立をどのように捉えていますか?

スチュアート:いまだって俺はスコットランドの独立を支持しているし、そうするべきだと思っているよ。たしかに俺たちは国民投票前に独立派のキャンペーンにも関わっていたから、票を得られなかったのはけっこう辛い経験だったことは事実だ(笑)。でも機会があればまた俺たちは関わるだろう。

スコットランド人の学生やミュージシャンに独立について意見を聞いてみたのですが、リベラルな意見を持った人々も独立を支持していますよね。またイングランドの労働党のサポーターにも、スコットランドの独立を肯定的に捉えている人々がいます。ですが、周辺国や日本には、保守派や「クレイジーな右派」が独立支持の多くを占めていると思っている人が多い印象があるんですよ。

スチュアート:実際にはぜんぜん違うのにね。スコットランドの独立を支持する意見のなかには、UK全体の政治のなかで、スコットランド票がまったく機能していないというものがある。つまりUKの政治にはスコットランドの声が届いていないということだ。なぜスコットランドも構成国のひとつなのに、イングランド側が決めた方針で核兵器やイラク戦争に国の金が使われなきゃいけないんだ? 難民問題に対するUKの対応だってひどいよな。独立派のなかには、スコットランドが政治的に自由になって、よりリベラルで社会主義的な姿勢を国政に反映させることを望む声だってあったんだよ。クレイジーな戦争なんてうんざりだって意見もあった。いまは少し変わってしまった部分もあるけどね。そういった人々にとって、当時のSNP(注2)は良いオルタナティヴに見えた。

セルティックは60年代にヨーロピアン・カップで優勝したことがあるんだけど、そのセルティックとレスターが重なって見えてさ。

残念ながら、日本にはユナイテッド・キングダムがどういう仕組みになっているのか、スコットランドがどういう立場にいるのかを理解している人が多いとは言えません。モグワイがもし次に大きなプロジェクトに取り掛かるとしたら、スコットランドへの理解を深めるようなものがいいかもしれませんね。現に僕はあなたのギターに貼ってある、スコットランドの国旗のシールがきっかけになって、スコットランド人のアイデンティティについて考えるようになりましたから。

スチュアート:日本はスコットランドから遠いからなぁ(笑)。それはやってみる価値があるかも。国際的なサポートを集めるのは大事だよな(笑)。

最後に政治とはまったく関係のない、フットボールのトピックへ移りましょう。リーグは違いますが、今年イングランドのプレミアム・リーグでは地方の弱小チームだったレスターが優勝しました。あなたはグラスゴーのセルティックの熱心なファンだと知られています。レスターの優勝はあなたのセルティック愛へ何か影響を及ぼしましたか?

スチュアート:隣の国のことだけど、めちゃくちゃ良い話だと思ったよ。とてもインスパイアされた。セルティックは60年代にヨーロピアン・カップで優勝したことがあるんだけど、そのセルティックとレスターが重なって見えてさ。当時のセルティックはいまよりももっと規模が小さなチームだったんだけど、さらに大きなイタリアやスペイン、そしてイングランドのチームに勝利したわけだから。

去年、清水エスパルスという日本のJリーグのチームが下部のリーグへ降格してしまったんですが、エスパルス・ファンにもレスターは大きな希望を与えたみたいです。国際的にものすごく勇気を与える存在ってなかなかいないですよね。

スチュアート:うわぁー、それは残念だったね。いまもセルティックはヨーロッパのなかでは小さなチームだから、レスターの優勝にはすごく大きな希望をもらったよ(笑)。こんなに広い範囲でインスピレーションを与えるってすごいことだよな。

(注1)
CND(Campaign for Nuclear Disarmament)、核軍縮キャンペーン。1957年に設立された反核運動団体。

(注2)
SNP(Scottish National Party)、スコットランド国民党。スコットランドの地域政党で、UKからの分離・独立、親EUを主張する。2015年5月のUK総選挙で、 SNPは56議席を獲得し、保守党と労働等につぐ第三党になった。

DJ Doppelgenger - ele-king

 先日マーラは、ペルーを訪れ、現地のミュージシャンとの出会いをまとめたアルバムを発表したが、埼玉を拠点に活動するDJドッペルゲンガー氏も旅するダブステッパーで、彼の音楽には彼が旅で経験したアジアが散見される。2012年にアルバム『paradigm shift』でデビューして以来、インドやタイをまわり、また日本の地方のいたるところをDJで訪ねている。ドッペルゲンガー氏は、この度、ドラマーの武田充貴とTHEUSなる新プロジェクトによるアルバム『 Just to of THEUS』を自身のレーベル〈GURUZ〉よりリリースする。これがなかなかの作品で、強力なドラミングとハイブリッドなセンスが、ベース・ミュージックを別次元のところに押し上げている。
 またリリースにともなって、全国20箇所のツアーをおこなう。近くの方は注目して欲しいっす。

THEUS [ Just to of THEUS ] Release tour 2016

7/9 clubasia 東京-Tokyo
7/10 戦国大統領 大阪-Osaka
7/30 triangle 大阪-Osaka
8/11 ヒソミネ 埼玉-Saitama
8/12 NALU 茨城-Ibaragi
8/13 FREAKY SHOW 静岡-Shizuoka
8/14 OCTBASS 筑波-Tsukuba
8/27 蔵王龍岩祭 山形-Yamagata
9/2 Venue 長野-Nagano
9/3 Django 金沢-Kanazawa
9/9 DOPE 岩見沢-Iwamizawa
9/10 DUCE 札幌-Sapporo
9/21 LOVEBALL 沖縄-Okinawa
9/24 ビッグハート 出雲-Izumo
9/25 印度洋 山口-Yamaguchi
9/30 FLAVA 町田-Machida
10/1 SPICE DOG 伊豆-Izu
10/14 graf 福岡-Fukuoka
10/21 Club No.9 岡山-Okayama
10/29 OPPA-LA 神奈川-Kanagawa

7.9 SAT
ASYLUM「THEUS 1ST ALBUM-Just to of THEUS-Release Party」
@clubasia
Door:3000yen W/F:3000yen/1D ADV:2500yen/1D(clubberia)

◎MAIN FLOOR
THEUS
NOGEJIRO(NOGERA&KOJIRO)feat ブラボー小松
O.N.O a.k.a MACHINE LIVE (struct,TBHR)
KILLER BONG DJ SET (Black Smoker Records)
刑⚡︎鉄(ロベルト吉野&高橋'JUDI' 渓太)
Dr.WAXMAN
RAW a.k.a ACID BROTHERS

DECO:〼(meL-hen)
VJ mitchel

◎SUB FLOOR
THE 天国畑JAPON
The↑↓←→
ソリドリズム(DJ 識+武田充貴)
AKI PALLADIUM
TERUBI
FASHION HEALTH

VJ GENOME
TV DECO:Okabe Yuki+TeT(FRASCO)
LIVE PAINT:HISA

◎B1F
Tamotsu Suwanai (Wax Alchemy)
Reina×massive
mig×HI≒RO
PRETTY PRINCE×SECRET-T
kilin
yuitty

THEUS ART EXHIBITION:JAMY VAN ZYL,RURICO TAKASHIMA
占い:霹靂火龍角
出店:神眼芸術
KARMA SUTRA

 


THEUS - Just to of THEUS
GURUZ
Amazon

HOBOBRAZIL(bonobo) - ele-king

最近の家聞き10選

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