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 UKダブのレジェンドのひと組、昨年みごと復活を果たしたクリエイション・レベル。その歴史をたどるのにうってつけのCDボックスセットが〈On-U〉より発売される。題して『High Above Harlesden 1978-2023』。エイドリアン・シャーウッド初のプロデュース作品にあたる『Dub from Creation』(1978)からレアで高額だった『Close Encounters of the Third World』(1978)、代表作『Starship Africa』(1980)はむろんのこと、最新作『Hostile Environment』(2023)まで6作を収録。ブックレットには貴重な写真も掲載されているそう。詳しくは下記より。

CREATION REBEL
エイドリアン・シャーウッド主宰の〈ON-U SOUND〉が
クリエイション・レベルの豪華CDボックスセット
『High Above Harlesden 1978-2023』と
アナログ盤再発を発表

エイドリアン・シャーウッド率いる〈On-U Sound〉が、故プリンス・ファー・ライのバックバンドを務め、ザ・クラッシュ、ザ・スリッツ、ドン・チェリーらとステージを共にしてきたクリエイション・レベルの偉大なる歴史を詰め込んだ豪華CDボックスセット『High Above Harlesden 1978-2023』のリリースを発表! 待望のアナログ盤再発も決定した。

Creation Rebel - High Above Harlesden 1978-2023
YouTube >>> https://youtu.be/lw0SROhafOE

元々は、若きエイドリアン・シャーウッドが初めてのアルバム・レコーディング・セッションを実現するためのスタジオ・プロジェクトとして結成し、そこから名盤『Dub From Creation』が誕生した (UKレゲエ/ダブ・ミュージックのもう一人の巨匠、デニス・ボヴェルがエンジニアを担当)。
そこからプリンス・ファー・ライのツアー・バンドとして活躍すると同時に、バンド・リーダーであり中心的存在であるクルーシャル・トニー・フィリップスを中心にUKダブ/レゲエのシーンを語る上で欠かすことのできない重要作品をリリースしてきた。ベースのリザード・ローガンが投獄され、プリンス・ファー・ライが殺害されるという悲劇に見舞われた後、バンドは1980年代半ばから長期にわたって活動を停止するが、2017年、エイドリアン・シャーウッドのプロジェクト、シャーウッド・アット・ザ・コントロールのロンドン公演のために再結成。そしてエイドリアンとともにバンドはスタジオに戻り『Hostile Environment』を完成させた。クルーシャル・トニーは現在もバンドを率い、チャーリー・エスキモー・フォックス、ランキン・マグーとともに活動を続けている。
今回の再発企画では、『Dub From Creation』や『Starship Africa』といった1970年代後半から1980年代前半にかけてリリースされたUKダブ/レゲエを代表する名作5枚がフィーチャーされ、ファン垂涎のレア盤『Close Encounters of the Third World』を含め、5タイトルがアナログ盤で再リリースされる。またそれらの5タイトルに昨年40年振りにリリースされた最新アルバム『Hostile Environment』を加え、一つの作品としてまとめた6枚組CDボックスセットも同時発売される。CDボックスセットには、36ページのオリジナルブックレットが封入され、国内流通仕様盤はブックレット対訳/解説書付きとなる。
CDボックスセットのタイトル『High Above Harlesden 1978-2023』は、バンドが活動をスタートしたロンドン北西部の労働者階級地域に敬意を表してつけられている。
昨年、40年振りに届けられたアルバム『Hostile Environment』は、DJ Mag、The Quietus、The Wire、その他多くのメディアによって、2023年を代表する一枚として賞賛された。今回の企画は、〈On-U Sound〉の人気再発シリーズの最新プロジェクトとなっており、これまでにアフリカン・ヘッド・チャージ、ダブ・シンジケート、ニュー・エイジ・ステッパーズの再発に続くものである。

Dub From Creation (1978)
UKダブの総帥エイドリアン・シャーウッドによる最初のスタジオ作品。エンジニアはデニス・ボヴェル。ドラムはブラック・ルーツ・プレイヤーズのエリック ‘フィッシュ’ クラークで、レゲエのスーパースター、ジョニー・クラークの弟である。オリジナル・リリースは〈On-U〉の前身となる伝説的レーベル〈Hitrun〉より。

Close Encounters Of The Third World (1978)
ジャマイカのチャンネル・ワン・スタジオで録音され、ロンドンでプリンス・ジャミーがミックスした、クリエイション・レベルのカタログの中で最も人気のあるタイトル。
中古市場においてはコンディションの良い中古盤は超高額で取引されている。オリジナル・リリースは〈On-U〉の前身となる伝説的レーベル〈Hitrun〉より。

Rebel Vibrations (1979)
伝説的なルーツ・ラディックスのドラマー、リンカーン・“スタイル”・スコットをフィーチャーした、オリジナル・リリース以来入手不可能な、ヘヴィなベースラインとビッグ・チューンの正統派コレクション。オリジナル・リリースは〈On-U〉の前身となる伝説的レーベル〈Hitrun〉より。

Starship Africa (1980)
ダブのクラシック作品。惑星間サウンドエフェクト、星の彼方から聞こえてくる幽霊のような声、そして鳴り響くパーカッション。ルーツ・ラディックス、ミスティ・イン・ルーツ、プリンス・ファー・ライ・アラブスのメンバーが参加。近年ではMojo MagazineのHow To Buy... On-U Sound特集で、全カタログの中で最もお薦めのリリースとして第1位に選ばれた。
オリジナル・リリースは〈On-U〉の前身レーベル〈4D Rhythms〉より。

Psychotic Jonkanoo (1981)
ジョン・ライドン(セックス・ピストルズ、パブリック・イメージ・リミテッド)のバッキング・ヴォーカルをフィーチャーし、伝統的なジャマイカのルーツ・レゲエにUKらしい実験的なアプローチを取り入れた結果、独特のハイブリッド・サウンドが生まれた。

Hostile Environment (2023)
40年以上にわたる宇宙からの追放から帰還したバンドによる凱旋セット。クルーシャル・トニー、エスキモー・フォックス、ランキン・マグーのトリオは、プロデューサーのエイドリアン・シャーウッドと再結集し、ヘビー級のダブワイズ・リズムに現代的なスピンを加えた。

High Above Harlesden 1978-2023
上記の全アルバムを収録した6枚組アンソロジー・ボックス・セット、貴重な写真やライナーノーツを収めた36ページの豪華ブックレット、ボーナス・トラック7曲収録。

label: On-U Sound
artist: Creation Rebel
title:High Above Harlesden 1978-2023
release: 2024.03.29
CD Box Set 国内仕様盤:
(6枚組/解説書付き/38Pブックレット封入)¥8,000+tax
CD Box Set:
(6枚組/38Pブックレット封入)¥7,500+税
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13905

TRACKLISTING
DISC 1 (Dub From Creation)
01. Dub From Creation
02. Basic Principals
03. Rebel Rouser
04. Creation Vibration
05. Creation In A Iration
06. Dub Fusion
07. Mirage
08. Liberation
09. Rising Star
10. Vision Of Creation
11. Frontline Dub

DISC 2 (Close Encounters of the Third World)
01. Know Yourself
02. Conspiring
03. Beware
04. Dangerous And Deadly
05. Shouldn’t Do That
06. Creation Fever
07. Natty Conscience Free
08. Joyful Noise

DISC3 (Rebel Vibrations)
01. Rebel Vibration
02. Jungle Affair
03. Hunger And Strife
04. Ian Smith Rock (Dub)
05. Diverse Doctor
06. Mountain Melody
07. Black Lion Dub
08. Doctor’s Remedy

DISC4 (Starship Africa)
01. Starship Africa Section 1
02. Starship Africa Section 2
03. Starship Africa Section 3
04. Starship Africa Section 4
05. Starship Africa Section 5
06. Space Movement Section 1
07. Space Movement Section 2
08. Space Movement Section 3
09. Space Movement Section 4
10. Creation Rock
11. Give Me Power
12. Original Power

DISC5 (Psychotic Jonkanoo)
01. The Dope
02. African Space
03. Chatti Mouth / Threat To Creation
04. Highest Degree
05. Mother Don’t Cry
06. Yuk Up
07. Drum Talk
08. Independent Man
09. Creation Rebel
10. Monkey Grinds The Organ

DISC6 (Hostile Environment)
01. Swiftly (The Right One)
02. Stonebridge Warrior
03. Under Pressure
04. That’s More Like It
05. Jubilee Clock
06. This Thinking Feeling
07. Whatever It Takes
08. Salutation Gardens
09. Crown Hill Road
10. The Peoples’ Sound (Tribute To Daddy Vego)
11. Off The Spectrum

ドキュメンタリーに伝記映画、ライヴ映画など、近年ますます秀作が公開されている音楽映画を一挙紹介!

3月公開の『モンタレー・ポップ』とフェス映画の系譜

インタヴュー
ピーター・バラカン──音楽映画祭を語る
大石規湖(映画監督)

『ムーンエイジ・デイドリーム』『ストップ・メイキング・センス』などのロックの映画を中心に、『サマー・オブ・ソウル』や『白い暴動』、『自由と壁とヒップホップ』といった社会派音楽ドキュメンタリーまで、近年盛り上がりを見せる音楽映画の秀作・傑作を大紹介!

目次

巻頭特集 『モンタレー・ポップ』
Review ポップ・カルチャー史のエポックとなった伝説のフェス──『モンタレー・ポップ』 柴崎祐二
Column フェス映画の系譜 柴崎祐二

Interview
ピーター・バラカン さまざまな場所、さまざまな音楽──音楽映画祭をめぐって
大石規湖 「そこで鳴っている音にいかに敏感に反応できるか」

Review
マニアも驚かせた大作ドキュメンタリー──ザ・ビートルズGet Back』とビートルズ・ドキュメンタリー映画 森本在臣
断片の集成から浮かび上がる姿──『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・ デイドリーム』とデヴィッド・ボウイ映画 森直人
説明の難しい音楽家──『ZAPPA』 てらさわホーク
微笑ましくも豊かな音楽とコント──『フランク・ザッパの200モーテルズ』 てらさわホーク
伝記映画の系譜──『エルヴィス』ほか 長谷川町蔵
トム・ヒドルトンが演じるカントリーのレジェンド──『アイ・ソー・ザ・ライト』 三田格
ザ・バンドを語る視線──『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』 柴崎祐二
今こそ見直したい反時代性──『クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル トラヴェリン・バンド』 柴崎祐二
ヴェルヴェッツを取り巻くNYアート・シーン──『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』『ソングス・フォー・ドレラ』 上條葉月
1984年と2020年のデヴィッド・バーン──『ストップ・メイキング・センス』『アメリカン・ユートピア』 佐々木敦
メイル兄弟とエドガー・ライトの箱庭世界──『スパークス・ブラザーズ』 森直人
パンクが生んだ自由な女たち──『ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード』 上條葉月
セックス・ドラッグ・ロックンロールに明け暮れた栄枯盛衰──『クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男』 杉田元一
アウトロー・スカムファック(あるいは)血みどろの聖者に関する記録『全身ハードコア GGアリン』+『ジ・アリンズ 愛すべき最高の家族』 ヒロシニコフ
改めて注目を集めるカルト・クラシック──『バビロン』野中モモ
甦る美しき革命の記録──『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』 シブヤメグミ
帝王の孤独──『ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~』三田格
総合芸術としてのヒップホップ──『STYLE WARS』 吉田大
壁の向こうの声に耳を傾ける──『自由と壁とヒップホップ』 吉田大
ショーターの黒魔術に迫る──『ウェイン・ショーター:無重力の世界』 長谷川町蔵
ジョン・ゾーンのイメージを刷新する──『ZORN』 細田成嗣
ルーツ・ミュージックのゴタ混ぜ──『アメリカン・エピック』 後藤護
シンセ好きの夢の空間──『ショック・ドゥ・フューチャー』森本在臣
フィジカル文化のゆくえ──『アザー・ミュージック』 児玉美月
愛のゆくえ──『マエストロ:その音楽と愛と』杉田元一
徹底した音へのこだわりによるライヴ映画──『Ryuichi Sakamoto: CODA』『坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK : async』 杉田元一
失われた音楽が甦る瞬間──『ブリング・ミンヨー・バック!』 森本在臣
スペース・イズ・ザ・プレイス —— 渋サ(ワ)知らズと土星人サン・ラーが出逢う「場」──『NEVER MIND DA 渋さ知らズ 番外地篇』 後藤護
生きよ堕ちよ──『THE FOOLS 愚か者たちの歌』森直人
コロナ禍におけるバンドと生活──『ドキュメント サニーデイ・サービス』 安田理央
天才の神話を解いて語り継ぐ──『阿部薫がいた-documentary of kaoru abe-』 細田成嗣
坂道系映画2選──『悲しみの忘れ方 documentary of 乃木坂46』』『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』 三田格
勢いにひたすら身を任せる──『バカ共相手のボランティアさ』 森本在臣

Column
政治はどこにあるのか 須川宗純
ポリスとこそ泥とスピリチュアリティ──レゲエ映画へのイントロダクション 荏開津広
映画監督による音楽ドキュメンタリー 柴崎祐二
歌とダンスの(逆回し)インド映画史 須川宗純

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お詫びと訂正

このたびは弊社商品をご購入いただきまして誠にありがとうございます。
『ele-king cine series 音楽映画ガイド』に誤りがありました。
謹んで訂正いたしますとともに、お客様および関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

表紙
誤 大石紀湖
正 大石規湖

Tapir! - ele-king

 意識せずともいつの間にやら季節は過ぎて、サウス・ロンドン界隈のバンドも気がつけばポスト・パンクよりもフォークのアプローチをとるようなバンドが増えてきている。こういうのは徐々に変化していくものだからどのタイミングでこうなったのかはっきりとした答えは出ないものだけど、しかし2022年にキャロラインの1stアルバムが出たというのはひとつのターニング・ポイントだったのではないかと思う。そもそもそれが受け入れられる土壌があったということで、やはりロックダウンを経て音楽を作る側のみならず聞く側の心境を大きく変えたのかもしれない(デスクラッシュのギタリスト、マット・ワインバーガーが20年の『ラウド・アンド・クワイエット』のインタヴューで「世界が僕たちの音楽に合うように変化した」と表現していたことをよく覚えている)。塩分をとり過ぎた体が水を求めるように、鋭く性急な音楽よりも、心がゆったりとした慈しみのある音楽を求め、そんな音楽を奏でるバンドをよりいっそう魅力的にしているのかもしれない。それこそキャロラインもそうだがフォークそのものではなく、フォークのフィーリングを取り入れて他の要素と混ぜ合わせたような音楽をやっているというのもミソだ。古きに学び新しさに変えていく、そんなインディ的な精神はもちろんこの流れのなかでも発揮されている。なにはともあれ空気はすっかり変わった。

 サウス・ロンドンを拠点に活動する6人組テイパー!はまさにこの文脈にあるバンドだ。鼻の飛び出た揃いの赤いなんだかわからない覆面をして、なんだからわからないポーズをとったアーティスト写真から興味を持って(夜の闇と鮮やかな赤のコントラストがなんとも魅力的だった)、22年にデビュー作「Act 1 (The Pilgrim)」を聞いたのだけど、その音楽は写真同様に不思議な感覚に陥るような音楽だった。ジム・オルークの『Eureka』を彷彿とさせるようなフォーキーで柔らかな感触と、子どもの頃に見た紙芝居や人形劇を思い出すようなノスタルジーを感じるサウンドがなんとも優しく交じり合い、そしてなんとも優しい心持ちにさせてくれたのだ。

 そのEPはまるごとこの1stアルバムに収録されている。「Act 1 (The Pilgrim)」というタイトルが示すようにEPの音楽をひとつの塊とし、それを三部構成の物語としてとらえアルバムとしてまとめあげている。“Act 1 (The Pilgrim)”、“Act 2 (Their God)”、“Act 3 (The King Of My Decrepit Mountain)”、章のはじまりのそれぞれにフィールド・レコーディングされた物音とリトル・ウイングス、カイル・フィールドによるナレーションが挟まれて物語へと導く道筋が語られる(それはちょっと想像力を刺激するラジオドラマみたいにも思える)。ジャケットにも描かれ、またかぶり物にもなっている赤い奇妙な生き物ピルグリムが緑の丘の上で仲間の声を聞き、引き寄せられるように巡礼の旅に出て不気味な森や山々を駆け巡り、海を渡り、神秘的な風景の中を冒険するという物語、それがアコースティック・ギター、ピアノ、コルネット、サックス、チェロなどの楽器を使い柔らかに語られる。壮大な物語だが、テイパー!の音楽は丸っこいキャラクターが活躍するアニメのように親しみやすく、やたらとノスタルジックで、日常の愛おしさを感じてたまらなくなるほどに優しい。
 オープニング・トラック “Act 1 (The Pilgrim)” のつま弾かれるギターとピアノの絡み、そしてハミングからしてそれがにじみ出ているし、“Swallow” の繰り返しのなかで響くファルセットの歌声はやはり郷愁をこれでもかとかき立てる。海へ出たAct 2、“Broken Ark” ではギターを歪ませ、ストリングスのフレーズとベースでひとり孤独の航海を続けるピルグリムの姿を描き出す。ひとりではいたくないから、だから誰かのいる場所へと彼は向かうのだ。
 Act 3の “My God” はまた素晴らしく胸を締めつける曲だ。それまでの神秘的な世界を離れたモノにまみれた物質的な世界での冒険で、あるいはそれはピルグリムの見た夢(その夢の世界こそがきっと我々の生きる現実だ)なのではないかという考えが浮かぶが、とにもかくにもiPhone 6、ヒューゴ・ボスの時計、メイベリンといった名前の羅列が日常へと続く道筋を作り上げこれでもかと心をくすぐり続ける(思い出と結びつくモノ。消費主義の現実のなかで、しかし我々はモノに愛を感じて生きてもいる)。この曲もそうだが “On A Grassy Knoll (We'll Be Together)” や “Swallow”、“Mountain Song” などの楽曲でドラムマシンと組み合わせていることもこの不思議な旅の奇妙な感触を強めているのかもしれない。柔らかく丁寧に積み重ねられる繰り返しのフレーズとコーラス・ワーク、そしてわずかな異物感がこの旅を味わい深いものにしているのだ。

 このアルバムをプロデュースしたのがハニーグレイズの Yuri Shibuichi であるというのもまた注目すべき点だろう。彼は高い関心を集めている新人バンド、メアリー・イン・ザ・ジャンクヤードの曲のプロデュースもしておりバンド活動のみならずプロデューサーとしても今後ロンドンのインディ・シーンで存在感を放っていくようなそんな気配が感じられる(ロイル・オーティスや Vijin などダン・キャリー関連のアーティストのレコーディング時に呼ばれ、しばしばドラムを叩いているということもこうした活動と無関係ではないだろう)。本作でもジャケットに描かれている広がる草原のような音象を作り上げ、手作り感を残したままに、この絵本のような不可思議な世界の広がりを表現するのに大きな役割を果たしている。

 あぁそれにしてもこのアルバムに聞いたときにやってくる感情はなんなのだろう。聞くたびに胸が締めつけられるようなノスタルジー、ジワジワと湧き上がってくるような愛おしさ、ちょっと哀しくだけども優しく包み込むように音楽が鳴り響いていく。現実から引き継がれた寓話の世界のフォークロアのようなおとぎ話のなかにあるリアル、優しい色使いの世界の中でテイパー!は日常に接続する感情を描いているように僕には思える。音楽だけにはとどまらないというこのプロジェクトがこの先どんな風に変化していくのか楽しみで仕方がない。

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