ゴッドスピード・ユー~から唯一、脱退したことになっているマイク・モヤがセット・ファイアー・トゥ・フレイムスに先駆けてはじめたモラッシーズという暗~いバンドに参加していたサム・シャラビが09年からスタートさせた28人編成のバンドによる2作目(つまり、ゴッド~の3倍近い人数)。シャラビ自身は01年にリリースした『オー・ハシッシュ』を皮切りにすでに3枚のソロ・アルバムを送り出しているほか、各種のコラボレイションや3人編成のシャラビ・イフェクトとしても4枚のアルバムをコンスタンスに完成させ、いまやモントリオール一の働き者と化している。それぞれのアルバムで内容はかなり異なっており、この10年間になにがどうしてどうなっているかという説明は「そうね、ポスト・ロックだね」のひと言で片付けてしまいましょう(あー、ジャンル用語というのは便利だなー。この暴力性がたまらないなー)。
マイクロディズニーのキャサル・カフランがビューボニーク(リンパ腺肥大)の名義で放った「モノガミー(一夫一婦制)」と同じタイトルを持つセカンド・アルバムは「モラル・マジョリティ(というキリスト教右派)を流せ(=堕胎しろ)」という反カトリック的なメッセージと合わせて考えるにイスラム的価値観から考える北米文化という内容になっているのではないだろうか(間違ってたら、ごめんなさいよ)。サウンドはその通り、ゴッドスピード~譲りの重いアンサンブルにアラビア風のモンドな電子音などが絡みつき、「連合赤軍にとってサイケデリック・ミュージックとは?」みたいな感じに仕上がっている。つーか、足立正生に推薦ですよね。パレスチナ人の奥さんと一緒に聴いて欲しいですよ。ちなみに足立正生と何時間か一緒にいると公安の尾行よりも、その奥さんから定期的に「いま、どこにいるの!」という電話がかかってきて、公安は勤務時間が終わればいなくなるけど......(以下、自粛)。
正直いって、僕はゴッドスピード・ユー~やシャラビの生真面目な姿勢は疲れるし、好んで聴きたいとは思わない。ユーモアのひとつも出て来ないところまで追い詰められているとしたら、それは仕方がないけれど、このアルバムを聴く限り「仕方がない」かどうかまではわからないし、もしくは、仮にそうだったとしても伝わってこない。レイディオヘッドにしても同じくで、どこか遠くで鳴っていることを自覚しつつ、一体、いま、何が起きているのかということをジャーナリズム的に聴き取るかどうかだけである(興味を失いたいとも思わない)。クラッシュやダイナソー・ジュニアにしてもそうだったけれど、こういった音楽は世界のどこからか伝わってくる感情のニュースみたいなものである。そういったもののなかでは、やはり、圧倒的に気を引くし、説得力には格段のものがある。ゴッドスピード・ユー~からもひとりが参加している(実はけっこう売れているそうなんだけど、どんな人たちがなんのために聴いているんだろう。そっちのほうが気になるな~)。
実は筆者の友人でもあるUKのナショナル・クラブ・シンガー、カースティ・ホークショウ(Kirsty Hawkshaw)に「必ずあなたが参加しているこのニュー・アルバムを紹介するよ。」と約束したので、トップで紹介させて頂く......知り合い云々でなくとも、必ず紹介していただろうが......"純粋"に、ただ素晴らしいコンテンポラリー・アートコアと位置づけられる傑作なのだから当然である。
昨年、多様なアーティストのリリース・ラッシュを果たしたロシアからまたニューカマーが現れた。〈ホスピタル〉からの大ヒット・コンピレーション・アルバム『フューチャー・サウンド・オブ・ロシア』も記憶に新しい。エレクトロソウル・システム、サブウェイヴ、ボップ等々、寒い土地柄もあってか、北欧的感覚のディープ/エレクトロニカよりな作風を志すアーティストが多かった。が、今度はダンスフロア直系のエレクトリック・サウンドだ。彼ら、ダヴィップ&エンコードのようなサウンドがロシアでも台頭してきたのである。
サンフランシスコのダブステッパー、DJ Gだが、聴くたびに筆者のツボを付かれるプロデューサーだと思う。ミステリアスで空間系アトモスフェリックに展開したかと思えば、スライトリーなダビー色やスモーキーなハウスの要素を加えたプロダクションを出したり、あるいはトライバル・テッキーでミニマル・ライクなシリアス・ステップであったりと、とにかくパーカッシヴで重厚なダブステップをリリースしている。今回はアメリカのテキサスを拠点としている〈プッシング・レッド〉からのリリースで、テック・インフルーエンスなアトモスフェリック・ダブステップとディープ・ダブのカップリングとなった。〈プッシング・レッド〉と言えば、レーベル1番にリリースされた、サンフランシスコのジャス・ワンも素晴らしい。彼はディープ・ガラージや2ステップ色が強く、UKサウス・ロンドン志向の新世代ニュー・ガラージを提唱するひとりと言える。ジャイルス・ピーターソン主宰〈ブラウンズウッド〉からのジャズ・シンガー、ホセ・ジェームスの「Warrior」をサブトラクト(SBTRKT)とともにリミックスしている。今後もサンフランシスコから発信されるこの個性的なサウンドをこう位置づけよう。ローファーが語っていたこと、これが「ポスト・ダブステップ」であると。
ドラムステップ<DRUMSTEP>と言う新たな潮流が生まれつつあるのは、ご存知だろうか? ローファーは"ポスト・ダブステップ"について語っていたが、そのことはダブステップに限らず、ドラムンベースやUKガラージなどのリアル・アンダーグラウンド・ミュージックにも当てはまる。そこで先述したドラムステップだ。ちょうど、ドラムンベースとダブステップの中間のBPM、ビート・プログラミングなのだが、いかんせん、現時点では存続するかいなか、疑い深いくらい中途半端感が否めない。そのサポートしている中心にいるのが、〈テクニーク〉などからリリースしているダブ・ファンデーションやD・ブリッジ、コンシーケンスなどだ。
ジョン・ケージを敬愛するカリバー。奇抜なインダストリアル・センスをサウンドデザインするプロデューサーで、すでに多くののドラムンベースの名曲を送り出している。昨年はドミニク・マーティン名義でのインディ・ロックやシネマティック音響/現代音楽を融合したアルバムを披露し、シーンに衝撃を与えている。























