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Land of Kush - The Egyptian Light Orchestra

Land of Kush - The Egyptian Light Orchestra

Monogamy

Constellation

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三田 格   Jun 04,2010 UP

 ゴッドスピード・ユー~から唯一、脱退したことになっているマイク・モヤがセット・ファイアー・トゥ・フレイムスに先駆けてはじめたモラッシーズという暗~いバンドに参加していたサム・シャラビが09年からスタートさせた28人編成のバンドによる2作目(つまり、ゴッド~の3倍近い人数)。シャラビ自身は01年にリリースした『オー・ハシッシュ』を皮切りにすでに3枚のソロ・アルバムを送り出しているほか、各種のコラボレイションや3人編成のシャラビ・イフェクトとしても4枚のアルバムをコンスタンスに完成させ、いまやモントリオール一の働き者と化している。それぞれのアルバムで内容はかなり異なっており、この10年間になにがどうしてどうなっているかという説明は「そうね、ポスト・ロックだね」のひと言で片付けてしまいましょう(あー、ジャンル用語というのは便利だなー。この暴力性がたまらないなー)。

 マイクロディズニーのキャサル・カフランがビューボニーク(リンパ腺肥大)の名義で放った「モノガミー(一夫一婦制)」と同じタイトルを持つセカンド・アルバムは「モラル・マジョリティ(というキリスト教右派)を流せ(=堕胎しろ)」という反カトリック的なメッセージと合わせて考えるにイスラム的価値観から考える北米文化という内容になっているのではないだろうか(間違ってたら、ごめんなさいよ)。サウンドはその通り、ゴッドスピード~譲りの重いアンサンブルにアラビア風のモンドな電子音などが絡みつき、「連合赤軍にとってサイケデリック・ミュージックとは?」みたいな感じに仕上がっている。つーか、足立正生に推薦ですよね。パレスチナ人の奥さんと一緒に聴いて欲しいですよ。ちなみに足立正生と何時間か一緒にいると公安の尾行よりも、その奥さんから定期的に「いま、どこにいるの!」という電話がかかってきて、公安は勤務時間が終わればいなくなるけど......(以下、自粛)。

 正直いって、僕はゴッドスピード・ユー~やシャラビの生真面目な姿勢は疲れるし、好んで聴きたいとは思わない。ユーモアのひとつも出て来ないところまで追い詰められているとしたら、それは仕方がないけれど、このアルバムを聴く限り「仕方がない」かどうかまではわからないし、もしくは、仮にそうだったとしても伝わってこない。レイディオヘッドにしても同じくで、どこか遠くで鳴っていることを自覚しつつ、一体、いま、何が起きているのかということをジャーナリズム的に聴き取るかどうかだけである(興味を失いたいとも思わない)。クラッシュやダイナソー・ジュニアにしてもそうだったけれど、こういった音楽は世界のどこからか伝わってくる感情のニュースみたいなものである。そういったもののなかでは、やはり、圧倒的に気を引くし、説得力には格段のものがある。ゴッドスピード・ユー~からもひとりが参加している(実はけっこう売れているそうなんだけど、どんな人たちがなんのために聴いているんだろう。そっちのほうが気になるな~)。

三田 格