「R」と一致するもの

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THEO PARRISH FEAT. BILL BEAVER

THEO PARRISH FEAT. BILL BEAVER Melloghettomental SOUND SIGNATURE / US / 2010/3/1 »COMMENT GET MUSIC
3/13にelevenへ訪れるTheo Parrishの新作は古くからデトロイトにてヴォーカリストとして活動するBill Beaverが参加。DJだけでなくクリエイターとしても孤高の存在であることを証明するアブストラクトなジャズ~ディープ・ソウルを展開。オリジナリティ溢れる楽曲性の高さには、もはや誰も追いつけない。

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VARIOUS ARTISTS

VARIOUS ARTISTS Mahogani Music MAHOGANI / US / 2010/3/1 »COMMENT GET MUSIC
ショーケースコンピとしてリリースされたのが今から4年前。ノンプロにもかかわらず瞬く間にSOLD OUTとなった1枚が再プレス。ボーナスディスクがアーチストアルバムそのものというのもデトロイトならではだが、実はそのアルバム(Nikki-Oというシンガー)はMoodymannを中心にMike GrantやAlton Millerがプロデュース、ここでしか聴けない音源も多数収められています。

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TYCHO

TYCHO Coastal Brake GHOSTLY INTERNATIONAL / US / 2010/3/1 »COMMENT GET MUSIC
最近のリリースがどんどんシューゲイザー系になってきているGHOSTLYから、ex MERCKのTYCHOが限定12"をリリース! キラキラ眩しすぎるシンセのシャワーが多幸感いっぱいのオリジナル、さらに涙腺うるうるのドラマチックな展開が待ち受けるMANUALリミックス、WINDSURFの1/2・HATCKBACKによる生音を活かしたバレアリックなリミックスなど、全曲悶絶必至のメロウ・エレクトロニカ傑作盤!

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AUTECHRE

AUTECHRE Oversteps (Tシャツ付き限定セット: S) WARP/BEAT / JPN / 2010/3/2 »COMMENT GET MUSIC
孤高の革命家・AUTECHREによる記念すべき10thアルバムは、トレードマークである無機質なトラックの殻を破り、メロディーに焦点を当てたかのような問題作!DISK UNIONでは、DESIGNERS REPUBLICが手掛けたこの作品のモノトーンなアートワークをモチーフにしたスペシャルTシャツとCDアルバムをセットにしたファン垂涎の超レア・アイテムを販売!各サイズあります!

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LINKWOOD FAMILY

LINKWOOD FAMILY Miles Away (Intrusion Dubs) FIRECRACKER / UK / 2010/3/8 »COMMENT GET MUSIC
極小プレスで即SOLD OUTとなってしまった12inchが再プレス!!! 毎リリース、ジャンルを問わず、DJ諸氏から熱い賛辞が贈られるFIRECRACKERレーベル。ECHOSPACEのINTRUSIONによるREMIXを2VERSIONを収録し、完全にECHOSPACE色に染め上げたMODERN TECH DUBなHOUSEチューンに仕上がってます。

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JUZU A.K.A. MOOCHY

JUZU A.K.A. MOOCHY Live Mixed @Sound-Channel Osaka On 20090926 PROCEPTION / JPN / 2010/2/22 »COMMENT GET MUSIC
ラッパーRINO LATINA IIをフューチャーした「MOVEMENT EP1」もヒット、間もなくアルバムもリリースされるJUZU A.K.A. MOOCHYによる新作LIVE MIX CD!!!今作は昨年9月、大阪SOUND CHANNELの音源。SOUL、AFRO、BRAZIL、REGGAE、DISCO、FUNK、JAZZなどの生音楽曲で、ラウンジ的リラクゼーションを作り出すMIXに成功!

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AUDIO WERNER

AUDIO WERNER Meanwhile HARTCHEF DISCOS / GER / 2010/3/9 »COMMENT GET MUSIC
まったくハズレなし、毎回スマッシュヒットを飛ばす「イチロー」タイプなAUDIO WERNER。自身のレーベルからの4曲収録のWパックでのリリースですが、視聴せず買ってもOK!?ぐらいの内容で、当然オススメですっ!! さらりと溶け込むシンセと、エレガントなウワもの。うねってる低音が腰にくるハウシーなリズム!!! 参ってしまうほどに使えすぎる!!!

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MARCEL DETTMANN

MARCEL DETTMANN Dettmann Remixed OSTGUT TONTRAGER / GER / 2010/3/9 »COMMENT GET MUSIC
硬質モノ、文字通り鉄板タイトル!!! ベルリン・アンダーグラウンドの「てっぺん」的レーベル「OSTGUT TON」から、MARCEL DETTMANN音源のREMIX集が登場!! MDRからリリースするNORMAN NODGEによる90'S HARD TECHNOっぽいインダストリアル感が表現された2TRACKと、新鋭WINCENT KUNTHのおこもり感満点、地下DUB TRACKを収録。

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VALMAY

VALMAY Radiated Future BLUEPRINT / UK / 2010/3/8 »COMMENT GET MUSIC
2009年の復活劇は、アンダーグラウンドにおける大きなトピックと思います。JAMES RUSKINによるBLUEPRINTからの新プロジェクトVALMAY。実はベテランPAUL MACの変名!! 打ち込まれる尖ったハットと抑えの利いたシンセのバランスは、相当計算されてフロア用に調整されいたり、HARD MINIMAL的ベースラインが光っていたりと、ベテラン・プロデューサーらしいキラーチューン。

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PETER VAN HOESEN & DONATO DOZZY/MATT O'BRIEN

PETER VAN HOESEN & DONATO DOZZY/MATT O'BRIEN Talis/Into The Red CURLE / BEL / 2010/3/2 »COMMENT GET MUSIC
素晴らしいTECHNO作品!!! 来日の度に素晴らしいDJプレイで、ファンを増やしている、イタリアン・アンダーグラウンドのトップDONATO DOZZYと、間もなくアルバムをリリースするベルギーのPETER VAN HOSENによるコラボ!! 90年代のUK TECHNOのような透き通ったシンセのリフと、緻密なプログラミングによる音の粒子。フロアで鳴らせば百万馬力な低音は完璧!!!

CHART by JET SET 2010.03.18 - ele-king

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UNKNOWN ARTIST

UNKNOWN ARTIST WOMAN OF CANDY »COMMENT GET MUSIC
出た!!話題のInternational Feelからド最高な謎リエディット物登場!!先日のHarvey pres. Rocussolusの瞬殺振りも凄まじいものがあったInternational Feelから"I'm Not In Love"ネタに続くリエディット物第2弾!!

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GONJASUFI

GONJASUFI A SUFI & A KILLER »COMMENT GET MUSIC
新世代ビート通過後のフリークアウト・メロウ・ソウル衝撃の傑作!!西海岸ビート・シーンから登場した謎のシンガー/トラックメイカー、Gonjasufiの1st.アルバム!!Flying LotusとGonzalesが正面衝突したような驚異のニュー・サウンド。とにかく聴いて下さい!!

3

DJ ASPARAGUS

DJ ASPARAGUS EP#1 -WAN'CHA »COMMENT GET MUSIC
Ur Daddy Loves Uが(B面込みで!)喝采(?)を浴びた新鋭、DJ Asparagusの第2弾リリース!今回も、Wipe The Needleとの"Ur Daddy Loves U"(Gil Scott-Heronの同名曲のRe-Edit)の流れを汲んだ"I Wan'Cha"、Erro"Don't Change"を文字通りファンキーに料理したB/W"Funk For Me"と、今回も両面イケます!

4

DONAEORIOT MUSIC

DONAEORIOT MUSIC »COMMENT GET MUSIC
大推薦☆D'N'Bを呑み込んだ進化形UKファンキー・ボムをSkreamがリミックス!!"Party Hard"の特大ヒットも記憶に新しいUKガラージュ・プロデューサー/シンガーDonaeoを、SkreamがD'N'Bリミックスした特大アンセムがこちらっ!!

5

V.A.

V.A. IN A CLOUD - NEW SOUNDS FROM SAN FRANCISCO »COMMENT GET MUSIC
これは素晴らしい。サン・フランシスコのインディ・シーンをパックした超グレイト・コンピ!!サン・フランシスコで活動する14アーティストの未発表曲を収録。アナログ・リリースのみの限定500枚。ロウファイ~ガレージ~フォークを中心に素敵な曲がめいっぱい入ってます。ジャケもグレイトです!!

6

RUSKO

RUSKO WOO BOOST »COMMENT GET MUSIC
ダブステップ史を塗り替えた天才がDiploのMad Decentから初登場!!■'10年度ベスト候補■流石のDiplo。先物データDJたちの間ではお馴染みの強力新鋭ばかりを起用した超強力リミックス12"へと仕上がりましたっ!!

7

V.A

V.A CECILLE ITALY »COMMENT GET MUSIC
人気のCecilleからの興味深い企画コンピが登場!!ミニマルハウス・シーンの最前線を走るCecilleが注目するイタリアン・プロデューサー達を一挙に紹介するコンセプト・コンピレーション!!!

8

QATJA S

QATJA S KROM EP »COMMENT GET MUSIC
☆大推薦☆これが当ジャンル'10年の一推しサウンド=フレンチ・テックだ!!当店お馴染みのベルジャン・ジャンパーDr. Rudeとのコラボ12"もリリースしているフレンチ・テック・マスターQatja Sによる特大傑作がこちら!!

9

D.I.T.

D.I.T. LONG GONE (PRINS THOMAS EDIT) »COMMENT GET MUSIC
コロラド発の幻のマイナー・ソウル/ファンク・バンド音源の正規再発!!Still Musicの再発専科Past Dueから、Alex From Tokyo、Rondenionによるリエディットも含めて'07年に再発された"Let's Start Dancin"に続く第2弾。

10

REZKAR

REZKAR ABOVE THE CLOUDS »COMMENT GET MUSIC
南アフリカからのグッド・ディープ・ハウスをJohn Dalyがリミックス。The Revenge、Dixon、Ame、Tim Sweeney、Jacques Renault、D'Julz、Michael Reinboth、Sasse、Lexxと多くのサポートが集まる話題作!!

Fenno'berg - ele-king

 00年代を予見した音楽としてレイディオヘッドやゴッドスピード・ユーが取り沙汰される時、それは気分的なものを差すことが多い。アラブ・ストラップであれ、フィッシュマンズであれ、90年代末にメランコリックなムードが充満していたことはレイヴ・カルチャーへの反動としても理解できるし、同時多発テロ以降の閉塞感を見通したというのなら、そういう言い方も決して無理ではないだろう。ゴッドスピード・ユーには、しかも、ドローン的な表現との橋渡しになるという音楽的なポテンシャルも少なからずあった。サン O)))やナジャといったドゥームからアルヴァーやヴェルヴェット・カクーンといったブラック・メタルにもその陰は落ち、アンチコン=ヒップ・ホップやブレイクコア=ワールズ・エンド・ガールフレンドがその磁場に引きずり込まれていったことも印象的なモーメントだったといえる。

 予見的な可能性という意味では、しかし、99年も終わろうかという頃にリリースされた『マジック・サウンド・オブ・フェノバーグ』よりも音楽的なポテンシャルの高さを示したアルバムは当時はほかになかった。クリスチャン・フェネス、ジム・オルーク、ピーター・レーバーグという、その後の10年間にわたって存在感をアッピールし続けた3人が抽象的なイメージと具体的なサンプリングをぶつけ合い、勃興期のレイヴ・カルチャーとはまったく異なる混沌がそこには叩きつけられていた(チックス・オン・スピードによる奇怪なアートワークも強烈だった)。それは早くもエレクトロニカの鬼っ子的な表現であり、結果的には実験音楽の復興にも寄与する導線ともなった。あるいはブラック・ダイスというフィルターを経てオーヴァーグラウンドとの接点を探るものとなり、ピーター・レーバーグがサン O)))のスティ-ヴン・オモリーと組む(=KTL)ことでドゥームとのクロスオーヴァーも達成している。ソースはあらゆる方向にぶちまけられたのである。

 KTLが来日した際、レーバーグに話を聞いていると、ふと、彼が「フェノバーグの3枚目が出るよ」と教えてくれた。3年前のことである。なんだよ、ウソだったのかなと思っている頃にようやく『イン・ステレオ』が店頭に並び、輸入盤はすぐに売り切れた。02年にリリースされたセカンド『リターン・オブ・フェノバーグ』(これもチックス・オン・スピードによるアートワークが秀逸)がシャープさを増していたのに対し、3作目は自らがつくりだした混沌を増幅させるようなものではなく、ヨーロッパ的な洗練に磨きがかかっているような印象が強い。唯一のアメリカ人であるジム・オルークが『ザ・ヴィジター』でポスト・クラシカルの決定打といえる方向性にシフトしたことも関係があるのだろう(アメリカのシーンが衰退しているわけではない)。かつては弾け飛ぶように、あるいは、突き刺さるようにアウトプットされていた電子音はここでは何かを撫で回すようにねっとりとした感触に取って代わられ、安直なアンビエント・ドローンへの迎合どころか、部分的にはジョン・ハッセルやラズロ・ホルトバギを思わせるドローン・ジャズとも接合しかねない。なるほどこれはミュージック・コンクレートとクラブ・ミュージックの快楽性を止揚させた成果といえるだろう。そう、クラブ・ミュージックのチープさを批判し、高度な音楽性を訴える者はここまでやるべきではなかったか。

DRUM & BASS SESSIONS
"DRUM & BASS X DUBSTEP WARZ"
- ele-king

 帰ってきた......ドラムンベースの帝王が......初期のシーンから一貫して変わらないその凶暴性と言う名の鎧を身に着けたまま......あの頃から何も変わっていない。変わったのは、ゴールディー以外のものすべてだ。これが本物のカリスマの姿である。

 ドラムンベースのカリスマ"ゴールディー" x ダブステップのパイオニア"ハイジャック"、本国UKでもお目にかかれない共演にUNITフロアは興奮の坩堝と化したスペクタクルなDJショーの幕開けである!!
 振り返れば1996年、伝説の新宿リキッドルームからはじまったDBS。本場UKのリアル・グルーヴをそのまま体感できる数々の伝説的一夜を実現させ、いまなお、ベースライン・ミュージックの"真実"を伝えている老舗パーティ! 今年でなんと13年目に突入した名実ともに日本のドラムンベース界を代表するトップ・イヴェントであるのは言うまでもない。

 さて、2008年5月17日以来の来日となったゴールディーだが、昨年、待望のアルバム『Memoirs Of An Afterlife』をラフィージ・クルー(RUFIGE KRU)名義で発表。メタルヘッズ全開のベースラインが唸るダーク・コアな作品から現在のトレンドであるディープでアトモスフェリックなフィロソフィック・チューンなど......健在ぶりを知らしめるだけでなく、その存在価値、音楽的才能をさらに押し上げる歴史的傑作となったのは記憶に新しい。

インターナショナルに活動する
日本のダブステッパー、ゴス・トラッド
オリジナル・ダブステッパーのひとり、ハイジャック

 オープニングを務めたのは日本のダブステップ・シーンにおける先駆者"ゴス・トラッド"。DJセットの今回でもタイトかつテッキーなセットでフロアをロック。あらためて世界で活躍する日本のダブステップ界のパイオニアである彼の力を知らしめた。そして1時を回ってハイジャックの登場だが......saloonでプレイしていた筆者と時間帯が被ってしまい、残念ながら生で見れなかった......何人かに取材したところ、賛否両論。「ダブを惜しげもなくプレイしていて素晴らしかった」、「PCDJで残念」、「ダブステップ創世の息吹を感じた」等々......。いろいろ感想はあるようだが、彼のエクスクルーシヴ・ミックスをオンエアしたインターネット・ラジオ・ステーションTCY RADIO TOKYO"Stepp Aside!!!"でも聴くことのできる彼のプレイ――ダブの数々や最新リリース・チューンを躍動感溢れるそのミックス・テクニックによって披露し、フロアをロックしたことは間違いない。もうひとつ言えることは、彼がシーンのパイオニアのひとりとして、ダブステップの創造力、躍動力、高揚力を日本に運んでくれたことであり、本場UK最高の"熱"を伝えてくれたことである。現在最高点に近い盛り上がりを見せている本場UKだが、日本ではまだまだ熱しきれているとは言い切れないのが現状で、だからこそハイジャックのようなパイオニアが日本でいまプレイすることは重要である。是非この先も日本のパーティ・ピープルに驚きと発見をもたらして欲しいものだ。
 ちなみに、ハイジャックの裏でもろに被ったsaloon@TETSUJI TANAKAでありましたが、たくさんのオーディエンスに来て頂いて大熱狂!!! 陰様でフロアが満員になり、大盛り上がりでした。その時間帯saloonに来て頂いた方、踊ってくれた方、ありがとうございました! 次は4月17日、今度はUNITメインフロアで会いしましょう。
  

 いまかいまかとオーディエンスが待ち望んでたゴールディーだが、ハイジャックの途中からなんとマイクを持ち、自らMCでナビゲート。われんばかりの歓声が飛び交ったのは言うまでもないが、とにかくこのカリスマは煽り続けたのである。そして、ゴールディとハイジャックが交代するその光景は、新旧各シーンのパイオニア同士がジャンルの境界を跨ぎ、行き来するまさにUKダンス・ミュージックの象徴"ハイブリッド"の生の姿であり、DBSが呼び込んだ貴重な偶発的かつ必然的姿であった。

マイクを持って叫ぶドラムンベースの王様! マイクを持って叫ぶドラムンベースの王様!
UKアンダーグラウンドの両雄! UKアンダーグラウンドの両雄!

 こうして、ゴールディーのプレイが大熱狂のなかはじまった。彼自身やメタルヘッズのダークコアな作品、ディープ・ミニマルな選曲構成を中心にプレイ......歓声とベースラインがリフレインしている......この光景、この姿、この形こそリアル・アンダーグラウンド・ミュージック"ドラムンベース"本来の状態なのだ。そう感じた矢先、ゴールディーがあるひとつの強力な武器を持ち出した。その場においては異質とも取れる曲は......何か......発した瞬間、ジャングリストたちの秘めた熱狂性とその現在のトレンドで覆っていたカレントリーな空間を瞬時にスイッチ......DBSでは稀な光景である。生粋のパフォーマーとしても名高いゴールディーが最高潮に煽りだし、サイドに付いたドラムンベースMC日本代表カーズとともに縦ノリに変化したオーディエンスと渾然一体となり、その勢いはまたく止まらない。その武器とは、ニルヴァーナ"スメルズ・ライク・ティーン・スピリット"のオリジナルだった!

 時代淘汰されることなく歩み続けたロック・ミュージックとエレクトロニクスの発展により90年代に時代を捉えたドラムンベース。すべてを呑み込む許容性があるこのジャンルに不適切、不適合は存在しないと改めて実感させらてた。本当にフレキシブルで独自の進化を歩んだからこそこうして多くの人たちを魅了しているのだ。ダブステップもこれとまったく同じ道を辿っているのは、周知の通りである。すでに本国UKではドラムンベースを"越えてしまった"感があるこのダンス・ミュージックの新たな"核"が必ずやこの先も我々をユートピアに誘うだろう。世界中の隅々で......。

 それからゴールディーは、後半に差し掛かった辺りから選曲を懐かしのドラムンベース・クラシックスにシフト。LTJブケム、アートコア・マスターピース"Horizons"をスピン。オールド・ファンの心を掴んだだけでなく歴史の生き承認としても歩んできたゴールディーの懐の深さも垣間みれた瞬間だった。ふと時計を見たら5時を回っている。大幅な延長プレイにみんな大満足だった。まったくプレミアムな空間に包まれたのである。そして2010ジャパン・ツアー最後の曲は、これまたメタルヘッズ・クラシックス、名盤中の名盤、ラフィージ・クルー"Beachdrifter"。こうして感動的かつ叙情的な閉幕となった。

 ドラムンベースの限りない底力とダブステップのさらなる躍進、今回もまたそれを感じた最高のパーティだった。ベースライン・ミュージックを二分するこれらジャンルに向けて賞賛の意を表したい。DBSの持っている"力"にあらためて尊敬の念を表し、これからも筆者は歩んで行くだろう......ベースラインが消えない限り。

 次回パーティ・リポートは筆者も出演の4/17DBSを予定しております。乞うご期待!

CHART by JAPONICA 2010.03 - ele-king

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BASED ON KYOTO

BASED ON KYOTO SUNRISE EP JAPONICA/JPN / 3月8日 »COMMENT GET MUSIC
我らがBASED ON KYOTOの傑作アルバムからシングル・カット第3弾!アルバム収録曲の中でも"FLOWER"と並び人気の高い、た胸キュン・ディープ・ナンバー"SUNRISE"に、アルバムの中でも最もダンサンブルなナンバー"JUST AFTER THERAIN"をニュージーランドの天才RECLOOSEが、MARK E等の活躍で注目を集めるポスト・ビートダウンの注目株FRANK BOOKERと共同リミックス!

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UNKNOWN

UNKNOWN STORY #3 STORY/GER / 3月7日 »COMMENT GET MUSIC
まったくの詳細不明ながら第1弾、第2弾ともに大反響を呼んだ"STORY"シリーズの最新第3弾が到着!今回も誰が手掛けたか不明ながら、ダビーでスモーキーな極上の黒さをまとったダウンビート系ディープ・ハウスを4作品!とにかく素晴らしい出来なので是非ともチェックしてみて下さい!

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MENDO

MENDO ENCANTOS CADENZA / GER / 12月20日 »COMMENT GET MUSIC
大ヒットを記録した"REMEMBER"に続いて、LUCIANO主宰CADENZAから2枚目となるスイスのベテランによる本作は、子供声が癖になるフロア・キラーなミニマル・トライバル!FRANCK ROGER、RADIO SLAVE、SASCHA DIVE、MATHIAS KADEN、PETETONGら、錚々たる面々がプレイ!

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BILLY LOVE (THEO PARRISH feat. BILL BEAVER)

BILLY LOVE (THEO PARRISH feat. BILL BEAVER) MELLOGHETTOMENTAL SOUND SIGNATURE / US / 3月2日 »COMMENT GET MUSIC
JEFF MILLSやMIKE BANKS、NIKO MARKSも在籍した伝説的なユニットMEMBERS OF THE HOUSEのメンバーであったBILL BEAVERが、THEO PARRISHとの共同プロデュースでお届けする話題作!"SUMMERTIME IS HERE"でも参加していたヴォーカリストGREEN PICKLESや、MEMBERS OF THE HOUSE(UR)、ROTATING ASSEMBLY等の作品でヴォーカリストを努めてきたベテランBILLY LOをフィーチャー!

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KAFKA

KAFKA KAFKA REMIXED MIGHTY HIGHNESS/AUS / 12月25日 »COMMENT GET MUSIC
オーストラリア発、新興クロスオーヴァー・レーベル<MIGHTY HIGHNESS>第二弾!ブラック・ルーツ・ミュージックをふんだんに取り込んだオーストラリアのアフロ・ファンク・バンド「KAFKA」のリミックス EPとなる今作。アフロ・ディスコ、ロービート・ダビー・ブレイクス、ビートダウン?ニュー・ディスコなアフロ・ファンク・ブレイクビーツまでジャンルレスに全方位対応型の粒揃いなナイス・リミックスEP!

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SOFRITO SPECIALS

SOFRITO SPECIALS TROPICAL SOUNDCLASH! SOFRITO SPECIALS/UK / 3月10日 »COMMENT GET MUSIC
素材のレアグルーヴ独特の土着的質感を活かしながらもディスコ?ハウス・フィールドにまでばっちり対応できてしまうナイスなエディット4トラック収録!中でも<G.A.M.M>からリリースされた"AFRICAN RHYTHM"のリエディットで注目を集めたスウェーデンのTROPICAL TREATSによるA面2トラックはリズム・アンサンブル主体のハウス?ブレイクビーツ・フィールなかなり秀逸な出来!

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HOLGER CZUKAY

HOLGER CZUKAY A GOOD MORNING STORY CLAREMONT 56/UK / 2月16日 »COMMENT GET MUSIC
先日リリースされた限定10インチが瞬く間にソールドアウトとなったクラウト・ロックの伝説的グループCANのオリジナル・メンバー、ホルガー・シューカイが99年にリリースした大傑作アルバムが10年の時を経て2LPで登場!当時もCDオンリーでのリリースだったため今回が初のアナログ化!未発表音源を 3曲収録、見開きジャケット仕様、ナンバリング入りの世界限定500枚プレス!

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LOWER EAST SIDE PIPES

LOWER EAST SIDE PIPES MINI DEMO SAMPLER SACRED RHYTHM/US / 3月9日 »COMMENT GET MUSIC
DANNY KRIVITの最新MIXCDに収録された"DISORGANIZED CORRUPTION"に続く本作、リードトラックとなるA1"DRAGON"は熱いギターリフとホーンへ程よい深みを備えたダビーかつドープなエフェクトを多用させたダンストラック!タイトルにはかつてJOE CLAUSSELLが勤めていた"DANCE TRACKS RECORDS NEW YORK"の所在地"91EAST THIRD STREET"を掲げた入魂のDUB VERSION!

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TRISHES

TRISHES DIDN'T I ? / MAKE A SMILE FOR ME THE LOUD MINORITY/AUS / 3月9日 »COMMENT GET MUSIC
ドイツの<MELTING POT>からのリリースもあるオーストラリアのDJ/プロデューサーTRISHESによる今作。イチオシはA面"DIDN'T I?"!"DARONNDO/DIDN'T I"のヴォーカル・パート、メロディー・ラインに"JAY DEE/F*CK THE POLICE"ネタでおなじみ"RENE COSY/SCRABBLE"のドラムブレイクを被せた超絶マッシュ・アップでDARONNDOの名曲を絶妙なハマリ具合でフロア仕様へとアップデートしたかのような逸品!

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ERDBEERSCHNITZEL

ERDBEERSCHNITZEL 4 MONTHS FAUX PARR/UK / 3月3日 »COMMENT GET MUSIC
ドイツの新鋭ERDBEERSCHNITZEL自身による"4 MONTHS"オリジナルVer.はジャズ・ソウル感覚をふんだんに盛り込み、ビルドアップしていくデトロイト・サウンドにも通じる黒光りした秀逸ディープ・ハウス・トラック!さらにボトムへヴィに展開されるMARK E節炸裂のリミックスももちろん◎!そして"TONIGHT IS TODAYIS TOMORROW"もスペイシー・ジャジーなビートダウン?ディープ・ハウス・トラックでこちらも文句なし!

Derrick May - ele-king

 もう随分と前にリリースされたこのデリック・メイの13年ぶりのミックスCD。すでにele-kingでもデリック本人のインタヴュー記事が掲載されているし、推薦文書いてるのが野田編集長であるからして、もう大半の人が購入して聴いていることと思う。だったら、なんでいまになってレヴューを? ということだが、その推薦人に「たまにはケンゴのデリック・メイ論を読んでみたいじゃないか」などと言われてしまったからだ。いやぁ、論などというほど立派なものをもちあわせてるわけじゃないんだけど。そう、でもそれで思い出したのは、1993年5月、ロンドンで体験したデリックのDJのことだった。

 あのころ、UKではレイヴがどんどん巨大化してきちんとスポンサーが付いたり許可を取って開催されるものが増えて、なかでもシカゴ・ハウスからジャングル、そして当時急激に注目されはじめてたジャーマン・トランスまでとにかく全部集めたというようなラインナップでいちばん人気だったのが〈Universe -Tribal Gathering〉だった(〈Rising High〉が公式コンピやテーマ曲出したりしてた)。その金曜には郊外で2.5万人を集めたそのレイヴがあり、僕はチケット買えなくてそっちは行けなかったんだけど、翌日の晩にブリクストンのVOXって巨大なハコでやったテクノの伝説的パーティ〈LOST〉も、UKに集結したトップDJたちを集めたという感じで普段より豪華だった。そこにヘッドライナーとして名前を連ねていたのが、デリック・メイだった。

 当時の僕はといえば、もうハードコアやジャングルからトランスに夢中になりかけていたころで、正直言ってデトロイト・テクノとかもう古いっしょ的な生意気な若者にありがちな勘違いをしていた。が、その晩のデリックはデトロイトがどうとかテクノの歴史がこうだとかそういうことはもういっさい粉砕して、異国の体育館みたいな誰ひとり知り合いもいない真っ暗で汗と埃の臭いのするだだっぴろいフロアでひとり寂しく踊る僕の頭上に天使を舞い降りさせた。いや、実際には天使は隅のほうでうろうろしてた黒人のカラフルなウエストポーチの中から飛び出してきたのかもしれないけど、いずれにしてもそのときのデリックは本当に神がかっていた。

 デリック・メイの選曲が一概にテクノではない、いやむしろハウスと言ったほうがしっくりくるというのは、実際に彼のプレイを聴いたことある人なら誰でも思うだろうし、これまで彼が世に出したたった1枚のミックス盤『Mix-Up vol.5』を覚えていれば納得するはずだ。このときもデリックは古いアシッド・ハウスからアムスあたりで掘ってきた最新のトラックまで、ファンキーでセクシーでアグレッシヴなグルーヴを紡いだ。なにより驚かされたのは、次々に曲を繰り出して、バックスピンやせわしないフェーダーさばきなど手数多く出音をいじって彼流のリズムをDJプレイに与えていく、あのスタイルだった。もちろん、それは彼ひとりで作りあげたスタイルではないのだが、日本でデリックがプレイして以降それを見たDJたちがこぞって同じようなトリックを自分のプレイでも取り入れていったことは疑いない。ある程度「デリック・メイっていうすごいやつが来る!」っていう事前情報があってもそれだけ衝撃的だったのだから、そのときの僕のやられ具合を想像してみて欲しい。リル・ルイスの"French Kiss"という、ブレークで喘ぎ声だけになってスローなビートがだんだんスピードアップしていって元の激しい4つ打ちのビートに戻るという曲がある(デリックの十八番でもある)。このときデリックは、あれみたいなことを手動でやっていた。でかいブレークを作って、しばらく無音にして、そのあとレコードを手でゆっくりゆっくり回転させはじめた。しかも、逆回転で。片方の手でテンポが128くらいになるまでレコードを回し続け、もう片方のターンテーブルから正回転の、ずぶといキックの音が重なってきたときの絶叫に近いフロアの盛り上がりは、一生忘れられないだろう。

 ......ほんと、このときの話は新書一冊分くらい書けるんだけど、またそれは別の機会に。今回のミックスCD、アナログ盤を使って昔ながらの手法と技法で録音された25曲は、いかにもデリックというスタイルと音をしている。彼がここ数年東京では一番頻繁にプレイしている代官山のAIRとのコラボレーションという形をとっているからか、ダイナミックで多少の失敗はものともしないライヴ感溢れるミックスだ。おもしろいなと思ったのは、かなりボトムの強調されたキックが目立つ曲が多くて、いまどきの線の細いミニマルやクリックを聴き慣れた耳にはちょっと驚くほど重いビートが襲ってくることだ。ベン・クロックとかベン・シムズとかキラー・プロダクションズあたりに象徴的だが、デリックがそういう音をジャジーな旋律がいかにもな曲と並行してチョイスしているのは意外にすら思った。一方で純粋にデトロイトの曲となると、恐らく冒頭のアンソニー・シェイカーたった1曲だけなのだから。

 実際のところ、今回のCDが「作品」として後世に残るようなモノでないことは誰の目にも明らかだとは思うが、逆にそれがデリックの「俺はまだまだこんなところで終わるつもりはないぜ、DJ活動の総決算を作るのはずっと先」っていう宣言にも感じられて頼もしい。理想を追い、あれやこれやと考えすぎて結局形にならない、ということをこれまでずっと繰り返してきた気がするデリック・メイ。それは、彼が自己を含めて客観視できるプロデューサー的視点を持っているから起きた不幸とも言えるだろうし、彼が非常に優秀なリスナーであるゆえに自作のペースや質が理想に追いつかなかった結果生じたとも言える。しかし、リスナーとしての貪欲さとかセンスというのは、DJとしては決して失ってはならないもので、それはデリック同様、かつてダンス・ミュージックの歴史に永遠に刻まれる革命を起こしたトッド・テリーやベルトラムといった連中が、自分の曲ばかりをかけるという罠にはまってそこから抜け出せなくなってしまったことからも見て取れる。そういう意味で、デリック・メイは間違いなくいまでも現役トップのDJのひとりだろうし、ハコでのライヴ録音をそのまま切り取ったようなこの盤にしても、精緻に作り込まれたミックスでは失われがちな律動や空気感みたいなものをしっかりと備えている。デジタルVSアナログというのは、本来利便性や技法の問題なはずなのに、結局いつも精神論やオカルト的なところに話が落ち着いてしまうのがどうも納得いかないが、その土俵に敢えてのるなら、やはりプロにはできるだけアナログ盤を使ってほしいなと思う。そして、デリックには、とにかくセクシーでかっこよくあるためにヴァイナルを使い続ける責務があるし、無条件にそれを擁護する権利もあると、このCDを聴いて再確認した。

Pantha du Prince - ele-king

 これは、定家だ。注意深く選られたベルの音の連なり、これは新古今の昔、かの貴人の袖に降りかかったあの粉雪に違いない。グリューエン・フィア名義でも活動するドイツのプロデューサー、ヘンドリク・ウェーバーの、パンタ・デュ・プランス名義では3作目となるアルバム『ブラック・ノイズ』。これを聴いていると新古今時代随一の美学家、藤原定家が流転の果てにミニマル・ハウス界に生まれ落ちたのではないかと想像が止まない。
 彼の特徴はその叙情性にある。抑制のきいたミニマルなトラックが基調となってはいるが、強く情緒に働きかける彼独特のシンセ使いが、薄氷のようにその上を覆う。だが、「叙情」ということに関してはいくら注意を払っても払いすぎるということはない。さじ加減ひとつでウザくなるイタくなる、重たくなる。叙情というのはじつにやっかいだ。定家はどうしたのか。定家は叙情に集まる力を優美に分散させた。叙情のフラグメンツが一首全体にちらちらと降りかかる。ウェーバーも同様である。叙情がメロディという形に固着する前に、分散させてしまう。どことなくアンビエントな雰囲気を帯びているのは、そうしたメロディの亡霊が漂っているからだろう。

 本作は、地滑りで壊滅してしまったアルプスの小さな村にインスピレーション得て作られたという。実際にアルプスにおいてフィールド・レコーディングも試み、そこで採取された音はトラックの冒頭部分で聴くことができる(これはアーノルド・ドレイブラット・トリオのヨアヒム・シュッツ、ワークショップのステファン・アブリーとともにおこなっている)。ジャケットの絵はおそらくはその悲劇の前の、いまとなっては幻想のなかにのみ存在する村を描いたものだ。まるでレクイエムのように、シロフォンやグロッケン、あるいはベルの織りなすシマーな音が、アルバム全体を統べるモチーフとなっている。冒頭のトラックのタイトルが"レイ・イン・ア・シマー"。他にも"ザ・スプレンダー"や"ビハインド・ザ・スターズ"など、いずれも光を想起させる。冷たく澄んだ金属の音が複雑に綾を成して響きつづける。そして底のほうで暗く冷たく刻まれる、(ブリーピーな......と言うんだろうか?)ベース・ライン。災害前の美しく調和のとれた風景と、痛ましい破壊の跡とが渾然として浮かび、消えていく。現世において美など成立不可能、それが可能なのは過去か、まさに壊れゆかんとするもののなかにしかない......もしかすると彼にはこのようなイデアがあるのかもしれない。

 「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ」藤原定家

「花」「紅葉」という絢爛なイメージを振りまきながら、それを「なかりけり」とする、戦慄するような打ち消し。後に残るのは滅びと寂寥と硬質な叙情。「花」「紅葉」のきらびやかな美は冷たい幻影となる。のちの人びとは彼の世界を「幽玄」と呼んだが、恐ろしい美意識だ。私はウェーバーの構築する音やビートに、どうしてもこの「幽玄」を聴き取らずにいられない。

 音を離れたことで言えば、本作は〈ラフ・トレード〉から初となるリリースである。リリースされるや『ピッチフォーク』をはじめとするロック寄りのメディアが賛辞を送っている。アニマル・コレクティヴのパンダ・ベアはヴォーカルとして参加(スティック・トゥ・マイ・サイド)、LCDサウンドシステムやチック・チック・チックで活躍するタイラー・ポープもベースで参加している(スプレンダー)。インディ・ロック・シーンまでも巻き込んで、より大きな文脈で彼を評価することができるようになったわけだ。
 たしかに聴いているとジャンルの概念をまたいで、どこか都現美あたりで大規模なインスタレーションでも眺めているような気持ちになる。古巣である独〈ダイアル・レコーズ〉からは、新しい音源のリリースも控えているようだが、いままで彼の音を耳にすることのなかった層と交わりながら、それを意識することで新たな展開が生まれれば素晴らしい。
 ちなみに当該トラックのパンダベアは、他では耳にしたことがないほどセクシーなヴォーカルを聴かせている。彼のなかにこのようにリニアな旋律を求めることは、少なくともアニマル・コレクティヴにおいては難しいだろう。

Autechre - ele-king

 ダブステップのレーベルとして知られる〈ホットフラッシュ〉を運営するスキューバにとっての最大の影響がオウテカの『インキュナブラ』『アンバー』だそうだ。たしかに初期のこの2枚にあるものと言えばダンス・カルチャー(レイヴ・カルチャー、いや、セカンド・サマー・オブ・ラヴと言ってもいい)からの影響......というかその時代の甘い夢のような感覚だ。『インキュナブラ』には明らかにアシッド・ハウスの脳天気なトリップ感が漂っているし、いまとなっては「あのオウテカでさえもこの時代は......」といったところだろう。その1年後の、ダンスの俗的な熱狂から離れて、そしてIDMというサブジャンルを開拓したと言われる『アンバー』にいたっては満場一致で初期のマースターピースである。

 『アンバー』が面白いのは、"Nil"のようなぞくっとするほど美しいアンビエントがある一方で、おそらく彼らのもうひとつのルーツであると思われるインダストリアル・サウンドをよりアシッディに変換した"Foil"のような曲があることだ。そういう意味で引き裂かれているのだが、"Foil"をアルバムの1曲目に持ってきたように、それに続く『トライ・レペテー』以降のオウテカは"Foil"の路線、要するにアシッド・ハウス的な夢からどんどん醒めて、彼らのインダストリアルな感性を急進的に磨いてきたそのときどきの結実だと言えるだろう。

 まあ、それでもまだ『トライ・レペテー』には甘い記憶がある。が、シロー・ザ・グッドマンやコーマが影響を受けたという『キアスティック・スライド』にしても、あるいは『LP5』にしても......、いやいやそれを言ったら『コーンフィールド』以降にいたっては......、まあとにかくオウテカのリズム・トラックからはなかばサディスティックなまでのインダストリアルな感性が聴こえてくる。アレックス・ルタフォードが自身のLSDトリップをヒントに作ったという『ガンツ・グラフ』の映像、あるいはオウテカの作品を飾る一連の素晴らしいデザイン――例えばフランク・ロイド・ライトの建築を引用した「エンヴェイン」、フェティッシュな人工美をデザインした『コーンフィールド』や『ドラフト7.30』等々のアートワークからもそれは充分にうかがい知ることができる。こうした人工美への病的とも思えるこだわりこそ彼らがマントロニクスの音楽から聴き取ったものなのだろう。同じエレクトロ・ヒップホップをルーツに持ちながらもそこがプラッドらとは大きな違いである。そしてあたかも音楽表現における精神主義に逆らうように、工業都市マンチェスターからやってきたふたりの頑固者は自分らの美学を曲げることなく、しかもリスナーの耳を離さなかったのである。

 が、そんな理解のあるリスナーからも、さすがに『アンティルテッド』(2005年)に対しては「冷たすぎる」という拒否反応があった、と彼らは言う。冷たさはオウテカの魅力のひとつではあるが、彼らはやり過ぎたのかもしれない......先日『SNOOZER』誌で取材したときにロブ・ブラウンが語ったのは、『アンティルテッド』ほどファンの好き嫌いを分けた作品はなかったということだった。ブラウンは、しかし『クオリスタス』(2008年)によってそれを覆したと言うが、本当にそれができたのは本作『オーヴァーステップス』である。

 『オーヴァーステップス』はディテールにおいてより複雑である――とふたりが話すように、このアルバムは面白いように彼らの複雑性を楽しめる。いわゆる"non music"と呼ばれるものの最新型であろう。これを聴いたあとでは『LP5』や『ep7』がポップに思えるほどだ。

 僕がオウテカのアートワークのなかでもっとも気に入っているのは『アンバー』だ。彼らの作品中で唯一、自然の景色をジャケットにあしらっているアートワークだが、しかしそれは......砂丘なのだ。デザインを手掛けたデザイナーズ・リパブリックのセンスを褒めるべきなのだろうけれど、あの写真の、自然が自然ではないような際どさを醸し出している図像はオウテカの音楽とたしかに重なる。そうした絶妙な不確定さが『オーヴァーステップス』にはある。音像の細部に変化があり、つかみどころがなく、下手したら無人島に置き去りにされたような悪夢を味わうかもしれないけれど、それでもこの作品はいままで以上に耳を楽しませる。また、嬉しいのは、このところ続いていた過剰な激しさの代わりに穏やかで美しい瞬間が聴けることだ。『アンバー』の頃のような美を聴くことさえできる。アートワークも素晴らしい。

 話を冒頭に戻そう。オウテカの徹底的に無機質なアンビエンスはダブステップの"ダークの芸術"にも通じる。スキューバは、「しかしいまのオウテカは聴けたものじゃない」と話しているけれど、『オーヴァーステップス』を聴いたら考えを変えて、納得するかもしれない。『アンバー』が15年かけて凄みを増し、何か別のモノに化けてしまったということに。

CHART by DISC SHOP ZERO 2010.02 - ele-king

Shop Chart


1

HYETAL & SHORTSTUFF

HYETAL & SHORTSTUFF DON'T SLEEP / ICE CREAM PUNCH DRUNK / UK / 2010.1.26 »COMMENT GET MUSIC

2

HANUMAN / ATKI2 & DUB BOY

HANUMAN / ATKI2 & DUB BOY BOLA / TIGERFLOWER IDLE HANDS / UK / 2010.1.26 »COMMENT GET MUSIC

3

D1

D1 JUS BUSINESS / PITCHER DUB POLICE / UK / 2010.2.2 »COMMENT GET MUSIC

4

BAOBINGA

BAOBINGA RIDE IT BUILD / UK / 2010.1.26 »COMMENT GET MUSIC

5

unknown

unknown HARMONIMIX 001 unknown / UK / 2010.2.2 »COMMENT GET MUSIC

6

SMITH & MIGHTY / ROB SMITH

SMITH & MIGHTY / ROB SMITH B-LINE FI BLOW / LIVING IN UNITY PUNCH DRUNK UNEARTHED / ポーランド / 2010.1.26 »COMMENT GET MUSIC

7

AITON

AITON LOVERS DUB / LOVE FOR THE HANDS ABUCS / UK / 2010.2.2 »COMMENT GET MUSIC

8

J-TREOLE / SULLY

J-TREOLE / SULLY THE LOOT (SULLY RMX) / IN SOME PATTERN KEYSOUND / UK / 2010.1.26 »COMMENT GET MUSIC

9

unknown

unknown DING THE ALARM unknown / UK / 2010.1.26 »COMMENT GET MUSIC

10

QUANTIC and his COMBO BARBARO

QUANTIC and his COMBO BARBARO UN CANTO A MI TIERRA TRU THOUGHTS / UK / 2010.1.26 »COMMENT GET MUSIC

Wet Hair - ele-king

 ブルース・スプリングスティーンやザ・ホラーズとのスプリット・10インチ・シングルをはじめ、限定3000枚のCD6枚組のボックス・セットで発売された『Live 1977-1978』など、この2~3年で加速的に再評価されたのがスーサイドで、以前ファック・ボタンズに取材したときも、このニューヨークのトランス・アート・パンクの伝説こそ若い彼らにとっての最高の追体験だったと話していた。もっとも多くのファンを驚かせたのは、ザ・ホラーズやファック・ボタンズではなくブルース・スプリングスティーンによる"ドリーム・ベイビー・ドリーム"のカヴァーだった。しかし、これとて深い縁があったことをアラン・ヴェガはあるインタヴューで明かしている。つまり、スーサイド再結成後の2002年に〈ミュート〉傘下の〈ブラスト・ファースト〉から発表したアルバム『アメリカン・シュプリーム』が9.11を主題としたもので、ヴェガはその取材でこれでもかと反ブッシュを叫んでいる。こうしたヴェガの政治的主張もスプリングスティーンとの仲を深めるのに大いに働いたことだろう。

 ちなみに〈ミュート〉は2000年に未発表を加えたCD2枚組としてスーサイドのファースト・アルバムをリリースしている。未発表音源に関する興味と(それがまたホントに良かったのよ)リマスタリングということで僕も買ったのだけれど、封入されたブックレットにはヴェガとマーティン・レヴの対談も載っていて、そこでヴェガは彼のセシル・・テイラーについて、あるいはイギー・ポップからの影響について語っている......。まあ、そう言われてみればたしかにストゥージズだ。

 ウェット・ヘアーは完璧なまでにスーサイド・フォロワーである。フォロワーというか、最初に聴いたときはスーサイドの新作かと思ったほどだ。僕はこのレコードが渋谷の〈ワルシャワ〉でかかったときからおよそ1時間悩んで、それで、結局買った。かれこれ1ヶ月前の話だ。

 アイオワで〈ナイト・ピープル〉なる(主にカセットをリリースする)レーベルを運営するライアン・ガーブスとショーン・リードのふたりによるウェット・ヘアーは、昨年のはじめに最初のアルバム『ドリーム』を発表して、そして年末にセカンド・アルバム『グラス・ファウンテン』をリリースした。ヴィンテージ・シンセサイザーとエフェクトをかましたうなり声、ドラムマシン、まさにスーサイド・スタイルだが、本家よりもノイジーでさらにトランシーでもある。そのあたり、モダンなセンスが注入されている。

 アルバムは気が遠くなるようなミニマリズムとうなり声からはじまるが、このバンドの個性はメランコリックな曲作りにある。A面2曲、B面3曲の計5曲入りだが、僕にはB面の1曲目"正しいときが来たら"のメランコリーが最高だ。それはスーサイドの"キープ・ユア・ドリーム"というか、豪雨のなか殺人者が歌うオールディーズ・ポップスのように聴こえる。"コールド・シティ"のメロディも悪くないし、"ステッピング・レイザー"は"ロケットUSA"というか......。

 ウェット・ヘアーのようなここ2~3年で台頭してきた新種のUSインディでもうひとつわからないのが、彼らがデジタルを放棄していることである。『ドリーム』は別のレーベルがCD化したが、『グラス・ファウンテン』に関してはいまのところヴァイナルのみでダウンロードすらない。こうした時代と逆行するかのようなアプローチも興味深い(テクノ系ではあれだけアナログにこだわっていたベーチャンが批判されながらデジタルに進出したものだが、シャックルトンはアンチ・ダウンロードを貫くらしい......)。

 ところで〈ミュート〉からの再発盤のブックレットによれば、ヴェガとレヴはスーサイドをはじめた当時一文無しで、ヴェガいわく「ケツを凍らせながらテントで寝ていた」という。彼らは純粋なまでに極貧で、自殺者という名前もまんざら大袈裟ではなかったようである。都市の辺境のギリギリのところから発せられたのが、ヴェガのあの叫び声だったのだろう。スーサイドの1978年のザ・クラッシュとのツアーは有名で、ふたりはステージで客から罵声を浴び、モノを投げられ、血を流し、暴動を誘発した。スーサイドのふたりから見たら、ザ・クラッシュの絵に描いたような左翼っぷりはどんな風に見えたのだろうか......。ファッションに見えただろう。しかし多くの聴衆が崇拝したのはザ・クラッシュだった。そして僕は紛れもなく崇拝者のひとりだった。

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