「OTO」と一致するもの

Baths - ele-king

 いよいよ今週は本サイト『ele-king』のイチオシのひとり、バス君の登場。デイデラスやビョークのIDM好きの人とか、あるいは初期のマニー・マークがグリッチを試みたとしたら......LAからやってくるバス君は、〈アンチコン〉レーベルが見いだした素晴らしい才能です。アンダーグラウンド・ヒップホップの鬼っ子だった〈アンチコン〉が送り出すドリーム・ポップとも言えますが、そのメッセージは混沌とする現代社会への鋭いメッセージでもあります。ジェームス・ブレイク、そしてカリブーが好きなリスナーもぜひ注目してみてください。
 22日にはDOMMUEにも出演。また、24日の代田橋FEVERでは、アルバム『言葉の泡』が話題のPhotodiscoもライヴ出演します。
 
 バス君のメッセージは、たとえば次のようなものです。


Baths
Cerulean
Anticon

ReviewAmazoniTunes Store

 love, この世界は真っ暗で
 僕はなにも見えない
 ねぇ、僕を必要としてよ.

 boy, 君は華やかで
 僕はどう見えるかな
 ねぇ、僕を必要としてよ.

 あなたは、将来が見えるけど
 僕はなにも見えない
 僕を必要だって言ってよ

 love, 僕が諦めたのを知っているよね
 だって、僕らははまだ相応しくないんだよ
 ねぇ、僕を必要としてよ
Baths "Plea"

2011.11.25(金) 新代田 Fever (All Night)
"Tugboat presents Baths Live in Tokyo 2011″

OPEN 24:00 / START 24:30
ADV¥3,500(+1Drink)/DOOR¥4,000(+1Drink)
opening act: Sodapop (anticon. label Manager)
出演: Sodapop / Baths / Photodisco / cokiyu

※ご注意 / 要身分証明書 https://www.tugboatrecords.jp/category/event

Chart by Underground Gallery 2011.11.18 - ele-king

Shop Chart


1

THEO PARRISH

THEO PARRISH S.T.F.U [Sound Signature / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
THEO PARRISH [Sound Signature]からの新作12インチは、マッド & ピプノなブリープ・ハウス!これはヤバイ!! ここ最近、かなり活動が活発化しているTHEO PARRISHですが、久々に自身のレーベル[Sound Signature]から新作を発表です!まさにTHEO PARRISHのDJプレイの、ダークな時間帯にばっちりハマリそうな、かなり危険なアシッド・ハウスを展開した今作、どことなく90's初期のブリープ・ハウスを思わせるような、サブソニック・ベースと捻れたブリープ音で、深く深くドープな世界へ誘って行く、圧巻の1枚!THEO PARRISH節と言える、土着的なリズムの組み方も、鳥肌モノ!これは凄いです!「Long Mix」と「Short Mix」の2ヴァージョンを収録!

2

DJ KAOS

DJ KAOS From Inside [Dfa/12inch] »COMMENT GET MUSIC
[Astro Lab]や[Clone]、[Rong Music]、[Skylax]など、シーンを代表するアンダーグラウンドレーベルより快作を連発するDJ KAOSの新作が[Dfa]より登場。鳴りの良いロッキンなギターやノスタルジックムード漂うフルートを響かせ、エモーショナルな男性ヴォーカルとともに展開してくロマンチックなコズミック・チューンのオリジナルをA面に、B面には、ポルトガルの鬼才 TIAGOがリミックスを手掛ける2ヴァージョンが収録され、アシッディーなシンセなどを絡め、中盤からのトリッピーな展開が、DAVID MANCUSOのプレイを期待させる B1と、パワフルなオルガンプレイを響かすグルーヴィーなダブミックスの B2。いずれもホント良いですね縲怐B最近の[Dfa]作品の中でも、特にオススメしたい1枚です。是非チェックしてみて下さい!

3

LEVON VINCENT

LEVON VINCENT Impressions Of A Rainstorm Ep [Novel Sound / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
先日来日したばかりのN.Y地下テクノ・シーンの重要人物LEVON VINCENT、自身のレーベル[Novel Sound]からの新作!ヨーロッパ産とは明らかに違う「空気感と鳴り」。オススメです。

4

LEE VAN DOWSKI

LEE VAN DOWSKI On [Rekids /12inch] »COMMENT GET MUSIC
ここ最近の[Rekids]のベスト作品!オリエンタル・フィールなテックチューン! [Cadenza]、[Mobilee]、[Bpitch Control]からも作品を残す LEE VAN DOWSKIが、大人気レーベル[Rekids]より新作をリリース。 躍動感のあるパーカッシブな4/4ビートに、オリエンタルな弦楽器や、どことなく[Ecm]のサックス奏者 JAN GARBAREKを思わせるような旋律と奏でるサックス・ソロなどを前面にFeatした、異国感漂うディープ・テックハウスのA面、MR RAOUL Kの作品を彷彿とさせるオーガニックなトラックに、軽快なオルガン・フレーズやピアノ、モダンジャジーなホーンアンサンブルなどの生楽器を取り入れたB面、どちらも文句なしのキラー・トラック!

5

VENTRESS

VENTRESS Avn002 [Avian / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
SIGHA、LUKE SLATER、SILENT SERVANT、MARCEL FENGLERなどがプレイ中の、ヘビー・ウェイト・ドープ・ミニマル!グルーヴも音響もばっちりです。 LUKE SLATERの[Mote-Evolver]からのリリースでお馴染みのSHIFTEDによるプライヴェート・レーベル[Avian]の第2弾!SIGHA、LUKE SLATER、SILENT SERVANT、MARCEL FENGLERなどがプレイ中の、アンダーグラウンド・ミニマル話題作!

6

FACTORY FLOOR

FACTORY FLOOR Two Different Ways [Dfa / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
[Dfa]新作!サイケデリックなウワ音の鳴りが◎なグレイト・トライバル作品! 個人的にもここ最近の[Dfa]作品の中では断トツにオススメしたい1枚!ポスト・インダストリアル系アーティスト FACTORY FLOORによる新作がとにかくヤバいです!!アシッディーでトライバルな感覚を孕んだリズムに、硬質なパーカションの鳴りやサイケなウワモノを響かせ、ディープな覚醒観の中展開させた Side-A、怪しげな女性ヴォイス・サンプルを交え、よりテクノ的なミニマル感をもった Side-Bと、どちらもとにかく危なすぎます!!フロアーでの音鳴りも十分に期待させてくれそうですよね縲怐Bアンダーグラウンドファンの方、コレは絶対に要チェックですよ!

7

FAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRA

FAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRA Keep Believing (Can You Feel It) - Theo Parrish Remix [Far Out Recordings / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
UKの老舗レーベル[Far Out]、レーベル設立16周年を記念した特別企画第6弾は、満を持してTHEO PARRISHが登場!お得意のラフなリズムにジャジーな鍵盤やストリングを幻 想的に響かせ、力強く打たれるドラムグルーブで徐々に高揚していく、壮大かつ深遠なキラー・リミックスを披露!これは、幅広いファン層から支持を受けそうな!セルビアのプロデューサー KOMPLEKSによる、ビートダウン・ライクなリミックスも素晴らしい!これは絶対に聴くべき

8

SHIMMY SHAM SHAM

SHIMMY SHAM SHAM Shimmy Sham Sham 004 [Shimmy Sham Sham/ 12inch] »COMMENT GET MUSIC
過去3作品がいずれもキラーな内容だった SHIMMY SHAM SHAMですが、個人的には今作が文句なしで一押し!DJ NORIさんもプレイしていた、FAZE ACTIONによるカヴァー・ヴァージョンも記憶に新しい、ARTHUR RUSSELLの名作「In The Light Of The Miracle」をネタにしたA面、土着的でブルージーなオリジナルの良さを見事に引き出した NINA SIMONEネタのアフロ・パーカッシブ・ハウスのB面の2トラック!

9

V.A

V.A Remake Me Whole / Gimmeyour Curtis [Boot1 / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
謎のホワイト盤ですが、既にCARL CRAIGやRADIO SLAVEがプレイしているというこの冬のパーティー・チューン!程良くメロウでナイス・テンションのグッド・ハウスです!オススメ!限定盤ですので気になる方はお早めに! [Cocoon]からのリリースで知られるRoss EvanaとSam Richardsonなるアーティストによるスプリット盤!90'Sディープ・ハウス・ライクなサンプリング・ループと煌びやかなシンセ・メロディを軸に、2分近くもある中盤のロングブレイクで盛り上げるA面、CURTIS MAYFIELD「Gimme Your Love」をリエディットした、スローモーでソウルフルなビートダウン・ナンバーのB面、共に◎!

10

COYOTE FT. GAVIN GORDON

COYOTE FT. GAVIN GORDON Minamoto [Is It Balearic / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
COYOTEが MOCK & TOOFらの作品でVo.を務めていた GAVIN GORDONをフィーチャーした [Is It Balearic]新作は、アートワーク、そしてタイトルでお気づきの方も多くいるであろうとは思いますが、古典「平家物語」などで御馴染み「源(氏)」= 侍をテーマしたとのこと。 正直、どの辺りにそのテーマが隠されているのか分からなかったのですが(笑)クールな GAVIN GORDONのヴォーカルを軸に、メランコリックなハープの音色や浮遊感のあるストリングスフレーズ、ギターのアルベジオなどを絡め、バレアリック & ドリーミーに展開させていったオリジナル、パーカッションを散りばめた軽やかなリズムに、スペーシーなシンセフレーズやレイドバック感のあるピアノループを鳴らし、幻想的な雰囲気へ仕上げたDJ STEEFリミックス、アシッドテイストを加えたドープなダブグルーブと、ダヴィーなウワモノでジワジワと展開させた、西海岸のHARDWAY BROS.によるリミックス、リバーブを効かせたドロ縲怎唐ネウワモノに"Big Chill"感覚なブレイクビーツ風リズムを敷いた「Shocks Pulpit Chill Mix」、ジプシー風なスパニッシュ・フラメンコギターを響かせた、哀愁漂うチルトラック「El Sueno Oscuro」など、全曲オススメです

SOUL II SOUL SOUND SYSTEM - ele-king

 ザ・ストーン・ローゼズが「僕は太陽だ」と歌った1989年、「アフリカ・センターは世界の中心だ」と宣言したのがソウルIIソウルだった。その歌を信じて、セカンド・サマー・オブ・ラヴのロンドンの最重要発火点のひとつ、コヴェント・ガーデンの駅の近くにある、小さな、本当に小さなあのアフリカ・センターを訪ねた人は少なくないでしょう。

 アシッド・ハウスだけだったら、それをセカンド・サマー・オブ・ラヴなどと大きく呼ぶ必要はなかった。あの季節には、ソウルIIソウルの掲げた"UKブラック"というコンセプトがあったことも忘れてはならない。そこにはパブリック・エネミーもデ・ラ・ソウルも、レゲエもソウルもファンクもジャズもあった。ザ・ストーン・ローゼズがロックでやったようなことを、ソウルIIソウルはブラック・ミュージックの文脈においてやった。現在、ハイパーダブやフローティング・ポイントがやっているようなことの原点がそこにあった。

 ご存じだろうか? 2011年の現在、マンチェスターのパブから下北の居酒屋のテーブル席にいたるまで、ひとつの面白い議題をめぐって、音楽ファン のあいだではジョッキを片手に熱い議論がかわされているってことを。それは「ザ・ストーン・ローゼズはいま再結成すべきか?」というもので、『ガーディアン』が大々的に読者に問うたことに端を発している。この大きな問いに、たとえば田中宗一郎が「すべきだ!」と叫んでいるという、きわめて興味深い感情が表出している。つまりそう、あの時代のダイナミックなエモーションはいま必要なのか? それらの音は、サマー・オブ・ラヴではないこの時代に聴いたときに、当時とは違った意味を持つのではないのか......云々。

 キープ・オン・ムーヴィン......動き続けろ、ソウルIIソウルは、ジャジー・Bは、キャロン・ウィラーは、愛の夏のときにそう繰り返し歌った。我々はそれを真に受けて、動き続けようと思った。それではみなさんにもここで問おう。「ソウルIIソウルはいま聴くべきか?」
 11月27日(フューチャー・テラーの翌日かぁ......)の恵比寿リキッドルームにその答えがある。


SOUL II SOUL SOUND SYSTEM
SOUL II SOUL SOUND SYSTEM

2011.11.27 sunday afternoon
liquidroom presents
[PLAY, JAPAN! Red Bull Music Academy]
SOUL II SOUL SOUND SYSTEM
open/start 16:00 end/close 22:00
adv.(now on sale)* 4,500yen
door 5,500yen(with flyer 5,000yen)

■LIQUIDROOM
SOUL II SOUL SOUND SYSTEM (Jazzie B, Charlotte Kelly, MC Chickaboo)
DJ Mil'o (wild bunch)
DJ KRUSH -hip hop set-
TADASHI YABE (United Future Organization)
DJ NORI

■LIQUID LOFT
SHUYA OKINO (Kyoto Jazz Massive)
DJ JIN (RHYMESTER/breakthrough)
DJ KEN-BO
TOSHIO MATSUURA
RAPHAEL SEBBAG (United Future Organization)

■Time Out Cafe & Diner(kids room)
PLAYGROUND Djs:DJ 246、坂田かよ、Kaori a.k.a.LadySomething Different、Ayako Nakamoto

 ジャングルやドラムンベース、現在のダブステップまで、斬新な音楽のスタイルを生み出し続けているUKのDJカルチャー。80年代後半から90年代初頭にかけては、UKのDJカルチャーが、ポップ・ミュージックに大きな影響を与えるまでになった時代だ。この時代を象徴する存在のひとつがSOUL II SOULと言えるだろう。UKのカリブ系移民のサウンドシステム・カルチャーやレア・グルーヴ、ウェアハウス・パーティなどを背景に、UKブラックの新たなソウル・ミュージック=グランド・ビートを作り出し、その流れは世界的潮流ともなった。そんなSOUL ・ SOULがSOUL ・ SOUL SOUND SYSTEMとして来日し、DJスタイルのライブ・パフォーマンスを行う! ほぼ同時期の80年代ブリストルにおいて、MASSIVE ATTACKの前身とも言える伝説的サウンド・クルー、WILD BUNCHにて活躍していたDJ MIL'Oもプレイする。まさにUKのDJカルチャーに大きな影響を与えた伝説的なふたりのDJが恵比寿リキッドルームに登場する!

■Jazzie B (SOUL ・ SOUL SOUND SYSTEM)
Jazzie B Jazzie Bとその友人Daddaeは、彼らが若干13歳の頃、Jah Ricoというレゲエ・サウンドを始め、その3年後にSoul II Soulが誕生した。「Soul II Soulという名前は、俺らの音楽だけを意味するわけではなく、Daddaeと自分自身をも意味する―つまり、一緒に寄り添う2つの魂という意味もあるわけだ」
当時のSoul II Soulはローカルレベルでの人気は確立していたが、資金がまだ必要だった。18歳の時にJazzieは、Tommy Steeleのテープ・オペレーターとして働き、時に風当たりの厳しい音楽業界で働くことのできたわずかな黒人の内の一人であった。「いら立ったこともあったけど、ある意味俺らが一切興味を持たない業界の側面を見ることはできたね。なぜなら俺らは常に最先端で活躍したかったから。そこで働くことは自分自身を鍛えてくれたよ」

1980年代にはアシッド・ハウスという新たな音楽ジャンルが旋風を巻き起こした。「俺らはアーリー・サウンドとしてまるでアートのような存在だった。普通のスピーカーは一切使わず、ハウス・パーティではフロアで花火を打ち上げ、旗やストロボ使っていたんだ!」
その後、Soul ll Soulは、ロンドンのコベントガーデンにある、今では伝説的なAfrica Centreでライヴを行っていた。レコード会社が彼らに追いつくまでにそうは時間はかからなかった。

Soul II Soulは1986年に<Virgin>と契約を交わし、'Keep On Moving'や'Back To Life'などのヒット曲でチャートを賑わすことになる。UKや海外、そしてロンドンのKiss FMのJazzieの番組を通じて、数多くのレジデントクラブナイトを展開した。1990年、彼らはふたつのグラミー賞を獲得し、JazzieはLA、NY を含むアメリカ7都市へ渡ることになる。国境を超えたアメリカでもSoul II Soul時代が到来するのである。

Soul ll Soulは<Motown>とレーベル契約を結び、その後<Epic>とプロデューサーとしての契約を交わすことになる。 Jazzie BはSoul ll Soulのためのヒット曲を生み出しただけでなく、彼はプロデューサーとして、またリミキサーとして、The Fine Young Cannibals、James Brown、Public Enemy、Sinead O'Connor、Ziggy Marley、Nas、Destiny's Childなどに楽曲を提供していた。Soul ll Soulは、世界的に680万枚のアルバムセールスを記録。そしてJazzieは、世界100カ国において3500万枚のアルバムセールスを認められ、NYのUniversal AmphiTheatreなど、世界中の有名な会場でも公演を行った。Jazzeは現在、ロンドンのスタジオにて、独立系レーベル<Soul ll Soul Recordings>の運営を行っており、BBCラジオの番組をレギュラーで担当している。2008年5月、"英国のブラックミュージックに貢献した人物"としてIvor Novello賞を受賞。同月、英国王室より30年に渡る音楽業界における貢献を称えられ、OBE(大英勲章)を与えられる。女王陛下により授与された初めての音楽人であり、おそらく最も価値のある勲章となったに違いない。

■DJ Mil'o (wild bunch)
DJ Mil'o 70年代後期~80年代初期のブリストル、Nellee HooperやGrand "Daddy G" Marshallらとともに彼のDJとしてのキャリアは始まる。当時では珍しい、ファンク、ニューウェイヴ、ディスコ、ジャズ、レゲエ、ソウル、パンク、ヒップホップなど幅広い選曲のスタイルが話題となり、サウンドシステム・ユニット、Wild Bunchが結成される。その後、<Island Records>よりシングル "Friends and Countrymen"や"the Look of love"をリリース。DJ Miloが、Adrian SherwoodやNeneh Cherryらと活動している間、Nellee Hooper は、Soul II Soulへ参加、その他のメンバーは、Massive Attackを結成するなど、Wild Bunchの当時のシーンへの影響力は多大であり、この頃の彼らの活動が、ブリストル・アンダーグランド・シーンを引率し、世界に波及させたといっても過言ではない。また、DJ Miloとしては、日本とも馴染みが深く、<MAJOR FORCE>とのレコーディングから、U.F.O.や高木完らのリミックス、ファッション・ブランドとのコラボレーションまで幅広く展開している。他にも、ツアーDJとして、The Jungle Brothers、Soul II Soul、Kool DJ Red Alert、Tricky、そしてPublic Enemyらとツアーをまわるなど活躍し、1989年に、NYへと移り住む。オリジナル・ソロ・アルバムをリリースするなど、生ける伝説として今もなお、精力的に活動を続けている。

2011.11.27 sunday afternoon
at LIQUIDROOM
access→ https://www.liquidroom.net/access/
open/start 16:00 end/close 22:00
adv.(now on sale)* 4,500yen door 5,500yen(with flyer 5,000yen)
*PIA[P-code 153-226]、LAWSON[L-code 76554]、e+、BEAMS RECORDS、bonjour records Daikanyama、DISC SHOP ZERO、DISK UNION(SHIBUYA CLUB MUSIC SHOP/SHINJUKU CLUB MUSIC SHOP/SHIMOKITAZAWA CLUB MUSIC SHOP/KASHIWA CLUB MUSIC SHOP/IKEBUKURO/KICHIJOJI/MACHIDA/YOKOHAMA-NISHIGUCHI)、JAZZY SPORT MUSIC SHOP TOKYO、JET SET TOKYO、Lighthouse Records、LOS APSON?、TECHNIQUE、LIQUIDROOM

※SOUL II SOUL SOUND SYSTEMのライブ・パフォーマンスはDJスタイルで行います。
※10歳未満は入場無料。

vol.20:グランジの時代ではないけれど - ele-king

 マリッサ・アバッテが歌いだすとスゴい。その小さい体からは考えられない声を発揮する。引き込まれるし、「オー! 大丈夫か」と言うぐらいにパワーを持ってる。ギターもうまい。最近は黒尽くめのワンピース(私はエミリー・ザ・ストレンジと呼んでいる)で、それが彼女のスタイルとなっている。前髪も眉毛の下まであって、きちんと顔を見たことがない。たんにシャイなのか、普通にゴスなのか......。彼女を中心とするスクリーミング・フィメールズは、ニュージャージーのバンド、こっちでは実力派のバンドとして知られている。 https://screamingfemales.com/

 いままで何回かショーを見ているけれど、見るたびにどんどんタイトになっている。最初に見たのは、たぶん3年ぐらい前のトーク・トーマルとのニュー・イヤーズ・イブだった。トーク・ノーマルを見に行ったのにスクリーミング・フィメールズに感動した。はじけてて、ストレートで、危なっかしい、そのさじ加減が絶妙だった。ツアーで鍛えられたのか、荒々しいなかにもちょっと洗練された感じがある。80年代ハードコア・ブームの感覚も否めないが、こんなピュアでストレートな音楽は現在そうそうできるものでもないだ。これってやっぱりニュージャージーという土地柄も影響している。あそこは本当にすることないんです。田舎なんです。逆にニューヨークにいたらちょっとひねくれようかなという気が起こるものですが、彼らの音楽には何もそうしたトリックがない。もっとストレート・パワーを感じる。
 とはいえ、いまは2011年であって、1980年のグランジ・ブームの時代ではない......。

 11月5日のショーは、〈285kent〉というかなりトレンドなヴェニューだった。もともとは〈ウエスト・ナイル〉という名前で、2年ぐらい前には週末ともなるとアンダー・グラウンドなノイズ・バンドやエクスペリメンタルなバンドが夜な夜なプレイしていた場所。ほとんどが住んでいる人や友だちのバンドなのだが、いつも混んでた。私も〈ハートファスト〉でショーを組ませてもらったことがある(ちなみにトーク・ノーマルのサラはここの住人だった)。1年半ぐらい前から新しい場所として再出発して、最近はインディ系でも大きめのバンドがプレイするようになった。

 トッド・Pというプロモーターがブルックリンのキッズが好きそうなライトニング・ボルト、フレンズ、ソフト・ムーン、さらにまた今月からは『ピッチフォーク』の支援するアルター・ゾーンが3ヶ月間のレジデンシー(ニュー・イヤーズ・イブまで)となっている。そしてこれからジ・オー・シーズ、アンドリューWK、スケルトンズ、フォーン・タグ、トータル・コントロール、パーツ・アンド・レイバー、オネイダなどのショーが控えている。つまりヒップスター系の場所なのだ。だから個人的には、スクリーミング・フィメールズにはあまり似合わない。どちらかというと隣にある〈ディス・バイ・オーディオ〉がしっくり来るし、実際そこで何度か見ている。そんなわけで、ちょっとおそるおそる、実際どんなクラウドが来ているのかも気になっていた。

 土曜の夜ということで人は多い。クラウドは若いかと思いきや、意外に年配者もいた。あとで聞くといろんなメディアが取材にきていたようだ。『ヴィレッジ・ヴォイス』もがんばっている。
 この場所はDIYなので、ミュージック・ホールのようにライヴ部屋とは別にラウンジがあって、バーがあって、バスルームが広くて、バルコニーがあって......などではない。ドアでお金を払い、カーテンを開けてなかに入ると、ただっ広い部屋がひとつ。習字のようなアートが前、右、左全面の壁に描かれている。前に来たときはもっと汚いイメージだったが、ちょっと変わった? 端にソファーはあるが、ドリンクを飲む憩いの場所(=バー)さえない。音楽が嫌いだったら避難する所がないのだ。友だちと話しもできない。外に出るとセキュリティーに怒られるし、いやでも聞けってことだろうか。見たいバンドがひとつしかなくて、時間を間違えたら地獄だ。

 私がついたときはストリート・イーターズ(https://streeteaters.com)というベイエリア出身のバンドがプレイしていた。女の子ふたりだがかなりの爆音、今日はこういう"夜"なのね。
 共演は、The Men。ル・ティグレのメンバーだった、JD samsonのバンド。意外な組み合わせだ、と思ったら、こっちでした。https://wearethemen.blogspot.com/
 JD samsonのバンドはMENで、こっちはThe Men。ブルックリン出身の男の子4人組のハードコア・バンド。はじまるまでまったく気づかなかった。というか、Theがあるかないかでバンド変わるの、どうなの。Man Manもいるし。
 彼らは、〈サクレッド・ボーンズ・レコーズ〉(他にサイキック・イルズ、クリスタル・スティルズ、ゾラ・ジーザス、カルト・オブ・ユースなど)というレーベルからアルバムを出している。最近は、ジ・オー・シーズとツアーをまわっていたらしい。前のほうはモッシュがピークで大変なことになってる。男の子のファンが多いけど、女の子も負けずに盛り上がってる。ちょっと初期のライトニング・ボルトの観客を思い出した。
 
 そしてスクリーミング・フィメールズ。今日もマリッサは、エミリー・ザ・ストレンジな格好だ。スカート丈、膝丈か少し下で、ワンピース。普段は色物もTシャツも着ているらしいけど。ドラムのジャレットはスター・スクリームのメンバーにも似ている、ちょっと勉強できるタイプに見える。The Menを見ているときに、端っこのソファーに座って黙々とドラム・スティックを持ってエクササイズしていた。ベースのマイケルは体育会系で、さばさばしている感じ。ずっとマーチ・テーブルのそばにいたので、意外にきちんとしているのかな。
 ショーのあいだは、私は人の大群の下敷きになったり、機材が落ちそうになったので抑えてみたり、マイクを直したり、ハラハラしたが、最初から最後までいちばん前で声援を送り続けてしまった。『ブルックリン・ヴィーガン』の写真家にあったのでいっしょになって見ていたら、横で写真を撮らずに大盛り上がりしていた。
 スクリーミング・フィメールズは、見ているとやんちゃな子供たちという感じだが、長くやっているだけあってサウンドがしっかりしている。努力家で、宿題きちんとやるんだろう......とまた違うことを考えてしまった。

 ちなみに彼女たちのレーベルはニュージャージーの〈Don Giovanni Records〉で、私は『Power Move』というアルバムしか持っていないのだが、新しいアルバムは『Castle Talk』がもう出ている。また、最近は初期のアルバムも再発されたらしい。https://www.screamingfemales.com/store_usa.html

 ショーが終わってマリッサと少し話をした。とてもかわいいお嬢様だった。少女漫画のようなキラキラした目をしている。これではもう1回見たくなるし、『ブルックリン・ヴィーガン』の写真家がせっせとショーに顔を出すのもうなずける。

Chart by JAPONICA music store&cafe bar 2011.11.14 - ele-king

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1

FAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRA

FAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRA KEEP BELIEVING (CAN YOU FEEL IT) REMIXES FAR OUT / UK / 2011/11/6 »COMMENT GET MUSIC
<FAR OUT>レーベル所縁の面々によるスペシャル・ユニット=FAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRAシングル第6弾。この度遂にTHEO PARRISH登場です!聴けば分かるTHEO節炸裂の生音ドラムのコンビネーションに、フュージョン・タッチなジャジー・リフが絡む極上メロウ・ビート ダウン・リミックス、そしてC/Wには新鋭KOMPLEKSによるこちらも流麗なピアノ・フレーズが美しく響くファットなスロー・ディスコ・リ ミックスを収録!

2

J. ROCC

J. ROCC STAY FRESH STONES THROW / US / 2011/11/7 »COMMENT GET MUSIC
どす黒く野太いファンク・ビートが叩きつける"STAY FRESH"の長尺エディット・ヴァージョン(!)を筆頭に、同路線でこちらもまさにJ.ROCC節炸裂の"THRU THE TULIPS"ニュー・リミックス・ヴァージョン、そしてアルバム未収録のダウンビート・トラック"PNK"、"MATTS BAND"、最後にディスコ/ブギー感覚の"STAR (LATIN REMIX)"を収録と、超充実てんこ盛り内容・・!

3

CANTOMA

CANTOMA NORTH SHORE LENG / UK / 2011/10/26 »COMMENT GET MUSIC
PHIL MISONによるソロ・プロジェクトCANTOMAによるリミックスCDアルバム「OUT OF TOWN REMIXES」から美味しい2トラックがアナログ・カット!A面には様々な多数リリースを重ねるプロデューサーMAX ESSAによる、多幸感溢れるシンセ・トラックに爽やかなヴォーカルを絡めた"NORTH SHORE"リミックスを、そしてB面には<BICHES BREW>主宰DJ COSMOによるレゲエ/ダブ感を注入した"DIX VERTES"の極上トロピカル・リミックスを収録。

4

KINGDOM☆AFROCKS

KINGDOM☆AFROCKS FANFARE PLANET GROOVE / JPN / 2011/11/9 »COMMENT GET MUSIC
出ました!2LP!!アフロビート・レジェンドTONY ALLEN(本作にも参加!)も太鼓判を捺す国内屈指のアフロ・バンド=KINGDOM☆AFROCKS、昨今のアフロ・リヴァイバルも相まりクラブ・ シーンでも俄然注目度を上げる中、遂に初となるスタジオレコーディング・アルバムをリリース!

5

NOCOW

NOCOW IN A WAY EP ETHEREAL [RUS] / ES 014 »COMMENT GET MUSIC
グッド・リリース連発の<ETHEREAL SOUND>から遅れていたレーベル第14弾がようやく到着!当レーベル拠点のロシアからの新たな刺客NOCOWによるグレイテスト・ダウンビート集。J DILLA以降のビート感に、現行ベース・ミュージック・シーンにもなぞったコズミック感覚、そして首領ANTON ZAPPが惚れ込んだ確かなダンス・ミュージック・センスとが渾然一体となり織り成すアブストラクトなニュータイプ・サウンドを展開。

6

COYOTE feat. GAVIN GORDON

COYOTE feat. GAVIN GORDON MINAMOTO IS IT BALEARIC? / UK / 2011/11/6 »COMMENT GET MUSIC
マドリードのシンガーソングライターGAVIN GORDONをフィーチャーしたヴォーカル・バレアリック・ディスコ"MINAMOTO"オリジナルをはじめ、各クリエイターがリミックス仕上げた3ト ラック、そして傑作アルバム「HALF MAN HALF COYOTE」からのアウトテイク的アコースティックなアンビエンシー・トラック"EL SUENOOSCURO"を収録。

7

THEO PARRISH / BURNT FRIEDMAN

THEO PARRISH / BURNT FRIEDMAN MEETS MANCINGELANI AND ZINJA HLUNGWANI HONEST JONS / UK / 2011/10/25 »COMMENT GET MUSIC
レコード回転数を一瞬疑ってしまいそうなTHEO PARRISHによる高速ピッチでの奇天烈エレクトロ・リミックスが強烈スギですが、ここはやはりC/W収録のBURNT FRIEDMANリミックスを推し!パーカッション/チャント・サウンドがくっきりと浮き出たクリアなミッド・ファンク・ブレイクでダブワイズを随所で絡 めつつオーガニックなアフロ・ファンク調にて見事リコンストラクトした激最高すぎる仕上がり◎

8

SEAHAWKS & AUTRE NE VEUT

SEAHAWKS & AUTRE NE VEUT DON'S RAINBOW OCEAN MOON / UK / 2011/10/30 »COMMENT GET MUSIC
7"+CDという特殊形態でのアルバム・リリースも話題を集めた次世代バレアリック・シーンきっての注目株SEAHAWKSとUS産80'Sシン セ・ポップ期待の星AUTRE NE VEUTによるタッグ・リリース7"。クリスタルなシンセの煌きに独特のバレアリック経由なレイドバック感、そしてクラシカルなファルセット・ヴォーカルとが渾然一体となり繰り出される極上チルウェイブ・トラック"DON'S RAINBOW"。

9

DJ DUCT feat. THE REGIMENT

DJ DUCT feat. THE REGIMENT BACKYARD EDIT PT.6 -DETROIT RE-SESSION- THINKREC. / JPN / 2011/10/18 »COMMENT GET MUSIC
URコーディネートによるDJ DUCTとデトロイトMC'S=THE REGIMENTとのコラボ・プロジェクト="DETROIT SESSION"豪華陣容によるリミックスEPでます!DJ KENSEI、OBRIGARRD、9dw、DJ SHINYAリミックス!「BACKYARD EDIT」シリーズ〆は多彩な顔ぶれで送る"DETROIT SESSION"リミックスEP!

10

TURN ON THE SUNLIGHT

TURN ON THE SUNLIGHT REMIXES / COLLABORATIONS DISQUES CORDE / JPN / 2011/11/9 »COMMENT GET MUSIC
西海岸の天才肌DEADELUS、オーケストラ編成でのJ DILLA追悼プロジェクト「SUITE FOR MA DUKES」の中心人物でもあるMIGUEL ARTWOOD-FERGUSON、そして日本から竹村延和、COFFEE & CIGARETTES BAND等がリミックス/コラボレーション参加!オリジナル・アルバムの空気感はしっかりと踏襲しつつも、そんな個性溢れる各クリエイターの色添えにより 引き出されたTOTSの味わい深い魅力を新たに堪能できる全8曲収録。

DBS 15th Anniversary - ele-king

 音が好きな若者たち、クラブに行きましょう。音楽を大音量で踊りながら聴くってことは、音好きにとっては気持ち良い以外の何モノでもないですよ。

 さて、今週はベース・ミュージックで東西が揺れる。ジェームス・ブレイクの東京公演のアンコールで彼は、予定になかった"ANTI DUB WAR"を歌ったわけだが、そのときの会場の静まり方が傑作だった。いったい何人のオーディエンスがそのオリジナルを聞いているというのだろう(名古屋は"ANTI DUB WAR"で大盛り上がりだったという。名古屋、偉いぞ!)。
 そして、そこで"ANTI DUB WAR"を歌うブレイクが、何をオーディエンスに問うていたかは知る人にとって用意に想像できる。「僕はここから来たんだよ。そしてその最良の出発点にいるひとりがマーラなんだ」、そんなところだ。ダブステップの歴史はいま、DMZとコード9といったアンダーグラウンドの活動家を出発点とするものとして書き換えられている。

 その"ANTI DUB WAR"の作者、マーラがドラムンベース・セッション15周年のゲストとして、そして大阪のベースの祝祭拠点、Zettai-Mu16周年のためにやってくる。マーラだけじゃない、ベテランのカリバー、ゴス・トラッドやマコトといった連中が東京で迎えれば、大阪(いまもっともクラブ・カルチャーが抑圧されている町)では、不屈の精神を持つ男KURANAKAが、なんと深夜営業なしの2デイズとして、これまた濃い連中をオーガナイズする。DJノブとかこだま和文とかクワイエットストームとかONOとか......。というか、いまこの時期だからこそZETTAI-MUを盛り上げないと。

 なお、11月24日、DOMMUNEでは7時から9時まで、「ドラムンベース・セッションこの15年」特集をやります。どうか、現場まで足を運んでトークに参加してください!!


feat. MALA - DIGITAL MYSTIKZ

■2011.11.26 (SAT) at UNIT
feat. MALA - DIGITAL MYSTIKZ

 CALIBRE
 GOTH-TRAD
 MAKOTO
 YAMA a.k.a SAHIB

vj/laser: SO IN THE HOUSE

B3/SALOON: DX, TETSUJI TANAKA, DJ MIYU, DOPPELGENGER, DUBTRO , OSAM "GREEN GIANT"

open/start 23:30
adv. ¥3500 door ¥4000

info. 03.5459.8630 UNIT
https://www.dbs-tokyo.com

★UKアンダーグラウンド・サウンズのリアル・ヴァイブスを伝えるべく1996年11月にスタートしたDBS (DRUM & BASS SESSIONS)が15周年を迎える。この15年間でドラム&ベース音楽は遺伝子となり、絶えることはない。そしてダブステップの潮流も同様、ベースミュージックと包括されつつも未来へ繋がって行くことだろう。DBSにとって節目となる今回の"DRUM & BASS x DUBSTEP WARZ"は、深遠なる独自の音宇宙を創るCALIBREとMALAの3度目の競演が実現!そして日本から世界に羽ばたくMAKOTO、GOTH-TRAD、YAMA a.k.a SAHIBらの参戦も決定!

MALA - DIGITAL MYSTIKZ (DMZ, Deep Medi Musik, UK)
MALA ダブステップ・シーンのパイオニア、DIGITAL MYSTIKZはサウス・ロンドン出身のMALAとCOKIの2人組。ジャングル/ドラム&ベース、ダブ/ルーツ・レゲエ、UKガラージ等の影響下に育った彼らは、独自の重低音ビーツを生み出すべく制作を始め、アンダーグラウンドから胎動したダブステップ・シーンの中核となる。'03年にBig Apple Recordsから"Pathways EP"をリリース、'04年には盟友のLOEFAHを交え自分達のレーベル、DMZを旗揚げ、本格的なリリースを展開していく。そして名門Rephlexのコンピレーション『GRIME 2』にフィーチャーされ、一躍脚光を浴びる。また'05年からDMZのクラブナイトを開催、ブリクストン、リーズでのレギュラーで着実に支持者を増やし、ヨーロッパ各国やアメリカにも波及する。'06年にはSoul Jazzからの2枚のシングル・リリースでダブステップとMALAの知名度を一気に高め、DMZの作品もロングセラーを続ける。また同年に自己のレーベル、Deep Medi Musikを設立して以来、自作の他にもGOTH-TRAD、KROMESTAR、SKREAM、SILKIE、CALIBRE、PINCHらの作品を続々と送り出し、シーンの最前線に立つ。そして昨'10年にはDIGITAL MYSTIKZ 名義によるMALAの1st.アルバム『RETURN II SPACE』をアナログ3枚組でリリース、壮大なスケールで自己の音宇宙を明示する。MALAの才能はMARY ANNE HOBBS、FRANCOIS K、ADRIAN SHERWOOD、ROB SMITH、GILLES PETERSONらからも絶賛され、世界各地からDJのオファーは絶えない。今回の来日公演もダブステップの真髄を体感させてくれるに違いない。"Come meditate on bass weight!"
https://www.dmzuk.com/
https://deepmedi.com/
https://www.myspace.com/malamystikz

CALIBRE (Signature Records, UK)
CALIBRE 北アイルランド、ベルファスト出身のCALIBREは、幼少からレゲエやロックを聞き育ち、10代で様々な楽器を習得、ジャズ~パンクまでバンド活動を送る。美術を専攻した大学時代はJOHN CAGEに影響を受ける。やがてデトロイト・テクノ、ハウス、アンビエントに親しみ、エレクトロニック・ミュージックの制作を開始、'97年頃からドラム&ベースの制作に着手する。'00年にFABIOのCreative Sourceから発表された"Mystic/Feelin'"は彼の存在をシーンに知らしめ、'01年には1st.アルバム『MUSIQUE CONCRETE』を発表、絶賛を浴びる。その後、MARCUS INTALEX ら交流し、Soul:rを中心に精力的なリリースを展開、'03年には自己のレーベル、Signatureを立ち上げ、数々のビッグ・チューンを連発する。'05年には2nd.アルバム『SECOND SUN』をリリース、オリジナリティ溢れるディープなサウンドでトップ・プロデューサーの地位を確立する。'07年のアルバム『SHELFLIFE』に続き'08年にはヴィンテージ作品として話題を集めたアルバム『OVERFLOW』を発表。そして'09年『SHELF LIFE VOL.2』、また'08年のMALAとの来日共演が契機となり、Deep Mediからダブステップのリリースを開始、さらには本名のDOMINICK MARTIN名義のアルバム『SHINE A LIGHT』をSignatureから発表し、ドラム&ベースの枠を越えた自身の広大な音楽観を披露する。彼の創作意欲は途絶える事なく、'10年には"Judgement Day EP"、アルバム『EVEN IF...』、そして本'11年には"Hummer EP"を始めとするシングルに続き、通算8作目となる最新アルバム『CONDITION』を発表、デビューから13年の現在、CALIBREの音楽は輝き続けている。
https://www.facebook.com/signaturerecordings

Ticket outlets: NOW ON SALE !
PIA (0570-02-9999/P-code: 153-041)、 LAWSON (L-code: 76190 )
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/https://www.clubberia.com/store/
渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、
TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/Bonjour Records (5458-6020)
恵比寿/WE NOD(5458-6232)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、
warszawa(3467-1997)、disk union CLUB MUSIC SHOP(5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、
Dub Store Record Mart(3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

UNIT
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
www.unit-tokyo.com

■Zettai-Mu 16th Anniversary 2011

【重要!】 会場の変更のお知らせ

再び、緊急のお知らせとなります。
先日「開催期間/時間の変更」をお知らせ致しました、Zettai-Mu 16th Anniversary 2011 ですが、再度、会場であるCCOクリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)より、夕方公演でも会場の貸し出しを行わないと決断したとの連絡を昨日(11/12)受けました。

時間の変更に前向きに考えて頂いてるお客様、23日なら行けるとの声や、励ましのメールなど頂き、DAY TIME &2DAYS に向かって準備を進めている矢先でした。

そして、再び、開催の中止も視野に、慎重に検討を重ねた結果、やはり今回の様な奇跡的なラインナップを再集結させる事は不可能と判断し、本イベントを大阪湾の神戸側に位置する深江浜・芦屋の湾岸にある倉庫を使用した多目的スペース『ZINK』に場所を移し、予定通りの日程 11月22日(祝前日-火)11月23日(祝日-水) (※22日のみオープン時間を変更)で
2 DAYS 行う事を決断致しました。
ご迷惑をお掛けすることとなった皆様、またチケットをご購入済みのお客様には心よりお詫び申し上げるとともに2度に渡る変更に快く対応して頂いた出演者並びに関係者の皆様、また急なお話に真摯に対応して頂いたZINKの皆様には心より感謝申し上げます。

両日の出演者情報(出演者の日程の変更はありません)(近日中にタイムテーブルの発表も出来ると存じます)
また、チケットの払い戻し等については下記【イベント情報】【チケット内容のお知らせ】および、オフィシャルサイトをご参照 ください。

また、22日・23日の両日《難波⇔会場へのシャトルバス》を運行致します(すぐにでも時間等の詳細はお知らせ出来ると存じ ます)。
名村造船所までの交通をお考え頂いていたお客様、大阪在住のお客様は是非ご利用下さいますようお願い申し上げます。

2転3転、大変ご迷惑ご面倒をお掛けしていると存じます、
集まって頂いた皆様と、良い未来を創造出来るような2日にしたいと願っています。
ZETTAI-MU スタッフ一同

ZINK - 会場マップ&アクセス
特設サイト - NEWS "会場の変更のお知らせ"
ZETTAI-MU TWITTER

【会場/時間変更の詳細】
会場:
CCOクリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)→ ZINK(深江浜-湾岸倉庫)
時間:
11月22日(火-祝前)16:00~23:30 → 11月22日(火-祝前)20:00 to LATE
11月23日(水-祝日)時間変更はありません。



■Zettai-Mu 16th Anniversary 2011 "DAY 1"

CALIBRE

日時:11月22日 (火 - Before holiday)
時間:20:00 to LATE
会場:ZINK(深江浜-湾岸倉庫)

MALA (Digital Mysticz, DEEP MEDi, DMZ, UK)
Mouse On The Keys
DJ NOBU (FUTURE TERROR)
O.N.O a.k.a Machine Live (THA BLUE HERB)
RUMI & SKYFISH
LITE
KURANAKA 1945 (ZETTAI-MU)
GOTH-TRAD (DEEP MEDi)
最高音響 SOUND SYSTEM
COLO (BetaLand)
若野 桂
ekran+friends
ONA

■Zettai-Mu 16th Anniversary 2011 "DAY 2"

日時:11月23日 (水 - Holiday)
時間:OPEN 15:00 / START 15:30 / CLOSE 22:30
会場:ZINK(深江浜-湾岸倉庫)

DRY&HEAVY with NUMB
EYE (BOREDOMS/VOREDOMS)
MIYAKE YOHEI & Peace-K
KODAMA KAZUFUMI
SOFT
QUIETSTORM (中目黒薬局/TIGHT)
KURANAKA 1945 (ZETTAI-MU)
最高音響 SOUND SYSTEM
COLO (BetaLand)
若野 桂
ekran+friends
ONA

※ 両日共、PARTITAの常設サウンドシステムに最高音響サウンドシステムを追加。

【チケット料金の変更のお知らせ】

● 前売 1 DAY Ticket ¥3,000 (11/10頃発売開始) (11/22、11/23共に250名限定)
● 前売 2 DAY Ticket ¥5,500
● 前売 『 いい夫婦券 』1 DAY Ticket (2枚組) ¥ 5,500 (11/10頃発売開始) (11/22、11/23共に100組限定)
● 前売 手拭い付き 2 DAY Ticket ¥6,000 (16th特設サイトのみで発売)
● 当日 ¥3,300 (両日) (ドリンク代不要)

(旧)前売 Ticket ¥5,000
→ ※ そのまま 【前売 2 DAY Ticket ¥5,500】 としてご使用頂けます。
(旧)前売 手拭い付き Ticket ¥5,500
→ ※ そのまま 【前売 手拭い付き 2 DAY Ticket ¥6,000】 としてご使用頂けます。
(旧)前売 4P Groop Ticket ¥18,000 → 4P Groop 2 DAYS Ticket
→ ※ そのまま 【前売 2 DAY Ticket (4枚組)】としてご使用頂けます。

★特設サイトでは 11月9日(水)よりチケットの販売を再開(予約受付を開始)致します★  https://www.zettai-mu.net/16th/

【 チケットの払い戻しのご案内 】
オフィシャルサイト をご参照お願い致します。

★ 各種プレイガイド、コンビニ、協力店舗にて11/10~11頃より発売開始!!
《 プレイガイド・コンビニ 》
◎ オフィシャルサイト - https://www.zettai-mu.net/16th/
◎ チケットぴあ(P:CODE: 未定 )- https://t.pia.jp/
◎ ローソンチケット(L:CODE : 未定 )- https://l-tike.com/
◎ イープラス(e+) - https://eplus.jp

《 大阪 》
◎ Newtone records / TEL. 06-6281-0403 / WEB.
◎ club NOON / TEL. 06-6373-4919 / WEB.
◎ digmeout cafe / TEL. 06-6213-1007 / WEB.
◎ TIME BOMB Records / TEL.06-6213-5079 / WEB.
◎ Buttah / TEL. 06-6241-5273 / WEB.
◎ アララギ / TEL. 06-6764-1238 / WEB.
◎ SC WORLD+ / TEL. 06-6599-8948 WEB.

《 京都 》
◎ JAPONICA / TEL. 075-211-8580 / WEB.
◎ JET SET / TEL. 075-211-8580 / WEB.
◎ Strictly Vibes / TEL. 075-212-0719 / WEB.
◎ 民族楽器コイズミ / TEL. 075-231-3052 / WEB.
◎ レストアの森 / TEL. 075-212-7756 / WEB.

《 神戸 》
◎ studio Bapple / TEL. 078-261-8644 / WEB.

《 ZETTAI-MU.NET 》
https://www.zettai-mu.net/16th/ticket.html

vol.19:キャスリン・ディ・マライス - ele-king

11/2(wed) Caithlin De Marrais @ Union Hall
W/yellow birds, Lindsay Sullivan

 ハロウィン・ウイークに積雪があったニューヨークでは、スカーフ、手袋が手放せなくなってきた。11月に入っても毎日のようにショーに出かけている。11月1日は〈ミュージック・ホール〉にSBTRKTを見に行ったらソールドアウトで入ることができず、隣の〈パブリック・アセンブリー〉でやっていた映画の上映会に行くとサイキック・イルズ、エンドレス・ブギーのショーをやっていた。
 サイキック・イルズ......何年やっていても、相変わらずドローンでサイケデリックで、ベースのリズはかわいくて......と印象は変わらない。エンドレス・ブギーはちょっと時代を間違えたかなと思けれど、かなり上手い。ロングヘアのおじさんたちがいまだにサイケデリック、ロックンロールを現役でやっている。さらにその晩のショーに一緒に行った友だち(アメリカ人男子、Cとしておこう)は〈ウエブスター・ホール〉にバトルスとにせんねんもんだいを見に行ったのだが、「日本の女の子のバンド、かなり良かった!」と興奮して話してくれた。今日もまた別の場所であるのでショーが終わったら行こうかと、話した。

 今日のショーは元キラメキ青春エモ・ポップ・バンド、レイナー・マリアの紅一点、キャスリン・ディ・マライス。場所は〈ユニオンホール〉。
 私がレイナー・マリアを見たのは1998~99年あたりだろうか、たぶんミネアポリスの学校かどこかの講堂だったと思う。誰かについて行ったらそこでバンドがプレイしていた。ウィスコンシン州のマディソン出身。マディソンと言えば、¥私のなかでは、〈ポリヴァイナル〉――レイナー・マリアをリリースしていたレコード・レーベル。現在はオブ・モントリオール、アソビ・セクス、オーウェンなどを出している――なのだが、マディソンといえばその頃、エモ・ロックがブームになっていて、ジョン・オブ・アークやペレ、サンディズ・ベストなどが出てきた都市だと記憶されている。
 その講堂でみたレイナー・マリアはとってもあどけない、学生バンドという印象だったが、キャスリン(ヴォーカル、ベース)の容姿淡麗、清潔感漂う雰囲気とカイル(ギター・ヴォーカル)のおちゃらけキャラ、どこまでもプレイヤーなステージ・パフォーマンスが見ていてとても楽しく、そのふたりを後ろであたたかく構えるビル(ドラム)という編成のこのバンドにとても高感度が湧いた。ショーのあと、ほとんど誰もいなかったので世間話をして、それがきっかけで仲良くなり、私がやっていた〈コンタクト・レコーズ〉のコンピレーションの参加してもらったこともあった。その後、彼らも私もブルックリンに引っ越した。ブルックリンといっても彼らが住んでいるのは、パークスロープ周辺(東京でいう吉祥寺、三鷹?)、私はウィリアムスバーグ(東京でいう下北沢?)なので偶然会うこともなかった。

 レイナー・マリアは2006年に終結し、メンバーはそれぞれ新しいバンドをはじめ、ドラムのビルは、2006あたりにプロサイクスというバンドをやっていて(マタドールからレコードがリリースされている)、私がよくいくマイティ・ロボット/シークレット・プロジェクト・ロボット(今月11月より正式にブシュウィックに引っ越した)周辺でよくプレイしていた。ビルとはそこで会うと、「以前、レイナー・マリアをやっていたよね」など話しをよくしていたが、キャスリンとカイルには会わなかった。聞くと、そのあいだに彼らは自分たちのレコード・レーベル、〈エンド・アップ・レコーズ〉を立ち上げ、自分たちや友だちのバンドを音源をリリースしている。さらに、キャスリンはママになり、ヨガの先生になっていた。

 レイナー・マリア解散以来、自分のなかでは過去のバンドになっていたし、他のバンドの気を取られて忘れていたので、今回またキャスリンを見るのは特別な気分だった。

 というのも、会場の〈ユニオン・ホール〉に来たのは、ニューヨークに10年住んでいるが実は初めてのことだ。パークスロープはウィリアムスバーグにいると、なかなか行かないエリアなのだ。だいたいツアー・バンドはパーク・スロープでショーをするとウィリアムスバーグ、もしくはブシュウィックでもう一本ショーをするし、シングルが多いウィリアムスバーグにくらべてカップルや家族が住む高級エリアなのだ。

 一歩会場にはいると、雰囲気がとてもファミリー的で、安全、優しい感じがする。ウィリアムバーグのように汚かったり、荒んでいたり、パンク色だったり、危険な要素がまったくない。入ると右側にバーがあり、そのうしろにはゆったりしたソファーとテーブルがカフェっぽく置いてある。なんならその後ろには、図書館のように本の棚がずらっと並んで、静かにコーヒーを飲みながら読書している人もいる。ベレー帽率高し......だ。えっと、ここライヴ会場ですよね? さらにバーにある飲み物はシックス・ポイントなどのファンシー系ビール($6~)やリカー系。ウィリアムスバーグやイーストヴィレッジなどのチープなバーに置いているような、カンのPBR($2~)はない。でもここのビールおいしい。Cはビールのあてにコーンドッグを注文していたけれど、納得できる。奥には、左にボッセ(Bocce)と言うゲームのレーンがふたつあって、みんな一生懸命プレイしている。ビリヤード、ボウリング、サッカーの中間ぐらいのゲーム(https://en.wikipedia.org/wiki/Bocce)。ここはこれで有名らしい。
 右にはバックヤードに続くドアがあり、寒くてみていないが、煙草も吸えるらしい。やっと地下の会場にたどり着いた。知らなかったら普通にバーとして使っていそうな場所だ。上が居心地良いので、油断していると見たいバンドを見逃してしまいそうだ(現にCは前のバンドを見逃していた。知り合いだったというのに......)。
 下は適度な水曜日の夜の空気が流れていた。混んではないが、適度な入りだ。キャスリンも友だちと談笑したり、うろうろしている。ドアにいたのが、かわいらしい知的な女の子だったのだが、Cが彼女が集めたお金(チケット代)を堂々と開けっ放しにしているのを見て、「ダメだよ、レジを開けっぱなしにしちゃ!」とあわてて注意していたのが面白かった。Cはよくフリーマーケットで物を売っているので、その辺にはとても敏感なのだ。女の子はきょとんとしていた。だってそこは安全なところなんだからね。
 今日のバンドは、ギターのジョシュ、ドラム(名前がわからない)とキャスリンの3人体制。リリース・パーティなので、ニュー・アルバムからの曲がほとんど(セットリスト参照)。11月8日に「マジックシティ」に続くソロ第二弾、「レッド・コーツ」が発売される。彼女いわく、全て自分で手作業で作ったらしい。 https://endup.org/artists/caithlindemarrais/

 彼女の声はとても深く、どこか悲しげで、訴えかける力、雰囲気がある。楽曲のせいかと思ったが、彼女が歌うとどの曲もそうなってしまうのかもしれない。レイナー・マリア時代から彼女の声は印象的だったが、子供を産んでか、声により深みがましたように思える。先生に向いているなとか(実際ヨガの先生らしいです)、悲しい経験がたくさんあったのかななど、雰囲気がどこから来ているのか......、考えを巡らせたが、結局これが彼女のキャラクターなのだろう。
 この日は彼女のお母さん出身でもあるニュージャージーから古い友だちが来ていたらしいが、"City Girl"を歌う前に、"シティ・ガール"と"ジャージー・ガール"を少し皮肉っていた所が面白かった。シティ(=ニューヨーク)とジャージー(=ニュージャージー)には、東京と大阪みたいな変な対立感覚があるのだ。

 2曲目の"Bird"にはヴィデオもあって、むかし何度みても映画みたいに思ったが、今日のショーも全体的に、スローモーションで映画を見ているようだった。3人がときどき顔を合わせて、にこっと笑って合図したり、グルーヴ感、言葉にできないつながりがあった。さらには共演のイエローバード(Cが見逃したバンドね)のサムとアニーがゲスト登場して、1曲を披露。決してきらびやかなショーではないし、テクニックを披露するわけでもない。自分の歌を忠実に表現するのみで、そしてそれだけでお客さんを惹き付けるのはすばらしいことだと思う。来ているお客さんは友だちばかりだったかもしれないけれど、彼女が好きでサポートしたいという気持ちが見えた。女性客が多かった。終わったあとには良い映画を見終わったような心地よい充実感があった。
 話しかると彼女もびっくり、「久しぶり!」と。相変わらず容姿端麗、美しい。誠実そうで一本気、そんな彼女の人間性にみんなが微笑んでいるのだろう。

vol.16 : メルト・バナナ in NY! - ele-king

 アメリカで活躍する日本のバンドというと、メルト・バナナ、ボアダムス、少年ナイフ、アシッド・マザー・テンプル、灰野敬二、最近では、ボリス......今日は、1993年に結成され、10月29日の土曜日、 今年で、18年目を迎えるメルト・バナナのライブを見にいった。今回は、10月1日から11月29日まで、休みはほとんどなしの、2ヶ月間の怒濤なるツアーだという。オレゴン州から入り、ミッドウエスト、カナダ、東海岸、南部を通り、そして西海岸に入るという経路である。ニューヨークは、ツアーのちょうど中間あたりで、〈サントス・パーティ・ハウス〉というマンハッタンのダウンダウンにある、Andrew WKが経営する会場でおこなわれた。ちなみに共演は、Tera Melos、Unstoppable Death Machines。早めに着いたつもりが、「次がメルト・バナナだよ」と言われる。まだ9時だというのに。

 客層は男の子中心で、革ジャン、パンク系が目立ち、ガタイはでかい。ハロウィン・コスチュームな人もいた。CMJのハイライト・ショーに行ったような人は見られない......。
その日のニューヨークでは大雪が降った。10月にしては珍しい、というか私が記憶している限りでは初。サンクス・ギビング・デー辺りを目安に大雪が降るのはよく覚えているが、ハロウィン辺りというのはここ10年記憶にない。異常気象。
それでも、いい感じにお客さんは入っていた。ほとんどどが昔からのコアなファンなのだろう。曲がはじまるごとに、「オーーーー」といううなり声。ちょっと怖かったが、このバンドに対する期待感の大きさだ。 電撃的なキンキン、バリバリ、ヒリヒリしたパンク・ノイズ・サウンド......という表現が適切なのか、とにかく、絶妙なテンポで、曲をどんどん展開していく。ベースは女の子、ドラムは男の子。そしてギターのAgataさん、ヴォーカルのやこさんの4人編成。やこさんは、トレードマークのショートヘア、白の長袖トップにジーンズ、底の高いラバースニーカー。中間にはショート・ソング(たぶん1曲5秒、10秒とか)を8曲連続で披露。野郎の声援にまた力が入る。
セットにヴァラエティがあって楽しいし、それに対応できるヴォーカル力はさすがだ。キャリアの長さを感じさせる貫禄ある演奏で、とくに今回のメンバーのバンド・サウンドはスキがなく、怒涛のように演奏し、曲が終わるたびに、思わず拍手した。
やこさんの拙い英語がある種のヴァーチャル感をだすのか、あのアニメ声で「マーチ(物販)があるよ」などと言われるともう大変。ショーが終わったあとは、階段にながーい行列ができていた(なぜか今日はマーチ・テーブルが階段のいちばん上にあった)。しかもその列はまったく動く様子なし。たぶんひとりひとりと話しているので長くなるのだろう。こんな行列は,少年ナイフのジャパン・ソサエティのショー以来かもしれない。
先述した海外で活躍する日本のバンドは、いちど地位を得たらファンは根強く、ずっと付いて来てくれる。もっともこの傾向は10年選手バンドばかりで(私が知る限り)、残念ながら最近のバンドには見られない。イコール、若い子にそこまで音楽やバンドに対して情熱がないのか、そこまで夢中にサポートしたいバンドに出会ってないのか、単に見逃しているのか、最近のバンドがよくないのか......時代が違うといえばそれまでだけど、ライヴの醍醐味はいつもレコードで聴いているアーティストが目の前でプレイしていて、直接話しが出来る。そのリアリティにある。そうしたライヴの熱さも、今日のマーチに並ぶファンの図を見るとまだまだ捨てたものではないと少し感動した。この感覚を次世代につなぐことができたらもっといいのにね。

 実際、最近まわりで人気のあるバンドは、まるっきり新しいことをやっているわけでなく(私が知っているまわりのバンド限定ですいません)、最近見たダム・ダム・ガールズしかり、ターミナル5(!)でのショーが決まったガールズしかり、彼らは古い歌がどれだけ良くて、自分たちが影響を受けて、この曲が存在していることを意識している。いいと思うものを自分が思った通りに表現できるのは素晴らしいことで、それが実際受け入れられている。いまは情報が氾濫していて、どれが本当でどれを信じるべきでさらに自分が何が好きかを惑わせるツールがたくさんある。便利なようで、それがことをややこしくしている。

 とまれ。今日、ライヴを見て思ったことは、長く続けられるインディ・バンドには根強いファンがいて、実際、彼らをがっかりさせないライヴを毎回やっている。前回、私が見たとき(たぶん自分が企画した2002年のライトニング・ボルトのジャパン・ツアーでの共演時)と勢い、見た目もまったく変わっていない。さらに18年やっているのだけど色はまったく褪せていない。でもそれがファンの期待を裏切らない......ということなんだろう。素晴らしいことだと思う。今日の時点で、後(ツアーは)40本残ってると、MCで言った。18年間、こんな感じでずっとやっている。繰り返すけど、まわりの大きな男の子たちが「オーーーー」と唸っているのをみると、元気付けられる。夢中になれるものがあるということは、ホントにいいことだと思った。

 外は大雪だったが〈サントス・パーティ・ハウス〉は熱気に包まれていた。ショーは終わったけど、ひと息つきたくてドリンクを頼もうとしたら、バーテンダーが先ほどの穏やかな可愛い女の子からゲイのふたりに変わっていた。しかも水着とレオタード! そして、気が付いたら「外に出ろ」と警備員のおじさんに追いやられていた。外に出ると、ずらーっと、また行列(......雪降ってます)。しかも牛や鹿の着ぐるみ、ティンカーベル、魔女、ゾンビ......変なコスチューム。なるほど、ハロウィン・パーティがこのあと開催されるのかー。土曜日の夜、ハロウィン・ウイークエンド、当然当然。パーティー・ハウスですから。

interview with Photodisco - ele-king


Photodisco
言葉の泡

P-Vine

Review Amazon

(フォトディスコとは誰なのかというと、普通の青年である。それはウォッシュト・アウトが普通の青年であるということと変わらない......)。
ついにフォトディスコの公式版デビュー・アルバムがリリースされる。タイトルは『言葉の泡』。年初にいち部の専門店で委託販売され、まったくの無名ながら短期間に異例の枚数を売り切った自主盤『フォトディスコ』から5曲を再ミックスして残し、新録5曲を加えた内容だが、結果的に自主盤からは大きく表情を変えることとなった。筆者は以前「チルウェイヴ」としてフォトディスコを紹介し、レヴューや今作ライナーノーツでも彼らが携える時代的な意味や成果についてマクロな考察を加えている。だが今作後半の数曲は、より狭義のチルウェイヴ――要はウォッシュト・アウトやトロ・イ・モワやネオン・インディアンらが体現する音だ――を意識していることがはっきりとうかがわれるだろう。"ミッドナイト"、"アイ"、"サケ"、"イエス"などローファイでリヴァービーなシンセ・ウェイヴの一連は、トレンドとしてのチルウェイヴと向き合ったトラック群だ。そしてフォトディスコ一流の叙情性が、このムーヴメントの勢いに埋没しない、とてもオリジナルなテクスチャーを生み出している。広義にチルウェイヴであった彼が狭義のチルウェイヴを目指したのはなぜか。インタヴュー中、フォトディスコは「気持ちいい」ということに繰り返し言及している。それはディスコ的な「快楽」ではなく「快適」のニュアンスに近い。「快適さ」を目標に設定する彼が、その最適解としてチルウェイヴを選んだことはおもしろい。時代のなせる業とも言えるだろう。インターネットによってベッドルームが世界に直結するこの時代、多くのベッドルーム・ポッパーたちが自らの部屋と世界との臨界点に、その摩擦を軽減し、快適さを保つため、緩衝材のようにめぐらせた音がまさにチルウェイヴであるから......。

ではフォトディスコの応答に耳をかたむけてみよう。言葉では多くを語らない人柄であるが、以下には飾らず涼やかな、そしてどこか頑固なアーティスト像がたちあがっている。今作について付言すれば、表題曲や"盆踊り"といったエレクトロ・アコースティックな曲が、一般に単調になりがちなチルウェイヴ作品に物語と陰影を与えていることに気づく。地域性の揚棄がチルウェイヴの特徴ではあるが、フォトディスコの音楽に非常に日本的な展開が示されていることも重要だ。ぜひともこの風土に眠る才能たち、そして日本の多くのベッドルームを揺さぶる存在になってもらいたい。

僕、チルウェイヴって何のことか知らなくて。『フォトディスコ』(自主盤)をつくったときにネットとかで「チルウェイヴ」って言われて、それから聴きはじめたんです。

自主盤の方が完全に廃盤になったということで、どうですか。

フォトディスコ:本当にうれしい限りです。廃盤になるって、まったく思いませんでしたから。400枚作ったので、それを買ってくれた400名の方々と、僕の音楽をプッシュして下さった販売店の方々に感謝しております。

公式1STとともに自主盤を生かしておく選択肢もあったと思うんですが?

フォトディスコ:いえ、まったく考えなかったですね。

ははは。どうしてですか?

フォトディスコ:ええと......出していただけるレーベルが決まったときにはもうどんどん新しい曲ができあがってたんです。それで、CD-R(自主盤)の方を買ってくれた人に、その新しい曲を聴いてほしいなって思って。せっかく全国流通になるから、CD-Rのなかからさらにいいものを選んで、新しいものも加えたいなと思いました。

では、自主盤の方にとくにアルバムとしての崩したくないコンセプトがあったというわけではないんですね。

フォトディスコ:そうですね。CDRの容量700MB、限界まで曲を詰め込んだアルバムです。曲順は、全体通しで聴いて気持ちのよい曲順に心掛けました。

自主盤から外したものに基準はありますか?

フォトディスコ:僕、チルウェイヴって何のことか知らなくて。『フォトディスコ』(自主盤)をつくったときにネットとかで「チルウェイヴ」って言われて、それから聴きはじめたんです。

そうなんですよねー。

フォトディスコ:それで、なんとなくわかったので、じゃあ僕のこの自主盤の中でいちばんチルウェイヴなものはなんだろうって考えて5曲選びました。

私の個人的な感覚だと、よりアコースティックで、よりJポップ的な情緒のあるものが選ばれてるのかなと思ったんですが。でも、わりとはっきりチルウェイヴということを意識したと。

フォトディスコ:意識しましたね。

やっぱりいま意識せざるを得ないところではありますよね。何から聴きました?

フォトディスコ:トロ・イ・モワです。

ああそうなんですか。ウォッシュト・アウトからじゃないんですね。トロ・イ・モワの何ですか?

フォトディスコ:ファーストですね。緑のやつです。

聴いてどうでした?

フォトディスコ:聴いたことのない音楽だなって思いました。

はは! シンプルな感想ですね。チルウェイヴって、認識としては「シンセ・ポップのリヴァイヴァルの一形態だ」というのが一般的かなと思いますが......新しかったですか。

フォトディスコ:新しかったです。

はは! 私もそう思います。

フォトディスコ:でも、コンプレッサーをいじればできるな、と思いました。

自分にもできるな、ってですか(笑)。

フォトディスコ:はい。

テクニカルな話だと、要はどういうことになるんですか、チルウェイヴって。私いろんなこと書いてますけど、技術的にどうだっていうことは作る側の人間ではないので詳しくわからないんです。こうしたらチルウェイヴになるぜっていう調理法があるわけですか?

フォトディスコ:あります。

企業秘密ですか?

フォトディスコ:いや、秘密じゃなくてみんな知ってると思います。ちょっと宅録とかやる人でしたら。

ははあ。

フォトディスコ:僕は感覚でコンプレッサーかけてるんで、あまり専門的なことは言えないのですが、要は、音を押しつぶせばいいんですよ。過剰に。そしたら、音圧出ますが、不自然な感じになります。

タームが出てくるとなんとなくしか理解できないんですが、素朴に音のことだけを考えると、わりと誰にでも作れるものだってことですね。

フォトディスコ:はい。そう思います。

もちろん、いま現在はチルウェイヴといってもすごく裾野が広がっていて、スタイルも方法も様々ではあるんですが、ローファイで、もこもこして、リヴァービーで......っていうあたりは基本要素かなとは思います。

フォトディスコ:そうですね。僕は一夜漬けで勉強しました。

あはは、末恐ろしい。機材的にはどうなんですか?このトピックで引っぱって恐縮なんですが、やっぱりチルウェイヴってことで、そんなにスゴイものは使ってないってシナリオにしたいんですが(笑)。

フォトディスコ:それはもうほんとに、大したことないですね。『サンレコ』(『サウンド&レコーディング・マガジン』)とかだと、ミュージシャンの人がほんとにいい機材ばっか使ってるじゃないですか。ヴィンテージの。こんな機材......いいなあ! って思うんですけど、やっぱり自分にはお金もないですし。いまの環境で作るしかないですね。もしいま『サンレコ』の取材を受けて部屋見せたら、絶句されると思います......。PCもポンコツで、作ってる最中に何回も落ちるし。でも、いまの機材で満足してますね。

やっぱりそうなんですか。お金があったら増強したい設備って何系のものです?

フォトディスコ:ヴィンテージのコンプレッサーとか......

野田:ははは! やっぱりそこ行くかっていう。でも、最先端の音楽を開拓してる子たちの多くは持たざる者だからね。グライムなんてサンプリング・ソースがユーチューブだったり、プレステだからね!

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自分にはお金もないですし。いまの環境で作るしかないですね。もしいま『サンレコ』の取材を受けて部屋見せたら、絶句されると思います......。PCもポンコツで、作ってる最中に何回も落ちるし。でも、いまの機材で満足してますね。

ユーチューブって持たざる極みですね。では、フォトディスコはガレバンの魔術師、ということで! フォトディスコとしての活動についてお訊きしますが、ほんとにいち度もライヴをすることもなく......

フォトディスコ:はい。

露出というか、楽曲を発表する場はマイスペのみということになりますか?

フォトディスコ:はい。

とくに日本だとライヴの有無がそのアーティストの知名度に決定的に関わるように見えるんですが、日本のシーンはわりとどうでもよくて、はじめから世界が視野に入っていたとか......?

フォトディスコ:まったくそれはないですね。

野田:ははは!

(笑)愚問でしたか。いや、世界のほうが日本より上、という意味ではなくて、日本の主たる音楽シーン――それはメジャー/インディを問わずですけど――に対して疎外感があるのかなと。

フォトディスコ:うーん......

野田:ははは!

すみません。ちょっと私すべってますね。ええと、あんまりそんなことには頓着していないんですね。

フォトディスコ:僕は......とにかく休みのたびにどんどん音ができるんで、それをどんどんマイスペにアップしていたというだけです。

とくに多くの人に聴いてもらいたいというようなつもりもなく?

フォトディスコ:そうですね。とりあえず(作った音源が)たまってたまって。

じゃあマイスペがなかったら、ただ作ってるだけの人ですね。

フォトディスコ:(笑)そうですね。ただ作ってるだけの人ですね。

でも、その休みのたびに曲を作ってたっていうモチベーションはなんなんでしょう。いつか何かになるという確信みたいなものがあったとかですか?

フォトディスコ:うーん......作るのが大好きで。

何曲ぐらいになってるんですか?

フォトディスコ:ハードディスクを調べたら......100曲とかはふつうに超えてると思います。

音楽はいつぐらいから作りはじめたんでしょう?

フォトディスコ:それはもう高校時代ですね。友だちとバンドみたいなことをやってて......思い出作りにMTRを買って。ヤマハのMT400っていう、いちばん安いやつなんですけど。

どんなバンドですか? そのころはどんなアーティストが好きだったんですか?

フォトディスコ:スーパーカーとか。90年代というのが僕にとってすごく素晴らしい音楽の時代だったので......かっこいいバンドは全部コピーしました。

そのかっこよさというのは何ですか?

フォトディスコ:飾り気のなさというか、媚ない感じですかね。あと、アルバムごとに違う表情をみせるふところの広さですかね。

スーパーカーが好きなのは何でですか?

フォトディスコ:僕はデビュー作から聴いてるんですけど、高校の頃、実家がスペース・シャワーTV入ってたんで、それで......"クリーム・ソーダ"が流れた瞬間、「うわ、すげえ、なんだこれ」って。こんなバンドが日本にいて、メジャーでデビューできるんだって思いました。

デビュー曲ですね。

フォトディスコ:はい、デビュー曲で。あとは"プラネット"とかオアシスみたいだなって。日本とか関係ない感じでかっこよかった。高校くらいから20代前半は僕がいちばん音楽を聴いてたときです。ペイヴメントとかいわゆるUSインディからエモとかもすごく好きだったし、洋楽とか邦楽とかなくて、僕だけじゃなくみんな全部並列で聴けてたときだと思います。

ああ、本当に音楽が輝かしい時代だったんだというイメージがあります。

フォトディスコ:HMVのホームページははやくから「これを買った人はこれも買っています」というやつがあって、しらみつぶしに見てました。

では、ウォッシュト・アウトとかとやっぱり似ていますね。彼もヨ・ラ・テンゴとかが好きで、とくにテクノやエレクトロニック・ミュージックとか、ダンス音楽で育った人ではない。インプットがUSインディとかハード・ロックとかふつうのチャート音楽で、それがベッドルームを通って、アウトプットがシンセ・ポップとかエレクトロニックになるんです。

フォトディスコ:まあ、僕も就職失敗してるんで。

ははは。たしかにそこもウォッシュト・アウトと同じかもしれないですけど、なんでシンセとかになっちゃうんですかね?

フォトディスコ:うーん、なんでですかね。実際はギターの音を加工してる部分も多いんですけどね。

野田:90年代までラップトップ・ミュージックを率先してやってきた人たちっていうのは、クラブ・カルチャー寄りの人たちだったんですよね。それがこの10年で、インディ・ロックをやってた人たちにまで波及したんだなと実感しますね。

それは本当にそう思いますね。時代が時代ならずっとバンド組んでやってただろう人が、環境が整ってラップトップの方に流れ込んだ......。いまのフォトディスコのひな形になるような音はいつ生まれたんですか?

フォトディスコ:高校の後、映像系の学校に入ったので、そこで、何か映像と合う音が作れないかなと思ったときですかね。

映像というのは大きいコンセプトだったんですね。フォトディスコってそういうことですか?

フォトディスコ:いや、雰囲気です。単語を足していったら、響きがいいな~と思って。

映像の道には進まなかったんですね。

フォトディスコ:就職失敗して、田舎に帰って(笑)。

野田:田舎帰ったんだ(笑)。

フォトディスコ:はい。それからバイトしてお金貯めて、上京してきました。

(笑)お金貯めてわざわざ上京したってことは、それなりに野心があったってことですよね。音楽以外の目的ですか?

フォトディスコ:いや、ミュージシャンになるために。

ははは。そのわりにぜんぜんガツガツしてないじゃないですか! マイスペに音源アップするだけって(笑)。

野田:それが音にも出てるよねー。

フォトディスコ:なははは......(汗)。

誰に届いてほしいとか、誰が聴いているとか、リスナー像や顔が思い浮かびますか?

フォトディスコ:うーん......最初のリスナーは僕ですね。僕がよければ、その音はいいんです。

このへんの人たちに投げようとか、そういうのないですか?

フォトディスコ:やっぱり、作っているときは単純に楽しくて、あんまりそういうことは考えられないですね。

そうですか。私自身は書くことがけっこう苦痛なタイプで、どうやって誰に伝えたらいいんだろうということばかり考えているので......

フォトディスコ:それはだめですよ。楽しんで書かないと、人に伝わりませんよ。

ああ、そうですかね......そうですね......

野田:俺なんて、20歳になるまでは日記ばっかり書いてたけどね。

ええっ。

野田:ノートに。日記の場合はブログと違って人には読まれないことを前提で書くけどね。

ほんとそういう芯から作り手な人には、羨望がありますよ。では、今回の公式デビュー作となる『言葉の泡』についてですが、これはレーベルもついてミックス等も他の人間が関与するというところで前回とはまた異なった達成感があったのではないかと思うのですが。

フォトディスコ:いえ、まったく同じですね。

野田:はははは!

フォトディスコ:チルウェイヴっていうのはこういうものかっていう勉強があって、それを好きに使って楽しんだというのが今回のアルバムです。

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そうですね。ただ作ってるだけの人ですね。作るのが大好きで。ハードディスクを調べたら......100曲とかはふつうに超えてると思います。


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言葉の泡

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制作過程として、前回とはいろいろ異なる部分があったんじゃないですか?

フォトディスコ:はい。ミックスやマスタリングの方もいますし、全然音が変わりました。この前出したやつはもろ宅録なんで、音圧がほんとしょぼくて。基本的には自分の音楽はヘッドホンで聴く音楽だと思うんですが、スピーカーで出したときにやっぱりすごく差が出てしまうので気になってたんです。今回エンジニアの方とやらせてもらって、そのへんをいじってもらったことで、市販されているような、ほんと基準の音圧や音量を手にした感じなんで、けっこうテンション上がりましたね。

エンジニアの方とのやりとりのなかで、心に残ったことはありますか?よくミックスも解釈だっていいますが。

フォトディスコ:やっぱりミキシングとかは、多少他の人が絡むことで自分が思っていたのと違う音になっちゃって、はじめはそれがすごく嫌だったんです。でも予算内でけっこう時間をかけて直しながら聴いているうちに、ああ、こういうのもアリかなって思えるようになって、自分のなかにないものが許せるようになりました。だから、今回のももちろん自分の作品ですが、自分にないものも入ってます。自分ひとりではできないものにもなってると思います。

野田:僕も訊きたいことがあるんですが、"言葉の泡"ってどういうことですか? どこからきたの? "盆踊り"とかさ、"サケ"とか、どういうところからそんなタイトルが浮かんだのかなって。

フォトディスコ:言葉の泡ですか......うーん、何ですかね......(笑)。やっぱり、言葉っていうのは......普段、いろいろな言葉を話すじゃないですか。それが、消えていく感じがするんですよね......。

文字通り、消えていく感じがするってことですか?

野田:意味というより音声として?

フォトディスコ:そうですね、なんか.....1日に話す言葉っていっぱいあって......それが聴覚的に泡のようにきこえるっていう感じです。

"言葉の泡"がいちばんいい曲ですか?

フォトディスコ:作ったときはそうでもなかったんですけど、いろんな人がいいって言ってくれて......僕は"盆踊り"がいちばんいい曲だと思います。

野田:僕も同感です。

ああ。"盆踊り"はどういうふうにできたんですか?

フォトディスコ:あれは、バイトやめたときに、次の仕事見つけるまでちょっと休もうと思って田舎帰ったことがあったんです。ちょうどそれが夏の終わり頃で、写真が好きなんで実家で写真とか撮ったりしてたら曲が作りたくなったんです。アコギでやりたいなってその時は思いました。

アコースティックな曲に漢字のタイトルがついてるように見えますが?

フォトディスコ:そうですね。

え? あ、そうなんですか?......いや、なんか、英語のタイトルのものと日本語のタイトルのもので何か使い分けがあるのかなって思って。

フォトディスコ:ああ、それはありますね。たぶん僕が日本語のタイトルをつける曲は、気持ちがめちゃくちゃこもってますね。

ははは!

野田:じゃ"サケ"(表記は"SAKE")は?

ははっ。中間ですか?

フォトディスコ:中間ですね(笑)。マーティン・デニーの"サケロック"みたいな雰囲気の曲を作ろうと思って作りました。あとはジャッキー・チェンの酔拳のイメージもありましたね。ちなみに、ほんとに酒飲みながら作ってました。

ほんとに酒なんだ(笑)

野田:エレクトロニック・ミュージックって酒飲みながらでも作れるところがいいよね! ところで曲を作るときっていうのは、どういう感情に動かされるの? フォトディスコってなんか......むやみに力んでないっていうか。

フォトディスコ:そうですね......まず、作りたいという感情と、僕も第三者にとっても気持ちのいい音にしたいっていう目的で作っています。

何にこだわりますか? とくに大事にすることとか。

フォトディスコ:とりあえず中域を出すことです。

それは......気持ちがいいから?

フォトディスコ:......まろやかになります。

ははは! まろやかが目的ですか。

フォトディスコ:外歩いてて聴こえてくる音って、いまはすごくキンキンしてますから。聴いててずっと聴ける音楽って、まろやかなものだと思うんです。

ああ、ずっと聴ける音楽っていうのが大事なんですね。とくに新しく入った曲には、アコギではなしに、チルウェイヴ的な方法で「まろやかさ」が演出されているのかなと思います。新しい曲群ではどれが好きですか?

フォトディスコ:それは"ミッドナイト"ですね。

ああ、そうですか! "ミッドナイト"いいですね!どうしてですか?

フォトディスコ:気持ちいいからです。

野田:ははは!

気持ちいいから、っていうのはもう哲学なんですね。

フォトディスコ:気持ちいいのはすごく大事ですね。いちばんです。

野田:『エレキング』のシンセ・ポップの特集でチャートを挙げてもらったときに、「いまのシンセ・ポップにロックを感じる」って書いてあったでしょう? フォトディスコにとってロックっていうのはどういうものなんですか?

フォトディスコ:それは......新しいものを作っていくってことですね。リヴァイヴァルだって言うけど、僕はトロ・イ・モワとか聴いたとき、ほんとに聴いたことないものだって思いました。あとは、ガチガチに決めないっていうことですかね。ヨレがある方が人間味が出るというか、新しいものに柔軟でいられる......

ではフォトディスコの次の音、ということでお訊きしますが、たとえばもっとしっかりとヴォーカルの入った歌ものとかは作ったりしないんですか?

フォトディスコ:歌ものは......僕、歌に自信がなくて。作ったことはあるんですけどね。

自分は歌では音以上に人を気持ちよくさせられない、とか感じてたりするんですか?がちっとした日本語詞の曲がないですが、音ではなく詞や言葉で表現したいことってあまりない......?

フォトディスコ:日本語だとほとんど音に乗らなくて。曲の雰囲気を崩さずにやるのは難しいですね。

やっぱり音ありきですよね。もし無理矢理先に詞だけ作れってことになったら、何か書けますか?その......詞や詩というものを言葉で生む人なのかどうかっていう疑問なんですけど。

フォトディスコ:いや、作れなさそうですね。やってみたこともなくて......。

もし、がっちり言葉で曲を作れってなったら、何をテーマにします?

フォトディスコ:うーん......年金問題とかですかね......

(笑)チルウェイヴで年金問題ですか。

フォトディスコ:でも、やるなら日本語ではやりたいと思います。

今回DJユニットのメタンによる"言葉の泡"リミックスが収録されてますね。すごくゴーストリーな音像で、あの曲をリミックスしたらこうなるか?っていう、とてもユニークなものに仕上がってますけど、あれは「言葉の泡」というより「言葉の霊」って感じで、歌ものとは別の形で言葉を強調したものになっていると思いました。

フォトディスコ:聴いていて、気持ちの良いリミックスです。今回、リミックスを初めてやってもらったんですが、自分の曲が違う曲になって面白かったです。

ウォッシュト・アウトもネオン・インディアンもトロ・イ・モワもメモリー・テープスも今年セカンド・アルバムを出しましたよね。4様の道を進んでいますけど、フォトディスコの音楽には今作ではまだ出きっていない隠れた芽がいくつもありそうですので、飛躍のセカンドも楽しみに待ちたいと思います。

Photodisco - ele-king

 チルウェイヴ、ポスト・ロック、ネオアコ、エレクトロ、シューゲイザーとJ-POP......そういったものがフォトディスコの音楽には混在している。今年の初めにリリースされ、渋谷の某レコード店でベストセラーになったというCDR作を経ての本作『言葉の泡』は、公式では最初のアルバムとなる。日本のポップ史学的な見地から言えば、これは思春期をスーパーカーとともに過ごした世代による最良のベッドルーム・ポップ集のひとつで、UMA UMAの胸がすくような叙情性、エレクトロの下世話さ、そして中村弘二の物静かな幻覚との奇妙な融合と喩えられるだろう。
 アルバムにおいてもっとも印象的な曲のひとつに"盆踊り"という曲がある。ビートはゆっくりと時間を刻み、音数少ないメロウなギターの反復には"間(沈黙)"がある。その"間"にはフィールド・レコーディングによる虫の声がミックスされる。ここで聴ける叙情性、"盆踊り"が表すところは、とりあえず生きていると毎年この時期に感じてしまうあの切ない感覚だ。こうした生活のなかの陶酔感がフォトディスコの音楽の根幹にはある。それがたまたまアメリカのチルウェイヴの初期衝動と近かったという話で、スクリュー(サンプリング)を用いているわけではないし、音楽の方法論としてはまた別物だ。が、フォトディスコは現代のベッドルーム・ポップ・ムーヴメントにおける日本からのアクションのひとつではある。タイトル曲の"言葉の泡"は切ないラヴ・ソングだが、言葉少なく、説明も情念もない。ネオアコのチルウェイヴ的展開とも言えるこの曲は、そして生活のなかの陶酔感を極限にまで引き延ばそうとする。これがフォトディスコの、いまのところの最高の魅力で、そしてその感性において彼の音楽のポップとしての高みがある。

 "フェイク・ショー"や"ゴースト"、あるいは"ミッドナイト"のようなメランコリーとディスコ・ビートを擁する曲、いわばチルウェイヴィな曲もある。ネオンライトのなかを4/4のキックドラムが脈打つ"トーキョー・ナイト"、ダフト・パンクがアンビエントをやったような"アイ"、メロウなギター・ポップをディスコに落とし込んだような"サケ"といった曲も面白い。ポリゴン・ウィンドウの『サーフィン・オン・サイン・ウェイヴ』からアシッド・ハウスを差し引いて、代わりにここ数年のシンセ・ポップ(トロ・イ・モワからウォッシュト・アウト、ジェームス・ブレイクなど)からの影響を注いだような感じというか......。
 もしこの『言葉の泡』を『サーフィン・オン・サイン・ウェイヴ』に喩えられるなら、"Quino-phec"の蜃気楼のようなアンビエントに相当するのは"言葉の泡"のメタン(DJメタルとタンゴによるユニット)によるヘリウム・ミックスだ。8分以上にもおよぼドローンはリスナーを恐ろしく虚無な眠りへと連れて行くだろう(そしてこのリミックスを聴けば、なぜメタルがもう原稿を書けないのか、読者はよく理解できるに違いない)。

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