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Random Access N.Y.

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vol.16 : メルト・バナナ in NY!

沢井陽子 Nov 01,2011 UP

 アメリカで活躍する日本のバンドというと、メルト・バナナ、ボアダムス、少年ナイフ、アシッド・マザー・テンプル、灰野敬二、最近では、ボリス......今日は、1993年に結成され、10月29日の土曜日、 今年で、18年目を迎えるメルト・バナナのライブを見にいった。今回は、10月1日から11月29日まで、休みはほとんどなしの、2ヶ月間の怒濤なるツアーだという。オレゴン州から入り、ミッドウエスト、カナダ、東海岸、南部を通り、そして西海岸に入るという経路である。ニューヨークは、ツアーのちょうど中間あたりで、〈サントス・パーティ・ハウス〉というマンハッタンのダウンダウンにある、Andrew WKが経営する会場でおこなわれた。ちなみに共演は、Tera Melos、Unstoppable Death Machines。早めに着いたつもりが、「次がメルト・バナナだよ」と言われる。まだ9時だというのに。

 客層は男の子中心で、革ジャン、パンク系が目立ち、ガタイはでかい。ハロウィン・コスチュームな人もいた。CMJのハイライト・ショーに行ったような人は見られない......。
その日のニューヨークでは大雪が降った。10月にしては珍しい、というか私が記憶している限りでは初。サンクス・ギビング・デー辺りを目安に大雪が降るのはよく覚えているが、ハロウィン辺りというのはここ10年記憶にない。異常気象。
それでも、いい感じにお客さんは入っていた。ほとんどどが昔からのコアなファンなのだろう。曲がはじまるごとに、「オーーーー」といううなり声。ちょっと怖かったが、このバンドに対する期待感の大きさだ。 電撃的なキンキン、バリバリ、ヒリヒリしたパンク・ノイズ・サウンド......という表現が適切なのか、とにかく、絶妙なテンポで、曲をどんどん展開していく。ベースは女の子、ドラムは男の子。そしてギターのAgataさん、ヴォーカルのやこさんの4人編成。やこさんは、トレードマークのショートヘア、白の長袖トップにジーンズ、底の高いラバースニーカー。中間にはショート・ソング(たぶん1曲5秒、10秒とか)を8曲連続で披露。野郎の声援にまた力が入る。
セットにヴァラエティがあって楽しいし、それに対応できるヴォーカル力はさすがだ。キャリアの長さを感じさせる貫禄ある演奏で、とくに今回のメンバーのバンド・サウンドはスキがなく、怒涛のように演奏し、曲が終わるたびに、思わず拍手した。
やこさんの拙い英語がある種のヴァーチャル感をだすのか、あのアニメ声で「マーチ(物販)があるよ」などと言われるともう大変。ショーが終わったあとは、階段にながーい行列ができていた(なぜか今日はマーチ・テーブルが階段のいちばん上にあった)。しかもその列はまったく動く様子なし。たぶんひとりひとりと話しているので長くなるのだろう。こんな行列は,少年ナイフのジャパン・ソサエティのショー以来かもしれない。
先述した海外で活躍する日本のバンドは、いちど地位を得たらファンは根強く、ずっと付いて来てくれる。もっともこの傾向は10年選手バンドばかりで(私が知る限り)、残念ながら最近のバンドには見られない。イコール、若い子にそこまで音楽やバンドに対して情熱がないのか、そこまで夢中にサポートしたいバンドに出会ってないのか、単に見逃しているのか、最近のバンドがよくないのか......時代が違うといえばそれまでだけど、ライヴの醍醐味はいつもレコードで聴いているアーティストが目の前でプレイしていて、直接話しが出来る。そのリアリティにある。そうしたライヴの熱さも、今日のマーチに並ぶファンの図を見るとまだまだ捨てたものではないと少し感動した。この感覚を次世代につなぐことができたらもっといいのにね。

 実際、最近まわりで人気のあるバンドは、まるっきり新しいことをやっているわけでなく(私が知っているまわりのバンド限定ですいません)、最近見たダム・ダム・ガールズしかり、ターミナル5(!)でのショーが決まったガールズしかり、彼らは古い歌がどれだけ良くて、自分たちが影響を受けて、この曲が存在していることを意識している。いいと思うものを自分が思った通りに表現できるのは素晴らしいことで、それが実際受け入れられている。いまは情報が氾濫していて、どれが本当でどれを信じるべきでさらに自分が何が好きかを惑わせるツールがたくさんある。便利なようで、それがことをややこしくしている。

 とまれ。今日、ライヴを見て思ったことは、長く続けられるインディ・バンドには根強いファンがいて、実際、彼らをがっかりさせないライヴを毎回やっている。前回、私が見たとき(たぶん自分が企画した2002年のライトニング・ボルトのジャパン・ツアーでの共演時)と勢い、見た目もまったく変わっていない。さらに18年やっているのだけど色はまったく褪せていない。でもそれがファンの期待を裏切らない......ということなんだろう。素晴らしいことだと思う。今日の時点で、後(ツアーは)40本残ってると、MCで言った。18年間、こんな感じでずっとやっている。繰り返すけど、まわりの大きな男の子たちが「オーーーー」と唸っているのをみると、元気付けられる。夢中になれるものがあるということは、ホントにいいことだと思った。

 外は大雪だったが〈サントス・パーティ・ハウス〉は熱気に包まれていた。ショーは終わったけど、ひと息つきたくてドリンクを頼もうとしたら、バーテンダーが先ほどの穏やかな可愛い女の子からゲイのふたりに変わっていた。しかも水着とレオタード! そして、気が付いたら「外に出ろ」と警備員のおじさんに追いやられていた。外に出ると、ずらーっと、また行列(......雪降ってます)。しかも牛や鹿の着ぐるみ、ティンカーベル、魔女、ゾンビ......変なコスチューム。なるほど、ハロウィン・パーティがこのあと開催されるのかー。土曜日の夜、ハロウィン・ウイークエンド、当然当然。パーティー・ハウスですから。

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Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

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