ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. R.I.P. Aretha Franklin (news)
  2. Mars89 ──たったいま聴こう。東京新世代のプロデューサー、Mars89が新作をリリース (news)
  3. Aïsha Devi - DNA Feelings (review)
  4. MUTE ──ミュート・レーベル、40周年の新プロジェクト“MUTE 4.0 (1978 > TOMORROW)”発動 (news)
  5. Merzbow + Hexa - Achromatic (review)
  6. Double Clapperz 最近のフェイバリット・トラック10選 (chart)
  7. Spiral Deluxe ──ジェフ・ミルズ率いるエレクトロニック・ジャズ・カルテットがデビュー・アルバムをリリース (news)
  8. Kelela ──新世代R&Bシンガー、ケレラがついにデビュー・アルバムをリリース (news)
  9. 菊とギロチン - (review)
  10. Fit Of Body - Black Box No Cops (review)
  11. interview with Dorian Concept 自分自身を模倣すること (interviews)
  12. Andy Stott ──アンディ・ストットが2年半ぶりに来日 (news)
  13. Khalab - Black Noise 2084 (review)
  14. Thundercat ──時代が悪くなると音楽は面白くなる……サンダーキャットの新作もすごい (news)
  15. interview with Eiko ishibashi 音をはこぶ列車/列車をはこぶ音 (interviews)
  16. New Sounds of Tokyo 東京でもっとも尖っている音楽をやっているのは誰だ? (interviews)
  17. Lotic - Power / Witch Prophet - The Golden Octave (review)
  18. ヒロインズ - ケイト・ザンブレノ 訳:西山敦子 (review)
  19. Aphex Twin ──エイフェックス・ツインが9月に新作「Collapse EP」をリリース (news)
  20. Brainfeeder ──〈ブレインフィーダー〉日本初のポップアップ・ショップが登場&フライング・ロータス監督映画作品が上映 (news)

Home >  Regulars >  Random Access N.Y. > vol.36:USでは、企業がインディを応援する

Random Access N.Y.

Random Access N.Y.

vol.36:USでは、企業がインディを応援する

沢井陽子 Jul 24,2012 UP

 「ハウス・オブ・ヴァンズ」というイヴェント・スペースがグリーンポイントにある。
去る7月21日、ウィリアムスバーグの、いちばん川側のフランクリン通りを北に歩いて行くとグリーンポイントになるのだが、そこに近づくにつれて、音が大きくなってくる。ヴァイタミン・ウォーターのトラックが停まっていたり、人が群がっていたり、一目瞭然。セキュリティを軽々通り抜けると、広い場所が目の前に広がる。手前にテーブルが並び、Tシャツやカスタム・ヴァンズが置いている。「これ売ってるの?」と尋ねると、すべてフリー。サイズを聞かれ、ハイ、とTシャツとヴァンズを手渡される。Tシャツは、今回のイヴェント「クラシック&ブルックリン」のロゴ入りで、ヴァンズはヤーヤーヤーズの衣装でもお馴染みのクリスチャン・ジョイのカスタムデザインだ。

隣のブースには女の子たちが群がっている。ヴァンズ・クラシックのデザインのネール・シート(ミンクス提供)がフリーで配られていて、女の子はせっせとネイルシートをつけている。4種類あって、同じ柄のオリジナルのヴァンズがガラス・ケースのなかに仰々しく飾られている。
その日の出演者、ウィドウスピークはすでに終わっていて、ダム・ダム・ガールズを見ようとステージに近づくと、後方には写真撮影場所があり、スケートボードが出来るエリアがある。もっと奥にいくと、アウトサイドエリアまである。そこにはフリー・ドリンク(ヴァイタミン・ウォーター他アルコールも)やフード・トラック(フィルズ・ステーキコム・シ・コム・サ)などがあり、小学校の運動場みたいに、ゆうに1000人は収容出できるスペースだった。
実は行くまでは、どうせぎゅうぎゅうに混んでいて、ライヴもろくに見れないんだろうと思っていたが、大きな間違いだった。さすが老舗のパーティ・ブランド!

 個人的な印象では、こういうイヴェントは、人が来すぎてドリンクも気軽に買えないし、ライヴも人が多くて、見れないことが多い。が、このイヴェントの良いところは、人が集中しないように、さまざまなアトラクションをスペースのあちらこちらに設置し、人がばらけるように仕向けているところ。もちろんこの広さが大きなポイントだが、ライヴ中でも、ネイルに夢中な女の子がたくさんいたし(たぶんボーイフレンドについてきて、バンドには興味がない)、外でハング・アウトしたり、スケー・ボード・エリアで気持ち良さそうに寝転んで、上からライヴを見ている輩もいて、それぞれの楽しみ方ができる、空間の作りがいいのだろう。そう言えば、コンヴァースはウィリアムスバーグに音楽スタジオを作り、ブルックリンの若手ミュージシャン、バンドのレコーディングをフリーで開放している。コンヴァースといえば大企業で、大企業といえば、たいていは人気スターや有名人のサポートを好むものだが、このようなかたちでまだ若い才能をサポートしていることは、正直、感心させられる。

 さて、久しぶりのダム・ダム・ガールズだったが、ディディが金髪になっていて、他の3人のメンバーも相変わらずブリブリに健在。みんな黒のコスチュームなのでディディの金髪がより際立っていた。新曲、古い曲をミックスしたセットで、MCは少ないが、ところどころで「今日は来ていないのだけど、これは私の旦那について書いた曲です」など、はっとするプライヴェートな言及があり(聞いたことがなかったので新曲?)、相変わらずの客に媚びないパフォーマンスであった。

 イヴェントは、ロスアンジェルスのアイ・アム・サウンドがプレゼンターで、ロスアンジェルス、ブルックリン、ポートランドで開かれている。ブルックリンでは、6月20日にはラプチャー、タンラインのショーも行われた。ブルックリンのラインナップは以下の通り。7/26:キングカーン&シャリンズ、エブリマン 8/2:ワッシュド・アウト、チェアリフト、レモネード 8/16:カーシヴ、ティタス・アンドリニカス、ラブ・アズ・ラフター 8/29:ターボネグロ、バロネス、ドゥーム・ライダー、ナイトバード。ココを参照→
企業がサポートしているフリー・イヴェントも千差万別だが、今回は感じの良いものだった。是非、日本の企業も見習っていただきたい(笑)。

Random Access N.Y. - Back Number

Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住16年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。