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Random Access N.Y.

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vol.83:NYが失っていくもの──Other musicよ永遠に

  photos:brooklynvegan.com Jun 27,2016 UP

 イーストヴィレッジにあるアザー・ミュージックは、私がNYで一番通ったレコード屋である。NYに引っ越す前から、NYに来たらまず最初に行く場所だったし、イースト・ヴィレッジに引っ越してきてからは毎日通った。ウィリアムスバーグに引っ越してからも、週に3日は通ったし、自分のレーベルや友だちのレコードなどを置かせてもらった。インディ・シーンにいる人たちにフレンドリーなレコード屋さんだった。スタッフもアニマル・コレクティブ、ジャー・ディヴィジョン、ヌード・ビーチなどのメンバーで、みんなバンドをやっている。
 

 2016年5月、アザー・ミュージック(http://www.othermusic.com)が6月に閉店するというニュースが流れた。アザー・ミュージックは、1995年にタワーレコードの向かいに、タワーにない「他の=other」ミュージックを扱うという名目でオープンした。
 2006年にタワーレコードがクローズした後も、アザー・ミュージックは、独自のインディ・セレクションで、世界中の音楽ファンに支えられていたのである。行くたびに、たくさんお客さんが居た。スタッフと長々雑談し、CDを片手に抱えきれないほど持っている人も珍しくなく、インストア・イヴェントとなるとじつにたくさん人が入った。いわば私たちの拠点だった。

 アザー・ミュージックの閉店日と同じ日6月25に、これまた老舗のNYのレコード屋、ウエスト・ヴィレッジのレベル・レベルも閉店した。レベル・レベルはUKの輸入盤が多いレコード屋で、ディヴィッド・ボウイの曲から店名をとっている。28年の歴史に幕を下ろす原因は、NYのとんでもない家賃の値上がりである。

 2016年という年は、もう何が起こってもおかしくない気もするが、このニュースは、音楽業界の変化、個人店経営、消費者のお金の使い方を、現実的に受け止める良い機会となった。コアなファンの貢献だけでは、個人経営店のNYの家賃は賄えないのだろう。
 同じことがNYのDIY音楽会場にも言える。シークレット・プロジェクト・ロボット、アクロン、グランド・ヴィクトリー、そしてパリセイドまでが閉店、もしくは引っ越しを迫られている。もちろん、何処かでパーティは引き継がれるのだけど。

 自分のレーベル、コンタクト・レコーズの一番最初のコンピレーションにアザー・ミュージックのミラーをジャケットに使わせて貰ったなー(1998年)、と思いを馳せながら、かくいう本人も、15年住んでいるウィリアムスバーグのアパートメントを今月末に追い出される。気がつけば周りはコンド(※新築マンション)だらけ、ヒップな近所になったが、もうここは、アーティストや個人店には厳しい。リーズナブルな家賃を求めて、もっと東、北、南へ動くしかないのだ。ああ、NY。

http://www.othermusic.com

http://www.recordstoreday.com/Venue/5664

http://www.brooklynvegan.com/other-music-closed-for-good-rebel-rebel-too

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Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

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