ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Courtney Barnett - Tell Me How You Really Feel (review)
  2. interview with Kamaal Williams UKジャズの逆襲(2) (interviews)
  3. XOR Gate - Conic Sections (review)
  4. Oneohtrix Point Never - @NYパークアベニュー・アーモリー (review)
  5. STRUGGLE FOR PRIDE ──伝説のアーバン・ハードコア・ノイズテラー、SFP新作/そして1stが追加曲ありで再発 (news)
  6. interview with Courtney Barnett まさに待望のセカンド登場 (interviews)
  7. Random Access N.Y. vol.98 : 現代病問題をサラリと気づかせるメロウな友たちがUMO アンノウン・モータル・オーケストラ @Brooklyn Steel 4/25/2018 (columns)
  8. Oneohtrix Point Never ──OPN新作の詳細が判明&新曲も公開! (news)
  9. Random Access N.Y. vol.99:またしてもディアハンターです ディアハンター @Elsewhere 5/15/2018/ @Le Poisson Rouge 5/16/2018 (columns)
  10. Columns あの時代が残したもの ──シミアン・モバイル・ディスコの新作を聴く (columns)
  11. 王舟 & BIOMAN - Villa Tereze (review)
  12. Cardi B - Invasion of Privacy (review)
  13. WWWβ ──これは尖っている! 渋谷WWWの最深部に新たな「場」が誕生 (news)
  14. NRQ - Retronym (review)
  15. Smerz - Have Fun (review)
  16. interview with Courtney Barnett 座って考えて、座って、でも踊る (interviews)
  17. D.A.N. ──待ちわびていた新作がリリース、今夏が、暑い夏が、待ち遠しい (news)
  18. KANDYTOWN ──キャンディタウンがついにメジャー・デビュー (news)
  19. Vincent Moon ──映像詩人、ヴィンセント・ムーンが再来日! (news)
  20. Columns 追悼:KAGAMI (columns)

Home >  Regulars >  Random Access N.Y. > vol.45 ミュージック・テープス~トラヴェリング・イマジナリー- ――10数年越しの「夢のツアー」を観る

Random Access N.Y.

Random Access N.Y.

vol.45 ミュージック・テープス~トラヴェリング・イマジナリー

――10数年越しの「夢のツアー」を観る

沢井陽子 Feb 13,2013 UP


教会内部に設置されたサーカス・テント

 2/2(土)、NYのミッドタウンの教会で、ミュージック・テープスの「トラヴェリング・イマジナリー〜空想の旅」ツアーが行われた。ジョン・ケール、バトルズ、ロウ、ライアーズ、ダーティ・プロジェクターズなどのショーを企画する〈ワードレスミュージック〉のオーガナイズ。雪の降るなか、普段は来慣れない教会に入ると、目の前にデーンと、サーカス・テントがあり、周りにも催し物のサインが出ている。
 日本の初詣(屋台やゲームなどがある)のガヤガヤ、ワクワク感に少し似ている。7:30pm、9:30pmからの2部形式で、著者は9:30pmの部に来た。「1部を見た」という男の子と話をするが「内容は言わないで」と口止めをする。「トラヴェリング・イマジナリー」はミュージック・テープスが、10数年間あたためてきた、夢のツアーなのである。簡単に種明かしはされたくない。


バンダナで目隠しをするオーディエンス

 9:30pmきっかりにドアが開き、紺色のバンダナがお客さんに渡される。教会なので、ドリンクは売っていない。最後の人が入り終わると、左方から、ピアノの音が近づいてくる。バンジョーを弾くジュリアンが、グランド・ピアノの上に座って、クルクル回されながら、教会中を練り歩いている。ピアノを歩きながら弾くのがアンディで、ピアノを押して、回して引っ張っているのがイアン。どちらも、前回のクリスマス・キャロリングにもいた。
 何か面白いことがはじまる予感。

 テントの左側で「ザ・ペニー・アンド・ザ・ベル」というゲームがはじまる。目隠しをして(ドアでもらったバンダナの登場)、カップに入ったペニーをベルめがけて投げ、ペニーがベルに当たった人の勝ち。これが難しい。
 真ん中の方でも別のゲームがはじまっている。こちらは、お手玉見たいな布玉を、穴にいれるゲーム。


なかなか難しい「パリ・イン・ベルス」

「ペニー・アンド・ザ・ベル」の後は、ベルつながりで、「パリ・イン・ベルス」というゲームがはじまった。目隠しした人が円になり、ベルを持つ。当たりのベルを決め、鳴らしながら左側の人にベルを渡していく。ジュリアンが「ミラノ」、「東京」、「上海」などいろんな都市の名前を言っていくのだが「パリ」と言ったときに、当たりベルを持っていた人と、真ん中の人が音だけで当たりベルを当てたら勝ち。これもなかなか高度なのだが、勝者はふたり出た。ジュリアンは幼稚園の先生のようにみんなにゲーム参加を呼びかけ、率先してゲームを行い、賞品を用意し、司会をしてと大忙し。


テントのなかはとても楽しい!

 ゲームでウォーム・アップした後は、サーカス・テントが開いてショーのはじまり。みんながどんどん前から座っていくので、いちばん前には行けなかったが、セットや流れの全体が見渡せた。ステージに白いスクリーンが張られ、フィリックス・ザ・キャット風の白黒アニメが始まる。ヴィンテージのアナログ・フィルム上映である。
 アニメ鑑賞の後は、スクリーンが落ち、ミュージック・テープスのショーのはじまり。ジュリアン、ロビー、アンディ、アンディG(マシュマロウ・コースト)の4人で、イアンが大道具周りを担当。もちろん、7フィート・メトロノームやオルガン・タワー、スタティックTVなどの手作り楽器仲間も健在。今回は、ジュリアンのトーク部分が多く「祖父が子どもの頃にサーカスに行ったが、人気者の牛がまったく動かなかった」、という話や、「雪の日に子どもたちがみんな突然いなくなった」、など、子供を寝かすときのベッドタイム・ストーリーのようだった。


ステージに出現した巨大雪だるま

 ショーの間にも、はしごが出てきて、その上で歌ったり(足長人として)、巨大雪だるまが出現し、その雪を投げて、客席に設置した月を割るゲーム、テントの上にぶら下げられたプレゼント(中身はミニチュアのサーカス・テント!)を開けるゲームなど、オーディエンス参加型の、ディズニーランドのようなワクワク感が持続した。

 童心やピュアネスをごちゃ混ぜにした、夢いっぱいのショーには、ジュリアンの頭のなかの地図がそのまま表されている。ここしばらく、これほど心から純粋に楽しめることなんてあっただろうか......いや、楽しめずにいたのではなく、単にこの感情を忘れていただけだったのではないか? ジュリアンは終始笑顔で、何よりもいちばん楽しんでいるように見えた。入り口で、バンダナを回収しながら、ひとりひとりのお客さんと話しているジュリアンを見ながら、自然に笑顔が溢れていた。

Random Access N.Y. - Back Number

Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住16年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

COLUMNS