「New Gen」と一致するもの

Brian Eno - ele-king

 なんということだ。前作『The Ship』がリリースされてからまだ7ヶ月も経っていないというのに、そしてその『The Ship』を映像として発展させた「The Ship - A Generative Film」が公開されてからまだ2ヶ月しか経っていないというのに、もう新たなアルバムのリリースがアナウンスされるとは。
 老いては益々壮んなるべし――この言葉はブライアン・イーノにこそふさわしい。2017年1月1日、イーノの最新作『Reflection』が世界同時にリリースされる。
前作『The Ship』はそれまでのイーノ自身のスタイルとは異なる方向性を模索した野心作だったけれど、今回アナウンスとともに届けられた彼自身の言葉によれば、来る『Reflection』はこれまでの彼のスタイルをストレートに継承した作品になっているようだ。すなわち、「アンビエント」と「ジェネレイティヴ」。
 たしかに、ただ踊ることに特化したダンス・チューンも必要だ。たしかに、怒りのメッセージの込められたプロテスト・ソングも必要だ。でも、あまりに混迷を極めるいまのような時代だからこそ、聴くという行為そのものについて考えたり、偶然性について考えたりすることも必要なんじゃないか――
この正月、われわれは「考えるための音楽」の尖端を聴き取ることになる。それは、ブライアン・イーノという知性による長きにわたる実験の、最新の成果である。

『Reflection』は、長きに渡って取り組んできたシリーズの最新作である。
あくまでもリリース作品という観点で言えば、
その起源は1975年の『Discreet Music』にまで遡るだろう。
――ブライアン・イーノ


ブライアン・イーノが新たに完成させたアンビエント作品『Reflection』を2017年1月1日(日)にリリースすることを発表した。以下ブライアン・イーノより。


『Reflection』は、長きに渡って取り組んできたシリーズの最新作である。あくまでもリリース作品という観点で言えば、その起源は1975年の『Discreet Music』にまで遡るだろう(もしくは1973年のフリップ&イーノ作品だろうか? それとも1965年にイプスウィッチ・アート・スクールで、私が最初に制作した作品――金属のランプシェードの音を録音し、1/2倍速と1/4倍速のスピードで再生させた音源を重ねて録音したもの――だったろうか?)。

何れにしても、これは後に私が“アンビエント”と呼び始めるものである。もはや私自身も、この言葉の意味を理解しているとは言い難い。想定外の範囲にまで適応するよう、言葉が一人歩きしているように思えるからだ。それでも私は、同じ時間の中で、律動的に結びつき、一つにまとまる要素を備えた音楽作品を識別するために、この言葉を今でも使用している。

この系譜には『Thursday Afternoon』『Neroli』(サブタイトルは『Thinking Music IV』)、そして『LUX』が含まれる。“Thinking Music”をコンセプトにした音楽は数多く作ってきたが、そのほとんどは自分自身のために留めてきた。しかし今、人々は、私の初期作品を、当時私が活用してきたように――考える行為に最適な環境を作るために――活用していることに気がついた。だからこそ、皆さんに共有したい気持ちが芽生えたのだ。

このような作品には別の名前もある。これらは“自動生成的”なのだ。つまり自らが自らを作り出す。作曲家としての私の役割は、一つの場所に、複数のサウンドやフレーズを集め、それらに何が起こるのかというルールを設けること。それから全体のシステムを作動させ、何が生じるかを確認し、満足がいくまで、サウンドやフレーズ、ルールを調整する。そのようなルールは確率論的であるため(ほとんどの場合、それらは、Xという働きを、Yのタイミングで行う、というようなものである)、生み出される音楽は、システムを作動させる度に異なる結果をもたらす。あなたが手にすることになる作品は、それらの結果の一つなのだ。

『Reflection』と名付けたのは、今作が私に過去を振り返らせ、物事を熟考するように働きかけるからだ。自分自身との内在的な会話を促す心理的空間を誘発するように感じるのだ。その一方で、他者との会話をするときの背景音としても機能すると感じる人もいるようだ。このような作品を作る際、私の時間のほとんどは、聴く行為に費やされる。時には何日間にも渡って聴き込むことになる。異なるシチュエーションでどのようなことが生じるのか、またそれらによって、私がどのような気持ちになるのかを観察する。まず観察し、ルールを調整する。これらの作品を構成する要素は確率論的であり、様々な確率が積み重なるため、起こり得るすべてのバリエーションを理解するのに時間がかかるのだ。例えばルールの一つを「100音毎に音程を半音階5つ分上げる」というものとする。そしてまた別のルールを「50音毎に、音程を半音階7つ分上げる」というものとする。それら二つのルールを同時に走らせると、非常に稀だが、ある時点で二つが全く同じ音階を奏でることになる。つまり5000音毎に音程が半音階12個分上がるからだ。ただし、どの時点からの5000音がそれを生じさせるかどうかはわからない。なぜなら、あらゆる操作が、異なる形で並行して同時に行われているからである。ゆえに最終形は複雑かつ予測不可能なものになる。

アーティストという存在は、おそらく二つのカテゴリーに分類できるだろう。農耕民族と狩猟民族である。農耕民族は、一つの土地に定着し、そこを丁寧に耕し、その場所に多くの価値を見出す。狩猟民族は、新しい土地を探し求め、発見する行為自体や、まだ多くが踏み入れたことのない地に身を置く自由に喜びを見出す。私は、自分の気質上、農耕民族的であるよりかは、狩猟民族的であると以前は考えていた。しかし、この作品が属するプロジェクトがすでに40年以上に渡って続いてきたという事実は、自分の中に農耕民族的資質が多く存在していることを考えさせてくれる。

Brian Eno, November 2016


ブライアン・イーノ最新作『Reflection』は、2017年1月1日(日)世界同時でリリースされる。国内盤CDには、セルフライナーノーツと解説書が封入され、初回生産盤は特殊パッケージとなる。

Labels: Warp Records / Beat Records
artist: BRIAN ENO
title: Reflection

ブライアン・イーノ『リフレクション』

release date: 2017/01/01 SUN ON SALE
国内盤CD: ¥2,400+tax
BRC-538 初回生産特殊パッケージ

商品情報はこちら:https://www.beatink.com/Labels/Warp-Records/Brian-Eno/BRC-538

ご予約はこちら:
beatkart: https://shop.beatink.com/shopdetail/000000002121
amazon: https://amzn.asia/iWse0UP
iTunes Store: https://apple.co/2f015Xf

KO UMEHARA (Komabano Oscillation Lab) - ele-king

現場でお世話になったトラック10選

KO UMEHARA (Komabano Oscillation Lab)

静岡県出身東京在住のDJ兼トラックメイカー。
ShuOkuyamaとのレーベルKomabano Oscillation LabやDJ WADAとのレギュラーパーティー『Contatto』、屋内型フェスティバル『Synchronicity』のレジデントなどの活動を中心に全国各地様々なパーティーをDJ行脚中。
2016/11/19にDJ WADAとのパーティー『Contatto』@ Forestlimit第6回目の開催!

https://contatto.jp

年末から年明けにかけてリリースが続きます、ぜひチェックしてみてください!
.Now On Sale
Ko Umehara - Reality Recomeposed by TCM-400 / Mastered Hissnoise

https://libraryrecords.jp/item/203147

・2016/11/11 Release
Ko Umehara - Happy 420 Tour 2015 To 2016 / Mastered Hissnoise

https://www.msnoise.info/

・2016/11/16 Release
CD HATA & MASARU - Octopus Roope / Hinowa Recodings

01. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (Original Mix)
02. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (Ko Umehara Remix)
03. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (Hentai Camera Man Remix) 04. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (DJ Doppelgenger Remix) 05. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (Frangipani Remix)
06. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (Hydro Generator Remix) 07. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (Matsusaka Daisuke Remix)
https://hinowa.jp/

DIE KRUPPS Live in Japan 2016 - ele-king


 昨年、実に30年以上の時を経て、突然奇跡の初来日を果たした彼らが、また戻ってくる! Die Kruppsの「絶対にまた日本のファンの前でライヴがやりたい!」という強い希望が今回の再来日を実現させた。
 Die Kruppsは1980年、Jurgen Englerを中心にGerman New Wave全盛期のドイツ・デュッセルドルフで結成された。 彼らはミニマムなエレクトロサウンドにメタル・パーカッションを導入した先駆者である。
 自作メタルパーカッション「シュターロフォン」を駆使したパフォーマンスは80年代にEBM(エレクトロ・ボディ・ミュージック)の1スタイルとしてシーンに影響を与え、NitzerEbb等、その後に続く多くのフォロワーを生みだした。 その後、エレクトロとメタル・パーカッションとスラッシュ・ギターを融合させたINDUSTRIAL・METAL MACHINE・MUSICという彼ら独自のスタイルを確立し、90年代に巻き起こったMinistryなどに代表されるインダストリアル・メタルシーンで、さらにその活動の幅を広げ、本国ドイツのみならず世界でその名を馳せた。今年もドイツ最大のゴシックフェスWave-Gotik-Treffenや、世界的なアーティストが集結するメタルフェスWACKENやM'era-Luna等の大型フェスに出演している。 ドイツではINDUSTRIAL/EBMバンドの重鎮として確固たる地位を築き、長い月日を経てなお、現在に至るまで衰えることなく常に精力的な活動を続けている。昨年の初来日公演におけるパワフルでアグレッシブなライヴ・パフォーマンスに日本のファンは驚喜した。そして昨年の約束通り、彼らはまた日本のファンの期待に応えるべく戻ってくる! 前回見逃したファンは今回を逃さないで、あの気迫と熱気をぜひ体験して欲しい。

ele-king PRESENTS - ele-king

 この世界にエレクトロニック・ミュージックが存在し、展開される限り、〈WARP〉はかならず振り返られるレーベルである。それがまず明白な事実として挙げられる。
 信じられない話だが、1970年代においてエレクトロニック・ミュージックは血の通っていない音楽とされ、さらにまたシンセサイザーは普通の人には手の届かない高価なものだった。しかし現代では、エレクトロニック・ミュージックはダンスに欠かせないヒューマンな音楽であり、自宅で作れるもっとも身近なジャンルだ。〈WARP〉は、まさに身近なものとしてある、現代的なエレクトロニック・ミュージックの第二段階におけるもっとも大きなレーベルなのだ。ちなみに、第一段階は70年代末から80年代初頭のポストパンク、第二段階は80年代末から90年代初頭のハウス/テクノのこと。このふたつの時代に共通するのは、因習打破の精神である。
 もちろんいまでは〈WARP〉をテクノ専門のレーベルだと思っている人はいないだろう。ただ、〈WARP〉から出すものは、基本、因習打破の精神を秘め、メッセージよりも斬新なテクスチャーが要求される。エイフェックス・ツインやオウテカ、フライング・ロータスやバトルズにまで通底するのは、テクスチャーに対する拘りである。つまり、聴いたときにフレッシュであること。新しいこと。新しさを感じさせること。
 音楽の世界が懐古趣味に走って久しいが、それはもう世界が前に進まなくてもいいと諦めてしまっているかのようだ。しかし〈WARP〉がリンクしているシーンは、懐古とは対極にある。アクチュアルで、ケオティックで、それは時代のなかで更新される音楽環境において、若い世代には新しい享受の仕方があり、それは現状を好転させようとする、前向きな可能性を秘めていると信じているかのようだ。昔は良かったとノスタルジーに浸るよりもいまの世界を変えたいのだろう。
 〈WARP〉はインディペンデント・レーベルである。試行錯誤しながらも、シーンとの接点を持ち続け、25年ものあいだインパクトのある作品を出し続け、なおもシーンを更新しようと試みていることは異例であり、脅威だと言えよう。たしかにレーベルにはすでに古典と括られる作品がたくさんあり、それらはなかばノスタルジックに消費されていることも事実である。しかし、25年前から未来に開かれていた〈WARP〉の作品にはいまだに多くのヒントがあり、また現在リリースされている作品でも挑むことを止めていない。メッセージではなくテクスチャーである。サウンドの冒険である。
野田努(ele-king編集長)

以下、ele-kingの執筆陣からのレビューと作品に寄せられたコメントを掲載しよう



APHEX TWIN 『Cheetah EP』
BEAT RECORDS

Cheetah MS800という恐ろしくマニアックかつ操作困難な初期デジタルシンセを全面に押し出したEP。APHEX TWIN作品の中でも、絶妙にダーティな音像と、ウネウネ/ブチブチと蠢くシンセテクスチャーによって、脳が「ぐにゃーっ」 とトリップさせられる怪作です。
佐々木渉(クリプトン・フューチャー・メディア)

Aphex Twin(コラム)


APHEX TWIN
『Syro』
BEAT RECORDS

CDの寿命が20年とか聞くと、人類が蓄積しているデータは、その破片すら次の文明に引き継がれないことを思い知らされる。データは消えても、音楽は振動として永遠に残って行く。この音楽が僕らの時代の振動として、次の文明に引き継がれて行くことを、同時代に生きた人類として嬉しく思う。

東の医から観た彼の現在は、澱みのない色の舌と、適度に満たされた脈を打っている。今も昔も、いやむしろ今の方が、純粋に健康に音楽を楽しんでいる。稀な振れ幅の陰と陽の調和。憧れた人が、今も心地良い音楽を鳴らしていることは、どれだけ多くの人の気を増幅させたのだろうか。
伊達伯欣/Tomoyoshi Date

2014年最大の衝撃であったエイフェックス・ツインの復帰作。エイフェックス的なエレクトロニック・ミュージックの魅力が横溢し、何度聴いても飽きない。同時に徹底的に作りこまれたトラックメイクによって、「作曲家リチャード・D・ジェイムス」の側面が改めて浮かび上がってくる。まるで子供の魔法のようなテクノ。まさに傑作である。
(デンシノオト)

Syro(レビュー)


APHEX TWIN
『Computer Contorled Accoustic Instruments Pt.2』
BEAT RECORDS

プリペアド・ピアノというアイデアを発明したヘンリー・カウエルに始まり、ケージ、ナンカロウへと連なるメタ・ピアノの系譜から、ここでのリチャードは豊かな遺産を受け継ぎ、独自に発展させている。
これはすこぶるリチャード・D・ジェイムス=エイフェックス・ツインらしい、なんともチャーミングで畸形的な小品集だということである。
佐々木敦(HEADZ)

『Syro』から僅か4ヶ月でリリースされた、『Syro』とは全く方向性の異なる小品集。アコースティックなドラムとピアノのおもちゃ箱。機械的でありながらも感情豊かなドラムに、『Drukqs』を思わせるはかなげなピアノが絡んでいく様は、ピアノが打楽器でもあることを思い出させてくれる。二つの楽器が交差する際の残響音にも技巧が凝らされている。(小林拓音)

CCAI pt.2(レビュー)


APHEX TWIN
『Orphaned DJ Selek 2006-2008』
BEAT RECORDS

エイフェックス・ツインあるあるを言います。
「AFX名義だと顔出ししない」「AFX名義だと時代感を超越」「AFX名義だと選曲について悩まない」「AFX名義だと輪をかけてタイトルに意味無し」「AFX名義聴くと不思議に疲れない」「結果AFX名義が一番心地よくヘビロテ」つまり最もお薦めできるAFX名義の最新作がこれです。
西島大介/DJまほうつかい

リチャード・D・ジェイムスのアシッドハウスな側面が全開になったAFX名義、10年ぶりの2015年新作。脳髄を揺さぶる電子音シーケンスと、かつてのドリルンベース的なビートには強烈な中毒性がある。『Syro』では封印気味だった無邪気で攻撃的なRDJがここにある。90年代マナーなアートワークはデザイナーズ・リパブリックによるもの。(デンシノオト)

ORPHANED DEEJAY SELEK
2006-2008(コラム)


BIBIO
『A Mineral Love』
BEAT RECORDS

急な風で電線が揺れたり、低い雲が夕日で真っ赤に染まったり、何十回も繰り返してきた同じ種類の悲しみだったり、急に不安なる夜だったり、そうやって僕らの前に時折現れる景色や感情の起伏を、Bibioはいつもそれとなく音楽で代弁してくれるから、僕は好きだ。
山口一郎(サカナクション)

ヒップホップとエレクトロニカとフォークの愛らしい出会いを丹念に編んできたビビオが、ここではソウルとジャズとファンクの色を優しく混ぜていく。音の隙間が心地いいグル―ヴと、とろけるようなシンセ・サウンド、そしてビビオ自身のスウィートな歌が詰まっている。それは、子どもの頃の記憶をくすぐるような優しい歌だ。(木津毅)

Bibio (インタビュー)


BRIAN ENO
『The Ship』
BEAT RECORDS

EnoのI'm set freeのcoverイイ。あとEno本名クソ長い。
石野卓球(電気グルーヴ)*2016年4月27日のTwitterより引用

2ndアルバムの録音以来、Eno先生にハマってます。レコーディング中もよく聴いた。これは新譜だけど。
後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) *2016年5月7日のTwitterより引用

イーノが辿りついた音楽/音響の天国的な境地がここに。彼が長年追求してきたアンビエント・ミュージックとポップ・ミュージックが見事に融合しており、全編に横溢する中世音楽のようなシルキーな響きが美しい。イーノのボーカルによるヴェルベット・アンダーグラウンドのカバー「I’m Set Free」は未来へのレクイエムのように聴こえる。(デンシノオト)

Brian Eno (レビュー)


MARK PRITCHARD
『UnderThe Sun』
BEAT RECORDS

森の中のアシッドフォークから、深遠なシンセアンビエントまで、まるで断片的な夢のかけらのように、
立ち表れては消えて行く、音の桃源郷のようなアルバム。
柔らかなシンセの波に揉まれながら、夏の匂いを感じたくなるような気持ちにさせられる。
Chihei Hatakeyama

リロードやグローバル・コミュニケーションとして知られるテクノのヴェテランによる、本人名義としては初のアルバム。近年はベース・ミュージックに傾倒していた彼だが、本作では一転してベッドルーム志向のテクノ/アンビエントが鳴らされている。全体的にフォーキーなムードで、トム・ヨークやレーベルメイトのビビオ、ビーンズらが参加。(小林拓音)

Mark Pritchard (インタビュー)


ONEOHTRIX POINT NEVER
『Garden Of Delete』
BEAT RECORDS

人工知能にロック(というかメタル)に関するあらゆる情報を食わせて電子音楽として吐き出させたらこんなことになる。SFとしてのメタル。スペキュラティヴアートとしてのエレクトロニカ。エイリアンの知性、すなわちAIが見た、ヒトとロックをめぐる欲望と情動の見取り図。
若林恵(wired編集長)

アンビエントから遠ざかり始めた通算7作目。NINから影響を受け、大胆にメタルを採り入れたかつてない動的な野心作。そのあまりに過剰な音の堆積はポップ・ミュージックのグロテスクな側面を暴くためのものだが、けばけばしさの中に紛れ込む叙情性はOPNならでは。音声合成ソフトのチップスピーチの採用はボカロ文化にも一石を投じている。(小林拓音)

OPN (インタビュー)


PLAID
『The Digging Remedy』
BEAT RECORDS

I’ll say it right off: I love Plaid! But, to be honest, their newest work really surprised me. “The Digging Remedy,” rather than moving further in the direction Plaid established with “Reachy Prints” and “Scintilli,” seems to be yet another distinct stage in the evolution of this eccentric duo. What a beguiling mixture of bittersweet melodies, syncopated rhythms, and wonderfully retro Vini Reilly-style guitars…
- Michael Arias film director (Tekkonkinkreet, Heaven’s Door)
単刀直入に言うと アイ ラブ プラッド♥ ただ正直言って、彼らの最新作には驚かされた。「Reachy Prints」や「Scintilli」でプラッドが確立した方向性を更に進んだのではなく、「The Digging Remedy」はこのエキセントリックなデュオの進化の過程の中で、はっきりと今までと違う別の段階に達した様だ。ほろ苦いメロディー、シンコペーションのリズム、そして素晴らしくレトロでヴィニライリー風のギターの、何と魅惑的な混ざり合い、、、。
マイケル・アリアス 映画(「鉄コン筋クリート」、「ヘブンズ・ドア」)監督

PLAIDは細部に宿る
4拍目のキックの余韻に
ロールするシーケンスの奈落に
1分、1秒、1サンプルの隙間に

PLAIDは細部に宿る agraph

2年ぶりの新作。ドリーミーなプラッド節はそのままに、これまで以上にソリッドで研ぎ澄まされたエレクトロニック・ミュージックを聴かせてくれる。「CLOCK」のデトロイト・テクノな高揚感が堪らない。トラディショナルなベネット・ウォルシュのギターも印象的だ。アルバムタイトルは10歳になるアンディの娘さんが思いついたもの。(デンシノオト)

Plaid (インタビュー)


SQUAREPUSHER
『Damogen Furies』
BEAT RECORDS

「20年間オレのヒーロー」
OLIVE OIL(OILWORKS)

トム・ジェンキンソン自らが開発したソフトウェアによって生み出された通算14作目。全て一発録り。世界情勢に対するリアクションだという本作は、これまで様々なスタイルに取り組んできた彼の作品の中で最も好戦的な一枚となっている。とにかく凶暴なドラムとノイズの嵐の中にときおり顔を出すメロディアスなDnBが、往年の彼を思い出させる。(小林拓音)

SQUAREPUSHER (インタビュー)


BATTLES
『La Di Da Di』
BEAT RECORDS

音数の減少により浮き彫りになるキック、スネア、ハットの三点グルーヴがとんでもなく強烈です。
知っちゃあいたけどやっぱ凄えわ。」庄村聡泰([Alexandros])ーMUSICA 2015年10月号

歌をどのように自分たちのサウンドと引き合わせるかが課題のひとつだった前2作から一転、初期のミニマリズム、インスト主義に回帰した3作め……が、聴けばユーモラスな感覚はたしかに引き継がれている。ストイックだと評された時代をあとにして、あくまで理性的に繰り広げられる快楽的で愉快なバトルスが存分に味わえる。(木津毅)

Battles

ROSKA Japan Tour 2016 - ele-king

 すべての音が出尽くしたとさえ言われているダンスミュージック。けれども、クラブで流れる曲は絶えず表情を変え、様々なスタイルが生まれている。もちろん、そのなかでトップDJとしてプレイし続けるのは容易なことではなく、今回来日するロスカの遍歴を見るだけでもそれが手に取るようにわかる。UKファンキーの重要プレイヤーとしての顔も彼にはあるが、時にはコールドなテクノから、図太いダブステップ、さらに艶かしいハウス・ミュージックまでも彼のDJデッキからは飛び出してくるから驚きだ。
 2015年に若手のスウィンドルと共に来日したときは、両者の相互作用もあり、ときに激しくときに緩やかにフロアの腰を突き動かす、UKブラックミュージックの「黒さ」を体感することができた。現在もラジオやクラブの一線で活躍するロスカが、どのように現在のシーンを切り取るのか注目しよう。イベントは今週末、東京(3日)と大阪(2日)で開催される。パート2スタイルやハイパー・ジュースなど、東京ベース・シーンのプレイヤーたちも出演。

 6/25に惜しまれながら閉店したアザー・ミュージックは、6/28に最後のインストアライブを行った。バンドは、75ダラービル、リック・オーウェン率いるドローンでジャミングなデュオである。5:30開演だったが、4:30にすでに長い行列が出来ていた。こんな人数が店内に入るのかなとの心配をよそに、時間を少し過ぎて、人はどんどん店の中に誘導されていく。すでにレコード、CDの棚は空っぽ、真ん中に大きな空間が出来ていた。こんながらーんとしたアザー・ミュージックを見るのは初めて。たくさんのテレビカメラやヴィデオが入り、ショーはリック・オーウェンの呼びかけでスタート。デュオではじまり、順々にスー・ガーナーはじめ、たくさんの友だちミュージシャンが参加し、ユニークで心地よいジャムセッションを披露した。たくさんの子供たちも後から後から観客に参加し、前一列は子供たちでいっぱいになった。私は、ジャム・セッションを聴きながら、いろんなアザー・ミュージックでの場面がフラッシュバックし、なきそうになった。インストア・ショーが終わると、彼らはそのままストリートに繰り出し、この後8時から、バワリー・ボールルームで行われる、「アザーミュージック・フォーエヴァー」ショーへ、マタナ・ロバート、75ダラービルなど、この日のショーで演奏するミュージシャンとプラスたくさんのアザー・ミュージックの友だちが、セカンドライン・パレード率い誘導してくれた。アザー・ミュージックの旗を掲げ、サックス、トランペット、ドラム、ギター、ベース、などを演奏しながら、アザー・ミュージックからバワリー・ボールルームまでを練り歩いた。警察の車も、ニコニコしながら見守ってくれていたのが印象的。バワリー・ボールルームの前で、散々演奏したあと、みんなはそのまま会場の中へ。


Geoff & daniel @ other music staff。私個人的にとってもお世話になりました。


Juliana barwick


Frankie cosmos

 バワリー会場内もたくさんの人であふれていた。コメディアンのジャネーン・ガロファロがホストを務め、バンドを紹介する(いつの間にか、アザー・ミュージックの共同経営者ジョシュ・マデルに変わっていたのだが)。ジョン・ゾーン、サイキック・イルズ、マタナ・ロバーツ、ビル・カラハン、ヨラ・テンゴ、ヨーコ・オノ、ジュリアナ・バーウィック、シャロン・ヴァン・エッテン、フランキー・コスモス、ヘラド・ネグロ、メネハン・ストリートバンド、ザ・トーレストマン・オン・アースがこの日の出演陣。ドローン、サイケデリック、ジャズ・インプロ、フォーク・ロック、ポップ、ロック、アヴァンギャルド、エレクトロ、インディ・ロック、ファンク、ラテン、ビッグ・バンド、などそれぞれまったくジャンルの違うアーティストを集め、それがとてもアザー・ミュージックらしく、ヘラド・ネグロのボーカルのロバート・カルロスは、「これだけ、さまざまなミュージシャンを集められるなら、アザー・ミュージックでミュージック・フェスティヴァルをやればいいんじゃない」、というアイディアを出していた。オーナーのジョシュが、バンドひとつひとつを思いをこめて紹介していたことや、お客さんへの尊敬も忘れない姿勢がバンドに伝わったのだろう。


Sharon Van etten

 サプライズ・ゲストのヨーコ・オノが登場したときは、会場がかなり揺れたが、ヨーコさんのアヴァンギャルドで奇妙なパフォーマンスが、妙にはまっていておかしかった。ヨ・ラ・テンゴとの息もばっちり。個人的に一番好きだったのは、トーレスト・マン・オン・アースとシャロン・ヴァン・エッテン、ふたりとも、個性的な特徴を持ち、いい具合に肩の力が抜け、声が良い。最後に、アザー・ミュージックの昔と今の従業員たちが全員ステージに集合し、最後の別れをオーナーのジョシュとクリスとともに惜しんでいた。スタッフを見ると、なんてバラエティに富んだ人材を揃えていたのか、それがアザー・ミュージックの宝だったんだな、と感心する。スタッフに会いにお店に通っていた人も少なくない(私もその中の一人)。バンド間でかかる曲も、さすがレコード屋、アザー・ミュージックでよく売れたアルバム100枚が発表されたが、その中からの曲がキチンとかかっていた。最後のアクトが終わり、みんなで別れを惜しみながら、写真を取ったり挨拶したり。会場で、最後にかかった曲はコーネリアスの“スター・フルーツ・サーフ・ライダー”だった。21年間、ありがとうアザー・ミュージック。

https://www.brooklynvegan.com/yoko-ono-yo-la-tengo-sharon-van-etten-bill-callahan-more-played-other-music-forever-farewell-pics-review-video/

■Other Musicで売れたアルバム100枚

1. Belle and Sebastian – If You’re Feeling Sinister
2. Air – Moon Safari
3. Boards of Canada – Music Has the Right to Children
4. Kruder and Dorfmeister – K&D Sessions
5. Yo La Tengo – And Then Nothing Turned Itself Inside Out
6. Os Mutantes – Os Mutantes
7. Neutral Milk Hotel – In the Aeroplane Over the Sea
8. Sigur Ros – Agaetis Byrjun
9. Arcade Fire – Funeral
10. Magnetic Fields – 69 Love Songs
11. Belle and Sebastian – Boy with the Arab Strap
12. Cat Power – Moon Pix
13. The Strokes – Is This It
14. Yo La Tengo – I Can Hear the Heart Beating As One
15. Talvin Singh Presents Anokha: Sounds of the Asian Underground
16. Joanna Newsom – Milk-Eyed Mender
17. Interpol – Turn on the Bright Lights
18. Cat Power – Covers Record
19. Cornelius – Fantasma
20. Serge Gainsbourg – Comic Strip
21. Belle and Sebastian – Tigermilk
22. Godspeed You Black Emperor – Lift Your Skinny Fists
23. Amon Tobin – Permutation
24. DJ Shadow – Endtroducing
25. Animal Collective – Sung Tongs
26. Dungen – Ta Det Lugnt
27. Beirut – Gulag Orkestar
28. Belle and Sebastian – Fold Your Hands Child, You Walk Like a Peasant
29. Clap Your Hands and Say Yeah – S/T
30. ESG – South Bronx Story
31. Cat Power – You Are Free
32. Broadcast – Noise Made by People
33. The Notwist – Neon Golden
34. Animal Collective – Feels
35. Mum – Finally We Are No One
36. Elliott Smith – Either/Or
37. White Stripes – White Blood Cells
38. Bjorn Olsson – Instrumental Music
39. Boards of Canada – In a Beautiful Place
40. Tortoise – TNT
41. Handsome Boy Modeling School – So How’s Your Girl?
42. Antony and the Johnsons – I Am a Bird Now
43. Zero 7 – Simple Things
44. Broken Social Scene – You Forgot It in People
45. Flaming Lips – Soft Bulletin
46. Devendra Banhart – Rejoicing in the Hands
47. Panda Bear – Person Pitch
48. My Bloody Valentine – Loveless
49. Kiki and Herb – Do You Hear What I Hear?
50. Thievery Corporation – DJ Kicks
51. Boards of Canada – Geogaddi
52. Yeah Yeah Yeahs – S/T EP
53. TV on the Radio – Desperate Youth
54. Yo La Tengo – Sounds of the Sounds of Science
55. Sufjan Stevens – Greetings from Michigan
56. Stereolab – Dots and Loops
57. Tortoise – Millions Now Living Will Never Die
58. Neutral Milk Hotel – On Avery Island
59. Le Tigre – S/T
60. ADULT. – Resuscitation
61. Langley Schools Music Project – Innocence and Despair
62. The Shins – Oh Inverted World
63. Slint – Spiderland
64. Air – Premiers Symptomes
65. Roni Size – New Forms
66. Shuggie Otis – Inspiration Information
67. Nite Jewel – Good Evening
68. Fennesz – Endless Summer
69. Bonnie ‘Prince’ Billy – I See a Darkness
70. Radiohead – Kid A
71. Stereolab – Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky Night
72. Franz Ferdinand – S/T
73. Amon Tobin – Supermodified
74. Fischerspooner – S/T
75. Stereolab – Emperor Tomato Ketchup
76. Cat Power – What Would the Community Think?
77. Elliott Smith – XO
78. TV on the Radio – Young Liars
79. UNKLE – Psyence Fiction
80. The Clientele – Suburban Light
81. Clinic – Walking with Thee
82. The xx – xx
83. Serge Gainsbourg – Histoire de Melody Nelson
84. Vampire Weekend – S/T
85. J Dilla – Donuts
86. Massive Attack – Mezzanine
87. Joanna Newsom – Ys
88. Sufjan Stevens – Illinoise
89. Portishead – S/T
90. Jim O’Rourke – Eureka
91. Pavement – Terror Twilight
92. Modest Mouse – Lonesome Crowded West
93. Sleater-Kinney – Dig Me Out
94. Tortoise – Standards
95. Sam Prekop – S/T
96. Blonde Redhead – Melody of Certain Damaged Lemons
97. Arthur Russell – Calling Out of Context
98. Aphex Twin – Selected Ambient Works Vol. 2
99. Grizzly Bear – Yellow House
100. Avalanches – Since I Left You

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DJ Doppelgenger - ele-king

 先日マーラは、ペルーを訪れ、現地のミュージシャンとの出会いをまとめたアルバムを発表したが、埼玉を拠点に活動するDJドッペルゲンガー氏も旅するダブステッパーで、彼の音楽には彼が旅で経験したアジアが散見される。2012年にアルバム『paradigm shift』でデビューして以来、インドやタイをまわり、また日本の地方のいたるところをDJで訪ねている。ドッペルゲンガー氏は、この度、ドラマーの武田充貴とTHEUSなる新プロジェクトによるアルバム『 Just to of THEUS』を自身のレーベル〈GURUZ〉よりリリースする。これがなかなかの作品で、強力なドラミングとハイブリッドなセンスが、ベース・ミュージックを別次元のところに押し上げている。
 またリリースにともなって、全国20箇所のツアーをおこなう。近くの方は注目して欲しいっす。

THEUS [ Just to of THEUS ] Release tour 2016

7/9 clubasia 東京-Tokyo
7/10 戦国大統領 大阪-Osaka
7/30 triangle 大阪-Osaka
8/11 ヒソミネ 埼玉-Saitama
8/12 NALU 茨城-Ibaragi
8/13 FREAKY SHOW 静岡-Shizuoka
8/14 OCTBASS 筑波-Tsukuba
8/27 蔵王龍岩祭 山形-Yamagata
9/2 Venue 長野-Nagano
9/3 Django 金沢-Kanazawa
9/9 DOPE 岩見沢-Iwamizawa
9/10 DUCE 札幌-Sapporo
9/21 LOVEBALL 沖縄-Okinawa
9/24 ビッグハート 出雲-Izumo
9/25 印度洋 山口-Yamaguchi
9/30 FLAVA 町田-Machida
10/1 SPICE DOG 伊豆-Izu
10/14 graf 福岡-Fukuoka
10/21 Club No.9 岡山-Okayama
10/29 OPPA-LA 神奈川-Kanagawa

7.9 SAT
ASYLUM「THEUS 1ST ALBUM-Just to of THEUS-Release Party」
@clubasia
Door:3000yen W/F:3000yen/1D ADV:2500yen/1D(clubberia)

◎MAIN FLOOR
THEUS
NOGEJIRO(NOGERA&KOJIRO)feat ブラボー小松
O.N.O a.k.a MACHINE LIVE (struct,TBHR)
KILLER BONG DJ SET (Black Smoker Records)
刑⚡︎鉄(ロベルト吉野&高橋'JUDI' 渓太)
Dr.WAXMAN
RAW a.k.a ACID BROTHERS

DECO:〼(meL-hen)
VJ mitchel

◎SUB FLOOR
THE 天国畑JAPON
The↑↓←→
ソリドリズム(DJ 識+武田充貴)
AKI PALLADIUM
TERUBI
FASHION HEALTH

VJ GENOME
TV DECO:Okabe Yuki+TeT(FRASCO)
LIVE PAINT:HISA

◎B1F
Tamotsu Suwanai (Wax Alchemy)
Reina×massive
mig×HI≒RO
PRETTY PRINCE×SECRET-T
kilin
yuitty

THEUS ART EXHIBITION:JAMY VAN ZYL,RURICO TAKASHIMA
占い:霹靂火龍角
出店:神眼芸術
KARMA SUTRA

 


THEUS - Just to of THEUS
GURUZ
Amazon

ピーチ岩崎 - ele-king

それでもおとずれる夏のために!ラテン音楽10選!
いろいろあるけど楽しくやろうぜ!

 フライングぎみの予告だ。今年の夏に出る雑誌版の『ele-king』の表紙がKOHHに決定した。そのニュースに前後して自分のiPhoneに見覚えのないメモをみつけた。日付は去年の年末、リキッド・ルームでのKOHHのワンマン・ライヴの真っ最中の時刻だ。「これを否定する奴らは、進化への意志を捨てた連中だ。放っておけ」。もしこのメモが本当に、まだデビューから3年とすこしの日本人アーティストのことをいっているのだとすれば、さすがにちょっと狂気の沙汰だと思う。でもあのときは本気でそう思ったのかもしれない。

 そして『DIRT II』だ。昨年10月末に発表されたエイジアン・トラップの極北的な怪物作『DIRT』、その続編が6月17日に解禁される。アメリカやフランス、韓国やジャマイカといった海外勢とのコラボレーションにくわえ、2枚組のうち1枚はこれまでの楽曲のリミックスだそうだ。驚異的なリリース・ペース、ということになるのだろうけれど、KOHHについては正直なところもう感覚が麻痺してきていて、とくだんの驚きはない。KOHHはこの3年超のあいだにミックス・テープをふくめて6枚のアルバムを発表し、アンダーグラウンドな日本語のラップとしては異例のポピュラリティと、海を越えた熱狂的なプロップスを獲得した。直近でいえばフジロックへの出演アナウンス、そしてグローバルな意味ではそれよりずっと意義深いかもしれないボイラー・ルームでのライヴ・アクト。これはもはや事件だ。

 そうだ。言葉の正確な意味で、KOHHとはひとつの事件だ。ジョン・ライドンがマルコム・マクラーレンと出会い、セックス・ピストルズという事件が生まれたように、KOHHがGUNSMITH PRODUCTIONのプロデューサーである318と出会ったことで、現在も進行中のこの事件は生まれた。「ポップ・ミュージック」という言葉が事実上の死語になってずいぶんたつ。いつのまにかみんな好き嫌いによって分断された居心地のいいサークルでのおしゃべり以上のものを望まなくなった。しかし、「ポップ」という言葉がもしもチャートの順位やテレビへの露出頻度を超えたなにかを指すのだとしたら、KOHHという事件は、いまの日本で最強のポップ・カルチャーだ。中指を立てても目を背けてもいい。だが好むと好まざるとにかかわらず、その異形の声は分割統治された安寧な領土に侵入する。ポップとはある静的な状態のことではなく、既存の秩序を破壊していくダイナミズムそのものを意味する。それは暴力的な共通言語の創造だ。

 これはたんなる直感だが、『DIRT II』はトラップ・ラッパーとしてのKOHHの殺害現場になるだろう。ずば抜けたアーティストはそもそもジャンルのカテゴリーなどに束縛されない。ベンヤミンにならうなら、すぐれた表現というのは、ひとつのジャンルを創出するか、ひとつのジャンルを破壊してしまうか、つまるところそのどちらかであり、究極的な場合には、その両方だ。震災後の叙情の涙を蒸発させるかのような熱気で盛りあがる日本のトラップ・ミュージック。かつてそのシーンを牽引したKOHHは早々と、トラップ・アイコンとしてのセルフ・イメージをみずからの手で破壊しつつある。アーティストは作品の中で永遠に生き続けるが、同時に決定的な作品を完成させるたびに何度も自死する。死が生の燃え尽きる速度によって決定されるのであれば、才能とはそのスピードのことだ。身を削る圧倒的な精神的/肉体的な能力の発現は、ほとんど閃光や爆発といった現象に近い。それは批評家の言葉が追いつくことを許さない。しばしばアーティスト本人にさえすべてを完璧にコントロールすることなど不可能だ。

 そしてこの事件は、現在まさに激動のさなかにある日本という社会の地殻変動ともけして切り離せないはずだ。2011年の震災、そしてその後の社会的な混迷から、正体不明のなにかが生まれようとしている。この島国の住人、誰もが事件の目撃者だ。このさきも生きてさえいれば、アーカイヴ化された2016年の音楽をずっと後になって聴くことだってできる。だが明日があるなんて、いったい誰が約束した? 死ねば残るのは歯と骨だけで、いくら美しくてもそれは過去の遺物にすぎない。いま生きているのは引き裂けば血の溢れる肉と臓器だ。すでに惨劇の予感はみちみちている。列島よ、眠らずにこの暗い夜を待て。(泉智)

アーティスト名 : KOHH(コウ)
アルバム・タイトル : DIRT II(ダート 2)
発売日 : 2016年6月17日(金)

仕様 :
3枚組(CD2枚組+DVD) [初回限定盤] 3,100円+税 (品番 : GSP-10)
CD2枚組のみ [通常盤] 2,700円+税 (品番 : GSP-11)
(※オフィシャル・サイト "https://やばいっす.com" 限定盤は500セットのネックレス、超先行ワンマン・チケット付など 4/19(火) 19時より予約開始)

[Track List]

(DISC-1)
01. Die Young
02. I Don't Get It (feat. J $tash, Loota, Dutch Montana)
03. Business and Art
04. 暗い夜 (feat. Tommy Lee Sparta)
05. Born to Die
06. Needy Hoe (feat. Dutch Montana, Loota)
07. Hate Me

(DISC-2)
01. Dirt Boys II
02. Living Legend II
03. Mind Trippin' II
04. V12 II
05. Tattoo入れたい II
06. ビッチのカバンは重い II
07. Hiroi Sekai II

(DISC-3 [DVD])
1. Die Young[Music Video]
2. Business and Art[Music Video]
3. Dirt Boys II[Music Video]
4. Dirt Tour at F.A.D. Yokohama[Live]
5. Dirt Tour in Jammin' Nagoya[Live]
6. Behind the Scene in Jamaica

※収録内容は予期なく変更の可能性がございます。予めご了承ください。

■オフィシャル・サイト
https://やばいっす.com

■LINE公式アカウント
友達追加→公式アカウント→「@kohh_t20」でID検索

■夏の大型音楽フェス出演
7/22(金) FUJI ROCK FESTIVAL '16

PINCH&MUMDANCE - ele-king

 UKのアンダーグラウンド・ダンスシーンを追っている者にとって、もはや説明不要の存在、ピンチ。ダブステップのパイオニアのひとりとして知られる彼だが、2013年に始動したレーベル〈コールド・レコーディングス〉で聴くことができる、文字通り背筋が凍りつくようなテクノ・サウンドのイメージを彼に抱いている方もいるかもしれない。
 だがそれと同時に、彼のトレードマークとも言える〈テクトニック〉での重低音の実験も止むことはなく、近年も数々の傑作をリリースしている。そのなかでも一際輝きを放っているのが、マムダンス関連の作品だろう。2015年に盟友ロゴスと共に発表した『プロト』は、UKダンスミュージックの歴史をタイム・トラベルするかのような名盤であり、2014年のピンチとの連名曲“ターボ・ミッツィ”はグライムの粗暴さとコールドなテクノが融合したアンセムとなっている。同じ年に出た彼らのB2BによるDJミックスも、時代性とふたりの音楽性がブレンドされた刺激的な内容だった。
 現在もピンチはテクノとベースを行き来する重要プレイヤーであり、マムダンスもグライムMC、ノヴェリストとのコラボのスマッシュヒットが示すように、要注目のプロデューサーのひとりとして認知されている。今回の来日公演で、どんな化学反応を見せてくれるのだろうか?

DBS presents
PINCH B2B MUMDANCE

日程:5月20日金曜日
会場:代官山UNIT
時間:open/start 23:30
料金:adv.3,000yen / door 3,500yen

出演:
PINCH (Tectonic, Cold Recordings, UK) 、
MUMDANCE (Different Circles, Tectonic, XL Recordings, UK)
ENA
JUN
HARA
HELKTRAM
extra sound: BROAD AXE SOUND SYSTEM
vj/laser: SO IN THE HOUSE

info. 03.5459.8630 UNIT

Ticket outlets:
PIA (0570-02-9999/P-code: 292-943)、 LAWSON (L-code: 74580)
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/https://www.clubberia.com/store/
渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)
原宿/GLOCAL RECORDS(090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、disk union CLUB MUSIC SHOP(5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、Dub Store Record Mart (3364-5251)
吉祥寺/disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)
Jar-Beat Record (https://www.jar-beat.com/)

Caution :
You Must Be 20 and Over With Photo ID to Enter.
20歳未満の方のご入場はお断りさせていただきます。
写真付き身分証明書をご持参下さい。

UNIT
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
https://www.unit-tokyo.com

ツアー日程:
Pinch & Mumdance Japan Tour 2016
05. 19 (THU) Tokyo at Dommune 21:00~0:00 https://www.dommune.com/
05. 20 (FRI) Tokyo at UNIT  https://www.unit-tokyo.com/
05.21 (SAT) Kyoto at Star Fes https://www.thestarfestival.com/

PINCH (Tectonic, Cold Recordings, UK)

ダブ、トリップホップ、そしてBasic Channel等のディープなミニマル・テクノに触発され、オーガニックなサウンドを指向し、03年頃からミニマル・テクノにグライム、ガラージ、エレクトロ等のミックスを始める。04年から地元ブリストルでダブステップ・ナイトを開催、05年に自己のレーベル、Tectonicを設立、自作"War Dub"を皮切りにDigital Mystikz、Loefah、Skream、Distance等のリリースを重ね、06年にコンピレーション『TECTONIC PLATES』を発表、ダブステップの世界的注目の一翼をになう。Planet Muから"Qawwali"、"Puniser"のリリースを経て、'07年にTectonicから1st.アルバム『UNDERWATER DANCEHALL』を発表、新型ブリストル・サウンドを示し絶賛を浴びる。08~09年にはTectonic、Soul Jazz、Planet Mu等から活発なリリースを展開、近年はミニマル/テクノ、アンビエント・シーン等、幅広い注目を集め、"Croydon House" 、"Retribution" (Swamp 81)、"Swish" (Deep Medi)等の革新的なソロ作と平行してShackleton、Distance、Loefah、Roska等と精力的にコラボ活動を展開。Shackletonとの共作は11年、アルバム『PINCH & SHACKLETON』(Honest Jon's)の発表で世界を驚愕させる。12年にはPhotekとの共作"Acid Reign"、13年にはOn-U Soundの総帥Adrian Sherwoodとの共作"Music Killer"、"Bring Me Weed"で大反響を呼ぶ。またUKハードコア・カルチャーに根差した新潮流にフォーカスしたレーベル、Cold Recordingsを新設。15年、Sherwood & Pinch名義のアルバム『LATE NIGHT ENDLESS』を発表、インダストリアル・ダブ・サウンドの新時代を拓く。Tectonicは設立10周年を迎え、Mumdance & Logos、Ipman、Acre等のリリースでベース・ミュージックの最前線に立ち続ける。16年、MC Rico Danをフィーチャーしたグライム・テクノな最新シングル"Screamer"でフロアーを席巻、2年ぶりの来日プレイは絶対に聞き逃せない!
https://www.tectonicrecordings.com/
https://coldrecordings.com/
https://twitter.com/tectonicpinch
https://www.facebook.com/PinchTectonic

MUMDANCE (Different Circles, Tectonic, XL Recordings, UK)

ブライトン出身のMumdanceはハードコア、ジャングルの影響下、15才頃からS.O.U.Rレーベルが運営するレコード店で働き始め、二階のスタジオでプロダクションの知識を得る。やがてD&Bのパーティー運営、Vice誌のイベント担当を経てグライムMCのJammerと知り合い、制作を開始。ブートレグがDiploの耳に止まり、彼のレーベル、Mad Decentと契約、数曲のリミックスを手掛け、10年に"The Mum Decent EP"を発表。また実質的1st.アルバムとなる『DIFFERENT CIRCLES THE MIXTAPE』で'Kerplunk!'と称される特異な音楽性を明示する。その後Rinse FMで聞いたトラックを契機にLogosと知り合い、コラボレーションを始め、13年にKeysoundから"Genesis EP"、Tectonicから"Legion/Proto"をリリース、そして2nd.アルバム『TWISTS & TURNS』を自主発表、新機軸を打ち出す。14年にはTectonicからPinchとの共作"Turbo Mitzi/Whiplash"、MIX CD『PINCH B2B MUMDANCE』、グライムMC、Novelistをフィーチャーした"Taka Time" (Rinse)でダブステップ/グライム~ベース・シーンに台頭、またRBMAに選出され、同年東京でのアカデミーに参加した他、Logosとのレーベル、Different Circlesを立ち上げる。15年も勢いは止まらず名門XLからNovelistとの共作"1 Sec EP"、自身の3rd.アルバムとなるMumdance & Logos名義の『PROTO』、Pinchとの共作"Big Slug/Lucid Dreaming"のリリースを始め、MIX CD『FABRICLIVE 80』を手掛け、Rinse FMのレギュラーを務める。90'sハードコア・スピリッツを根底にグライム、ドローン、エクスペリメンタル等を自在に遊泳するMumdanceは現在最も注目すべきアーティストの一人である。
https://mumdance.com/
https://soundcloud.com/mumdance
https://twitter.com/mumdance
https://www.facebook.com/mumdance

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