「IR」と一致するもの

会いに行ける〈raster-noton〉。 - ele-king

 Olaf Benderとともにドイツのエレクトロニック・ミュージック・レーベル〈raster-noton〉の共同設立者として知られるFrank Bretschneiderの来日ツアーが行われる。東京公演は落合soupの6周年記念イベントとともなっており、スタッフ諸氏にも熱が入る。

 新宿区の落合を拠点として東京のDIYスペースの中でも異彩を放つsoupは、これまでに5周年記念としてMika Vainio(ex-Pan sonic)を迎える他、Mark Fell (SND)の単独ソロ公演やMark McGuire (Emeralds)のアンコール公演&DJ、日本初の100% Silkレーベル・ナイト、Dustin Wongの100分間ノンストップ・ソロ公演等々、「銭湯下のDIYスペース」という特殊な場所性を彩ってきた。配管工事や内装、音響設計、現場の進行やPAにいたるまですべてをDIYに行っているばかりか、スタッフ全員がノー・ギャランティ(売り上げはすべてサウンド・システムや店舗工事に回しているとのこと!)でイヴェントに携わるといった驚くべきアティテュードで運営されている。それぞれにラーメン屋を、電気技師を、保育士をと別々の仕事に従事しながら、音楽を紐帯として結びつく彼らは、みな90年代後半から2000年代の〈raster-noton〉などウルトラ・ミニマリズムに強く影響を受けてきたといい、今回の招聘にいたった背景がほの見えてくる。

 ツアーにはFrank Bretschneiderによるプロデュースのもと〈raster-noton〉初の女性アーティストとして注目を集めるkyokaが全公演に帯同。公演によってはフランク自身によるレクチャーなども開催予定とのことで見逃せない。

https://ochiaisoup.tumblr.com/post/..

 追加のDJに関しては、お客さんにライヴに集中していただきたいということで公表はしない方針のようである。

Frank Bretschneider & kyoka Japan Tour 2012

カールステン・ニコライ(aka. Noto/Alva Noto)らと共にベルリンを拠点に活動する、raster-notonの共同設立者、フランク・ブレットシュナイダーが来日ツアーを行います。
演奏家/作曲家/映像作家であり、レーベルraster-notonの運営と並行してエレクトロニック・ミュージックの過激な還元化と、サウンドとヴィジュアルとの相互作用から生じる美学の最前線を切り拓いてきた彼は、90年代後半のウルトラ・ミニマリズムやサウンドアートを強力に牽引、現在に至るまで絶大な影響力を誇っています。

■2012.10.10 (Wed) at Sapporo Provo
Open/Start 20:00/20:30

Frank Bretschneider
kyoka
sofheso
jealousguy

DJ: Mitayo

https://d.hatena.ne.jp/meddle/20121010

■2012.10.12 (Fri) "時間の音楽" at Kanazawa beta lounge
START 23:00

Frank Bretschneider
kyoka
Riow Arai
Kyosuke Fujita
Susumu Kakuda

https://susumukakuda.tumblr.com/post/31120576060

■2012.10.12 (Fri) Frank Bretschneider 特別レクチャー
"音と映像との相互アクション" at Kanazawa NEW ACCIDENT

20:00-21:00

*20名の入場制限があります。当日はお早めにご来場ください。
https://susumukakuda.tumblr.com/post/31120371870/frank

■2012.10.14 (Sun) "patchware on demand
-shrine.jp 15th anniversary party-" at Kyoto Metro

Open/Start 18:00

guest live :
Frank Bretschneider (Komet, raster-noton)
Christopher Willits (12k, Ghostly International, Sub Rosa)
kyoka (raster-noton)

shrine.jp live :
Toru Yamanaka
Marihiko Hara
dagshenma(higuchi eitaro) + Ikeguchi Takayoshi
genseiichi
HIRAMATSU TOSHIYUKI
plan+e
(大堀秀一[armchair reflection]&荻野真也&糸魚健一[PsysEx]+古舘健[ekran])

act :
tsukasa (post or dry?)
tatsuya (night cruising)

https://www.metro.ne.jp/schedule/2012/10/14/index.html

more lectures to be announced.


*ライヴ公演は10/10(水)札幌Provo、10/12(金)金沢beta lounge、10/13(土)落合soup、10/14(日)京都Metroとなります。

■Frank Bretschneider

プロフィールはこちらから

■Kyoka (onpa/raster-noton)

2012年にドイツのraster-notonより、レーベル初の女性ソロアーティストとなる作品『iSH』をリリース。これまでに坂本龍一等とのStop Rokkasho 企画、及び、chain music、Nobuko HoriとのユニットGroopies、Minutemen/The Stoogesのマイク・ワットとのプロジェクト、onpa)))))レーベルから3枚のソロアルバムなど、ヨーロッパを中心に活躍してきたKyoka。
ポップと実験要素がカオティックに融合された大胆かつ繊細なサウンドは、これまでも世界の多くの人を魅了してきた。
2012年4月にはSonar Sound Tokyoに出演、6月にはパリのセレクトショップcoletteのコンピレーションに楽曲「ybeybe (ybayba editon)」を提供。現在、フルアルバム制作中。

「どういう音楽を聴いてきたら、こういうものを作る女性になっちゃうんだろう?」─坂本龍一─

 13年前、ニューヨークに拠点を移して以来、ホームタウンの大阪にじっくり滞在することはほとんどなかったが、9月の2週間大阪に滞在した。今回はいろんな角度から大阪のシーンを見ることができたのでレポートする。

 大阪とニューヨークは、長いあいだ直行便がなかったのだが、2011年4月からチャイナ・エアラインが、週に3、4日、JFK-KIXのサービスをはじめた。この13年間、ニューヨークから大阪への直行便はなかったので、個人的に嬉しかったが、JFKのターミナルで、エア・チャイナと間違え、長いターミナル移動をさせられ、出発は機内に乗ってから2時間以上も待たされた。フライト・アテンダンスに理由を聞くと出発する飛行機が多く、順番待ちなのだそう。メジャーなエアラインはどんどん飛びたっているのに、やっぱりまだ肩身が狭いのだろうか。

 大阪到着、著者は大阪の下町、商店街もある谷6出身である。知らないあいだに、近所はどんどん変化し、友達にコンタクトを取ると、その中の何人かが偶然にも谷6周辺に引っ越していた。近所を散策すると、このエリアについての冊子もでていた。

 谷6繋がりで、家から5分とかからない場所に、元あふりらんぽのピカチュウが主催するグループ、taiyo33osaka のオフィスがあり、お邪魔した。そこでは、2013.3.11プロジェクトのために、ミーティングが行われていて、ピカチュウやメンバーらの活動話しを聞きつつ、勉強会と称して映画鑑賞をした。オフィスの下には、昭和な雰囲気のたこ焼きカフェがある、心地良い場所だった。大阪力の発信地を間近で見た。

 そのピカチュウも「斬ラレスト」として出演した「子供鉅人」という劇団の演劇を見に行った。子供鉅人の隊長は谷6で「ポコペン」というバーを営んでいて(現在は休業中)、著者も以前にお邪魔したことがあったが、彼らの舞台を見るのは初めて。ポコペンで話したときから、普通でないキャラを感じたが、舞台は彼の才能と人を仕切る力が見事に活かされていた。
 大阪5公演はすべてソールド・アウト。作品としても、エンターティメントとしても、プロフェッショナルで、出演者のキャラクターを活かした人物設定、演技、台詞、話の間や転換、ゲストとのバランス、現代的で、皮肉的で、最初から最後まで見所満載のチャンバラ劇であった。
 ピカチュウは、文明開化の代表として、歌いながら斬られていく役を立派に果たしていた。別の日の「斬ラレスト」には、私がよく行くカフェのマスターの名前もあった。他のゲストが、どんな風に登場するのかも楽しみ。東京は10/4からなので是非見る事をお勧めする。

 先出のカフェのマスターとは、大阪のアメリカ村にあるdig me out(ディグ・ミー・アウト)というアート・ダイナーで、FM802とコラボレートし大阪のアートを応援している(彼も谷6仲間)。彼と仲間が、ニューヨークに来たこともあり、かれこれ10年以上の知り合いである。そのディグ・ミー・アウトの6周年記念ライヴにお邪魔した。ラインナップは、アジアン・カンフー・ジェネレーショ((アコースティック)、イエ?イエ、プリドーン、そしてジェイムス・イハのツアーに同行していたスティーヴのバンド、ハリケーン・ベルズであった。フレーク・レコーズとの共同開催で(こちらも6周年)、会場は日曜日だというのに、たくさんの人で埋まっていた。日本のバンド2組(イエ?イエとプリドーン)は女の子ひとりで、小さい体から懸命に声を出し、オーガニックで、木綿が似合う印象だった。アジアン・カンフー・ジェネレーションは、ナダ・サーフのメンバーと話したときに、名前が出て知ってはいたが、曲を聴くのは初めて。自虐的なMCで会場を沸かせ、別活動も興味深く聞かせて頂いた。ハリケーン・ベルズは元ロング・ウェイヴというバンドのメンバー。新旧の曲をアコースティックで演奏。これだけたくさん見て、終わったのが10時だという時間配分も素晴らしい。

 谷6の知られざる潜水艦バー(?)にも潜入。全くの口コミらしいが、著者が行った時も満席。平日の11時ぐらい、終電は大丈夫なのか?驚いたのは、その内装(外装も!)、維新派という劇団のメンバーが廃材から作ったらしいが、完成度が高すぎる。本物の潜水艦の内部は知らないが、本物より本物っぽいし、細部がより細かい。これだけでも満足だが、ドリンクも美味しく、グラスはピカピカに磨かれ、マスターのキャラも最高。お客とはほとんど話さず、営業中の2/3は、地道にアイスピックでアイスを形創っていた。あまりの衝撃に思わずリピートさせて頂いた。


 別の日には、鰻谷のコンパスに石橋英子さんのショーを見に行った。ゲストは山本精一さん。どちらも見るのは初めてだったが、肩に力が入っていない、自然体なショーだった。山本さんは、ドラム、キーボード、 ギター/ヴォーカルの3人体制。歌ものの良さを素直に感じさせる、ほんのりしたショー。
 石橋英子さんは、もう死んだ人たち(=ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子)、という名義のバンドで登場。今回はさらに、スティールパン、クラリネットのゲストが参加していた。石橋英子さんの柔らかい声を中心に、ギター、ペダルスチール、ベース、ドラム、シンセサイザー、ヴァイオリン、チェロ、クラリネットなどのさまざまな音が織り成し重なりあい、インプロヴィゼーションあり、歌ものありの大洪水。お客さんもインターナショナルで、子供鉅人の演劇にも来たという、ベルギー人の女の子もいた。

 最終日は、元あふりらんぽのオニが主催する「誰も知らないモノマネ大会」を日本橋の本屋喫茶に見に行った。台風のため、一時は中止かと思われたが、時間通りに行くと、リハーサルも終え、コスチュームできめたオニが「やる」と。
 「誰も知らないモノマネ大会」は、出演者のオシリペンペンズ、アウトドアホームレス、赤犬、ウォーター?ファイ、子供鉅人などのメンバーが学校の先生や近所の人など、その人しか知らない人、もしくは実在しない人物のモノマネをして、審査員が点数を付ける。優勝者にはオニのお母さんのハワイの土地の1坪がプレゼントされるというもの。
 誰も知らない人のモノマネをするので、実際それが似ているのかどうなのか、想像でしかわからない。期待半分で行くと、モノマネ大会とは仮の姿か、と思うほどみんな真剣。出演者、司会者、審査員、すべてが役者揃いで、内容、効果音、コメントなど含め、さすがお笑いが根底にある大阪人、のど自慢大会を見ているような、ほんわか気分にさせつつ、みんなの本気度、完成度、そしてテンポの良さに、息つく暇もなく笑せて頂いた。オニの段取りも、気が利いていたし、出演者の別面の才能が開花していた。

 他にも、京都の「ナノ」というライヴ・ハウスに知り合いのショーを見に行ったり、大阪の鰻谷のロックポップ・バーに行ったり、千日前の色濃いギャラリーにリッキー・パウエルの写真展を見に行き、ひとつずつシーンを確認し、駆け足だったが、内容の濃い大阪滞在だった。
 著者の回りの人なので、偏りはあるが、大阪には面白い人が集まっているのを体感できた。こうやって地元シーンは育って行くのだろう。こういった情報をこまめに得たり、ショーケース/クロスするにはまた別の努力が必要である。

 昨年開催した一回目の「シブカル祭。」は、アート(立体、平面)からファッションから写真からパフォーマンスからフードまで、「女の子のための」と謳われていただけあって、妙齢のオッサンである私なんか、その、なんというか陽(ヤン)なパワーに圧倒されて、会場の渋谷のパルコから走って家に帰った憶えがあるが、前回の好評を受け、「シブカル祭。」が帰ってきました!

 2012年の「女子」たちに課せられたテーマは「女子のミックスカルチャー祭」。なんでも、昨年秋の第一回で、展示で隣り合ったクリエイター同士が意気投合して、合同展や共同制作の話がもちあがるなど、個を集めたフェスティヴァルから横軸の視点へ、「シブカル」という器そのものが参加クリエイターとの相互作用で、変質しつつあることを象徴するテーマが、今回は設けられました。つまり「ガーリー」のいいかえだと思われた「女子」カルチャーがその射程をじょじょに広げつつある現状を体現する文化祭が「シブカル祭。2012」といえるわけで、そんなこともあり、われわれ「ele-king」も、「シブカル」とコラボレートすることになりました。

 10月22日(月)の渋谷クラブ・クアトロ。

 この日は「ele-king LIVE at シブカル」と銘打って、TADZIO、平賀さち枝、Sapphire Slows、石橋英子、2012年秋にele-kingがレコメンドしたい4組のアーティストにご登場いただきます。
 今年リリースした『23歳』で、躍動感あふれるキュートな歌世界を構築した平賀さち枝、その風貌に似つかわしくないささくれだったガレージ・サウンドで好事家のみならず、ファンが急増中のTADZIO、紙『ele-king』Vol.6の特集でもブレないスタンスを表明し、海外での評価も高いSapphire Slows、ライヴの1週間前にピアノ・ソロ作『I'm armed』(傑作です)をリリースする石橋英子。かそけき音から轟音まで、フォークからIDMまで、弾き語り女子から宅録女子まで、ほかでは考えつかない、まさに「ele-king」らしいダイナミック・レンジを体感できる「ele-king LIVE at シブカル」にぜひおこしください! 当日は、メイン・アクト以外にも、DJやパフォーマンスで、意外なゲストもあるかもしれません。 (編集部M)

 ele-kingでは「ele-king LIVE at シブカル」に読者ご招待します。info@ele-king.netに、お名前とご連絡先、件名に「シブカル祭読者招待」と明記の上、メールしてください。抽選の上、当選者の方にご連絡さしあげます。締切は10/19(金)までとさせていただきます。


平賀さち枝

Sapphire Slows

TADZIO

石橋英子


シブカル祭。音楽祭2012
ele-king LIVE at シブカル

10.22 (Mon) @渋谷CLUB QUATTRO

石橋英子
平賀さち枝
Sapphire Slows
TADZIO
and more...

18:00 OPEN/START

チケット前売り:¥2,000(tax in / 1 drink order ¥500 / 整理番号付)

チケットぴあ:0570-02-9999(Pコード:181-353)
ローソンチケット:0570-084-003(Lコード:72495)
e+:https://eplus.jp

主催:シブカル祭。2012実行委員会 www.shibukaru.com

KEIHIN (ALMADELLA) - ele-king

テクノ以外で最近良くかける曲です。チェックしてみて下さい。で、気になったらパーティーにも是非!!
https://www.facebook.com/djKEIHIN
https://twitter.com/KEIHIN_
https://almadella-keihin.blogspot.com/

ALMADELLA 2012


1
Pinch - Retribution - Swamp 81

2
Shackleton - There Is A Place For Us - Woe To The Septic Heart!

3
Peverelist - Salt Water - Livity Sound

4
2562 - Solitary Sheepbell - When In Doubt

5
Lucy - Milgram Experiment - Stroboscopic Artefacts

6
Kowton - Dub Bisous - Pale Fire

7
Midland & Pariah - SHEWORKS003 - Works The Long Nights

8
Anthone - Destabilize - Weevil Series

9
Alex Coulton - Bounce (Pev Version) - Dnous Ytivil

10
Szare - Rex Desert - Krill Music

interview with Egyptian Hip Hop - ele-king

E王
Egyptian Hip Hop Good Don't Sleep
R&S Records/ビート

Amazon iTunes

 ドラムがいてベースがいてギターがいてヴォーカルがいて......ロック・バンドというスタイルがポップのデフォルトではなくなってすでに久しい。欧米においてはそうだ。メディアはギター・バンド時代の到来を煽っている。来年は本当にそうなるかもしれない、が、しかし現状でポップを代表するのはR&Bだ。ダンスであり、アンダーグラウンドではエレクトロニック・ミュージックである。

 エジプシャン・ヒップホップとはカイロのキッズによるラップ・グループではない。マンチェスターの4人の白人の若者によるロック・バンドだ。メンバーのひとりは、ジョニー・マーからギターを習っている。それだけでひとつの物語がひとり歩きしているが、彼らの音楽がストーン・ローゼズやザ・スミスやジョイ・ディヴィジョンのように、激しいまでに言いたいことを内包している音楽というわけではない。
 エジプシャン・ヒップホップの音楽はまどろんでいる。夢見がちなテイストで統一されている。そして、UKではなにかとパリス・エンジェルス(マッドチェスター時代の人気バンドのひとつ)の甘いダンサブルなフィーリングを引き合いに出して説明されている。アンビエント・テイストがあれば「ドゥルッティ・コラムみたいだ」と言われ、ファンクのリズムを取り入れれば「クアンド・クアンゴみたいだ」と書かれる。「マンチェスターのロック・バンド」というだけで夢を見れるというのも、若い彼らには迷惑な話だろうが、ある意味すごいと言えばすごい。
 17歳で結成されたこのバンドは、なにせその2年後にはハドソン・モホークをプロデューサーに迎えた12インチ・シングルを2010年に〈Moshi Moshi〉から発表している。それは15年前で言えば、エイフェックス・ツインがジェントル・ピープルを後押ししたようなものだ。

 エジプシャン・ヒップホップのデビュー・アルバムは結局、〈R&S〉からリリースされることになった。〈Moshi Moshi〉からの12インチではエレクトロ・タッチの、わりと真っ当なインディ・ダンス的側面を見せた彼らだが、アルバムでは思い切りよく方向転換をしている。
 タイトルは『グッド・ドント・スリープ』=「良きモノは眠らない」、そう、おわかりでしょう、これはおそらく、「チルウェイヴ」や「ヒプナゴジック」や「ダルステップ」なるモードへの反発だと思われる。連中は先手を打っているのだ。

 ところが、先述したように、夢見る『グッド・ドント・スリープ』にはポスト・チルウェイヴへのリアクションだと思われるフシがある。ファンクに挑戦しつつも、アルバムは気体のようなアレックス・ヒューイットのヴォーカリゼーションと心地よいダンサブルなビートをともなって、基本、柔らかく、ドーリミーに展開する。カインドネスをトロ・イ・モワへのUKからの回答と呼べるなら、エジプシャン・ヒップホップはウォッシュト・アウトに喩えられるかもしれない。

 いやいや、とはいえ、このバンドにはチルウェイヴの中道路線にはないサイケデリックと呼びうる音響がある。"Alalon"──僕には2004年のアニマル・コレクティヴの名曲"ザ・ソフィティスト・ヴォイス"を思い出させる──は最高の1曲だし、最後の曲"Iltoise"では甘美なアンビエントで着地させる。そこには、みんなと一緒に何度も何度も繰り返しトリップした、あの永遠の夏が待っている。
 それはサン・アロウないしは一時期のディアハンター/アトラス・サウンドのフィーリングとも重なるだろう。ただし、エジプシャン・ヒップホップのそれはUKらしくスタイリッシュで、とにかく録音が素晴らしい(USインディの商標であるローファイではない)。
 取材に答えてくれたのは、アレックス・ヒューイット。このバンドを作った張本人でもある。

Egyptian Hip Hop - Alalon
https://soundcloud.com/r-srecords/egyptian-hip-hop-alalon/s-gYPdV


僕たちの音も聴かずにどこから来たか訊いて「マンチェスター」とわかると「あ、マンチェススターね」って感じで音も聴いてもないのにひとくくりにされる。しかし、僕たちの音はマンチェスターの音じゃないと思う。

まずは結成までの経緯を教えてください。メンバー4人はどのように出会ったのでしょう?

アレックス・(以下、AH):会った場所はみんなバラバラなんだけど、最初に僕とアレックス(ピアース)が学校で同じ音楽の授業を受けて仲良くなったんだ。でもその後僕たちは違うカレッジに進んだんだけど、カレッジに行くちょっと前にニックと僕が知りあって、アレックス(・ピアス)は自分が進学したカレッジでルイスに会って、でもそれとは別で僕はルイスと知り合った。でもそのとき僕は音楽とはまだやってなかったんだけど、その出会いをきっかけに一緒に音楽をやるようになって、ルイスもアレックスを知っていたことから一緒にやろうって声をかけて、そこにニックも加わってみんなでやるようになったんだ。

4人ともマンチェスターで育ったんですか?

AH:うん、僕たち全員マンチェスターっ子だよ。

17歳のときバンドを結成したそうですが、最初はどのような共通意識のもとにバンドはじまったんですか?

AH:最初はただ面白そうだからっていう理由だったんだ。EHHの初期のステージは、僕とルイスのふたりでやってんだけど......。あ、もちろん他にも友だちに手伝ってもらってステージにはもっと人はいたけど、別にメンバーではなかったしね。
 でも本当にただ楽しいからやってただけで、それによって自分たちで曲を作っていたから披露してみたいのもあったしね。バンドの結成のいきさつってみんなそんな感じではじまってるんじゃないかな。

今日、ベッドルームでPCを使って音楽を作っている人たちが多いなかで、バンドという形態を選んだ理由は?

AH:4人で集まった時点で、コンピュータなんかやるより生で演奏したっていう気持ちが強かったんだ。もちろんコンピュータも使うけど、バンドのほうが楽しいからね。

ジョニー・マーからギターを教えてもらったという話は本当ですか?

AH:うん、本当だよ。ニックが12歳くらいのときジョニー・マーの息子と一緒にバンドをやってたんだよ。活動期間は短かったんだけどね。ニックはジョニー・マーと一緒に数回遊んでてもらったりしてたし、それにニックはザ・スミスの大ファンだしね。もちろんニックはすでにギターを弾けていたから弾き方というよりテクニックを教えてもらってた感じだね。

マンチェスターといえば、他にも、バズコックス、マガジン、ジョイ・ディヴィジョン、ザ・フォール、ドゥルッティ・コラム、ザ・スミス、ストーン・ローゼズ、ハッピー・マンデーズ、808ステイト、オアシス、オウテカなどなど、たくさんの素晴らしいバンドや歴史的な作品を出している街ですが......。

AH:すごいとは思うけど、時々そのことが面倒くさいと思ったりもする。僕たちEHHの音も聴かずにどこから来たか訊いて「マンチェスター」とわかると「あ、マンチェススターね」って感じで音も聴いてもないのにひとくくりにされる。
 僕が思うのは、僕たちの音はマンチェスターの音じゃないと思うんだ。僕たちだけじゃないと思うけど、とくにマンチェスターのようにムーヴメントがあったような都市の出身だったりすると勝手にそこにくくられるっていうのがある。聴けば全然違うのにさ。もちろんマンチェスターのバンドでいいバンドもたくさんいるんだけどね。
 例えば僕たちのアルバムの最後の曲とか結構エレクトロなナンバーで、これは808ステイトやジャロっていうアーティストとも近い音だと思うんだよね。よくマンチェスターだからってニュー・オーダーとも比較さえるけど、いちどだってインスパイアされたことはないんだ。

とくに好きなバンド、目標としたいようなバンドはいますか? 

AH:うーん、そうだなぁ、BE MY NERDはいいバンドだよね。あといま自分がすごい好きなのがWeird Jeroっていうバンドなんだけど、シューゲイザーっぽい、ニューグランジっぽい感じなんだ。あとはGreat Wavesっていうバンドも好きなんだ。彼らはとくにライヴがすごいんだよ。いま僕のお気に入りはこのバンドかな。

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正直言えば、DJの曲にも仕事にもとくに興味がないんだ。魅力もそんな感じないし。エレクトロミュージックは好きだけど、DJについては本当によくわからないんだ。

E王
Egyptian Hip Hop Good Don't Sleep
R&S Records/ビート

Amazon iTunes

とてもユニークなバンド名だと思うのですが、エジプト人でもないし、ヒップホップでもないのに、なぜエジプシャン・ヒップホップなんですか? その名前はどこから取ったのでしょう?

AH:最近よく名前について考えることがあるんだ。自分たちでも気付かなかったけど、実はけっこう深い意味があるんじゃないかと思ってるんだ。もちろんつけたときは、とくに考えずに付けたんだけど。いま思うと普通のバンドと違う名前だよね。通常は誰かの名前とか、なんか単語でつけたりするんだけど思うし、みんなもそういうもんだと思ってると思うけどね。ジャンルによってなんとなくバンド名も予想できるしね。
 たしかに変な名前だと思うけど......最初に付けた時はただ面白いからつけただけなんだけどさ。このバンド名でみんな、音を聴いたら混乱するだろうなって思ったのもあるんだけどね(笑)。だって僕たちがEgyptian Hip Hopという名前で音楽をやっているんだから、何にだってなれると思ったんだ。だって僕たちの音楽を聴いて音を想像できないでしょ? だから僕たちの哲学としては名前に囚われないってことだね。

2年前に〈Moshi Moshi〉と契約して、ハドソン・モホークをプロデューサーに迎えて1枚の12インチ・シングルを出しましたが、そのいきさつを教えてください。

AH:以前から僕たちはハドソンの作品をよく聴いていたし、すごく好きだったんだけど、僕たちのマネージャーが彼のマネージャーを知っていて、最初はREMIXを依頼したんだ。でも結局一緒に作ってみようって話になったんだけど。
 〈Moshi Moshi〉に関しては「一緒にやらないか?」と打診をもらってて、彼らの実績がすごくいいし、いろいろいいバンドの音源をリリースしてたからいいなって思って。ハドソンのスタジオは凄い設備でいい機材が揃ってて本当に有名なすスタジオなんだなって思ったし、そういうところでやるにもいい経験だったよ。

ダウンロードで音楽を聴くことが常識であるあなたがた世代にとって、ああいう風にレコードを出すことは特別な意味があるのでしょうか?

AH:レコードを作ること自体とても重要なことだと思うんだ。クオリティの問題もあると思うけど、「盤」と言うこと自体が僕は重要だと思ってるんだ。たしかにインターネットだと誰でも手に取れるし、探すことができる。でもレコードやCDってそれ自体がアートだと思うんだよね。ジャケットとかもそうだけど、僕たちにとっても自分たちがどういう音楽をやりたいかっていうことを証明してくれる大事なものだと思ってるよ、インターネットで音楽を流すよりずっとね。それにレコードを持っていれば後で聴き返したりして聴き返すこともできて、音楽に感謝できる瞬間でもあると思うしね。

最終的に〈R&S〉と契約したのはどうしてでしょうか?

AH:最初はユニバーサルと契約する予定だったんだ。でもいろいろあって話が流れて。〈R&S〉はいいアーティストをいっぱい抱えているし、僕たちがやりたいと思ったことを全部理解してくれて、僕たちにとっても〈R&S〉こそが僕たちが求めていたレコード会社なんじゃないかと思ったから契約したんだ。

あの12インチ・シングルを出したあと、しばらく音沙汰がなかったのは何だったのでしょうか? 自分たちの納得するサウンドが完成するのに時間がかかったということなんですか? とても完成度の高いデビュー・アルバムだと思いました。

AH:正直僕たちもなんで2年になってしまったのかはよくわからないんだけど......最初のEPを作ったとき、有名なプロデューサーやエンジニア、すごいスタジオ、とにかく過度な期待のなかで作業をしなくちゃなんなくて、その上結構すぐにその環境に溶け込まなきゃいけなかったんだ。出来上がりはもちろんよかったけど、自分たちが想像していたものとはかなりちがう感じに仕上がったんだ。
 その後、前作よりクオリティが下がってもいいから「自分たちらしい音」にできないかってことをずっと考えていて。もっといろいろインスピレーションを受けたものを反映したりね。それにライヴで新しい曲もやりたいなって思ってたし、もっとアートっぽく、自分たちらしい音楽が詰まった1stアルバムにしたいと考えてて。
 だから急がずに自分たちがやりたいことをじっくりやりながら、自分たちらしさが詰まったアルバムを作ろうと思って、時間とかをあまり考えず作業をはじめたんだ。決して経済的には長期化するレコーディングはいいことではなかったけれど、いいものを作りたいと再度クオリティを重視する方向で作業していたんだ。だからこんなに長くかかってしまったっていうのはあるんだけどね。

すごく独特の音の質感を持っていると思いました。独特の反響音、夢のなかにいるような質感、こうしたある種別世界的な音を創出することに関して、どのような考えをもってるのか、ちょっとコメント願います。

AH:いままで聴いてきたいろいろな音楽に影響されてできた音っていうことはあると思うんだ。何の音楽と比べてそういう質問をされているのわからないけど、いろんな音を研究してもっと音でスケールを広げられないかと試行錯誤してきたから、そういう特殊な音を出せるようになったのかもしれないけどね。独特のヴァイヴを出すこととかね。

録音がとても良いですよね。ベースラインもドラムも綺麗に鳴っています。自分たちのサウンドを探求するのに時間がかかったんじゃないですか?

AH:そうだね、いろいろ試したりして時間はかかったかもしれないね。もちろんこれからたくさん変わっていくとは思うけれど、まずは自分たちらしい音を出すことが重要だと思ってたから、その音を探すまでにけっこう試行錯誤を重ねた部分があったかな。僕たちはどんどん変わっていきたいし、それってすごく重要なことだと思うしね。

好きなDJがいたら教えてください。

AH:リミックス以外であんまりDJに興味がないんだ。エロル・アルカンは好きだけど、彼以外にとくに知らないっていうのが本音かな。正直言えば、DJの曲にも仕事にもとくに興味がないんだ。魅力もそんな感じないし。エレクトロミュージックは好きだけど、DJについては本当によくわからないんだ。

[music video] - ele-king

VIKN Ft. BES,GUINNESS,A-THUG & NIPPS - "STARTING 5"
(Produced by HIROSHIMA&B-MONEY)



 負けを認めるからこそ踏み出すことのできる新しい一歩というものがある。新たなゲームを開始し、ルールを設定し直すために、負けを受け入れなければならないときもある。そもそも誰もが強く、逞しく、信念を曲げず、前向きにい続けられるわけではない。ときには迷い、嫉妬や憎しみを抱き、つまずき、辛酸をなめるときもある。負けているのにもかかわらず、負けていないと意地を張り続ける意固地な態度が道を見失わせることもある。やさぐれた人間のやさぐれた言葉は、ときとして、人の心の深いところに突き刺さったりする。と、そんなことをこのラップ・ミュージックを聴いた直後、僕は漠然と思った。

 トップバッターのBESの強烈な哀しみの歌が僕にそういう思考を促したのか、それともHIROSHIMA&B-MONEYの制作したバックトラックの泣きのストリングスに感情を揺さぶられたのだろうか。それだけではないと思う。5人とも同じ内容をラップしているわけではなく、むしろ5人それぞれが異なるベクトルに向かっているものの、5人のマイク・リレーはある一つのムードを作り上げている(例えば、"GOD BIRD"がそうであったように)。そのムードは言うなれば、いま、とくに東京近郊の街に漂う"負の兆し"みたいなもので、これほど見事に"負の兆し"を捉えたマイク・リレーを僕は久々に聴いた気がして、ゾクゾクしてしまったのだ。その兆しの正体はなんなのか、性急に言葉にしたくないし、できるものでもない。だから、この曲における、5人のラップと身振りは圧倒的にクールであるともいえる。

 ハードコア・ラップ、あるいはハスリング・ラップ、もしくはギャングスタ・ラップ。サブジャンルの呼び名はなんでもいい。SWANKY SWIPEのBESはサウス・ヒップホップ以降のオブ・ビート感覚とNYのラッパーの硬派なスタイルをミックスしたようなフロウで実体験に基づいた痛みと哀しみのストーリーを紡いでいく。それに続く、SEEDAとのビーフで話題を呼んだGUINNESSのより糸が絡み合っていくようなフロウは、こんがらがった内面そのものであるように感じられる。さらに、SCARSのリーダー、A-THUGは、「天国じゃないここはHELL/地獄の炎はメラメラ燃える」「ラップじゃなくても金を稼いでいる」というパンチライン、その間をつなぐ赤裸々なリリックで彼らの剥き出しの現実感覚を鼻先に突きつけ、NIPPSは自問自答と風格のある佇まいでブルースを滲ませる。そして最後に登場するTETRAD THE GANG OF FOURのVIKNが、この曲に、微かな、しかしたしかな光を当てている。

 「STARTING 5」は、ミュージック・ヴィデオの透き通る映像美も大きく影響しているのだろうが、北野武の撮るヤクザ映画に通じる叙情と哀愁、あるいは感傷に満ちている。それらは男のロマンやダンディズムから表出されるもので、その意味で彼らはヒップホップのマッチョイズムに忠実ともいえる。が、ここにある、どうしようもない乾きは、それだけではどうにも説明できない特別なものだ。

 最後になってしまったが、この曲はVIKNが10月発売予定のソロ・アルバム『CAPITAL』からの先行ミュージック・ヴィデオとなる。この曲は、この手のラップ・ミュージックのほんの入口かもしれない。CDが売り切れていなければ、BES『BES ILL LOUNGE:THE MIX』、A-THUG『HEAT CITY MIXED BY DJ SPACEKID』の2枚も合わせて聴くといいだろう。

Chart JET SET 2012.10.01 - ele-king

Shop Chart


1

Zazen Boys - すとーりーず (Matsuri Studio) /
ダンス・ミュージックへと接近した前作『Zazen Boys 4』以来4年ぶり、Leo今井とのプロジェクトKimonosの活動を経て制作された、通算5枚目のフル・アルバム。アルバム全曲+ボーナス・トラック「無口なガール」のmp3ダウンロード・コード付!

2

Flying Lotus - Until The Quiet Comes Collectors edition / (Warp)
『Cosmogramma』から約2年振りのリリースとなる待望の最新作。引き続き参加となるThom Yorke、Niki Randaに加えて、Erykah Baduも参加です!

3

Gaslamp Killer - Breakthrough (Brainfeeder) /
単なるビートの寄せ集めではなく、10年に渡って世界を周り、各地でパフォーマンスを行ってきた自身のすべてを反映させた音楽プロジェクト。もちろんリリース元はFlying Lotus主宰レーベルBrainfeederから!

4

Kuniyuki - Earth Beats Larry Heard Remix / (Mule Musiq)
いまだ名曲として多くのファンの間でも親しまれるKuniyuki氏による傑作"Earth Beats"のライブ・ミックスをはじめ、シカゴハウス界の大ベテランLarry Heardによるリミックスを3曲収録した豪華2x12"仕様で登場!

5

Easy Star All-Stars - Easy Star's Thrillah (Easy Star) /
これまでもカヴァーものでヒットを放っていたEasy Star All-Starsが、遂にマイケルの楽曲を取り上げました。

6

Ta-ku - 50 Days For Dilla Vol.2 (Huh What & Where) /
俄然注目を集めているオーストラリアの俊英、Ta-kuによるビート集の第2弾がこちら。多大なる影響を公言して憚らない、J.Dillaへの追悼の意を込めた全25曲を収録。

7

Seahawks - Aquadisco (Ocean Moon) /
名作の数々を生み出すJon TyeとPete Fowlerによるバレアリック・ユニット、Seahawksによる2012年を代表するマスター・ピースがヴァイナルで待望のリリース!

8

Re:Freshed Orchestra - Re:Encore (Kindred Spirits ) /
大ヒット曲"Show Me What You Got"や、人気曲"Roc Boys", "Encore", Breakestra並みのメドレーカヴァーを披露した楽曲など、ファンク~ヒップホップを繋ぐ圧巻の6トラックを収録!

9

Karriem Riggins - Together (Stones Throw) /
同レーベルのFan Clubシリーズもヒット中のKarriem Rigginsですが、先日リリースのアナログ盤『Alone』に続きコチラもバイナルで登場! mp3ダウンロード・コード付。

10

Woolfy Vs Projections - The Return Of Love (Permanent Vacation) /
ドイツ名門"Permanent Vacation"よりWoolfy & Projectionsの才人タッグによる約4年振りとなる最新アルバム『The Return Of Love』が登場。2010年のインディ・ディスコ・アンセム" Coma Cat" でお馴染みのTensnakeとの合作も収録された要注目作が入荷しました!!

Orphan Fairytale - ele-king

 この6月4日に急逝したジョニー吉長さんに非公式でインタヴューをしたときのこと。僕がまだ何も質問していないのに、彼がまず「ラヴ・チャイルドって知ってるか?」と訊くので、僕は平静を装いつつ「知っています」と答えた。シュープリームスのアルバム・タイトルに興味が湧いて意味を調べたことがあったのである。ラヴ・チャイルド=私生児。ジョニーさんは「なんてヒドい言い方なんだろう」と話をつづけ、彼の父親が日本に来ていた米兵で、物心ついた頃からアイデンティティに悩みつづけたことを話してくれた。ジョニーさんは途中で何度も声をつまらせた。その夜は僕も覚悟を決めて話をききつづけた。きくしかなかった。ミュージシャンとしてひとつの答えを出そうと、『ジョニー・セカンド』(78年)で"木曽節"を取り上げ、自分は日本人なんだという思いをそれに込めたつもりが、故・中村とうように酷評され、そのときの怒りがまだ消えないとも話していた。言葉数は少なかったけれど、その気持ちはダイレクトに伝わってきた。北沢タウンホールで行われたお葬式で、祭壇に組まれたドラム・セットを見たとき、僕は当然のことながら、その口調を思い出さざるを得なかった。いつもはとてもジェントルなジョニーさんがそのときだけは汚い言葉を口にした。

 グループ・サウンズから脱線していくようにして日本にロック・ミュージックが確立していくとき、ジョニー吉長のようなラヴ・チャイルドたちは少なからず役割を果たしている。そのような歴史性について系統だった研究はなされていないと思うけれど、彼らがやってきたことの上にバンド・ブームが花開いたことは誰にも否定できないし、それなりの敬意は払われていいはずである。そのような人たちに僕が接したり、話を聴かせてもらう機会を持つことができたのはすべて忌野清志郎さんのおかげであり、清志郎がそのような人たちから愛される存在だったのも、彼自身が実の両親に育ててもらえなかったこと、そのために孤児の気持ちを歌うことができたからではないかと思う。RCサクセション"ぼくとあの娘"の歌い出しは、♪あの娘はズベ公でぼくは身なし子さ とっても似合いのふたりじゃないか~ というもので、これは公式に発表されたものよりも、『ロック画報』の付録CDで聴くことを推奨したい。太田克彦氏が70年代にジャンジャンで密かに録音していたテープから清志郎自らセレクトしたヴァージョンである(この曲の話は尽きないけれど、まずはこれまで)。

 イーファ・ファン・ドゥーレン(本名で「ドア家のイヴ」の意)による「孤児の御伽噺」というユニット名を見てやたらなことを思い出してしまった。バイオグラフィが公開されていないので彼女自身がココ・シャネルやマリリン・モンローと同じように孤児かどうかは不明だけれど、その音楽はなるほど掛け値なしにフェアリーテールである(髪型もツインテール)。『彗星は生きている』と題された(CD-Rやカセットを除くと)ソロ2作めは、どの曲も幻想的で不思議な気分を掻き立ててやまず、通して聴いているとシャガールの絵に片端から音を付けていくような作業を思わせる。ラブクラフトめいたダーク・ファンタジー。めちゃめちゃ楽しくて暗い夜。線の細いシンセ・ポップによってプログレッシヴ・ロックを再定義しながらドローンも少々という感じだろうか。紙『ele-king』でいえば6号の「エレクトロニック・レイディランド特集」7号の「ノイズ/ドローン特集」に片足ずつ突っ込んでいるため、松村編集長によってどちらからも外されてしまうような音楽性というか。

 "最後の生きる伝説""流星群(メテオ・シャワー)""牧歌的な荒野"といった曲を聴きながら、どのようなイメージが脳内を駆け巡るのか。初めからそれは限定したくないので、個々の曲についてはとくに触れない。同じ〈ブラッケスト・レインボウ〉からフォーク・ドローンを垂れ流すイーゼングラン(『ele-king』6号P63)にも通じるところはあるものの、音作りの基本がシンセサイザーなので、なんというか、タキシードムーンからニューウェイヴの呪縛を取り去って、よりフリー・フォームに落とし込んだようなシンセーポップ・ドローンというようなものになっている。たぶん、テクスチャーを新しくしているだけでヨーロッパには古くからあるオブセッションの塗り直しであり、グルーパーモーション・シックネスといったアメリカ勢との対比で、なんとなく新鮮に聴こえてしまう部分も少なからずではないかと思われる。アメリカではドローンが一大ムーヴメントになったかのような印象があるけれど、それは100%商業的な需給関係に左右されるからで、ジム・オルークに言わせればヨーロッパではそうした種類の音楽に国家からの援助が絶えたことはいちどもない......つねにその存在は保障されているという(社会的に見て、やらなくていいことをやっていることの意味合いがアメリカとヨーロッパではまったく違うということでしょう)。あるいは、どこか遊びというか(よく見るとデザインのそこかしこにヘビちゃんがあしらわれている)。

 程度の差こそあれ、ファンタジーにはやはり反社会性がつきまとう。スティーヴン・ミルハウザーの小説をニール・バーガーが映画化した『幻影師アイゼンハイム』ではそれが具体的な脅威となるプロセスが描かれていて、とても興味深かった(レイヴ・カルチャーが社会を揺るがせた瞬間にもきっと同じことが起きていたのだろう)。『彗星は生きている』で展開されているファンタジーはあまりにも手作り感覚で、そのような入り口に立つことがせいぜいかもしれない。それでもこれは、反社会性へと開かれた扉なのである(ドゥーレンはさらにドルフィンズ・イントゥー・ザ・フューチャーのリーフェン・マルテンスともブロッブスというユニットを展開。ドルフィンズも今年は春先にいつもとは趣向を変えた『カント・アーキペーラーゴ』をリリ-スし、フィールド・レコーディングとフリー・ジャズを組み合わせたり、なんかヘンなことになってきた......)。

interview with Tommy Guerrero - ele-king

 1991年の5月、ヒースロー空港の税関で、僕は、とにかく執拗な質問攻めにあった。財布の中身や手荷物の中身までぜんぶ開けられた。それはThrasherのキャップなんて被っていたからじゃないかと同行した友人に言われたが、そいつは「acid junkies」と英語で書かれたTシャツを着ていたので、もし原因があったとしたらスマイリーのほうだろう。
 昨年、『Thrasher』マガジンの共同創始者として知られる64歳の男=エリック・スウェンソンは、──一説によれば重たい病の苦しみから逃れたいがためだったというが──、警察署に入ると自らのこめかみに銃を当てて、弾きがねを引いた。
 スウェンソンは、スケートボーディングの歴史における重要人物のひとりだ。1978年にサンフランシスコでスケートボード用のトラックを作る会社を設立した彼は、それから3年後にくだんの『Thrasher』マガジンを創刊している。モットーは「skate and destroy」。スケートボーディング自体は1960年代からあったというが、『Thrasher』はそれをパンクの美学に当てはめた張本人だった。スウェンソンはパンク・ロックが大好きだったのだ。結局、このスタイルは、1980年代以降のストリート・カルチャーの代名詞になった(今日ではオッド・フューチャーもそうだ)。

 トミー・ゲレロは、海外では音楽家というよりもスケートボーダーとしての名声のほうが高い......というよりも、いまでは専門誌から「スケートボーダーのゴッドファーザー」とまで呼ばれている。いまさら言うのも何だが、トミー・ゲレロとはマーク・ゴンザレスやなんかと肩を並べるカリスマ・スケーターである。


Tommy Guerrero
No Mans Land

Rush Prodction/AWDR・LR2/BounDEE by SSNW

Amazon iTunes

 トミー・ゲレロにとってちょっと気の毒なのは、彼のスケーターとしての名声が大き過ぎるあまり音楽家としての彼が過小評価されていることにある。『ガーディアン』のエリック・スウェンソンの死亡記事においては、彼は「プロフェッショナル・スケートボーダー」として紹介され、コメントを求められている。
 翻って日本では、彼のポスト・ロックめいた控え目さと西海岸の叙情性が混ざった音楽は素直に愛され続けている。僕のまわりでもかれこれ10年以上聴き続けている人間は少なくない。ポスト・ロックと呼ぶほどジャズ寄りではなく、ヒップホップのビートから影響を受けつつ、ロックと呼ぶにはこざっぱりしている彼の音楽──ある種スタイリッシュで、ある種の清潔感をともなっているメロディアスな彼の音楽が、日本の文化土壌にハマったのだろう。

 『ノー・マンズ・ランド』はトミー・ゲレロにとって7枚目のアルバムで、マカロニ・ウェスタン調な響きを特徴としている。シンプルな構成のなかには、長いあいだファンを引き続けてやまない良いメロディとしっかりとしたグルーヴがあるが、今作では、スパニッシュ・ギターの響きを活かしながら、曲によっては一触即発な緊張感あるムードを展開している。乾いた風が吹いて、見知らぬ街のバーに入る......「誰もいない土地」という題名のように、どこか孤独なものを感じさせる作品だが、それはプロ・スケーターとして自分を安売りせず、音楽家としても完全マイペースを守っているトミー・ゲレロの生き様と重なっているように思える。

 ちなみにこの12月には、ドキュメンタリー映画『ボーンズ・ブリゲード』の公開も決まっている。ボーンズ・ブリゲードとは、1980年代のスケートボーディング・シーンに革命を起こしたスター集団でトミー・ゲレロはその主要メンバーのひとり。近いうちに若き日の彼のスキルや情熱を見ることができるだろう。

マカロニ・ウェスタンはとても細かいジャンルではあるけど、すごくユニークなんだ。彼らのサントラ・ミュージックで使用されてる楽器、メロディ、コンポジションが大好きなんだ。音響的、空間的に惹かれるところが多い。

スケーターが年齢とともに失っていくモノと得ていくモノと両方について教えてください。

TG:スケートというのは、身体を酷使するんだ。年をとると、その代償を味わうことになるんだよ。自分の理想通りのスケートができなくなる。心のなかでスケートへの情熱は相変わらず熱いんだけど、昔のようにスケートすることが肉体的に不可能なんだ。スケートをすることから得られたものは、死ぬまでサポートしてくれるコミュニティさ。他の世界にはないものだよ。

あなたの音楽のインスピレーションは昔から変わっていませんか? 計画されたものというより、わりと直感的というか、そのときのひらめきというか。

TG:そう、その瞬間のひらめきで作っているんだ。そのほうが満足感があるんだよ。

『Loose Grooves & Bastard Blues』(1998)でデビューしてから14年が経ったわけですが、ずいぶん長い活動になりましたね。長くやっていると当然、どんな人でもマンネリズムという落とし穴があるわけですが、あなたはそこを意識的に回避しようとつとめていますか?

TG:アプローチを考えすぎないようにしてる。分析的になりすぎると、身動きがとれなくなる。とにかく試してみて、どうなるか様子をみるんだ。俺の音楽は表面的にはシンプルに聴こえるんだよ。

デジタル環境の普及、インターネット文化についてどのように考えていますか? あなたのようなヴィンテージな文化を愛する人からすれば、複雑な気持ちがあるんじゃないでしょうか?

TG:ヴィデオがラジオスターを殺したように、インターネットがレコード業界を殺した。でも、活動の場はより公平になった。消費者は、レコードを作るにはたくさんの血、汗、魂を込めて作っていることを分かってほしいし、レコード制作にはお金もかかるということを覚えておいてほしい。ファンがミュージシャンをサポートしなければ、音楽は存在できなくなる。

1日のうち、インターネットを見ているのはどのくらいの時間ですか?

TG:1時間くらいかな。家ではインターネット・アクセスがないんだ。

最近の若い世代はヴァイナルとカセットを中心に作品をリリースしています。こういうアメリカの新しい動きについてはどう思いますか?

TG:素晴らしいことだよ。アナログのマーケットは決して大きくないけど、ヴァイニルがプレスされていることは嬉しい。

自身のカタログのなかで異色だなと思うのはどの作品ですか??

TG:『Loose Grooves & Bastard Blues』だろうね。純粋で無邪気な作品だからさ。

あなたにとって音楽は、最高の娯楽といったところでしょうか?

TG:音楽は本当にセラピーなんだ。ヒーリング効果があるんだよ。

たとえばひとりのリスナーとしては、ふだんはどんな風に音楽を楽しみますか? 

TG:いつもと変わらず、聴いたことがない刺激的な音楽を聴くと、それを探し出すんだ。でも新譜を買うことは少ないね。昔の音源で素晴らしいものが発掘され続けているし、その焼き直しの新しい音楽が多い。俺の音楽も例外じゃないけどね。

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日本製のフェンダーのほうが全然安いし、アメリカ製のギターより質がいいからさ良いギター・トーンを作ることにまずこだわってる。たくさんのリヴァーブとトレモロを使って、とにかくラウドにプレイするんだ。


Tommy Guerrero
No Mans Land

Rush Prodction/AWDR・LR2/BounDEE by SSNW

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新作の『ノー・マンズ・ランド』はマカロニ・ウェスタン風のアルバムになりましたが、エンニオ・モリコーネやヒューゴ・モンテネグロが手掛けたサントラなど、あなたはどんなところが好きなんですか? 

TG:とても細かいジャンルではあるけど、すごくユニークなんだ。彼らのサントラ・ミュージックで使用されてる楽器、メロディ、コンポジションが大好きなんだ。音響的、空間的に惹かれるところが多い。

『ノー・マンズ・ランド』でのギターのスパニッシュな感じはどんなきっかけがあって取り入れたんですか?

TG:自然とそうなったね。

"Hombre Sin Nombre"のようなあなたらしいメロウで、平穏な曲もありますが、『ノー・マンズ・ランド』には"Phantom Rider"や"The Gunslinger"のようなダークな曲もあります。そのダークさは、個人的なものなのでしょうか?

TG:自分でも分からないけど、レコーディングしたときのフィーリングがそのまま反映されているんだ。今回は太陽のように明るい作品を作りたいと思わなかったんだ。

あなたは自分の音楽をスタイリッシュでお洒落だと思いますか?

TG:本当? そんな風に考えたことはなかった。

アートワークを手がけたデイヴ・キンジーについてコメントをください。

TG:彼はスケート界出身のアーティストなんだ。俺の旧友であるアンディ・ハウエルやシェパード・フェアリーとも彼は友だちなんだ。デイヴ・キンジーの最近の作品が好きなんだ。彼の過去の作品よりもアブストラクトで、あまり明解ではないところが好きだよ。

日本では海好きな人たちからもあなたは人気があります。その理由をご自身ではどう理解していますか? 

TG:自分でもわからないよ。おそらく、俺の音楽がグルーヴをベースにした音楽だからだと思う。それに、リスナーが俺と俺の音楽をそうやって捉えているんだと思うよ。

日本人はみんな高いお金をはたいてUS製のフェンダーを買っているのに、あなたはなぜ日本製のフェンダーのほうを好むんですか?

TG:日本製のフェンダーのほうが全然安いし、アメリカ製のギターより質がいいからさ。

ブレイクビーツを使うのは、あなたの音楽にはやはりファンクの要素が欠かせないからなんでしょうか?

TG:俺は古いファンクやソウルのグルーヴに魅了されてるんだ。そういうグルーヴを聴いていると踊りたくなるんだ。

リヴァーブの感じとか、音色や音質にこだわりを感じたのですが、とくに今回録音で凝った点があったら教えてください。

TG:良いギター・トーンを作ることにまずこだわってる。たくさんのリヴァーブとトレモロを使って、とにかくラウドにプレイするんだ。

"Specter City"なんてドリーミーな曲で、ちょっとアンビエントな感じがしますが、アンビエント作品を作りたいとは思わないですか?

TG:つねに作ってみたいと思ってるよ。次のアルバムはまた全然違うアプローチになると思うよ。

ちなみに1曲目の"The Loner(孤独な人)"とは、あなた自身のことでしょうか?

TG:多少はそうだね。俺は基本的にソロで活動しているけど、いつもひとりでやっていると辛いこともある。

なんであなたは、アメリカのインディ・シーンにおいて異端なんでしょうか?

TG:アメリカのシーンは巨大な池なわけで、俺はそのなかにいる小さな魚なんだよ。アメリカの音楽シーンでは、俺はあまり大きな存在感はないんだ。

あなたはいまでもご自身や自分の仲間を「ビューティフル・ルーザー」という言葉にアイデンティファイできると思いますか?

TG:自分のことを"ルーザー"(負け犬)と捉えたことはない。

ありがとうございました。

TG:長年俺のことをサポートしてくれたファンに感謝!

Bones Brigade Teaser

Bones Brigade: An Autobiography - Trailer


■Tommy Guerrero Japan Tour 2012

10/11(Thu) Tokyo@ duo MUSIC EXCHANGE
問い合わせ先:03-5459-8711
詳細:https://www.duomusicexchange.com/
https://t.pia.jp/sp/tommy-guerrero/tommy-guerrero-sp.jsp

2012年10月3日(水)23:00~02:30「TOMMY GUERRERO SPECIAL~ストリートの生ける伝説」緊急配信が決定しました!
LIVE&TALK:TOMMY GUERRERO(from San Francisco)出演:野村訓市
https://www.dommune.com/

「朝霧ジャム」出演も決定!
2012年10月6 (土) 静岡県 富士宮市 朝霧アリーナ
https://smash-jpn.com/asagiri/timetable.html
OKI DUB AINU BAND、GOMA&THE JUNGLE RHYTHM SECTION、
WILKO JOHNSON、そしてLEE PERRY Bandととも出演いたします。

Tommy Guerrero Japan Tour 2012

10/4(Thu) Nagoya@ BOTTOM LINE
問い合わせ先:052-741-1620
詳細: https://www.bottomline.co.jp

10/5(Fri) Kanazawa@ MANIER
問い合わせ先:IMART 076-263-0112 / CASPER 076-232-5293
詳細: https://mairo.com/manier/

10/7(Sun) Shizuoka@ SOUND SHOWER ark
問い合わせ先:WIGWAM 054-250-2221
詳細: https://www.ark-soundshower.jp/

10/8(Mon) Kyoto@ Club METRO
問い合わせ先:075-752-2787
詳細: https://www.metro.ne.jp

10/9(Tue) UMEDA CLUB QUATTRO
問い合わせ先:06-6311-8111
詳細: https://www.club-quattro.com/umeda/
https://t.pia.jp/sp/tommy-guerrero/tommy-guerrero-sp.jsp

10/11(Thu) Tokyo@ duo MUSIC EXCHANGE
問い合わせ先:03-5459-8711
詳細:https://www.duomusicexchange.com/
https://t.pia.jp/sp/tommy-guerrero/tommy-guerrero-sp.jsp

DON LETTS JAPAN TOUR 2012 - ele-king

 ドン・レッツといえば、ロンドン・パンクの時代、セックス・ピストルズやザ・クラッシュ、ザ・スリッツといった連中にもっとも影響を与えたレゲエDJである。彼がキング・タビーをかけなければPiLは違った音になったかもしれないし、彼がホレス・アンディをかけなければアリ・アップは違った道に進んだかもしれない。
 時代の生き証人であり、パンキー・レゲエ・スタイルの体現者。迷うくらいなら行ったほうがいいですよ!

DON LETTS (DUB CARTEL SOUND STSTEM, LONDON)
 ジャマイカ移民の一世としてロンドンに生まれる。'76~77年にロンドン・パンクの拠点となった〈ROXY CLUB〉でDJを務め、集まるパンクスを相手にレゲエをかけていたことから脚光を浴び、パンクとレゲエを繋げた。
 リアルタイムで当時の映像を撮り、'79年に初のパンク・ドキュメンタリー映画『PUNK ROCK MOVIE』を制作。またブラック・パンクの先駆バンドBASEMENT 5の結成に携わり、THE SLITSのマネージャーもつとめる。
 '80年代なかばにはTHE CLASHを脱退したMICK JONESのBIG AUDIO DYNAMITEで活動、さらにBADを脱退後の'80年代末にはSCREAMING TARGET(※BIG YOUTHのアルバムより命名)を結成し、"Who Killed King Tuby?"等をヒットさせる。
 音楽活動と平行して、多くの音楽ヴィデオやBOB MARLEY、GIL SCOTT-HERON、SUN RA、GEORGE CLINTON等のドキュメンタリー・フィルムを制作、2003年にTHE CLASHのドキュメンタリー『WESTWAY TO THE WORLD』でグラミー賞を受賞する。
 '05年にはパンクの核心に迫った『PUNK:ATTITUDE』を制作。
 DUB CARTEL SOUND SYSTEMとしてスタジオワーク/DJを続け、SCIENTISTの"Step It Up"、CARL DOUGLASの"Kung Fu Fighting"等のリミックスがあるほか、〈ROXY CLUB〉期のサウンドトラックとなる『DREAD MEETS PUNK ROCKERS UPTOWN』('01年/Heavenly)、名門TROJAN RECORDSの精髄をコンパイルした『DON LETTS PRESENTS THE MIGHTY TROJAN SOUND』('03年/Trojan)、'81-82年に彼が体験したNY、ブロンクスのヒップホップ・シーンを伝える『DREAD MEETS B-BOYS DOWNTOWN』('04年/Heavenly)の各コンパイルCDを発表している。
 '07年には自伝「CULTURE CLASH-DREAD MEETS PUNK ROCKERS」を出版。BBC RADIO 6 Musicにて毎週月曜日レギュラー番組"Culture Clash Radio"を持つ。2008年にコンパイル・アルバム『Don Letts Presents Dread Meets Greensleeves: a West Side Revolution』がリリース。2010年にメタモルフォーゼ、2011年にはB.A.Dの再結成でオリジナルメンバーとしてフジロックフェスティバルに出演。
https://www.bbc.co.uk/6music/shows/don_letts/

●10/5(金) 福岡 @AIR
TIME:22:00~
PRICE:2,500yen+1drink oder
ACT:DON LETTS
LIVE:CUT/ THE EXPLOSIONS/NEO TONE
DJ: YOSHIZUMI/DJ OEC/CHACKIE MITTOO/DJ KAZUO/DJ KAZUYA
RED I SOUND

●10/6(土)東京 @club asia
TIME:23:00 ~ LATE
PRICE:DOOR--- 3,500yen/1d ADV---2500yen(ex 500yen/1d)
ACT:DON LETTS
THE HEAVYMANNERS、O.N.O(THA BLUE HERB)
DJs: myQR 、Shigeki Tanaka 、Daisuke Kitajima、Satoshi Hayashi 、Y$K、Kazuki Kudo 、KEI 、Kazuhito Takasaki 、Gaku Miyata、anzie、jyakuzure 、NAMBU
VJ: SeeMyDimple 、VJ 45 、CHRISHOLIC
Photo: Yoshihiro Yoshikawa

前売りチケット
◆e+にて販売中!!!
[for PC] [for MOBILE]
◆都内近郊diskunion各店頭でも販売中!!!
https://asia.iflyer.jp/venue/home

●10/7(日)静岡/朝霧JAM
SMASH : 03-3444-6751
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