「AY」と一致するもの

Nomura Kenji - ele-king

 普段こういった音楽をほとんど聴かない小生は、先ほどから頭を内部から爪でカリカリされている気がしてならない。各サウンドのテクスチャーとその間を駆け巡る旋律は驚くほど色鮮やかな展開を見せている。それはあたかもモノクロームの写真作品で構成されるジャケットに写されていない色彩を聴者というそれぞれのパレットを用いて彩色するべくうながされているような感覚である。

水と光が織りなす情景をイメージさせる、 内省的なエレクトロニカ。

Nomura Kenjiは京都出身、大阪在住のアーティスト。これまで関西を中心にイラスト、造形、絵画、写真などの分野で創作活動を行ってきた。2011年よりrace tone tortoise名義で音楽制作を開始、本作がキャリア初リリースとなる。 水面に落ちる水滴のような澄んだピアノのハイトーンが印象的な"Rythmic Canal"、夜の湖に映る街灯りを連想させる"Blue Jay"、波の音と鳥のさえずりがサンプリングされた"Teach"など、水と光が織りなす情景をイメージさせる美しい楽曲が並ぶ。"Teach"ではアフリカン・パーカッション、"Just"ではエチュード風のピアノ、"Rain Drop"では金属打楽器の音が楽曲の最後に配置されているが、環境音、楽器の音色、電子音が調和する中、あえて違和感の残るレイアウトを選択する手法も作曲の特長となっている。 全体を内省的な印象が覆っているが、アルバムを制作する際には室内や、自然を歩きながらのリスニングを想定し、一曲一曲をコンパクトに仕上げたという。また全トラックに共通する独特の間は、京都の街から受けたインスピレーションが反映されているそうだ。 アートワークは野村本人のモノクロ写真作品を採用。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)

第7回:忘却の手ざわり - ele-king

 先日、ニューヨークの恩田晃さんから新作の案内をもらった。といっても、恩田さんは音(楽)を探しながら、つくりながら世界中をめぐっているので家を空けることも多いが、そのときはニューヨークにいたようだった。メールといっしょに、ごていねいに試聴音源もいただいたのだが、メールを送られたのが昨年の暮れだから、2ヶ月以上も経ってからのご紹介になってしまい、もうしわけない。文面には「数週間前に Important Records から久々のソロ・アルバムをリリースしました」とあったから、作品自体はさらにその前に出ていたことになる。


Aki Onda / South Of The Border

Amazon

 恩田晃(ここからは本題に入るので敬称を略します)の新作は『South Of The Border』と題し、副題に「Cassette Memories Vol.3」とある。これは恩田晃のライフワークともいえるポータブル・プレイヤーによるフィールド・レコーディング音源を元にした連作の3作目であり、最初のアルバムはDJオリーヴとカジワラ・トシオが2000年代なかばまで運営していた〈Phonomena Audio Arts & Multiples〉から、2003年に『Ancient & Modern』と題して、そして同年には、早くも、日本の即興音楽、それも既存の即興の流れにおさまりきらない即興音楽を数多く発表してきた〈Improvised Music From Japan〉から第2弾『Bon Voyage!』を出している。『Ancient & Modern』のジャケットに「(詳しくは憶えていないが)私はたぶん、5~6年前からポータブル・カセット・プレイヤーを音の日記のように、あるいはインスピレーションの源として使いはじめた」とあるから、はじめたのは90年代末ということになる。彼が使うのは基本的に民生品のカセット・プレイヤー、俗に「テレコ」と呼ばれるもので、ちょうど今年の1月をもって、ソニーもその生産から完全に撤退したというから、電器屋でもあまりみかけなくなったシロモノである。恩田晃はそれを携え、訪れたあらゆる場所の情景を音に切り取る。日記代わりだが、多くの場合、ふきこんだカセットに日時や場所の情報は記さない(と彼は以前私にそういった)。無造作に段ボールに投げ込んだカセットを、いざ何かする段になって、あたりをつけて取り出す。意図的に(?)場所と時間から切り離れた吹きこまれた音はそのとき、恩田晃の記憶の所有となることで記憶と素材の中間にとどまり、そこに何かしらの操作を加えることは具体と抽象との両方に接する領域をつくることになるが、これは誰もやっていないことではない。フィールド・レコーディングはもちろん、ミュージック・コンクレートといったクラシカル(赤字に傍点)な分野にいくつもの先例と名作がある。がしかし、既存の手法を援用していても、そことの関係にわずかに差異をつくれば方法論は確実に斬新になる。いや、方法論以前に位相が違うといってもいいのだ。フィールド・レコーディングは空間の、環境の記録である。ミュージック・コンクレートは具体音をもちいた音楽であり、個別の抽象としての音が問題になる。副題に掲げた通り、恩田晃はそこに「メモリー」を対置する。私はこのメモリーは多義的で、主体の記憶であるとともに、その反対概念として場所性としてのトポスであり、外部メモリーとしての、ほとんど擬人化されたモノとしてのテレコの記憶としての記録である、と思う。だから恩田の「Cassette Memories」はソロだけれども重奏的であり、かつ、複雑さはあえて目指していないかにみえるけれども、きわめて重層的である。というのは恣意的な解釈ではない。ロウファイであつかいづらいいくつかのカセット・レコーダーだけが頼りの手法上の制約。その逆説だけであれば2000年代の即興~実験音楽の問題の圏域であり、あえて(赤字に傍点)カセットを使うインディ・ミュージックのトレンドとも似ているが、恩田の音楽は多様な問題をはらむとしても、つねにある種の質感を忘れない。

 ここで急に余談になるが、さっき読んでいた都築響一の『ヒップホップの詩人たち ROADSIDE POETS』(新潮社)のTwiGyの章で、都築氏は1992年、日本のヒップホップ界隈のスチャダラパーやEAST END×YURIの「DA. YO. NE」の大ヒット前夜の話と前置きして以下のように書いていたので紹介したい。
「ここで個人的な体験を言わせてもらうと、その当時、雑誌の取材でアメリカに頻繁に通っていた僕(都築氏のこと/引用者注)は、一歩間違えば漫才に行きかねない、そんな風潮にどうしてもなじむことができず、日本語ラップを積極的に聴こうとはまったくしていない。そんななかでほとんど1枚だけ、聴いた瞬間にその音の重さとクールさにビクッとしたアルバムがあった。竹村延和(スクラッチ)、恩田晃(プログラミング)、そしてMCにボアダムスの山塚EYEを擁した京都のバンド「Audio Sports」である」
 都築氏が続けて書いている通り、オーディオ・スポーツの1992年のファースト『Era Of Glittering Gas』はいま聴くことのできるTwiGyの最初の音源である。恩田さん(ここではなぜか敬称付き)は苦笑するかもしれないが、メンバーの異様な豪華さ以前に、国内の流れと無縁に、音楽(トラック)の成熟度を深めつつあったヒップホップをこの時点で早くも相対化している。私もいまだに棚から引っ張り出して聴くこともあります(これこそほんとうの余談である)。それはともかく、同書にはTwiGyによる「これはバンドをやっていた恩田君から、ラッパーを入れたいって電話があって。それでEYEちゃんに『TwiGy君はリリックどうやって書くの?』って聞かれて、『いや、自分で考えて書きますけど』って言ったら、『僕はバロウズとかから引用すんねん』って言われて。えー、そういうことっていいの?と思ったのを覚えています(笑)」という興味深い発言もあるが、ここを深追いするとどんどん長くなりそうなので別項に譲って、私は何がいいたいのかというと、スタイルを確立する途上の「日本(語)のラップ/ヒップホップ」における「ハードコアかそうでないか」を、オーディオ・スポーツはもう一段階相対化する狙いをもっていた。担っていたのは恩田晃だった。彼らがおもしろかったのは、それなのに実験的になりすぎないことだった。TwiGyのいうEYEのやり方がそうであるように、あるいは、ボアダムスが代表する90年代の日本(と、あえていうが)がそうであったように、フォーマットをデフォルメする外部因子よりも、オーディオ・スポーツはあくまでジャジーでアブストラクトなヒップホップにこだわりつづけた。というより、恩田はそこから「重さとクールさ」ハウトゥや記譜法ではいかんともしがたい質感を導き出すことに力を傾けていた。いや、むしろ情感こそ形式に依存しているから恩田はそうしていたのだし、ジャジー・ヒップホップがやがてラヴァーズ・ロックと同じような雰囲気ものの音楽に先細っていった90年代後半を期に、バンドが解体したのはやむを得なかった。
 そのころにはオーディオ・スポーツは恩田晃だけになっていたからグループである必要もなかった。最初のソロ、98年の『Beautiful Contradiction』(All Access)では、たとえばブリクサ・バーゲルトとの共作“In Windungen”などにはヒップホップの影響ははっきり残っているが、即興を内在させ作曲を解体するベクトルのなかで、サンプリングの手法そのもののもヒップホップのそれというよりも記憶装置に、あまたある楽器のひとつに、最終的にはケージ的な意味でいう「サイレンス」を含むものに遡行していく。しかしこれは後退ではない。

 前述の通り、この時期から恩田はカセット・レコーダーを積極的に使いはじめた。『Beautiful Contradiction』での恩田の担当楽器は「サンプラー/プログラミング/カセット・レコーダー」とクレジットされている。それが2001年の『Precious Moments』(Softlmusic)では「テープ(カセット・レコーダー)」が先頭にきた。重箱の隅をつつくような話でもうしわけないが、私はこの間に恩田に確信がめばえたと思う(ちょうどこの時期にニューヨークに移住したのもそのことと無縁ではない)。2年後の『Don't Say Anything』(EWE)から間を置かず、翌年には『Ancient & Modern』、つまり私たちがいま語っている〈Cassette Memories〉の第1弾を発表している。この2作にはつながりがある。表題曲のほかは“Cosmos”“Mellow”“Dance”“Naked”“Ballad”といった曲名からして『Don't Say Anything』は言葉による意味づけを拒む抽象への意思をもっているが、それ以上に、聴き直してみると、恩田のソロ曲はすでにあきらかに〈Cassette Memories〉なのである。つまり恩田晃は本作で、スティーヴン・バーンスタインやデヴィッド・フュジンスキーなどの客演を迎え、ミュージシャンを組織するプロデューサーであるだけでなく、(音楽上の)コスモポリタンであるとともにテレコをもったノマドであることも選択肢に加えている。
 いや、この場合は、ノマドではなくベドウィンといったほうがしっくりくる。恩田晃は『South Of The Border』で砂漠に赴いているから。サボテンが点在するメキシコの砂だらけの大地に。死の世界としてのそこに。
「すべてのフィールド・レコーディングはメキシコで録音されています。わたしは幼少の頃から彼の国と何かしら縁がありました。物心ついてから始めて見た写真や8ミリの映像は父がメキシコ・オリンピックに運動選手として出場した際に撮られたものでした。おそらく4歳か5歳ぐらいでしたが、日本とはまったく違う別の世界がこの世には存在するのだと意識した記憶があります」
 恩田晃はそうメールに書き添えている。『South Of The Border』とはいうまでもなくアメリカの国境の南であるメキシコである。シナトラ、ジーン・オートリーなど、古くから無数に歌われてきた曲名でもあり、ここではない場所、異境の暗喩である「南」である。
 恩田晃が最初にメキシコを訪れたのは2005年だった。彼はそこで、昔観た『エル・トポ』、70年代を代表するカルト・ムーヴィの古典であり、アレハンドロ・ホドロフスキーのあの映画でメキシコに抱いたイメージを追認した。『エル・トポ』をご覧になっていない方は、DVDも出ているはずなので、お手にとっていただきたいが、この前の紙『ele-king』の年末座談会で、シャックルトンのアルバムを指して、野田努が「めちゃくちゃバッドだよ。『エル・トポ』だから」というような映画ではある。
 ちなみに、昨年末に出たホドロフスキーの『リアリティのダンス』(青木健史訳/文遊社)によれば、ロシア系ユダヤ人移民の三代目としてチリに生まれたホドロフスキーの幼年期は穏やかなものではなかった。挫折したマルクス主義者の父はことのほか息子に厳しく、母親にもらったゴム底の短靴をあげてやった靴磨きの少年が海辺の岩場から滑り落ちて死んだ。隣の家には象皮病の母の元で全身カサブタに覆われた息子が苦しんでいて、アルコールと熱湯で二ヶ月かけてカサブタをはがしてあげた等々、そこではマルケスなんかよりずっと人間臭いマジック・リアリズムがくりひろげられる。それらがホドロフスキーのシュールレアリスムの導線となり、南米のユダヤ人の原風景からめばえた詩は演劇へ、さらに行為芸術へ姿をかえ、ヨーロッパを経由しメキシコの砂漠で映像に実を結ぶことになる。そして恩田晃は現代と古代、生と死、聖と俗、富と貧しさ、知性と迷信が共存、というより、噴出する『エル・トポ』の乱調の美に「自由」を見いだしたという。
 私たちは『South Of The Border』への入り口となる“A Day Of Pilgrimage”で鳴り物を打ち鳴らす巡礼者たちの群に鉢合わせる。マーチングバンドみたいに陽気だが、酔っぱらっているかのようにリズムは粘っている。テレコの音質のせいか、雑音まじりの音は霞がかったように遠い。音質にこだわったハイスペックのフィールド・レコーディングのように恩田晃は音を再現していはいない。だから私たちはその場に居合わせたような気持ちにならないし彼の道ゆきを追体験できず、夢のなかのように、もうひとつの現実が抽象化された目と耳の前でくりひろげられるのにつきあわざるを得ない、と思う間もなく、群衆はちりぢりなり、曲が“Dust”になったころには、人気はまるでなく、砂嵐のような音が周期的に明滅するところに別の音源を音が重なってくる。“Dust”のテーマが音響なら、穀物を挽くような音の規則性が基調の“Bruise And Bite”の主題はリズムである。といえる側面はあるにはあるが、『South Of The Border』の曲はこのような言葉の貧しさにつきあうような主題をもっているわけではない。一曲のなかでも焦点はどんどんかわる。“A Day Of Pilgrimage” の巡礼者のスネア・ドラムの音が、“Bruise And Bite”の臼を挽く音が “The Sun Clings To The Earth And There Is No Darkness”に回帰し、“Bruise And Bite”にあらわれた『エル・トポ』で主人公のガンマンに扮したホドロフスキーが吹く笛の音を思わせる、単純な、しかし忘れがたい呪術的なメロディをアルバム最後の“I Tell A Story Of Bodies That Change”でもくりかえす。マテリアルはむしろ、ごく限られていて、恩田晃はそれを拡張し再編することで、いくつかの場面を描きながら、音にギリギリ意味を与え、生まれるそばからそれを脱臼させていく。その方法論はミュージック・コンクレートのそれであり、ダンスミュージックの系譜へ現代音楽の接続点でもある(『テクノ・ディフィニティヴ』前半をご参照ください)、というか、恩田晃はヒップホップへ外から接近し、その原理へ探る課程で、音素にまで細分化していったサンプリング・ミュージックの傾向に逆行しながら、コラージュないしはモンタージュの大らかさ、いいかえれば、大雑把さに可能性を見いだしたのではないか。もちろんそれは万能ではない。万能ではないが自由ではある。カセットに吹きこんだ音はたしかに自分が録ったものだが、あらためて聴き直してみたり、一部をとりだしてみたりすると印象がまるっきり違う。『South Of The Border』は、いや、〈Cassette Memories〉はそのときの発見を元になっている。読者諸兄よ、思いだしていただきたい。恩田晃は2005年にはじめてメキシコを訪れた。このアルバムの音源がすべてそのときのものかどうか私は知らないが、いつのものであっても、それが記憶の領域にあれば発見の対象となる。つまるところ、忘却がなければ発見はない。忘却とは記憶の深さであり、記憶の不在の発見であるから、日付や場所を特定してしまっては発見する自由をかえって殺ぐ。恩田晃はかつて「カセットは日記代わりだった」といったが日記そのものではない。ようはアリバイではない。それよりも、何気なくきった日付の打たれていない旅先のスナップに近くはないか(恩田晃はもともと写真家でもある)。たいしたものは写っていないが空気をとらえている。私は写真が好きだから、写真集なぞもよく目にするのですが、写真は撮影者の技量とか手法とかによらず、写す場所の空気がつねに写っている。海外の写真と国内の写真はまちがえようがない。これは海外に行ったとき、風景以前に空気がちがいに驚くのと同じだ。過去の写真が記憶をくすぐるのは写っている対象のせいばかりではない。重要なのは記録ではなく風化であり、欠落した部分を休符のようにあつかいながら、忘却と現在の耳とが語らい、音楽ができていく。にもかかわらず/だかこそ、それが官能的な質感をもつのが恩田晃の音楽家としての資質である。

 ここからは付記になります。ついでといってはなんだが、恩田晃の近況もお知らせしたい。彼は去年の9月、鈴木昭男、吉増剛造と大友良英のデュオを招聘し北米をツアーしてまわったという。そのときのルポが『現代詩手帖』の2013年1月号に載っているので興味のある方は手にとってみてください(ele-kingの読者にはシブすぎるかもしれぬが)。鈴木昭男は「アナラポス」というリヴァービー(というかリヴァーブそのもの)な創作楽器をはじめ、「日向ぼっこの空間」(1988年)などのサイトスペシフィックな作品でも知られる丹後の湖のほとりに住むサウンド・アーティスト。詩人・吉増剛増が詩と朗読とともに、それらと内奥で結びついた多重露光写真や映像をもちいたパフォーマンスを行うのはよく知られている、かもしれないし、大友良英については多言を要しまい。この三者を結びつけることで、恩田晃が何を見せ聴かせ感じさせたかったのか、ここまでおつきあいいただいた読者にはおわかりのことと思う。

SónarSound Tokyo 2013、出演情報第3弾が発表 - ele-king

 エイドリアン・シャーウッドとピンチという大御所から、ロンドン・オリンピック開会式においてもあらためて大きな存在感を見せつけたカール・ハイド、そしてアクトレスやニコラスジャー、ダークスターといった俊英までをきっちり押さえるソナー・サウンド・トーキョー2013。第3弾となる今回の出演者発表ではLFOやジョン・タラボットに加え、日本勢においてもトーフビーツやサファイア・スロウズらが名前を連ね、じつにかゆいところに手の届いたラインナップを見せつけてくれている。今後も映像上映や展示、トークショーなど続報が段階的に発表されるとのことだ。目が離せない!

SónarSound Tokyo 2013 :: 4/6 & 4/7 ::
at ageHa | Studio Coast

ミュージック+アート+テクノロジーの祭典、
SónarSound Tokyo 2013 第3弾出演者発表!

LFO、Shiro Takatani、John Talabot、Toe... 一挙16組の追加アーティストを発表!
そしてRed Bull Music Academyがキュレーションする"SonarDôme"の出演者も明らかに!
そして大阪公演『A Taste of Sonar』開催決定!

一昨年、昨年と二年連続で入場制限までかかるほどの大人気を博した" SonarDôme "今年もRed Bull Music Academyがキュレーションを務めることが決定!

今回もRed Bull Music Academyの卒業後も確実に実力と可能性を拡げながら、精力的に世界中で活躍しているアーティストたちをラインアップ。

日本からは、アキコ・キヤマ、ダイスケ・タナベ、ヒロアキ・オオバ、sauce81、ヨシ・ホリカワが出演。さらに、現在ベルリンを拠点に活動し、サイケでムーディでベースへヴィーなビートミュージックで知られ、昨年<Ninja Tune>との契約が話題となったテクノ・プロデューサー、イルム・スフィア、ロンドンで活動するエレクトロニック・ミュージックのプロデューサー/DJ、OM Unit、UKよりエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーxxxy、そしてアカデミーが縁で生まれたダイスケ・タナベとのユニット、キッドスケより、UKのキッドカネヴィルが来日。世界で4,000通を超える応募者の中から狭き門をくぐりアカデミーへと選ばれた才能が、SonarDômeで炸裂します。Red Bull Music Academyが誇る、最先端の音楽を堪能してください。また、追加ラインナップ等も近日発表しますので、ご期待ください。

*Red Bull Music Academyより特典として、SonarDômeに出演するキッドスケのエクスクルーシブ・トラック「Mighty」が以下URLよりフリーダウンロード!
【2月22日(金) 日本時間 19時より】
https://www.redbullmusicacademy.com/magazine/kidsuke-mighty-premiere


今後も驚くべきハイクオリティなラインナップを続々発表予定。
また映像上映や、メディア・アート作品の展示、トーク・セッションなどなど、今後の発表にも注目!

SónarSound Tokyo 2012 の初日はソールドアウトし、残念ながら会場に行けなかった方もおりますので、お早めにチケットをお買い求め下さい!

■日時
4/6 sat
Open/Start 21:00
LFO NEW
Sherwood & Pinch
Boys Noize DJ Set
Actress
John Talabot NEW
Submerse NEW
Sapphire Slows NEW
and much more...
4/7 sun
Open/Start 14:00
Karl Hyde
Nicolas Jaar
Darkstar
Shiro Takatani:CHROMA NEW
Toe NEW
Green Butter NEW
Tofubeats NEW
and much more...
Red Bull Music Academy presents SonarDôme NEW
Akiko Kiyama, Hiroaki OBA, ILLUM SPHERE, Kidsuke, Om Unit, sauce81, xxxy, Yosi Horikawa and more...

Produced by: Advanced Music / Beatink


■チケット詳細

[前売チケット]
1Day チケット: ¥7,750
2Day チケット: ¥14,500

[当日チケット]
1 Day チケット: ¥8,500

*2DAY チケットは、BEATINKオフィシャルショップとe+、チケットぴあのみでの販売。
*4月6日(土)の1DAYチケット及び2DAYチケットは、20歳以上の方のみ購入可

■前売チケット取扱い
BEATINK On-line Shop “beatkart” (shop.beatink.com)
チケットぴあ(P:189-692) t.pia.jp, ローソンチケット(L:74641) l-tike.com, e+ (eplus.jp),
イベントアテンド (atnd.org) *Eチケット

■注意事項
4月6日(土)は、20歳未満入場不可となり、入場時に年齢確認のためのIDチェックを行います。運転免許証・パスポート・顔写真付き住基カード・外国人登録証のいずれか(全てコピー不可)を ご持参ください。
You Must Be Over 20 Years Old With Photo ID To Enter for 6 Apr (sat) show!

■MoreInformation
BEATINK www.beatink.com 03-5768-1277
www.sonarsound.jp www.sonar.es


■大阪公演決定!!!
バルセロナ発、今や世界的に高い評価を集める最先端のフェスが遂に大阪に上陸!そして2日間のイベントとして開催が決定!日本初となる今回のA Taste of Sónarは、SónarSound Tokyo 2013の出演アーティストの中から特に強力なラインナップを選出し、二つの異なる会場で行われる。
1日目はニコラス・ジャー、シャーウッド&ピンチ、アクトレスはじめ、過去ソナーに出演経験のある日本人アーティスト達が出演。
2日目は、ソロ・アルバムをリリースすることで話題のアンダーワールドのカール・ハイドがバンドと共に出演する他、ダークスター、日本からはアルツが出演。

A Taste of Sónar in Osaka
Day1 4/5 Fri

Universe
open/start 18:00 ticket: tbc
Nicolas Jaar
Sherwood & Pinch
Actress
and more...
Day2 4/8 Mon
Umeda Club Quattro
open/start 18:00 ticket: ¥5,800 Adv.
Karl Hyde
Darkstar
ALTZ

A Taste of Sónar
ソナーのサテライト・イベントとして、これまでロンドンなどでも開催されてきたA Taste of Sónar(テイスト・オブ・ソナー)。本家ソナーのDNAを受け継ぐイベントは、今回の大阪開催が日本初となる。



 なぜ日本ではレコード・ストア・デイがもう少し一般化しないのだろうか? 2008年からはじまった、フィジカル・リリースとそのインディペンデントな流通を盛り上げるための祝祭は、途切れることなくしかも規模を拡大して今年も開催されるようだ。

 そもそもは限定盤の店頭流通によって近所の小さなレコード・ショップなど小規模(で良心的)なお店を活性化させようといったコンセプトがあったわけだが、アーティストも積極的にこの機会を活用したらいいのにと常々思う。「レコード・ストア・デイ限定」として、CD-RでもカセットでもMDでも、余裕があるならヴァイナルをプレスして、カジュアルにリリースするのは楽しいことである。

 海外では、ほとんど名前をきかないようなアーティストから大御所まで、リリース数は年々増えている。日本のショップだと早々に完売する商品すら珍しくない。だが日本のアーティストの作品はとても少ない。キャリアは関係ないのだ。音源をフィジカルでリリースしたことのない人も、レコード・ストア・デイ・デビューとして、この機会を活用してはいかがだろうか。

 坂本慎太郎が前回にひきつづき今回も「レコード・ストア・デイ限定」を打ち出しているのは、心強いことである。しかも彼の作品のうち、完全にリミキサーの手に委ねるかたちでのリミックスはこれまでリリースされたことがないということだから、コーネリアスと石原洋、ふたりが聴かせてくれる内容も非常に楽しみである。

坂本慎太郎remix 7inch vinyl『幽霊の気分で (コーネリアスMIX) & 悲しみのない世界 (石原洋MIX) 』発売決定!

1月11日にシングル『まともがわからない』、2月15日に同7インチ・ヴァイナルをリリースした、坂本慎太郎のリミックス7インチの発売が決定しました。
 
昨年、雑誌『Sound & Recording Magazine』の企画で付録CDとして発表され話題になった、『幽霊の気分で (cornerius mix)』が待望のアナログ化です。
アルバム『幻とのつきあい方』収録のオリジナル・ヴァージョンが、コーネリアスこと小山田圭吾の手により、完璧なコーネリアス・サウンドに。
そして今回新たに、ゆらゆら帝国のプロデューサーである石原洋が、最新シングル収録の(TX系『まほろ駅前番外地』OST曲)“悲しみのない世界”をリミックス。
音数を最小限に削ぎ落とした、石原にしかできない深淵でメロウなミックスに。
どちらも坂本と縁の深いアーティストによる、好対照で素晴らしいミックスが収録された、両A面7インチ・シングルに仕上がりました。

今回は両曲とも、バンド時代から数多の坂本作品にコーラスとして参加している、Fuko Nakamuraのヴォーカルが前面にフィーチャーされており、「坂本慎太郎 feat. Fuko Nakamura」名義でのリリースになります。

坂本本人が完全に他人に委ねたリミックス・ヴァージョンのリリースは初になります。 

また、今回「レコード・ストア・デイ2013」の限定7インチとして、店頭のみの販売になります(各店web/予約販売は行いません)。

https://www.recordstoreday.jp/index.html#a1

世界的にも再びアナログ盤が重要メディアになってきているいま、まさにこの春の最重要7インチ・ヴァイナル! 今回も特殊二つ折りジャケットで、全国のレコードショップ店頭にて4月20日(土)発売予定です! 

■発売日
2013年4月20日 (土) zelone recordsより
■タイトル・詳細
坂本慎太郎 feat. Fuko Nakamura
Shintaro Sakamoto feat. Fuko Nakamura 
A: 幽霊の気分で / In A Phantom Mood  (Cornelius Mix)
AA: 悲しみのない世界 / World Without Sadness (You Ishihara Mix)
All Songs Written by Shintaro Sakamoto

A: Remixed by Cornelius
Additional Instruments: Keigo Oyamada
Recording, Programming & Mixing: Toyoaki Mishima

AA: Remixed by You Ishihara
Additional Instruments:
Piano: Fuko Nakamura
Guitar: Soichiro Nakamura
Guitar & Bass: You Ishihara
Recording & Mixing: Soichiro Nakamura at Peace Music

Mastered by Soichiro Nakamura at Peace Music, Tokyo Japan  2013

■品番
zel-009 (7inch vinyl)

■価格
¥1,050 (税込) 

■関連サイト
official HP: www.zelonerecords.com
official twitter: https://twitter.com/zelonerecords
official face book: https://www.facebook.com/zelonerecords
distribution: Jet Set Record : https://www.jetsetrecords.net/

■Cornelius (コーネリアス / 小山田圭吾) 
1969年東京都生まれ。'89年、フリッパーズギターのメンバーとしてデビュー。
バンド解散後 '93年、Cornelius(コーネリアス)として活動開始。現在まで5枚のオリジナルアルバムをリリース。
自身の活動以外にも、国内外多数のアーティストとのコラボレーションやREMIX。プロデュースなど 幅広く活動中。
https://www.cornelius-sound.com/

■石原洋(イシハラヨウ)
ミュージシャン、サウンド・プロデューサー。
80年代半ばよりWhite Heaven, その後The Starsを主宰。2008年The Stars解散後はソロ名義で不定期に活動。
96年の「Are you ra?」以降、最終作「空洞です」までのゆらゆら帝国の全作品やOgre You Assholeの近年の作品などのブレインとしてサウンド・プロデュース、アレンジ、リミックスを手がける。
他に朝生愛、Borisなどプロデュース、リミックス作品多数。

■RECORD STORE DAY
RECORD STORE DAYはCHRIS BROWNが発案し、ERIC LEVIN、MICHAEL KURTZ、CARRIE COLLITON、AMY DORFMAN、DON VAN CLEAVEとBRIAN POEHNERによって創始された、全米の700を超え、海外に数百を数えるレコードショップとアーティストが一体となって近所のレコードショップに行 き、CDやアナログレコードを手にする面白さや音楽の楽しさを共有する、年に一度の祭典です。限定盤のアナログレコードやCD、グッズなどが リリースされ、多くのアーティストが全米各地、各国でライブを行ったり ファンと交流する日です。
2008年4月19日にはMETALLICAがサンフランシスコのラスプーチン・ミュージックでオフィシャルにキックオフをし、以降は毎年 4月の第3土曜日にRECORD STORE DAYが開催される運びとなりました。
https://www.recordstoreday.jp/index.html#a1

■坂本慎太郎
1967年9月9日大阪生まれ。
1989年: ロックバンド、ゆらゆら帝国のボーカル&ギターとして活動を始める。21年間で、3本のカセットテープ、 10枚のスタジオアルバム、1枚のスタジオミニアルバム、2枚のライヴアルバム、1枚のリミックスアルバム、2枚組のベストアルバムを発表。
2006年: アートワーク集「SHINTARO SAKAMOTO ARTWORKS 1994-2006」発表。
2010年: ゆらゆら帝国解散。解散後、2編のDVDBOXを発表。
2011年: salyu×salyu「s(o)un(d)beams」に3曲作詞で参加。自身のレーベル、zelone recordsにてソロ活動をスタート、1stソロアルバム「幻とのつきあい方」を発表。
2012年: 以前から交流のあるYO LA TENGOのジェームズ・マクニューのソロ・プロジェクト”DUMP”の”NYC Tonight"にREMIXで参加。
NYのOther MusicとFat Possum Recordsの新レーベル”Other Music Recording Co" から、「幻とのつきあい方」がUSリリース。
2013年: 1月11日Newシングル「まともがわからない」リリース。



ホロノミックディスプレイが作動した - ele-king



 年明けから間もない2013年1月4日のことだ。日本時間の午後1時すぎに目が覚めて、僕はいつもどおりリヴィングへふらふらと歩き、ノートPCを立ち上げた。ヴェイパーウェイヴ周辺の連中がなにやら興奮してツイートをしているのを見て、貼ってあったURL(https://jp.tinychat.com/spf420)をクリックすると、ヴィデオ・チャットの画面へ飛んだ。ディスプレイに映されたのは日本企業のCM映像。高速で流れていく英文の会話。毒にも薬にもならない浮ついたスローな音楽。僕はおもわず誰もいないリヴィングで声をあげた。なんてこったい! そこは、ヴェイパーウェイヴの連中のフェスティヴァル会場だった。そのときはインフィニティー・フリークェンシーズ(Infinity Frequencies)がプレイをしているらしかった。

 〈#SPF420〉とタグで銘打たれたフェスティヴァルの形式はこうだ。ストレス(STRESS)と名乗る女性が司会として、次の出演者を生の音声会話で紹介する。あらかじめ『YouTube』にアップ済みの出演者紹介の映像を流す。それから出演者が演奏を開始する。プレイ中のVJは出演者みずからがチョイスしているときもあれば、ブラックサンセッツなるアカウントがVJをしていた。演奏が終わると、画面が真っ暗になり、観客はチャットに拍手の意(「CLAP」など)をみんないっせいに打ち込む。そして、ストレスがふたたび司会をはじめ、次の出演者紹介をする。最後までこれの繰り返し。

 集まったチャットの参加者(観客)はこのフェスティヴァルに興奮していたようだ。「ラグジュリー・エリート(Luxury Elite)がいるの? まじ?」などと言っている者もいた。現住国を発表する流れでは、アメリカはもちろん、ヨーロッパやアジアからの者も多かったが、日本と答えたのは僕のみ。しかしまあ、チャットの内容はだいたいがなんの意味も生産性もないやりとりだ。「Lana Del Gay」や「James Vaporro」などと、ミュージシャンの名前を(特に「Gay」で)もじった言葉遊びが多くを占めた。それが高速で行われる。ヴェイパーウェイヴとそこからの波を追いかけつづけている日本のブロガー・ポッセ『Hi-Hi-Whoopee』のアカウントも日本語でチャットに入ってきたが、「会話についていけない」とぼやいて消えてしまった。チャットでやりとりをするには一瞬にして文脈を読んでいかなければならなかった。僕も慣れるには時間を要した。このイヴェントは以前にも行われており、日ごろからチャットに手馴れているユーザーが多かったようだ。司会のストレスは、来場したユーザーのみんなに丁寧な挨拶をしていた。このフェスを開催できたことが心から嬉しかったのだろう。見ていて気分がよくなる雰囲気があった。

 出演者も興味深い。音楽評論家アダム・ハーパーによって「#Vaporwave」というタグが生まれる前から、それにあたる作品を発表していたプリズム・コープ(Prism Corp)ことヴェクトロイド(Vektroid / New Dreams Ltd.など名義多数)やインフィニティ―・フリークェンシーズのほかに、彼らに触発された、いわば第2波といえるアカウントのラグジュリー・エリートや福岡在住を自称するクールメモリーズ(coolmemoryz)(おそらく元「t r a n s m a t 思 い 出」名義)が混合している。そこに、〈アギーレ〉(Aguirre)からのリリースをひかえていたアンビエントやノイズのトランスミュート(Transmuteo)や、〈アムディスクス〉(Amdiscs)からのヴェラコム(VΞRACOM)などニューエイジな装いのメンツも合流している。そして、どうやらこのカオスに貢献していたのは、チャズ・アレンを名乗るビートメイカーであるメタリック・ゴースツ(Metallic Ghosts)のようだ。先のYouTubeのアカウント然り、フェスのアートワークも彼が担当していたと思われる。

 トランスミュートの瞑想的なノイズはすばらしく、熱狂的な歓迎を受けていた。しかし、この日もっともおおきな拍手喝采の言葉で迎えられた大本命は、やはり、ヴェイパーウェイヴで最も有名になってしまったプリズムコープ:ヴェクトロイドだ。ウェブカムの前に彼女/彼ははっきりとその姿を現した。ときどきFBIのマークをVJに出現させハプニングの音を混ぜる茶目っ気をみせながら、まさにホテルのラウンジやプラザのBGMに最適なミューザックのループを延々と披露した。それはつまり、市場において消費者である僕たちが知るかぎりこの世でもっとも退屈で決して家に持ち帰ることのない音楽=ミューザックだが、いまや世界各国の物好きが、それらをインターネットの画面の奥に集積したゴミのような情報のなかから拾い上げ、面白がっている。挙句の果てには、それをグチャグチャに歪め、ズタズタに切り刻み、垂れ流したそのクソに浸りながら深夜にPCの前でハッパをキメるわけだ。現にヴェクトロイドは、ボングを用いてウィードに火をつけて吸引する自らの姿を何回もウェブカムで生中継した。『facebook』では彼女の姉妹ということになっている司会のストレスも別枠で吸引の様子を一瞬だけ映す。情報デスクVIRTUALの曲名にあったとおり、彼女たちはミューザックをウィードブレイク(#WEEDBREAK)のBGMに活用している。自室でひとりPC画面の前でにやつきながらウィードを吸引するヴェクトロイドの姿は、まるで部屋の外のなにかから逃げようとしているようだった。

 この日、ヴェクトロイドは2回出演し、アンカーの際には衣装をレトロなスタイルに変えていた。彼女はなぜか全角英字でチャットに参加する。繰り返されるウィードブレイク。観客にもウィードや酒の摂取を呼びかける。僕は、ログインしたときに「Daniel Lopatin」なるアカウントが参加者のなかにいたことをチャットに書いた。彼らは知っているのだと思ったが「まじ?」「どうせ誰かの偽アカウントだろ」という反応がかえってきた。事実、僕はたしかに見た。ダニエルとヴェクトロイドのあいだには交流があった(註2)ようだし、彼が見ていても不自然な話ではないと思った。やがて観客たちは口々に「ありがとうダニエル」とつぶやきはじめる。ヴェイパーウェイヴがダニエルの「斜陽会社」=〈サンセットコープ〉からはじまったことを誰もが自明に感じていると言えるだろう。

 フェスティヴァルも終幕に近づき、ストレスがアフターパーティーの会場『Turntable.fm』のURLを告げる。同サイトは閲覧を米国ユーザーのみに限っているため、米国外の観客はここでお開きとなった。ストレスは米国外のユーザーへ丁寧に謝罪しつつ、来場者への感謝の意をなんども書き込んだ。やがてジオデジックとして知られる下城貴博がヴェクトロイドへのラヴコールを書き込んだ。ヴェクトロイドは握りこぶしに親指を立て、ニヤリとした笑みで応える。やがて、音楽は止んだ。時計を見ると午後4時をまわっていた。

 正直に言えば、このフェスティヴァルが終わった瞬間、僕はおおきな虚無感と倦怠感が心の奥底からこみ上げてきた。なにせ、結局のところただのチャットにすぎない。音楽なぞ、ほとんどミューザックの垂れ流しである(註3)。ただただ退屈を空回りするだけであった。部屋を1歩でも出れば、現実がしっかりと待っている。窓の外はいつのまにか夕方だった。日本ならまだ日中だが、米国時間では深夜に、こんなくだらないことを「世界中の孤独なティーンがベッドルームで行っている」(Tomad)(註4)のだ。しかも、ウィードと酒をあおりながら。
 後日、ダラー・ジェネラル=司会のストレスは、ヴェクトロイドの言葉を最後に引用しながら、こんな挨拶を『facebook』に残している。

 とにかく、本当にありがとうと、今夜のイヴェントに来てくれた美しい人々に言いたいです。きみらみんな本気で超最高だよ。タイニーチャットにに来てくれた一人ひとりの力添えなしにSPF420が成功することはなかったでしょう。(出演者への挨拶。斎藤により中略)
 我々は100を突破しました! 134人の参加者が集まったよ、みんな! (135のときにキャプチャーできればよかったけど、ああもう)

 またすぐにみなさんとインターネットで会えることを願っています、
 SPF420: SPF420: Welcome To The Workplace.™
(日本語訳:斎藤)
#SPF420FEST 2.0: WELCOME TO THE NEW ERA:
https://www.facebook.com/events/...


 おおきな喜びが伝わってくる文面だが、彼らにはディスプレイの外へ出てくるつもりがないようにも読める(註5)。はたして、彼らの指す「The Workplace.™」とは、ベッドルーマーにとって逃げ場となる仮想空間なのだろう。無職であることがうかがわれるようなツイートを何度もしているヴェクトロイドが自らへの最大の皮肉として言っているようにも思える。
 だが一方で、ヴェクトロイドはときおり現実空間のパーティーに出演しており、2月に入ってからもマジック・フェイズ(Magic Fades)とともにギャラリーでパフォーマンスをしている。さらに、〈トライアングル〉の主宰バラム・アキャブがヴェクトロイドとのスプリットで7インチをリリースする旨を発表したばかりだ。

 はたして、ヴェイパーウェイヴァーは現実において「仕事場™」を拡張することができるだろうか。
 日本ではプラモミリオンセラーズで知られる鈴木周二がventla名義でヴェイパーウェイヴに触発された作品を発表しつづけており、§✝§(サス)やジオデジックはライヴ(註6)でその地平を切り開こうとしている。それはまた、べつの機会に......。

今日、我々とともに新たな世界へ加わりましょう......よりよい明日のために。

Prism Corp. International
We Know Who You're Working For.™
(日本語訳:斎藤)
札幌コンテンポラリー | BEER ON THE RUG:
https://beerontherug.bandcamp.com/album/-

空はあなたに従います。。。
安全に走行
悔なし

Farewell,
New Dreams Ltd.

(原文ママ)
PrismCorp™ Virtual Enterprises | New Dreams Ltd.:
https://newdreamsltd.tumblr.com/post/38483741858

 2012年、ヴェクトロイドはウェイパーウェイヴのベッドルーマーを引き連れ、「よりよい明日」のための「新たな世界」を目指して飛行した。それが情報デスクVIRTUALであり、セイクリッド・タペストリーではついに空を(下に)従えることに成功したのだ。

 そして2013年、ホロノミックディスプレイが作動した


(註1)
特別編集号 2012 ソーシャルカルチャーネ申1oo The Bible』より。アルバート・レッドワインは『ザ・ニューヨーク・タイムズ』からもインタヴューを受けている

(註2)
昨年の11月末にはヴェクトロイドがOPN(=ダニエル・ロパーティン)に謝罪のメールを送ったとツイートし、同日にOPNも「ヴェイパーされた」とツイートしている

(註3)
なお、このフェスティヴァルの音源や映像の一部が『facebook』のイヴェントページからチェックできる

(註4)
紙『ele-king vol.8』の「キャッチ&リリース」より。ちなみに、トマドが主宰する〈マルチネ〉はシーパンクのイメージを模したダウンロード・ページや、限定Tシャツをリリースしたtofubeatsも情報デスクVIRTUALをお気に入りにあげている

(註5)
対照的に、アダム・ハーパーによってヴェイパーウェイヴの文脈でも語られてしまったファティマ・アル・カディリは、積極的にイヴェントへ出演している。その様子は工藤キキが本サイトでも伝えている

(註6)
サスは音楽的にはウィッチハウスやシンセウェイヴに近いがウェイパーウェイヴの意匠をまとったライヴを行っており、ジオデジックはヴェイパーウェイヴのイヴェントを開催したいとツイートしている

以上-----------------------------------------------

可聴域をこえて - ele-king

「湧声」とは何だろう?
サウンド・アーティストtmymturによる音響作品『呼応』が来月リリースされる。サウンド・アートとリラクゼーション・ミュージックとの間をきわどく縫い合わせる実験作の登場だ。「声」というものが持つ一種の神話性を、周波数という科学で微分しながら、さらに強固な神話として再度呼び込むかのような音響構築。タネも仕掛けも精緻に施されているが、タネや仕掛けだけでは分け入れない「湧声」という音の森に、身体と心を預けてみたい。

幾千の声が織り成す音の創造物「湧声」

人間の可聴域をこえる超音波を含むtmymtur独特の声を5000層以上重ね生み出される音の創造物『湧声』。
そのひとつである"05.09.2012/0"が、様々なサウンドアーティストたちの意思、またその奥にある無意識の領域と呼応し、新たな創造物へと変化を遂げる。

【「湧声」とは】

tmymtur独特の声を、超音波を録音可能なマイク、録音機器を使用し、5000層以上重ねることで有機的に溶け合い生まれた、声のみによる音の創造物。
tmymtur独特の声質は、超音波領域を含み、周波数20kHz以上の人間の耳では聴き取れない可聴域を超える高周波が発生しています。
自然の音にも超音波は多く含まれ、川のせせらぎや木の葉の間をそよぐ風の音など、人間が心地よいと感じる自然音のほとんどに含まれています。これらの成分は人間の脳をリラックスさせる効果をもつともいわれています。

【Profile
tmymtur
website : https://ensl.jp/tmymtur

声に含まれる超音波による知覚のない感覚と、多重声の生気溢れる音楽的共感覚を作用させる独自の手法で、心の深層に真理を導く音楽を探究する。
2012年超音波を録音可能なマイク、録音機器を使用し、人間の耳では聴く事の出来ない超音波を含む声を5000層以上重ね、声のみで発生させる音の創造物「湧声」を発表。
2013年には、可聴域を越える20kHz以上の高周波の発信を可能にした音響設備をアサヒ・アートスクエアに構築。「湧声」を発生させ、意識の領域にはない、すべてのものが繋がる共有する何かを感じさせる音響空間創出サウンドアート・ライブを試みる。

【作品情報】
アーティスト名: tmymtur
タイトル名: 呼応
リリース日:2013年3月18日
フォーマット: digital (96kHz/24bit)
時間: 64:41.622
レーベル名: ENSL AMDC
品番: en005
値段: 3,150 JPY (Tax in)
バーコード: 4582466630015

Track listing:
"05.09.2012/0" Taylor Deupree remix
"05.09.2012/0" Yui Onodera remix
"05.09.2012/0" i8u remix
"05.09.2012/0" Celer remix
"05.09.2012/0" Christopher Willits remix
"05.09.2012/0" Mark Harris remix
"05.09.2012/0" Sogar remix
"05.09.2012/0" Opitope remix
"05.09.2012/0" Stephan Mathieu remix



新しい宇宙が見えるかもしれない - ele-king

 ジェフ・ミルズ×毛利衛。思えば意外な組み合わせではないのかもしれない。昨年ふたりは初めて対面し、お台場の日本科学未来館ではトーク・セッションも行われたが、ジェフが宇宙に寄せるあまりにも一途で純粋な思いは、彼の質問や、毛利の回答に目を輝かせる様子からもありありと伝わってきた。また一方で、毛利の宇宙観も近年では「ユニバソロジ」という科学者としてはいっぷう変わった概念へと結実していて、その広がりのなかに今回のようなコラボレーションが生まれたことは不思議ではない。

 トーク・セッションで印象に残った話のひとつに、光(闇)の体験談がある。それは「宇宙の黒を知っていますか」――言い回しに異同はあるかもしれないが――というような問いかけからはじまる。われわれが普段「黒」と認識している色は、光の反射によって認識されている「黒色」だ。ざっくりと言えば、光が黒いものに当たり、それが反射され、われわれの目に「黒」という色が映っている。だが宇宙の黒は違う。宇宙では光が返ってこない。光は行ったきり戻ってこず、そこに存在するのは、何の反射でもない、まさに無の光(闇)。あの真っ暗さは黒とは明らかに違うのだ......。
 『ホエア・ライト・エンズ』というタイトルからは、思わずこの話が思い出された。光が終わるところとは宇宙なのか、それとも。

 毛利衛によるオリジナル・ストーリーと、それをもとに制作されたというジェフ・ミルズの最新音源を収めた『ホエア・ライト・エンズ』。これは貴重なコラボレーションであるばかりでなく、新しい宇宙のイメージが歴史に書き重ねられる瞬間であるかもしれない。アルバム収録は初だというリミックス音源も期待される。

ジェフ・ミルズの新作『Where Light Ends』は日本科学未来館館長・宇宙飛行士 毛利衛氏とのコラボ!!

テクノシーンを代表するDJ/プロデューサーであるJEFF MILLS(ジェフミルズ)。伝説的なテクノ・ユニット、Underground Resistanceの一員として活動していた活動初期、そしてソロとして活動を開始してから現在に至るまで、“宇宙”というテーマにこだわり続け、多くの作品の中で表現し続けてきたアーティストだ。

昨年、自ら主宰する音楽レーベル〈Axis Records〉が創立20周年を迎え、その活動の集大成として20周年記念盤『SEQUENCE』をリリースし、同時に新章へと向けた展開を開始、その第一弾となる作品はなんと、1992年、スペースシャトル、エンデバーに日本人として初めて搭乗した毛利衛氏とのコラボ作品だ。

現在、日本科学未来館館長を務める毛利衛氏とJEFF MILLSは昨年2012年に初対面。様々な意見が交換されると同時に、毛利氏はJEFF MILLSに未来館の「Geo-Cosmos」(1000万画素を超える高解像度で、宇宙に輝く地球の姿を映し出す有機ELパネルを使った世界初の地球ディスプレイ。日本科学未来館のシンボル展示)が展示されるシンボルゾーンで流れる音楽の制作を依頼(これまでは坂本龍一氏によるオリジナル音楽が流れていた)、またJEFF MILLSは、エレクトロニック・ミュージックとスペーストラベルを毛利氏とミックスしていくというアイデアを提案、毛利氏が快諾したことにより、2つの音楽プロジェクトが始動することになった。

JEFF MILLSが音楽を製作するにあたり、実際に宇宙空間に身をおいた毛利氏の宇宙観を共有するため、毛利氏がオリジナル・ストーリーを作成、これを元にジェフ・ミルズは最新作『Where Light Ends』を制作したということで、2人の出会いによって誰も想像し得なかったコラボレーション作品が誕生することになる。

なお、この作品は2CDとなっており、DISC2には日本人リミキサー陣による作品が収録される予定。過去、JEFF MILLSの作品をリミックスしたのは、KEN ISHIIとBEN SIMSの2人のみで、これらの楽曲も数量限定の12インチアナログとして発売されたのみ。JEFF MILLSの楽曲のリミックス作品が収録されるのは今回が初めてとなるということなので、そのラインナップが気になるところだ。

JEFF MILLSの新作「Where Light Ends」は3月27日にU/M/A/Aより発売される。

【商品情報】
テクノシーンを代表するDJ/プロデューサー ジェフミルズと日本科学未来館館長・宇宙飛行士 毛利衛による最強宇宙コラボ!

JEFF MILLS
「Where Light Ends」

2013.3.27 release


Cat No.:UMA-1015-1016
価格:¥2,580 (税抜 ¥2,457)
仕様: 2CD / ブックレット / ジュエルケース

[DISC 1] "Where Light Ends" オリジナルアルバム
1. T-Minus And Holding
2. STS-47; Up Into The Beyond
3. Light Of Electric Energy
4. Black Cosmic Space
5. Earth And The Geo-Cosmos
6. Life Support
7. Centerless
8. The Inhabitants
9. Deadly Rays (Of A Hot White Sun)
10. Extra Solar Planets (WASP 17b)
11. Way Back

[DISC 2]リミックス集
日本人アーティスト達によるリミックス曲を収録。

[ブックレット]
毛利衛(日本科学未来館館長・宇宙飛行士) によるオリジナルストーリーを収録したブックレットを封入、Jeff Millsによる作品解説、各リミキサーによる作品解説収録予定。

interview with DIVORCE Music (Darcy Spidle) - ele-king

「モントリオールは不正な行政の不正な都市であり、多くの狂った計画と同時に、しかし、多くのマイナーな奇跡がある美しく腐った町だ」と、GY!BEは語っているが、その「多くのマイナーな奇跡」は、モントリオールからずっと東の小さな小さな町、日本人のほとんどが記憶にないであろう、ハリファックスでも起きている。その小さな小さな町からさら東に離れた、北大西洋沿いの小さな小さな小さな村のシェゼットコックには、20年以上も続いているレーベルがある。名前は〈ダイヴァース〉、昨年末リリースされたユール・ネヴァー・ゲット・トゥ・へヴンのデビュー・アルバムが都内のレコード店で話題となったことで、ささやかながら注目を集めている。

 〈ダイヴァース〉のレコードを手にして、鼻を近づければ、潮のにおいがするかもしれない。いや、気のせいだろう。だが、レーベルを主宰するダーシー・スパイドルが、近場の海でサーフィンをやりながら、作品を出していることは本当だ。その合間に彼は、地元のライヴやフェスティヴァルに協力している。
 それにしても、ウェットスーツを着たごつい男が、ティム・ヘッカーやグルーパーを愛聴するというライフスタイルは、趣味の良い日本人からすると奇妙に見えるかもしれない。波に乗ったあと部屋に戻って、マイ・キャット・イズ・アン・エイリアンを聴くなんて。
 しかし、波の音とドローンはミックスされ、北海道よりも緯度が高い場所で暮らしながら、サーフボードはエレクトロニック・ミュージックの海を浮かび、レイドバック音楽を背後に、ピエール・バスタインやエイメン・デューンズを聴いている。それは、インターネットが普及したとんに、わざわざ限定のアナログ盤やカセットのリリースが拡大したこととも関連しているだろう。つまり、「多くのマイナーな奇跡」が起きたことで切り崩され、創出された。それがいま我々が接しているDIY文化、いわゆるアンダーグラウンド(インディではない)・シーンなのだ。

多くの、そして小さなレーベルがカナダにはある。それらレーベルはこの国に、強いシーンを育てようとしている。君が知っているようなカナダのアーティストは、最初はみんなカナダの小さなレーベルからデビューしている。この数年で、カナダの音楽シーンはとんでもない成長を遂げている。

あなたのバックボーンについて教えてください。

D:もともとは、自分の音楽を発表するために〈ダイヴァース〉をはじめた。僕はまだ若く、地元の音楽産業をちょっと経験したぐらいだった。でも、産業は僕のものではなかった。僕の求めているものではなかったんだ。そのとき、僕は、音楽ビジネスの怖さを覚えたと言っていい。
 僕は自分の作品を出して、それをひとりでやりたかった。最初はCDRのリリースからはじめた。初期のリリースは、まったくの手作りだった。リリースのスケジュールを守るために、ずいぶんと労力を要したものさ。
 やがて、僕はディストリビューターや製造業者と付き合うようになった。そして、自分以外のアーティストの作品のリリースもはじめる。だけど、基本は変わっていない。僕は、ブラック・フラッグの〈SST〉から大きな影響を受けている。80年代前半、アメリカのパンク・ロックは、北米におけるインディペンデント・レーベル文化の基礎を築いた。その流れで生まれたモンリオールの〈エイリアン8〉というレーベルからもインスピレーションを受けた。日本のメルツバウ、マゾンナ、中嶋昭文など、素晴らしい実験的な音楽をたくさん出していたからね。

レーベルは何故〈ダイヴァース〉(別離/離婚)と名付けられたのでしょう?

D:僕がメインストリームの音楽産業から離れたかったからだ。僕は、本当に産業を嫌悪した。〈ダイヴァース〉は、絶対的な「別離」の試みだった。レーベルをはじめたばかりの週末のことだった。僕は自分の住んでいる町のポストにこんなフライヤーを投函してまわった。「音楽はゴミだ。音楽と絶縁せよ(Music is Garbage.DIVORCE Music)」。ずいぶん愚だったけれど、それがそのときの僕だった。


シェゼットコックにあるこの家で暮らしながら、レーベルを続けている

この10年、カナダのアンダーグラウンド・シーンは他国との交流も盛んで、とてもたくさんの成果を生んでいると思います。

D:まさにその通り。この10年はカナダの音楽にとってとても重要な時期だった。大きな都市のシーンはそれぞれ特徴を持って発展している。また、インターネットによって、アンダーグラウンドの音楽家たちは10年前より自由な活動をなしえるようになった。また、ここカナダには、若干とはいえ、適切なアート資金提供プログラムがある。カナダの才能ある人がアーティストでいられることは現実的なオプションのひとつなんだ。
 といっても、それは簡単なことではない。ライヴ・シーンは、アンダーグラウンド・ミュージックをサポートするにはまだ小さい。本当に成功するためには、アメリカとヨーロッパに進出しなければならない。いくつかの実務業務と財政のため、それは多くのカナダのアーティストにとって大きなタスクとなっている。

あなたは、レーベル活動のため、音楽が盛んなモントリオールに引っ越しませんでしたよね?

D:モントリオールはたしかにカナダでもっとも栄えた音楽都市だ。多くの友人、バンド仲間もモントリオールに移住している。しかし、僕はモントリオールに行かなかった。ノヴァスコシアに留まって、ここを離れるつもりはない。

ハリファックスがもっとも近い地方都市ですが、そこには音楽シーンがありますか?

D:ハリファックスには、強い音楽シーンがつねにある。ホントに小さな町だけれど、そこには、何百ものバンドとアーティストがいる。アンビエント、エレクトロニック、それからハードコア・パンクまで、あらゆるジャンルがある。
 レーベルもいくつもある。たとえば〈Electric Voice〉〈Snapped in Half〉なんか。しかも、たくさんの国際的なフェスティヴァルもある。「Halifax Pop Explosion」、我々が関わっている「OBEY Convention」。いろいろある。
 僕たちの町は小さいから、カナダの大都市からもアメリカからも孤立しがちになる。そこからバンドを連れてくるのも難しい。だからこそ逆に、地元のオーディエンスとバンドは互いに深くインスピレーションを与え、支え合っていると言える。それが音楽コミュニティの形成に役立っているんだ。


USのフリー・ジャズ・ドラマー、Jerry Granelliも〈ダイヴァース〉から作品を出している。
ハリファックスでの演奏 (photo by Pierre Richardson)


アルバムを控えているJfm@OBEY Convention 5 in Halifax (photo by Pierre Richardson)


Darcy and Courtney@Electric Voice in Halifax

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大量生産の果てに生まれたCDは、いまや無限に複製されるデジタル音楽となっている。ゆえに、アナログ盤とカセットが限定盤(有限)としてリリースされることには意義がある。リスナーにとっても、100個しか作られないカセットのひとつを買うことは、急進的で、冒険的な行為なんだ。

グルーパー、USガールズ、ゲイリー・ウォーなどといった僕らの大好きな実験的なアーティストと〈ダイヴァース〉はとても友好的な関係にあるようですね。

D:僕はハリファックスでその人たちがやるときはいつもサポートしている。その人たちの演奏を聴いたときは、本当にぶっ飛ばされた。彼らはすでに世界的クラスのアーティストだった。
 僕が彼らの音楽を好きな理由は、音楽のなかで自分の本当の感情を伝えるために実験的な手法を取っているというところにある。進歩的な考えと感情との組み合わせが、僕は彼らの音楽のなかでもっとも惹きつけられる点だ。

いままでどのくらいリリースしているんですか?

D:正確な数はもう憶えていない。カタログ上では、いま52枚リリースしたことになっている。そこには、2~3のデジタル・リリース、アナログ盤、カセット、それからジンも含まれる。あともうすぐ発表される『Lowlife』という映画との関連作品もある。


映画『Lowlife』から

インターネットの普及がいろいろなものを破壊的なまでに変えてしまいました。カナダはいかがでしょうか?

D:カナダも日本と同じだと思う。ほとんどの音楽はネット上にある。音楽リスナーにとっては良い時代だと言えるだろう。アーティストにとっても自分の露出が増えたわけだから、ポジティヴな効果もあると言えばある。だが、供給は増え、需要は減少している。しかも、多くのリスナーは、アルバムが商品だった時代にくらべて、音楽にありがたみを感じていないかもしれない。
 とはいえ、こうしたなかで前向きな活路を見いだしているアーティストもいる。たとえばティム・ヘッカー。ツアーをして、限定盤を発表する。グルーパーもそういうタイプだ。彼らは実験的なやり方で生計を立てている。10年前、彼らのような規格外のアーティストが世界的な支持を得ていたとは思えない。これは、自分たちが本当に尊重したいアーティストとレーベルを自分たち自身でサポートするという、リスナーの純粋な気持ちがもたらしている事態だ。実際、多くのリスナーはその選択を選んでいるし、ますますそのようになると僕は思っている。

オンライン・マガジンの『Weird Canada』を見ると、多くのレーベルやアーティスト、たくさんのカセットのリリースも見つけることができます。カナダのアンダーグラウンド・シーンは健康な状態だと言えますか?

D:そう思う。多くの、そして小さなレーベルがカナダにはある。それらレーベルはこの国に、強いシーンを育てようとしている。君が知っているようなカナダのアーティストは、最初はみんなカナダの小さなレーベルからデビューしている。『Weird Canada』は、アンダーグラウンド・コミュニティを育て、そして繋ぐ役割をしている。この数年で、カナダの音楽シーンはとんでもない成長を遂げている。

今日、アンダーグラウンド・シーンでは、アナログ盤とカセットでのリリースが主流になっています。こうした傾向に対するあなたの意見を聞かせてください。

D:デジタルの飽和状態が続くなか、アナログ盤のリリースは有益だと思う。単純な話、音楽リスナーにとって本当に好きな盤であるなら、手元に置きたいと思うだろう。そして、アナログ盤があって欲しいと願うと思う。大量生産の果てに生まれたCDは、いまやデジタル音楽として無限に複製されている。ゆえに、アナログ盤とカセットが限定盤(有限)としてリリースされることには意義がある。リスナーにとっても、100個しか作られないカセットのひとつを買うことは、急進的で、冒険的な行為なんだ。
 作品とリスナーとの関与の仕方についても、こうしたリリースには考えさせられるものがあるんじゃないかな。デジタルに複製され、ばらまかれたものを「黙って買え」と言われるより、よほど身体的な関係性が生まれるわけだから。

あなたが昨年出したYou'll Never Get To Heavenのデビュー・アルバムがとても気に入りました。あなたは彼らのどこが好きなんですか?

D:YNGTHは、その実験性と感情へのアクセスがスムーズなところが良いと思う。実に珍しい混合の仕方をしている。初めて聴いたとき、瞬く間にその世界にハマってしまった。従来のポップス構造の範囲内で、彼らのような合成の仕方でアンビエントの組成物を利用することは、珍しいと思っているんだ。彼らは大きなバンドだと思っている。この先、将来、彼らといっしょに何かできると良いと思っている。

この先の予定について教えてください。

D:4月は、トロント電子音楽とヴィジュアル・アーティスト、JfmのためのLPを控えている。そして我々は、ベルリン/トロント作曲家エイダン・ベーカーによるとびきり重たいドローンのLPも出すよ。



最後に、あなたのオールタイム・トップ10を教えてください。

D:それはタフな質問だ。以下、大きな影響をもらった作品を挙げておく。これらの作品はつねに聴いている音楽ではない。しかし、明らかに自分が取り憑かれたように聴いた作品だ。僕に新しい世界の扉を開けてくれた作品なんだ。

Alice Coltrane - Journey in Satchidananda
Kraftwerk - Radio Activity
Ornette Coleman - The Shape of Jazz to Come
John Fahey - Days Have Gone By Vol. 6
Black Flag - In My Head
Pharoah Sanders - Karma
The Boredoms - Vision Creation Newsun
Merzbow - Pulse Demon
Discharge - Hear Nothing See Nothing Say Nothing
Peter Brötzmann - Machine Gun


ダーシー・スパイドル

Chart - JET SET 2013.02.18 - ele-king

Shop Chart


1

坂本慎太郎 - まともがわからない (Zelone)
1stソロ・アルバム『幻とのつきあい方』から約一年。坂本慎太郎待望の新作7インチがリリース。坂本慎太郎が劇中音楽を担当するテレビ東京ドラマ24「まほろ駅前番外地」のエンディング・テーマの為に書き下ろした新曲「まともがわからない」。そして、カップリングにも新曲「死者より」を収録!!

2

Med, Blu & Madlib - Burgundy Ep (Bang Ya Head)
Med、Blu、そしてMadlibという注目タレントのトライアングルが放つ全9トラック収録Epが、新興レーベルBang Ya Headからリリース! Georgia Anne MuldrowやDj Romesも参加した話題盤!

3

V.A. - Soul Spectrum Records Vol.1 (Jazzman)
既に廃盤となっている人気曲も多数収録。しかもAshley BeedleとTom Nobleによるリエディット収録でボーナス7"まで付いた超強力コンピ!!

4

Asphodells - Ruled By Passion, Destroyed By Lust (Rotters Golf Club)
クラブ・ミュージックとサイケデリック・ロックを誰よりも鋭く高次元で融合させたインディ・ダンス・オリジネイター、Andrew Weatherallの最新ユニットによる待望のニューアルバム!

5

Kh - The Track I've Been Playing That People Keep Asking About And That Joy Used In His Ra Mix And Daphni Played On Boiler Room (Text)
もちろん今回も即完売必至。凄まじく長いタイトルで届けられた、タイトル通りJiaolong主宰Daphniもプレイしまくりで話題のトライバル・ミニマル完全限定プロモがこちらです!!

6

Dj Fett Burger & Dj Grillo Wiener - Disco Tre & Disco Fire (Sex Tags Ufo)
Sony Norgから、Annieとのミックス作品をリリースすることでも知られる、Dj Fett Burgerと、Dj Grillo Wienerによるスプリットシングル!

7

V - 13th District Ep (Nuearth Kitchen)
シアトルを拠点とする先鋭レーベルNuearth Kitchenからの登場となるのは、ファンクやジャズへの傾倒著しいエクスぺリメンタルなハウス作品を披露するVakulaの新プロジェクト"V"名義でのフル・アルバムが待望の入荷!

8

Lucas Arruda - Sambadi (Favorite)
Azymthを彷彿とさせる超絶品。Favoriteからのメロウ・ブラジリアン・フュージョン・グルーヴ!ブラジル・リオ出身の新鋭クリエイター、Lucas Arruda。おなじみFavoriteから、Andre Solomko Meets Azymthなデビュー・7インチ!

9

Oh No - Disrupted Ads (Kashroc Entertainment)
『Ohnomite』,『Dr. No's Kali Tornado Funk』を経てリリースされるドス黒最新アルバム!ゲスト陣はBlu、Med、Gangreneといったお馴染の面々に加え、Chali2naとRoc 'c'によるコンビ=Ron ArtisteやGeorgia Anne Muldrow、Souls Of Mischief、9th Wonderの秘蔵っ娘Rapsodyらが参加!

10

Angeline Morrison - The Feeling Sublime Ep (Freestyle)
4曲とも凄いソウルフル・ポップ・ヴォーカル驚異の新人!Lack Of AfroやFrootfulの作品にフィーチャーされていた白人女性歌手Angeline Morrisonのソロ・デビュー7インチ!

Supermaar (aka DJ MAAR) - ele-king

DEXPISTOLSのDJ MAARのソロプロジェクト。
あらゆる音楽を通過し、たどり着いた先、戻った先。
Deep HouseとTechnoを軸にしつつも、持ち前のヤンチャ心で、日々生まれるフレッシュな音源をグルーヴと低音をキープしながらMixしていく。もう一人のオレ。3番目のオレ。
Dope me, me from Madness.

Recently Play List


1
Barnt / Geffen
完全なるクラブサウンド。家で聴いても、その良さが1ミリも分からない最高な1曲。

2
Shlomi Aber / Foolish Games Feat Moggli
ズブズブしながらも歌い上げてる感じが、最高。Deep HouseとTechnoの程良い中間地点。

3
COS/MES / D.F.G. feat. Dr. Nishimura
こんなのが、あったとは、、、。日本が誇る最狂タッグ。西村さん、超リスペクト。

4
&ME / Everless 
所謂Houseマナーを完全に継承している、旬なHouse。ハマれるし、踊れる。

5
Raz Ohara / El Zahir (Acid Paul's Acid Dub)
理由は、無いけどグッとくる1枚。後半のAcidな展開が、アイディア賞もの。

6
Nu Zau / Pason
カッコイイ。クセは全くないけど、それこそが、今風の最大なクセなのかも。

7
Dark Sky / Hequon 
黒くて、太くて、危険なヤツ。レーベル50 Weaponsにハズレなし。

8
Heiko Laux & Alexander Lukat / Bleak
ド不良な音。激ワル、極悪。大好物だけど、上手く使いこなせるか心配。。。

9
Sis / Foxy (Butch's Raw Cut)
絶妙なバランス感が良い。あった様で無かった感じ。色んなジャンルを横断しそうな1曲。

10
Supernova / Last Night In NY
音は今っぽくないのに、ナゼか今っぽく聴こえる曲。ロケ地がニューヨークってのも不思議。
次点 wAFF / Ibiza
何だかんだで、こういう感じ嫌いじゃない。タイトル通り考える前に、踊れ!騒げ!!的なアンセム。
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