「IR」と一致するもの

Likkle Mai - ele-king

 「リクルマイとは何者か?」といま問われれば、反原発運動の最前線で闘う勇敢なレゲエ・ミュージシャンであると僕は答える。震災後、「音楽に何ができるか?」という騒々しい議論に加わるよりも先に、素早く、そして大胆に路上に出て声を上げたのが彼女だった。また、津波の被害にあった地元の岩手県宮古市の漁村を支援するために、LOVE BOAT基金を設立している。とはいうものの、より重要なのは、彼女の音楽が常に一貫しているということだ。彼女の創り出すレゲエ・ミュージックは震災以降、時代の変化に伴い説得力を増しているが、時代に左右されない普遍的な輝きが最大の魅力だということを強調しておこう。

 いまさら僕なんかが指摘する話ではないけれど、リクルマイが、彼女の敬愛して止まないボブ・マーリーから多大な影響を受けていることはよく知られている。ボブ・マーリーの伝記『ボブ・マーリー レゲエの伝説』の著者スティーヴン・デイヴィスは、「マルクス主義者は、彼の音楽の中に、戦闘と蜂起への呼びかけを聴いた。黒人は、ボブの書いたすべてのことに素直に共鳴できた。一方、若い白人のファンは、全人類の愛と友好のメッセージを受け取った」と簡潔に記しているが、それらすべてを全身全霊で体現してきたのがリクルマイだ。前作『マイレーション』の"Come Together For I&I"を聴いてみよう。彼女は、ボブ・マーリーのワン・ラヴの精神をストレートに歌い上げている。ちなみに、この曲を絶賛したスミス&マイティのロブ・スミスが、リクルマイのリミックスを手がけたというエピソードもある。

 リクルマイは、90年代後半から00年代前半をレゲエ・バンド、ドライ&ヘビーのヴォーカリストとして活動している。2005年に脱退したのちにソロ活動をはじめ、『ルーツ・キャンディ』『M W』『マイレーション』という三枚のアルバムを発表、『ダブ・イズ・ザ・ユニヴァース』は通算四作目のソロ作品となる。『ダブ・イズ・ザ・ユニヴァース』は、リクルマイが最も愛する70年代のジャマイカのルーツ・レゲエを基調としている。彼女の音楽は、例えばバニー・リーやジョニー・クラークのようなルーツ・レゲエに直結しているわけだが(ジョニー・クラークの名曲"Every Knee Shall Bow"のカヴァーも収録されている)、次々にさまざまな表情を見せるリクルマイの歌とリクルマイ・バンドの演奏はとにかく楽しい。甘いメロディのロックステディがあり、マイナー調のワンドロップ・ダブがあり、迫力のあるホーン・セクションにバックアップされた直球のルーツ・レゲエがある。ダブ・エンジニアを務めるのは内田直之で、"Open Your Eyes"の強烈なダブ・ミキシングを手がけるのは、キング・タビーの門下生であるサイエンティストだ。そしてレゲエのみならず、ファンクやソウル、ロックやブラジル音楽にまで造詣の深いリクルマイらしい音の拡がりがあり、それが彼女のレゲエの豊穣な魅力となっている。

 ざっくりと言ってしまえば、リクルマイのようなインディペンデントで活動しながら、カネが物を言う巨大な資本主義システムに対抗して生き抜いてきたレゲエ・ミュージシャンが、資本主義の暴走が生み出した利権まみれの原発に反対するのは当然のことだと思う。つまり、カネよりも大切なものがあるというもっともな主張を繰り返してきただけとも言える。だから何も彼女は、震災以降に、突然意見を変えたわけではない。

 政治的抵抗という意味においては、次の2曲のパンチラインにすべてが集約されている。"I Seh No"で「願うだけではもの足りない/経済至上主義の名の下で/世界中の富を吸い上げる/Vampireを許してはいけない」と経済的グローバリズムを批判し、"Just One Love Is All"では、「海山汚され/住処奪われ/どんだけ私らコケにされたの/この国とこの電力会社に叫んでやりましょ/原発やめろ!!!」と国家と電力会社にはっきりと怒りの矛先を向けている。メッセージはシンプルだが、彼女の肝っ玉の据わった行動力と歌唱力によって、突き刺さるような説得力を持って迫ってくる。

 ある反原発デモでリクルマイとTHE Kが"Just One Love Is All"をパフォーマンスしていたときのことだ。渋谷の繁華街に轟く彼女の怒りのこもった歌声に聴き入っていると、唐突に背後から肩をとんとんと叩く人物がいた。振り返ると、そこにいたのはデモでよく見る中年の私服の刑事だった。身構える僕に彼は、「良い歌だなぁ」と衒いなく感想を述べた。友人から聞いたところに拠ると、また別の刑事は「リクルマイのファンになった」と本気で告白したという。これ、本当の話ですよ。なにもここで警察との交流をセンチメンタルな美談にしたいのではない。敵対関係にならざるを得ない人間の耳を開かせ、心を揺り動かす、リクルマイの天真爛漫な歌声に感服しているのだ。やたらにピース&ラヴだけを謳うレゲエはどうにも胡散臭いし、怒りを表明することがまるで軋轢や対立を生む不毛な行為であると勘違いしているようだ。怒りは創造的な行為であるというのに。

 『ダブ・イズ・ザ・ユニヴァース』には、反骨精神とともに、自由や寛容、または多様性を愛する精神がある。つまりそれらすべてをひっくるめたものが、ボブ・マーリーの提唱したワン・ラヴとも言える。リクルマイのおおらかな歌声とリクルマイ・バンドの開放的な演奏にもよく現れている。その点において、美しい旋律が印象的なラヴァーズ・ロック風の"さよならバビロン"から"A Small Boat Is Sailing"の流れはとくに素晴らしく、テーマはシリアスだが、歌詞と曲調には遊び心と豊かな情緒がある。

 政治的勝利のために自由や寛容、愛が蔑ろにされるようなことがあれば、それはあまりにも悲しい。いまリクルマイのレゲエのリラックスしたムードが心地良く響くのは、うだるような暑さのせいだけではないだろう。2012年の緊迫した政治的情勢の渦中で、『ダブ・イズ・ザ・ユニヴァース』を聴いて、逞しくも、とろけるような甘い愛を抱きしめたくなるのは、おそらく僕だけではないはずだ。ENJOY LONG HOT SUMMER!!

近すぎるから 気づかないのか
近すぎるから 傷付け合うのか
優しさの木は 心の中で
あなたの訪れだけを 待ちわびる
"A Small Boat Is Sailing"


 追記:リクルマイさんが、8月9日の夜、〈club cactus〉という乃木坂のクラブでレゲエ・ミュージシャンのヒビキラ氏と「プロテストソング~レゲエの役割~」というトーク・ライヴをやります。マイさんの熱いレゲエ談義を堪能しましょう! https://clubcactus.jp/schedule/2012/08/talk_live.html

DJ END (B-Lines Delight / Dutty Dub Rockz) - ele-king

B-Lines Delight/Dutty Dub Rockz主宰
栃木のベース・ミュージックを動かし続けて10数年。へヴィーウェイト・マッシヴなDrum&BassパーティーRock Baby Soundsystemを主宰。同時に伝説的なレコード・ショップBasement Music Recordsでバイヤーを務め栃木/宇都宮シーンの様々な下地を作った。現在はDutty Dub Rockzに所属、北のリアルなベース・ミュージックの現場を作り出すべくスタートしたパーティーB-Lines Delightを主宰している。
https://soundcloud.com/dj-end-3
https://b-linesdelight.blogspot.com/
https://duttydubrockz.blogspot.com/

B-Lines Delight 2nd Anniversary Special!!!!!No.1ダブステップ・パーティ、Back To ChillよりGOTH-TRADとENAを迎えて開催します!

B-Lines Delight×BACK TO CHILL
2012.09.29(sat) @SOUND A BASE NEST
Special Guest:GOTH-TRAD [DEEP MEDi MUSIK/Back To Chill] / ENA [IAI/Cylon/7even/HE:Digital/Horizons]
info : https://b-linesdelight.blogspot.jp/ https://club-nest.com/

DJ END REWIND CHART


1
Ryoichi Ueno - Blast - Dub
https://snd.sc/QLZlus

2
Kahn&Neek - Percy - Bandulu Records

3
Champion - Crystal Meth - Butterz

4
Djrum - Mountains Pt.1(Pedestrian's Pirate Radio Remix)/Turiya(Tessela Remix) - 2nd Drop

5
Alex Coulton - Bounce/Bounce(Pev Version) - 999YTIVIL

6
Bandshell - Dust March - Hessle Audio

7
Trusta - Feels So - Swamp81

8
Falty DL - Hardcourage - Ninja Tune

9
Kowton - Des Bisous - Pale Fire

10
Outboxx - Ep - Immerse

Dum Dum Party 2012 - ele-king

 7月1日、〈河口湖ステラシアター〉で開かれた「Dum Dum Party 2012」は、ビッグ・フェスティヴァルが当たり前のこのご時世で、原点回帰をうながすような内容だった。

 Dum Dum Llpがヴァセリンズを呼んだ理由は、好きだからだ。2009年に設立されたこのイヴェント会社の名前は、ヴァセリンズの代表曲"Dum Dum"から取られている。「当初からいくつかバンドを呼びたいと思っていたけれど、まさかこんなに早く彼らを呼べると思っていなくて、早い段階で最終地点に着いてしまったような感じがしているね(笑)」と、今回の招聘について、Dum Dum Llp代表の富樫陸氏は話してくれた。
 今回のイヴェントのプロモーターでもあるOffice Glasgowの安永和俊氏はこう語る。「もちろん商業的に成功しなくてはいけない部分もあるけれど、まず企画する側が好きなバンドを呼んで、バンドを好きな人たちが会場に集まる。そして日本のことが好きなアーティストがライヴをする。ハッピーでしかないからね。当たり前のようだけど、それがいちばんでしょ」
 Corneliusの小山田圭吾氏は今回のイヴェントについて、富樫氏に向かいこう言ったそうだ。「これ、完全に富樫君のイヴェントだよね(笑)」

 日本の大きなイヴェント(フェスティヴァルなど)は、このようなシンプルなモチヴェーションを失ってはいないだろうか。ミュージック・フェスティヴァルとはそれを好きな人たちが好きな文化のためにはじめたもので、その主役は"音楽"と"リスナー"だったはずだ。
 僕も自分でイヴェントを開催したことがある。現在もいくつかのイヴェントのお手伝いをする機会があるので、企画する側の苦労などは(その規模によってかなり違うが)、ある程度は理解はしているつもりだ。自分が思っているようにアーティストは集まらないし、集客などはとても不安だった。経済的なリスクがつねにある。
 しかし、「イヴェントをなぜ企画するのか」というもっとも大切な命題にぶつかったとき、意外と答えは簡単に見つかる。好きだからやる。イヴェントは、その音楽を輝かせる手段、ルーティーンでは決して味わえない自由な空間を創造することなんだと僕は思う。
 ここ5年くらい、僕も毎年のようにいろいろなフェスティヴァルに出かけている。近年はそのイヴェントに「参加している/共有している」というよりも、「普段見れないアーティストを見に行っている」という感覚のほうがどうしても強い。いわゆるショーケースとして受け止めている。そういう意味で7月1日の「Dum Dum Party 2012」は、自分も忘れていたフェス的なものへの初期衝動を喚起させてくれたのだった。

 当日は、ヴァセリンズの"Dum Dum"と相対性理論の"Qkmac"が収録された、限定のスプリット 7インチ・シングルが発売されていた(もちろん即ゲット)。そうそう、この日出演者はスティーヴィー・ジャクソン、ヴァセリンズ、相対性理論、ゲストに小山田圭吾。流行やビッグネームに頼らない、企画側の愛情がわかる、面白い組み合わせだったと思う。だいたい平日の月曜を翌日に控えた日曜日の夕方から山中湖でやるイヴェントには、本気で好きな人しか来ないだろう(笑)。

 スティーヴィー・ジャクソンはベル・アンド・セバスチャンよりも内省的で、もの哀しくも、やさしく包み込むような歌声が良かった。山地特有の天候が独特の雰囲気を醸し出し、ちょっとグラスゴーの風景を空想してしまった。

 スティーヴィー・ジャクソンがリード・ギターとして入ったヴァセリンズは、フランシス・マーキーのチャーミングな赤いスカートが華々しかった。ところ"Oliver Twisted"で演奏がはじまると、そんな可愛い印象は一転。ファズのかかった挑発的なギター・サウンド、ユージン・ケリーとフランシス・マーキーによる男女ツイン・ヴォーカルに乗せられながら、ステージは矢継ぎ早に展開。"Molly's Lips"では小山田圭吾と安永和俊が登場、ホーンを演奏した。"Son of A Gun"あたりから座っていたリスナーも立ち上がり、踊りはじめた。"Dum Dum"を演奏する前のMCで、Dum Dum Llp関係者などに感謝の言葉を述べた。会場は拍手に包まれ、"Dying For It"がはじまった。

 相対性理論は、リヴァーヴのなかで溶け合うふたつのドラムが躍動的だった。ボサノヴァ風のアレンジや、やくしまるえつこのヴォーカリゼーションは魅惑的だった。小山田圭吾をギターに迎えたその日最後の曲、"ムーンライト銀河"は白眉だった。甘いノイズ・ギターは、どこまでも遠くへ続くようだった......。それは企画側の愛情のこもった気持ちの良いフェスティヴァルに相応しい幕引きだった......。

Chart JET SET - ele-king

Shop Chart


1

Missing Linkx - So Happy (Philpot) /
SoulphictionとMkによるプロジェクトMissing Linkxによる最新作!Moodymannの作風に通ずるブラックネスを放つ"You Ain't Hip"が脳髄直撃!

2

Michel Cleis - Mir A Nero (Pampa) /
2012年サマーアンセム、最有力候補!Cadenza等から数々の傑作をリリースした事でもお馴染みスイスの気鋭プロデューサーMichel Cleisによる最新作!

3

Sunlightsquare - Heart's Desire (Sunlightsquare) /
超人気ラテン・バンドSunlightsquare、今回は、フリーソウルとしても再評価されたのあの曲です。B面はスピリチュアル・ジャズ・ファンク名曲カヴァー!!

4

Ondatropica - S.t. (Soundway) /
Flowering Inferno、Combo Barbaroでのアルバムや数々の過去音源発掘等でコロンビア~ラテン音楽の再評価を盛り上げてきたQuanticによる最終到達地点。

5

Large Professor - Professor @ Large (Fat Beats) /
Large Professorの新作が遂に全貌を現しました! 客演にはBusta, Lil Fame, Tragedy, Mic Geroinoのベテラン勢から、Action Bronson, Saigon, Roc Marcianoまで豪華メンツが参加!

6

Karriem Riggins - Alone (Stones Throw) /
プロデューサーとしてSlum VillageやErykah Baduの作品でも手腕を振るった氏のオール・インストゥルメンタル・アルバム!

7

Hazel - Lost Tapes (The Beat Down) /
Onra主宰レーベルからのデビュー12"が話題騒然となったクリエイターの新作アルバム!客演には若手筆頭株のDrakeや、Bbeからのリリースで知られるSlakah The Beatchildをフィーチャー!

8

J Rocc - Minimal Wave Edits Vol.1 (Stones Throw) /
ミニマル・シンセ・リイシューレーベルMinimal WaveとStones Throwが強力タッグ!プロデューサーとしての資質も一級の彼が、90'sカルト・シンセサウンドを再構築。

9

Moody - Why Do U Feel Ep (Kdj) /
Kenny Dixon Jr. A.k.a. Moodymann手掛けるセルフ・レーベル"Kdj"からの話題新作が遂に解禁。Pv公開と共に話題を集めた昨年リリースの傑作「I Got Werk」も収録されています!!

10

Oddisee - People Hear What They See (Mello Music Group) /
客演には旧知のDiamond Districtの面々や、同郷ワシントンD.c.のソウルスター・Olivier Daysoul、Bullionとのスプリット盤でも話題を呼んだTranqill等が参加した全12曲。

 1992年のバルセロナ・オリンピック開会式で、歌うはずだったフレディ・マーキュリーがエイズで死去したために歌えなかった悲しい話は有名です。しかし、1999年にマンチェスターのIDMプロジェクト、モスリムガーゼの「イラン女子卓球チームのテーマ(Iranian Female Olympic Table Tennis Team Theme)」のリリースはあまり知られていません。彼らはイランの女子卓球チームが国の服装規制で出場できないことに抗議したのです。

 というわけで、ロンドン・オリンピックがはじまりました。男子日本サッカーは、大方の予想を覆して、必ずしも強い者が勝つわけではないことを証明しました。土曜日には柔道もはじまります。寝不足の日々が続きそうです。
 そして、ご存じのように、今回の開会式は、ダニー・ボイルとアンダーワールドがタッグを組んで、ポール・マッカートニーが"ヘイ・ジュード"を歌います。少し危険なコンビです。どうか失望させないことを祈るばかりです。セックス・ピストルズ(あるいはアークティック・モンキーズやローリング・ストーンズ)などの噂もありますが、どうなんでしょうね? さすがに女王を前に「ファシスト体制(fascist regime)」とは歌えないだろうと大方は予想していますが......。
 オリンピック開幕前の26日のハイドパークではディジー・ラスカルをトリにしたフェスティヴァルが開かれて、6万5千人が集まったと言います。閉会式には、ニュー・オーダーやスペシャルズ、ブラーが出てくるとも言われています。オリンピックと音楽はつねにセットです。ヴァンゲリスやクインシー・ジョーンズやジョルジオ・モロダーもオリンピックのために曲を作っています。今回のどこかの会場でウォッシュト・アウトやボン・イヴェールが流れても不思議ではないと『ガーディアン』は言います(あんな音楽が流れたら、まず記録は更新されないでしょう)。

 ジョン・ウィリアムスはロサンジェルス・オリンピックやアトランタ・オリンピックに楽曲を提供しました。フィリップ・グラスもロサンジェルス・オリンピックのテーマ曲を書いています。バルセロナ・オリンピックでは坂本龍一が登場しました。8年前のアテネ・オリンピック開会式ではビョークが歌いました。4年前の北京オリンピック閉会式ではジミー・ペイジがギターを弾きました。果たして今回の音楽はどうでしょう? 音楽にも注目しつつ、世界のスポーツを楽しみましょう(そしてイラン女性卓球にも注目しましょう)。

石野卓球 - ele-king

 YMOとクラフトワークとアンディ・ウェザオールとパレ・シャンブルグを聴いた後、という非常にヘヴィな状況で、もう帰ろうと思っていたんだけど、石野卓球がDJをはじめた途端にどんどんひとがフロアから出て行くという滅多にない光景を見てしまったものだから、それまでのすし詰め状態から自由に踊るくらいの余裕ができたダンス・フロアのど真んなかにわざわざおりていったら、卓球の繰り出す魔術的なビートに絡めとられて、しばらく踊り念仏と化してしまった。以前はほんとにしょっちゅう聴いていた彼のDJだけど、最近は本当にごぶさたしていて、それでなのか懐かしいようなとてもフレッシュなような、いろんな感覚がぐるぐると渦巻いた。

 初回から昨年まで、13年分の〈WIRE〉コンピに収録された卓球の曲を古い順に並べた今回の企画盤は、たぶん初回からずっと〈WIRE〉に通い詰めているようなオールド・ファンに同じような感覚をもたらすんじゃないかと思う。本作に関連したインタヴューでもアルバム収録の本人解説でも語っているように、初期の頃にはこのフェスの顔になるような、アンセム的な曲をオーガナイザー自ら提供している感じで、実際会場でも何度も耳にしてすごく記憶に残っているトラックが多い。途中からそういう意識が変わって、〈WIRE〉でのプレイ中に使うわけでもない、コンピの中の一曲というものになったという。当然、後半にいくに従っていわゆるオオバコ映えする派手なトラックからBPMも下がって、地味で実験的な曲が増えていくんだが、だからといって卓球らしさというか、「味」みたいな部分が減退しているかというとそんなこともなくて、むしろ歳を取るにつれてそのひとの本性が顕わになるみたいなところもある。
 去年のコンピからの収録曲"Five Fingers"は5拍子で、イントロからしばらくは普通の4/4のストレートな曲からは感じえない妙なきもちわるさがある。だんだんと音数が増えるとその異物感も緩和されて、卓球の持ち味のひとつであるトランシーな上物が輝き出すと、あっという間にその世界に引き込まれる。去年、WIREコンピを入手した後すぐループで聴いていて、この曲がすごく耳に残ったのを覚えている。そのときは5拍子だからっていうのはパッとわからなかったけど、いっぽうで彼が昔Mijk Van Dijkと作ってヨーロッパ中でヒットしたUltra-Takkyu vs Mijk-O-Zilla名義のトラックとよく似たハマリ系のトランシーさを持っていて、ずっと変わらない本質的な快楽原則を追求した部分と、そのチャレンジングな冒険とがこんな具合にブレンドされるのはすげえなと思ったのだ。しかも、それ1回では飽きたらず、今年のWIREコンピでも、今度は7/4拍子というまたも「変」なリズムを探求するという筋金入りの変態っぷりを披露している。
 毎年欠かさず〈WIRE〉に遊びに行っているロートルとしては、当時小学生だったリアル・キッズがいまや成人して堂々とオールナイトで酒飲んで大暴れできる年齢になってると改めて考えると衝撃を受けるが、そういう人たちがこのアルバムで石野卓球の〈WIRE〉における変遷をはじめて振り返るとどういう風に聞こえるのかは結構興味がある。おじさんは、懐かしさもあるから初期の曲にはもちろんかなり思い入れもあるし、いまでも全然かっこいいと思うんだけど、いまの耳で聴くならこっちかなというのは07年の"St. Petersburg"とか09年の"Slaughter & Dog"とか、もしくはボーナス・ディスクに入ってる10年の"Carrie"あたり。でも、こないだShin Nishimuraくんと、若いクラバーは、パンチの効いた往年の"ザ・テクノ"みたいなノリはあまり体験してないから、そういうのが逆に新鮮なんじゃないかと話していて、実際彼が自分のパーティに石野をゲストに呼んで「クラシック」をテーマにオーガナイズした晩も、どう見ても20代前半の若いお客さんが、10~20年前の曲でガンガンに盛りあがっていた。たぶん、90年代に一般化した編集/DJ的な聴き方や、00年代のiPod的シャッフル感すら遠くの過去のものにする感性を、彼らはもっているに違いない。

 歌謡曲でもロックでも、購買力があって思い入れが強いのは中高年のファンだから、そういう人たちに向けて再結成や懐メロ的な展開して一稼ぎっていうのはもうどこでもあたりまえの光景になってしまったけど、年代的にもキャリア的にもそろそろそういう部類に入りそうな卓球が、こういう「思い出を振り返る1枚」みたいな装いの企画をこなしながらも実際はまったく明後日の方向へひょいひょいと走ってることは感動的ですらある。

Your Favorite Summer Song - ele-king

 「夏が来た、路上で踊るには良い季節」......こう歌ったのは1960年代のマーサ&ザ・ヴァンデラスでした。彼女たちがデトロイト市内のホールでこの曲を歌っているときに、町では暴動が起きていたという話は有名です。
 さて、梅雨が明けて、夏到来です。スタンダード・ナンバーの"サマータイム"にたくさんの名カヴァーがあるように(ジャニス・ジョップリン、ニーナ・シモン、ブッカー・T&ザ・MG'S、サム・クック......)、この世界には夏をテーマにした名曲がたくさんあります。ビーチ・ボーイズは夏だらけだし、マーサ&ザ・ヴァンデラスには他にも"ヒートウェイヴ"があります、エレクトロニカ/IDMには『エンドレス・サマー』があるし、ハウス・ミュージックにもベースメント・ジャックスの「サマー・デイズEP」があり、チルウェイヴにはウォッシュト・アウトの「ライフ・オブ・レイジャー」があります。あるいはドナ・サマーやメキシカン・サマー......芸名やレーベル名が"夏"であるケースもあります。
 
 夏の音楽は多くの場合ロマンティックですが、セックス・ピストルズの"ホリデー・イン・ザ・サン"を聴いたら怒りがこみ上がってきて、ザ・ドアーズの"サマーズ・オールモスト・ゴーン"を聴いたら夏が終わってしまった気持ちになるかもしれません。そしてジミ・ヘンドリクスの"ロング・ホット・サマー・ナイト"を聴けば、あたり一面は燃え上がるでしょう。
 MFSBの『サマータイム』のアートワークに使われている写真も素敵ですね。熱波で焼けた路上でひとりの女性が水浴びしている姿にグッと来ます。
 日本の音楽にも多くの夏の曲があります。曽我部恵一"Summer '71"、フィッシュマンズの"夏の思い出"や"Sunny Blue"......RCサクセションなどはホントに多くの夏の曲を作っています。
 
 以下のチャートを見て、自分の「Favorite Summer Song」が入ってないじゃないかという方は、コメント欄に書いてください!


1
Martha And The Vandellas - Dancing In The Street

2
Miles Davis - Summertime

3
Jimi Hendrix - Long Hot Summer Night

4
Fennesz - Endless Summer

5
Sex Pistols - Holiday in the Sun

6
The Associates- Fire To Ice

7
The Ramones - Rockaway Beach

8
RCサクセション - 海辺のワインディイングロード

9
Alice Cooper - School's Out

10
The Beatles - Mr. Moonlight

11
RCサクセション - 楽しい夕に

12
Eddie Cochrane - Summertime Blues

13
The Style Council - Long Hot Summer

14
Best Coast - Summer Mood

15
The Doors - Summer's Almost Gone

16
Sly And The Family Stone - Hot Fun In The Summertime

17
The Drums - Saddest Summer

18
Pub - Summer Pt 1

19
MFSB - Summertime

20
The Beach Boys - All Summer Long

21
RC サクセション - サマータイムブルース

22
Girls - Summertime

23
Yo La Tengo - Beach Party Tonight

24
Bruce Springsteen - Backstreets

25
Pink Floyd -Summer '68

沢井陽子

The Beach Boys - Endless Summer

サマーソングといえば、いまのタイミング的にも真っ先にビーチ・ボーイズ。イメージが先行しているのですが、こちらは、1966年前のヒットソングのコレクションで、初心者も十分楽しめる内容。ロスアンジェルスにいた頃、ジョニー・ロケットというレトロなハンバーガー・チェーン店に行って、ハンバーガーとフライズを食べながら、ジューク・ボックスに"サーフィンU.S.A."を入れて、パーフェクトな夏を満喫した思い出があるので、曲も素敵だが、そのときのイメージも多々影響。楽しい出来事ばかりでなく"イン・マイ・ルーム"で、もの悲しい夏の残骸を胸に抱え、自分の心の中にグッとしまっても、最後に"グッド・ヴァイブレーション"が流れると、ドラマチックな夏物語を「まあ、いいか」とまるく収めてくれる。全体が、夏のさまざまなシチュエーションに当てはまり、イメージが膨らむが、サマーソングって、結局それが楽しいのです。

DJ Yogurt(Upset Rec)

RCサクセション - サマータイム・ブルース

"サマー・マッドネス"、"サマー・イン・ザ・シティー"、"サマー・ミーンズ・ファン"、etc...
いろいろな曲が頭に浮かんだけど、2012年の日本の夏にハマっているのは、エディ・コクラン作の名曲に、いまは亡き清志郎が日本語の歌詞をのせた"サマータイム・ブルース"ではないかと。「電力は余ってる、いらねー、欲しくねーー」。

大久保潤 aka junne(メディア総合研究所/大甲子園/Filth)

SxOxB - "レッツ・ゴー・ビーチ"("ドント・ビー・スウィンドル")

ハードコア・パンクはナパーム・デスなどにより"速さ"という点において90年前後にネクスト・ステージに進み、90年代半ばにはファストコアとかパワー・バイオレンスとか呼ばれる激速なバンド群がシーンを席巻した(あの頃はそういうバンドの7インチが毎週のようにリリースされて本当に楽しかったなー)わけだが、そのルーツのひとつが初期S.O.Bである。大阪ハードコア・シーンから現れた彼らは「世界最速」と謳われ、日本にとどまらず世界のハードコアに多大な影響を与えた。
そんな彼らの初期の代表曲のひとつが"Let's Go Beach"で、歌詞はただ「Hot Summe soon comes again.
Let's Go Beach. Let's Go Surfin」だけ。ハードコア・パンクとサーフィンという組み合わせ(当時はまだ日本ではハードコアとスケートの関係もあまり一般的じゃなかったはず)、そしてファスト・パートから後半はキャッチーなシンガロング(♪レッツゴサマービ~~~チ!)に移行するポップなセンスもおそらく当時は斬新だったろうし影響力もデカかったんじゃないかな。ポップに始まって一転して激速! みたいなのって90年代には(たぶん今も)本当にたくさんありましたからね。
この曲と、ハノイ・ロックスの"Malibu Beach Nightmare"とラモーンズの"ロッカウェイ・ビーチ"を「新・三大ビーチソング」とさせていただきます!(全然新しくないけど)

DJ Hakka-K (Luv&Dub Paradise)

Baiser - Summer Breeze

夏といえばレゲエやその他大好きな曲はたくさんあるのですが、僕がいちばん最初に影響を受けたDJ Soneが夏になると必ずかけてたのが、83年に発表されたこの曲。いまでも夏になるとレコード・バッグに入れておく想い出がたくさん詰まったDISCOの隠れた名曲です。

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山田蓉子

ピーナッツ - 恋のバカンス

言わずと知れた昭和歌謡の大名曲。中学生の頃からカラオケで必ず歌っているのだが、気持ちよくハモりながらひたすら「そっかーバカンスってのは、金色にかがやく熱い砂の上で裸で恋をするのねー。素敵」と思い続けてきた。全国民が一年中バカンスのことばっかり考えて暮らしているフランスで生活するようになったのも、そんな刷り込みのせいなのだろうか。でもまだ金色にかがやく熱い砂の上で裸で恋なんかしたことない。バカンスのために生き続ければいつかできるんだろうか...。
合掌。

why sheep?

私見ですが、夏は24,25と2日で勝負のクリスマスと違って日本人にも長丁場ですので、一曲に絞るのはむずかしいのです。

というわけで、アルバム単位で失礼します。これは、僕のサマー・ソングのオールタイム・フェイバリットで、オールタイムというからには理由があって、日本がどの季節であっても、暑くてビーチのあるところになら、僕が必ず持っていくアルバムだからでもあります。実家のある茅ヶ崎に帰郷する際はどんな季節であっても必ずです。

ちなみにわたくし、渋谷区神宮前生まれ、現住所湘南というプレミアムな、昔なら免許証だけでナンパできると言わましたがそれは昔の話で、もし免許証に写真を載せなくて良かったら、人生は今とずいぶん違ったことでしょう。さて、

閑話休題、

神奈川県茅ケ崎市の出身であればだれもが知ってることですが、
茅ヶ崎市民=サザン・オールスターズ・ファン
というのが公理となります。
茅ヶ崎市民≒サザン・オールスターズ・ファン
は許されませんし、
茅ヶ崎市民なのに≠サザンオールスターズ・ファン
はばれたらその場で公開処刑されます。

しかし、どんなところにも反逆者はいるもので、江戸時代の隠れキリシタンのように
そんな中でサザンを崇拝しなかったのがこの私です。もちろんサザンの曲も大好きですが、神宮前の生まれの私にはあまりにも野暮ったすぎました。

長くなるとあれなので順不同ということで三枚選ばせていただきますと、

Boz scaggs - Down To Then Left

もちろんbozの名盤といえばsilk degreesですし、一枚後のmiddle manは東海岸AORあげての名盤ですが、その中庸にあるこのアルバムなぜか期待されていたほどに売れませんでした。だからこそぜひ聴いてみてください。超ゴールド・ディスクのsilk・degreesの直後になんでこんなアルバム作ったのかと俄ファンは首をかしげたかもしれまえんが、ルーツと言えばパンクと忌野氏の話しかしない三田格が即座にこのアルバムの名前を言えるということだけお伝えすれば、ele king読者は気持ちは動くことでしょう。三田さんが好きかどうかは知りませんが。

Bobby Caldwell - Carry On

アルバムのすべての曲が珠玉としか言いようががありません!
邦題は原題とまったく関係ない「センチメンタル・シーサイド」と付けられてましたが、その心は当たらずとも遠からず。。
1980年代、日本のサマーリゾートの代表である湘南は傍目はアメリカ西海岸、(実情はサザン=茅ヶ崎駅南口)だったのですが、桑田圭祐もその音楽的ホームグラウンドであるという茅ヶ崎の現存するレコード屋さん「CHIYAMA」(桑田さんが青学に通ってる頃厨房の私が通っていた)につつましげに張ってあったポスターが忘れられません。
「マイアミの蒼い風」
そこにはそう書いてありました。
当時の日本の理想とするカリフォルニアでもなく、はたまた湘南の実情ださいヤンキー文化でもない、架空のビーチがあった!そこはマイアミ(本当のマイアミは行ったことないので知りません。。)
あぁ...哀れなるかなbobby caldwell。3枚目にして自身のもてるすべてを注ぎ込んだ、そして当時のレコード会社も起死回生を図って宣伝したこのアルバム、期待ほど売れませんでした。当然です。日本人はカリフォルニアしか頭になかったのですから。

長々と前節書きましたが、この感傷性の至高とも言えるアルバム。アラサー独身男子の方ならきっと理解してもらえることでしょう。はまっちゃったら一生結婚できないこと請け合いです。

さて最後、

J.D.Souther - You're Only Lonely

あぁ、このメロディーにこの歌詞に極め付けのこの声。同胞のイーグルスのほうが100倍有名ですが、彼はイーグルスの第五(第六だったかな?)のメンバーと言われるほどイーグルスに貢献したソロ・シンガー・ソングライターです。(名曲"New Kid In Town"は彼の曲)
一聴したら単なるアメリカの野暮ったいカントリー&ウエスタンの歌手と間違える人もいるかもしれませんが、よく聴いてくださいこの声。
現代音楽の大家メシアンは音を色に例え、詩人ランボーは言葉を色に例えたそうですが、わたしに言わせればJ.Dの声は「いぶし銀の声」と呼んでいます。
それをもっとも感じるのはこの前のアルバムの『Black Rose』収録の"Silver Blue"ですが、夏の間聴くべきはこのアルバムです。
とくに一押しは彼の出世曲の"You're Only Lonely"ではなく!!!!"If You Don't Want My Love"、このモラトリアムから抜け切れないガキっぽい歌詞が胸をえぐります。しかしなんといっても必聴すべきは、彼の声もさることながらハモンド・オルガンB3の旋律というかその音色!!!
はっきり言って"Let It Be"のBilly Prestonを軽やかに凌駕しています。その名はJai Winding。ちょっと調べた限りでは往時の人気スタジオ・ミュージシャンということですが、実際のところよくわかりません。"My Funny Valentine"のときのJimmy.Smithぐらい良い!!!知ってる人いたら情報求む!!!

それでもどうしてもと野田努に一曲選べと言われたらこの曲、

佐野元春
Heartbeat』収録 "Interlude"~"Heartbeat"
↑ここには私の少年ゆえの切ない恋愛体験がすべて詰まっております。くれぐれも("Interlude"から聴いてください)

他にも山下達郎の"Big Wave"(口が裂けても『Beach Boys』の"Pet Sounds"とか言いたくない)とかあるんだけど、この企画が来年も続いたらその時にでも。

おやすみなさい。みなさん家のエアコン止めてビーチでセンチメンタル・シーサイドしようぜ!

summer, 2012
why sheep?

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三田格(e-Busters...)

Wham! - Club Tropicana

なんてな

竹内正太郎

□□□ - 渚のシンデレラ

夏、夏か、、、。この、永遠に思わせぶりで無責任な季節は、これからもギリギリのところで前向きな予感たりえてくれるのだろうか? いや、しかしこうも明らかな異常気象が続き、つい先日も日本国内の最高気温都市の上位三位を独占したような場所に住んでいる身としては、サマー・ソングを悠長にセレクトするにも体力を使って仕方がない。しかし橋元優歩に催促され、限られた時間内に直感で選ぶとしたら、("真夏のラストチューン"も捨てがたいが)やはりこの曲になるだろう。クチロロがバンド編成時代に残したきらきらのクラシック。超多層構造のトラックをハイパーなまでに軽く聴かせるその手さばきは、今なお並々ならぬセンスを見せつけている。それはもう、嫌らしいほどに。ヴォーカル/大木美佐子の安定しない高音域もいい。夏は楽しく充実しているべきか? この疑問自体、広告業的な価値観に刷り込まれたちゃちな不安でしかないわけだが、優れたサマー・ポップは何度だってその空虚さを上塗りする。とても鮮やかに。パルコの広告にほだされ、私は今年も嫌々と海に出掛けるのだろう。一年に一度くらい、まったく見当違いの恋をしてみるのもいいものだ。それがどれほど軽薄なものであっても。「ここから物語は続く/忘れたものもあの角を曲がればきっと思い出すさ」!!

松村正人

XTC - Summer's Cauldron

私は夏が大好きなので、好きな曲はビーチの砂の数ほどありますが、そのなかでもこの曲は、陽がのぼるとすぐにうだるようで、退屈で、楽しくないので、どこかに逃げたいがまわりは海ばかりで、しょうがないと諦めつつ、それもそう悪くないかと思いはじめたころ、暑気がひけて、虫や鳥の声が際だちはじめた、島に住んでいたころの夏の日の宵の記憶をくすぐるようでとても甘美だ。

水越真紀

戸川純 - 隣りの印度人(玉姫様)

21世紀の日本の夏、80年代に比べて湿度は低くなった。絶対なったと思うのだ。数年前、そのことを示すグラフをネットで見つけたのだけど、二度と出会えないでいる。
ともあれ、目の前の暑さをどうにかして「涼しぃ?」と断言する、言いくるめる、歌い上げる姿勢に私は共感するのである。ポストモダンな感じがする。人間の知恵、つー感じだ。しかし、現実逃避の知恵ばかり身につけてしまうのもどうかとも思う。
私は冷房を使っていない。本当に暑いには空気がゆらゆら揺れているのが見える。汗が吹き出しては乾いて皮膚を冷やす。
去年の夏は2時間置きに猫を冷やす保冷剤を取り替えていた。濡れたタオルで拭いてやり、耳を氷で冷やしたりした。今年こそ冷房を入れてやらねばと思っていたが、それを待たずに彼女は逝った。今年、冷房を入れる理由はなにひとつなくなった。

橋元優歩(e-Busters...)

Animal Collective - Fireworks
Photodisco - 盆踊り

わたしも夏が大好きです。黄色といったときに山吹からレモンとかまでいろいろあるように、夏というのもいろいろあって、お盆とかかなり好きです。"Fireworks"は詞に夏が明示されているわけではないのですが、わたしには幻想的なお盆メンタル・ソングとしか考えられません。海外にお盆はないでしょうが。

木津毅

R.E.M. - Nightswimming

 昔から自分が惹かれてきたのは、夏の盛りよりも夏の終わりの歌でした。それは青春そのものよりも終わっていく若さ、すなわち中年に惹かれるのと似ている......かもしれません。真夏を謳歌するのと同じくらい、夏を無駄にした......という感覚をポップ・ソングは拾ってきたようにも思えます。
 R.E.M.のこのナンバーは彼らの代表曲のひとつで、もう去ってしまった誰かのことを思いながら、晩夏の夜にひとりで月に焦がれながらプールで泳いでいるという、「夏を無駄にした」度では抜きん出た名曲です。リリカルな風景描写はマイケル・スタイプの詩人としての才能を見せつけ、それ以上にこのポップ・ソングに美しいフォルムを与えています。「君のことを、僕は知っていると思っていた」......悲しすぎますが、それがとても穏やかに歌われることで、夏の終わりの感傷が許されるようでもあります。「9月がじきにやって来る」......。

國枝志郎

Chapterhouse - Summer Chill

俺と言えばシューゲイザー、シューゲイザーと言えば俺(反論上等)なんで。チャプターハウスが1stアルバム『Whirlpool』と2nd『Blood Music』の間に発表した神シングル「Mesmerise」(俺的にはスロウダイヴのシングル「5 ep」と並ぶ究極ロッキン・チルアウト)収録の1曲。2ndアルバムにはもうひとつサマーネタで「Summer's Gone」というナンバーもあるけどやっぱりこっちでしょう。タイトルも最高!!!!!!!!!! あーチルりたい。

Photodisco

H Jungle with t - GOING GOING HOME


夏といえば、やっぱりこの曲ですね。お盆に帰省した際、実家でビールを飲みながら聴きこうと思います。

オノマトペ大臣(Maltine Record/TJNY)

Phillis Dyllon - Nice Time

夏になるたびに学生時代を思い出します。

白い太陽、青い海、赤く日焼けしたあの子の細い腕
楽しいはずなのに何故だか寂しい、いつか終わってしまう刹那的な煌めく青春の夏。。。

どこかの誰かが過ごしているそんな極彩色の夏を尻目に、マジで永遠に続くんじゃないかと思うような怠惰な余暇を、クーラーガンガンの部屋でカーテンを閉め切り、ゴローンと横になって手に持った黒い文字の羅列を追うことでやり過ごしていたしょっぱい夏。
ベッド横に置かれたローテーブル上に、氷が沢山入った透明なグラスが置かれ、カナダドライのジンジャーエールがパチパチとはじけると、西宮の六畳間にも、にわかに夏の気配が漂います。
近所の外資系CDショップで買ってきた3枚組3000円ちょっとのTrojanのCalypso Box Setをミニコンポにセットすると、いよいよ目の前に常夏のトリニダードトバゴが広がるのでした。
内容の薄っぺらい新書を読み進め、40ページぐらい行ったところでPhillis Dyllonの歌声が響き渡ると、心は完全に夏の夢の中。
新書をベランダから捨て去って、背中の羽をパタパタとして舞い上がり、ヤシの木の上の方に座り心地よく揺られたものでした。

それから4年が過ぎた、2012年の夏。
永遠に続きそうだった怠惰な夏は、心のアルバムの中で色褪せるどころか、それなりに輝いて見えます。

今年の夏はどのように過ごそうか、とりあえずPhillis Dyllonを聞いて、西宮のトリニダードトバゴで考えようと思っております。

(最近サンクラに上がってたCoconuts Beat Clubによるmoombahton editもすごく好きです。https://soundcloud.com/coconuts-beat-club/nice-time-coconuts-beat-club )

赤塚りえ子

Brian Jones Presents the Pipes of Pan at Joujouka

44年前の7月29日、ブライアン・ジョーンズは真夏のジャジューカ(モロッコ)に行きMaster Musicians of Joujoukaの演奏を現地で録音した。
彼の死の二年後にリリースされたこのアルバムでは、ブライアン・ジョーンズというフィルターを通したジャジューカを体験できる。
今年6月、ついにそのMaster Musicians of Joujoukaの生演奏を現地で体験してきた。
全身にものすごいグルーヴ浴びて、何本もの生ガイタ音が立体的に脳を直撃、そのまままっすぐに脳ミソを突き抜けた。
ブライアン・ジョーンズがなぜジャジューカにハマったのか?一瞬にして体でわかった。
来年の夏もまたジャジューカで、4000年のダンスミュージックで踊りまくってくるゼィ!

Yuji Oda (The Beauty/Cuz Me Pain)

No Joy - Negaverse

カナダの男女3人組バンドNo Joyが送り出す12インチシングル。
全てが正しいと思わせるオルタナギターと儚いボーカルが夏の荒野を駆け抜け交差する疾走シューゲイズ。
2012年の夏はこれ。

YYOKKE (White Wear/Jesse Ruins/Cuz Me Pain)

Junei - You Must Go On

夏はこんな涼しげな曲を何も考えずにずっと聴いていたいです。

Nobuyuki Sakuma (Jesse Ruins/Cuz Me Pain)

Prurient - There Are Still Secrets

夏に熱いものを食べる的な感じで暑苦しい曲も聴きたくなります。

寺尾紗穂

サニーデイ・サービス -"海岸行き"
saigenji - El Sur

夏の終わりを歌う以下の二曲が好きですが、youtubeにはあがっていないようです。

サニーデイ・サービス「海岸行き」
サニーデイの曾我部さんのさらりとした感触の歌詞は自分にはなかなか書けないもので、よく羨ましく思います。いつかカヴァーしたい曲。

saigenji「El Sur」
「El Sur」はサイゲンジさんと歌ったことがありますがもう一度歌いたいです。
「南へ帰るなら僕のさみしさもその翼に乗せていっておくれ」とツバメに語りかける歌詞が切ないです。サイゲンジさんのライブというとアップテンポの曲でノセたりアゲたりしてくれるイメージがありますがスロウで穏やかな曲にも名曲が多いです。

洋楽で好きなJudee Sillの歌詞を読み直したら「Jesus Was A Cross Maker」がちょっと夏の気配でしたので挙げておこうかと思います。
クラシック的な手法を織り込むというのは色んな人がやっていることなのだろうと思うのですがこの人の場合、その織り込み方がとても大胆で生き生きとしていていつ聞いても新鮮な感じを受けます。


San Proper - ele-king

 暑いし......何も考えたくないのでフィジカル・リリースのあるものから今年前半のベスト・シングルを選んでみたら、

■Jam City / The Courts (Night Slugs)
https://soundcloud.com/pdis_inpartmaint/jam-city-classical-curves-the
■Kodiak / Spreo Superbus (Numbers)
https://soundcloud.com/nmbrs/kodiak-spreo-superbus-actress-girl-unit
■Mieux / Next Episode (Up My Alley )
https://soundcloud.com/upmyalley/sets/mieux-alleyx001/
■San Proper / Animal Ricardo Villalobos Remixes (Rush Hour)
https://soundcloud.com/rushhourrecords/sets/san-proper-animal-12/
■Swindle / Do The Jazz (Deep Medi Musik)
https://soundcloud.com/sbdubstep191/swindle-do-the-jazz-deep-medi
■Eltron John / Electric Worldlife (U Know Me)
https://soundcloud.com/u-know-me-records/eltron-john-electric-worldlife
■Dauwd / What's There (Pictures Music)
https://soundcloud.com/dauwd/whats-there-pictures-music
■A.N.D. / Resonance EP (Hidden Hawaii LTD)
https://soundcloud.com/hidden-hawaii/hhd-014-a-n-d-resonance-ep
■Daniel Stefanik / Dambala Experience #2 (Dambala Experience)
https://soundcloud.com/daniel-stefanik/sets/dambala-experience-2/
■Kaiju / Close Break (Osiris Music UK)
https://soundcloud.com/osirismusic-uk/kaiju-close-break-release-date
次点でKahn & Neek / Percy (Bandulu)か、October / String Theory(Simple)か。

 ......こーんな感じかなーと。自分でも驚くのはUKガラージやベース・ミュージックに混ざって、いまだに「ヴィラロボス・リミクシィーズ」などというものが入ってしまうこと。この世界は浜崎あゆみとレイディオヘッド、そして、リカルド・ヴィラロボスで止まってしまったのかもしれない(暁美ほむらがいちいち元に戻しているのでなければ......)。

 シャクルトン"ブラッド・オン・マイ・ハンド"やDJスニーク"デルタ・トリッピン"もまだ記憶に新しかったヴィラロボスが春先にリミックスを手掛けたサン・プロパー"アニマル"を長々と聴いていて(例によって2ヴァージョンで25分ぐらいある)、この奇妙な技はやはりヴィラロボスによるもので、オリジナルはそれほどのものではないのだろうと勝手に決めつけていた。なので、デビュー・アルバムがリリースされてもスルーのつもりが......

 全曲試聴→https://soundcloud.com/rushhourrecords/sets/san-proper-animal/(実際の曲順とは全然違います)

 ......ははは。要するに音楽をショッピングするのがリッピングやダウンロードよりも好きなんですねw。すべては80年代のせいです。つーか、いまだに80年代を生きているのかも(だっせー)。

 いまひとつ狙いのわからないスリーヴ・デザインに包まれた『アニマル』は退屈な4つ打ちで幕を開ける。シカゴ・アシッド風のリフが悪い予感を打ち砕き、激しい盆踊りへと突入。ほとんどの曲に呪文のようなヴォーカルが入り、"カラーズ&カラーズ"ではブレイクビートとも相性がいいことを印象づける。巷ではミニマル・テクノとして売られているようだけれど、プリンスとグリーン・ヴェルヴェットが出会ったかのような"デジャ・ヴー"といい、なんというか、ゲットー・ソウルとでも呼んだ方がしっくりくるような気がしてくる。ためを効かせた"ウォーター・キャッスル"から"アニマル"のオリジナルへ進むとシカゴ・アシッドをクールにアップ・トゥ・デイトさせた未知の感性が広がりはじめ、もしかしなくてもヴィラロボスが手を加える以前に、しっかりと構築されたものがあったことを思い知らされる。アルバムの後半はスウィング感が増し、"シェルズ"では少し毛色を変えて異様なほど雰囲気のあるアコースティック楽器が多用される(歌詞の内容がヘヴィイすぎるのでインナーには記載しないとあるけれど、要するにインストゥルメンタル)。
 〈ラッシュ・アワー〉はシカゴやデトロイトなどクラシックの再発にも務めるレーベルだけあって、伝統と現在を行き来するのがとても上手い。あるいはそういうイメージをこつこつと築き上げてきた。カール・クレイグとトム・トラーゴのリレイションもそうだし、初期のコンフォースやBNJMNなどを経て、ここにサム・プロパーが加わったことは自然な流れといえる(金の流れかもしれないけど)。ちなみにミックスは全曲、ヴィラロボスが手掛けている。かつてデトロイト・テクノ・リヴァイヴァルを促した『ヴァーチュアル・セックス』をリリースしたのもオランダだったけれど、ここからまたデトロイト・テクノが新たな次元に突入すると予想することは安易だろうか(つーか、「ここから、フィッシュマンズを連想するのは安易だろうか」って、安易だよ、安易! 二木はまた逮捕されて下さい)。

三田格先生のテクノ講座 - ele-king

 なんと、今週金曜日、横浜にて三田格のテクノ講座が開かれます! お題は1992年に〈ワープ〉が発表したコンピレーション『Artificial Intelligence』から20年ということで、1992年のテクノ・シーンについての講義になります。こんな機会、なかなかないので、ぜひ足を運びましょう!

モリィ・バーンズのHARD-BOP-HIGHSCHOOL
第15回: 再考 『Artificial Intelligence Series』

2012 7.27(Fri)黄金町 試聴室その2 https://cafe.taf.co.jp/live/index.html

進行:Morry Burns
ゲスト:三田格

開場 19:00/開演 19:30
※999Yen+order

●マンスリー・トーク・イベント「モリィ・バーンズのHARD-BOP-HIGHSCHOOL」その第15回は「再考 Artificial Intelligence Series」と題し、その画期的なリリースから今年で20周年を迎えるコンピレーション作『Artificial Intelligence』と、その関連シリーズ、並びに世界中でそれに呼応し、また同時多発的に発生したリスニング・テクノの動きについて再考していきます。

 1992年、イギリスはシェフィールドのレーベル"WARP"はコンピレーション・アルバムとして「Artificial Intelligence」発表します。それは当時まだ駆け出しだったPolygon Window(Aphex Twin),B12,Black Dog Production,FUSE(Richie Hawtin),Speedy J,Autechre等がコンパイルされた内容で、続いて彼らのオリジナル・アルバム作品がそのシリーズ作として次々とリリースされていきます。シリーズ作に共通する実験的かつリラックスしたトーン、フロアや喧騒からは意識的に距離をとったかのようなチル・アウト的傾向によりそれらは"リスニング・テクノ"と称され、後のエレクトロニック・ミュージックの進化に多大な影響を与えることとなります。

 92年当時のテクノ環境においては、The KLFが解散を表明しセカンド・サマー・オブ・ラヴが終焉を迎えるなか、The Orbが「Blue Room」にて全英シングル・チャート1位を獲得。そして『Selected Ambient Works 1985-92』にてAphex Twinがいよいよアルバム・デビューを飾り、新時代を担っていきます。
その当時のヨーロッパのダンス・フロアにおいてすでに一時代を築いていたベルギーの〈R&S Records〉は、突如その傘下にアンビエント・サウンドにフォーカスしたサブ・レーベル〈Apollo〉を設立。
カナダのレーベル〈Plus 8〉はコンピレーション作「From Our Minds To Yours Vol. 2」においてそれまでのハード・テクノ路線からリスニング・テクノ・サウンドに急接近。
アメリカはデトロイトのCarl Craigは自身のレーベル〈Planet E〉からのコンピレーション作『Intergalactic Beats』においてBlack DogやKirk Degiorgio等のヨーロッパのリスニング・テクノ勢とのコンパイルにも成功します。
一方ではドイツのPete Namlookがレーベル〈FAX+49-69/450464〉を立ち上げ、凄まじいペースでチル・アウト作品をリリースしていったのもこの年からのこと。
またベルギーのレーベル〈BUZZ〉がコンピレーション『PANIC IN DETROIT』を発表するほか、これら1992年のシーンの動向を象徴する最重要作品としても『Artificial Intelligence』の存在は位置づけられるのです。

 当日はライターの三田格氏をトーク・ゲストとしてお迎えし、上記に羅列したアーティストに関連する音源を可能な限り紹介しながら、『Artificial Intelligence』のその今日に至るまでの影響力やサウンドの魅力についてをたっぷりトークしていく予定です。是非ご期待ください。
(Text by Morry Burns)

※入場料としては徴収致しません。終演時にお支払いください。内容に応じたご判断で結構です。999Yenとあるのはひとつの目安です。飲食物に関しては会場をご利用ください。

@試聴室その2
横浜市中区黄金町2丁目7番地先
045-251-3979

[アクセス]
●京浜急行電鉄「黄金町」駅下車 徒歩3分
●横浜市営地下鉄「阪東橋」駅下車 徒歩8分

 「ハウス・オブ・ヴァンズ」というイヴェント・スペースがグリーンポイントにある。
去る7月21日、ウィリアムスバーグの、いちばん川側のフランクリン通りを北に歩いて行くとグリーンポイントになるのだが、そこに近づくにつれて、音が大きくなってくる。ヴァイタミン・ウォーターのトラックが停まっていたり、人が群がっていたり、一目瞭然。セキュリティを軽々通り抜けると、広い場所が目の前に広がる。手前にテーブルが並び、Tシャツやカスタム・ヴァンズが置いている。「これ売ってるの?」と尋ねると、すべてフリー。サイズを聞かれ、ハイ、とTシャツとヴァンズを手渡される。Tシャツは、今回のイヴェント「クラシック&ブルックリン」のロゴ入りで、ヴァンズはヤーヤーヤーズの衣装でもお馴染みのクリスチャン・ジョイのカスタムデザインだ。

隣のブースには女の子たちが群がっている。ヴァンズ・クラシックのデザインのネール・シート(ミンクス提供)がフリーで配られていて、女の子はせっせとネイルシートをつけている。4種類あって、同じ柄のオリジナルのヴァンズがガラス・ケースのなかに仰々しく飾られている。
その日の出演者、ウィドウスピークはすでに終わっていて、ダム・ダム・ガールズを見ようとステージに近づくと、後方には写真撮影場所があり、スケートボードが出来るエリアがある。もっと奥にいくと、アウトサイドエリアまである。そこにはフリー・ドリンク(ヴァイタミン・ウォーター他アルコールも)やフード・トラック(フィルズ・ステーキコム・シ・コム・サ)などがあり、小学校の運動場みたいに、ゆうに1000人は収容出できるスペースだった。
実は行くまでは、どうせぎゅうぎゅうに混んでいて、ライヴもろくに見れないんだろうと思っていたが、大きな間違いだった。さすが老舗のパーティ・ブランド!

 個人的な印象では、こういうイヴェントは、人が来すぎてドリンクも気軽に買えないし、ライヴも人が多くて、見れないことが多い。が、このイヴェントの良いところは、人が集中しないように、さまざまなアトラクションをスペースのあちらこちらに設置し、人がばらけるように仕向けているところ。もちろんこの広さが大きなポイントだが、ライヴ中でも、ネイルに夢中な女の子がたくさんいたし(たぶんボーイフレンドについてきて、バンドには興味がない)、外でハング・アウトしたり、スケー・ボード・エリアで気持ち良さそうに寝転んで、上からライヴを見ている輩もいて、それぞれの楽しみ方ができる、空間の作りがいいのだろう。そう言えば、コンヴァースはウィリアムスバーグに音楽スタジオを作り、ブルックリンの若手ミュージシャン、バンドのレコーディングをフリーで開放している。コンヴァースといえば大企業で、大企業といえば、たいていは人気スターや有名人のサポートを好むものだが、このようなかたちでまだ若い才能をサポートしていることは、正直、感心させられる。

 さて、久しぶりのダム・ダム・ガールズだったが、ディディが金髪になっていて、他の3人のメンバーも相変わらずブリブリに健在。みんな黒のコスチュームなのでディディの金髪がより際立っていた。新曲、古い曲をミックスしたセットで、MCは少ないが、ところどころで「今日は来ていないのだけど、これは私の旦那について書いた曲です」など、はっとするプライヴェートな言及があり(聞いたことがなかったので新曲?)、相変わらずの客に媚びないパフォーマンスであった。

 イヴェントは、ロスアンジェルスのアイ・アム・サウンドがプレゼンターで、ロスアンジェルス、ブルックリン、ポートランドで開かれている。ブルックリンでは、6月20日にはラプチャー、タンラインのショーも行われた。ブルックリンのラインナップは以下の通り。7/26:キングカーン&シャリンズ、エブリマン 8/2:ワッシュド・アウト、チェアリフト、レモネード 8/16:カーシヴ、ティタス・アンドリニカス、ラブ・アズ・ラフター 8/29:ターボネグロ、バロネス、ドゥーム・ライダー、ナイトバード。ココを参照→
企業がサポートしているフリー・イヴェントも千差万別だが、今回は感じの良いものだった。是非、日本の企業も見習っていただきたい(笑)。

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