Home > Reviews > Album Reviews > San Proper- Animal
暑いし......何も考えたくないのでフィジカル・リリースのあるものから今年前半のベスト・シングルを選んでみたら、
■Jam City / The Courts (Night Slugs)
http://soundcloud.com/pdis_inpartmaint/jam-city-classical-curves-the
■Kodiak / Spreo Superbus (Numbers)
http://soundcloud.com/nmbrs/kodiak-spreo-superbus-actress-girl-unit
■Mieux / Next Episode (Up My Alley )
http://soundcloud.com/upmyalley/sets/mieux-alleyx001/
■San Proper / Animal Ricardo Villalobos Remixes (Rush Hour)
http://soundcloud.com/rushhourrecords/sets/san-proper-animal-12/
■Swindle / Do The Jazz (Deep Medi Musik)
http://soundcloud.com/sbdubstep191/swindle-do-the-jazz-deep-medi
■Eltron John / Electric Worldlife (U Know Me)
http://soundcloud.com/u-know-me-records/eltron-john-electric-worldlife
■Dauwd / What's There (Pictures Music)
http://soundcloud.com/dauwd/whats-there-pictures-music
■A.N.D. / Resonance EP (Hidden Hawaii LTD)
http://soundcloud.com/hidden-hawaii/hhd-014-a-n-d-resonance-ep
■Daniel Stefanik / Dambala Experience #2 (Dambala Experience)
http://soundcloud.com/daniel-stefanik/sets/dambala-experience-2/
■Kaiju / Close Break (Osiris Music UK)
http://soundcloud.com/osirismusic-uk/kaiju-close-break-release-date
次点でKahn & Neek / Percy (Bandulu)か、October / String Theory(Simple)か。
......こーんな感じかなーと。自分でも驚くのはUKガラージやベース・ミュージックに混ざって、いまだに「ヴィラロボス・リミクシィーズ」などというものが入ってしまうこと。この世界は浜崎あゆみとレイディオヘッド、そして、リカルド・ヴィラロボスで止まってしまったのかもしれない(暁美ほむらがいちいち元に戻しているのでなければ......)。
シャクルトン"ブラッド・オン・マイ・ハンド"やDJスニーク"デルタ・トリッピン"もまだ記憶に新しかったヴィラロボスが春先にリミックスを手掛けたサン・プロパー"アニマル"を長々と聴いていて(例によって2ヴァージョンで25分ぐらいある)、この奇妙な技はやはりヴィラロボスによるもので、オリジナルはそれほどのものではないのだろうと勝手に決めつけていた。なので、デビュー・アルバムがリリースされてもスルーのつもりが......
全曲試聴→http://soundcloud.com/rushhourrecords/sets/san-proper-animal/(実際の曲順とは全然違います)
......ははは。要するに音楽をショッピングするのがリッピングやダウンロードよりも好きなんですねw。すべては80年代のせいです。つーか、いまだに80年代を生きているのかも(だっせー)。
いまひとつ狙いのわからないスリーヴ・デザインに包まれた『アニマル』は退屈な4つ打ちで幕を開ける。シカゴ・アシッド風のリフが悪い予感を打ち砕き、激しい盆踊りへと突入。ほとんどの曲に呪文のようなヴォーカルが入り、"カラーズ&カラーズ"ではブレイクビートとも相性がいいことを印象づける。巷ではミニマル・テクノとして売られているようだけれど、プリンスとグリーン・ヴェルヴェットが出会ったかのような"デジャ・ヴー"といい、なんというか、ゲットー・ソウルとでも呼んだ方がしっくりくるような気がしてくる。ためを効かせた"ウォーター・キャッスル"から"アニマル"のオリジナルへ進むとシカゴ・アシッドをクールにアップ・トゥ・デイトさせた未知の感性が広がりはじめ、もしかしなくてもヴィラロボスが手を加える以前に、しっかりと構築されたものがあったことを思い知らされる。アルバムの後半はスウィング感が増し、"シェルズ"では少し毛色を変えて異様なほど雰囲気のあるアコースティック楽器が多用される(歌詞の内容がヘヴィイすぎるのでインナーには記載しないとあるけれど、要するにインストゥルメンタル)。
〈ラッシュ・アワー〉はシカゴやデトロイトなどクラシックの再発にも務めるレーベルだけあって、伝統と現在を行き来するのがとても上手い。あるいはそういうイメージをこつこつと築き上げてきた。カール・クレイグとトム・トラーゴのリレイションもそうだし、初期のコンフォースやBNJMNなどを経て、ここにサム・プロパーが加わったことは自然な流れといえる(金の流れかもしれないけど)。ちなみにミックスは全曲、ヴィラロボスが手掛けている。かつてデトロイト・テクノ・リヴァイヴァルを促した『ヴァーチュアル・セックス』をリリースしたのもオランダだったけれど、ここからまたデトロイト・テクノが新たな次元に突入すると予想することは安易だろうか(つーか、「ここから、フィッシュマンズを連想するのは安易だろうか」って、安易だよ、安易! 二木はまた逮捕されて下さい)。
三田 格