「KING」と一致するもの

interview with Michael Rother - ele-king


Harmonia - Musik Von Harmonia
Brain/Grönland/Pヴァイン

Krautrock

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Harmonia - Deluxe
Brain/Grönland/Pヴァイン

Krautrock

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 クラウトロック、あるいはジャーマン・エレクトロニク・ミュージックの最重要人物の一人であるミヒャエル・ローターが、去る7月末に来日公演をおこなった。
ローターは70年代初頭、結成されて間もないクラフトワークにギタリストとして短期間参加した後、同じくクラフトワークでドラムを叩いていたクラウス・ディンガーと共にノイ!を結成。“ハンマー・ビート”と呼ばれる剛直な8ビートを軸にしたパンキーなサウンドはクラウトロックの一つの象徴的モードとして、後のパンク~ニュー・ウェイヴに絶大な影響を与え、更に90年代以降のクラウトロック再発見/再評価のきっかけにもなった。
 ローターはまた、ノイ!での活動と並行してクラスター(ディーター・メビウス&ハンス・ヨアヒム・レデリウス)と共に結成したハルモニアでも活動。ポップでパンクでストレンジでアンビエントなそのエレクトロニク・サウンドは、80年代から今日に至る様々なスタイルのエレクトロニク・ミュージックに影響を与え続けている。ローターの業績に対するリスペクトを公言するミュージシャンも、古くはブライアン・イーノから近年はステレオラブやエイフェックス・ツイン、オウテカに至るまで、枚挙にいとまがない。
 ローターは、ハルモニア解散後はソロ活動に専念し、たくさんのアルバムを発表してきたが、特にここ数年、ノイ!やハルモニア時代のレパートリーを中心にしたライヴ活動が増えているのは、クラウトロックに対する若いリスナーたちの関心と評価がますます高まっている証でもある。今回の日本公演を企画したのがクラウトロックのテイストを受け継ぐ前衛ロック集団オウガ・ユー・アスホールだったことも、実に納得がゆく。ドラムのハンス・ランペ(ex.ノイ!~ラ・デュッセルドルフ)、ギターのフランツ・ベルクマン(ex.カメラ)とのトリオ編成によるそのライヴでは、ノイ!やハルモニアの名曲がふんだんに演奏され、会場につめかけた新旧クラウトロック/エレクトロニク・ミュージック・ファンたちを熱狂させた。
 おりしも『フューチャー・デイズ~クラウトロックとモダン・ドイツの構築』日本版も出たばかりというジャスト・ミートなタイミングでの本インタヴューがおこなわれたのは、東京でのライヴ直前の楽屋。時間が短かったため、ハルモニア結成あたりで話が終わってしまったのは残念だが、ほぼノーカットで、“クラウトロック大使”ミヒャエル・ローターの貴重な肉声をお届けしよう。

当時は音楽だけではなく、芸術や映画、さらに政治や社会制度でも大きな変化が起こっていた。私の成長をそのような変化と切り離すことは不可能だ。私は“変化の暴力”とでも言うべきものに強く影響されたんだよ。

近年、ライヴでノイ!やハルモニアの曲を積極的にやっているようですが、どういう理由からですか?

ミヒャエル・ローター(Michael Rother、以下MR):まずは、それらの曲を演奏することが楽しいというのが第一の理由だ。あと、音楽に対する私の考え方が昔から変わっていないというのもあるね。いや、少しずつ変わってはいるんだげど、それが円を描くように元の場所に戻っていく様子を、違った場所から眺めているとでも言うか……。私の場合、時にはより抽象的な音楽を好むし、メロディやリズムにより強い関心が向かうこともある。近年は、実験を更に重ねる必要性を感じているんだけど、オーディエンスたちは、速くリズミカルなビートを求めているように思える。まあ私も最近はそういったものも好きなんだけどね。

昔の曲を演奏してほしいというリクエストが、プロモーターやファンから直接あるんですか?

MR:ない。それはあくまでも私が決めたことだ。だけど、ノイ!やハルモニアの曲をやると告知すれば、どんな感じのショウになるのかオーディエンスたちにとってイメージしやすいよね。だから昔の曲をやるとあらかじめ発表している部分もある。

ノイ!やハルモニアは90年代以降に再評価のムーヴメントが興ったわけですが、その背景にはソニック・ユースやステレオラブのリスペクト宣言の効果もあったと思いますか?

MR:うーん、それはわからないけど(笑)……確かに、私たちは80年代には一旦忘れ去られた存在であり、90年代にはノイ!について話しているドイツのミュージシャンなんて誰もいなかった。でも、我々の音楽がCDや海賊盤によって世界中を移動した結果、ソニック・ユースやステレオラブといったバンド、あるいは『クラウトロックサンプラー』(95年)を書いたジュリアン・コープなどのミュージシャンがその音楽を聴いてくれた。特にジュリアン・コープの本は、大きな衝撃をもたらしたと思う。理由はわからないんたけど、ずっと、ドイツのジャーナリストは私たちのようなミュージシャンに対する理解がなかったし、誇りにも思ってなかった(笑)。そういう状況の中、「あなたの音楽は素晴らしい」と外部からやってきた人間に言われたわけだ。ノイ!のアルバムが2001年に〈Gronland Records〉から再発されたのは、大きな一歩になった。それら再発アルバムはそれまで以上にたくさん売れたわけで。
当時は、Eメールやウェブ・サイトなど、コミュニケイションにおいても大きな変化が見られた時期で、世界中の人々と直接連絡をとれるようになった。今や私はフェイスブックだってやっているからね。もっとも、更新にはさほど時間をかけているわけじゃないけど。たとえば東京でライヴをすることになったら、その報告をする程度で。自分の朝食にコンプレックスがあるので、それをフェイスブックに載せるなんて、とてもじゃないができない(笑)。

90年代にはステレオラブが盛んにノイ!的なサウンドをやって人気を集めたわけですが、当時、クラウス・ディンガーはそれに対して怒っていましたよね。つまり、「おれたちのサウンドが盗まれた」と思っていた。あなた自身はどう思っていましたか?

MR:友人がステレオラブのライヴに連れて行ってくれたことがあった。私はそれまで彼らを聴いたことがなかったので、演奏が始まると「あれ? これは自分の曲かな?」と思ってしまったんだ(笑)。それはそれで面白いけどね。どんなミュージシャンも情報に晒されているので、そこから影響を受けることもあるし、むしろ影響に身を任せてしまった方がいろいろと楽なこともあるとは思う。
でも、私はそうじゃないんだ。ずっと、周囲とは違うことをやりたかったし、誰かのコピーではなくオリジナルになりたかった。だから私が満足することなんて、これからも決してないと思う。他人から「君のアイディアは20年前に別のミュージシャンがやっていたよ」なんて言われた日には動揺してしまうよね(笑)。もし音楽を作るのが好きなら、その創作活動のアイディアは、「なぜ音楽を作るのか?」というところからくるべきだ。そして心や空間に漂っているメロディやリズムを拾い上げる。そういうことをしないで、誰かのモノマネをするなんてけっしてやってはいけないことだと思っている。
私が音楽を始めたのは激動の時代だったので、新しいものを作ることによって自分自身の音楽的アイデンティティを獲得するのは自然なことだったんだ。当時は音楽だけではなく、芸術や映画、さらに政治や社会制度でも大きな変化が起こっていた。私の成長をそのような変化と切り離すことは不可能だ。私は“変化の暴力”とでも言うべきものに強く影響されたんだよ。
とはいっても、私が作った音楽に誰かが反応してくれるのは率直に嬉しいものだよ。オアシスやレッド・ホット・チリ・ペッパーズのような人気バンドまで関心を持ってくれているわけだしね(笑)。その結果、ある日、ジョン・フルシアンテに会ってセッションをして、ステージにも一緒に立つことになったわけで。共演がどんな感じになるのか最初は見当もつかなかったけどね。私だって、他のミュージシャンからインスパイアされることは大歓迎だ。いつも、新しいものを作るべきだと思っているからね。


photo: 松山晋也

ジミ・ヘンドリクスやビートルズを繰り返すことはまっぴらごめんだったんだ。とにかく違うことがしたいと、いつも意識していた。

最近の若者たちが、ノイ!やハルモニアのようなプリミティヴなロック・サウンドに魅せられるのはなぜだと思いますか?

MR:それは、どうして音楽が好きなのかを尋ねるようなもので、とても難しい質問だな(笑)……でも、ちゃんと答えるなら……その楽曲がある特定の状況に結びついているものだからだと思う。私たちはゼロから物事を始めなければならなかった。音楽に対するラディカルなアプロウチをもってして、アメリカやイギリス的な構造を持つ音楽的過去から脱却する必要があった。つまり……「OK、いったん全部をぶっ壊そう。そして小さなかけらを拾い集めて、新しい方向に向かい、新しい音楽を始めよう」という具合に。ジミ・ヘンドリクスやビートルズを繰り返すことはまっぴらごめんだったんだ。とにかく違うことがしたいと、いつも意識していた。私は昔も今も、他の音楽に対しては敬意を抱いている。でもそれは私の音楽じゃない。私のラディカルさが若い人々に魅力的に映るかもしれないのは、こういった姿勢がいつの時代でも生じうるものではないからじゃないかな。
たまに「これはノイ!やハルモニアにそっくりじゃないか !?」と思う曲に出会うけど、それが先週録音されたものなのか、はたまた15年前の作品なのか知る由はない。なぜならそれは、音楽の発展の時間軸とは切り離されているものであり、私のしてきたこととは違うまったく新しい一歩だからだ。特定の時代の音楽のテイスト、さらにはファッションなどから切り離された独自性があり、新鮮に感じる……そういった曲を作る若者たちが、私の作品を聴いてくれているのは嬉しい限りだね。だいたい、自分と同世代の人間にしか音楽が届かないのは悲しいことだし。

70年代初頭にクラフトワークに加わる前、あなたはいくつかアマチュアのバンドをやっていましたよね。スピリッツ・オブ・サウンドその他。当時は主にどのような音楽をやっていたんですか?

MR:私は65年にバンド活動を始めたんだが、その頃はまだギターを始めて1年くらいしか経ってなかったし、みんながみんなイギリスの音楽に夢中になっていた。ヒーローは言うまでもなくビートルズやストーンズだったから、私たちも進んでコピーをしていた。それを2~3年続けていくうちに、自分たちが何をやっているかがわかるようになり、即興演奏をするようになったんだ。そこから自分たちのアイディアを自由に持ち込むようになり、70年代に入る頃にはかなりの変化を遂げていた。あと、サイケデリック文化の影響などもあったよね。ひとつはっきりしているのは、そこにはいつも壁があったということだ。他人の音楽やポップ・カルチャーから引用してきたアイディアをいくら使っても、その壁の向こう側へは到達できなかった。つまり、そのドアを開けるために、いったん自分たちのやっていることをやめなければならなかったというわけだ。

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私たちは、白紙を前にしてその場でいきなり描き出す画家のようなものだった。

60年代から70年代半ばにかけて、他の国と同じように西ドイツはとても政治的な時代でした。ドイツのロック・シーンにも政治に積極的にコミットしていた人々が多くいましたが、あなた自身の立場はどうでしたか?

MR:当時のミュージシャンたちに比べたら、私は若手だった。特に60年代後半なんか、どこに顔を出してもみんな年上だった。でも、その時点で私は明確な政治的意見を持っており、具体的にはヴィリー・ブラント(註:ドイツ社会民主党党首で、69~74年には西独首相)を支持していた。過去にナチス・ドイツはポーランドに侵攻したりしたわけだが、そういった歴史を乗り越えて、彼は東側の国々との和解を主張していた。ヴィリー・ブラントの前は保守政権だったが、彼らはワシントンしか見ておらず、西側の一部になろうとしていて、当然、東側は敵と見なされていた。そんな政治状況の中、ブラントは東側との協調をはかり、それが1970年の“ワルシャワでの跪き”(註:ワルシャワのユダヤ人ゲットー跡地でブラントが跪いて献花し、ナチス・ドイツ時代のユダヤ人虐殺を公式に謝罪した)につながったわけだ。
私は学校を卒業した67年、当時義務だった兵役を拒否したんだが、その際、精神的な理由で銃を握れないことを証明するために、かなり厳しいテストを受けさせられた。それは、私の発言に矛盾がないかを検査する試験官を前にして、文章を書いていくというものだった。その時、試験官と激しい口論をしたのを憶えているよ。「君の意見にはまったく説得力がないが、もう行ってよろしい」と最後に試験官は言い放った。それで兵役を逃れる代わりに、精神病院で働くことになったんだ。あの体験は、私の人生でとても重要な意味を
持っている。
また、冷戦からの影響も避けては通れない。あの当時は、戦争の悪夢をよく見たものだ。ベルリンは、文字通り分断されていたし、80年代にソ連のゴルバチョフがグラスノスチやペレストロイカを唱えるまで、本当に何が起こるかわからない状況だったから。私はハルモニア時代(70年代半ば)にドイツの片田舎のフォーストに引っ越したんだが、とても綺麗な風景が広がっていたにもかかわらず、上空では戦闘機が飛び交っていた。彼らはレーダーに映るのを避けるために、家の屋根すれすれのところを低空飛行していて、その騒音は想像を絶するものだった。ほぼ毎日だよ。それを耳にした子供たちは泣き叫び、動物たちは暴れまわり……。街には戦車が列をなしていたし。いつでも臨戦態勢なんだ。そんな時代が終わった時、本当に嬉しかった。とにかくいつも、保守政党やその政策とは対極的
なところに私の考えは位置していたんだ。

その精神病院での雑務時代に、カンやアモン・デュールが登場してきました。当時、彼らの音楽をどのように感じていましたか?

MR:当時、私のガールフレンドはカンを知っていたんだが、私は知らなかった(笑)。その後、クラフトワーク時代にカンとは何回か一緒にコンサートをやったけどね。ヤキ・リーベツァイトは素晴らしいドラマーだと思う。彼のリズムの流れが本当に大好きなんだ。他には……(笑)いずれにせよ、バンドそのものもポジティヴに捉えていたよ。ただ当時は斜に構えがちで、自分たちはカンとは違うと思っていたけどね。

クラフトワークのラルフ・ヒュッター、フローリアン・シュナイダーに初めて会った時の印象はどうでしたか?

MR:クラフトワークについても、それまでは全く知らなかったんだ。知り合いのギタリストが、クラフトワークで演奏してくれと彼らに頼まれ、私も一緒に付いて行くことになった。「どんなバンドか知らないし、変な曲だなぁ。おまけに名前は“発電所”か(笑)。まぁ、行ってみよう」くらいの軽い気持ちだった。それがきっかけで、ラルフ・ヒュッターとジャムをしながら曲を作るようになったんだ。それまで私は、あまり他のミュージシャンには共感を覚えなかったんだが、彼らは違った。自分は一人じゃないんだな、と思えた。クラウス・ディンガーはフローリアン・シュナイダーの音楽を聴いていて理解があったので、バンドに誘われたという流れだった。

ノイ!時代、そのクラウス・ディンガーとあなたの間には常に衝突があったとファンの間では言われてきました。ですが、最近日本版も出た『フューチャー・デイズ』の中で、あなたは、クラウスとは音楽的ヴィジョンが完全に一致していて、いつも同じ方向を向いていたと語っています。その共通していたものを言葉で説明することはできますか?

MR:それはとても直感的なものだ。私たちは音楽について議論することも計画を立てることもなかった。やりたいことがあったら、すぐに試していた。結果的に、お互いのやり方が好きだったし、周りにもそれが認められるようになった。そして完成したのがノイ!のファースト・アルバムだ。たとえるならば、私たちは、白紙を前にしてその場でいきなり描き出す画家のようなものだった。現代のミュージシャンたちはテクノロジーの発達もあり、簡単に準備ができまるけど、私たちは準備なんてしたことがなかった。事前に決めることといえば、「今からEメジャー・スケールの長い道を走るぞ」くらいだった(笑)。それで経過を見ながら色を足していくわけさ。作業を進めながら、今何が起こっているのか、これからどうすればいいのかがわかってくる。つまり、常に作業中の状態だった。だからこそ、コニー・プランクがノイ!のチームに加わったのは大きかった。彼には、作品に適した瞬間を捕まえる能力が備わっていたし、説明せずとも私たちがやろうとしていることを感じて理解してくれたからね。彼はどんな実験にも前向きで、私たちと同じくらいクレイジーで、クラスターやクラフトワークとの仕事も喜んでやっていた。彼がいなかったら、ノイ!の作品はありえなかったと思う。

今振り返ってみて、とりわけ際立っていたクラウス・ディンガーの才能は何だったと思いますか?

MR:私は、彼のパワフルなドラミングには強く感化された。クラウスはヤキ・リーベツァイトのように神がかった技術の持ち主ではなかったけど、彼の力強さには誰もが圧倒されていたよ。彼はマシーンのような存在で、ひとたび彼が音楽の中に投入されると、他のすべてが動き出すんだ。けれど、クラウスの先導力と決断力は、後に問題になることもあった。彼はけっして自分の見解や意図を説明しようとはしなかったからね。「なんで俺のやっていることをそのまま理解しようとしないんだ?」という具合だ。それに、私はクラウスの間違いを指摘することもできなかった。クラウスが亡くなった今、私は、彼の気難しさや意地悪なところではなく、その創造性に改めて注目するようになった。性格的には、私と彼は対極だ。クラウスは要求が強いし、あまり人を信用しなかった。そういったものが先天性なのか、両親との関係によるものなのかはわからないが、最終的には彼自身の才能の開花や私とのコンビネイションにも繋がっていった。かくして彼は、多くの人々にインスピレイションを与えるミュージシャンになったわけだ。


photo: 松山晋也

お互い影響されないことは不可能だよね。私たち3人はハルモニアの音楽を発展させることを大いに楽しんでいた。

あなたは73年の後半からクラスターの二人と一緒に本格的に演奏し始め、それはやがてハルモニアになったわけですが、彼らに初めて出会ったのはいつですか?

MR:あれは、私がクラフトワークと演奏していた71年だったね。二人がコニー・プランクと作業をしている時に知り合ったんだ。彼らの音楽を初めて聴いた時、私は希望を感じた。彼らと一緒だったら、(当時準備していた)ノイ!の曲をライヴでも演奏できるかもしれないなと思ったんだ。私とクラウスはデュオだったので、スタジオ・ワークの再現がうまくできず、サポート・メンバーを探していたんだ。それで私はギターを持って彼らの元へ行った。結果、ハルモニアは素晴らしいものになった(笑)。

あなたにとって彼らのサウンド、表現は、どういう点が特に魅力的だったんですか?

MR:まず耳を奪われたのは、『Cluster II』(72年)に入っている「Im Suden」という曲のメロディだった。(ハンス=ヨアヒム・)レデリウスによる、ギターの弦4本が奏でるリピート・フレーズの音程が素晴らしかったんだよ(笑)。それで彼らとはうまく作業ができると確信した。当時はまだギターでブルーズを弾くのが大多数であり、そういう類の音階を耳にする度に私は曲への関心を失っていた。今だってそうさ。1音でもそういうフレーズが鳴れば、「わかった、もうけっこうです」となってしまう(笑)。

レデリウスとディーター・メビウスも、かなり個性の異なるコンビですが、当時のあなたが受けた二人のキャラクターの印象はどのようなものでしたか?

MR:メビウスは前に出てくることはなく、後ろから状況を見極めるタイプだ。彼はまた、奇妙な音を追求していて、驚かせることのスペシャリストだった。レデリウスはもっとオープンで、一緒にメロディを書けるミュージシャンを探していた。レデリウスがキーボー
ドなどでメロディを反復させて、私がギターを重ね、メビウスが変な音を加える、といった形が多かったかな。
ただ、彼らのキャラクターを一言で説明するのは、とても危険だね。メビウスに関して言えば、彼と私はとても似ていると思う。亡くなる数週間前、彼は私の住むフォーストにやってきたこともあった。当時、私はハルモニアのボックス・セットの作業を進めており、メンバーの意向を確かめるためにメビウスの奥さんとレデリウスにアイディアをいろいろ送っていた。メビウスは(病気のため)ガリガリだったが、心は元気で、ユーモアも健在だった。だから彼の人柄を一言で言い表すなら、「ユーモア」を選ぶ。もちろん、私たちには違いもたくさんある。私は働くけど、彼は働きたかったことなんて一度もないはずだ(笑)。98年に、20年ぶりにメビウスからライヴに誘われた。スタジオに入り、最初の5分で機材をチェックし終えると、「じゃあ料理を始めるぞ」と彼は言った。つまり、彼は音楽で働くなんてことをしたがらなかったということだ。メビウスの才能は自発的な即興に特化していた。これははっきりしていることだが、私たちの音楽の作り方は兄弟関係のようなものだったんだ。

クラスターの二人とあなたが、互いに与えあった影響はどんなものだと思いますか?

MR:お互い影響されないことは不可能だよね。私たち3人はハルモニアの音楽を発展させることを大いに楽しんでいた。調子が良い時は、コンサートやスタジオで自発的に様々なアイディアが生まれた。あの一瞬一瞬は、3人揃って初めて生まれるものだった。ノイ!のようにスタジオのテクノロジーに依拠したものではない。3人の具体的な相互影響について語るのは、単純化してしまうかもしれないので避けたいが……ただ、私がリズムを彼らに与え、彼らはもっと抽象的な音楽へのアプロウチ方法を私に示してくれたとは言えるだろうね。

あなたは幼少期に数年間パキスタンで暮らしていましたよね。その体験は、あなたの音楽性にも深く影響しているように僕は感じているんですが、どうですか?

MR:その結びつきを明確にすることは難しいが……当時聴いた音楽はとても印象的だったね。単調だが魔術的で、どこで始まってどこで終わるのかがわからないエンドレスな音楽だった。路上で演奏していたバンドのことを今でもよく憶えている。けっしてヘビ使いの笛のようなものではなく(笑)、とても反復の多い音楽だったから、ノイ!の「Hallogallo」のような曲と直接的ではないけど、つながりがなくはないだろうね。私は今でもインドやパキスタンの音楽は好きだ。

あなたは猫も好きですよね。『Katzenmusik』(79年)というソロ・アルバムもあるし。猫のどういうところが好きですか?

MR:猫はミステリアスでインディペンデント、そして美しい。あと、猫は自分が友達になると決めた相手としか友達にならない。無理やり友達にならせることは不可能なんだよね。飼い主を尊敬してくれる犬とはまったく違う。そういう点に惹かれるんだ。

自分の音楽と猫に共通点があると思いますか?

MR:見当もつかないな(笑)。ただ、さっき君が言った『Katzenmusik』、あれはもちろん猫への愛から生まれた作品だ。少なくとも、猫はたくさんのインスピレイションを私に与えてくれる存在ではある。隣にいるとリラックスもできるしね。

Christ. - ele-king

 きみは『Twoism』を覚えているだろうか?
 1995年に〈Music70〉から100枚限定でリリースされ、一時期は15万円もの値で取引されていたというボーズ・オヴ・カナダの初期作品である(同作は2002年に〈Warp〉よりリイシューされている)。後の『Music Has The Right To Children』にも通じる、スウィートかつサイケデリックな電子音によって構築されたこの名盤が制作されたとき、実はボーズ・オヴ・カナダには3人目のメンバーがいた。Christ. こと Chris Horne である。
 彼はボーズ・オヴ・カナダを離れて以降も着実にリリースを重ねてきたのだが、今回の来日は2002年のメタモルフォーゼ以来、実に14年ぶりとなる。そんな彼を迎えるのは、世界中で活躍する「アンドロイドの歌姫」こと Coppe'(コッペ)の主宰するイベント《21rpm : japan》。Ametsub や KENSEI など、他の出演者も非常に豪華である。
 きみはこの機会を逃すことができるだろうか?

~mango + sweet rice : happy 21st. birthday !~
《21rpm : japan》
開催のお知らせ

アンダーグラウンドなエレクトロニック・ミュージック界ではもはやゴッドマザーのニックネームで活躍し、世界各地で数多き謎のクリエイションを仕掛けている“アンドロイドの歌姫コッペ”と彼女が率いる超非現実的な幻のレコード・レーベル〈mango + sweet rice〉の20周年を記念するパーティーが2015年、イギリスのロンドンにある由緒ある教会 st. giles church にて Plaid など錚々たる顔ぶれを迎え開催された。またその日本公演としてなんと Bola(〈skam records〉)が待望の来日を果たし、西麻布スーパーデラックスにて10年ぶりのスペシャル・ライヴを披露したのが記憶に新しい。
あれから1年、9月10日、同レーベルはさらに進化した《21rpm : japan》として壮大な世界ツアーの初日を日本からスタートする。そしてコッペ姫のために素晴らしい仲間が来日することが決定した。st. giles church での20周年パーティにも参加していた Christ.(ex. Boards Of Canada)が国内1ヶ所のみのエクスクルーシヴ・ライヴを披露する。彼は Boards Of Canada としてあまりにも有名な名盤『Twoism』にも参加していた人物だ。コアなファンにとっては涙ものの来日公演となるだろう。
《21rpm》と銘打った本ツアーはスコットランドのエディンバラやドイツのベルリンを含む世界ツアーの1発目の公演となる。いまのところ正式に発表されているもののみでも Plaid / Massonix(808 State's own Graham Massey, 〈Skam Records〉) / Funkstörung / Luke Vibert / Seefeel / Leila ……とすでにロンドンのコアなミュージック・ファンたちの間でバズり始めている。まさに“進化した”出演者たちにより st. giles church のフェスティヴァルは多くのファンに囲まれ開催される予定だ。
~happy 21st. anniversary sweetrice !~ として国内から華を添えるのは、コッペとも交流が深く先月リリースしたての自身初のビート集『IS PAAR』も好評の DJ KENSEI、日本を代表する音楽評論家として有名な Masaaki Hara(dublab)、そしてニューヨーク・シーン随一の才能と評されるトップ・プロデューサー、FaltyDL 主宰のレーベル〈Blueberry Records〉から新作EPをリリースするなど、 世界から注目を集める Ametsub のDJセットといった個性豊かな出演者たち。《21rpm : japan》の開催場所は前回と同じく西麻布のアート・スポットでもあるスーパーデラックスにて限定人数制でのショウケースでおこなわれることになっている。
2002年のメタモルフォーゼでトリを飾り、神がかったライヴを披露して以来の Christ. の来日に乞うご期待。

Congo Natty × Mala - ele-king

 1996年、ジャングル/ドラム&ベースがUKのダンス・ミュージック・シーンで旋風を巻き起こしているさなか、日本でもそのリアルな熱気を伝えるべく、いまはなき新宿LIQUIDROOMでスタートしたパーティ「Drum & Bass Sessions(DBS)」。今年で20周年を迎える同DBSだが、そのアニヴァーサリー・パーティが10月15日(土)にUNIT(東京・代官山)にて開催される。

 記念すべきイベントだけあって、出演者がとんでもないことになっている。ひとりは、90年代当時からオリジネイターしてジャングルを更新し続けてきたレベルMCことコンゴ・ナッティ。もうひとりは、ディジタル・ミスティックズとしてダブステップ・シーンの中核を担い、近年はベース・ミュージックとラテン・ミュージックの融合で圧倒的な評価を得ているマーラ。このふたりがヘッドライナーを務めるというだけでも十分アツいのだけれど、さらに日本からゴストラッドも参加するとなれば、これはもう行くしかないでしょう!

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【DBS20TH】
★1996年、熱波のようにUKアンダーグラウンド・シーンを席巻していったジャングル/ドラム&ベースのリアル・サウンズ&リアル・ヴァイブスを伝えるべく、今や伝説の新宿リキッドルームでスタートしたDrum & Bass Sessions(DBS)。2004年以降、代官山UNITを本拠にイベントを重ね、ドラム&ベースに限らず、JAH SHAKAに代表されるダブ/ルーツ・レゲエ、ブロークンビーツ~ニュージャズ、グライム、ダブステップ、UKファンキーの真髄、最前線を紹介し続けてきた。そこには英国の移民文化の歴史と密接な関係のもとに進化を遂げ、様々なエレメンツへと発展している広義のUKベース・ミュージック/サウンドシステム・カルチャーへの敬意と愛情しかない。
2016年、DBSは20周年を迎え、ジャングルの創始者CONGO NATTYとダブステップのパイオニアMALAという奇跡のダブル・ヘッドライナー! そして日本が誇るサウンド・オリジネイターGOTH-TRAD、PART2STYLE SOUND、DJ DON、HELKTRAM、TAKUTOら豪華なラインナップでDBS20THを開催する!
PEACE AND DUB! MORE BASS MORE VIBES MORE LOVE!!!

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Mark Pritchard × Thom Yorke - ele-king

 古くはリロードやグローバル・コミュニケーションとして、近年ではハーモニック313やアフリカ・ハイテックとして知られるテクノのヴェテラン、マーク・プリチャード。このたび、5月にリリースされた本人名義としては初となるアルバム『Under The Sun』から、トム・ヨークがヴォーカルで参加した "Beautiful People" が12インチとしてシングル・カットされ、同時にMVも公開された。ポーランドの映像作家 Michał Marczak が監督を務める同MVでは、トム・ヨークの顔が照射された旅人が荒れ果てた大地をさまよい歩いていく様子が描かれている。

 ちなみに、マーク・プリチャードとトム・ヨークが交流するのは今回が初めてではない。レディオヘッドは2011年に『The King Of Limbs』をリリースした際、同作収録曲のリミックスを様々なアーティストに依頼し、12インチのシリーズとして展開しているが(それらはのちに『TKOL RMX 1234567』としてまとめられている)、マーク・プリチャードもそこに招かれたひとりである。1アーティスト1曲ずつという並びのなか、マーク・プリチャードのみがハーモニック313名義とソロ名義で2種類のリミックスを提供している。レディオヘッドあるいはトム・ヨークにとって、マーク・プリチャードというタレントはそれだけ別格の存在なのだろう。

 なお、今回シングル・カットされた "Beautiful People" のB面には同曲のインストゥルメンタル・ヴァージョンが収録されている。バイ・ヴァイナル!

OG from Militant B - ele-king

愛すべき日本のレゲエミュージック 2016.8.19

完全に久しぶりぶり~な感じのOGですがバイブス変わらず俺なりのチャートをお届け!
今回のテーマは"愛すべき日本のレゲエミュージック"と題し、終わりたくない夏!
初のオール日本人の楽曲を挙げました。やっぱ言葉の意味も分かるし、それがレゲエのリズムに乗ったら最高なの間違いなし!
You Tubeはほぼ無かったのでCD、レコードをゲットしたり俺のプレイで楽しんでくれ。
そして日本が今とんでもない方向に進もうとしてることは誰もが分かるから、音楽で俺らは繋がろう。
そして広げよう!踊るのは楽しいぞ!と

最後に私事なんですが7月にBrand New Mix TAPE "Hawkeye Dub"をMASTERED HISSNOISEよりリリースしました。

テープという媒体ながら多くの方に手にとってもらって嬉しいです。
俺はいつでも絶好調!だからパーティーにも遊びきてね。
そんなノリをキープしてリリースパーティーのお知らせ!

 B.D.は常に「東京」を意識してきた。そして、それは今も変わらない。彼の新プロジェクトが、そのことを証明しているのだ。
 前作から約3年ぶりとなる今回のプロジェクトは、ドメスティック・アパレルブランド、BACKCHANNELとハード・ディガー・プロデューサー、Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho、そしてB.D.のコラボレーションによる、スペシャル・アイテム・ボックスとしてのリリースとなる。このボックスには全楽曲をMr.ITAGAKI a.k.a.Ita-choがプロデュースしたEP『BORDER』(全11曲)と、その他にCAP、TOWELが同梱されており、そのデザインはB.D.の前作『BALANCE』でのアートワークで注目を集めた、KANTOが担当している。また、今回のEPはCD単体でのリリースは予定されていないとのこと。
 アイテム・ボックスのリリースは9月23日(金)であるが、それに先駆けWEBサイトと、本作に収録されている「Guidance」、「Iranai feat.OMSB」のMVが公開されている。これを見れば、B.D.が「東京」のアンダーグラウンドを更新し続けていることを再認識出来るだろう。スペシャル・ボックスは追加生産なしの数量限定アイテムということで、入手困難になることも予想されるが、マスト・チェックなEPをぜひ手に入れてほしい。

(以下、「Guidance」「Iranai feat.OMSB」のMVです。)


「BACK CHANNEL × B.D. × Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho BORDER SPECIAL BOX SET」

価格:¥10,000+tax
発売日:2016.9.23

タイトル:BORDER
アーティスト:B.D., Mr.Itagaki a.k.a. Ita-cho
レーベル:GREEN BACK

Track List
1.Mezame
2.48Tricks
3.Guidance
4.Seventh Heaven
5.16deep
6.Fly Wire
7.Iranai feat.OMSB
8.Lemon
9.Groovy Line
10.Better Days
11.Next Door
All Tracks Produced by Mr.Itagaki a.k.a.Ita-cho

WEB:https://border.grbk-killaturner.com


■B.D.(Rapper)
10代よりソロ活動を皮切りにキャリアをスタートさせる。
IKB(池袋)や渋谷宇田川町を地場にTHE BROBUS (B.D.,BAZOO,DWEET,HASSY THE WANTED)を結成。2枚のアルバムをリリースする。
解散後再びソロに転向し「THE GENESIS」をリリース。その活動と平行してTETRAD THE GANG OF FOUR(NIPPS,B.D.,VIKN,SPERB)を結成。またNIPPSとB.Dが中心となりアンダーグラウンドの雄が集結したTHE SEXORCISTが誕生。変態キャンペーンを合言葉にその活動に大きな注目を集める。そして2013年末にはユニバーサルミュージックよりメジャーアルバムとなる「BALANCE」をリリースするなど、精力的な活動を続ける「東京の」ラッパーである。KILLATURNER名義で制作したDJ MIX「KILLA SEASON」が各方面より高い評価を得て現在はDJとしての活動も行う。
https://www.grbk-killaturner.com/

■Mr.Itagaki a.k.a.Ita-cho (Producer)

digger producer,beatmaker dj,vinyl dealer,vintage blaxploitaition & vintage kung fu poster dealer
ヒップホップのレコードを世界一売った店の元バイヤーとして、100タイトルを越えるエクスクルーシブ盤の制作やクラシックタイトルの再発などの仕事で評価を受ける。
海外への買い付けでもアメリカ,ヨーロッパなどで掘りまくるハードディガー。数多くのジャパニーズヒップホップ作品のプロデュースワークでも知られる。
DJプレイでは各地にて黒いバイブスに裏付けされた幅広いジャンルの選曲で玄人筋から評価を得ている。
2006年のオリジナルアルバムに続き、09年にビクターエンターテインメントよりリリースされたP&P records音源を使ったオフィシャルMIX CはUKチャートでNo.1を獲得した。
作品のジャケットデザインを始め、アパレルブランドのアートワークディレクションもこなす。元調理師でK.O.D.Pのメンバー。
https://thevinylpimp.com/

■Back Channel

1999年、東京でアンダーウェア・メーカーとしてスタート。ブランド名は「裏ルート」という意味を持ち、現在ではテキスタイル、シェイプ、ファンクションの融合をコンセプトに、トップスやボトムスにアクセサリーといった幅広いメンズコレクションを展開している。ストリートを背景に、高品質マテリアル、高性能ディテールをとことん追求し、シーズン独自の世界観でオーセンティックなアパレルを表現。また、近年では本格アウトドア・ブランドとのコラボレーションも実現し、アウトドア愛好家も納得するハイクオリティなプロダクトを数多く発表。着る人の雰囲気や個性を最大限に引き出すことを意図した、洋服作りを続けている。
https://www.backchannel.jp/

Bon Iver - ele-king

 この10年において、インディ・ロック・シーンが発見したもっとも巨大な才能だったのかもしれない……ジャスティン・ヴァーノン、彼のボン・イヴェールとしての新作『22, A Million』が9月30日にいよいよ発表される。もちろん<ジャグジャグウォー>からだ。前作『ボン・イヴェール、ボン・イヴェール』(11)から、カニエ・ウェストやジェイムス・ブレイクとのコラボレーション、ポストロック・バンドのヴォルケーノ・クワイアでの活動、数々のプロデュース・ワークに地元町でのフェスティヴァル開催、そして初来日公演と何かと話題はあったものの、やはりボン・イヴェールとしての新作は重みが違う。

 彼が主宰するフェスティヴァルでは新作が全曲プレイされたが、インターネット上でも正式に2曲が発表されている。実験的なジャズとヒップホップの大胆な導入、アンビエントとドローンへの関心、ゴスペルとフォークへの忠誠……そうしたものが彼自身のエモーションで繋ぎとめられているかのような絶大なインパクトを持った、新作への期待を否応なく煽る2曲である。アルバムのクレジットにはヴァーノンの音楽仲間たちを中心に膨大な人数が記されており、もはやボン・イヴェールが山小屋のフォーク・ミュージックから遥か遠くまで来たことを証明している。ボン・イヴェールというプロジェクトを通してヴァーノンが、様々な音楽ジャンルや形式や、そこに関わる人間たちの力を借りて、新しい音楽的コミュニティを模索し創りあげようとしているように思えてならないのだ。

 公式サイトではTシャツ付やジャケット付も選べる形でプレセールが始まっている。話題作が続く2016年だが、もちろん本作もハイライトのひとつとなるだろう。

22 (OVER S∞∞N) [Bob Moose Extended Cab Version]

10 d E A T h b R E a s T ⚄ ⚄ (Extended Version)


Bon Iver / 22, A Million
Jagjaguwar



22, A Million Tracklist:

1. 22 (OVER S∞∞N)
2. 10 d E A T h b R E a s T ⚄ ⚄
3. 715 - CR∑∑KS
4. 33 “GOD”
5. 29 #Strafford APTS
6. 666 ʇ
7. 21 M◊◊N WATER
8. 8 (circle)
9. ____45_____
10. 00000 Million

SOUL definitive 1956 - 2016 - ele-king

21番目の「笑っていた」で泣いてしまった。「あなたがアメリカの黒人だったら殺されるかもしれない23の状況(23 Ways You Could Be Killed If You Are Black in America)」という動画のことだ。合衆国で無抵抗の黒人が警官に殺害され続けていることに抗議するため、ビヨンセやリアーナ、アリシア・キーズといった錚々たる顔ぶれが集結し、それまでに殺害された23人が殺される直前に何をしていたかを淡々と語っていく動画である。21番目に登場する被害者は、単に「笑っていた」というだけで殺されてしまった。もう本当にどうしようもないくらい悲惨だ。
2016年はビヨンセの年である。黒人であることと女性であること、政治の問題と恋愛の問題を同時に気高く歌い上げる彼女の姿は、昨年のケンドリック・ラマーと同様、ポピュラー・ミュージックの歴史に深く刻み込まれることになるだろう。何がすごいって、元デスティニーズ・チャイルドだよ。90年代に誰がこんな姿の彼女を想像できただろうか。
だが落ち着いて考えてみると、いまの彼女の力強い姿は当然の帰結なのかもしれない。なぜなら彼女の背後では、われわれが想像するよりもはるかに大きな川がこれまで一度も途切れることなく脈々と流れ続けていたのだから。かつてアミリ・バラカ(リロイ・ジョーンズ)はその川を「変わっていく同じもの(the Changing Same)」と名付けた。
ブラック・ミュージックは刹那的で、うつろいやすいと言われる。そのときそのときで新しいスタイルが生み出され、聴衆はそれを次々と消費しては捨てていく。こう書くとただむなしいだけのように感じられるかもしれないが、それはつまり、ブラック・ミュージックが各々の時代の社会情勢と相互に作用し合っているということでもある。公民権運動があった。ヴェトナム戦争があった。LA暴動があった。イラク戦争があった。それらはみな一本の大きな本流へと注ぎ、2016年という河口まで流れ込んでいる。直接的なメッセージが歌われているかどうかだけが重要なのではない。楽器が、リズムが、音色が、歌声そのものが、20世紀後半の合衆国の歩みに呼応しているのだ。
サム・クックがいた。ジェイムズ・ブラウンがいた。ディアンジェロがいる。ビヨンセがいる。『ディフィニティヴ』シリーズ最新作は、「ソウル」である。

SOUL definitive 1956-2016
河地依子



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第1章:1950年代~ ソウルの黎明期
p7 Sam Cook / p8 James Brown & The Famous Flames / p9 Ray Charles / p10 歌姫たち / p11 ドゥーワップの系譜 / p13 ニューオリンズ / p14 その他の先達

第2章:1960~ ソウルの躍進
p16 The MIracles / p17 デトロイト~Motown / p19 Stevie Wonder / p20 Marvin Gaye / p21 Supremes / p22 The Temptations / p23 For Tops / p26 The Jackson 5 / p27 Invicuts / p31 Chaimen Of The Board / p32 メンフィス~Stax / p33 Otis Redding / p37 その他の南部 / p38 Atlantic / p42 Wilson Pichett / p43 Aretha Franklin / p44 シカゴ~Chess / p46 Okeh / p47 その他 / p49 Ike & Tina Turner

第3章:1964~初期のファンク
p52 James Brown / p54 Sly & The Family Stone

第4章:1969~ファンクに火が点いた
p56 Sly & The Family Stone / p57 James Brown / The JB's / p58 P- Funk / p63 Ohio Playersおよび関連作 / p65 オハイオその他 / p67 The Isley Brothers / p68 Earth, Wind & Fireおよび関連作 / p71 東海岸(NY/NJ) / P73 西海岸 / p76 デトロイト / p78 Isaac Hayes / p79 The Bar-Kays / p80 The Meters / p81 Allen Toussaint および関連作 / p82 その他の地域 /

第5章:1971 ~ニュー・ソウル
p84 Marvin Gaye / p85 Curtis Mayfield / p87 Donny Hatherway / p88 Stevie Wonder / p92 番外編:「言葉」のアルバム

第6章:1972~ソウル百花繚乱
p94 Al Green / p95 メンフィス~Hi / p98 メンフィス~Stax / p101 Bobby Womack / p102 その他 / p104 Philadelphia International / p105 フィラデルフィア / p110 The Stylistics / p111 その他 / p112 Buddah / p113 ニューヨーク / p116 Brunswick/Dakar / p117 Barry White / p118 西海岸 / p121 西海岸~Motown / p124 デトロイト / p126 Prince / p127 その他

第7章:1979~ エレクトロ時代の洗練
p129 Michael Jackson / p130 Chicおよび関連作 / p132 Rick Jamesおよび関連作 / p134 Jazz→→→Funk / p135 ニューヨークその他 / p137 Zappおよび関連作 / p139 オハイオその他 / p140 Princeおよび関連作 / p142 Reggie Griffinおよび関連作 / p143 ミシガン / p145 Solar / p148 西海岸その他 / p150 その他の地域 / p152 Go-Go / p154 ニューオリンズ / p155 シンガーたち:旧世代 / p162 Luther Vandrossおよび関連作 / p163 シンガーたち:新世代 / p167 シンガーたち:英国 /

第8章:1988~ ニュー・ジャック・スウィング→ヒップホップ・ソウル→ビート革命
p171 Guy / p172 Teddy Rileyおよび関連作 / p174 Uptown / p174 Jam & Lewisプロデュース作、Perspective作品 / p178 LA & Babyfaceプロデュース作、Laface作品 / p181 New Editionおよび関連作 / p183 Foster & MacEloryプロデュース作 / p185 LeVertおよび関連作 / p186 Motown / p189 Def Jam/OBR / p191 Keith Sweatおよび関連作 / p192 R. Kellyおよび関連作 / p193 Dallas Austin関連作 / p194 セルフ・プロデュースの人々 / p196 Timbalandおよび関連作 / p199 その他 / p207 我が道を行く人々 / p209 英国バンド / p211 シンガーたち:英国

第9章:1995~ ネオ・ソウルとR&B(1)
p213 D'Angelo / p214 ネオ・ソウル / p219 R&B / P220 Destiny's Child / p223 ゴスペル /

第10章:2000~ネオ・フィリー
p226 Jill Scott / p227 ネオ・フィリー

第11章:2001~ネオ・ソウルとR&B(2)
p233 Alicia Keys / p234 R&B / p242 ネオ・ソウル / p244 Anthony Hamilton / p252 番外編:Bruno Marsおよび関連作 / p253 レトロ・ソウル / p257 全方位型 / p260 ゴスペル / p261 英国 /

第12章:2005~ エレクトロ~アンビエント~ドリーム
p264 Riahnna / p265 ダンス、ポップ / p267 アンビエント、ドリーム /

第13章:~2016 新世代プロテスト
p272 Beyonce / p273 新世代プロテスト


コラム
p35 「全盛期のレヴューのライヴ盤」
p90 「ブラックスプロイテーションのサントラ」
p100 「社会的な目的の慈善ライヴ」
p169 「反アパルトヘイト・アーティスト連合」
p224 コラム「ファンクの復活」
p230 「銀幕の中のアーティストたち」
p231 「ザ・ルーツの暗躍」
p258 「トリビュート盤」
p262 「相次ぐヴェテランの復活劇」

p274 索引

The fin. × DYGL - ele-king

 明け方目が覚めて、白んでいく空を見ていると、自分はなんでもできるんじゃないかと思えてくる。ぼくは意味もなくワクワクしている。この夢を君にもわかって欲しいんだ。夢を見るな? 詩を書くな? だったらぼくたちは何をすればいい。いまの日本で注目の若手バンド……なんて白々しい言葉にはうんざりしている君よ、ここに来い!

LIQUIDROOM 12th ANNIVERSARY
The fin. × DYGL

出演:The fin.、DYGL
日時:2016年8月31日(水曜日)開場/開演 19:00/20:00
会場名:リキッドルーム
前売券:3,000円[税込・1ドリンク代(500円)別途]
前売券取り扱い箇所:チケットぴあ[Pコード 306-784]、ローソンチケット[Lコード 74028]、イープラス<https://eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002198579P0030001>、ディスクユニオン(お茶の水駅前店/新宿BF日本のロック・インディーズ館/下北沢店/吉祥寺店/池袋店/渋谷中古センター)、リキッドルーム

問い合わせ先:リキッドルーム 03-5464-0800 https://www.liquidroom.net

▼The fin.
神戸出身、4人組ロックバンド。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。新人ながら「FUJI ROCK FESTIVAL'14」、「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014 in EZO」などの国内大型フェスティバルや海外フェス「SXSW 2015」、「The Great Escape 2016」へ出演、そして今年、3月16日に6曲収録のEP「Through The Deep」をリリースして、日本、アジア、UKでリリースツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
https://www.thefin.jp

▼DYGL
2012年に大学のサークル内で結成。すぐさま東京でライヴを始め、これまでにCassie RamoneやJuan Wautersなどといった海外のミュージシャンとも共演。2015年には『EP #1』をカセットとバンド・キャンプで自主リリースし、世界の早耳な音楽 リスナーの注目を集める。その年の秋にはアメリカに長期滞在し、感性の近い現地のミュージシャンたちとコミュニケーションを交わすなか、LAの注目レーベル〈Lolipop Records〉のスタジオでレコーディングを決行。ライヴでも盛り上がりをみせる、“Let’s Get Into Your Car”などの曲を再録し(『EP #1』に収録)、台湾ツアー後に書き溜めていた“Don’t Know Where It Is”なども録音。彼らが影響を受けてきた普遍的なインディー・ロックの音の鳴り、スタイル、そしてスケール全てをサウンドに消化させ、6曲入りファーストEP『Don’t Know Where It Is』が完成し、リリースされる。2016年、ロックの夢は決して終わらない。膨大なロマンスと漠然とした勇気をのせた歌がある限り。
https://dayglotheband.com

WIRED CLASH - ele-king

 来る9月3日(土)、日本随一の大型テクノ・パーティ『WIRED CLASH』が今年もageHaで開催される。
いまノりにノっている石野卓球が盟友ウエストバムと共演する──これは見逃すわけにはいかないだろう。ベルリンのテクノ・シーンの礎を築いたこの男、実は相当ラディカルなDJである。11月半ばに刊行予定のウエストバムの自伝『夜の力』(大方の予想を裏切るとんでもない内容です)によると、ベルリンの壁で暴動が起こったとき、彼はその傍らでシカゴ・ハウスをスピンしたのだという。そんなアツい男がこの日本随一のパーティでどんなプレイを見せるのか──それだけでも十分「買い」な『WIRED CLASH』だが、日本からはケン・イシイ、大沢伸一、スギウラムといった大御所が出演するなど、素晴らしいアーティストたちが目白押しである。
 また、同パーティではおなじみの VENUS LASERとLIGHTING MIURAによるライティング&レーザーや、REALROCKDESIGN、HEART BOMB、VJ MANAMIら映像チームによる演出にも注目だ(各アーティストの出演エリアやタイムテーブルは後日発表予定)。
なお、現在『クラベリア』にて発売中の前売チケットは、9月2日の『STERNE』および9月3日の『WIRED CLASH』というふたつのパーティへ入場可能な、とってもお得な共通券となっている。この機会を逃すな!

WIRED CLASH
2016.09.03.Sat. at ageHa
23:00 Open/Start Door 5,000yen/ageHa MEMBER 4,000yen

■LINE UP
TAKKYU ISHINO [Tokyo/JP]
WESTBAM [Berlin/GER]
DER DRITTE RAUM [Berlin/GER]
POPOF [Paris/FRA]
FRANK LORBER [Frankfurt/GER]
DJ COOKIE [Taipei/TW]
DOZEGUISE [ASYLUM/Hawaii/US]
ERIC HSUEH [6AM/Guam/US]
KEN ISHII [Tokyo/JP]
SHINICHI OSAWA [Tokyo/KP]
SUGIURUMN [BWR/Tokyo/JP]
DJ SODEYAMA [Tokyo/JP]
A.MOCHI [Tokyo/JP]
OSAMU M [Tokyo/JP]
DJ PI-GE & KIKIORIX [TRESVIBES/Tokyo/JP]
SEKITOVA [Osaka/JP]
SUNSEAKER [Tokyo/JP]
NAO NOMURA [BWR/Osaka/JP]
SAKIKO OSAWA [Tokyo/JP]
KiTE [SUNNY/Tokyo/JP]
QUE SAKAMOTO [Tokyo/JP]

■VJ
REALROCK DESIGN
HEART BOMB
VJ MANAMI

■LIGHTING
MIURA

■LASER
VENUS LASER

■HOSTED BY
YASUHIRO ARAKI & MANABU HOSAKA


料金:
当日:5,000円 ageHa MEMBER 4,000円
第1弾 : 4000円 8/5(金)~8/9(火) ※受付終了
第2弾 : 4250円 8/10(木)~8/15(月) ※受付終了
第3弾 : 4500円 8/16(火)~8/21(日) ※受付終了
第4弾 : 5000円 8/22(月)~9/2(金)
※前売チケットは『STERNE』、『WIRED CLASH』共通券として両パーティーでご使用いただけます。

■前売チケット販売サイト
クラベリア→https://www.clubberia.com/ja/events/255980-WIRED-CLASH/

・『STERNE』の詳細は下記ウェブサイトからご確認いただけます。
https://www.womb.co.jp/event/2016/09/02/sterne-12/


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