「IR」と一致するもの

 深夜の12時をまわった頃だ。ブースでは替わったばかりの二木信がフォクシー・ブラウンが歌うレゲエをプレイして、そらからもう一発、ダンスホールに繋ぐ。僕はマイクを持ってDJを紹介。闇のなかからヤジが飛ぶ。ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ! よく知っている声......と思ったら高橋透さんが荒声を上げながらDJブースの前までやって来る。そして、その晩初めて会う二木に向かって「営業DJしてんじゃねーぞ、おら!」とでかい声でピシャリ。ひぇ~、そんなこと言わないでやってよ、透さん......。11月22日、ここは静岡市両替町。リアル・アンダーグラウンド、〈rajishan〉。

 それは21日の夜からはじまった、クラブ〈FOUR〉の4周年を祝うパーティだった。二日目のその晩はスペシャルということで〈rajishan〉と〈FOUR〉との共同開催となった。何故ならアンドリュー・ウェザオールがやって来る。〈エレクトラグライド〉のために来日していた彼は、翌日静岡まで来てくれたのだ。僕といえば、当初の予定ではイギリスの生んだ偉大なインディー・レーベルの祝祭に向かうはずだったけれど、躊躇なく予定を変更した。地元のパーティに参加することにしたのだ。

 時間を戻そう。21日の夜......えーと、7時過ぎぐらい? 両替町の裏通りにある〈PERCEPTO RECORD〉に二木を連れて行く。店内には、メルツバウ、ヘア・スタイリスティックス、ECDなんかのCDが壁にずらっと並んでいる。そして棚にはソウル・ミュージックとパンクの中古盤がごっそりある。全国の物好きな連中にはすっかり有名なこのユニークなお店を経営するのは、アイデア・オブ・ジョークの森川アツシさんだ。僕が初めてストラグル・フォー・プライド(SFP)のライヴを観たのも、森川さんが静岡で企画したイヴェントだった。あのときSFPはECDと一緒に静岡でライヴをやった。たしか......2003年の5月だ(清水エスパルスがジュビロ磐田に惨敗した夜だった)。

PERCEPTO RECORD〉はいまでも"ハート・オブ・オルタナティヴ"だ。僕はたちは......やけのはらのこと、中原昌也のこと、ドリアン君のこと、七尾旅人のこと等々、いま身近にある素晴らしい音楽について話した。「ローリン・ローリン」はもうとっくに売り切れてしまったんですよ、と彼は言った。いま追加注文分を待っているんです。へぇー、すごいね、あれは本当に良い曲だよね。うん、すごい良い曲。「ローリン・ローリン」は口ずさんでしまえるほど聴いている。やけのはらのパートを暗記するほどに。

「来年は、やけのはらとドリアンを静岡に呼びたいんだよね」と森川さん。それは良い、見たい! 中原昌也も呼ぼう! とか、テキトーなことを言っている間に、二木はお店にあった得体の知れないインディー盤を2枚買った。

次はのだやにGO! 二階の座敷には、その晩のゲストとして東京から来てくれたDJ NORIさんがいた。今年DJ生活30周年を迎えた大ベテランだ。そして、〈Luv & Dub Paradise〉を主催する五十嵐慎太郎とその仲間たち――市内で服屋〈NEWPORT〉を営む三ヶ尻吉伸君、〈FOUR〉を切り盛りする海野隆之君、〈Luv & Dub〉を手伝うDJ Rumy、で、二木も一緒になっておでんを貪り、ビールを飲んだ。

 きっとどこの町にも音楽好きがいる。ダンス・ミュージック好きが何人か集まればパーティがはじまる。DJが生まれ、クラブがオープンして、クラバーがやって来る。より多くのアルコールが消費され、より多くの汗とより多くの小便が流され、より多くの水が飛ぶように売れる、より多くの夢とより多くの虚無が生まれる......静岡もそうだ。
 この15年以上ものあいだ、静岡のクラブ・シーンは他のどの町とも同じように、良いときも悪いときもあった。最悪なこともあれば最良のこともある。その町でいちばんのDJはその町を仕切る......などという幻想がこのシーンを支配したこともあった。派閥ができて、仲違いも生まれた。いろんな試練が小さな町の小さなシーンを襲った。

 どこかで聞いたような話だろう? でもね、静岡のような小さい町は少なからずそうした影響から逃れられない。いろいろ大変なことが起きる......面倒な事態に巻き込まれる......ところが、町の音楽好きは自分たちがやってきたことを止められない。過去の努力が報われることを信じているというよりは、本当にそれぐらいしかやりたいことがないからだ。犬が走ることを止めないように......いや、この喩えはよくない。

 とにかく、その曲がりくねった歴史のなかで、シーンの開拓者として、あるいはテクノDJとして初期からずっとそこにいるDJ KATSUは、昨年、10年ものあいだ地元のDJ連中やDJ予備軍たちに12インチを配給し続けていたレコード店〈MASSIVE RECORD〉を失った。シーンは動揺した。涙した人もいれば失笑した人もいた。それでもおおよそは親身になっていた。が、新しくはじめたクラブも思うようにいかなかった。静岡、大丈夫?などと東京の関係者たちが囁いた。大丈夫だ、静岡ではテクノとサッカーは信仰なのだ。たぶん。

 同じようにシーンの初期からいる五十嵐は、10年前に自分の店を失い、彼の歯も失っている。それでも懲りずにパーティを続けている。3年前に家族の事情によって静岡を離れ、東京を拠点にするようになったいまでも、五十嵐は静岡と東京を往復する。僕は長いあいだこの男の正体がわからなかったが、いまは理解しているつもりだ。DJ KATSUについても、ある程度は。

 DJ KATSUと五十嵐――ふたりとも長くシーンに関わりながら、それなりの代価を払ってきた。必要以上に手痛い目にも遭っている。タフと言えば本当にタフな連中だ......というか、高くを望まなければなんとかなるのだ。ま、いっか。それでなんとかやっていける。だから(......と言っていいのかどうか)静岡には他にも面白いDJやクラバーが何人もいる。みんなに共通しているのは、町に対する愛情と遊びへの飽くなき追求心だ。それが彼らを町に出させる。この町のミュージック・ラヴァーが週末を部屋で過ごすことなど、まず許されない。
 
 二木がおでんを食べているその前で、僕はビールをがぶ飲みしていた。21日の晩、そうしなければならない理由が僕にはあった。個人的な理由であり、共同体的な理由でもある。その日の午後、静岡のサッカー競技場では、清水エスパルスが公式戦4連敗を喫した。これでリーグ戦3位以内の望みも途絶えた。試合内容も希望を持てるものではなかった。この敗戦はサポーターをしたたかに打ちのめし、土曜日の夜のアルコールをうながした。チクショー、今夜は飲むぜ、二木! と言ったところで、話は盛りあがらないので、僕は二木を〈rajishan〉に連れて行くことにした。

 〈rajishan〉......それは静岡で暮らすミュージック・ラヴァーにとって"帰る家"だ。ここではDJ NOBUがまわし、ヨーグルトもALTZもDJ HIKARUも、あるいはイルリメも、とにかくこの国の腕の良いDJ連中がこの小さなハコでまわしている。バーのカウンターにはディスチャージのレコード(1984年のベスト盤『Never Again』)がいつまで経っても飾られている。このハードコア・バンドは自分たちのジャケに何度かサッチャーの顔を引用したものだけれど、その本当の意味をあの頃の僕はわかっていなかった。もちろんいまは骨身に染みてよくわかる。つまり、それほど彼らは"痛めつけられていた"のだ。「Life is like a pubic hair on a toilet seat」――「人生とは便座の上の陰毛のようだ」、ディスチャージはこう言ったものだった。「sooner or later you get pissed off」――「遅かれ早かれ、うんざりするときがくる」

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 その晩は〈SCUBA〉というパーティで、ブースには若い女性DJがいた。思わず鼻の下を伸ばす二木に冷や水を浴びせるかのように、彼女はハードなダブステップやグライムを繋ぐ。いま流行のハウシーなダブステップなんかではない。重たくてラウドなダブステップだ。格好いいね~。二木と一緒にしばらくその場にいることにした。「これって爆音で聴くとパンクだね~」などと話しながら踊った。ダブステップやグライムの魅力のひとつは、パンキッシュなハードさにある。クラブで聴くとそれがよくわかる。あのゴリゴリしたベースラインが、抑圧された感情をえぐってくるようなのだ。激しく身体を揺らしている二木を見ながら、僕はそう思った。

 それから僕たちは〈FOUR〉に行くことにした。〈rajishan〉から〈FOUR〉まで歩いて1~2分。夜の町をゆっくり歩きながらクラブに着くと、DJはちょうどSHOさんからNORIさんに替わるところだった。SHOさんもNORIさんや透さんと同じように、この国のオリジナル世代のひとりだ。1986年、NORIさんと透さんがNYに行ったその年、六本木の〈玉椿〉で働いていた五十嵐にハウス・ミュージックの洗礼を浴びせたDJのひとりでもある。

 SHOさんからNORIさんへ、オリジナル世代がブースに並ぶと、フロアの温度は否応なしに上がる。NORIさんがまわしはじめると、いたるところから叫び声、そしてクラッカーが鳴る。4周年オメデトー! NORIさん30周年オメデトー!などという雄叫びがハウスのビートに合間に聞こえてくる。その「オメデトー」は心の底からのオメデトーだ。

 東京のゴージャスなクラブに慣れた人がここに来たら肩すかしを食らうかもしれない。なんじゃこりゃ? これがクラブ? そう言うかもしれない。そんなヤツはさっそと帰ってくれ。地方の小さな町で、資本の後ろ盾もなくクラブを続けることは並大抵のことではない。というか、とてもクラブ営業だけではまわしていけない。海野君も昼間は他の仕事をしながら、夜は〈FOUR〉に顔を出す。まったくのDIY、まったくのインディペンデント・クラブ。このクラブのスタッフのひとりには、DJのCITYBOYがいる。彼は元々は東京の子で、働きながら都内でDJをやっていた。数年前、転勤で初めて静岡にやって来た彼は、町のシーンが気に入ってしまい、永住を決めた。それから会社も辞めて、いまは〈FOUR〉のスタッフのひとりとして働いている。

 NORIさんのパーカッシヴなハウスに身を任せながら〈FOUR〉で踊っていると、海野君から静岡のヒップホップ・チーム〈SUGAR CRU〉のメンバーを紹介された。二木も一緒ということで、いろいろと自主制作のCDをもらった(その音源についてはいずれ二木が紹介してくれる)。彼らは、その晩、最近両替町にできたヒップホップの小屋〈VIGO Black〉でイヴェントがあることを教えてくれた。〈VIGO Black〉のことは、実はSFPの今里君から聞いていた。この夏、今里君が静岡に行ったときに行ったそうだ。

 二木を連れて、〈VIGO Black〉に出向いた。そこは〈FOUR〉からほんの1~2分の、市内の小さな歓楽街のど真ん中にある。入口にはヒップホップらしい雰囲気が、集まってくる子たちからビシビシと溢れている。着ている服、年齢(若い!)、歩き方、そして音楽......。僕と二木はすっかり圧倒されながらこの文化の真っ直中でしばらく佇んでいた。「すげー、いいクラブでしたよ」と今里君は言っていたが、本当にそうだった。

 〈FOUR〉に戻ると、バーのあたりは夜の王族たちで溢れかえっていた。クラバー、町の顔役......ごっそりいる。DJ KATSUも来ていた。彼に会ったのは久しぶりだったので、いろいろ話したかったのだけれど、僕の口は重たくなっていた。「また店をやりますよ!」と、静岡のベテラン・テクノDJは頼もしい言葉を叫んでいた。そうか、それはすげーな、マジでがんばってくれよ。それにしたって......七転び八起きというか、このヴァイタリティは......。それともこれはレス・イズ・モアということなのだろうか......。

 ここのクラブ・シーンでは有名な話だが、DJ KATSUと五十嵐はある種のライヴァル同士だ。フランキー・ナックルズとロン・ハーディのようなものだ......と言ったら怒られるだろう。本当に哲学の違いなのかもしれないし、ただの意地の張り合いかもしれない。大方の見方としては、いまとなっては大した話じゃない。DJ KATSUがテクノなら五十嵐はハウスだが、それはマクロで見れば、カレーが好きかハヤシが好きかの違い程度だ。もちろん、小さな町ではどうしても週末の客を取り合うことになってしまう......。しかし、いまはそんなことを言っている場合じゃない。そうだろ! と我々はここ数年、何回も〈rajishan〉で話している。背中を丸めながらカウンターに並んで、いい歳した連中が酒臭い息を相手の顔に吹きかけながらムキになっているわけだ。

 話は変わるが、静岡のような小さな町の利点は、意見が違うヤツとも同じ場所にいざる得ないということだ。え? どういうことかって? つまり、東京みたいな大きな町では、会いたくないヤツとは会わなくて済ませることができる。しかし、小さな町では行く場所が限られているのでそうはいかない。とりあえず遭ってしまうし、一緒にやっていくしかない。もはや家族みたいなもので、共存するしかない。こうして地方特有のバレアリック感が育まれるのだ。

 二木は、僕の高校の同級生である森藤の家に泊めてもらうことになった。この年になって、高校の同級生でいまでも一緒に踊ってくれるヤツはもう森藤ひとりしかいない。淋しい話だが、46という年齢を考えれば妥当かもしれない。ちなみにこの男は、10年前は週末になると夜ひとりで高速を飛ばして西麻布の〈Yellow〉まで行って、朝まで踊って、そして朝日を浴びながら静岡まで帰ってくる生活を続けていた男だ。そう、彼は心底ダンス・ミュージックが好きなのだ。
 森藤は奥さんと一緒に〈FOUR〉まで迎えに来てくれた。もちろんただ来ただけではない。しっかり踊っていった......。
 そして午前3時過ぎ。僕は、二木をよろしくね~と言ってから〈FOUR〉を後にして、ひとりで夜の町を歩いて家に帰った。どうやって帰ったのかはあまり記憶にはないのだけれど......。

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 22日の夜8時、場所は再びのだやの座敷。透さんとDJのWang-Gung、地元のDJのYamada、そして五十嵐、海野君、あるいは二木と一緒に食べて、ビールを飲んでいた。透さんは前日に神戸でDJをやってその足でそのまま静岡へ、Wang-Gung君は江ノ島の〈OPPA-LA〉でDJをやってそのまま静岡へ、というふたりともご苦労なスケジュールだ。Wang-Gung君はデトロイト系のパーティでよくまわしている。働きながら好きでDJをやっている。この国の多くのDJと同じように。
 で、しばらくすると......なんとまあ驚いたことに、ムードマン一家が入ってきた。ムードマンに会ったこと自体が久しぶりだった。この一家は、三重の〈Eleven〉に参加して、そのまま静岡に寄ったという。急遽その晩〈FOUR〉でまわすことにしたそうだ。いやー、恐れ入る。彼らはどんな小さなパーティでも呼ばれれば行くのだろう。大雑把に言って、どこまでも音楽を愛するこういう人たちが、この国のクラブ・カルチャーのもっとも美しい場所を支えているに違いない。そういう意味で、ここはまだシーンの純粋さが保たれている......と、思っていたら、東京から下北沢〈SLITS〉店長だった山下直樹さんまで登場。ウェザオールのDJを聴きに高速バスに乗ってきたそうだ。で、地元の先輩で「両替町ブリストル化計画」を目論むKAKEIさんもやって来る。座敷に上がるなり第一声は「どうしたのよ、清水!」、ああ、ようやく僕と話が通じる人が来た。「いや、もう、健太は限界なんですかね?」、「すぐそういうこと言ってはダメだよ~」とKAKEIさん。なんの話かって? 清水エスパルスの話ですよ!

 10時を過ぎた。みんなでクラブに行く。まずは〈rajishan〉へ。

 〈rajishan〉では、五十嵐――DJネームはHakka-K(歯がないので)がすでにプレイしている。彼のキャラを物語るように、どっぷりと濃厚なハウスで攻めている。それから五十嵐より20も若いDJ Rumyにバトンタッチする。濃厚なハウスからセクシーなハウスに替わるとフロアからは思わず安堵のため息が漏れた......ようだった。
 12時からは二木の番だ。1時からは僕だ。酔いを醒ますためにウーロン茶をがばがば飲む。フロアでは地元のテクノDJ、YSKが暴れている。「清水どうしちゃったんだよぉぉぉぉ!」と彼は叫んでいる。そう、YSKは、地元の若手を代表するテクノDJであり、生活における軸ってもんを知っている男でもある。彼の叫びは僕の叫びでもある。奥ちゃんもいた。奥ちゃんもDJで、自分でもパーティを主催したり、DJ NOBUを静岡に呼んだりしている。〈FUTURE TERROR〉があるときは千葉まで行っている。
 役者が揃ってきた。暗闇の奥からは透さんの鋭い眼光が光り、DJ KATSUの姿も......、だんだん気合いが入ってきたので、僕は思わずマイクを握る。そして先述したようにしっかり二木を紹介してやった。「DJ Rumyさん、そして東京からやって来た二木信です!」

 久しぶりのDJは緊張する。レコードは前日の夜に慌てて選んできた。忙しくて選曲している時間がなかった。テキトーだったが、最初の曲を何するかだけはけっこう悩んだ。ビリー・フューリーの甘いバラードにするべきか、それともジニアスにするべきか。ジニアスはオール・トゥモロウズ・パーティのドキュメントタリー映画の試写に行って、もっとも感動したアクトだった。あのオルタナの祭典において、ウータン・クランの最年長者は特別な存在感を発揮していた。あらためて格好いいと思った。
 さあ、なにからはじめよう。二木の横に並んで考えた。ふと、数年前ここで初っぱなにアニマル・コレクティヴの"ザ・ソフテスト・ヴォイス"をかまして客にドン引きされた記憶が脳裏をかすめる。思わず、バッグから「リキッド・スウォーズ」を探した。そして、かけた。それから何をかけたのかは、書かない。neco眠るの「Dashi Culture」のALTZミックスは受けたよ。ありがとう、宮城。......それはまあともかく、今回は、自分のミックスの致命的なまずさを誤魔化すためにMCをやることにした。「えー、次の曲はですね、僕が今年いちばん気に入っているシングルです」とか言いながら、ブリアルをかけるわけだ。はははは。何やってんだか......。

 僕の次はKAKEIさんだ。KAKEIさんはずいぶんとエクスペリメンタルな選曲だった。彼がDJをしているとビートインクのスタッフに連れられてアンドリュー・ウェザオールがやって来た。前日の〈エレクトラグライド〉でウォッカを飲み過ぎたらしく、僕と同じ年のDJはホテルで休んでいたそうだ。が、ウェザオールは容赦ない握手攻めに遭い、そして背中をまるめて〈FOUR〉に向かった。僕もウェザオールの後を追って〈FOUR〉に行った。
 〈FOUR〉では透さんがまわしている。ファンキーなテクノがフロアを盛り上げる。ボーダーシャツを着たウェザオールがブースに入る。そして"孤独な剣士"は、いかにも彼らしいエレクトロ調のイルなミニマルをミックスする。あれほどミニマルは嫌いだと主張していた二木もフロアで踊っている。ま、いっか。
 しばらく踊ってからドリンクを買いにバーに行くと透さんがいた。「二木君、DJにとってもっとも大切なものは何かわかるか?」、ゴッドファーザーのひとりはバカでかい声で若い音楽ライターに問いかける。「何でしょう?」「それはな......」、二木の目をじっと見つめて話している。「スケベ心だよ!」、80年代のNYのアンダーグラウンドを経験しているこのベテランは、いきなり本質をぶつける。二木の顔がこわばっている......。
 議論に熱中するふたりをよそに僕はふたたびフロアへ戻る。いやー、こんなに踊ったのってすげー久しぶりだ。楽しいね! そう思いながら......あれ、そういえば、一緒に来たはずの我が妻はどこへ? クラブ内を探し回ったがどこにも見あたらない。〈rajishan〉にでも行ったのかな?
 踊りながら、どんどん気になってきたので、ミニマルで踊る二木を強引に連れ立って〈rajishan〉に行く。時間は......たぶん、4時前だろう。

 〈rajishan〉ではいつの間にか五十嵐がまわしている。仕方ない、しばらく彼の濃厚なハウスを浴びるよう。しかし......うー、さすがにもう飲めないな......でも、レッドアイを一杯。カウンターにいるミックンもすっかり音にハマっているようだった。気がつくとDJの石川君がいる。いつの間に二木がまわしている。そしてKAKEIさんとのバック・トゥ・バックがはじまる。店内にはムードマンの姿が......。
 ミックン、もう一杯レッドアイを......で、このあたりから記憶が途切れていく......森藤もいたな......たしか......。気がつくとソファーの上で寝ていた。
 やばいやばい。「野田、もう一回、〈FOUR〉行かねーか?」......誰だ? 森藤か? わかった、待てよ、行きますよ......DJは二木とKAKEIさん。二木がヒップホップをかけるとKAKEIさんは実験的なダビーな音で返す。うー、頭のなかがどうにかなりそうだ......。それから〈FOUR〉に行ってもう一杯。悪徳の液体が身体から感覚を奪っていく......って、何をいまさら......もうとっくにそうだった。DJはまだウェザオールで、相変わらず彼はエレクトロ調のミニマルだった。ドッチー・ドッチー・ドッチー・ドッチー......フロアで東京からやって来た友人たちに遭う。おお、藤井君じゃないか、すげーな、みんな......俺は......もうダメかも......付き合いの悪い男だと思わないでくれ......胃のなかから生暖かいものが喉のあたりまで上がってくる......もうこれ以上フロアにいてはならない......地獄のような虚無感が襲ってくる、悪魔のように容赦なく......トイレの前には人が並んでいる......五十嵐にひと言断って店を出る。
 通りをふらついてコンビニに入って、お茶を買うかどうか考えた。考えても無駄だった、財布は妻が持っているのだ。自分のレコードバッグ、衣類がどこに置いてあるのか記憶を辿った......。あとは記憶力と逆流したがる胃酸とどっちが速いかの勝負だ......。そ、そう、じ、じ、じ、じぃぃぃぃ人生とは......。


 
 翌日の昼過ぎ、五十嵐から電話。「お疲れで~す! あのさ、あの後、〈rajishan〉でムードマンと透さんのバック・トゥ・バックがはじまっちゃってさ、もう最高! すごかったよ!」......48時間マラソンを完走したばかりのランナーは元気な声でそう言った。そうか、それは良かった。本当に良かったよ......お疲れさま、みんな......それから永遠のルーディーたち......。
 今回の話はこれでおしまい。これはきっと日本のいろんな町に転がっている話。こんどはキミが、キミの言葉でキミの町について語ってください。よろしくな、頼むよ。


 
 ダンス・カルチャーは街の夜に欠かせない光景となった。(略)昼の明るい光がいまだにかなえられない理想郷の夢を見ながら、夜は光り、揺らめき続けている。
         ――ティム・ローレンス『ラヴ・セイヴス・ザ・デイ』

Flashback 2009 - ele-king

■ドラムンベースは、リアル・アンダーグラウンド・ミュージックそのものだった

 2009年を代表する作品といえば『Sub Focus』だ。このアルバムがシーンにもたらした功績は計り知れない。プロディジーが先導した初期レイヴ・シーンの影響をフラッシュ・バックさせるかのような"恍惚的な"インスピレーション、類まれなるプログラミング技術によるダンス・ミュージック本来の軸、まさに"あるべき姿"を体現しているサブ・フォーカスは現代のプロデューサーの最高峰に位置すると言っても過言ではない。そう、これが皆が思い描いた現代のレイヴ・ミュージックの夢であり、すなわち、それが"エクストリーム・レイヴ・ドラムンベース"なのだ。

 そのサブ・フォーカスと双璧をなすかのようにアルバムを待望されていたダーク・サイバーの伝道師、エド・ラッシュ&オプティカルがダーク・サイドという名の観点を貫く大作『Travel The Galaxy』を発表した。前作『Chameleon』から3年ぶりとなる今作もエレクトロニック・ダーク・ドラムンベースの最先端を走る話題の作品となって、近年のダーク・サイバー/ニューロ・ファンクの急先鋒として捉えられていたオーストラリア/ニュージーランドのアーティストたちにも多大な影響を及ぼすことになった。

 オセアニア地区ではドラムンベースのシーンが年々活発化している。オーストラリアのパースが誇るモンスター・ドラムンベース・バンド 、ペンドラムが世界を席巻しているのは記憶に新しいが、同じくパース出身のショック・ワン(SHOCK ONE)やフェスタ(PHETSTA)、レギュラ(RREGULA)などの才能溢れる若手プロデューサーも台頭している。オセアニアは2009年のエレクトロ/ニューロ・ファンク、ドラムンベースのムーヴメンにおける主要拠点にまで成長しているのだ。

 ちなみに2009年は、ショック・ワンのメイン・リリースでもあるリバプールのレーベル、フューチャーバウンド(FUTUREBOUND)の主宰する〈VIPER〉が、エレクトロ・ドラムンベース・コンピレーション『Acts Of Mad Men』をリリースしている。すでにこれは最高傑作の呼び声高い。『Acts Of Mad Men』には、ショック・ワンの他に〈BREAKBEAT KAOS〉から傑作『Act Like You Know』を発表し、ダブステップ・アーティストとしても知られている奇才ネロ(NERO)、ブルックス・ブラザーズ(BROOKES BROTHERS)との共作『Drifter』が記憶に新しいリキッド・ローラー、ファーロング(FURLOUNGE)、〈VIPER〉におけるエレクトロの異端児メトリック(METRIK)、オーストリアの新世代カモ&クルックド(CAMO & KROOKED)等々、こうした若手プロデューサーを起用したところにレーベル未来が見える。そして200年は、レーベル主宰者であるマトリックス&フューチャーバウンドマスターが「Fallin'」などの素晴らしいシングルで、プロデューサー並びリミキサーとして大活躍した年でもあった。

 ドラムンベースの本国UKでは様々なジャンルとの交流が活発した年でもあった。ドラムンベースが初期から持っているハイブリッドかつフレキシブルに交感し合うタクティクスが再燃したのだ。ダンス・ミュージックの固定観念に一石を投じる"付加価値"がより多く見受けられた。それは、UKアンダーグラウンド・ミュージックの最先端をひた走り、リードするダブステップとの交流によってより顕著に表れている。ドラムンベースが共存の道を選ぶことはシーンの活性化を思えば必然的行為で、ダブステップのほうでもまたドラムンベースの背中を追いかけている。このように、影響を互いに吸収しあって、グローアップしたからこそ、ふたたびビック・ムーヴメントに発展しようとしているのだ。

 そもそも、このふたつには互いに"雑食性"としてのリレーションシップがある。そしてその雑食性こそ、UKアンダーグラウンド・ダンスミュージックの特性だ。だから当然の成り行きとも言える。ドラムンベース界のビッグ・レーベルである〈RAM〉や〈BREAKBEAT KAOS〉、あるいは〈DIGITAL SOUNDBOY〉や〈HOSPITAL〉までもがダブステップのリリースを活発化させている。これによってチェイス&ステイタス(CHASE & STATUS)やネロ(NERO)、ブリーケイジ(BREAKAGE)などいったふたつを行き来する新しいタイプのスター・プロデューサーも数多く生まれたのである。

 ドラムンベース界のトップ・リキッド・ファンク・レーベル〈HOSPITAL〉からもエレクトロ色をふんだんに盛り込んだニュー・コンピレーション、『Sick Music』が世に送り出されている。これは時代性を見据えた内容によって大ヒットとなった。ロジスティックス(LOGISTICS)のニュー・アルバム『Crash Bang Wallop!』も驚異的なクオリティだった。〈HOSPITAL〉は相変わらず、素晴らしく刺激的なリリースを続けている。

 2009年は、メインストリームのドラムンベースとは一線を画したもうひとつの"トレンド"も生まれた。ディープでアトモスフェリックで知的なそのシーンは、いまやまるで成熟した果実のようである。その代表は、カリバー(CALIBRE)による『Shelf Life Vol.2』(Signature)、リンクス(LYNX)による『Raw Truth』、コミックス(COMMIX)や〈SHOGUN AUDIO〉クルー......。かつてLTJブケムが提唱した"アートコア"という異端的な感覚は、レイヴ・ジャングル/ハードコア・ジャングル全盛のいまではそのサブジャンルとして展開しているのだ。こうしたシーンは、どちらかと言えば、お決まりのパターンに陥りやすい作曲や、DJのスキルばかりが評価されがちなドラムンベースにおいて、マンネリズムを免れるべく、つねに刺激的なアイデアを出している。いわばシーンの陰の功労者的な動きである。

 すっかり停滞してしまったクラブ・ミュージックにあって、ドラムンベースはいまだに変化や展開が起きているシーンだ。このジャンルがいまでもまだ、まるで終わりなき道をひた走るように走っていることを再認識させられた1年でもあった。ドラムンベース/ジャングルの革新者たちが訴え続ける一体感がもっといろんな場面でもその意義が認められて、またさらなる発展を求め、いつかまた初期のレイヴ・シーンのように劇的に躍動することを願っている。

■DRUM&BASS 2009

SUB FOCUS/Sub Focus(RAM)
ED RUSH & OPTICAL/Travel The Galaxy(VIRUS)
V.A./Acts Of Mad Men(VIPER)
AGENT X FT.MUTYA & ULTRA/Fallin -MATRIX & FUTUREBOUND RMX/SHOCK ONE RMX- (VIPER)
CONCORD DAWN/Take It As It Comes(UPRISING)
DJ FRESH FT STAMINA MC & KOKO/Hypercaine(BREAKBEAT KAOS)
ZARIF & DANNY BYRD/California(FULL ENGLISH)
V.A./Sick Music(HOSPITAL)
DRUMSOUND & BASSLINE SMITH/10 Years Of Technique(TECHNIQUE)
GOLDIE & COMMIX/Envious(METALHEADZ)
CALIBRE/Shelf Life Vol.2(SIGNATURE)
SPOR/Aztec(SHOGUN AUDIO)
LYNX/Raw Truth(SOUL:R)
ORIGINAL SIN/Grow Your Wings(PLAYAZ)
SERIAL KILLAZ/Mash You Down(GANJA)

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■"プログレス"こそ、いまのダブステップを象徴するキーワードだ

 南ロンドンで産声を上げたシーンは現在、もっともホットで最先端なジャンルとなった。当時これほど大きなムーヴメントになると誰が想像してただろう。

 2009年のダブステップにおける、ミニマル・サイドには2枚の大きなリリースがあった。2枚とも革新と確信の両方を秘めたエポック・メイキング的なものだった。マーティン(MARTYN)による『Great Lenghs』、2562による『Unbalance』だ。マーティンは、元々はドラムンベースのプロデューサーだった。マーカス・インタレックスが主宰する〈SOUL:R〉のサブ・レーベル〈REVOLV:ER〉や〈PLAY:MUSIK〉からのリリースを重ねているが、いまではすっかりダブステップのアーティストとして人気が出てしまった。実際、彼の才能を遺憾なく発揮したのが『Great Length』だった。それはパーカッシブかつハイブリッドな次世代のダブステップで、『MIXMAG』誌の「TOP50 ALBUM OF 2009」にも選出されるなど、実に広く賞賛されたアルバムとなった。

 2562=デイヴ・ハイスマンス(DAVE HUISMANS)、この空間音響処理系天才オランダ人にはいくつかの顔がある。2562ではミニマル・ダブステップ、ア・メイド・アップ・サウンド(A MADE UP SOUND)名義では漆黒のビートダウン、ドッグデイズ(DOGDAZE)名義ではブロークンビーツ/ブレイクビーツ。彼はこのように、自分の音楽性を面白いように使い分けている。彼はそのメイン・プロダクションである2562は、ベルリン・ダブとダブステップの融合を実現したと評された1stアルバム『Aerial』から1年後の2009年に発表されたセカンド・アルバムで、さらに研ぎすまされた硬質なビートスケープを見せつけた。まさに2009年の象徴的存在のアーティストだ。

 ミニマル・ダブステップもうひとりの異端者、ダークヒーローことシャックルトン(SHACKLETON)も忘れてはならない。彼はアップルブリム(APPLEBLIM)とともに〈SKULL DISCO〉レーベルをスタートさせ、クリック/ミニマル界のスターリカルド・ヴィラロボスによってリミックスされた「Blood On My Hands」で異例のカルト・ヒットを実現し、そして瞬く間にファンを増やしている。その後レーベルを〈MORDANT MUSIC〉に移すと同時に、活動の拠点もベルリンに移している。そして、あのクリック/ミニマルの最重要レーベル〈PERLON〉から驚愕のダーク・ベースラインが唸る独創的ミニマル・ビーツ・アルバム『Three Eps』をリリースしたのである。

 数年前のダブステップのシーンはまるで初期ドラムンベース/ハードコア・ジャングルのシーンのように大きくふたつに分類するに過ぎなかった。そう、ダークサイバー・ドラムンベースとアートコア・インテリジェンスのふたつのように。だが、そこからサブジャンルがいくつも生まれたのは周知の通りで、ダブステップにも同じことが起きている。いまはすごいスピードで多様化しているのだ。2009年の傾向のひとつに、4つ打ちを取り入れた作風が目立った。その象徴がスキューバ(SCUBA)の「Aesaunic EP」(HOT FLUSH)やラマダンマン&アップルブリム(RAMADANMAN & APPLEBLIM)の「Justify RMX」だ。また、ジョイ・オービジョン(JOY ORBISON)などのUKガラージから派生したポスト・ガラージ・アンセムの「Hyph Mngo」やアントールド(UNTOLD)による「Gonna Work Out Fine EP」のようなミニマルの静寂性とUKガラージの高揚感を混合し、効果的にハイブリッドさせたまったく新しいサウンドも生み出された。マーラ(MALA)の〈DEEP MEDI MUSIK〉からは美しくも繊細なシルキー(SILKIE)の『City Limits Vol.1』がアーバン・アートコア・ダブステップとしての歴史的傑作となった。

 ダブ・カルチャー/ジャングル・シーンにおいての聖地ブリストルでもダブステップは発展を遂げている。ロブ・スミスがRSD名義で『Good Energy』(PUNCH DRUNK)をリリース。ピンチ(PINCH)が自身のレーベル〈TECTONIC〉から発表した『Tectonic Plates Volume 2』も話題となった。フライング・ロータス、マーティン、2562......はたまたスクリームやベンガといったメインストリームの怪人たちや、ブリストルのウォブリー・マスターであるジョーカー(JOKER)、あるいはベルリンのミニマル・レーベル〈OSTGUTーTON〉のシェド(SHED)といった幅広いメンツが参加している。そして〈PUNCH DRUN〉を主宰するペヴァーレリスト(PEVERELIST)が満を持して1stアルバム『Jarvik Mindstate』を発表。スライトリー・ダブとしての観点からきらびやかなコズミック感覚やミニマル感覚を注入し、なんとも素晴らしい先品が誕生したものだ。

 ウォブリー・ダブステップに話を移そう。スクリームがドラムンベースのビック・レーベル〈DIGITAL SOUNDBOY〉から、まるでロブ・プレイフォードの2バッド・マイス、そう、〈MOVING SHADOW〉さながらの初期レイヴ・ジャングルなアーメン・ビートを用いた「Burning Up」をリリースしている。もちろんこれはダンス・アンセムとなった。いっぽう、ベンガは「Buzzin'」(TEMPA)をリリース、ウォブリー・アンセムとなり、その健在ぶりを知らしめた。この両雄の活躍がシーンの生気を確認させ、また、ふたりの底力をみせつけたとも言えるだろう。

 その両雄とも並ぶとも劣らない活躍を見せたのがブリストルのジョーカーだった。ミニストリー・オブ・サウンド主宰のレーベル〈DATA〉やメジャー・レーベルのリミックス・ワークを立て続けに発表したジョーカーには、今後も大注目である。そして、忘れてはならないのがコード9(KODE 9)の〈HYPER DUB〉からレーベル5周年を記念してリリースされた12インチのシリーズ「Hyperdub 5.1~5.5 EP」だ。その先進的サウンドは、縦横無尽に動き回るダブステップ本来の雑食感が詰まっている。いわばダンスフロア・シンフォニーとしてのオルタナティブ・ダブステップだ。

 2009年は、さまざまなドラムンベースのアーティストがダブステップへと転身した。数年前、その先駆けとなったのが、もともと〈RAM〉でリリースしていたサイバーステッパーのエディ・ウー(EDDY WOO)である。彼は現在、セヴン(SEVEN)名義でダブステップ・プロデューサーとして良質かつキャッチーなトラックで、フロアヒットを飛ばしている。他にも、自らドラムンベースのレーベル〈DEF COM〉を主宰し、ダークコア・ステッパーの区リプティック・マインズ(KRYPTIC MINDS)、アーメン・マスターであったブリーケイジ(BREAKAGE)、〈NON PLUS〉のインストラ:メンタル(INSTRA:MENTAL)らも、現在トライバル・ステップ・リーダーとして活路を見いだし、その存在意義を証明している。

 そして〈RAM〉からの大ヒット・アルバム『More Than Alot』も記憶に新しいドラムンベースのプロデューサーとしてはトップに君臨するチェイス&ステイタス(CHASE & STATUS)やネロ(NERO)が、ダブステップ・アンセムからリミックス・ワークまでをもこなし、なおかつビック・チューンを生み出せる数少ないマルチ・プロデューサーとして注目されている。

 UKレイブ・カルチャーの象徴であるドラムンベースの雑食性を見事に受け継ぎ、90年代初期から中期にかけてのレイヴ・ジャングルさながらの熱狂と凶暴性も兼ね備えた、まさに21世紀の代表的クラブ・カルチャー/ムーブメントに成長したダブステップ。先進的エレクトリックなプログラミング、他の追随を許さない圧倒的な雑食性を武器に、すべてを飲み込む貪欲さが他との類似性を拒み、柔軟な思考回路とともに歩む最先端サウンド。この先も予想不能なミステリアスに包み込まれた、誰も想像できない可能性に満ちた音楽性でもある。これが現在のダブステップのすべてだ。この魅惑的なリズムは音を変え続けていく。未来である明日にも、すぐに。

■DUBSTEP 2009

MARTYN/Great Lengths(3024)
2562/Unbalance(TECTONIC)
SHACKLETON/Three Eps(PERLON)
SCUBA/Aesaunic(HOT FLUSH)
RAMADANMAN & APPLEBLIM/Justify(APPLE PIPS)
ELEMENTAL/Messages From The Void(RUNTIME)
JOY ORBISON/Hyph Mngo(HOT FLUSH)
UNTOLD/Gonna Work Out Fine EP
PEVERELIST/Jarvik Mindstate(PUNCH DRUNK)
PINCH FEAT.YOLANDA/Get Up -RSD RMX-(TECTONIC)
SILKIE/City Limits(DEEP MEDI MUSIK)
INSTRA:MENTAL,BREAKAGE/Futurist,Late Night(NAKED LUNCH)
KRYPTIC MINDS/One Of Us(SWAMP 81)
SKREAM/Burning Up(DIGITAL SOUNDBOY)
V.A./Hyper Dub 5.1~5.5 EP(HYPER DUB)
BENGA/Buzzin'/One Million(TEMPA)
LEE PERRY WITH SAMIA FARAH vs KODE 9/Yellow Tongue(ON-U)

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■ベース・ミュージックにおける色気、UKファンキー

 ファンキーはUKガラージから派生し、変容を遂げたコンテンポラリー・ソウル・ダンス・ミュージックである。それはラテン、アフロビート、コンテンポラリー・R&Bを吸収したニュー・ガラージ・サウンドだ。この目覚ましい発展のフロントラインには、コード9が仕掛けた「Black Sun」がある。そして同じく〈HYPER DUB〉のフィメール・プロデューサー、クーリー・G(COOLY G)によるドリーミーかつムーディーなアトモスフェリックが心地よいトリッピーな「Narst/Love Dub」。この2枚がシーンの拡大に多大な貢献を果たすこととなる。

 新星ロスカ(ROSKA)による「Twc EP」のリリースも忘れがたい。彼はゼド・ビアス(ZED BIAS)の「Neighbourhood -ROSKA 2009 RMX-」の成功によってシーンの代表的なアーティストとしてすでに認知されている。そしてドネーオー(DONAE'O)がUKアーバンにおける至高のガラージ・アルバム『Party Hard』でUKファンキーとしてのデビューを飾った。さらにUKガラージ/2ステップ界のスター、MJコールがUKファンキーを本格化させるなど、フレッシュな話題が続いている。

 大御所のジンクがドラムンベースを離れて早数年が経過し、現在、"Crack House"と銘打ったモダン・アーバン・エレクトロ・ハウスの提唱者として各地での布教活動に勤しんでいる。タイトル名「Crack House EP」は、もともとは初期の〈BINGO BEATS〉のアーティストたちがトラック・メイクしていたハーフ・ステップ主体のベースライン・サウンド直系のもので、現在のクラブ・シーンのトレンドであるエレクトロ、フィジット・ハウス、ダブステップ、ブレイクスなどをハイブリッドにミクスチャーしたファンキーなダンス・ミュージックだ。ブレイクステップのテイストまで取り入れた4つ打ちのダンスフロア・アンセムとして、UKファンキー/ガラージ界から、さらに広くエレクトロのシーンにまでその名を轟かせているジンクはやはり生粋のベース・マスターであり、いつかまたドラムンベースに復帰することを願っている。

■UK FUNKY/CRACK HOUSE 2009

ZINC/Crack House EP(BINGO BASS)
FLORENCE & THE MACHINE/You Got The Love -JAMIE XX REWORK FT THE XX- (FLOXX)
COOLY G/Narst , Love Dub(HYPER DUB)
KODE 9/Black Sun(HYPER DUB)
ATTACCA PESANTE FT SHEA SOUL/Make It Funky For Me(DIGITAL SOUNDBOY)
ROSKA/Twc EP(ROSKA KICKS & SNARES)
V.A./Fantastic 4 EP(FANTASTIC 4)
ZED BIAS/Neighbourhood -ROSKA 2009 RMX-(SIDESTEPPER)
DONAE'O/Party Hard(MY-ISH)
MJ COLE FT.DIGGA/Gotta Have It -MJ'S FUNKY DUBB-(PROLIFIC)

七尾旅人×やけのはら - ele-king

 4つのリミックスを加えたかわいいファンク集。意外な組み合わせと思ったが、ふたりは以前からの友人同士という。たしかふたりとも、清志郎ファンじゃなかったかな。

 何気ないラヴ・ソングといえばラヴ・ソング。けれども清志郎の歌みたいに"彼女"の形が前面に出てくるようなものでなく、街という背景があって、僕と恋人が絡みあってそこを転がっていく。レコードが回り、グルーヴがすべてのふたりきりの世界であって、同時にふたりを飲み込もうとする世界(「運命」)がある。直接ふたりを搾取するわけではない、もっとその茫漠とした、ふたりの、僕の、不安や不幸も幸福も否応なくそこと関らざるを得ない世界への意識がある。たぶんそういうところが、清志郎のラヴ・ソングとは違うところではないか。けれども、にもかかわらず、僕もふたりも幸福そうで、ストリート・カルチャーを通過した以降のごく普通の感覚のようにも思える。

 「朝よ来ないで」という"最後のつぶやき"は決して適うことはないけれど、そのつぶやきこそふたつの世界の拮抗点だ。「朝よ来ないで」。このつぶやきを何度感じたことだろう。最終電車が入口となる、たとえば朝がきたからといって行くべき場所なんかない人間たちの世界ののんきさと寂寥感と不安と快楽に満ちた"幸せ"な時間はいつもすぐに終わって朝が来て、朦朧としながら重い足を持ち上げ駅の階段をもういち度登る。数年前に感じていた、社会と接点がないという接点というような感覚が、ストリートにはあったように感じていた。私はその空気がとても好きだった。その好きだった空気が、やけのはらの少し拙いようなだるいようなラップもふくめて、"Rollin' Rollin'"にはある。たとえばそれは、フィッシュマンズの"新しい人"とはまた違う夜明けの迎え方なのだ。

 リミックスのメンツは、複雑なリズムが出色のCherry Boy Function、せわしなさが刹那的な切なさを煽るようなSKYFISH、うってかわって川辺ヒロシのレイト・サマー・フィールド・ミックスがその際限のない終わらなさを問いかける。ラストはオリジナルのアレンジも担当したDollianのゆったりしたドラムンベース。同じ曲が5回も繰り返されること自体が歌詞の言葉とも絡みあっているかのよう。

 いちばん好きなこのフレーズを返したい――「Rollin' Rollin' 回り続ける 君(たち)のかわいい考えが Oh Sorry Darlin' 君と二人 坂を登り 坂を下る」。

Flashback 2009 - ele-king

DJはいまや渡り鳥のように全国をまわっている。吟遊詩人のように旅を続ける。まるでフウテンの寅さんのように列車に揺られている。ベテランDJの高橋透が、1年を回想する!

1976年からDJ活動をはじめ、1980年にNYへ移住、1981年に一時帰国、〈椿ハウス〉、〈玉椿〉、〈CLUB-D〉などの80年代を代表する箱のメインDJを務める。1985年にNYへ戻り、DJとして活動する。1989年に帰国。その後も芝浦〈GOLD〉でのレジデントをはじめ、数多くのクラブ、パーティに関わる。現在は宇川直宏、MOODMANと主催するディープ・ハウスパーティ〈GODFATER〉のひとりとして活躍。ミックスCDとして『GODFATHER 10th ANNIVERSARY SPECIAL MIX VOL.1』、また自身の半生を綴った著書『DJバカ一代』がある。

  有名アナログ店舗の相次ぐ閉店にはじまり、日本のクラブ・シーンを長年牽引してきた老舗クラブ〈YELLOW〉のクローズ、音楽専門誌やカルチャー誌の激減など、2008年から2009年にかけてクラブ・シーンを取り巻く環境が大きく変化し「この先この業は大丈夫なのか?」って考えさせられた年初めではありましたが、終わってみれば「さほど心配する必要がなかったのか」って、例年通り数多くのパーティーが各地で開催されていたし、仲間内でのいつも通りのパーティ談義やイヴェントの評判を直接聞いたりネットで見たりね。今年の後半にはメディアもクラブもアナログ店も来年に向けて活発な動きがあることも知り、例の「サイバーノリピー事件」を除いては少しもネガティヴな状況じゃないのかな、っていうのが実感です。

  2009年を振り返ると、個人的には長年行きたかった沖縄を初体験できたことがまず嬉しかった。呼んでくれた友人ミーパンやリュウジ君クルーに熱く迎えられ、数ヶ月前から仕込んでくれたという特設のダンスフロア、ブースの前に設えられた銀色に光り輝く鳥居には沖縄の熱いエネルギーを感じさせられた。他にも、広大な庄内平野の田んぼのなか、看板もネオンも何も無く営業を続ける知る人ぞ知る山形屈指のアンダーグラウンド・パーティ〈ハーモニー〉"も相変わらずコアなクラウドだった。瀬戸内海の荒波が打ち寄せるファンキーなロケーションで毎年お盆に開催される姫路〈彩音〉も忘れるわけにはいかない。GODFATHERとしては3年連続で出演、年々進化し続けている。そして......DJ WADAくんと行った群馬桐生〈レベル5〉が10周年というのははっきり言って驚かされた。坂田頑張ってるわ! GODFATHERで最多出場を果たしている博多〈デカダン・デラックス〉に至ってはなんと21周年! 凄いのひと言だ。博多のクラウドは今年もタフだったしね(ナベさん、西やんありがとう)。初登場させてもらった神戸〈トゥループカフェ〉も16周年、楽しくプレイさせていただきました。で、青山〈ループ〉が14周年(望っチャン、花チャン、スタッフ全員お疲れ様)。野田さんの実家〈のだや〉を皮切りに〈ラジシャン〉と〈フォー〉でスタートした静岡〈フォー〉の4周年では静岡パワーを見せられた感じ。五十嵐&海野くんお疲れさまでした。文田に行けなかったのは残念だったけれど! 

  とにかく2009年はレギュラー参加しているパーティやイヴェントのほか、初めて呼ばれるクラブやパーティも多くて、たくさんの人たちとの出会いやその地域のダンス・ミュージック・ファンに僕のプレイを体感してもらえたこと、音楽好きが集まる小さなバーからライヴ・ハウス・パーティまで数多くのダンス・ミュージック・ファンと素晴らしい時間を共有できたことが最高に楽しかったし、嬉しかった。もちろんすべてのパーティに全力投球してきたし、それが自分の使命であり、自分にとってもっとも幸せなことだなと今年関わったすべての人に感謝しています。

  ここ数年、新たに生まれた店が多いことや無事に○周年を迎える店も多く、日本のクラブ事情を見る限り、バブル期の派手さは無いけれど着実に新たなアンダーグラウンド領域に入ってきているような気がして、これからまた面白くなりそうな感があります。だいたい僕が虜になったダンス・ミュージックの世界はそんなに簡単に無くなるはずはないだろうし、ヨーロッパでもアメリカでも基本的にはメディア以外何も変わってないと思います。その証拠にダンス・ミュージックのデータ配信ビートポートなどはますます元気だし、それは配信される音楽の多様性を見てもうなずけるでしょう。

  だから僕はダンス・ミュージックの先行きに関して何の心配もしてないし、来年以降がますます楽しみになっているくらいですから。僕らができることはまだまだあるように思うし、チャレンジすることもいっぱいある気がして、ワクワクしていますね。宇川くん野田さんタッグが『エレキング』のネット配信をそろそろスタートする予定もあるし、JEYPEGの修平くんたちはネットラジオで面白いことやっているようだし、マンハッタン・レコードもネットでの動きを活発にすると聞いて、新たな時代に突入しているんじゃないかなって強く感じます。

  ずいぶん長いこと海外に出ていないなーって最近思うのですが、よく考えてみると、とくに行かなくても国内で満足させられているのかな~て、つまり昔ほど海外への憧れが無くなってしまったということです。海外が遠かった当時と比べ、ネットで海外と日本の時差が無くなった今日、当然と言えば当然でしょうが、何年か前から自分の感覚がディスカバージャパンになっていることも作用しているようです。歳かもしれませんが、たぶん70年代に憧れたアメリカや80年代に憧れたニューヨークより、現代は日本のほうが面白いことをやっているんじゃないかってね、もちろんダンス・ミュージックの配信ではヨーロッパものが俄然多く、音楽を通じてヨーロッパの活気を知ることはできますが、それでもそこへ行って滞在したいという気にあまりならないんですね。それよりも日本人として、日本のダンス・ミュージック文化を大事にしようと思うのです。僕にとっていまは日本がピッタリくるというか、居心地よくなっているのかもしれません。

  僕は日本の歴史が大好きで、これまでずいぶんと歴史小説を読みあさってきました。とくに史実に基づいた物語が好きで、なかでもお気に入りの作家は司馬遼太郎です。歴史小説を読んでみて日本の優れた歴史上の人物に出会う度に、日本人として生きるということに魅力を感じて、この二度と来ないいまという時代のなかで日本人のためになるオリジナルな生き方をしたいって考えるようになっているのです。生意気なことを言うようですが、これも歳のせいかも知れません。

  いずれにしてもダンス・ミュージックの世界は経済に関係なく、確実に前を向いているから2010年は2009年よりも必ず面白くなるはずだし、僕らひとりひとりがそうしなくてはいけないって思っています。踊るという行為は、人類が誕生したはるか昔から受け継がれて来た尊い文化で、お祝いごとや悲しい出来事が起こる度に人間は踊ることで喜びを分かち合い、悲しみを発散してきたんです。僕らの時代になって、サブカルチャーとしてディスコが流行し、若者の心を捉えていまに至っていますが、これは世界的な潮流でもあるし、僕らにとって重要な文化なんです。僕はDJという職業に出会えたことは本当に幸せだと思っています。なぜならば皆がハッピーになれる時間を作り出せる側にいるからです。踊らせること、楽しませることが何よりも好きだからなんです。

  真剣にこの文化に取り組んでいる側からすれば、ノリピー事件は怒って当たり前の残念な出来事で、一般社会から見れば同じに見えるかもしれませんが明らかに異なる文化を作り出してきているはずです、それももう何年ものあいだです、でも世界には、黒服とV.I.Pと軟派がセットになったお金の匂いがするキラキラしたディスコ文化というのが僕らの世界と平行してずうっとあるし、そこへ集う人たちも多いという事実もあります。言ってみればそれもひとつのディスコ文化と言えるから比較はできませんが、心情的には一緒にしてほしくないわけです。

  ちょっと横道にそれましたが、2009年全般を考えると、クラブ・シーンにとっては過渡期だったと思います。各地のクラブにとっても厳しい年であった事は否めませんが、それでも僕らと同じようにダンス・ミュージック文化が大好きな人たちがこの日本には多いという事実がこの1年で確認できたし、実感しました。2010年も楽しみましょう。

Top 20 of 2009 by Toru Takahashi

1 Sharam / She Came Along feat Kid Cudi -Sharams Ecstasy Of Ibiza Mix- (DCI)
2 Destination Danger / Du Rififi Au Katanga(Circus Company)
3 Argy / What Time Is It (These Days)
4 Jona / Freefall (Resopal Schallware)
5 Fuse / Dimension Intrusion -Layo Bushwacka Fuze Remix-(Plus 8 Records)
6 Crash Course In Science / Flying Turns(From Jupiter)
7 Danny Fiddo、Affkt / P oints -Mathias Kadens Chalet De Verano Remix-(Barraca Music)
8 Will Saul_Tam Cooper / Where Is It ? feat Ursula Rucker -Lazersonic Remix-(Simple records)
9 Marc Houle / Single Cell -Original Mix- (Minas)
10 Luna City Express / Diamonds Pearls(Moon Harbour Recordings)
11 Guy J / Ballroom Sians Vernacular Mask Remix (Bed Rock Records)
12 dOP / The Dust -dOP Mix-(Enliven Music)
13 Collabs, Chris Liebing, Speedy J / Magnit Express feat Speedy J & Chris Liebing (Electric delaxe)
14 Michel Cleis / La Mezcla feat Toto La Momposina (Strictly Rhythm)
15 EP1 B2 / Hauntologists (Hauntologists )
16 Mirko Loko / Tahktok (Cadenza)
17 Seth Troxler / Panic Stop Repeat ! ( Spaxtral Sound)
18 Alexi Delano / Adjust the Frequency (Clink)
19 LosUpdates,RicardoVillalobos / Driving Nowhere_Audio George Remix(Nise Cat Records)
20 Michael Jackson / Heal The World

vol.1:2009年のニューヨーク - ele-king

 ニューヨークはブルックリンの〈スーパーコア・カフェ〉〈ハートファスト〉よりお届けです。最初なので、少し自己紹介をします。

 〈スーパーコア〉は、ブルックリンのウィリアムスバーグにあるカフェ、レストラン。〈ハートファスト〉は、〈スーパーコア〉が運営するレコード・レーベルで、イヴェントを企画したり、ピクチャー7"w/DVDシリーズ(ライアーズ、アップルズ・イン・ステレオ、オブ・モントリオール、フェイク・メール・ヴォイス(TV・オン・ザ・レィディオのTundeのソロ)等をリリースしています。

 〈スーパーコア〉には、ナダ・サーフ、フリー・ブラッド、TV・オン・ザ・レィディオ、レ・サヴィ・ファヴ、イエーセイヤー等々、近所に住んでいるバンド連中が集まってはお喋りしたり、仕事をしたりする、いわば憩いの場所になっています。面白いことに、みんな仕事は家でもできるのに、わざわざカフェにやって来てはラップトップを開き、たまに通りかかる友だちに挨拶したり、コーヒーを飲んでいます。


USA is a monster last show @ market hotel

 カフェのまわりには、彼らもよく演奏しているライヴ・スペースがたくさんあります。大きい会場から〈ミュージック・ホール・オブ・ウィリアムスバーグ〉、〈ブルックリン・ボウル〉、〈パブリック・アセンブリー〉、インディ系では、〈グラスランズ〉、〈ディス・バイ・オーディオ〉、〈ブルアー・フォールズ〉等々。ウィリアムスバーグと言うエリアには、カフェ、レストラン、本屋、洋服屋などもたくさんあります。

 まわりのバンドの人たちはフレンドリーで社交的な人が多く(無口かと思えば、しゃべってみると止まらなかったり)、自分たちの家でショーをオーガナイズしたり、空き地を陣取ってパーティを開催したりもします。バンドをやりながら、自分でバーやレストランを経営したり、グラフィック系の会社、アート・ギャラリー、コミック・ショップなどを経営していたりしている人たちです。音楽を軸としながら、いろんな分野で活躍する多才な人が多く、DIY精神が大きいのが特徴と言えるでしょう。

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Williamsburg water front park

Williamsburg fashion week @ glasslands

 また、例えばフリーのショーでもやりっ放しではなく、バンドの人たちにはドネーションとしてお金が入るようになっているし(多くの場合は)、同じようにニューヨークでは地下鉄ミュージシャンがたくさんいるのだけれど、良いと思ったらみんなきちんとドネーションをします。エンターテイメントには"お金"と言う物差しによる評価がある、この辺がとてもニューヨーク的というか、チップ社会のアメリカを良く表しているように思います。ショーに行っても自分が好きでなかったら途中で帰ったり、直接「何がだめだったか」など具体的なコメントをもらうし、反対に良かったら、すぐに「何々が良かった!」などの反応もある。そんな感じで、何回でもショーに足を運びます。いろんな意味でシビアだけれど、良いことをしていたらきちんと評価される、それゆえどんな時代でも何かが起こっている町なのでしょう。

 2009年もまた、ニューヨークのバンドが大活躍した年でした。思いつくだけでも、たくさんの名が挙がります。ダーティ・プロジェクターズ、アニマル・コレクティブ、グリズリー・ベアー、MGMTなどの活躍は目覚ましかったし、個人的にはサンティ・ゴールド、ホワン・マクリーン、ソニック・ユース、TV・オン・ザ・レィディオが印象に残っています。ニューヨーク以外のバンドでは、オブ・モントリオール、ライアーズ、リッキー・リーを良く聴いた。

 新しい所では、ALのアトラス・サウンド、LAのガールズ、ウエーブス、ダムダム・ガールズ、ヘルス、ギャングリアンズ、ニューヨークのトーク・ノーマル、ティース・マウンテン、リーズ・ア・パワーズ、リアル・エステイト、ベア・イン・ヘヴン、ドラゴンズ・オブ・ジンズ、ハード・ニップス......等々、キリがありません。


Fake Male Voice @ glasslands

 とにかく現在のシーンは、マイスペース、フェイスブック、ツイッターからiphoneなどのテクノロジーの登場も含め、確実に新しい局面を迎えて、新しい盛り上がりをみせていると言えます。なにしろ......いままでレコード屋に行って購入しないと聴けなかった音楽がいまではMP3で簡単に聴ける。試聴するのもクリックひとつ、それが好きだったら1曲単位で購入できる(1曲でそのバンドを評価するのもどうかと思うが)。家から一歩もでなくて良い。いままでレコード屋に行ってフライヤーをチェックしたり張り紙を見たりしてライヴ情報を得ていたのが、emailはもちろん、テキストメッセージやフェイスブックなど、どんな所からでも流れるように情報が手に入るようになりました。情報がありすぎて、どれを取るか、どれを捨てるか迷っているうちに、結局どれにも行けなかったりとか、自己管理が大切になってきます。だから逆に言えば、意思がなく、情報に流され、友だちに流され、本当に見たいモノや聴きたいモノをいとも簡単に逃してしまうこともあります。好む好まざるに関わらず、これがいま私が生きている世界です。そしてだからこそ、みんながカフェに何となく集まってくる、そんな状況に繋がっているのかもしれません。

 こちらでたったいま生まれた音楽が、遠く離れた日本でもすぐに聴くことができて、ライヴ映像も見ることができるのはすごいことです。ただし、やはりどうしても、実際その場所に行って生で体験することは特別な感動があります。それがひょっとしたら、ニューヨークと日本の音楽シーンの活気の温度差にも表れているのかもしれません。それでもできるだけ、その温度差を埋めていけるように、ここニューヨークからダイレクトに情報をお伝えしていきたいと思います。

Top 10 Albums of 2009 by Yuko Sawai
1. Sonic Youth/ The Eternal (Matador)
2. Dirty projectors/ Bitte Orca (Domino)
3. N.A.S.A./ The Sprit of Apollo (Anti-)
4. Juan Maclean/ The Future Will Come (DFA)
5. Lightning Bolt/Earthly Delights (Load)
6. Pylon/ Chomp More (DFA)
7. Health/ Get Color (Lovepump United)
8. Simian Mobile Disco/ Temporary Pleasure (Wichita)
9. Talk Normal/ Sugarland (Rare book room)
10. Fuck Buttons/ Tarot Sport (ATP)

渋谷慶一郎 - ele-king

 近しい人の死をきっかけに作られた音楽は古今枚挙に暇がない。フォーレの"レクイエム"は、自身の母親の死をきっかけに作られたが、直接的に死者を悼むための音楽であるそうしたレクイエムのような作品ではなくても、たとえば後期ロマン派の作曲家ブルックナーの交響曲第7番の第2楽章の終結部のように、崇拝する師(楽劇の創始者R.ワーグナー)逝去の知らせを受け(あるいは、その予感を持って)、新たに慟哭のようなコラール楽段を付け加えたものもある(このコラールは、1994年にドイツのテクノ・ユニット、サン・エレクトリックがコペンハーゲンで行なったライヴの実況録音盤において、エレクトロニクスの海とみごとな融合を果たしている)。

 こうした曲は、例外なく「美しい」。それはもちろん、作曲に導く動機ゆえということもあるだろう。その動機から、醜くひき歪んだ創造物を作り出すということはまず考えにくいからだ。たとえ「美しさ」という概念にひとそれぞれ違いがあったとしても、おそらくそのほとんどは普遍的な観念に回収されるものである。

 この渋谷慶一郎(東京藝術大学作曲家卒・2002年よりレコード・レーベル「ATAK」主宰)による初のソロ・ピアノ作品集「for maria」は、彼の奥様であるマリアさんの死が直接的、あるいは間接的な契機となって作られたアルバムであるという。なるほど、それならば、これまでに渋谷が作り出してきたエレクトロニックな音楽にくらべて、よりわかりやすい美しさを持った音楽になっていることには納得がいく。

 が、しかし、おそらく渋谷はこんなセンチメンタリズムめいたことばでアルバムをジャッジされることを好まないだろう。それはなぜなら、このアルバムの美しさは、単に美しいという言葉だけではすまされない、これまでに感じたことのない「凄み」があるからだ。

 この「凄み」を感じる最初の要因は、ここで聴かれる音そのものの「凄み」でもある。最初の1音が鳴った瞬間から、これは違う、と感じさせる鳴りがある。鳴り、というか、ピアノの音がホログラフィックな体裁を持って立ち現れる。聞けば、本作は本来スーパーオーディオCDのための技術として開発されたDSD(Direct Stream Digital)でレコーディングされているという(エンジニアは名手オノ・セイゲン)。確かにこれはまさにCDの44.1kHZ/16bitをはるかに超える再現性を持つDSDならではの空気感の再生音だ。場の空気感の再現こそがDSDの真骨頂であるとぼくは思っているのだが、しかし驚かされるのはその空気感が、いくとおりもの質感を持って再現されること。もともと渋谷は音色でもって世界観をドラスティックに強制変換するタイプの音楽家であったと思うが、ここでは音が放射される空間の質感がその出音(これもまたすばらしく変化に富んだ音色がすばらしい。ベーゼンドルファーの銘器とのこと)によってさまざまに変化してゆくことによって、渋谷のそうした特質がいっそう強調されている。われわれはその「美しさ」のみに耽溺することなく、クールな感情を持ってその成り行きを見つめることができる。ここには慟哭や歎きのメロディはない。メロディとか和声といった音楽要素を超えて、それを形作るあらゆるエレメンツがひとつになって聴き手の心に届くとき、印象はその都度更新される。よってこの音楽は、永遠に古びることがないのだ。

いろのみ - ele-king

 東京・吉祥寺と京都を拠点に「電子文化の茶と禅」をコンセプトに活動する電子音楽レーベル〈涼音堂茶舗〉。ネーミングの強烈さだけでも忘れがたい「アンビエント茶会」とか「サクラチルアウト」といった異色のクラブイベントを行なったり、寺院や温泉でのイヴェントなど、クラブという空間から離れても機能する電子音楽をさまざまなかたちで追及してきたこのユニークなレーベルは、snoweffect(レーベル主宰メンバーを含む)やFiro、PsysEx、OTOGRAPH、Coupieをはじめ、各地に点在するアーティストたちのネットワーク的な機能を果たしていると言えるだろう。決して大きな動きではない。しかし、それは明らかになにかとてつもない地平に接近しつつあるのではないか、と、ここ数ヶ月の間にやっと彼らの存在を知ってあわてて追跡を開始したばかりのぼくは、そう感じているのである。

 彼らの現時点での最新リリースとなるのがこの「いろのみ」という、ピアノとギターによるデュオ・ユニットの4作目である。まず、この「いろのみ」という文字から、さまざまな連想が行なわれるだろう。「色のみ」なのか。「色の実」なのか。「い・ろのみ」なのか。「Hilonome」なのか。カタカナでもなく、漢字でもなく、アルファベットでもなく、シンプルなひらがな表記がいい。MySpaceの彼らのプロフィールによれば「季節のさまざまな色の実を鳴らす」ことをコンセプトにしているというが、まさにこのユニット名こそが、無数の色を内包したこの音楽の特質を本質的に表したすぐれたものだと思える。

 柳平淳哉のピアノと、磯部優のギター(およびラップトップ/エフェクト)が紡ぎ出す柔らかな音楽が描くもの、それはタイトルからも想像できるように(ubusunaは、漢字で書けば産土、つまり生まれた土地を守護する神であり、それは郷土意識と強く結びつく)、自然主義音響的なものと言えるが、ぼくがこのアルバムを聴いていて思い出した音楽があった。それはドイツにおいてシンセサイザーによる(後年はアコースティック・ピアノ)自然神秘主義音響を追求したフローリアン・フリッケによるPopol Vuhである。

 フリッケの音楽観は、初期はドイツの陰鬱な森を思わせるもので、それが徐々に独自の宗教的な概念を加えていくことで、初期の名盤「Hosianna Mantra(1972年)を生み出すことになるのだが、彼の持つ自然に対する感覚、また宗教に対する概念は、ヨーロッパにおいてはきわめて普遍的なものでもあった。フリッケは2001年に他界したが、少なくとも彼らは21世紀に入るまでアップ・トゥ・デイトな活動を続けていたのも、そうした理由ゆえであっただろう。いろのみの音楽を聴いていると、四季の移り変わり、山の緑の色が変化していく様、海辺の波の様相の移ろいなどが表現されているようにも感じられるが、それは当然のことながらフローリアン・フリッケが描き出す自然音響よりもより親密な響きを帯びている。あちこちに聴かれる細やかなエフェクト、左右にちりばめられたピアノの点描的な響きが、われわれの目の前に常にありながらも気づくことのなかった風景を、改めて思い出させてくれるのだ。

Hair Stylistics - ele-king

 ライヴの終盤、マイクを握って叫び続ける中原昌也を見ていると涙を抑えることができなかった。ヘア・スタイリスティクスはあまりにも感動的だった。

 その日、渋谷の〈AX〉では、DUM-DUM PARTY'09「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」なるイヴェントが開かれていた。他の出演者はBuffalo Daughter、相対性理論、group_inou、OGRE YOU ASSHOLE。客層的に言えば、てんでばらけている、とも言える(実際、そのまとまりの無さはライヴの最中のロビーに顕著だった)。ただ、僕はこのイヴェントの主宰者を昔からよく知っていて、その人のセンスを信用しているので、きっと面白いことになるだろうと思っていた。バッファロー・ドーターを久しぶりに聴きたかったというのもあった。それともちろん、そう、ヘア・スタイリスティクスも。

 中原昌也がいちばん最初に出るということを知っていたので、僕は5時半に会場に着いてしまった。客は......A.K.I.しかいなかった......というのは冗談だが、早すぎてしまった。ワルシャワでビールを2杯飲んでいたので、僕はすでに軽く酔っていた。で、もう1杯、ビールを飲みながらOGRE YOU ASSHOLEというバンドを聴いていたら寝てしまった。起きてからもう1杯飲んで、中原に備えた。

 ステージの中央の机には汚い機材――エフェクト類、ドラムマシン、シーケンサー等々が並べられ、エフェクターが不器用に装着されたアコースティック・ギターも1台あった。その両側にはマーシャルが3台づつ、計6台並んでいる。マイクも1台、置いてある。

 暗いステージにパーカー姿の中原昌也が出てくると、何も言わず机の前に立ち、猫背の姿勢でつまみをいじり出す。ノイズが吹き出る。それはうねるようにスピーカーから出て、しばらくするとドラムの音が蛇のようにまとわりつく。それら音は、ゴミ溜と宇宙を往復する。低音が加わり、音は厚みを増していく。ダブステップを濃縮したような低音とベースが場内に反射する。まるで『メタル・マシン・ミュージック』のモダン・ヴァージョンだ。時間が経つのも忘れ、僕はその音のシャワーを浴びる。それは奇妙なほど気持ちよく響くのだ。そして他方では、その音はまるでオーネット・コールマンのフリー・ジャズのように、魂をえぐってくるようだ。汚いノイズの音はそして、いつの間にかとてもエモーショナルな音楽となる。素晴らしい。なんて素晴らしい音楽だ。それになんていう展開だろう。マンスリー・ヘア・スタイリスティクスでたまに取り入れていた駄洒落やギャグの要素はまったくない。ステージにいるのはひとりの優れたインプロヴァイザーだった。

 中原はそれから、机を離れ、マーシャルの音量を上げてまわった。机に戻ってくると、ギターを持って、それからマイクを握って叫んだ。悲鳴なのか、怒号なのか、その声はこの世のいちばん悲しい場所から最高に美しい場所に突き進むかのようだった。中原はマイクをなかなか離さなかった。叫び声が続いた。涙が出てきた。いま思い返しても涙腺がゆるむ。

 それほど魂を揺さぶられたのだ。七尾旅人は中原のノイズはブルースだと言っていたが、ある意味そうかもしれない。だが、この晩のライヴは、ロバート・ジョンソンではなくジミ・ヘンドリックスだった。僕はこのライヴが終わらないで欲しいと本気で思ったけれど......終わった、あっけなく、ほぼ満員になって、そして静まりかえった場内を置き去りにして。僕のすぐ斜め前では、業界人の女が、ステージには目もくれずに携帯をかちゃかちゃやっていた。ハハハハ、こうして僕は、現実に戻った。

 ライヴが終わると、ロビーにゆらゆら帝国の坂本慎太郎がいた。彼と一緒に中原に会いに行こうということになって、あの手この手を使って楽屋まで押しかけた。そして僕は、この素晴らしい経験の思い出としてヘア・スタイリスティクスのTシャツを買った。バッファロー・ドーターも聴きたかったのだけれど、仕事が山のように溜まっていたし、その晩はもうヘア・スタイリスティクスのノイズだけで充分だろうと自分に言い聞かせて帰路についた。

 僕は、中原昌也が本当に音楽のシーンに帰ってきたのだと思った。当たり前と言えば、当たり前だが。それがとても嬉しく思えた。12月30日はゆらゆら帝国と恵比寿のリキッドルームか~。行くしかないかな。

Black To Comm - ele-king

 クラウトロックの巨星たちの影がちらつく。クラスターないしはポポル・ヴー。それらがモダンなエレクトロニカ、アブストラクト、フィールド・レコーディング、ドローンなどと結合した音楽だ。ハンブルグで〈Dekorder〉レーベルを主宰するマーク・リヒター(日本でも根強いファンを持つ)によるソロ・プロジェクトで、リリース元は〈TYPE〉――5年前にギターのアンビエントでエレクトロニカのファンから支持されたXelaが主宰するレーベルだ。ブラック・トゥ・カム名義では、2009年はUSの〈Digitalis Recordings〉からドローンのアルバムを出し、〈Dekorder〉からも『Wave UFO』というアルバムを出しているが、僕はまだ聴いていない。この手の音楽は、買うか買わないかつねに迷う。僕の場合は。

 2008年の『Fractal Hair Geometry』における、かつてのトーマス・ケナーとも似たアブストラクトな音と比較すると、新作はずいぶんと牧歌的で、ヨーロッパ的情緒に傾いている。ある意味彼のロマン派的な側面が強調された作品だと言えよう。ヨーロッパの美しい田園風景と薄気味悪い幽霊屋敷が交わっているようである。とにかく1曲目"Jonathan"が素晴らしいのだ。彼のフィールド・レコーディング、そのコラージュされる音、そして単音で弾かれるピアノのメロディ。僕はこの1曲のためにアルバムを買ったといっても過言ではない。ピアノの入ったアンビエントが好きなので、ついつい。

 2曲目の"Forst"も悪くない。基本的にはドローンだが、遠くで単調なキックの音が鳴り、そしてだんだんと厚みを増していく。"Trapez"は"Jonathan"に次いで気に入った曲で、オルゴールの音楽ような幼少期の煌めきが展開される。とても美しい曲で、途中から入る低い弦の音が素晴らしい効果を出している。続く"Rauschen"の奇妙なメリーゴーランドも面白い。"Amateur"もピアノが印象的な曲だ。ところが、7曲目の"Tram GmbH"ような、古風なヨーロッパが重みを増していく展開は僕にはつらい(そこがまた、ポポル・ヴーと似ている)。それはしかし、彼のエモーションなのだろう。

 アルバムは後半、ダーク・アンビエントの様相を見せる。それは深いトリップへの入口だ。そしてそれは目覚めることのできない悪夢のように聴こえる。アルバムの最後の曲は、その着地点である。僕には決して居心地が良いとは思えない。もうあと少しで、このアルバムは傑作となったのではないかと思ってしまう。本当にあと少しのところで。

CHART by MarginalRecords 2009.12 - ele-king

Shop Chart


1

Delano Smith & Norm Tally

Delano Smith & Norm Tally Untitled Sushitech / GER / »COMMENT GET MUSIC
LTD. 300!いまやベルリンでも引っ張りだこだというデトロイトのDelano SmithとCassyも大ファンだというNorm Talley、2人によるスペシャルなスプリット10インチ。渋く枯れたフレーズと、粗いリズム打ちがクールなDelano、そして煙たいサックス吹きとファンキーなクラップ、低いバスドラがめちゃ黒くて格好良いNorm、どちらも最高の出来映え。おすすめです。

2

Lee Jones

Lee Jones Yoyo EP Cityfox / GER / »COMMENT GET MUSIC
Villalobos play!MyMyなどで活躍するLee Jonesが、スイスのCityfox4枚目に登場。単なるジャズサンプルをはめただけではない、より有機的なグルーヴを獲得した本気ジャズ・トラック。ジャズ要素控え目のB2も、渋いベースグルーヴで引っ張る構成がめちゃ格好良い。

3

Moritz Piske

Moritz Piske Real One, Daniel Kampf, Remixes/Roberto Rodriguez Rmxs Opossum / GER / »COMMENT GET MUSIC
当店でも大好評だったMoritz Piske [Real One]のリミックス盤が到着!リミキサーにはベルリン出身のニューカマーDaniel KamfとRoberto Rodriguez。共にオリジナルのパーツをしっかり活かしつつ、よりファンキーなクラブトラックに仕立て上げた、ナイス・リワーク。

4

Frozen Border

Frozen Border Frozen Border 004 Frozen Border / UK / »COMMENT GET MUSIC
どうやら地下UK発だという噂の(しかし音はベルリンよりもベルリンらしい)Frozen Borderシリーズ4枚目。このレーベルらしい、ストイックでタフなムードが濃厚に刻まれた2トラック。A1の非4/4リズムのトラックがド渋!今回も300枚限定らしいので、おはやめに。

5

Makam

Makam The Hague Soul Soweso / GER / »COMMENT GET MUSIC
2009 HIT !!!! ヨーロッパのシーン全域に浸透したとも言えるディープハウス回帰志向を決定づけた2009年の重要作のひとつ。ラフエッジなドラム打ちに柔らかく黒いベースライン、ミニマルな構成が格好良い。リミックスにはArea RemoteのKabale Und Liebe&Lauhausが参加。

6

Kez Ym

Kez Ym Butterfly Ep Yore / GER / »COMMENT GET MUSIC
Cassyも自身の最新MIX CDに収録するほど気に入っているという、Kez Ym aka ヤマグチ・カズキによる2作目!Alton Millerあたりを彷彿とさせる、かなり渋好みなデトロイト・ハウス。音色のセンスの良さも並外れたものを感じさせます。

7

Ghosts On Tape

Ghosts On Tape Predator Mode Wireblock / UK / »COMMENT GET MUSIC
今回も当たり!ファンマスト!のWireblockレーベルからこれまた泣き!のセンチメンタルなシンセメロディーが交差するエレクトロの登場!さらにFunky の使い手としてシーンで引っ張りダコのROSKA が立体パーカッションを響かせるヒプノティックなFunky REMIXを披露!B1のど変態な支離滅裂ミッドテンポ・トラックも非常に貴重なマージナル感を墳出しております。おもしろいですねぇ?。

8

Baobinga & I.D

Baobinga & I.D Tongue Riddim Build / UK / »COMMENT GET MUSIC
ブレイクス?ブレイクステップの職人コンビが今度はFunky に挑戦!これが大当たり!ブレイクステップでしかと学んだ絶妙のシャッフル感をまんまFunky に応用したグルーヴィーでカッコイイ"FunkyStep"ともいうべき新たな切り口の作品をドロップ!さらに本家ROSKA による何とも奇怪な南米クンビア風味な曲調のREMIXも収録!今回は完全にベテランの凄みを見せつけられた感じでしょうか。必聴!

9

SHUT UP AND DANCE

SHUT UP AND DANCE HOW THE EAST WAS WON SHUT UP AND DANCE / UK / »COMMENT GET MUSIC
UKブレイクビーツ?ベースミュージックの歴史そのものSHUT UP AND DANCE がついにここにきて89年から始まり、今日この日2009年までの恐ろしく長いキャリアの集大成として今ここにベスト盤をリリース!初期のブレイクビーツ曲から、ハードコアレイヴ、ブレイクス、ブレイクステップとUKベースミュージック界で別格とされてきた個性豊かな楽曲群を是非聴いて頂きたい。当時を知らない世代にはなおさら新たなヒントがあるかも。

10

Lucio De Rimanez

Lucio De Rimanez Crash Bang Wallop / Rising Of Rhinos Future Sickness Records / UK / »COMMENT GET MUSIC
ハードコア・ドラムンベース・シーンの鬼子Future Sicknessの第8弾、ロシア出身のLucio De Rimanezの新作は、DonnyもCurrent Valueも上等、といわんばかりの超・変態系!!ホントに半端なく"キ"印です!!! スノッブ気取りの音楽マニア諸氏、「北欧のブラック・メタルがどーたら」なんて賞味期限切れの講釈はもういいから、早くこの辺のヤバさに気づいてくれ!!
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