「Nothing」と一致するもの

 モノブライトのフロントマン 桃野陽介と、golf / SLEEPERS FILMで活動する関根卓史による音楽デュオ Hocori。時代からも地理からも自由でありながら、どこまでも「トーキョー」な風景を立ち上げるシンセ・ポップ・ミニ・アルバム『Hocori』に次いで、企画盤『Duet』のリリースが発表された。「デュエット」をコンセプトとする今作では、メルセデス・ベンツ・ファッション・ウィーク・東京に初参加となる気鋭のアパレル・ブランド〈ユキヒーロープロレス〉、そのショーケースに向けた書き下ろし楽曲や、ファッション・モデル、田中シェンとのコラボレーション曲などが収録される模様だが、続報も楽しみだ。ele-kingでも後日インタヴューを掲載予定です!

 モノブライトのフロントマン 桃野陽介と、golf / SLEEPERS FILMで活動する関根卓史による音楽デュオ Hocoriが3月23日(水)にタワーレコード限定でリリースする企画盤『 Duet 』の第2弾発表として、人気モデル 田中シェンとのコラボレーションを発表した。

 今作は、Duet=二重唱、二重奏というタイトル通り、 2人で歌う楽曲を中心に構成された企画盤であり、第1弾では「誰かのヒーローになれる服」をコンセプトに展開する、新進気鋭のアパレルブランド”ユキヒーロープロレス”とのコラボを発表している。今回発表された田中シェンは、ELLE girlやNYLON JAPAN、装苑など人気ファッション誌に多数登場し、花王 ロリエのCMにも出演し、Instagramで65,000以上のフォロワーを誇る、人気ファッションモデル。Hocoriが昨夏にリリースした1st Mini Album『 Hocori 』に収録されている「 Lonely Hearts Club 」のMusic Videoでの共演をきっかけに、桃野と関根から「ぜひ、彼女と歌ってみたい!」と兼ねてからのラブコールが実る形となった。コラボ曲「Game ft. 田中シェン」では、ワンナイトラブという”突然”を”必然”に変えるためのナンバーとして、止まらない二人の衝動を歌の掛け合いで表現し、ピアノの音色でクールに納めている。さらに今回はアートワークでもコラボレーション。モデルと同時に、イラストレーターとしても活躍めざましい田中が、360°視点で『 Duet 』を描き、ジャケット写真を手掛けた。

 企画盤のその他詳細としては、ライブで既に披露されていた、夜の無敵な感情を歌う「 狂熱の二人 」、前作『 Hocori 』の「 Intro 」をリエディットした「 Train Conbini Edit 」など収録曲も同時に発表。Hocoriはタワーレコード渋谷店スカイガーデンにて開催される、ユキヒーロープロレス 2016-2017 A/W COLLECTIONのサウンドプロデュースも決定しており、この企画盤を引っ提げて当日にはライブパフォーマンスも実施予定。これを記念して、リリース日より一週間早く、3月16日(水)に企画盤『 Duet 』は会場となるタワーレコード渋谷店で先行リリースされるので、いち早くジャケット写真を手に取りたい! 音源を聴きたい! というDuet希望者は、お見逃しなく。


■リリース情報

Hocori『Duet』

CNBN-03 / ¥1,300(Tax Out)

発売日:2016年3月23日(水)タワーレコード限定リリース
※タワーレコード渋谷店のみ、3月16日(水)先行リリース

レーベル:Conbini

収録曲:
1.「Free Fall」(ユキヒーロープロレス東京コレクションショーケース書き下ろし曲)
2.「Game ft. 田中シェン」
3.「狂熱の二人」
4.「Train Conbini Edit」
5.「Game Instrumental」


Game ft. 田中シェン


Free Fall

Don Letts - ele-king

 1956年にブリクストンで生まれたドン・レッツも今年で60歳。BBCのラジオ6での彼のDJは、いまでは日本で暮らしながら聴けるので、チェックしている方も少なくないでしょう。先月のブリストル特集も良かったですよね。選曲が素晴らしいです。
 ドン・レッツは、パンクの時代、パンクロッカーたちからものすごく信用されていたレゲエDJで、以来ずっとDJをやりつつ、映像作家としても活躍しています。UKが誇るファッション・ブランドのフレッド・ペリーのサイトでは、UKサブカルチャー史の映像作品も発表しているので、興味のある方はぜひ見てください。ちなみに神宮前にあらたにオープンしたフレッド・ペリーのお店では、今年はドン・レッツとの共同企画のラインも並ぶそうです。
 昨年は井出靖さんのレーベルの10周年を記念してリリースされたミックスCDも話題になりました。日本人によるレゲエ音源をドン・レッツが選曲したものです。

 来週はドン・レッツが渋谷のミクロコスモスでDJします。パンキー・レゲエな人はマストです。来て下さい!

Leftfield Groove - ele-king

 ダブステップが人びとを惹き付けた理由のひとつは、既存のダンス・ミュージックに倦怠感を抱いていた人へ向けて、全く異なるグルーヴを提示したことだ。揺籃期のサウンドはUKガラージの派生物として捉えられていたが、一概にUKガラージとして片づけるわけはいかない“キワもの”グルーヴが誕生し、最終的にダブステップと名付けられるに至った。
 しかし同時に、ダブステップとして全く異なるグルーヴの魅力を放ち続けるには、ダブステップであり続けてはならない、というパラドックスが発生してしまった。
 もともと多様なビート・フォームの実験場だったサウンドが「ウォブリーなベースと3拍目にスネアを置いたハーフステップ」というイメージに落ち着いていき、まったく異なる何かというより「お馴染みのもの」として定着したからだ(広く普及したという意味でそれは決して悪いことではないのだが……)。
 とはいえ、特定のサウンドを指すようになったダブステップという言葉から距離をおきつつも当初の精神性を引き継いだアーティストやレーベルによって、現在も既存から外れていく一種のレフトフィールド性を持ったグルーヴが生まれ続けている。

Ploy - HES028 Hessle Audio - 2016

 2007年のレーベル発足以来、〈ヘッスル・オーディオ〉が発表する作品はひとつの形式に留まったことがない。最新作に収録されたサラ・ワン・ファイヴは、無骨なビートと加工されたノイズのレイヤーがインダストリアル感を醸し出すミニマルトラックだ。
https://soundcloud.com/hessleaudio/sets/hes028-ploy

LAMONT - MISSED CALLS EP ft. Grim Sickers & Nico Lindsay Keysound Recordings 2016

 もともとテクノのジャーナリストを目指していたマーティン・クラークことブラックダウンとダスクによる老舗レーベル〈キーサウンド〉は、画一的になっていくダブステップの潮流から抜け出し、原点であるUKガラージを極限にまで解体した、隙間の多いグルーヴを模索するようになった。ラモントによるストリップダウン・グライムはその好例。


Batu - Bleeper Feed / April These Dnuos Ytivil 2016

 最近ますますテクノからの影響が色濃く表れ、大バコ仕様になってきている〈リヴィティ・サウンド〉。サブレーベルの〈Dnous Ytivil(同じくリヴィティ・サウンドと読む)〉も同じ方向性ではあるが、レーベルを主宰するペヴァラリストの衣鉢を継いだバトゥのトラックに代表されるように、斜めの視点から提示されるトラックはどこか密室的で絶妙な“いびつさ”を孕んでいる。

Beneath - Giv Sum No Symbols 2016

 UKファンキーとグライムを削ぎ落して掛け合わせたような、乾いたミニマル・サウンドがトレードマークのベニース。セルフ・レーベル〈ノー・シンボルズ〉から1年半ぶりのシングルに収録されたギヴ・サムは根幹の音楽性を保ったまま、これまでのモノトーンなイメージから一転、大胆にヴォイス・サンプルを使用したキラートラックに仕上がっている。

Fabrizio Rat - La Machina Optimo Trax 2016

 リエディットもので知られるJDトゥイッチが運営する〈オプティモ・トラックス〉はダブステップの文脈から外れているレーベルだが、ラ・マキナの2曲目に収録されたリングの異色ぶりは他の4作品に通ずるものがある。土台となるパターンを刻むスラップベースにキックが不規則に打ち込まれる怪しげでスリリングなトラックとなっており、後半は4つ打ちに変化するので、テクノやハウスにミックス展開するための橋渡し役としてもプレイ可能だ。

Harmonia - ele-king

 周囲の国々から取り残されて、隔絶され、孤立したところ(西ドイツ)から時代も場所も超越する音楽が誕生したという事実は、しかも〝ブルース〟という欧米の大衆音楽においてもっとも重要な要素をばっさりと断ち切ったところから生まれたという事実は、さらにまたそれがカールハインツ・シュトックハウゼンというロマン主義/古典主義への批判者の子供たちによるものだったという事実は、あるいは、ハンブルグという港町にリヴァプールからシルヴァー・ビートルズが演奏しに来ていたこととは何の関わりのない音楽であったという事実は、本当に本当に本当に、興味深い話で、クラウトロックがいまだに聴かれ続け、語られ、研究されているのも納得がいく。
 この度紙ジャケによるリマスター盤としてリリースされたハルモニアの2枚のアルバムは、ケルンやデュッセルドルフの〝エレクトロニシェ・ムジーク〟──つまりカン、クラフトワーク、クラスター、ノイ!などと同じように、そして同時代のシンセサイザー・ミュージックの壮大さとは正反対の、きわめてユニークな視点から電子音にアプローチしたバンドの成果である。(彼らの電子音は『スウィッチド・オン・バッハ』よろしく巨大なシンセサイザーを並べて奏でるシンフォニックでスペーシーなクラシック音楽の再利用とはむしろ拮抗する。小さな電子機材を工夫して面白い音=ノイズを出すこと/新しい作曲方法に頭を使った。ゆえにクラウトロックはパンクの登場を喜ぶことができたのだ)
 ハルモニアは、ノイ!に疲れたギタリストのミヒャエル・ロータがクラスターのふたりと出会ったことで1973年に生まれたプロジェクトで、『ハルモニア』(1974年)と『デラックス』(1975年)の2枚のアルバムを残している。また、1976年のブライアン・イーノとの伝説のセッションは、『Tracks And Traces』というタイトルで1997年にリリースされている。
 クラスターは、1973年、喧噪のベルリンから自然に囲まれた静かなフォルストに越して、数世紀前に建てられた古い家をスタジオに改築し、そこを拠点とした。しかしながら、スタジオを取り巻くニーダーザクセン州のヴェーザー川沿いの美しい田園風景とハルモニアの音楽は、かならずしも一致しない。ドイツでは合唱団をハルモニアと呼ぶ。『ハルモニア』のジャケは洗剤の広告だ。つまりこれはジョークなのである。ジョークが決して得意には思えないドイツ人のジョークだが、ここで想像してほしい、田舎の川沿いの、美しい緑のなかの古くて白い家のなかで録音された電子音楽がジョークであることを。そういう意味で、このアルバムが初めて日本で出たときの邦題の『摩訶不思議』は、ノイ!の悪名高き『電子美学』などよりもはるかにマシだったと言える。
 じつにねじれた作品でありながら(彼らのよくわからないユーモアは、90年代以降のテクノにも確実に受け継がれている)、ハルモニアは初期クラスターの電子ノイズ/ノイ!のモータリック・ビートと〝アンビエント〟との溝を埋める存在でもあった。同時に、クラウトロックとデヴィッド・ボウイのベルリン3部作との溝さえも埋める。コニー・プランクとノイメイヤーが参加した『デラックス』の1曲目を聴けばよくわかる。

 過去に何度も書いたことがあるが、ぼくは『デラックス』の裏ジャケの写真──川沿いにパラソルを立てて、3人がのんびりしている。自転車と犬を連れて!──が好きだった。あれほどの、泣く子も黙るノイズを鳴らしてきた連中が、なんてのほほんとリラックスしているんだろう。自分もこういう境地で生きたい……などと心の底から思い、憧れていたのだ。
 今回の再発盤の『デラックス』のブックレットでは、このときの撮影の未使用のカットがいくつか見ることができる。マニアックな話だが、嬉しかった。また、ハルモニア・スタジオの見たことがない写真、その外観も見れる。クラウトロックとは時代も場所も超越する音楽ではあるけれど、やはり時代も場所もある。草原を上を自転車を走らせている写真のいくつかは、ぼくのなかではその1曲目“デラックス”と重なる。この曲にはクラスターが滅多に出さない叙情性があり、またこのアルバムを録音した翌年にイーノとのセッションがあり、そしてフォルスト時代のマジカルな季節の最後の作品、クラスターのなかでは珍しくメロディアスでロマンティックな(つまり、シュトックハウゼンの影響らしからぬ)名作『Sowiesoso』が録音されている。

Kiyoshi Izumi - ele-king

 キミは和泉希洋志を知っているか? どうだ、知っているか? るかるかるかるかるか……(←ディレイをかけたつもりです)
 和泉希洋志は1997年、リチャード・D・ジェイムスとグラント・ウィルソン・クラリッジによるレーベル〈Rephlex〉から六角形のCDケースに入ったEPでデビューしたプロデューサーで、まったくつかみどころのないエレクトロニック・ミュージシャンである。2004年に『Protocol A 』というまったく素晴らしいアンビエント作品、2011年にaSymMedley名義でアルツのレーベルから『A G E Of Sun Edge』を出して以来、しばらく音沙汰のなかった彼だが、どうやらカレー屋を運営していたようだ。
 久しぶりにリリースされた新作『BOUNDARIES』は、CDにして4枚組。しかもカレー屋SOMAのレシピ付き、かなり本格的に、カラー写真込み、9品の料理のレシピが紹介されている。パンチの効いた味で心身共にすっきりなれるからだろうか、音楽が好きでエスニック料理が好きな人はなぜか多いのだが、このブックレットはかなりそそられますぞ!
 4枚のCDは、エレクトロニックな1枚があり、ジャズ/ビートの1枚がありと、1枚ずつテーマがあるが、そのすべてが和泉希洋志らしくまったくつかみどころがない。
 4枚のCDの入ったダンボール紙のボックスには、自身が描いた7メートルに及ぶ絵画の切れ端が貼られている。まさにアーツ&クラフト運動的なインディのあり方で、この手作りの感覚こそいま最先端なのだ。


和泉希洋志
BOUNDARIES Limited Edition

bitSOMA

ElectronicBreaksExerimentalDowntempo

Amazon

Seiho最新作は〈リーヴィング〉から! - ele-king

 年明けには、これまで大阪を拠点に自身が主催してきたパーティー「apostrophy」を東京で成功させ、その強烈なヴィジュアルやコンセプトからも新しいフェイズを予感させるプロデューサー、Seiho。かねて国内にとどまる存在ではなかったが、この程、最新アルバムをマシューデイヴィッドの〈リーヴィング(Leaving)〉からリリースすることが発表された。ワールド・ワイド・デビューとして注目され記憶されるはずのそのタイトルは『Collapse』。ともにSeihoが提示する「コラプス」を見届けよう。先行シングル「Peach And Pomegranate」も公開されている。

魅惑的なリズムが互いに絡み合いながら弾け、
時にまごつきながら光輝くサイリウム液に溶けてゆく。
春の息吹を感じる。 - Pitchfork

テン年代を代表するアンセム「I Feel Rave」発表以降、電子音楽~ダンス・ミュージックの領域を超えて破竹の勢いで活動を続けるビートメイカー/プロデューサー、Seiho。
フライング・ロータス主宰<BRAINFEEDER>にも所属する盟友マシューデイヴィッドのレーベル<LEAVING RECORDS>より、3年ぶりとなるオリジナル・アルバム『Collapse』がワールドワイド・リリースに先駆けて5/18に国内先行リリースされることが決定した。

アルバムより先行シングル「Peach and Pomegranate」が絶賛公開中!!
https://soundcloud.com/leavingrecords/seiho-peach-and-pomegranate

アルバムのリリースに先駆けてSeihoは、3月にSXSWやLOW END THEORYを含むUSツアーを敢行。“Collapse=崩壊”と意味深なタイトルを冠した本作は、すでに国内外のライブで披露され、音源化が熱望されてきたトラックの数々を含む全10曲を収録。さらに国内盤CDにはライナーノーツが封入され、ボーナス・トラックとして未発表の新曲「Ballet No.6」が追加収録される。また、iTunesでアルバムを予約すると、公開中の「Peach and Pomegranate」がいちはやくダウンロードできる。

artist: Seiho
title: Collapse

レーベル: BEAT RECORDS / LEAVING RECORDS
品番: BRC-509 価格: 2,200円+税
フォーマット: 日本盤CD(ライナーノーツ封入/ボーナス・トラック追加収録)

2016.05.18(水)発売

TRACKLISTING:
1. COLLAPSE (Demoware)
2. Plastic
3. Edible Chrysanthemum
4. Deep House
5. Exhibition
6. The Dish
7. Rubber
8. Peach and Pomegranate
9. The Vase
10. DO NOT LEAVE WET
11. Ballet No.6 (Bonus track only for Japan)

■Seiho
アシッドジャズが鳴りまくっていた大阪の寿司屋の長男にして、2013年、中田ヤスタカらと並びMTV注目のプロデューサー7人に選出され、SonarSound Tokyoに国内アーティストとしては初の2年連続出演(2012/2013年)を果たす。他にもMount Kimbie、2 Many DJ’s、Capital Cities、Disclosure、Flying Lotusらの日本ツアー・オープニングまたは共演、そして同郷Avec AvecとのポップデュオSugar’s Campaignでも注目度↑↑↑のビートメイカー兼DJ兼プロデューサー。自身が主催するレーベル<Day Tripper Records>より1stアルバム『Mercury』(2012)、2ndアルバム『Abstraktsex』(2013)をリリース。2014年2月にはブルックリン拠点Obey City(LuckyMe)とのスプリットEP『Shochu Sounds』を〈Perfect Touch〉よりリリースしている。またLes Sins(Toro Y Moi)、YUKI、矢野顕子、Ryan Hemsworth、LoFiFNK、東京女子流、パスピエ、さらうんど、KLOOZ、三浦大知などをはじめとする他アーティストへのプロデュースやリミックス・ワークほか、CM音楽やTV番組のサウンド・プロデュースなども多く手掛けている。2016年3月にUSツアー(SXSWやLOW END THEORY含む)、5月に米レーベル<LEAVING RECORDS>より約3年ぶりとなる最新アルバムをリリースする。

U.S. Tour Dates:
3/15 SAN FRANSICO Qrion, Seiho, iglooghost @ DNA Lounge
3/18 SXSW @ The Container Bar
3/19 SXSW @ Empire Control Room and Garage
3/20 Atlanta @ The Sound Table
3/22 NYC Seiho w/ Maxo, the Hair Kid @ Black Bear Bar
3/23 LOW END THEORY, LA  w/Traxman and Jlin
3/24 SEATTLE SOPHIE w/ Seiho and DJ Warlokk @ The Crocodile


Nyantora / Duenn / Hair Stylistics - ele-king

 本作は中村弘二(ニャントラ)、ダエン、中原昌也(ヘアスタイリスティックス)らが、2015年2月にYCAM(山口情報芸術センター)で行ったライヴ演奏の記録である。 その音は、まるで薄明かりの中で生まれる電子・電気のモノオト/ノイズである。全31分1トラックによる電子音生成の記録。

 3人についての説明は、もはや不要だろう。元スーパーカーでナカコーの愛称で知られる中村は、ソロから別名義のアンビエント・プロジェクトまで、音楽の領域を切り開く多様な活動を続けている。作家・文筆家でもある中原は、ヘアスタイリスティックス名義で、多くのアルバムを爆撃的にリリースし、この現代日本のどうしようもない状況にノイズと乾いた笑いによる介入を実行している。そしてダエンは、日本で随一のカセット・レーベル〈ダエン〉の主宰者で、新世代を代表する(電子)音楽家でもある。彼らの競演は世界初であり、まさに歴史に残る事件ではないか。

 しかし、真に重要な点は、貴重な競演という話題性だけではない。むろん、それだけでも十分に素晴らしい出来事なのだが、なにより、この演奏/音響が耳の興味を引きつけるのだ。一聴して誰もがわかるように、ここでの3人は互いの音に敏感に、かつ大胆に反応しあいながら、ひとつの、そして新しい音響を生み出しているのである。本作において、どの音が誰の音なのか、という問いはそれほど意味をなさない(もちろん、この音が誰の音かと想像するのは楽しいのだが)。反応と生成によって、ここにしかない音響的時間が生まれていることが重要なのである。

 冒頭の暗闇から聴こえるような微かな音、声の反復、そして微かに震えるノイズ、グリッチな高音、霞んだ音色の持続音、突如鳴りはじめる透明なコードまで、3人の音は、まるで水槽の中で群れをなして動く生命たちのように敏感に、かつ優雅に反応しあっていくのだ。その一筋縄ではいかない電子音/ノイズの饗宴を聴いた者は、この演奏/競演がCDとして後世に残す価値がある作品だと確信するはずだ。そう、この『ワイカム ライブ』には、3つの才能が交錯することで生まれる濃密な音響が収められているのだ。本作の薄明かりの中に蠢くような音を聴きながら、私は不意に谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を思い出しもした。どこか日本的ともいえる薄明かりの美意識。

 本作をリリースするのは、日本・東京で、高品質な電子音響/エクスペンタル・ミュージックをリリースしている〈サッドレック〉である。同レーベルはこれまでもトーマス・フィリップ、フランシスコ・ロペスなどの作品を送り出しており、美しく刺激的な音を求めるリスナーたちの耳を潤して(震わして)きた。統一感のあるアートワークも素晴らしく、日本における〈タッチ〉や〈ライン〉のような存在ともいえるだろう。
 その高精度な音の秘密(?)には、サウンドに対する職人的ともいえるこだわりにあるように思えてならない。それもそのはずで、本作などはマスタリング・スタジオ〈サッドラボ〉も運営する主宰ドヴァスキーによるDSDアップコンバート・マスタリングが行われており、音そのものの存在感が凄まじいのである。この種の作品にありがちな高い音域で、いたずらに刺激させるだけの音ではなく、小さな響きからノイジーな音響まで、幅広い音域の中で、音の肌理や質感があますことなく銀盤に収められている。長く聴ける音響への拘りを強く感じさせてくれるアルバムである。

 また、本作と同時リリースされるドイツのサウンド・アーティストであるサスピションブリーズコンフィデンス『エーロゾル』にも注目だ。〈パン〉以降のエクスペリメンタル/インダストリアルな状況に投下される最新鋭のダーク電子音響アルバムで(アートワークも美しい!)、ノイズ・環境音・ビート・メロディの断片など、さまざまな音のフィギュールが交錯し、心理的影響を与えるようなサウンドの情景が生成されていくのである。まるで電子音響の劇場空間。この『エーロゾル』もドヴァスキーによるマスタリングが行われており、末永く聴き込める電子音響/電子ノイズの逸品に仕上がっている。『ワイカム ライブ』とあわせての聴取を強くおすすめしたい。どちらも限定300枚である。

高岡謙太郎(ライター) - ele-king

HD画質向けミュージック・ビデオ10選

cafe school No.2 開催 - ele-king

「ジェントリフィケーション(gentrification)」ということばをご存知だろうか? 「〔老朽または下層地域などを[が]〕高級(住宅地)化する」という意味の英語の動詞、「gentrify」の名詞形であり、現在のロンドンやニューヨークといった先進国の都市で起こっていることだ。とくにロンドンの例が顕著で、ジェントリフィケーションによる地価の高騰によって、多くのミュージシャンたちがロンドンの、ひいてはUKの外へと活動の拠点を移している。

 東京は、日本は無関係か? いや、そんなことはないだろう。オリンピックによる都市開発によって、老舗のレコード店やクラブが閉店してしまったという知らせは、多くのひとびとを悲しませた。ロンドンがその姿を変えてしまったきっかけのひとつもまたオリンピックである。東京はこれからどうなってしまうのか? またその状況にどうやって抵抗できるのか? 今週土曜、そんな問いに答えるイベントが新宿で開催される。講師は酒井隆隆史と平井玄。抵抗のスペシャリストとともに考えましょう。

KiliKiliVilla - ele-king

 いま日本で猛烈な勢いで新作をリリースしている元気いっぱいのインディ・ロックのレーベル、〈キリキリヴィラ〉からマヒトゥー・ザ・ピーポー率いるGEZANの写真集が刊行されました!
 2015年の夏、アメリカのバンド、MEAN JEANSとTHE GUAYSとGEZANによる13日間の公演ツアーの模様をドキュメントしたもので、撮影は新進気鋭のカメラウーマン、池野詩織さん。バンドに密着しながらでなければ撮れない写真ばかりで、ライヴハウスをかけめぐるロック・バンドの非日常的な激しさと日常的なセンチメントが交錯する。ロックの生々しい現場の断片からは、何とも言えないエモーションが立ち上がる。こういうリアリティって、ネットや雑誌では、なかなかお目にかかれない。手作りのジンだからこそ伝わるものだ。
 限定500部なので、お早めに!

池野詩織
『BUBBLE BLUE』
kilikilivilla
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