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Leftfield Groove

Leftfield Groove

文:Yusaku Shigeyasu   Mar 11,2016 UP

 ダブステップが人びとを惹き付けた理由のひとつは、既存のダンス・ミュージックに倦怠感を抱いていた人へ向けて、全く異なるグルーヴを提示したことだ。揺籃期のサウンドはUKガラージの派生物として捉えられていたが、一概にUKガラージとして片づけるわけはいかない“キワもの”グルーヴが誕生し、最終的にダブステップと名付けられるに至った。
 しかし同時に、ダブステップとして全く異なるグルーヴの魅力を放ち続けるには、ダブステップであり続けてはならない、というパラドックスが発生してしまった。
 もともと多様なビート・フォームの実験場だったサウンドが「ウォブリーなベースと3拍目にスネアを置いたハーフステップ」というイメージに落ち着いていき、まったく異なる何かというより「お馴染みのもの」として定着したからだ(広く普及したという意味でそれは決して悪いことではないのだが……)。
 とはいえ、特定のサウンドを指すようになったダブステップという言葉から距離をおきつつも当初の精神性を引き継いだアーティストやレーベルによって、現在も既存から外れていく一種のレフトフィールド性を持ったグルーヴが生まれ続けている。

Ploy - HES028 Hessle Audio - 2016

 2007年のレーベル発足以来、〈ヘッスル・オーディオ〉が発表する作品はひとつの形式に留まったことがない。最新作に収録されたサラ・ワン・ファイヴは、無骨なビートと加工されたノイズのレイヤーがインダストリアル感を醸し出すミニマルトラックだ。
https://soundcloud.com/hessleaudio/sets/hes028-ploy

LAMONT - MISSED CALLS EP ft. Grim Sickers & Nico Lindsay Keysound Recordings 2016

 もともとテクノのジャーナリストを目指していたマーティン・クラークことブラックダウンとダスクによる老舗レーベル〈キーサウンド〉は、画一的になっていくダブステップの潮流から抜け出し、原点であるUKガラージを極限にまで解体した、隙間の多いグルーヴを模索するようになった。ラモントによるストリップダウン・グライムはその好例。


Batu - Bleeper Feed / April These Dnuos Ytivil 2016

 最近ますますテクノからの影響が色濃く表れ、大バコ仕様になってきている〈リヴィティ・サウンド〉。サブレーベルの〈Dnous Ytivil(同じくリヴィティ・サウンドと読む)〉も同じ方向性ではあるが、レーベルを主宰するペヴァラリストの衣鉢を継いだバトゥのトラックに代表されるように、斜めの視点から提示されるトラックはどこか密室的で絶妙な“いびつさ”を孕んでいる。

Beneath - Giv Sum No Symbols 2016

 UKファンキーとグライムを削ぎ落して掛け合わせたような、乾いたミニマル・サウンドがトレードマークのベニース。セルフ・レーベル〈ノー・シンボルズ〉から1年半ぶりのシングルに収録されたギヴ・サムは根幹の音楽性を保ったまま、これまでのモノトーンなイメージから一転、大胆にヴォイス・サンプルを使用したキラートラックに仕上がっている。

Fabrizio Rat - La Machina Optimo Trax 2016

 リエディットもので知られるJDトゥイッチが運営する〈オプティモ・トラックス〉はダブステップの文脈から外れているレーベルだが、ラ・マキナの2曲目に収録されたリングの異色ぶりは他の4作品に通ずるものがある。土台となるパターンを刻むスラップベースにキックが不規則に打ち込まれる怪しげでスリリングなトラックとなっており、後半は4つ打ちに変化するので、テクノやハウスにミックス展開するための橋渡し役としてもプレイ可能だ。

文:Yusaku Shigeyasu