「Nothing」と一致するもの

Vampillia feat Jun Togawa - ele-king

 近年ますますめざましい活躍をしているVampillia(ヴァンピリア)が、戸川純フィーチャリングの曲“Lilac”のMVを公開。ちなみに同曲収録のアルバム『The Divine Move 』(2014年)も、2016年初頭にアメリカでのリリースが決定。

 MVは、Vampilliaのツジコノリコとの“Endless Summer 2014”、BiSとの“Mirror Mirror bombs BiS”に引き続き、 ONIONSKINが担当。LPは再レコーディングされ、再ミックス仕様のスペシャル盤になるそうだ。
 ご予約はこちらまで : info@vampillia.com

 また、10月16日梅田クアトロで開催される“いいにおいのするイベントの10周年”で、Vampillia×戸川純がライヴを行う。

 こちらは現在チケット予約受付中。

 ■いいにおいのするイベントの10周年
 10/16(fri) @梅田CLUB QUATTRO
 OPEN 18:00 START 18:30
 CHARGE:ADV \3500 DOOR. \4000(+1drink)
 ※前売りは10周年記念CD付きプライス
 Vampillia /
 Vampillia×戸川純 /
 world’s end girlfriend & POLTERGEIST ensemble /
 MASONNA /
 O.A. : VMO

プレイガイド発売中:Pコード【276-825】 Lコード【59041】 e+

メール予約:info@iinioi.com へ、件名「10/16予約」本文に「カタカナ氏名」 と「枚数」
詳細:https://iinioi.com/10s-event


※本記事は、昨日(2015年10月1日)情報解禁時刻前に誤って掲載されてしまいました。
ご関係のみなさまと読者さまに心よりお詫び申し上げます。

Various - ele-king

 中国はたしかに脅威である。安倍晋三が何をしにブラジルやコロンビアなど何カ国も中南米を飛び回っていたかは不明だけれど(自分では「懸命に働いてきた」とコメントしていた)、同時期に習近平はリオ・デ・ジャネイロから太平洋側のペルーまで南米横断鉄道の建設を軌道に乗せてきた。これが完成すればアメリカの影響下にあるパナマ運河は一気に力を失うだろうし、ラテン・アメリカ内のダイナミズムも急激に変化していくに違いない。大西洋を挟んでスペインと結びついていたアルゼンチンの映画や音楽も、もしかしたら中国資本との連携を強めていくかもしれないし、映画産業がハリウッド以前の状態に戻ってしまうことも予想しやすい。すでにして現在のハリウッドはヒスパニック系を抜きにしては語れない形勢になってきたわけだし。

 米議会でキャロル・キングに心を撃たれたとアピールしていた安倍晋三は、そして、当然のことながらベネズエラのタンボールやキューバのクバトン、そして、ハイチのラバダユ(Raboday)といった最新のダンス・ミュージックを南米から持ち帰ってくれるわけでもない。文化的にも役立たず極まりない。岸信介は1959年に初めて中南米を訪問した日本の首相だったので、祖父のマネをしたかったというだけだったのだろうか。ちなみに岸信介は戦後、獄中で『レ・ミゼラブル』を翻訳している。どうせやるなら、監獄に入って、アリソン・キャッスル『Saturday Night Live: The Book』でも訳してもらいたいものである(僕が読みたいので)。

 〈ストラット〉傘下に設立された〈タイガーズ・ミルク〉はこれまでペルーのヴィンテージ音源を発掘してきた。それが、ここへ来て、いきなりトロピカル・ベースとも称されるペルー産のディジタル・クンビアを1枚にコンパイル。コロンビアが起源とされるクンビアは、近年、アルゼンチンに飛び火してディジタル・クンビアとしても知られるようになり、さらにこれがペルーにも浸透して、まったく表情を変えていたことがよくわかる。エッジを立てながらもそれこそチル・アウトといいたくなるほど全体に穏やかで、アルゼンチンよりはコロンビアからの巻き返しだったメリディアン・ブラザースに通じる部分も多い。ブラジルのファベーラやヴェネズエラのチャンガ・トゥキが激しくなる一方だったことを思えば、太平洋側はチリのヴィラロボスやルチアーノといい、概して平穏なム-ドを好むのかなーと、知りもしないのにいい加減なことを考えてしまう(つまり、ジャケット・デザインはかなり間違っている)。

 全16曲中、トリビリン・サウンド(Tribilin Sound)が4曲を占めているので、この人が中心人物なのだろうか。アルヴァロ・エルネストの名義でディープ・ハウスやミニマルのリリースを重ねてきた人なので、ともすればここへ来てルーツを意識したということになるのかもしれない。聞かせ方は心得ているし、洗練された作風にはなるほど連続性が強く感じられる(トリビリンというのはディズニー・キャラ、グーフィーのことらしい(?))。ペルーの俗語で並外れたものや不快なものを意味するアニマル・チュキ(Animal Chuki)はディジタル・クンビアをプッシュしてきたZZKともすでに繋がりがあり、ここでは重層的なシンセサイザーでオープニングを飾っている。リミックスをカウントすると、デルタトロンも3曲で存在感を示し、ティト・プエンテをソローで再生しているようなカクルーナやMGMTがクンビアに手を出したようなケチュアボーイなどモダンとルーツはかなり入れ乱れている。

*****

 南米に生息するさまざまな鳥をテーマにしたコンピレイションも少し前につくられている。細かく書き写してもしょうがないけれど、11種類の鳥をテーマにチャンチャ・ヴィア・シルクウィートやトレモール、あるいはシロサンプルズといった、この手ではすでに人気のプロデューサーたちと、あまり聞いたことがないマタンツァやバリオ・リンドといったエレクトロニック系からのエントリーがこれもまた穏やかなチル・アウト・ミュージックをさまざまに展開している(オープニングは『アンビエント・ディフィニティヴ』でも大きく取り上げたコロンビアのルラクルーザ)。曲調もディジタル・クンビアや鳥の声を使い倒したミュージック・コンクレート歌謡、あるいはラテン・ハウスにフォークトロニカと、地味に豊富。正直いって全曲、素晴らしい仕上がり。南米のプロデューサーが全体にいま、非常に高い創作モードのなかにいることが実感できる。

 じつは、この2種類の編集盤はどちらにもデング・デング・デング(Dengue Dengue Dengue)が曲を提供していたので僕は興味を持ったのでした。3年前にリリースされたデビュー・アルバムが今年になってアナログ化されたペルーの「トロピカル・ストーム・オブ・エレクトロニック・サイケデリア」に関しては、長くなってきたのでまた機会があれば。

第六回:「身に纏う音楽」 - ele-king

 最近はまっている携帯型スピーカーがある。LuxSoundというスピーカーで、充電式ワイヤレスで、左右分離しているスピーカー(https://nuzeestyle.jp/products/detail.php?product_id=4)。音質が特別良いわけではない(そこまで悪くもなく、価格相応)し、結構不具合もあって開発段階であることは否めない。だけど、旅先や野外で、音楽を聞いて過ごしたい人には、このスピーカーはオススメできると思う。

 ワイヤレスなので、屋外でも屋内でもLとRのスピーカーを、その空間に合わせて、自分の好きな場所に、好きな距離で好きな音量で配置ができる。そして、何より僕が面白いと思っているのは、このスピーカーが洋服のポケットに収まる。ということだ。

 胸ポケにi-podを入れて音楽を再生すると、両サイドのポケットからはずっと音楽が流れ、やろうと思えば1日中、そこから流れる音楽に包み込まれて過ごすことができる。

 もちろん、このスピーカーは他人を不快にする可能性がある。その危険性はどんな場所でも、音が発生する場である限り、全ての時間に孕まれている。けれど逆に言えば、このスピーカーで流すことのできる、他者を妨害しない音楽あるいは音を「アンビエント・ミュージック」と呼ぶのではないかと思うのだ。だから僕は、「アンビエント・ミュージシャン」が「ステージに立つ」ということには、どうも抵抗がある(ちなみに僕や友人がライヴで演奏している音楽はアンビエント・ミュージックではないし、僕自身が作ってきた音楽も、アンビエント・ミュージックと名乗るには、まだまだ随分遠いところにあると思っている)。本来、僕が考えるアンビエント・ミュージシャンは、存在として無であるべきだと思う。少なくとも僕自身が日常生活のなかで身に纏う音楽は、無のような存在であってほしい。何もない静かな無のなかにさす、ほんのり浮かぶ、ほのかな灯りであってほしい。

 例えば、あるコミュニティーのなかで、そこに住む人の多くがこのスピカーを身につけて、その日に自分の世界を包む音を選べるようになったとしたら。それは服とかマフラーとか靴とかに、音の発生する機械が着いているのかもしれない。するとある人とある人がすれ違ったり、あるいは話し合ったりしているときに、その2人の音楽が絶妙なバランスで混ざったり、混ざらなかったりする。3人とか4人とか集まったときに、それぞれの音楽や音が、うまく調和したりしたら、それは分かり合える親友と、語らい合っているときのような特別な喜びを覚えるだろう。

 もちろん、問題はそこで流れる音楽が、「録音物」という過去の時間軸である。という問題はある。本来であれば、それがそのときにその人から生まれた音楽であるとしたら、それは録音物よりも、どんなに素晴らしい音楽がそこに発生しうることになるだろうか。と想像するだけでも楽しい。

 でも、考えてみれば、音楽でなくても、自分自身のそういった何かしらの周波数のようなものは、音楽以外の情報として、つねに発信されている。ファッションにしても、言葉にしても、表情や「所作」ひとつひとつにしても。そういう周波数が、合うときもあれば合わないときもある。それは音楽のセッションをしているときと、同じことなんじゃないかと思う。どんなに仲が良い友だちでも、長い生涯を考えてみれば、その周波数が合う時期も、合わない時期もある。それは悲しむべきことではないし、またいつか、来世かもしれないけど、それはそれでいいじゃないか。と思える。

 それにしてもすごい時代になったもんだ。

 僕は、人類の歴史、こと身体の歴史というのは、生物学的なある方向性を持って動いていると思っている。そういうなかで音楽が生まれて、それが「録音された」ということは、音楽史にとって、とてつもない出来事だと思う。とくに「アンビエント・ミュージック」について考えるときは、ひとしお大事だ。

 アンビエント・ミュージックというのは、環境として在れる音楽で、他者を妨害することなく空間を変えることのできる音楽。だと僕は思っている。そういった音楽が現代に、ある程度の生物学的な方向性を持っているものだとしよう。そうするといま、アンビエント・ミュージックというものが、都会のなかから生まれて来たということの意味があるのではないか。というのを前々々回までに書いた。

 そう考えると、「アンビエント・ミュージック」というのは、「演奏者がそこにいない」ということが、非常に重要な要素になる音楽だと思う。だから、「録音する」というテクノロジーが生まれなければ、「アンビエント・ミュージック」という概念も音楽も生まれなかった。僕はサティが家具の音楽の構想を実現できなかった理由には、そこに演奏者がいたからである。という理由が一番大きいんじゃないかと思っている。

 それがね、今度はポケットから音楽を1日中流すことすら可能にしたテクノロジーっていうのも、それはすごいことだなぁ。と思うのです。これから、そういうテクノロジーの発達とともに人間と音楽の存在し合い方も変わってくるだろうし、変わるのが当たり前なのです。


Dâm-Funk - ele-king

 2000年代後半から現在まで続く80sサウンド・リヴァイヴァルの最大の貢献者であるデイム・ファンクことデイモン・ギャリック・リディック。80sサウンドにもいろいろあるが、彼の場合はモダン・ファンクやシンセ・ブギーで、自身の出生地であるUSカリフォルニア産のサウンド(LAの〈ソーラー・レコード〉などがその典型)がベースとなっている。2009年に〈ストーンズ・スロー〉から『トゥイーチゾーン(Toeachizown)』を発表し、一躍その名を轟かせた彼だが、それ以来となるニュー・アルバム『インヴァイト・ザ・ライト』が発表された。じつに6年ぶりの新作だが、その間もデイム・ファンクにとっては憧れのヒーロー格にあたるスティーヴ・アーリントン(元スレイヴ)とのコラボ・アルバム『ハイアー』(2013年)を発表し、スヌープ・ドッグの変名であるスヌープジラと組んだ7デイズ・オブ・ファンク、コンピューター・ジェイ、Jワンと組んだマスター・ブラズターでの活動や、ほかにもシングルやEP、リミックス、ミックステープ類や過去の作品集などをいろいろと出していたので、制作作業から遠ざかっていたどころか、かなり精力的に動いていた。

 こうした作品でも一貫してモダン・ファンクや、それに隣接するGファンク系ヒップホップを聴かせてきたのだが、とくに近年はダフト・パンクやファレルによってディスコ・リヴァイヴァルに火が点き、今年に入ってからもメイヤー・ホーソーンとジェイク・ワンによるタキシードがモロにシンセ・ブギー路線のアルバムを出したりと、改めてデイム・ファンクの功績を再検証する機会が増えてきたように思う。そうしたタイミングもあって、発売前から大きな話題を呼んでいたアルバムだ。〈ソーラー・レコード〉のレオン・シルヴァーズ3世(ファミリー・グループのシルヴァーズのメンバー)がプロデュースした『トゥイーチゾーン』は、ほぼ一人での宅録に近い内容だったが、『インヴァイト・ザ・ライト』はとにかくたくさんのゲスト参加があり、予算も内容も格段にスケール・アップしている。それはすなわち、この6年でデイム・ファンクの評価がいかに高まったかを物語る。そのゲストをあげると、レオン・シルヴァーズ3世と4世の親子、オハイオ・プレイヤーズのジュニー・モリソン、ジョディ・ワトリー(彼女も〈ソーラー〉を代表するグループのシャラマー出身)、そしてスヌープ・ドッグ、コンピューター・ジェイ、ナイト・ジュエルなど過去にコラボをしてきた面々、さらにQティップ、アリエル・ピンク、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフレアと多士済々だ。西海岸勢が占める中で東海岸を代表するMCであるQティップとのコラボ、異種顔合わせの最たる例であるアリエル・ピンクやフレアとのコラボなど、実に興味深いセッションが行われている。

 アルバムの楽曲を見ると、フューチャリスティックな“フローティング・オン・エア”、レフトフィールドなエレクトロ“ザ・ハント&マーダー・オブ・ルシファー”のようにさらに進化した姿を見せてくれる曲がありつつも、基本は『トゥイーチゾーン』や『ハイアー』のラインを受け継ぎ、シンセ・ベースによる重低音が貫くモダン・ファンクは相変わらずだ。というか、彼にはこれしかないし、またリスナーもそれ以外のものを望んではいない。古いとか新しいとか、時流や流行などいっさい関係ないし、ゲストに誰が来ようが日和ることもない。ここまで自身の道を貫けるのは潔いし、だからこそ説得力のある音だ。そうした中、ファンキーなサウンドももちろん素晴らしいが、彼の真骨頂は“サムホェア、サムハウ”で聴けるようなメロウなシンセ・ブギーにあると思う。これこそ西海岸の音だし、80sの匂いも残しつつ、いまの時代にもしっかりとフィットする普遍性を備えている。本作はアップにしろスローにしろ、そうしたメロウ・サイドがより洗練された印象で、“O.B.E.”には初期のラリー・ハードが持っていた美的センスと同種のものを感じさせる。そして、そのタイトルどおりスキャットを交えた“スキャッティン”は最高のAORではないだろうか。


TREKKIE TRAX - ele-king

 東京を拠点に活動する新進気鋭のDJチーム、トレッキー・トラックスが、イギリスのラジオ局リンスFMに出演する。
 リンスFMは海賊放送に端を発する、イギリスのアンダーグラウンド・シーンにおけるシンボルのひとつだ。現在も、ベンUFOやワンマンといった人気DJのたちがレギュラー番組を受け持っており、ハウスからグライムやジャングルに至る、様々なジャンルの最新ミックスが毎日披露されている。
 今回トレッキー・トラックスが出演するのは、スコットランドの音楽都市、グラスゴーを拠点に活動するレ―ベル〈ラッキーミー〉がリンスFM内に持つ番組だ。同レーベルからはグラスゴー出身のハドソン・モホークやラスティもリリースをしており、UKの北部から大きな影響を与えてきた。
 放送時間は明日10月1日のイギリス時間の23:00(日本では2日の朝7時から)。番組はリンスFMのホームページから視聴が可能で、後日ポッドキャストもアップされる予定。

Rinse FM
https://rinse.fm/

LuckyMe
https://thisisluckyme.com/

TREKKIE TRAX
TREKKIE TRAXは2012年に日本の若手DJが中心となり発足したインターネッ・トレーベル/クリエイター集団である。これまでのテンプレートに囚われない様々な音楽を世界に向けて発信することを指針とし、全国各地で活動しているトラックメーカーとともに楽曲リリースを行っている。主要メンバーは東京を中心にDJ活動を行っており、ageHa、WOMB、UNIT、asiaなどの日本を代表するクラブで日夜プレイをしている。TREKKIE TRAX CREWとしてはTOYOTA ROCK FESTIVAL 2013を皮切りに日本各地へ遠征を開始。FEED ME、Alizzz、Bobby Tank、Obey City、Elijah&Skilliamとの共演やHYPER DUBの10周年スペシャル・レーベル・ショウケースへの出演も果たす。2014年2月には代官山UNITで盟友 LEF!!! CREW!!!、Hyper Juice とサウンドクラッシュを行う。会場のみならず、後にyoutube上にupされた動画から多くの日本のユースを熱狂の渦へ巻き込んだ。TREKKIE TRAXは2014年末までフリーダウンロードの形式でのリリースが主であったが、2015年より世界最大級の音楽プラットフォームであるiTunes Store・Beatportでの音楽配信、さらにレコードやCDのフィジカルでのニュー・リリース・ラインを開始。さらにリリースと同時に全国ツアー、海外でのアクトを敢行するなど多くの人々に日本の音楽を届けるため、活動の幅を大きく広げている。また国内だけでなく、フィンランドの名門レーベルTOP BILLINとのコラボレーション企画第一弾のコンピレーション「Trekkie Trax Japan Vol.1」が2014年4月にリリース。さらに楽曲はSkrillex主宰レーベルOWSLAの運営するブログ"Nest HQ"、世界最大のEDMポータルサイトである"EDM.com"や"Do Androids Dance"、大手ネットマガジン"Pichfork"や"Thump"で取り上げられ、「Rinse.FM」「BBC Radio 1Xtra」などのラジオ局もプレイされるなど、DJ、楽曲共に国内外で高い評価を得ている。活動はラジオ・パーソナリティまで幅をのばし、m-floのTaku Takahashiが局長を務める日本最大のクラブ・ミュージック・インターネット・ラジオ「Block.fm」にてクルーのSeimei & Taimei、andrewによる「Rewind!!!」が2013年12月よりスタートした。その活躍は今後の日本のユースシーンを牽引するいまもっとも注目すべきレーベル、DJ集団と言える。
https://www.trekkie-trax.com/

MALA & COKI -Digital Mystikz - ele-king

東京においてドラムンベース、ダブステップ、グライムで活躍する先鋭的なアーティストを紹介し続けてきたパーティ、DBSが今年で19周年を迎える。今回、モントルー・ジャズ・フェスティヴァルの一貫として行われるイベントに、そのアニヴァーサリーにふさわしいディジタル・ミスティックズことマーラ&コーキが出演する。
ふたりがロンドンで開催しているパーティであるdmzも、今年で10周年を迎えた。チケットと毎年恒例のTシャツもソールド・アウトになってしまうほど、その人気は健在だ。先日マーラの〈ディープ・メディ〉からリリースされたカーン、コモド、ガンツらによる作品を聴けばわかるとおり、ダブステップはいまだにその音を更新し続けている。ディジタル・ミスティックズのふたりのステージでは、毎度未発表のダブ・プレートがプレイされるので、シーンの現在と未来を今回も堪能できることは間違いない。
日本からは、マーラの盟友であり、孤高の重低音をクリエイトし続ける〈バック・トゥ・チル〉のゴス・トラッド。先日、所属レーベル〈グルーズ〉からレコードをリリースしたばかりのヘルクトラム。さらにアフリカ、マリの伝統楽器コラ奏者のママドゥ・ドゥーンビアらが出演する。
 

Montreux Jazz Festival Japan 2015
DBS 19th Anniversary
MALA & COKI -Digital Mystikz

10.11 (SUN) @ UNIT
open/start 23:30
adv.3,300yen / door 3,800yen

出演
UNIT:
MALA & COKI -Digital Mystikz
wuth.
GOTH-TRAD
MAMADOU DOUMBIA(Live)
HELKTRAM

Saloon:
DJ INZA
SIVARIDER
DJ DON
TETSUJI TANAKA
SHINTARO

info. 03.5459.8630 UNIT
Ticket outlets:NOW ON SALE
PIA (0570-02-9999/P-code: 274-844)、 LAWSON (L-code: 73842)
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/https://www.clubberia.com/store/
渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)
原宿/GLOCAL RECORDS(090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、disk union CLUB MUSIC SHOP(5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、Dub Store Record Mart (3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

UNIT
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
www.unit-tokyo.com

出演者情報
MALA & COKI(DIGITAL MYSTIKZ)
ダブステップのパイオニア、DIGITAL MYSTIKZはサウス・ロンドン出身のMALAとCOKIの2人組。ジャングル/ドラム&ベース、ダブ/ルーツ・レゲエ、UKガラージ等の影響下に育った彼らは、独自の重低音ビーツを生み出すべく制作を始め、アンダーグラウンドから胎動したダブステップ・シーンの中核となる。
'03年にBig Apple Recordsから"Pathways EP"をリリース、'04年には盟友のLOEFAHを交え自分達のレーベル、DMZを旗揚げ、本格的なリリースを展開していく。そして名門Rephlexのコンピレーション『GRIME 2』にフィーチャーされ、脚光を浴びる。また'05年からDMZのクラブナイトを開催、ブリクストン、リーズでのレギュラーで着実に支持者を増やし、ヨーロッパ各国やアメリカにも波及する。
'06年にはSoul Jazzからの2枚のシングル・リリースでダブステップとDIGITAL MYSTIKZ の知名度を一気に高め、DMZの作品もロングセラーを続ける。また同年にMALAは個人レーベル、Deep Medi Musikを設立、以来自作の他にもGOTH-TRAD、KROMESTAR、SKREAM、SILKIE、CALIBRE、PINCHらの作品を続々と送り出し、シーンの最前線に立つ。一方のCOKIは'07年にBENGAと共作した"Night"をTempaから発表、キャッチーな同曲は'08年に爆発的ヒットとなり、ダブステップの一般的普及に大きく貢献する。
そして'10年にはDIGITAL MYSTIKZ 名義によるMALAの1st.アルバム『RETURN II SPACE』がアナログ3枚組でリリース、壮大なスケールでMALAのスピリチュアルな音宇宙を明示する。そしてCOKIも同年末、やはりDIGITAL MYSTIKZ 名義でアルバム『URBAN ETHICS』を発表(P-VINEより日本盤発売)、血肉となるレゲエへの愛情と野性味溢れる独自のサウンドを披露する。その後もDMZから"Don't Get It Twistes"、Tempaから"Boomba"等、コンスタントに良質なリリースを重ねつつ、11年から謎のホワイト・レーベルのAWDで著名アーティストのリワークを発表、そして12年、遂に自己のレーベル、Don't Get It Twistedを立ち上げ、"Bob's Pillow/Spooky"を発表。
MALAはGILLESの発案で'11年、彼と一緒にキューバを訪れる。そしてMALAは現地の音楽家とセッションを重ね、持ち帰った膨大なサンプル音源を再構築し、'12年9月、GILLESのBrownswoodからアルバム『MALA IN CUBA』を発表(Beatinkから日本盤発売)、キューバのルーツ・ミュージックとMALAのエクスペリメンタルなサウンドが融合し、ワールド・ミュージック/エレクトロニック・ミュージックを革新する。
"Come meditate on bass weight!"

GOTH-TRAD (deep-medi,BTC)
ミキシングを自在に操り、様々なアプローチで ダンスミュージックを生み出すサウンド・オ リジネイター。03年に1st.アルバム『GOTH-TRAD』を発表。国内、ヨーロッパを中心に海外ツアーを始める。05年には 2nd.アルバム『THE INVERTED PERSPECTIVE』をリリース。また同年"Mad Rave"と称した新たなダンスミュージックへのアプローチを打ち出し、3rd.アルバム『MAD RAVER'S DANCE FLOOR』を発表。06年には自身のパーティー「Back To Chill」を開始する。『MAD RAVER'S~』収録曲"Back To Chill"が本場ロンドンの DUBSTEP シーンで話題となり、07年にUKのレーベル、SKUD BEATから『Back To Chill EP』、MALAが主宰するDEEP MEDi MUSIKから"Cut End/Flags"をリリース。12年2月、DEEP MEDiから待望のニューアルバム『NEW EPOCH』を発表、斬新かつルーツに根差した音楽性に世界が驚愕し、精力的なツアーで各地を席巻している。
https://www.gothtrad.com/
https://www.facebook.com/gothtrad

Mamadou Doumbia
マリ共和国クリコロ生まれ。11才よりギターを始め、高校時代より既にレコーディングをするなど学生ミュージシャンとしてキャりアをつむ。緻密で鋭い切れのギターワークが持ち味。音楽大国マリのビックバンド、バマサマ、レイル、両バンドのメンバーとして早くから活躍する。1982年、マリの国営バンドレール・バンドのリード・ギタリストとして抜擢されると、同バンドのリード・シンガーサリフ・ケイタと意気投合。1984年にサリフ・ケイタがパリに拠点を移すと、その2年後の1986年に渡仏。サリフ・ケイタを始め、さまざまなミュージシャンのバックバンドを精力的に務める。1990年にサリフ・ケイタのバックバンドの一員として初来日。ワールドミュージックブームと日本の音楽情報の流通形態に感銘を受け、翌1991年から日本に拠点に移す。1993年にマンディンカを結成。翌1994年からアフリカの民族楽器コラを独学で習得し、それをバンドサウンドのひとつとして取り入れている。1997年1月にバンド名をMAMADOU DOUMBIA with MANDINKAと改め、セカンドアルバム「YAFA」をリリースし、イギリスBBCの年間ベストアルバムに選ばれる。コラを片手に講演活動するなど、多方面で精力的に活動している。


 安保法制をめぐって、国会前デモが盛り上がりを見せている。納得できないことがあれば声をあげるべきだし、デモなんてどんどんやればいい。それ自体は健全なことだ。反対派の議論に対する批判はありうるとしても(僕自身、今回の安保法案に対しては反対の立場である一方で、「戦争法案」というスローガンには批判的な気持ちがある)、デモをすること自体は批判されるべきではない。


Sylvia Striplin
Give Me Your Love

Pヴァイン

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田我流
STRAIGHT OUTTA 138 FEAT. ECD

MARY JOY / JET SET

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ECD
いるべき場所

メディア総合研究所

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 さて今回、SEALDsをはじめとして、若い世代が声をあげたことが注目されている。特徴としては、従来の政治運動と比べてノリがより音楽的になった、ということが挙げられる。ライムスター宇多丸は自身のラジオで、国会前デモのシュプレヒコールを「日本語ラップ以降」だとしていた。僕自身、実際にデモに行ったとき、言葉の乗せかたがオフビート気味で、その点に「日本語ラップ以降」感を覚えたのはたしかだ。具体的に言うと、裏から入る「民主主義ってなんだ!」と「安倍はやめろ!」というシュプレヒコールが、すごく「日本語ラップ以降」的だと思った。あるいは、僕が行ったときのデモでは、シルヴィア・ストリプリン“ギヴ・ミー・ユア・ラヴ”が流されていたが、この曲はヒップホップの定番ネタとして有名なディスコ・クラシックである。さらに言えば、いまではすっかり定着した感のある「言うこと聞かせる番だ、俺たちが」というかけ声は、ECDが、田我流による反原発ソング“Straght Outta 138”に客演したさい披露したパンチラインである。このように、国会前デモでは、ヒップホップのマナーが多く意識されていた。

 ところで、この「言うこと聞かせる番だ、俺たちが」というラインだが、ECDはそれ以前、「言うこと聞くよな奴らじゃないぞ」というリリックを書いている。というのも、2003年、渋谷でイラク戦争に反対する大規模なサウンド・デモがおこなわれたさい、ECDは「言うこと聞くよな奴らじゃないぞ」というデモ参加者の声を受けて、即日“言うこと聞くよな奴らじゃないぞ”と題された曲を発表した。朱里エイコの曲に合わせてラップした“言うこと聞くよな奴らじゃないぞ”は、のちに7インチとCD-Rのかたちで自主制作され、円盤などで売られることになる。リリックの出自、トラックもろ使いという形式、流通の形態。どれをとってもオルタナティヴな経済圏を体現する、素晴らしい名曲だ。そしてこの曲が、2000年代後半、高円寺界隈のサウンドデモのアンセムになっていき(この経緯については、ECDの音楽的自伝『いるべき場所』を参照のこと)、震災後の“Straight Outta 138”において、「言うこと聞かせる番だ、俺たちが」と言い換えられていく。現在国会前で叫ばれる「言うこと聞かせる番だ、俺たちが」は、このように10年以上のときを経てのものである。本人の口を離れて、人々に口ずさまれながら生き延びていく言葉。個人的には、ラップの言葉とは、そういうものだと思っている。だから、とくに年長者が、元ネタを知らないだろうままECDのパンチラインを叫んでいるのを見ると、僕なんかは、日本語ラップのファンとして感慨深くなったりする。このように、現在の国会前デモは、確実にここ10年くらいのデモの蓄積がある。現在の国会前デモは、確実に、渋谷のサウンドデモや高円寺のサウンドデモ以降のものとしてある。宇多丸が指摘する「日本語ラップ以降」のシュプレヒコールは、一方で、そのようなサウンドデモの水脈から派生したものである。

 とは言え、「言うこと聞くよな奴らじゃないぞ」から「言うこと聞かせる番だ、俺たちが」への推移には、大きな態度変更があるとも感じる。政治学者の栗原康は、2012年の官邸前デモについて、興味深い感想を書いている。栗原によれば、官邸前デモは行儀がよすぎるみたいだ。

 たぶん、こういうことなのだろう。官邸前デモは、毎週のようによびかけられている。主催者はひとを大量動員して、なんどもなんども首相や議会に圧力をかけたい。そのためにはデモ参加者はおとなくして、問題をおこさないようにしなくてはならない。つぎがなくなったらこまるからだ。とりわけ、原発という生死のかかった問題では、ぜったいにそうしてもらわなければこまるというのだろう。有効な方法だ。でも、そのために、ひとをモノみたいにあつかってもいいのだろうか。これでは、震災直後に政府がやっていたこととかわらないのではないだろうか。しかも、そうおもったとたん、またスピーカーから声がきこえてきた。「暴力行為はやめてください」。ちくしょう。ふと、ため息をついて空をみあげると、ポンポンとペットボトルが宙をまっているのがみえた。警官や主催者のほうにとんでいく。わたしは率直にこうおもった。ざまあみやがれ。(『現代暴力論』)

 たしかに似た印象はある。素人の乱が中心になっていた高円寺のデモは、もっと雑多でわけがわからなかった。その理論的支柱には、いくぶんか単純化されたかたちかもしれないが、「マルチチュード」(ネグリ&ハート)という概念があった印象がある。それに比べると、現在の国会前デモは方向性がたいへん明確である。両者の違いは、引用部の栗原の言葉を借りれば、「動員」への意志の有無ということになろう。高円寺のデモにおいては「動員」はありえなかったが、国会前デモにおいては、それなりの「動員」および政治への働きかけが目指される。つまり、高円寺デモのアンセムであった「言うこと聞くよな奴らじゃないぞ」が、各々が無方向的に勝手にふるまうことを目指すのに対して、国会前デモで叫ばれる「言うこと聞かせる番だ、俺たちが」は、ある方向性に対して自らが「動員」をかけることを目指すのだ。この「動員」性をどう考えるかについては、デモ参加者のなかでも立場が分かれるかもしれない。この変化は、まあ状況的には、当然と言えば当然なのだろう。栗原が言うように、勝手に踊っている場合ではなく、ある程度の意見集約をして政策に反映させなければいけない、「動員」して制度化しなければならない、ということなのだろう。たしかに震災後とは、そういう時代である。ちょうど水越真紀がSEALDsについての文章を書いているが、そこでのキーワードを借りれば、「連帯を恐れず」という気分が、国会前デモにはたしかに存在する。

 個人的に興味深いのは、この「動員」の性質が、音楽的にあらわれているのではないか、ということである。ECDはかつて、サウンドデモで使用される音楽について、「4つ打ちは制度的だから、フリージャズが良い」と言っていた。時期的には「言うこと聞くよな奴らじゃないぞ」の頃である。高円寺デモというのは、そういうECD的な意志が反映されてか、音楽ジャンルからしてすでに雑多であった。DJブースからかかっていた音楽は、覚えている限りでは、トライバル系のヒップホップ(フィラスティンやザ・バグ、M.I.Aなどがかかっていた)、RUMIやMSCなどメッセージ性の強い日本語ラップ、ときどきデトロイト系のハウスやテクノあたりだったか。そして、そのうえにサックスや打楽器などの鳴りものが入って、結果的にフリージャズのような響きを獲得していた。ハードコアのバンドも多くいた。総体として眺めると、とてもユニークであった。ここで重要なことは、リズムが単一でないことである。参加者は、思い思いのリズムに乗ったり乗らなかったりしながら、「マルチチュード」感を体現していた。あるときモーニング娘。“LOVEマシーン”が流れて、一気にシラけていたことも強烈に思い出すが、いずれにせよ、ただ盛り上がればいいわけではなかったと思う。雑多であることを維持し、「動員」的にならないことが、たぶんあの場では重要だったのだ。複雑なリズムの音楽たちは、そのなかで要請されていたはずである。したがって、これは想像するしかないが、もし高円寺の路上デモでシルヴィア・ストリプリンが流れていたら、そのリズムのシンプルさに、やはり少しシラけたのではないかと思う。あの場はやはり、ティンバランド以降のサウンドでないとしんどかったのではないか。


V.A.(東海林太郎、上原敏、近江俊郎、藤山一郎、市丸etc)
みんな輪になれ ~軍国音頭の世界~

ぐらもくらぶ

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 そもそも、音楽と「動員」というのは、切っても切れない関係である。僕自身もジャケットとライナーノーツを書いたCDに、『みんな輪になれ! ~軍国音頭の世界』(監修:辻田真佐憲、ぐらもくらぶ)というのがあるが、「みんな」で拍子を合わせて、同じ振り付けを踊る音頭という形式は、非常に「動員」性の強い音楽であり、それは軍歌にも利用された。軍国音頭ほど露骨にイデオロギッシュではないが、70年代後半の日本のディスコも「動員」性が強い。その証拠に、音頭歌謡とディスコ歌謡のジャケット裏面には、同じような踊り方指南が付されている。オンビートの退屈な振り付けである。このように、日本のダンス音楽は多くの場合、「みんなで踊る」という「動員」のものとしてあるのだ。この性格は、現在のオタ芸やヴィジュアル系における振り付け、あるいは“恋するフォーチュン・クッキー”にいたるまで続いている。高円寺デモにおいては、おそらく、この音楽の「動員」の性格を極力退けようとしていた。いや、音楽を流して高揚感を得るところまでは同じなのだが、その高揚感が安易な一体感になることには警戒していたように思う。興味深いことに、栗原が参照する大杉栄は、「音頭取りの音頭につれて、みんなが踊って」いることを批判して、「みんなが勝手に踊るけいこをしなくちゃならない」と主張している(大杉栄「新秩序の創造」)。だとすれば、栗原の不満は、デモから「みんなが勝手に踊る」という性格が抜け落ちてしまったことによるのだろう。実感としては、理解できる。

 冒頭で書いたとおり、現在の国会前デモは「日本語ラップ以降」とされる。ポピュラー音楽史的に言うと、ヒップホップはディスコのアンチとして出現している。日本でもそれは同じで、決まった振り付けとお約束の選曲にしばられた、ディスコ的なハコDJのアンチとして、気ままに踊らせるクラブDJが登場した。したがって、現在の国会前デモは、高円寺デモほど無方向ではないにせよ、振り付け的「動員」に対してはノーを突きつけていると言える。音楽性の部分で。おそらく国家前デモにおいては、この、振り付け的「動員」と高円寺的無方向との、ちょうどあいだを取るようなバランス感覚が重要だろう。たしかに4つ打ちは制度的だが、ラップはその制度のうえで個性ゆたかなフロウを獲得し続けている。「動員」の性格はあるが、音頭や往年のディスコほど一挙手一投足を統制しようとしていない。シルヴィア・ストリプリンの曲に乗せて、「日本語ラップ」以降的なシュプレヒコールを上げる、というバランス感覚は、その意味でクレバーであり現代的である。政治への働きかけを目指して、それなりに一丸とならなくてはいけない国会前デモにおいては、ひたすら過激で破壊的な音楽が周到に避けられている。多くの人たちを巻き込みつつ、だが安易な「動員」も避けつつ、ぎりぎりシュプレヒコールとして成立するくらいのサウンドと言葉。これこそが、国会前デモでは求められていたものだ。「日本語ラップ以降」とは、そういうバランスである。ちなみに言えば、デモの中心こそシュプレヒコールがあがるが、周縁ではちんどんやパーカッションなど雑多なサウンドが鳴っていたりもする。良くも悪くも、一枚岩ではないことは強調しておきたい。

 ディスコからヒップホップへ。振り付けからダンスへ。音頭からラップへ。現在の国会前デモを音楽的な面から見ると、誰もが参加できる制度を敷きつつ個性を尊重する、という思想が横たわっているように感じる。そこでは、制度と個性を共存させようとする態度が大事だ。というか、制度こそが個性を担保する、という立場かもしれない。なるほど、SEALDsの面々が、かつて新左翼から攻撃された丸山真男を選書リストに入れている理由がわかる。僕自身は、「高円寺一揆」と名指された合法デモで目撃した、あの知性と創造性が、いまだに忘れられないところがある。しかし、現在の状況を考えたとき、安保法案をめぐる国会前デモが、いかに頭と身体を使ったものであるか、とも思う。なにより、政治的な歌詞を歌っていれば政治的なのだ、というレヴェルをはるかに超えて、音楽のありかたそのものが、結果的に政治性を体現しているという状況に、いま・ここを生きる音楽ファンとしては、刺激を受ける。音楽が鳴る場所は、イヤフォンやコンサート会場だけではない。いたるところだ。

 ここまで書いて思い出したが、高円寺デモでは、じゃがたら“でも・デモ・DEMO”もアンセムになっていた。反復するドラムとベースに鋭角的なギター、無方向に飛び散るサックス。この曲は、サウンド的には、ファンクとパンクとフリージャズのハイブリッドだ。僕はDJで、“でも・デモ・DEMO”からハウスにつなぐことが多い。4つ打ち対応可能で、かつ雑多なサウンドが入り乱れる“でも・デモ・DEMO”はあらためて、社会を問い直すさいのサウンドトラックとしてすぐれていると思える。歌詞でなくサウンド的に。デモは、社会に対する、逆接であり、示威であり、試作なのだ。

Shit and Shine - ele-king

 “ポスト・エヴリシング”を体現するクレイグ・クローズによる輝やかしいクソ・バンドの数えるのもバカらしいクソのような膨大な音源の最新作は〈メゴ〉から。てか、このバンドこそ『別冊ele-king ポストロック・バトルフィールド』で書くべきであった。

 じつは自分の以前のバンドで2011年の〈SXSW〉で対バンしていて、そのときは狭いスペースをドラム・キットで埋め尽くしてギャーギャーやっていた。そのときの様子はこちら。

 グノド(GNOD)と並び、ネオ・クラウトとでも形容できようこのスタイル。バカバカしくも形骸化したロックンロールはバットホール・サーファーズの正統継承者である。実際僕が観たこのライヴに限らずバットホールのパーカッショニストであるキング・コーヒーはしばしばこのバンドに参加しているようだ。バットホールのロカスト・アボーション・テクニシャンを進化させたサウンドがシット&シャインであると言っても過言ではない。クレイグいわく、シット&シャインのライヴとは「オレンジアンプの壁で覆われたノイズ・オペラ、顔面青塗りウサギとドラマーで埋め尽くされるステージさ。その内の半分のメンバーは自分らが何を演奏するのかわかっていないし、二度といっしょにやりたくないと思っているのさ!」なるほど。

 さて、このように$&$の実態と音源はかなり異なる。この音源や近年クレイグがものすごいペースでリリースする胡散臭いディスコ12インチやアゲないテクノ・アルバムは完全なジョークであれど、ヒップなDJの多くがレコード・バッグにしのばせてフロアを沸かせているのだ。『エヴリバディーズ・ア・ファッキン・エキスパート』では、これまでのサンプリング主体の音作りは鳴りを潜め、全編通してプリミティヴなシンセサウンドが目立つ。単に新たな機材を購入しただけなのかもしれないが、これまで以上にミニマルな“ポスト何でも”サウンドを堪能できるであろう。ワンコ・ジャケもナイス。



AHAU - ele-king

今年作業中に聴いていた音楽の中から選んでみました

Steve Jansen - ele-king

 ジャパンは、80年代初頭、YMOと交流のあったイギリスのバンドだった。坂本龍一は、その後デヴィッド・シルヴィアンとの素晴らしい共作を残すように、このふたつのバンドはレコーディングやツアーを共にしている。
 元ジャパンのスティーヴ・ジャンセンによる写真集『Through A Quiet Window』は、まさにその時代の彼らをとらえたもの。1981年〜83年あたりのジャパン、そしてYMOの姿が、ポラロイドや白黒写真によって切り取られている。プロデュースは髙橋幸宏。本書の解説も担当している。
 そして「静謐な眼差し」という、その解説の題名は、写真集の魅力を簡潔に説明している。ここにあるのは、派手で、賑やかなコンサートの合間の、あたかも世界中の音が止まったかのような瞬間。80年代初頭の見落としがちな美しい沈黙が見える。YMOファンにとっても見逃せない1冊だ。

 
スティーヴ・ジャンセン
Through A Quiet Window

アルテスパブリッシング
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