ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Columns The TIMERS『35周年祝賀記念品』に寄せて
  2. まだ名前のない、日本のポスト・クラウド・ラップの現在地 -
  3. Saint Etienne - The Night | セイント・エティエンヌ
  4. ele-king presents HIP HOP 2024-25
  5. Félicia Atkinson - Space As An Instrument | フェリシア・アトキンソン
  6. COMPUMA ——2025年の新たな一歩となる、浅春の夜の音楽体験
  7. Columns ♯9:いろんなメディアのいろんな年間ベストから見えるもの
  8. Whatever The Weather ──ロレイン・ジェイムズのアンビエント・プロジェクト、ワットエヴァー・ザ・ウェザーの2枚目が登場
  9. Terry Riley - In C & A Rainbow In Curved Air | テリー・ライリー
  10. interview with Sonoko Inoue ブルーグラスであれば何でも好き  | 井上園子、デビュー・アルバムを語る
  11. Saint Etienne - I've Been Trying To Tell You  | セイント・エティエンヌ
  12. interview with Shuya Okino & Joe Armon-Jones ジャズはいまも私たちを魅了する──沖野修也とジョー・アーモン・ジョーンズ、大いに語り合う
  13. Masaya Nakahara ——中原昌也の新刊『偉大な作家生活には病院生活が必要だ』
  14. VINYLVERSEって何?〜アプリの楽しみ⽅をご紹介①〜
  15. 忌野清志郎 - Memphis
  16. ele-king vol.34 特集:テリー・ライリーの“In C”、そしてミニマリズムの冒険
  17. Columns Stereolab ステレオラブはなぜ偉大だったのか
  18. Columns Talking about Mark Fisher’s K-Punk いまマーク・フィッシャーを読むことの重要性 | ──日本語版『K-PUNK』完結記念座談会
  19. FRUE presents Fred Frith Live 2025 ——巨匠フレッド・フリス、8年ぶりの来日
  20. The Cure - Songs of a Lost World | ザ・キュアー

Home >  Reviews >  Album Reviews > Shit and Shine- Everybody’s A Fuckin'

Shit and Shine

ElectronicJunkKrautrock

Shit and Shine

Everybody’s A Fuckin'

Expert (Editions Mego)

Tower HMV Amazon

倉本諒   Sep 29,2015 UP

 “ポスト・エヴリシング”を体現するクレイグ・クローズによる輝やかしいクソ・バンドの数えるのもバカらしいクソのような膨大な音源の最新作は〈メゴ〉から。てか、このバンドこそ『別冊ele-king ポストロック・バトルフィールド』で書くべきであった。

 じつは自分の以前のバンドで2011年の〈SXSW〉で対バンしていて、そのときは狭いスペースをドラム・キットで埋め尽くしてギャーギャーやっていた。そのときの様子はこちら。

 グノド(GNOD)と並び、ネオ・クラウトとでも形容できようこのスタイル。バカバカしくも形骸化したロックンロールはバットホール・サーファーズの正統継承者である。実際僕が観たこのライヴに限らずバットホールのパーカッショニストであるキング・コーヒーはしばしばこのバンドに参加しているようだ。バットホールのロカスト・アボーション・テクニシャンを進化させたサウンドがシット&シャインであると言っても過言ではない。クレイグいわく、シット&シャインのライヴとは「オレンジアンプの壁で覆われたノイズ・オペラ、顔面青塗りウサギとドラマーで埋め尽くされるステージさ。その内の半分のメンバーは自分らが何を演奏するのかわかっていないし、二度といっしょにやりたくないと思っているのさ!」なるほど。

 さて、このように$&$の実態と音源はかなり異なる。この音源や近年クレイグがものすごいペースでリリースする胡散臭いディスコ12インチやアゲないテクノ・アルバムは完全なジョークであれど、ヒップなDJの多くがレコード・バッグにしのばせてフロアを沸かせているのだ。『エヴリバディーズ・ア・ファッキン・エキスパート』では、これまでのサンプリング主体の音作りは鳴りを潜め、全編通してプリミティヴなシンセサウンドが目立つ。単に新たな機材を購入しただけなのかもしれないが、これまで以上にミニマルな“ポスト何でも”サウンドを堪能できるであろう。ワンコ・ジャケもナイス。



倉本諒