「ANS」と一致するもの

Chart Meditations 2013.03 - ele-king

Shop Chart


1

Ferial Confine - The Full Use Of Nothing Siren Records
英ドローン作家Andrew Chalkによる初期のノイズ名義、Ferial Confineの伝説的な85年録音ものが遂にCD再発。金属の軋みノイズの種を水分多めで育てあげ、野に放ち、野生化させたような、生々しく儚い感触があります。

2

Cankun - Culture Of Pink Hands In The Dark
Not Not Funでお馴染みのシンセシスト、Cankunの新LP。Co LaやHeatsick、Peaking Lightsらに通じる抜け感のポップさ、継ぎ接ぎのビートからは南国の風が吹き抜けて何処までも心地良くダンスします。

3

Robert Lawrence / Mark Phillips - The Dadacomputer: The Birth Of 5XOD Iceage Productions
81年の知られざるインダストリアル/電子音楽な怪作がCD再発。目玉はMinimal WaveのVAに収録されていたComputer Bankでしょう。早過ぎたアシッドハウス+インダストリアルとも言うべきバキバキの劣悪電子音が駆け巡ります。

4

MV & EE - Fuzzweed Three Lobed Recordings
ベテランのサイケ夫婦MV & EEの最新作。雄大なドローンのサイケデリア、優しく響くコーラスの調和、B面の組曲では爆発的な熱量のインプロ放出ありと、膨大な作品数と比例した宇宙ドローンの無限の広がりは目を見張るものがあります。

5

Gnod - Presents.. Dwellings & Druss Trensmat
サイケバンドGnodが突如として、ポストパンクやインダストリアル/ミニマル・テクノの黒い影響を感じさせる極圧振動ビートを発表。破壊力抜群で、再生した途端に目や耳には感じ取れない分厚く黒い雰囲気がモクモクと沸き上がります。再入荷予定あり。

6

Birds Of Passage / Je Suis Le Petit Chevalier / Motion Sickness Of Time Travel / Aloonaluna - Taxidermy Of Unicorns Watery Starve Press
現行地下シンセ界の強力女性作家4名によるスプリット2カセット。葉っぱや毛糸が挟み込まれたパッケージ+大判ジンという丁寧な作りで、フィジカルでこその感動があります。

7

CHXFX - The Unhaptic Synthesizer Further Records
Maurizio Bianchi、Kplr、Hieroglyphic Being、Conrad Schnitzler系の狂ったの出てきました。緩やかに起動した電子機器が徐々に勢力を増し、脱線&分離&集合を繰り返す強力な電子音の嵐。

8

Transmuteo - Transmuteo Aguirre
全新人類に...現行ニューエイジの雄、Transmuteoによる初LP。ナレーションに載せて満ちるデジタルの波、夕陽が浮かぶ楽園風景、神経内の機械都市が活発化するアシッド、ヴェイパー的スクリューなどなど、3Dヴァーチャルな世界観の更なる拡張がなされています。

9

Alex Cima - Cosmic Connection Private Records
シンセ狂レーベルPrivate Recordsより、79年のコズミック過ぎるディスコ/ジャズのカルト名盤が遂に再発。黄ばんだネオン管から広がる華やかな町並みや、快適な宇宙生活を夢見る幻想が、シンセの音色からモクモクと立ちこめて虜にさせてくれます。

10

S.M. Nurse - 30th Anniversary: 1980?-?1983 Domestica
80年代初期のオランダ地下のミニマルシンセユニットが発掘。プロト・テクノ/アシッドな熱量、秀逸なサンプリング、歪な電子音と男女ボーカルのダンスからなる圧倒的なグルーヴと、文句無しに唸らせられる必殺曲ばかりです。

shinjuku LOFT presents SHIN-JUKE vol.2 - ele-king

 控えめに言っても野菜マシマシ。このイヴェントのヴォリュームは、近隣のラーメン二郎(歌舞伎町店)を遥かに超えた大きさだった。
 まず、会場は日本のジュークシーンを成さんとするひとたちの集大成。日本でジュークを着実に広めている〈ブーティー・チューン〉のひとたちはもちろんのこと、昨年の『ゲットー・ギャラクシー』が最高に笑かしてくれたペイズリー・パークス/『アブソルート・シットライフ』が発売したばかりの主役であるクレイジーケニー(CRZKNY)/ジュークスタイルの自作曲から選り抜きしたコンピレーション『AtoZ!!!!!AlphabetBusterS!!!!!』がリリースされたばかりでなぜか入手困難になっているサタニックポルノカルトショップ(Satanicpornocultshop)らミュージシャンをはじめ、ジュークのイヴェントでは必ず見かける若いフットワーカー(ダンサー)たちも踊っていた。
 それだけではない。このイヴェントの特徴は、ジューク勢だけでなくスタイルの異なる出演陣が混合している点にある。ザ・モーニングス/掟ポルシェ/どついたるねんといったライヴハウスでは名の知れたバンドをはじめ、炭酸を抜ききったコーラで踊り狂ってみる感じのディスコ・バンド=ハヴ・ア・ナイス・デイ!/ハイパーヨーヨ(hy4_4yh)という女性アイドル・ユニットまで混ぜこぜになって出演していた。

 開場から3時間も遅刻して僕が到着したすると、ホール・ステージでは〈Shinkaron〉のDJフルーティーがジュークの爆低音を唸らせている。そのままバー・ステージを覗いてみる。3人の女性が無味乾燥のギターロックに合わせて元気に歌って踊っている(註1)。おお.....訳が分からない。その2つの風景がクロスオーヴァ―もなにもなく分断していたのは明らかだったが、そこから先の心配は杞憂であった。

 程なくしてホール・ステージには、日本においてゴルジェ(#gorge)を先駆けたハナリがライヴを開始した。以前、六本木ではゴルジェ勢とジューク勢が訳もなく抗争を繰り広げていたことは本誌でも伝えたが、おなじくゴルジェの作家であり〈アナシー〉の主宰=ウッチェリーも今回駆けつけていたものの、今回ゴルジェの出演者はハナリのみ。
 ゴルジェを自称するルールのひとつとしてタムを用いるという条件があり、それがゴルジェというタグ概念をサウンドの面で特徴づけている。ハナリのサウンドも然り、体育館で大量のバスケットボールを一斉にドリブルしたかのようなタムの乱れ打ちは山岳や岸壁の険しさを表現しているといわれるが、そのゴツさと険しさはインダストリアルなノイズの延長線上で生まれた音にも聞こえる。
 ハナリが両手でMPCを叩き打ち、シンバルやSEが騒がしく響き渡る。一切の照明を消した暗闇の奥、何台ものデカいウーファー・スピーカーの向こう側でヘッドスコープを着用しているハナリは、洞窟のなかを進むように、ポスト・ダブステップ的なビートやジュークのテイストをそれとなく織り交ぜながら、ひたすらMPCでノイズを出し続けていた。そのコミカルさに、オーディエンスも呆れ半分、こういうものかと見守り始める雰囲気があった。
 思うに、デス・グリップスやレッド・ツェッペリンのドラムソロにまでゴルジェと言ってしまうくらい貪欲なタグなのだから、ジュークとしてタグ付けされプレイされる音楽のパターンがより多様性を得て、そのライヴやDJぼんやり見ている層まで惹きつけるようになったとき、ゴルジェはより予期しない方向に発展する.....かもしれない。ゴルジューク(Gorjuke)などいう試みは、踊れるという意味でも、そのよい例であるのではないだろうか。僕からすれば、ジャム・シティなんかとも遠からず共振する無機質な合成感がゴルジェにはあるのではと思う。

 DJヤーマンのドラムンベース/レゲエのあとには、どついたるねんがいつも通りといった感じの悪ノリでフロアの湿度を上げていた。途中、唐突にジュークタイムを2分ほど挟んでフロアを駆けずり暴れていたのはとても分かりやすく、つまりはジュークのサウンド/リズムエディットに悪ノリっぽさを見出し、幼稚な意匠として利用したということだ。と同時に、音楽的な味わいどころをまったく放棄して「俺の友達面白いっしょ!」と押しつけがましく暴れてるどついたるねんのステージのなか、ジュークが音楽としていかにフレッシュで刺激的であるかが浮き彫りになった瞬間にも見えた。

 DJクロキ・コウイチがニーナ・シモンの名曲"シンナーマン"のジューク・エディットなどでホール・フロアをクールに煽り、機材準備の完了したペイズリー・パークスにそのままの勢いでなだれ込んだ。
 MPCやルーパーでザクザクとジュークを料理していくライヴ・エディットを披露した。レコーディング音源にも共通していえることだが、ペイズリー・パークスのエディットは、高速のBPMでダンス・ミュージックとしてフィジカル(脚)を直接ダンスへ鼓舞するというよりも、ダークかつ扇動的なサウンドと、脳味噌を右左に揺さぶり方向感覚を失わせる不安定なエディットで、訳のわからないトランス感のなか脚をガタガタさせるような作用があり、いわば脊髄反射ではないという意味においてはヘッド・ミュージック的に楽しませるところがある。リスナーの脳をぶっ壊さんばかりのエディットは、トランス感とダンスへの昂揚を同時にオーディエンスに湧き立たせる。フロアの多くのひとが熱狂していたというのに、わずか10数分あまりで終わってしまったことが本当に惜しいが、そう欲しがりにさせるほど、ペイズリーのトラックは中毒性が高い。アルバムを制作中だというが、ガッチリ完成させて、一刻も早くリリースしてほしい。

 その後のサタポ、ステージ上に現れたのは5人。全員が仮面を終始被っており、名の通り、ややカルティックな気味の悪さを演出している。ジョークめいたラップと歌を披露する2人と、トラックマスター1人、ほかにステージ上をゆっくり動きまわりながら、突如ほかのメンバーをプロレスよろしく張り倒しはじめる2人(どうやらDJフルトノとクレイジーケニーだったらしい)。
 急に仰々しいバラードを熱唱し始めたり、ひよこのオモチャを弾きまくったり、練習中っぽいフットワークを披露したり、アンダーワールドの"ボーン・スリッピー"を堂々とジュークエディットしていたり、ちゃらんぽらんの英語で歌ったり、歌の途中、うろつくメンバーにいきなり張り倒されたり、チーズのお菓子を気まぐれに投げ始めたり、尻に貼っていた湿布を渡されたり(受け取ってしまったが、心の底から要らなかった).....およそ1時間、大阪弁のMCも含めとにかく笑わせてくれたし、音楽もしっかり聴かせる、素晴らしいショーケースだった。
 これはペイズリー・パークスにもすこし言えることだが、サタポがポップな諧謔性をジュークに見出しているのがよくわかった。まだまだフレッシュなジュークの音楽にのっかって、これからも多くの人にライヴで発見されていってほしい。あなたの街にサタポが来たら、とにかく腹筋のトレーニングだと思って観てほしい。

 オーディエンスも長丁場と連続する低音にかなり疲れていた様子のなか、ペイスリー・パークスのケントに煽られながらクレイジーケニーは登壇した、が、いきなり機材トラブルで音が出ない。酔っ払いながらここぞとばかりに本気出せよと捲くしたてるケント。広島弁のヤクザな態度で怒鳴り返すケニーは、愛嬌はありながらも、もしかしてマジでその筋から出てきた人なのではと思ってしまうほど恐かった。
 新譜のなかの"ナスティー・ティーチャー"に顕著だが、徹底的にロー(ベース)に腰を据えたサウンドは、この日の聴いた中で最もシブく逞しいものだった。一番むさかったとも言える。
 ローの熱く張り詰めた空気と中和するように、本人がイジラれキレる様子はとてもコミカル。サンプリングもユニークで、『キューピー3分クッキング』のテーマ曲がリズミカルに乗っかっていたり("3minute 2K13")、ヤクザ映画の言葉を織り交ぜたり("Midnight")、なかでも昨年の夏にツイッター上の何気ない提案から制作された"JUNJUKE"は最高に笑かしてくれた。稲川淳二の声がリズミカルにリピートされ、何重にも折り重なっていくさまは痛快だった。「ユウユウオワオワオワオワオワ」「ガタガタガタガタガタガタ」「ハアッハアッハアッハアッハアッハアッハアッハアッ」「ヒー! バババババババ」といった擬音がパーカッシヴに生かされ、ジュークのリズムをMADの枠組みとしてうまく活用している。
 サタポとおなじく、クレイジーケニーのセットにも笑いの解放感があった。

 クレイジーケニーが深々と頭を下げてイヴェントは終了した。
 特別にいくつもレンタルした低音スピーカー=ウーファーの片づけを会場に残っていたみんなで済ませ、競技を終えた体育祭のあとのような、わるくない疲労感に浸った。

 僕はこの日、気の向くままに踊り、と同時に大いに笑かされたことで、スカッとしたし、生きていてよかったなあとさえ思った。ダンスミュージックであるジュークを、笑いを生むリズムとして解釈して遊びきってしまう出演者たちの姿は、観ていて清々しいものがあった。ウーファーはいささかブーミー気味でもあったし、音響がベストだったとは思わないが、フットワーカーがよじ登り、そのスピーカーでさえステージとして活用していたのもカッコよかった。とにかく遊びきっていた。イヴェントのむさくるしさ(男臭さ)を笑う声もあったが、女性も少なくはなかったと思うし、フットワークを披露した女性もいるので、とくに気にすることもないだろう。
 それに第一、今回のイヴェントのもっとも有意義な点は、〈新宿ロフト〉というライヴハウスで、ふだんクラブに来ない人たちまでもがジューク&フットワークを目撃し体感したことだろう。どついたるねんのメンバーも、ハヴ・ア・ナイス・デイ!のメンバーも、ペイズリー・パークスやサタポのライヴ中、ジュークに感銘を受けたように踊っていたし、それこそがこのイヴェントのもっとも象徴的な画だったかもしれない。打ち込みの音楽とはいえ、バンドマンもといライヴハウスの人間を圧倒させる力がジュークには確かにある。笑って遊びきる感覚を武器に、ジュークにはこれからもどんどん広まっていってほしい。この思いきったイヴェントを主催した〈新宿ロフト〉の副店長=望月氏には拍手と感謝を送りたい。当日も現場で送ったが、まだ足りないくらいだ。

 最後に大事なことをひとつ。この日はフロアでも頻繁にフットワークのサークルができ、先に述べたように、スピーカーまでもがダンスのステージとして活用され、転換中、スクリーンにはフットワークのレッスン動画が流されるほど、フットワークへの注目が高まりつつある。
 ただし、この日フットワークを披露してい(るとこを僕は初めて観)たDJクロキ・コウイチ氏も言うように、ジュークのDJのなかでフットワークを踊るひとは少ないし、こうしてイヴェントに集まるフットワーカーもまだ多いとはいえない。筆者は、トラックスマン来日エレグラゴルジェとジュークの全面抗争につづいて、イヴェントでジュークを聴いたのは4回目。若いフットワーカーもイヴェントのたび増えている印象があるが、それでもまだ少ないダンサーが切羽詰まったローテーションで踊り、サークルの流れが途絶えてしまうのも事実。
 もちろん会場のみんなが踊れるべきだとまでは思わないけども、このジュークという音楽をすこしでも多くのひとがダンス・ミュージックとしてもエンジョイできたら、どんなに楽しいパーティになるだろうか。ダンスできる/できないの壁をどれだけ払拭していけるかが、ジュークのこれからを考えたとき、ひとつ大きなポイントであるのではないかと思う。
 
 ということで、レッスン会のようなものがないうちは、夏頃に開催されるだろう〈SHIN-JUKE vol.3〉に向けて、以下のレッスン動画でチャレンジしてみましょう。犬の声はサンプリング?
 ほかにいい動画や練習の集まりがあるぞーというひとはぜひ僕宛てに教えてください。

 

 
(註1)あのとき鳴っていたのはファンコット(FUNKOT)だったというご指摘をたくさんいただきました。筆者のまったく記憶違いでしたらまことに申し訳ありません。(斎藤辰也 3/12 13:12)

〈SPF420〉第3回目が開催 - ele-king



 以前、ヴェイパーウェイヴ界隈のフェスティヴァル〈#SPF420 FEST〉の模様を本誌でお伝えしたが、きたる3月20日にその第3回目が開催される。苗場にも幕張にも長野にも行けずとも、お手元の機器がインターネットに接続されてさえいればこのフェスには参加できるので、ご安心を。会場はこちらです。

video chat provided by Tinychat

HTTP://WWW.TINYCHAT.COM/SPF420

 とはいえ、開催時刻には気をつけてほしい。米国東部時で3月20日22:00だが、日本標準時で考えると3月21日(木曜日)12:00である。平日ではあるものの、時間がある方はぜひこの戯れに混ざってみてはいかがだろうか。
 前回の様子は、チャットも込みで、以下の動画を参照していただきたい。

Transmuteo Live @ SPF420FEST2.0 from Transmuteo on Vimeo.

 今回の出演者で注目したいのは、情報デスクVIRTUALでもなくプリズムコープ(PrismCorp)でもなく、元来の名義での登場となるヴェクトロイド。もともとトロ・イ・モアをリミックスしていたように、ヴェクトロイドはそもそもチルウェイヴの潮流のなかで名を拡げていたアーティストだ。おそらく、今回はミューザックの垂れ流しではないだろう。どのようなライヴを披露するのか楽しみである。
 ほかにも、日本のツイッタラーからも愛されている、ジューク/スクリューが得意なDJペイパル。ヴェクトロイドともギャラリーで共演しているマジック・フェイズ。そして、サウンドクラウドにも音源のない、謎のツイッタラー=コーダック・キャメオがなにをするのか気になるところである。
 なお、フライヤーデザインはホワイトバックグラウンドによるもの。

 主宰のひとり、ストレスからプレスキットが届いたので、その言葉をもとに再構成したフェスティヴァルの詳細を以下にご紹介しよう。
 ストレスがこのフェスティヴァルを積極的にプロモーションしたがっているのは明らかで、自分たちの正体を隠したがるヴェイパーウェイヴ連中が、注目を集めた後にどのように振る舞っていくのかがこのイヴェントの一番の見どころともいえる。

 やあ、〈SPF420〉に興味をもってくれてありがとう。

 〈SPF420〉はタイニーチャット(HTTP://WWW.TINYCHAT.COM/SPF420)で開催されるオーディオ/ヴィジュアルのライヴ体験です。 この私=ストレスが、チャズ・アレン(またの名をメタリック・ゴースツ)とともに、きたる3月20日の〈SPF420〉を主宰しています。

 ショーのラインナップは以下のとおりです。

DJペイパル (DJ Paypal)(https://soundcloud.com/dj-paypal
コンタクト・レンズ (Contact Lens)(https://soundcloud.com/contactlens
ヴェクトロイド (Vektroid)(https://soundcloud.com/vektroid
マジック・フェイズ (Magic Fades)(https://soundcloud.com/magicfades
ブラックドアウト (Blackedout)(https://soundcloud.com/blvckedout
コーダック・キャメオ (Kodak Cameo)(https://twitter.com/fumfar

シュガー・C(Sugar C)(https://soundcloud.com/metallicghosts)我らがハウスDJ
トランスミューティオ(Transmuteo)(https://soundcloud.com/transmuteo)アフターパーティー主宰

 フェイスブックのイヴェント・ページもあります。
https://www.facebook.com/events/136903026484461

 前回の〈SPF420〉は2013年1月3日に行われました。ラインナップは、ヴェラコム/トランスミューティオ/プリズム・コープ/ラグジュリー・エリート/クールメモリーズ/インフィニティ?・フリーケンシーズ/メタリック・ゴースツ。
 そのときのいくつかのアーティストの音声は、以下にあります。
https://soundcloud.com/spf420

 以下は、1月3日(第2回目)についての記事です。

"Vaporwave and the observer effect", written by Leor Galil for The Chicago Reader:
https://www.chicagoreader.com/chicago/vaporwave-spf420-chaz-allen-metallic-ghosts-prismcorp-veracom/Content?oid=8831558

"『#SPF420FEST 2.0』から見るヴェイパーウェイヴ @ tinychat.com" written by ele-king.net (グーグル翻訳をおすすめします):
https://www.ele-king.net/review/live/002758/

"#SPF420FEST2.0" written by Jheri Evans for Decoder Magazne:
https://www.secretdecoder.net/2013/01/spf420fest20.html

 観客動員は、135人ものリスナーたちを記録しました。私たちはセルフ・プロモーション以外なにもしていませんが、このイヴェントを拡げていきたいと思っています。私たちの世界を、喜んで併合していきます。

音楽、ドラッグ、会話
XOXO,
SPF420: Roll The Dice ™

HTTP://WWW.TINYCHAT.COM/SPF420


 ストレスのプレスキットでは本誌の記事も紹介されているが、(ヴェイパーウェイヴ連中は散々つかっているというのに)どうやら日本語を読めないらしい。
 
 大麻を意味するスラング「420」に合わせて3月20日開催なのだと思われるが、では4月20日(マリファナ・デイ)にはなにかあるのだろうか?
 どうやら、やはり、ヴェクトロイドは期待を裏切らないらしい。〈ビアー・オン・ザ・ラグ〉から新作のリリースにも期待しよう。

OCTAVE ONEをはじめ8組。 - ele-king

「日本一早い」都市型フェス、StarFes.(スターフェス)の告知動画はご覧になっただろうか? 開催まで2週間を待つばかりとなった本日、第5弾となる出演アーティストが発表となった。ズラリと並んだ面々の名を眺めるにつけ、入場料3,500円というのは破格である。さてさて......?

話題沸騰中の日本一早い夏フェス『StarFes.』
開催まであと2週間!全出演者のラインナップが決定!!

2013年3月23日(土)東扇島東公園特設会場(神奈川県川崎市)で開催する『StarFes.2013』。豪華なラインナップで話題沸騰中の本フェス。これまでに

第1弾出演アーティスト(mouse on the keys、HIFANA、AFRA、rega、Daichi)、
第2弾アーティスト(FRIENDLY FIRES-DJ SET-、JAZZANOVA feat. PAUL RANDOLPH、DJ KENTARO、DE DE MOUSE)、
第3弾アーティスト(THE ORB、電気グルーヴ、Theo Parrish、80KIDZ、[Champagne])、
第4弾アーティスト(スチャダラパー、BACK DROP BOMB、SUGIZO)と、

総勢17組の超強力なラインナップが発表された。ファイナル・アナウンスとなる第5弾出演アーティストは、フェスの盛り上がりに不可欠なダンスアクトが盛りだくさんだ。

まず1組目は、サンフランシスコを拠点に活動するDJ兼プロデューサー、Mark Farina。野外フェスのヘッドライナーを数多く務め、都内の大箱クラブをファンで満杯にする人気アーティスト。『StarFes.2013』ではさらに進化した斬新でディープなハウスを聴かせてくれるだろう。

2組目は、デトロイト・テクノ第二世代の一角、OCTAVE ONE。自身名義「I Believe」を発表後、デリック・メイ主宰のレーベル=Transmatからリミックス盤がリリースされ、世界的ヒットを記録したバーデン兄弟が、本フェスでデトロイト・テクノの神髄を披露してくれる。

3組目は、ニューヨークを拠点に活動するプロデューサー/リミキサー/DJであるSTEPHANE K。ラップトップを用いてグルーヴに満ちたトラックを縦横無尽に繰り出すそのDJセットは、ハウスといったジャンルだけに括ることのできないものだ。オリジナリティ溢れるプレイを是非とも期待したい。

4組目は、ご存知、TOKYO No.1 SOUL SETのDJでありサウンド・プロダクションを担当する川辺ヒロシ。クラブDJとして長いキャリアを誇り、ハウスやテクノのフィールドでオリジナル・センスを駆使したミックスを展開し、多くのファンに支持される巨匠だ。その熟練されたスキルに一層の磨きがかかっていることだろう。

5組目は、世界を舞台に活躍を続ける日本人クリエイター兼DJのKaito aka Hiroshi Watanabe。ドイツの名門レーベル=KOMPAKTに所属する日本人アーティストであり、様々な名義で活動し、世界中からプロップスを得る人気アーティストだ。数々のビッグ・イベントに出演した経験を本フェスで披露してくれるに違いない。

6組目は、いわずと知られたストリートの申し子、DEXPISTOLS。エレクトロ・ダンス・ミュージックを軸に、ヒップホップ、ロック、ハウスを織り交ぜたその音楽感覚で、本フェスの熱気を最高値まで上げてくれることだろう。

7組目は、都内の主要クラブや、HACIENDA OISA FESTIVAL、Rainbow Disco Clubといった話題のフェスティバルなどに出演しているNaoki Serizawa。ダンサブルなニュー・ディスコやディープ・ハウス、ヒップホップなどの要素を取り入れたプレイは必見だ。

8組目は、代官山AIRの看板イベントであるEDENのレジデントDJのひとりとして、Global UndergroundやSeriousなど、世界規模のパーティーとのコラボレーションを成功させたRYO TSUTSUI。ダンス・ミュージックの衝撃的なムーヴメントを作りつつある氏のプレイは観客を熱狂の渦に誘い込むだろう。

『StarFes.』は、「信念や探究心を持ち、それぞれに独自の世界を突き詰めたプロフェッショナルな男達、哲学を持ち、文化を創造してきた多様なアーティスト達が一堂に集結し、オーディエンスの新たな感性やモチベーションを刺激する機会を提供する」というコンセプトのもと、「新旧、国内外、アンダーグラウンドとオーバーグラウンドなど多様性があり、かつ独自の世界観を追求しているなどの共通性を持ったアーティスト」が多数ラインナップ。出演アーティストのタイムテーブルは来週中に発表する予定だが、まずは一足先にステージ割を発表。

メインステージとなる「Star Stage」はその名の通り、国内外のレジェンダリー・スターやニュー・スターがパフォーマンスする“スター”のステージ。こちらにはTHE ORB、JAZZANOVA feat. PAUL RANDOLPH、スチャダラパー、電気グルーヴ、SUGIZO、BACK DROP BOMB、[Champagne]、RYO TSUTSUI(順不同)が登場。

セカンドステージの「Star Floor」は、国内外アンダーグラウンドからクラブシーンを賑わすスターが出演するダンス・ミュージックのステージで、野外でありながらダンスフロアを想起させるネーミングになっている。こちらにはTheo Parrish、Mark Farina、OCTAVE ONE、FRIENDLY FIRES、DE DE MOUSE、Naoki Serizawa、STEPHANE K、Kaito aka Hiroshi Watanabe(順不同)が登場。

サードステージの「Star Jam」は、独自の音楽スタイルを突き詰める多様なアーティストがオーディエンスと共鳴する音楽空間。『StarFes.』ならではのアーティストの魅力を伝えるため“ジャム”という言葉を用いている。ライブ・パフォーマンスを中心としたアーティスト・ラインナップでもあり、ライブ感のある“ジャム”に相応しい、DJ KENTARO、HIFANA、川辺ヒロシ、AFRA、80KIDZ、DEXPISTOLS、mouse on the keys、Daichi、rega(順不同)が登場。

総勢25組の豪華ラインナップと3つのステージでお贈りする『StarFes.2013』は、前売チケットが3,500円と大変リーズナブルなフェスティバル。冬の寒さから解放され、気候も暖かくなってきた3月23日(土)、今年最初の都市型屋外フェスを是非とも楽しんで欲しい。

■StarFes.
開催日時:2013年3月23日(土)
会場:東扇島東公園(神奈川県 川崎市)
出演:ジ・オーブ、電気グルーヴ、80KIDZ、セオ・パリッシュ他
チケット;¥3,500(前売り)発売中
公式サイト:https://star-fes.net


grkzgl - ele-king

 紹介文にはアナログ・シンセやテープ・ループを用いたIDMと書かれているがYoutubeで彼のライヴを見た限りではこの音源とはだいぶ違う様相を呈している......というか完全なフィードバッグによるパワエレだ。現在アクティブなのか定かではないがscum jazzというノイズ・バンドで活動しているようで、様々なアプローチを試みているようだ。

無機質なビートに重なる歪んだノイズ。 電子音楽特有の呪術性を放つ狂気的IDM。

これまでにIDM、ダーク・アンビエント、ハーシュ・ノイズなどの手法で、多くの前衛的な作品を制作してきたカナダ人アーティストAlexandre Scarfoneによるソロ・ユニットgrkzgl(ジラクジグル)。 リリース当時は京都に住んでおり、カナダに帰国した現在もカセットテープ、CD-R作品を発表したり、ライブを行うなど精力的な活動を展開している。またジャズ・グループCHANSONS D'AMOUR、John BrennanとのデュオTOTEMSのメンバーとしても活動する。
本作は2006年にshrine.jpからリリースした同名CD-R作品(SRCDR019)の再発盤。無機質なインダストリアル・ビートにフィルター系エフェクトとリバーブのきいたノイズや持続音が重ねられたサウンドは、70年代後半から80年代初期にかけてのThrobbing Gristleや、Muslimgauzeに通じるような呪術性を放つ。
リズムの音階が歪められたり、随所にポリリズムが用いられていることで、非西洋的な印象が生まれており、それがサウンドにエスニックな魅力を付加している。またアナログ・シンセ、テープループなどのクラッシックなIDMのアイデアだけでなく、現代的なエレクトロニカのアイデアも豊富に盛り込まれている。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)

Chart - JET SET 2013.02.25 - ele-king

Shop Chart


1

Crystal - Vanish Into Light (Crue-l)
新次元を切り開いたシューゲイズ・ピアノ・ハウス傑作との呼び声の高かった前作に続き送る本作では、キーボーディスト高野勳を迎えた高揚感と飛翔感がソリッドかつドリーミーに同居させた、シューゲイズ・バレアリック・ハウス大傑作!

2

Crue-l Grand Orchestra Vs Tbd - Barbarella's Disco (Crue-l)
Justin Van Der VolgenとKenji Takimi本人は勿論、Dj Harveyや、Eric Duncan、Dj Kent、Dj Hikaruなどが軒並みパワー・プレイすることで絶大なリアクションを獲得する話題作が遂にリリース!

3

Videotapemusic - Slumber Party Girl's Diary (Rose)
2012年リリースの1st.アルバム『7泊8日』に収録された大本命曲が、なんとRose Recordsより7インチ・シングルとして登場。

4

Inc. - No World (4ad)
昨年ヒットしたEp盤「3」も最高だった、4adが送り出すL.a.の兄弟ユニット、Inc.。これぞ、2013年モードなインディ・シンセ・メロウ・ヤング・ソウル全11曲!

5

Autre Ne Veut - Anxiety (Software)
Oled English Spelling Beeからのデビュー・アルバム、Hippos In Tanksからの12インチもヒットしたブルックリンのソロ・ユニット、Autre Ne Veutの傑作セカンド・アルバム!

6

Falty Dl - Straight & Arrow - Four Tet Remix (Ninja Tune)
ご存じNinja Tune/Planet Muが誇るNy在住の美麗Ukベース人気者Falty Dlがジャズ薫るコードワークを散りばめて完成させた、Swindle越えアーバン・ベース名曲が限定で再リリース!!

7

八代亜紀 - 夜のアルバム (Universal)
デビューから42年目を迎えた今年、ルーツであるクラブ・シンガー時代に思いを馳せ、ジャズ・スタンダードや歌謡曲等の「流行歌」をジャズ・アレンジでカヴァー。演歌の八代亜紀とは一味もふた味も異なるスタイルを披露します。

8

Eddie C - Country City Country (Endless Flight)
リードシングル"La Palette"でも幅広い音楽知識~造形の片鱗をみせつけ、次世代ハウスシーンを担うべく好手としての貫禄を見せつけるEddie Cによる渾身のフルアルバムが国内名門"Endless Flight"より待望のリリース!

9

Maxmillion Dunbar - House Of Woo (Rvng Intl.)
Future Timesからのリリースでも絶大な人気を誇るAndrew Field-pickeringによるプロジェクトとしてお馴染みMaxmillion Dunbarによるフルアルバムが、Tim Sweeney主宰"Rvng Intl."より堂々の登場!

10

V.a. - Desmo Presents A L.a.s. (Desmo)
南米フォルクローレ・カヴァー音源を多彩なモダン・クラブ・サウンドでリミックス!!Mo' Horizons、Flevans、Jon Kennedy、Up, Bustle And Out、Orbなど超豪華リミキサーによる3枚組!!

ホロノミックディスプレイが作動した - ele-king



 年明けから間もない2013年1月4日のことだ。日本時間の午後1時すぎに目が覚めて、僕はいつもどおりリヴィングへふらふらと歩き、ノートPCを立ち上げた。ヴェイパーウェイヴ周辺の連中がなにやら興奮してツイートをしているのを見て、貼ってあったURL(https://jp.tinychat.com/spf420)をクリックすると、ヴィデオ・チャットの画面へ飛んだ。ディスプレイに映されたのは日本企業のCM映像。高速で流れていく英文の会話。毒にも薬にもならない浮ついたスローな音楽。僕はおもわず誰もいないリヴィングで声をあげた。なんてこったい! そこは、ヴェイパーウェイヴの連中のフェスティヴァル会場だった。そのときはインフィニティー・フリークェンシーズ(Infinity Frequencies)がプレイをしているらしかった。

 〈#SPF420〉とタグで銘打たれたフェスティヴァルの形式はこうだ。ストレス(STRESS)と名乗る女性が司会として、次の出演者を生の音声会話で紹介する。あらかじめ『YouTube』にアップ済みの出演者紹介の映像を流す。それから出演者が演奏を開始する。プレイ中のVJは出演者みずからがチョイスしているときもあれば、ブラックサンセッツなるアカウントがVJをしていた。演奏が終わると、画面が真っ暗になり、観客はチャットに拍手の意(「CLAP」など)をみんないっせいに打ち込む。そして、ストレスがふたたび司会をはじめ、次の出演者紹介をする。最後までこれの繰り返し。

 集まったチャットの参加者(観客)はこのフェスティヴァルに興奮していたようだ。「ラグジュリー・エリート(Luxury Elite)がいるの? まじ?」などと言っている者もいた。現住国を発表する流れでは、アメリカはもちろん、ヨーロッパやアジアからの者も多かったが、日本と答えたのは僕のみ。しかしまあ、チャットの内容はだいたいがなんの意味も生産性もないやりとりだ。「Lana Del Gay」や「James Vaporro」などと、ミュージシャンの名前を(特に「Gay」で)もじった言葉遊びが多くを占めた。それが高速で行われる。ヴェイパーウェイヴとそこからの波を追いかけつづけている日本のブロガー・ポッセ『Hi-Hi-Whoopee』のアカウントも日本語でチャットに入ってきたが、「会話についていけない」とぼやいて消えてしまった。チャットでやりとりをするには一瞬にして文脈を読んでいかなければならなかった。僕も慣れるには時間を要した。このイヴェントは以前にも行われており、日ごろからチャットに手馴れているユーザーが多かったようだ。司会のストレスは、来場したユーザーのみんなに丁寧な挨拶をしていた。このフェスを開催できたことが心から嬉しかったのだろう。見ていて気分がよくなる雰囲気があった。

 出演者も興味深い。音楽評論家アダム・ハーパーによって「#Vaporwave」というタグが生まれる前から、それにあたる作品を発表していたプリズム・コープ(Prism Corp)ことヴェクトロイド(Vektroid / New Dreams Ltd.など名義多数)やインフィニティ―・フリークェンシーズのほかに、彼らに触発された、いわば第2波といえるアカウントのラグジュリー・エリートや福岡在住を自称するクールメモリーズ(coolmemoryz)(おそらく元「t r a n s m a t 思 い 出」名義)が混合している。そこに、〈アギーレ〉(Aguirre)からのリリースをひかえていたアンビエントやノイズのトランスミュート(Transmuteo)や、〈アムディスクス〉(Amdiscs)からのヴェラコム(VΞRACOM)などニューエイジな装いのメンツも合流している。そして、どうやらこのカオスに貢献していたのは、チャズ・アレンを名乗るビートメイカーであるメタリック・ゴースツ(Metallic Ghosts)のようだ。先のYouTubeのアカウント然り、フェスのアートワークも彼が担当していたと思われる。

 トランスミュートの瞑想的なノイズはすばらしく、熱狂的な歓迎を受けていた。しかし、この日もっともおおきな拍手喝采の言葉で迎えられた大本命は、やはり、ヴェイパーウェイヴで最も有名になってしまったプリズムコープ:ヴェクトロイドだ。ウェブカムの前に彼女/彼ははっきりとその姿を現した。ときどきFBIのマークをVJに出現させハプニングの音を混ぜる茶目っ気をみせながら、まさにホテルのラウンジやプラザのBGMに最適なミューザックのループを延々と披露した。それはつまり、市場において消費者である僕たちが知るかぎりこの世でもっとも退屈で決して家に持ち帰ることのない音楽=ミューザックだが、いまや世界各国の物好きが、それらをインターネットの画面の奥に集積したゴミのような情報のなかから拾い上げ、面白がっている。挙句の果てには、それをグチャグチャに歪め、ズタズタに切り刻み、垂れ流したそのクソに浸りながら深夜にPCの前でハッパをキメるわけだ。現にヴェクトロイドは、ボングを用いてウィードに火をつけて吸引する自らの姿を何回もウェブカムで生中継した。『facebook』では彼女の姉妹ということになっている司会のストレスも別枠で吸引の様子を一瞬だけ映す。情報デスクVIRTUALの曲名にあったとおり、彼女たちはミューザックをウィードブレイク(#WEEDBREAK)のBGMに活用している。自室でひとりPC画面の前でにやつきながらウィードを吸引するヴェクトロイドの姿は、まるで部屋の外のなにかから逃げようとしているようだった。

 この日、ヴェクトロイドは2回出演し、アンカーの際には衣装をレトロなスタイルに変えていた。彼女はなぜか全角英字でチャットに参加する。繰り返されるウィードブレイク。観客にもウィードや酒の摂取を呼びかける。僕は、ログインしたときに「Daniel Lopatin」なるアカウントが参加者のなかにいたことをチャットに書いた。彼らは知っているのだと思ったが「まじ?」「どうせ誰かの偽アカウントだろ」という反応がかえってきた。事実、僕はたしかに見た。ダニエルとヴェクトロイドのあいだには交流があった(註2)ようだし、彼が見ていても不自然な話ではないと思った。やがて観客たちは口々に「ありがとうダニエル」とつぶやきはじめる。ヴェイパーウェイヴがダニエルの「斜陽会社」=〈サンセットコープ〉からはじまったことを誰もが自明に感じていると言えるだろう。

 フェスティヴァルも終幕に近づき、ストレスがアフターパーティーの会場『Turntable.fm』のURLを告げる。同サイトは閲覧を米国ユーザーのみに限っているため、米国外の観客はここでお開きとなった。ストレスは米国外のユーザーへ丁寧に謝罪しつつ、来場者への感謝の意をなんども書き込んだ。やがてジオデジックとして知られる下城貴博がヴェクトロイドへのラヴコールを書き込んだ。ヴェクトロイドは握りこぶしに親指を立て、ニヤリとした笑みで応える。やがて、音楽は止んだ。時計を見ると午後4時をまわっていた。

 正直に言えば、このフェスティヴァルが終わった瞬間、僕はおおきな虚無感と倦怠感が心の奥底からこみ上げてきた。なにせ、結局のところただのチャットにすぎない。音楽なぞ、ほとんどミューザックの垂れ流しである(註3)。ただただ退屈を空回りするだけであった。部屋を1歩でも出れば、現実がしっかりと待っている。窓の外はいつのまにか夕方だった。日本ならまだ日中だが、米国時間では深夜に、こんなくだらないことを「世界中の孤独なティーンがベッドルームで行っている」(Tomad)(註4)のだ。しかも、ウィードと酒をあおりながら。
 後日、ダラー・ジェネラル=司会のストレスは、ヴェクトロイドの言葉を最後に引用しながら、こんな挨拶を『facebook』に残している。

 とにかく、本当にありがとうと、今夜のイヴェントに来てくれた美しい人々に言いたいです。きみらみんな本気で超最高だよ。タイニーチャットにに来てくれた一人ひとりの力添えなしにSPF420が成功することはなかったでしょう。(出演者への挨拶。斎藤により中略)
 我々は100を突破しました! 134人の参加者が集まったよ、みんな! (135のときにキャプチャーできればよかったけど、ああもう)

 またすぐにみなさんとインターネットで会えることを願っています、
 SPF420: SPF420: Welcome To The Workplace.™
(日本語訳:斎藤)
#SPF420FEST 2.0: WELCOME TO THE NEW ERA:
https://www.facebook.com/events/...


 おおきな喜びが伝わってくる文面だが、彼らにはディスプレイの外へ出てくるつもりがないようにも読める(註5)。はたして、彼らの指す「The Workplace.™」とは、ベッドルーマーにとって逃げ場となる仮想空間なのだろう。無職であることがうかがわれるようなツイートを何度もしているヴェクトロイドが自らへの最大の皮肉として言っているようにも思える。
 だが一方で、ヴェクトロイドはときおり現実空間のパーティーに出演しており、2月に入ってからもマジック・フェイズ(Magic Fades)とともにギャラリーでパフォーマンスをしている。さらに、〈トライアングル〉の主宰バラム・アキャブがヴェクトロイドとのスプリットで7インチをリリースする旨を発表したばかりだ。

 はたして、ヴェイパーウェイヴァーは現実において「仕事場™」を拡張することができるだろうか。
 日本ではプラモミリオンセラーズで知られる鈴木周二がventla名義でヴェイパーウェイヴに触発された作品を発表しつづけており、§✝§(サス)やジオデジックはライヴ(註6)でその地平を切り開こうとしている。それはまた、べつの機会に......。

今日、我々とともに新たな世界へ加わりましょう......よりよい明日のために。

Prism Corp. International
We Know Who You're Working For.™
(日本語訳:斎藤)
札幌コンテンポラリー | BEER ON THE RUG:
https://beerontherug.bandcamp.com/album/-

空はあなたに従います。。。
安全に走行
悔なし

Farewell,
New Dreams Ltd.

(原文ママ)
PrismCorp™ Virtual Enterprises | New Dreams Ltd.:
https://newdreamsltd.tumblr.com/post/38483741858

 2012年、ヴェクトロイドはウェイパーウェイヴのベッドルーマーを引き連れ、「よりよい明日」のための「新たな世界」を目指して飛行した。それが情報デスクVIRTUALであり、セイクリッド・タペストリーではついに空を(下に)従えることに成功したのだ。

 そして2013年、ホロノミックディスプレイが作動した


(註1)
特別編集号 2012 ソーシャルカルチャーネ申1oo The Bible』より。アルバート・レッドワインは『ザ・ニューヨーク・タイムズ』からもインタヴューを受けている

(註2)
昨年の11月末にはヴェクトロイドがOPN(=ダニエル・ロパーティン)に謝罪のメールを送ったとツイートし、同日にOPNも「ヴェイパーされた」とツイートしている

(註3)
なお、このフェスティヴァルの音源や映像の一部が『facebook』のイヴェントページからチェックできる

(註4)
紙『ele-king vol.8』の「キャッチ&リリース」より。ちなみに、トマドが主宰する〈マルチネ〉はシーパンクのイメージを模したダウンロード・ページや、限定Tシャツをリリースしたtofubeatsも情報デスクVIRTUALをお気に入りにあげている

(註5)
対照的に、アダム・ハーパーによってヴェイパーウェイヴの文脈でも語られてしまったファティマ・アル・カディリは、積極的にイヴェントへ出演している。その様子は工藤キキが本サイトでも伝えている

(註6)
サスは音楽的にはウィッチハウスやシンセウェイヴに近いがウェイパーウェイヴの意匠をまとったライヴを行っており、ジオデジックはヴェイパーウェイヴのイヴェントを開催したいとツイートしている

以上-----------------------------------------------

interview with Michael Gira - ele-king


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 およそ22年ぶりの来日となるので、よほどのベテラン・リスナーでもないかぎり、スワンズの来日公演を観た方は、とくにele-kingの若い読者におかれましては、すくないだろう。一介のオッサンである私でさえそうなのだから。
 あのときスワンズは過渡期にあった。82年の結成以来、『Filth』『Cop』の初期作でノーウェイヴと共振し、ジャンク・ロックの旗頭として、ひしゃげた音塊を打ち鳴らし、押しも押されもせぬアンダーグラウンドの王の地位にあったスワンズは『Greed』(86年)以降、しだいにその殺伐とした音響をスローにひきのばし音の伽藍を築くにいたった。その空間で上演する音楽は儀式というより反・祝祭としての祝祭を思わせる昏い輝きを帯びていた。スワンズの名に、いまでも多くのリスナーが抱くイメージはそれだろう。しかしながらスワンズは不変ではなかった。一貫しながら変わり続けた。80年代の終わり、ビル・ラズウェルのプロデュースでメジャーから出した『The Burning World』など、賛否両論ある作品もあるが、それにしても、彼らが音楽を前に進めようとしてきたことの証にほかならない。やがて90年代に入り、スワンズはスローさに拍車がかかり、ブレーキをかけた機関車が重い車体を引きずるように、97年には活動も停止したが、そのとき表舞台にいたのは80年代末のニューヨークのインディ・シーンで彼らと表裏の関係だったソニック・ユースだった。それから10年あまり、スワンズは、というか、マイケル・ジラは眠っていたわけではなかった。エンジェルズ・オブ・ライトとしてスワンズで未消化だった歌もの路線を探求し、〈Young God〉のオーナーとして、デヴェンドラ・バンハート、アクロン/ファミリーからジェームス・ブラックショウといった、フリーフォークないしはウィアード(weird)な、そしてこの閉塞的な世界で反転した反・祝祭とさえなり得る音楽を送り出してきた。
 それらをひとつに集約するように、スワンズは2010年、『My Father Will Guide Me Up A Rope To The Sky』でふたたび活動を開始したが、2011年3月に予定していた来日公演は東日本大震災で中止になった。今回は2年越しの待望の再来日となるが、その間にスワンズは畢竟の大作『The Seer』をリリースしている。「予言者」「先見者」と題したこの黙示録的なアルバムをひっさげ、一夜かぎり(しかも400人限定!)のステージで何をみせるか、このインタヴューがその先触れとなれば。

スワンズの演奏はどこかスピリチュアルな面での影響力があると僕たちは思うし、同じように感じるひとも観客の中にはいるようだね。例えばタントラ・セックスのように、緊張と開放、つまり自己を失うと同時に発見する感覚なんだ。

復活したスワンズは2年前の3月に22年ぶりの来日公演を予定していいましたが、東日本大震災で延期になりました。そのニュースを耳にされたとき、あなたは最初、どう思われましたか?

マイケル・ジラ:誰もがそうであったと思うけれど、ひどくショックを受けた。悲しく、忘れられないできごとだった。僕たちはそのとき、オーストラリアにいて、ちょうど日本へ出発しようとしていたんだ。それでも行きたいとみな思ったけれど、プロモーターからそれはムリだと説明があった。しかもそのときは災害の規模がどれほどのものであったかを知る前だったしね。そう、ニュースを聞いてとても悲しかったよ。いまの日本の状況はどう? 復興作業は進んでいる?

表面的にはいくらかは進んだのでしょうけど、福島の原発の問題をふくめ、復興というにはほど遠いうえに、それを置き去りにして経済を優先することにしたらしいです。ところで、そのとき、私たちには復活したスワンズの音としては『My Father Will Guide Me Up A Rope To The Sky』だけでしたが、昨年の『The Seer』を聴いて、スワンズの音がさらに進化/深化していることに驚きました。この2作の間にバンドに訪れたもっと顕著な変化は何だったのでしょう?

マイケル・ジラ:それは一年間のツアーを経験したことだね。ライヴでの演奏を通して、音が変わっていったんだ。『The Seer』の曲も、演奏を繰り返すうちにずいぶん変化した。

自然に変化していったということですね。

マイケル・ジラ:そう、行ったり来たり。試行錯誤で、僕の場合メンバーをなだめながらやっていく必要もあった。良くも悪くも僕はバンド・リーダーだからね。ときには喜びと怒りでバンドに大声を出すことだってある。まさにライヴの作業だ。そうやって奮闘しているうちに少なくとも僕たちにとっては最高だと感じられるものができて、そのときやっと頂点に辿り着いたと実感できるんだ。

僕はミュージシャンとして正式な訓練を受けたわけでもないし作曲家でもないから、すべて直感で仕事をしている。そして何ごとも恐れず、ひとつの映画を制作するまでの映画作家のように試行錯誤しながら作業をする。

前作『My Father Will Guide Me Up A Rope To The Sky』もそうですが、『The Seer』には何らかの宗教的な主題が込められていると思われます。私たち日本人はからずしもすべての人間がそうであるとはかぎりませんが、宗教的に「曖昧」であり、スワンズの言葉の信仰的および背徳的な面がわかりにくいところもあります。今回、あたなは『The Seer』にどのようなコンセプトをもたせたのか、詳しく教えてください。

マイケル・ジラ:日本人にとって特別わかりがたいとは思わない。僕はあまり言葉のコンテンツについて語るのは好きじゃない。なぜなら誰もが自由にそれぞれの想像力を働かせ、何かを経験する機会を持つべきだと思うから。曲のコンテンツについて語ってしまうと、まるで大学の試験にでも答えるかのように終わってしまう。そういう意味ですべてを解放したままでいたい。音楽のスピリチュアルな面については、僕は特定の宗教に属しているわけではない。けれど、スワンズの演奏はどこかスピリチュアルな面での影響力があると僕たちは思うし、同じように感じるひとも観客の中にはいるようだね。例えばタントラ・セックスのように、緊張と開放、つまり自己を失うと同時に発見する感覚なんだ。それが僕たちが興味をもっていることのひとつ。日本の仏教の禅宗や瞑想にも通じるところがあるんじゃないかな? 自己を深く認識するのと同時に、すべてを解き放す感覚なんだ。

『The Seer』は2枚組2時間におよぶ大作(DVD付き3枚組もある)ですが、音楽作品のトレンドがLPサイズになってきている思しき昨今、このような作品をリリースすることに、レーベル・オーナーとしても、ためらいはありませんでしたか? 私は『The Seer』には一瞬たりとも退屈は瞬間はないと思いましたが。

マイケル・ジラ:(キッパリと)ためらいはまったくなかった。なぜなら僕はもうそういうことを気にしていないから。ひとがどう思おうが関係ないんだ。もちろん僕だって生きていくためにはレコードを売らなくてはいけないけど、僕と僕の仲間は音楽が導くところに迷いなく進もうと決めていた。このレコードの制作を始めたときも色々と録音し、僕がそれらを膨らませたり、アレンジしたりするうちに最初に録音したものが成長していったんだ。その時は4枚くらいのCDで4時間くらいの長さになるかと思っていたよ。結果的に2時間に収まったけれど、別に特別なフォーマットに収めようとムリしたのではなく、たまたま3枚のCD、2つのLPであったということ。とりあえずサウンドが誘導するところへ進んでいき、どうやってリスナーにそれを提供するかは後で考える。すでにもう一枚アルバムを制作できるくらいの素材があるけれど、それがどんな形になるかはまったくわからない。

『The Seer』の"The Seer""A Piece Of The Sky""Apostate"などは組曲的な構成ですが、これらの曲はどのような構想のもと生まれたのでしょう? またレコーディングでは、これらの曲は即興的な要素も含むライヴな手法で録音されたのでしょうか? スコア的なものに基づき、厳密に構成されているのでしょうか?

マイケル・ジラ:直感で構成していく。ほとんどがまずアコーステックギターから始まる。"The Seer" のように規模の大きい、長い曲もそう。バンド・メンバーと仕事をしていくうちに、だんだん成長し、新しい姿が形成されていく。誰かが僕をワクワクさせることをやった瞬間にはそれを追究してみて、それが新しいセクションになったりね。反対に誰かが僕の気に入らないことをすれば、それはカットしようと話す。すべてがそんな感じに育成されていくんだ。核となるミュージシャンたちと基本的な録音が終わった時点で、僕のいわゆるレコード・プロデユーサーという役割がはじまる。曲に何が必要かを想像して、たとえば曲そのものだけではなく、イントロダクションが必要だと判断したりする。"A Piece of the Sky" はまさにそうだった。曲の前半は僕と僕の友人たちが自然に曲を形成、そしてレコーディングして、後半部分に実際のバンド・メンバーが加わったんだ。僕はミュージシャンとして正式な訓練を受けたわけでもないし作曲家でもないから、すべて直感で仕事をしている。そして何ごとも恐れず、ひとつの映画を制作するまでの映画作家のように試行錯誤しながら作業をする。

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もちろんいまも昔もドローンやトーン・クラスターなどに惹かれるけれど、僕にとにかくコード チェンジは気が散ってしょうがないんだ。正直なところ、コードを一回チェンジするのだって気が散ることがある。


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サウンド面についてお訊きします。新生スワンズは通常のロック・バンドのスタイルに加え、ハンマー・ダルシマーやオーケストラ・ベル、ラップ・スティール、そのほか多楽器主義的な編成になっています。スワンズがこのようなスタイルをもつに至った経緯を教えてください。

マイケル・ジラ:友人たちがたまたま演奏している楽器だから取り入れたまでだよ(笑)。でも、特にハンマー・ダルシマーは、開放的な余韻がとても気に入っているし、ベルも同じだよ。どのようにレコードを編成していくかについては、スワンズの基本的なメンバーが演奏を終了してから、その曲が何を必要としているかを想像して、メンバーに声をかけるんだ。ときには楽器ではなくある特定の人物を思い描くこともある。この曲はビル(Bill Rieflin/ビル・リーフリン Honorary Swanとクレジットされているサイド・メンバー。元ミニストリーのマルチ・インストゥルメンタリスト)が必要だ、とかね。僕の親友のビルはこのレコードでおよそ十はくだらない楽器を演奏している。まだ彼がなにも聴いていないうちにスタジオへ飛行機できてもらって、そのときあるがままの曲を聴かせてどう思うかと訪ねてみた。すると彼はじゃあここはピアノの演奏を入れようとか、ここはベースを入れようとか何かしら提案するんだ。でも、すばらしい感受性を持っている彼の存在自体が大切で、僕は彼がどのように演奏しようとかまわなかった。ときには歌ってもくれたしね。

2000年代にアメリカのアンダーグラウンドで盛り上がったドローンはスワンズを雛形にしている部分があると思いました。この意見についてどう思われますか? またドローン、あるいはトーン・クラスター的な音響手法はスワンズにとって重要なものでしょうか?

マイケル・ジラ:たしかに雛形になっている部分はあるかもしれないけれど、審美的、または知的な意味では違う。もちろんいまも昔もドローンやトーン・クラスターなどに惹かれるけれど、僕にとにかくコード チェンジは気が散ってしょうがないんだ。正直なところ、コードを一回チェンジするのだって気が散ることがある。でも、きみが気づいてくれているようにひとつのサウンドは沢山のニュアンスと無限の可能性を秘めている。だからひとつの音をただ持続させているのではなく、僕たちのサウンドには常に動きがある。それは様々な楽器や、モジュレーションを駆使しているからだ。いつも何かが変化している。リズムが変化している。そういう方法をとったほうが効果的に波にのることができると思うんだ。

私はあなたが「The Quietus」というサイトに発表した、13枚のお気に入りのアルバムを拝見しました。ストゥージズ、ドアーズ、ボブ・ディラン、マイルス・デイヴィスらの作品に混じって、そのなかに、ヘンリク・グレツキ、アルヴォ・ペルトというふたりの作曲家の作品をみつけましたが、彼らがともに東欧系であるのは偶然でしょうか? あるいは、たとえば、バルトーク・ベラのような東欧的な作風に何か惹かれるポイントがあるのでしょうか?

マイケル・ジラ:ああ、あれは良いウェブ・サイトだね。そうだな、たぶん惹かれるところがあるんだと思う。昨夜ペンデレツキを聴いていたんだけれど、あれはとてつもない。ああいった感情に極限的なインパクトを与える音楽を好む傾向があるんだろうね。ひとはそれを音楽の暗い面というかもしれないけれど、僕はちっとも暗いと思はない。ただただ感動的だと思う。グレツキの"交響曲第2番"をはじめて聴いたとき、スワンズのサウンドにそっくりだと思ったんだ。でも彼は作曲家だから、もっとサウンドにバリエーションがある。それにあの曲はグレツキの作品の多くがそうであるように、最初はまるで世界の終わりを思い起こさせるようだけど、次第にとても穏やかで美しいものへと流れていく。彼の"交響曲第3番"を聴いたことがあるなら、とても美しい曲だとわかるだろう。あれはなぜか80年代に彼のポップ・ヒットとでもいえるようなものになっていたよね。とにかく、そういったサウンドに惹かれるのはたしかだ。

イスラエルに滞在していたとき、僕のヒッピー仲間が相当な量のハシシを残していった。バカでナイーブだった僕はエルサレムの地元のホステルでそれを売ろうとして、そこを現行犯で警察に捕まって、結果的に3ヶ月半拘留された。

スワンズ、エンジェルズ・オブ・ライト、あなたのソロ名義や〈Young God〉のヴィジュアル・アートワークは印象に残るものが多いのですが、『The Seer』のジャケットを手がけたサイモン・ヘンウッドや過去の作品の多くを手がけたデーリック・トーマスなど、彼らペインターとの関係性と作品に対する思い、またアート・ディレクターとしてのあなたのヴィジュアル・アートワークに対するこだわりを教えてください。

マイケル・ジラ:彼らは僕の友人。サイモンのアートは大好きだよ。ここ数年彼の作品はものすごく成長しているけれど、あらためてなんといったらいいかは......わからないな(笑)。僕は近日行われる彼の結婚式でベストマン(花婿の付添人)を務めるんだから。彼は僕の友人で、彼の仕事が僕は大好きだ。デーリックも僕の良い友だちだけれど、サイモンほどは親しくないかな。彼はちょっとしたアウトサイダーなんだ。アーテイストとして訓練も受けているけれど、アートの世界にはまったく従事していない。彼はブロードモア精神病院で患者にアートを教えているんだ。僕にとって彼はウォルト・デイズニーとヒエロニムス・ボスを組み合わせたような人間だね。

アートワークについてのこだわりはどうでしょう?

マイケル・ジラ:特にこだわりはないよ。でも、良いセンスは持っていると思う。通常イコン的な画像を探すけど、シニカルなことをいうとその作業も一種のブランド化だからね。明確かつ簡潔、即時に目がいくような画像をとにかく中央に配置するようにしている。レーベルとスワンズ両方にとってしっくりくる画像を探すんだ。

ウロおぼえなので勘違いであればお許しください。その昔、あなたのインタヴューで読んだ気がするのですが、あなたがローティーンの頃にヨーロッパをヒッチハイカーとして旅していて最終的にイスラエルでハシシを売った罪で半年も拘留されていたというのは本当ですか? この場をかりてあなたの少年時代の話を是非ともおききしたいです。

マイケル・ジラ:ほぼ本当だよ。子どもころ、家出したんだ。14~15歳だったかな。そのとき僕はドイツにいた。ヒッチハイクしながらヨーロッパを横断し、ユーゴスロビアからギリシャ、そこからトルコに渡った。イスタンブールに何週間か滞在していたんだけれど、お金が底をついてきて、そのころ僕と僕のヒッピー仲間たちが仕事を見つけられるようなところといったらイスラエルだったんだ。だからイスラエルへ彼らと行き、そこでしばらくいっしょに過ごした後、彼らが去って行くときに相当な量のハシシを僕に残していった。バカでナイーブだった僕はエルサレムの地元のホステルでそれを売ろうとして、そこを現行犯で警察に捕まって、結果的に3ヶ月半拘留された。でもイスラエルはトルコと違うし、もちろん恐ろしいことも目撃したし自分の世界観が変わるようなできごともあったけれど、それでもまあイスタンブール刑務所にいれられていたわけじゃないからまだ良かった。拘留されているときに学んだこともある。ひとの行き来が多少あったので独房とまではいかなかったけど、ひとりでいる時間がかなりあって時間というものの大切さと必要性について考えるようになったんだ。機械的な賃金奴隷のような生活に屈服せず、いかに自分の時間を想像力豊かな方法で活用することが大切か分かったんだ。もちろん、僕を含むどんなひとにとってもそうすることが難しいのはある程度は仕方がない。刑務所にいるときは刺激というものがとても制限されるから、とにかくその部屋にいる自分の体に意識が集中して、ときにはためになり、ときには気が狂ってしまいそうだった。ひとつよかったのはたくさん本を読むようになったこと。そういう意味で僕を助けてくれた経験でもあるね。

エンジェルズ・オブ・ライトのリリックはわりと物語的なのに対してスワンズは過去も現在も非常にシンプルな散文詩を唄っているように思われます。その象徴的な言葉を使いはスワンズの名を冠して活動することに対しての重要な要素でしょうか? また、そうであれば過去と現在のスワンズではリリックを書き上げるインスピレーションはどのように変化していますか?

マイケル・ジラ:正直なところ、まだ曲を書けること自体がありがたい。たくさんの曲を書いてきたからかもしれないけど、昔に比べて曲を書くのが難しくなってきた。それにとても忙しくて、刺激になるようなことに費やす時間がない。本を読んだり、映画をみたり、イマジネーションを活性化させる時間がないんだ。でも、スワンズの言葉がどう違うかといえば、断定的ではなくあくまでも一般的に、音楽が襲いかかるように盛り上がってしだいに強くなっていくとき、物語的なリリックを導入するとなんだかがっかりするし、音楽が小さく聴こえてしまうだろう? そういったリリックはなぜか歌い手が中心となってしまうしね。そうではなく、音楽にもう一層積み重ね、聴き手が抱く疑問に答えなくともイマジネーションを活性化させるイメージやフレーズを探すんだ。大きな曲の上に物語を語ろうとすると、音楽が小さく聴こえてしまう。そういう意味でゴスペル音楽に共感するところがある。ゴスペル音楽がどんどん登り詰めていき、最後には同じフレーズを連呼するあの感覚。あれに似たアプローチなんだ。

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もう昔のスワンズの形態には戻りたくないんだ。この新しい形で進んでいきたい。


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The Seer

Young God Records

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私は〈Young God〉Recordsの多くのリリースに魅了されてきたのですが、あなたのプロジェクト以外で今後も新たなバンドのリリースは予定しているでしょうか?

マイケル・ジラ:今のところないな。しばらくはないと思う。スワンズの活動で忙しいから、レーベルの他のアーテイストに時間を費やすことができないし、音楽業界の経済状勢もご存知の通りだからね。残念だけど、あまり有利な仕事とはもういえないかもしれないね。

デヴェンドラ・バンハート、アクロン/ファミリーなどのアーティストから、あなたが影響を受けたことがあるとすれば、それは何ですか?

マイケル・ジラ:特にないな。でも、いろんな意味でインスピレーションを受けた。おもに彼らの魔法のような独創力、それに彼らの若さとやる気にね。いまは彼らも年を取ってしまったからそうでもないかもしれないけれど(笑)、シニカルなところが一切なく、音楽をつくってレコーディングすることを心から愛しているひとたちと仕事をすることは当時とてもインスピレーションを受けた。もちろん、いまあげたアーテイストたちは非常に才能があったし賢い人たちだったから、とても価値ある経験だったよ。

『The Seer』には、前作にひきつづき参加したマーキュリー・レヴのグラスホッパーのほかにも、ヤー・ヤー・ヤーズのカレン・O、ロウのアラン・スパーホウクとミミ・パーカーなどが参加しています。彼らが参加した経緯を教えてください。またスワンズの子どもたちともいえるミュージシャンが活躍する現状を、結成から30年経ったいま、あらためてふりかえって、どう思われますか?

マイケル・ジラ:先ほど話した通り、僕はレコード プロデユーサーなので音楽を客観的に見るように心がけているんだ。自分の作品だからうまくいってないかもしれないけど。スワンズの基本メンバーと僕以外の人材が必要だと思ったときは、彼らを招くようにしている。例えば、僕は"Song For A Warrior"を歌っているとき、自分の声がひどいと思ったんだよ。曲にまったく合っていない。良い曲だと思ったけれど、僕の声ではダメだった。この曲はある意味、僕の6歳半の幼い娘に向けたラヴレターであって、つまり僕が死んだ後娘に聴いてほしい曲なんだ。だから他のひと、あるいはどこか母性的な声の持ち主に歌ってほしかった。ソロで歌っているときのカレンの声は本当に温かくセンシュアル、セクシーではなくてセンシュアルな歌声だと思うんだよ。彼女ならぴったりだと思ったから歌うのをOKしてくれたときはとてもうれしかった。アランやミミもいうまでもなくすばらしい。彼らは造物主との直接的な繋がりがあるんじゃないかと思うほどだよ。アランは何年も知り合いだし、彼は僕が住んでいるここニューヨーク州北部の近所に住んでいるんだ。スワンズの子どもたちについては、彼らが心から愛していることを仕事にし、生活できているのを見るのはとても幸せだよ。おかしいけど、デヴェンドラに初めて逢ったとき、彼は文無しだったんだ。家もない状態だったけれど、一年、一年半経たないうちにミュージシャンとしてある程度の生活を維持できるようになって、それを見ているのはとてもうれしいことだったよ。

ジャーボーは『The Seer』にゲスト参加していますが、ライヴで共演することはないのでしょうか?

マイケル・ジラ:たぶんないな。ゲスト参加してくれたのはうれしかったけれど、もう昔のスワンズの形態には戻りたくないんだ。この新しい形で進んでいきたい。

ジャーボーといって思いだしたのですが、あたなと彼女はかつてスキンというユニットをやってましたよね? 「スキン」というのは、あなたの作品に頻出する単語でもあります。これはある種の身体と境界を意味すると思いますが、あなたはこの言葉に何を託されていますか?

マイケル・ジラ:フハハハ。僕は、Skin は脱ぎさる(脱皮する)ものだと強く信じているんだ。

現在のアメリカ政府の社会保障政策、とくに医療保険改革、銃規制に、あたなは賛成ですか反対ですか?

マイケル・ジラ:僕は(U2の)ボノではないから演説する気はいっさいないけど、個人的な意見としては、われわれは北欧をモデルとした社会主義を目指すべきだと思う。より穏健な世界へ繋がる道は、一種のリベラルな社会主義であると思う。この場でたしかなことはいえないが、(アメリカには)たぶん希望は持てないだろう。われわれは彼らほど聡明でないし、確実に国としての統一性(団結)もないからね。

オリジナルメンバーであるハリー・クロスビー氏に、心よりご冥福をお祈りいたします。何か彼との印象的な思い出があればお聞かせください。

マイケル・ジラ:ハリーには20年もの間逢っていなかったけれど、印象的な思い出といえばこの間ジャーボーも話していたことがある。ハリーはスワンズが活動しはじめたころはものすごい酒飲みで、メンバー全員そうだったけど彼はとくに過激でたくましい人間だった。80年代マンハッタンのアルファベット・シテイと呼ばれていた地域のアパートにいっしょに住んでいたころの話。ジャーボーと僕はベッド・ルームにいたんだけれど、廊下からものすごい音がしたと思うと、ドアが閉まって何かがぶつかる音がしたんだ。そのころ、近所には焼き尽くされた車があちらこちら路上に乗り捨てられていて、酔っぱらったハリーは笑いながら車の前方を取り外し、頭の上に持ち上げたままそれをアパートに持ってきて自分の部屋に放り投げたんだ。その後彼は酔いつぶれて、次の日目が覚めると「あれはなんだ?」と。ハリーは怪力だったから、なんだかムシャクシャしていたのかわからないけれど、あるとき酔っぱらって道路のマンホールカバーを持ち上げて窓に放り投げたこともあったよ。しかし同時に彼はとても知的なヤツで、賢いとても頭が切れて話し上手だった。よく移動中のバンの中でみんなでワード・ゲームをしたんだけれど、いつも彼が勝ってたのを憶えているよ。

あたながいまもっとも大切だと思うもの/ことは何ですか?

マイケル・ジラ:それはちょっと個人的な質問だけど、もちろん音楽と僕の子どもたちだよ。

2月19日の日本公演を楽しみにしております。来日公演にかける意気込みをお聞かせください。

マイケル・ジラ:日本に行くのがとても楽しみだ。最後に訪れたのはたしか20年前だったかな? ショウは独自の命をもっているから、あえて日本に合わせられるかはわからないけど、演奏する僕らと同じように、観客のみんなも純粋に心を動かされるショウになることを願っているよ。(了)

DOWN NORTH CAMP / REFUGEE MARKET in シモキタ - ele-king

 アーバンとジャンクのいけない好配合、多色迷彩のヴァリエーションで飾るDOWN NORTH CAMPがシモキタに2daysポップアップ出店したREFUGEE MARKET。
 当日の写真とDJのプレイリストのみで構成したイヴェント・レポートをどうぞ。まずは写真を見ながら下にあるプレイリストを楽しんで下さい。

photo by Keita Sakai , and ele-king

photo by DNC(SORA/DJ49/CENJU/KATEETO/K.K.K.K.K./YK_VENOM/CHANGYUU/YAHIKO/and... 順不同)

Refugee market DJ playlist

BUDAMUNK
Redman "Funkorama (Double Green Remix) featuring Erick Sermon"



CHANGYUU
Jackie Mittoo / Ghetto Organ



febb
Barbara Mason/ You did not stay last night



Gatcha
RLP - Kler



GONZ
Jay-Z /Girls, Girls, Girls



K.K.K.K.K.
Dennis Brown / Here I Come



KID FRESINO
Ruc Da Jackel & Challace / I'm good



PUNPEE
Snow world×Guess who's back(mush up)/Gapper×Scarface


MASS-HOLE
L.V./Gangsta's Boogie (Barr 9 Version)



WOLF24
John Holt / Lonely Girl



Yodel
2chainz / I'm different (mighty mi&slugworth trap mix)



49
DOWN NORTH CAMP / ooamp


total coordinate by SORA,CHANGYUU (DNC)
DOGEAR RECORDS https://www.dogearrecordsxxxxxxxx.com
booking downnorthcamp@gmail.com

Godspeed You! Black Emperor - ele-king

それは、我々が生き、共有し、抵抗し、拒絶し、解体し、良い方向へ変えていこうとしていることばかりの、虚無的までに悲しい物語を証明し、伝え、変容させる音楽だ。
(レーベルのホームページ/日本盤の訳文より抜粋)

我々の町の美と苦痛、悪臭をふくむ風、警官の異常発生、我々の夢、偶然見つける港の不快な臭い、凝視する野次馬。
(アルバムのバック・カヴァーより)

 2003年、『Yanqui U.X.O.』を出した翌年、モントリオールのGY!BEは2010年の年末までのおよそ8年のあいだ活動を休止している。2010年、ATPのために再結成すると、2011年は東京でもライヴを披露した。GY!BEは思想を持ったバンドで、その行動は絶望に基づいている。世界を楽しく見せようと努めれば努めるほど、虚無はふくらむ。そういうシステムのなかに生きていることを暴こうとしたのがGY!BEの『F♯ A♯ ∞』(1997)だったが、楽しい世界はこの10年でより巧妙な姿へと再編されている。
 先日、快速東京のライヴに行ったとき、三田格から問題提起として観れば面白いからと激しく説明され、『バットマン ダークナイト ライジング』を観たが、たしかに、アイロニカルな意味で面白かった。
 (以下、ネタバレあり)格差社会の貧困と絶望を生きたある人物は、上流階級であり資産家であるバットマンの関わる企業が投資したクリーン・エネルギー原子炉を核爆弾とし、市民に呼びかけ、貧困層の反乱を試みるが、それをバットマンが阻止するといった、GY!BEが間違いなく憤慨する内容で、たしかに反面教師として世界の見方を考えさせられる話だった。裕福な人たちが裕福のままでいなければ秩序は保たれないという、今日の社会の特徴を捉えていて、それがNYをモデルにしたゴッサムシティ(しかもウォール街)を舞台にしているところにもリアリティがあるのだけれど、GY!BEは、バットマンと戦う側にいるバンドなのだ。『タイニー・ミックス・テープス』は、スラヴォイ・ジジェクの"pure negativity"というタームを使ってGY!BEの音楽を説明しているが、僕のような哲学の素人にも、アメリカの音楽ライターにそう書かせる力がGY!BEにあることはわかる。
 メンバーは初期からほとんど替わっていないそうだが、音楽的には、若干の変化がある。『アレルヤー! ドント・ベンド! アセンド!』の1曲目は、いままでないほどクラウトロックめいていて、ノイ!からラ・デュッセルドルフへと展開する頃をロング・セットで再現しているようだ。途中、変拍子が入ってくるところはプログレ風で、GY!BE特有のフォルティッシモがたたみかけられる。
 ハードコア・ノイズとヴァイオリンの音色が錯綜しながら、悲しみのどん底にいる人たちを鼓舞するようにシンフォニーが展開される。その重厚さは彼らのコミュニティ感覚を表しているようだ。いまの自分の好みの音というわけではないのだけれど、執拗なクレッシェンドの果てに立ち現れる崇高さに気持ちの震えを覚える。
 「怯えながら興奮して、悦びのノイズを演奏しているんだ」と、GY!BEは昨年『ガーディアン』の取材に答えている。彼らはこの世界を「数百万人が飢えているあいだ、果物が(分け与えられることなく)腐っていく」という言葉に喩えている。「そのミルクが毒だとわかっていながら飲み続ける。(略)政治は政治家のためにある。彼らは自分の死臭を隠すために、香水とコロンをつけて、カラフルなネクタイを着用する。私たちはその悪臭からできる限り離れて生きていたいと思っている」
 計4曲収録されているうちの、3曲目の"ウィ・ドリフト・ライク・ウォリード・ファイヤー(我々は、悩める烈火のごとく漂流する)"も、GY!BEらしく、「悦びのノイズ」がゆっくりと時間をかけて、そして上昇していく曲だ。彼らは、いたずらに高揚しているわけではない。注意深く世界を見渡している。見開きジャケットを開くと、車に轢かれた鳥の無残な死骸の写真がある。この10年、町はすっかり姿を変え、小綺麗になった。おそらく元には戻れないだろう。僕もいまはこんな風にぬけぬけとオンライン・マガジンで原稿を書いているけれど、デジタル空間に邪悪な力が流れ込み、橋元優歩の履歴から何までもが筒抜けになってしまう世界が来ないとは限らない。デリック・メイが予言するように、我々の子供の世代が机の上のPCを粉々に踏みつぶすようなときが......。
 こんな世界のなかで、GY!BEはどんなつもりでいるのだろう。彼らは自分たちが何をやるべきかよくわかっている。

 そういったシンプルな信条と目標を提唱することは、控えめに言っても、10年を経たいま、よりいっそう維持し、成立することが難しくなっている。あらゆるコンテンツと非コンテンツ──あらゆる"満足"──で溢れかえる現代の文化的な時間において、あからさまな露出を回避するという考えや、メディアの力を緩めようとしたり、アイデンティティ・マネジメントをすること自体が奇妙で、陳腐なのかもしれない。(中略)
 反戦略が戦略としてタグ付けされるリスクを伴うこと、ノン・マーケティングがその反対に枠組みされる昨今だとよくわかっていながら、彼らが健全であるために根底をなすものと考えている理念を、単なる別の形の戦略と捉えかねないが、深く維持していたいのだ。
(レーベルのホームページ/日本盤の訳文より抜粋)

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