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紹介文にはアナログ・シンセやテープ・ループを用いたIDMと書かれているがYoutubeで彼のライヴを見た限りではこの音源とはだいぶ違う様相を呈している......というか完全なフィードバッグによるパワエレだ。現在アクティブなのか定かではないがscum jazzというノイズ・バンドで活動しているようで、様々なアプローチを試みているようだ。
無機質なビートに重なる歪んだノイズ。
電子音楽特有の呪術性を放つ狂気的IDM。
これまでにIDM、ダーク・アンビエント、ハーシュ・ノイズなどの手法で、多くの前衛的な作品を制作してきたカナダ人アーティストAlexandre Scarfoneによるソロ・ユニットgrkzgl(ジラクジグル)。
リリース当時は京都に住んでおり、カナダに帰国した現在もカセットテープ、CD-R作品を発表したり、ライブを行うなど精力的な活動を展開している。またジャズ・グループCHANSONS D'AMOUR、John BrennanとのデュオTOTEMSのメンバーとしても活動する。
本作は2006年にshrine.jpからリリースした同名CD-R作品(SRCDR019)の再発盤。無機質なインダストリアル・ビートにフィルター系エフェクトとリバーブのきいたノイズや持続音が重ねられたサウンドは、70年代後半から80年代初期にかけてのThrobbing Gristleや、Muslimgauzeに通じるような呪術性を放つ。
リズムの音階が歪められたり、随所にポリリズムが用いられていることで、非西洋的な印象が生まれており、それがサウンドにエスニックな魅力を付加している。またアナログ・シンセ、テープループなどのクラッシックなIDMのアイデアだけでなく、現代的なエレクトロニカのアイデアも豊富に盛り込まれている。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)
倉本 諒