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Rexikom

Rexikom

Gelaute der Stille

SRCD031 / shrine.jp

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橋元優歩 Feb 26,2013 UP

 立体的に構築された音響、そこに人と人のたてる物音のようなノイズがゴーストのように貼り付いている。ヘッドホンで聴くと何度か後ろを振り向くことになるだろう。プライヴェートな生活音ではなく、どこかしら公共空間からのサンプリングを思わせるそれは、硬質なサウンド・デザインとも相俟って、本作のインスピレーションの根源ともなったというゲオルグ・トラークルの欝や「世界苦」を現代的に解釈しているのではないかと想像させる。

電子音楽が内包する本来的な文学性をまとった フロア仕様のテクノ・サウンド。

Masahiko Takeda、Naohiro Tomisawa(Pain For Girls)、Takashi Himeoka(Etwas)の3人で構成される、京都の電子音響ユニットRexikom(レキシコン)初のCD作品。2011年の活動開始以降、電子音楽レーベルIl y a Records(イリヤ・レコード)を主宰したり、ライブ・インスタレーションを中心とするイベントIl y aを主催するなど幅広い活動を展開。それぞれがソロ・アーティストとしても活動している。 タイトルのGeläute der Stille(ドイツ語で静寂の響き) は、ハイデガーが詩人ゲオルグ・トラークルの詩を評した際に用いた言葉。アルバムはドイツ表現主義を代表するトラークルの詩世界を媒介として制作されたという。 "Grodek"や"Alton"は、テクノ・ビートに神秘的で不穏なシンセ音がのる、いわゆる黎明期のテクノ・サウンドを彷彿とさせる楽曲だ。テクノとSFの関係性など、電子音楽と20世紀の文学が切り離せない関係にあることは周知の事実だが、回帰的であるが故に、デトロイト・ディープ・サイドのアイコンDrexciyaに通底するようなテクノ特有の文学性を獲得することに成功。それがそのまま同世代のアーティストにないオリジナリティーとなっている。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)

橋元優歩