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脳内を蠢きまわる音の群れ、その持続と切断と生成......。"dagshenma"は京都市在住higuchi eitaroによるプロジェクトである。80年代的なインダストリアルなノイズ&ピザールな音響と、90年代的なジャンクな音の坩堝を、ゼロ年代以降のエレクトロニカ/電子音響的なステレオフォニックな音響によって再生成していく「実験」がアルバムに一枚に見事に凝縮されている。精密かつ最先端のプログラミングと、ジャンクでスカムな音の運動の共存/融合。そして、その「実験」は、純粋な耳の快楽のためにあるようにも思えた。レーベル再活発化、最初のリリース作品。
ダークサイド・エレクトロニカの新鋭による、
21世紀型インダストリアル・ミュージック。
dagshenma(ダグシェンマ)は樋口鋭太朗による電子音楽プロジェクト。アーティストとしてだけでなく、ノイズ専門レーベルUNNOISELESSを共同運営し、2012年に全58曲入りのノイズ・コンピレーションをリリース。京都のライブハウスBlue Eyesで電子音楽イベントPARANOIAを不定期的に開催するなど、一貫してアヴァンギャルド・スピリットに根差した活動を行っている。
dagshenma名義での初CDリリースとなる本作では、フランスのMlada FlontaやイギリスのNurse With Woundといった、インダストリアルの流れを汲むヨーロッパの前衛たちにルーツをみるような退廃的エレクトロニカを展開。デカダンなイメージと、アルバム全体を通して鳴り響く高周波、デジタル独自のザラついたノイズがサウンドの個性を形作っている。 ハイライトは重厚なマシン・ビートが脈打つ"offthelight"、カットアップされた弦楽器の旋律が生み出す病的なドラマティシズムが印象的な"cream"(PsysExとの共作)、チベットの宗教儀式をサンプリングした"hIll"(dagshenmaは宗教色の強い素材をしばしば引用する)。 なお "zaumi2012"はドイツの電子音楽レーベルelectrotonから発表したCD-R作品『zaumi』に収録されたタイトル曲の続編的楽曲となっている。 dagshenmaはhiguchi eitaro名義でもshrine.jpからアルバムをリリースしている。
(中本真生/UNGLOBAL STUDIO KYOTO)
デンシノオト