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V.A.
DIRTY DANCING SAMPLER
SLEAZY BEATS / NL / 2011/8/30
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DIRTY DANCING SAMPLER
SLEAZY BEATS / NL / 2011/8/30
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9/10(sat)-9/11(sun) open air psycology at 千葉・勝浦ふれあいの森キャンプ場
9/24(sat)-9/25(sun) SKYTEK -OPEN AIR PARTY 2011- at 宮城・田代高原キャンプ場
9/30(fri) TBA at 東京
10/8(sat) CrazyDieAmond at 東京・青山ever
10/15(sat) TBA at 東京
10/29(sat) ALL THAT PARTY at 長野・松本Mole Hall
11/12(sat) TBA at 千葉Crack Up Munchies
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Arnaud Le Texier - Ingredients - Children Of Tomorrow |
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Conforce - Vulcan - Clone Basement Series |
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Vizar - The Time - Jato Unit |
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Rossella - Burning - Aimersse.Org |
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Iori - Lapis 2 - Prologue |
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Levon Vincent - 1000 Miles From Home |
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Rejected - For The People (Ben Klock Remix) - Rejected |
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Silent Servant - Immolare (Version) - Sandwell District |
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Takkyu Ishino - Mgm On A Guest List - Loopa |
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Plastikman - Plasticine - Plastikman |
2005年にロンドンの〈ソウル・ジャズ〉レーベルはトロピカリズモを主題にしたコンピレーションをリリースしているが、その解説においてもっともフィーチャーされていたのは、カエターノ・ヴェローゾでもジルベルト・ジルでもない。トン・ゼーだった。1990年代にデヴィッド・バーンによる......ボサノヴァ以降のトロピカリズモにおける、ときにフーゴ・バルのような出で立ちでそこにいる天才の"発見"は、ボサノヴァという長い影からなかなか抜けられなかったブラジル音楽の新しい未来に見えたのだ。日本ではボサノヴァというとたしかに大人気ジャンルのひとつだが、しかしどうしてもお父さんの外車のなかのBGMという印象が強いためか、トン・ゼーどころかカエターノ・ヴェローゾでさえもある種のミドルブローというか、まあ、難しいところである。
が、本サイトをチェックしてくれている方々にとっては、ルーカス・サンタナのこのアルバムがさらにまた素晴らしい"発見"に違いないと思われる。ロンドンのDJが昨年設立した新しいレーベル〈Mais Um Discos〉がリリースするのは2008年に録音された彼の作品の再発盤だが、これが「フォー・テット+トン・ゼー+トム・ヨーク」という宣伝文句があながちハズレではないほどの名盤なのだ。つまり、ここにはボサノヴァ、エレクトロニカ、インディ・ロックが見事にブレンドされている。あくまで愛らしい混合だ。思わず押し黙ってしまうような美しい静けさ、ラテン的な甘い叙情性、そして、IDMのような音に戯れることの喜びがある。
面白いことに、この音楽はポルトガル語で歌われているのか英語で歌われているのかわからないような(自分の語学力の低さゆえでもあるのだが)、要するに、ボサノヴァの時代にはむしろその味として活かされていたブラジルにおけるポルトガル語のクセが見事に脱臭されているのである。実際、英語で歌われている曲も多いが、それは、この音楽がブラジル音楽の独自性(サンバ、そしてボサノヴァにおけるサウダーヂなどなど)をもとにしながら、コスモポリタン的な感性を持っているからだろう。ノスタルジックでありながらアヴァンギャルドで、ヴィンテージではなくモダンな音楽なのだ。それでもハイライトのひとつはルーカス・サンタナのアコースティック・ギターの響きと歌なんだけれど......。
バイーア州(カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、ガル・コスタ......てか、ジョアン・ジルベルトなどを輩出したところ)出身のルーカス・サンタナは、ブラジル音楽の勤勉なリスナーやワールド・ミュージックのリスナーにはすでに賞賛されている。マルチ・インスト奏者としてもそれなりのキャリアを持っているというが、僕はもちろん今回、ロンドン経由の再発で初めて聴いた。そしてブラジル音楽の"現在"に夢中になっている自分に気がついた。
たとえば......ヴェローゾの『ジョイア』がIDMの時代に蘇ったと想像してみよう。素晴らしいでしょう?
まあそうは言っても、同時期に〈ミスター・ボンゴ〉から再発された1968年のトン・ゼーのデビュー・アルバム(ブラジル音楽とアメリカン・ポップスとのもっとも奇妙な出会い)も聴かないとね。
![]() Zomby Dedication 4AD/ホステス |
ゾンビーは先回りしているようだ。いまごろ雷鳴が轟く丘の上の古城のなかで、ボトルを片手に、消費社会の速度に追われている人たちをあざけっているかもしれない。そして、人間の原始的な欲望はいつの時代も変わらないと、つぶやいているんじゃないか。
ゾンビーの音楽は多様というよりも、あまりにも無秩序に思えるときがある。〈ハイパー・ダブ〉から出している2枚組12インチがその好例だが、ガラージのレコードのなかに間違ってダーク・アンビエントが収録されてしまったかのような、唐突とした感覚がある。しかしそうした他との違いも、彼が様式や分析といったものよりも自分の原始的な嗅覚を尊重しているからだろう。そういう意味ではゾンビーは、いまどき珍しくディオニソス的である。以下の短い受け答えからもそのことは読み取れるはずだ。
彼の最新作『デディケーション』は、1980年代にゴシックの重要な舞台のひとつとなった〈4AD〉からリリースされている。彼はその名前からも察することができるように、死者、死霊、地獄、呪い、悪魔......といった闇や非合理的なものに執着しているが、同時に酩酊を推奨する。『デディケーション』は、冷静さをあざけり、なりふりかまわず酔いしれることを良しとするゾンビーの最新の成果である。
蛍光色の服を着るような、バカなクラバーとはまったくもって違うけどね。俺はいつもクラブの後ろでいい大麻を吸い、たくさんの女の子たちとボトルで何か良い酒を飲みながら音楽を聴いて浸るんだ。
■『Dedication』は素晴らしいアルバムでしたが、あなたはアルバムというフォーマットに興味がないのかと思ってました。『Where Were U In '92? 』はコンセプト・アルバムだったし、2009年の『One Foot Ahead Of The Other EP』でさえも、あなたは"EP"と言ったわけだし、シングル主義にこだわっているのかと思ってました。
ゾンビー:ただやりたいことをやりたいときにするだけだよ。そのとき書いてる曲に応じてEPにするかLPにするかをレーベルが相談してくるんだよ。とくにフォーマットに関してこだわりはないな、アルバムのコンセプトが物語とかなら別だけど。
■あなたの音楽はダンス・ミュージックもであり、ヘッド・ミュージックもでもあります。ダブステップのようで、ミニマル・テクノのようにも感じます。まるでジャンルの境界線で鳴っているように思うのですが、そこは意識してそうなっているのでしょうか?
ゾンビー:ダンス音楽の意図は変わっていて、音楽に好感を抱き、それに対して躍らなければいけないものじゃないんだ。踊れる曲を作るのはシンプルだよ。もう少しやりたいね。
■あなた自身、自分の音楽をどのように定義できると思いますか?
ゾンビー:芸術(アート)。
■ハードコア全盛期に音楽体験をしているから『Where Were U In '92? 』を作ったのでしょうけど、1992年にあなたは何歳でしたか?
ゾンビー:違うよ。その時代に対するラヴレターのような感覚だね。まだそんなパーティに行くには若過ぎたよ。外から見てはいたけどね。ただそこから得るものもあったよ。たとえば10歳の子が18歳のパーティに参加出来なくても興奮できないってわけじゃないだろ?
■1992年のどこにいちばん魅力を感じますか?
ゾンビー:選べないな。1992年はイギリス発信の多くの素晴らしいダンス音楽がリリースされた年だって事を理解しないと。Acenや Aphex Twinだってそうだろ。1992年の曲ならいまここでいくらでも挙げれるよ。
■あなたがゾンビーという名前を名乗った理由を教えてください。
ゾンビー:死んでるし、地獄にいたからさ。
■そこにドラッグ・カルチャーは関係していますか?
ゾンビー:いや。
■生まれも育ちもロンドンですか?
ゾンビー:ああ。
■ナイト・クラビングは好きですか?
ゾンビー:いまは仕事ばかりだけど昔は行ってたよ。蛍光色の服を着るような、バカなクラバーとはまったくもって違うけどね。俺はいつもクラブの後ろでいい大麻を吸い、たくさんの女の子たちとボトルで何か良い酒を飲みながら音楽を聴いて浸るんだ。
[[SplitPage]]ティンバランドやファレルなんかが登場したあとの音楽は信じられないほど良くなってて、UKもそれに匹敵するオリジナルのサウンドがあったし。そんな音楽の成長課程を目にしながら育って、参加しないわけにはいかないだろ?
![]() Zomby Dedication 4AD/ホステス |
■あなたが音楽制作をはじめたきっかけについて教えてください。
ゾンビー:当時自分をとりまいていた音楽がそうさせたんだよ。ティンバランドやファレルなんかが登場したあとの音楽は信じられないほど良くなってて、UKもそれに匹敵するオリジナルのサウンドがあったし。そんな音楽の成長課程を目にしながら育って、参加しないわけにはいかないだろ?
■顔を出さないのは、アンダーグラウンド・ミュージックの匿名性を重視しているからですよね?
ゾンビー:そんなことして無いよ。俺がZombyでロンドン出身なのは知ってるだろ? 検索すれば写真も出てくるし、ぜんぜん秘密じゃないよ。ただあまりネット上で自分をプロモーションしすぎないだけさ。俺は音楽をやるだけ。
■あなたは音楽に大麻からの影響はありますか?
ゾンビー:ああ、吸うよ。影響もあるだろうね。おそらく。
■アクトレスとはどのように知り合ったのですか?
ゾンビー:ずっと前から知り合いさ。
■あなたは自分がダブステップのプロデューサーだと言われることに違和感を感じますか?
ゾンビー:ああ。もういまはそう呼ばれるのは嫌いだよ、すべてがダブステップみたいなね。2005年にダブステップが出てきてから世界中の人がそれに乗っかってきてる状況で、ダブステップに意味を持たせるのはグッチ・メインがヘヴィーメタルだって言うようなもんだよ。おれはダブステップを作ってるんじゃなくて、音楽を書いてるんだ。おれはイングランド出身だし、ダブステップはイングランドで生まれたもんだけど、おれの作品の代名詞じゃないし、おれはダブステップより前に存在してるから。
■アルバム全体に漂う独特のトランシーな感覚はどこから来ているのでしょうか?
ゾンビー:わかんないな。
■"Riding With Death""Lucifer""Haunted""A Devil Lay Here"など不吉な曲名が並んでいますが、理由を教えてください。
ゾンビー:おれは地獄の扉に潜ったんだ。自分が感じるようにタイトルをつけるまでだよ。
■ホラー映画からの影響がもしあれば具体的に言ってください。
ゾンビー:そうでもないよ。どちらかと言えばヒッチコックとかキューブリックかな。状況を作り上げることに興味があるんだ。
■『One Foot Ahead Of The Other EP』もそうだでしたが、あなたの曲はじょじょにフェイドインして、いきなりぶった切るように終わる曲がいくつかありますよね? これはどんな理由というか、意図があってのことなんですか?
ゾンビー:それはそういうものってだけ。説明は不要だよ。
■まずはアルバムのテーマについて教えてください。あるコンセプトに基づいて作られたものであるなら、そのコンセプトも教えてください。
ゾンビー:このアルバムの制作準備中に親父が癌で死んだんだ。だから人生においてもっとも自分が影響され、自分の音楽を書くきっかけを作ってくれた父に捧げることにしたんだ。
■アニマル・コレクティヴのどんなところが好きでしたか?
ゾンビー:彼らの音楽だよ。
■あなたが4ADと契約した理由は、昔、このレーベルからコクトー・ツィンズが出ていたことも関係していますか?
ゾンビー:そんなものは聴かない。オレはラップしか聴かない。
■あなたが音楽に求めるモノは何でしょうか?
ゾンビー:スワッグ(自信、容姿や振る舞いなどからくる自身のスタイル)だね。
■エレクトロニック・ミュージックのプロデューサーで、好きな人の名前を何人か挙げてください。
ゾンビー:Aphex Twin、Burial、Lex Luger、Araab Muzik、Southside、Shawty Redd、Keyboard Kid......ラップを聴くね。インストは聴かないな。
■現在、ダブステップのシーンはメインストリームになりましたが、あなたは現在のシーンに関してどのような意見を持っていますか?
ゾンビー:オレとは関係ないよ。オレは売れるダブステップを作ろうとしてないし、ただ売れるダブステップを書いてる奴らにとったら、まぁすごいことだろうね。
2年ほど前、あるファッション関係の女性と話していたとき、彼女はいまもっともかっこ悪いのは金を持った中年だと言った。何故ならこのご時世、自分のセンスなどなくても金さえ払えば有名ブランドで身を固めることができる。最近はその手のファッショナブルな金満オヤジが少なくない。恥ずかしい......彼女は本当に顔を赤くして憤っていた。
ファッションとはそれなりの貨幣で交換するものではないのか......と若い世代が思うとしたら、そのように思わされてしまっているということだ。ファッションとは、ショーウインドウにいくら鼻をこすりつけても向こう側へは行けない人間が変身する術であり、日常的な自己表現のひとつである。あるいは、襟の長さやベントの位置にこだわることだ。ミュート・ビートは......藤川毅氏による本作の解説にも触れられているように、洒落たバンドだった。若者が憧れるには充分なほど、素晴らしくファッショナブルだった。ミュート・ビートは(これもまた解説に記されているように)、ポスト・パンクの流れで登場したバンドだった。そう、80年代のニューウェイヴ時代のバンドだ。この時代のバンドはみんな服装に関して意識的で洒落ていたものだが、単一のセンスに支配されることはなかった。バンドによって各々の趣味は発揮され、個性的だった。その多くが古着を利用して工夫していたわけだが、イアン・カーティスにいたっては作業服を着ていたほどだった。こだま和文も服装にこだわりを見せるひとりで、ミュート・ビート時代の彼は、映画『第三の男』のようなフィルムノワールに出てくる主人公を彷彿させるような40年代のスーツ・スタイル、もしくは20年代のスタイル、あるいはパンクやルードボーイのスタイルなどを自由気ままに取り入れてアレンジしていた(ちなみに最近は、19世紀末のヨーロッパのスタイル=燕尾服と縫いぐるみを混ぜている)。
結成20周年を記念すべく企画されたこのベスト盤『The Best of Mute Beat』は、メンバーが選んだ10曲とグラッドストーン・アンダーソンとの共作の1曲を加えたもので、こだま和文をはじめ、朝本浩文、今井秀行、エマーソン北村、内容幸也、増井朗人、松永孝義、宮崎泉(ダブマスター・X)、屋敷豪太の9名それぞれが2011年2月に投票した結果の上位10曲を収録したものである。3.11以前、こだま和文がソロ公演で演奏していた"キエフの空"も選ばれているが、これが驚くべきことに、メンバーからの票をいちばん集めた曲だったという話だ。多くの人は『ラヴァーズ・ロック』を推すが、僕はいまでもデビュー・アルバムの『フラワー』がいっとう好きだ。そのなかからは"メトロ"と"ビート・アウェイ"しか収録されていないが、2曲とも名曲である。バンドにとって最初のヒット曲、1986年の12インチ・シングル「コフィ」も収録されている。勢いのあるこのスカ・ナンバーはいま聴いても本当に格好いい......いや、いまだだからこそ格好いいと言うべきか......そう、ここ数年、欧米そして日本でも80年代のニューウェイヴ・リヴァイヴァルが続いている。要するに、欲を言えばキャッチーな"ハット・ダンス"(『フラワー』の2曲目)は入れて欲しかったってことである。
もちろん素晴らしいベスト盤だ。リスナーは、ミュート・ビートがいまでも最高のダンス・ミュージック・バンドであることに気がつくだろう。いろんなスタイルのビート、そして洒落たアレンジがあって、鼓笛隊のドラミングからはじまる"マーチ"のような愛嬌もある。多くの曲がリスナーの心を優しく揺さぶるだろう。それとも空をあおいでみたり、ため息をついてみたり、走りたくなったり、泣きたくなるかもしれない。プロフェッショナルな演奏を展開する、基本的にはエンターテイメント性を重視したバンドだったと思うが、言うまでもなく作品を特徴づけるひとつの要素はこだま和文のメランコリックなトランペットだ。しかしそれとて、インプロヴァイザーのように自己主張しているわけではない。それぞれの楽器――キーボードやトロンボーン、ベースやドラム、ギターとしっかり歩調を合わせながら"ミュート・ビート"のいち部として機能している。ほとんど伝説となっているグラッディ・アンダーソンとの共演"サムシング・スペシャル"は素晴らしい夜のための最後の1曲だ。これが収録されていることでこのCDの価値は確実に高まっている。
追記:1987年のグラッドストーン・アンダーソンとの共演ライヴもDVDとしてリリースされている。"アフター・ザ・レイン"の神秘的とも言えるはじまりも最高だが、このライヴでしか聴けないスカやロックステディの名曲カヴァーの数々は鳥肌モノ。また、当時のミュート・ビートがいかに我々にとって"先生"だったのかよくわかるライヴでもある。そしていかに女性に人気があったかも!
9/17 (土)DBS presents "BIG BASS SESSIONS"@代官山UNITは、3.11東日本大震災の一週後に予定されていた来日を断念せざるおえなかったDJ ZINCが今回イチ押しのSCRIPT MCを引き連れ、リベンジに臨む。そして迎え撃つは日本が誇るターンテーブルマエストロ、DJ KENTARO!!! これは絶対聞き逃せない!
筆者が主宰しているDBS(DRUM & BASS SESSIONS)は'96年11月に新宿リキッドルームでドラム&ベースの魅力をダイレクト感じてほしいという思いで開催し、現在は代官山UNITを本拠に今年で15周年を迎える。'07年のMALA初来日を皮切りに当時としては異色とも思われたドラム&ベースとダブステップの競演をはじめ、グライム、UKファンキーなどベースミュージックが体感できる場となっている。そして今年は15周年に向けたカウントダウンとして、DBSにゆかりのあるアーティストを中心に毎月の計画を進めていたものの東日本大震災、そして原発事故の影響で開催を停止せざるえなかった。が、ようやく、9月から再スタート。DBSの歴史のなかでもとりわけ深い関わりを持つ、DJ ZINCの登場である。そんなDBSとDJ ZINCとの関わりの記憶を辿り、彼の経歴を振り返ってみる。
筆者がZINCを知ったのは'95年、DJ HYPEのGanja Recordsからリリースされた「Super Sharp Shooter」だった。
Dj Zinc - Super Sharp Shooter (Original)ファンクやヒップホップのサンプルが織りなすこの曲はUKで沸騰爆発したジャングル・レイヴのアンセムとなり、無名のZINCをいち躍ドラム&ベース・シーンの最前線に押し上げた。当時20代前半のZINCに初めてロンドンで会って話を聞いたが「'80年代後半に海賊放送を聞いてレイヴに行き出し、DJをはじめるきっかけになった」、曲作りについては「他のアーティストとは違うオリジナリティが必要で、自分の以前の曲ともまた違う新しいアプローチでクリエイトする事が重要だと思う」と真摯に語ってくれたのが印象に残っている。まもなくZINCはHYPE、PASCALらとレーベル〈True Playaz〉を設立し、大ヒットを連発、快進撃を続け、'97年6月のDBSでHYPEとともに来日を果たして以来、DBS恒例となった"True Playaz Night"でしばし来日し、バウンシーな独自のサウンドで日本での人気を拡大しておこなった。
その間、ZINCに変化が起こったのは'99年に〈True Playaz〉からプロモ発表された"138 Trek"。
Dj Zinc- 138 Trekドラム&ベースのベースラインをまさに138 bpmというUKガラージのテンポで表現したこの実験作は、ブレイクスと2ステップ/UKガラージの両シーンから圧倒的な支持を受け、ブレイクステップ/ブレイクビート・ガラージという新ジャンルを確立し、翌2000年に立ち上げた自己のレーベル〈Bingo Beats〉へと発展する。それは、対等な関係とは言え、キャリアの違いゆえ〈True Playaz〉のなかでHYPE、PASCALに次ぐ"第三の男"として世間一般に認識されたZINCにとって大きな転機であり、また彼の音楽的実験のために必然だったと言えよう。
〈Bingo Beats〉においてZINCはJAMMIN名義でUKガラージ・シーンに切り込み、ZED BIAS、DARQWANことORIS JAY、WOOKIEといった重鎮と関わり、彼のレーベルはドラム&ベース、ブレイクビート、UKガラージ、ブレイクス、ダブステップと、UKアンダーグラウンド・サウンドの先端を網羅する。そこにはグライム〜ダブステップを先導した海賊放送Rinse FMとその系列で'01年にはじまったパーティ「FWD>>」、レーベルの〈Tempa/Soulja〉との密な交流が生まれた点が大きい。そしてDBSでは'03年にZINCとZED BIASをフィーチャーして最初の"Bingo Beats Night"を開催して以来、レギュラーとなり、盟友DYNAMITE MCとのコンビで日本を沸かせ続けた。
'03年にはドラム&ベースの範疇に留まらないZINCの才能をアピールしたアルバム『FASTER』がメジャーの〈Polydor〉から発表される。ここには90 bpmのダウンテンポから180 bpmの高速ドラム&ベースまで自在に遊泳し、フューチャー・ジャズ、2ステップ〜ダブステップにも大きな影響を与えた。
その後、〈Bingo Beats〉はディーヴァ、JENNA Gをスターダムにのし上げ、CHASE & STATUS、SIGMAといったドラム&ベースの精鋭を擁して発展を続け、ZINCのDJ活動もワールドワイドに拍車をかけた。そんなZINCに次なる転機が訪れたのは'07年、そのフォーマットの呪縛か、ドラム&ベースに独創性を見出せなくなった彼は、ドラム&ベースに背を向け、DBSを除くいっさいのDJブッキングを取り下げ、幼い息子との濃密な時間を過ごし、自身のキャリアをいかに前進させうるか、試行錯誤したと言う。そのあいだZINCはDBSにダブステップを繋ぎ、SKREAMを伴って'07年に来日した他、BENGAやN-TYPEとの仲介も務めてくれた。またいまやベース・ミュージック界の歌姫となるKATY Bを'08年に見出している。
DJ Zinc ft. Katy B - Take Me With You'09年、ZINCが出した回答は"Crack House"。ZINCならではベースライン・サウンドを主体とし、エレクトロ、ダブステップ、ディープ・ハウス、フィジェット・ハウス、ファンキー・ハウス、ブレイクス、ジャングル等をミックスした最新鋭のエレクトロ・ダンスミュージックの誕生である。同年に〈Bingo Beats〉のサブレーベルとなる〈Bingo Bass〉から「Crack House EP」を発表、そして昨'10年にはMS.DYNAMITEのヴォーカルをフィーチャーしたシングル「Wile Out」をUK TOP40にチャートイン、次なるEP「Crack House Vol.2」のリリースでZINCの新機軸"クラック・ハウス"はUKシーンの最前線に躍り出る。その後もPAUL WELLERの"Wake Up The Nation"のリミックスを手掛けた他、KATY Bのデビューアルバム『ON A MISSION』のプロダクションに関わるなど、新領域を驀進している。また最近はUKで'95年のジャングル・セットを披露するなど、DJを楽しんでいるようだ。
DJ Zinc ft. MS Dynamite - Wile Out来日が間近に迫ったZINCに近況を聞いた。
■現在"ベース・ミュージック"という括りでダブステップ、ファンキー、クラックハウスなどのUKサウンドが脚光を浴びています。"ベース・ミュージック"と言うのは曖昧にも思えますが、あなたはこの括りをどう思いますか。
DJジンク:名前のとおり、同じ起源を持っているすべての異なったジャンル似ついて説明する早道だと思うよ。
■その"ベース・ミュージック"の発展に大きく貢献したのは今年17周年を迎えるRinse FMだと思います。あなたはRinse FMと深く関わっていますが、どう思いますか? また、Rinseがパイレーツでやっていた時代と合法化されたいまとでは違いがありますか(※94年に海賊放送としてはじまったRinseは'10年に認可された)?
DJジンク:そのとおり。Rinse FMは新しい音とともにつねに動いて、アンダーグラウンド・ミュージックを強くサポートしてきた。僕はRinseの運営者達と親密でRinseのDJでもあるよ。ライセンスを得る前と後で音の違いは全くないけど、認知度が広がり、とても大きなステーションになったね。
■09年の「Crack House EP」、10年の「Vol.2」であなたがクリエイトしたクラック・ハウスは浸透したと思います。その後のリリースはありませんが、今後どのようにクラック・ハウスを推進していこうと思っていますか? また、最近の制作活動を教えてください。
DJジンク:いまもクラック・ハウスのトラックに取り組んでいて、〈Rinse Recordings〉のためのアルバムを作っているよ。ヴォーカルや生楽器も入れていて、エキサイティングだよ。
■ドラム&ベースのジンクを期待するファンと現在のあなたの音楽性によるギャップがあったかと思いますが葛藤はなかったですか?
DJジンク:さほどではないよ。僕が聞いた多くのコメントは、「いつドラム&ベースを止めたんだ、怒るよ」ってものだったけど、いまは「新しいハウス・サウンドが好きだよ。勇敢に立ち向かってくれてありがとう」というのが多い。僕はドラム&ベースでとても忙しかったからスタイルを変えるのは難しかったんだ。
■現在あなたが注目しているアーティストを教えてください。
DJジンク:REDLIGHT、BOY 8 BIT、JACK BEATS、WILL BAILEYだね。
■今回一緒に来日するSCRIPT MCとはどうやって知り合ったの?
DJジンク:僕が年に1、2回プレイするNewquayのクラブでレジデントだったので知り合ったんだ。彼は良かったし、自分のセットにMCが必要だと思った時、真っ先に彼を選んだんだ。
■今回のロンドンの暴動は日本でも大きな話題となりました。この件について個人的にはどう思いますか? またダブステップの本場のクロイドンは暴動のひとつのポイントになりましたが、音楽がUK社会に与える影響は無関係なのでしょうか。
DJジンク:そのとき僕は英国を離れてたので実際にこの目で見ていないんだ。クロイドンのように、貧困地区はしばし非常に良い音楽を作ると思う。人びとは多くの空き時間やとても強いエモーショナルなフィーリングがあるからね。
■最後に、3月に決まっていたあなたの来日公演は1週間前に起こった地震の影響で中止になりました。その後も原発事故の影響で日本全体がいまも苦しんでいます。しかし音楽の力を信じている人は多くいますし、あなたの来日を熱望していた人々もいます。9月の来日にあたっての抱負と日本人へのメッセージをお願いします。
DJジンク:日本に戻るのを楽しみにしています。3月にキャンセルしなければならなかったのはとても悲しかったけど、地震の数日後で東京の状況がとても悪かったからね。僕には日本の人びとがそれ以来、困難なときを過ごしているのがわかります。そして今回僕が東京で音楽をプレイし、人びとが楽しんでくれて数時間でも皆が抱えている問題を忘れてもらえれば。music unites people. see you soon tokyo family!
DJ ZINC関連リンク
https://djzinc.com/
https://www.myspace.com/bingozinc
https://twitter.com/djzinc
https://rinse.fm/
text by KYOHEI KAMBA
DRUM&BASS SESSIONS 15th.Anniversary Countdown!! [1996-2011]
DBS presents "BIG BASS SESSIONS"
2011. 09. 17 (SAT) @ UNIT
feat. DJ ZINC+SCRIPT MC
DJ KENTARO
with: Eccy , Dj P.O.L.Style
DJ MASSIVE
vj/laser: SO IN THE HOUSE
B3/SALOON: TETSUJI TANAKA, DJ MIYU, ENDLESS , ATSUKI (MAMMOTHDUB)
open/start 23:30
adv.3300yen door 3800yen
info. 03.5459.8630 UNIT
https://www.unit-tokyo.com
https://www.dbs-tokyo.com
マサチュセッツからL.A.に拠点を移し、前作から3年ぶりとなるケイ・ザ・アイ???ことキキ・シークのサード・ソロがリリースされた......のだけれども、いままで彼のことを知らなかった人には、むしろ、これまでの活動内容を教える気になれないない。それぐらい、彼のこれまでの作風からはかけ離れていて、一体、これはなんというジャンルに属するものなのだろうと考えてしまうほど新譜紹介の路頭に迷ってしまう。基本的には何かのムーヴメントに属している音楽が好きで、そのようにして想像界の奴隷と化していることにさしたる文句はないのだけれど、たまには作家性だけで音楽にやられてしまうことも悪くはないというか。とにかく、この、どこにも属さない楽しさは素晴らしい。
ジ・オーブ風のふにゃふにゃとしたオープニングから、いまの季節にそぐわないガッシりとしたブレイクビーツにヘロヘロとインプロヴァイゼイションめいた無調のシンセサイザーが絡みつく。続く"もしも彼らを殴れないなら、彼らの仲間になれ"では一気にアブストラクな展開へと雪崩れ込み、"秋に近づかない"ではインダストリアル・ダブ・フォークをループさせ、激しいカット・アップの向こうからスカにヒップホップを混ぜ合わせたものが聴こえてくる(レゲトンとかダンスホールではない)。さらに"やる必要があってさえ?"ではトロピカル・タッチのインダストリアル・ブレイクビーツが後半から思いも寄らないムードのダブへと突入し、モンドを早回しにしているような"あなたは私を傷つける"や"サン・シャイン・オン・ミー"と、リズム・キープもどこへやら(ちゃんとしてますけどね)、そして、どこからともなく湧き上がってくる感慨を受けて、アンチコンからソールをフィーチャーして意外とまともなラップに聞こえる"サード・プラネット"へ。中盤の流れはどこか『ファンタズマ』を思い出すけれど......そう、このアルバムはアンダーグラウンド・ヒップホップの『ファンタズマ』と考えていいのではないだろうか。5秒ほど待ってみたけれど、どこからも反論がなかったので、そう認定してしまおう。ふはははは(©中村うさぎ)。
後半は複雑なレイヤー構造から脱し、あくまでも打点の置き方を複雑怪奇にしたビート・フリークぶりを印象付けていく(とくにタイトル曲)。「社会的不適合」では、若干、初期の作風を思い出すものの、かつての自由度とは違う種類の自由を感じさせるところがあり、デビュー・アルバム『ブロークン・ラヴレター』(06)でたっぷりと聞かせてくれたジャズの再利用とはまったく違うところに関心が移っていることもよくわかる。また、エンディングに向かって曲の構造を単純にしていくことで、解放感を高めていくという意図も感じられ、実際、複雑に絡み合ったイメージを抜け切ったところでアルバムは終了する。とはいえ、そう簡単にすっきりさせてくれるわけでもない。『テルマ&ルイーズ』のように、気分が昂揚したところで、あえて結論が示されないまま途中で放り出される(これほど次にどんな音楽を聴こうか迷ったことはない)。
PS:......そうはいっても、このアルバムを聴いて、彼のこれまでの活動にも興味を持ってしまったという方には、〈マッシュ〉からのデビュー・アルバム『ブロークン・ラヴレター』とショートロックとのジョイント・アルバム『3・トゥ・3・ミリオン・ロボッツ・トゥ・コマンドー』(06)はお勧めしますが、セカンド・ソロにあたる『イエスタデイ、トゥデイ&トゥモロー』(08)はそれほどでもないので、どうしても気になる方はどーぞ。
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GALAXY 2 GALAXY
HI-TECH JAZZ
UNDERGROUND RESISTANCE(US)
»COMMENT GET MUSIC
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9月3日はメタモルフォーゼですね! 今年でもう12回目なんですね......すごいなー。
メタモルフォーゼ......いまさら説明するまでもないけど、日本最大規模のオールナイトの野外フェスです。レイヴ・カルチャーの申し子として、DJの赤間マユリさんが2000年からはじまっているメタモルフォーゼ(メタモの愛称で語られている)は、出演者のメンツが幅広く、とにかく気の利いている。親分率いるギャラクシー2ギャラクシー、ムーディーマン、デリック・メイというデトロイトのビッグ3をはじめ、オービタルと808ステイトというUKテクノの大御所、ゴールド・パンダや2562のような新世代、それからカール・バルトス(元クラフトワーク)、UKエイジアンのタルヴィン・シン、あるいはサイケデリック・ロック・バンドのザ・フレミング・リップス......日本勢もオリジナル・レイヴ世代のダブ・スクワッドやQHEY、ヤマタカ・アイ、DJバク、七尾旅人、にせんねんもんだいなどなど本当に幅広く良いメンツが揃っているんです。
実は僕は昨年も遊びに行っているんですが......出発直前までさんざんビールを飲み、車が山道で迷っているときに車酔いして、最初のデリック・メイのDJやマニュエル・ゲッチングのライヴは良かったのですが、X-102のハードコアなライヴでノックアウトされ、ぶっ倒れているところを友人に見つかり......、それからフラフラになりながらマイク・バンクスに会いに行って、そしてまたアルバム・リーフのライヴでぶっ倒れていたという哀れな思いをしているのです。ホントに素晴らしいフェスだっただけに、そんな自分が情けなくて......今年はまずはとにかく会場に着くまではアルコールを飲まずに体力を温存しようと決めているのであります。
会場となる伊豆・修善寺にある「自転車の国 サイクルスポーツセンター」が安心して楽しめる場所であることも魅力ですね。入ったことないけど温泉もあるし......あれってどうなんでしょう。今年こそ挑戦してみようかな。
METAMORPHOSE 2011
公演日:9月3日(土)
会場:自転車の国 サイクルスポーツセンター (静岡県伊豆市)
https://www.csc.or.jp/
OPEN/START:16:30/18:00 (4日午前9時 終了予定)
前売り一般入場券 (7月1日一斉発売) ¥12500
駐車券¥2500 バイク¥1000
テント券 (規定枚数に達した為終了)
出演者:
THE FLAMING LIPS、ORBITAL, GALAXY 2 GALAXY, CUT CHEMIST, GALACTIC, 808 STATE, EBO TAYLOR AMND AFROBEAT ACADEMY, TIM DELUXE, STIEVIE SALAS and BERNARD FOWLER present the I.M.F's feat. Juan Alderetti and Jara Slapbak, MINILOGUE, GOLD PANDA, 2562, DERRICK MAY, MOODYMANN, TALVIN SINGH, KARL BARTOS, REGA, EYE, DUB SQUAD, DEEP COVER, 七尾旅人、にせんねんもんだい、DJ BAKU, QHEY, MAYURI
イベント問い合わせ
メタモルフォーゼ事務局 03-3429-7240 (平日13:00-18:00)
チケット問い合わせ
ディスクガレージ 03-5436-9600(平日12:00-19:00)
僕が最初にハイイロ・デ・ロッシに深い関心を抱いたのは、彼が台湾系日本人のラッパー、タクマ・ザ・グレイトと昨年の11月28日にYouTubeにアップした「WE'RE THE SAME ASIAN」を聴いたときだった。尖閣諸島の領土問題に端を発した渋谷の反中国のデモにレスポンスしたこの曲は、いわばヒップホップ・アゲインスト・レイシズムだ。ラップ・ミュージックによる人種差別や排外主義への的確なカウンター・パンチだった。インターネット上のニュース・サイトのコメント欄は炎上した。しかし、彼らは音楽によってリスクを冒してでも議論の場を作ることに覚悟があった。詳しくは本サイトの彼のインタヴュー記事を読んで欲しい。東日本大震災が起きた翌日に「PRAY FOR JAPAN」という曲をいち早くYouTubeにアップしたのもハイイロ・デ・ロッシだった。
言葉に重きがあるという意味において、一般的に日本語ラップは言葉が強い音楽だ。純粋に音だけを聴こうとすれば、相対的に国内外の他のジャンルより退屈だという意見もよく聞く。言わんとすることはわかる。実際に少なくないラッパーが「他のジャンルに音楽として舐められている」という思いを抱いていることも知っている。
では、純粋に音を聴くとは何か? いまこの問いを掘り下げることは避けるが、音楽は音だけではないというのはもうひとつの真実である。グッチ・メインやリル・ウェインのミックステープは逮捕や釈放のニュースとともに届くし、NYのジェイ・Zや京都のアナーキーの地元意識は彼らの音楽を磨いている。ナズがオバマに向けた曲やシーダが日本を憂う曲に私たちは感動し、タイラー・ザ・クリエイターやメロウハイプの猟奇性と乾いたサウンドの秘密を読み解こうとする。ECDに至っては......(以下、省略)。
ミュージシャンの人間性、背景や人生、あるいは思想や政治性も音楽文化の重要なファクターである。そもそもいまの日本でこれほど積極的に"社会に開かれた"音楽ジャンルが他にあるだろうか。それが日本語ラップの魅力でもある。ハイイロ・デ・ロッシのような勇敢な表現者が登場する音楽文化がこの国にも存在することを僕は嬉しく思う。
「右翼だろうが、ギャングスタだろうが、オレはラップだったらやりますよ」。筆者のインタヴューにハイイロ・デ・ロッシはラップだったら誰とでも勝負すると語り、自分は音楽主義者であると強調した。本作『forte』に収められたミドル・テンポのファンク・トラック"Ultimate Arts"で、彼はこんなことをラップしている。「HustlerやPimp以外がProps得る方法を教えてやる/それはRap出来るか出来ないか」
ファースト・アルバム『TRUE BLUES』を2008年に発表したとき、彼は流麗なジャジー・ヒップホップの上で巧みにラップするラッパーだった。音の隙間を縫うようにドリブルするフロウには、計算された美しさと華麗なフットワークがあった。件の取材でも彼はエミネムやタリブ・クウェリのラップのリズム分析を饒舌に語った。
ファーストのスタイルを洗練させた2010年のセカンド・アルバム『SAME SAME BUT DIFFERENT』は、国内のインディ・ヒップホップを取り扱う恵比寿のレコード店〈we nod〉の2010年上半期ベスト・リリース20枚に選ばれた。エクシーがトラックを制作した表題曲を聴くと、「WE'RE THE SAME ASIAN」の伏線になっていたことに気づかされる。慈悲に溢れたこの曲は彼のキャリアにおいてもっとも重要な1曲に入るだろう。
サード・アルバム『forte』は現在25歳のハイイロ・デ・ロッシの人間的成長と音楽的展開が落とし込まれる形となった。タイトルは自身が運営するインディ・レーベルからきている。Pigeondust、EeMu、HIMUKI、Legro、YAKKLE、JUELS、%Cといったトラックメイカーが参加している。
ドラッグを否定する"Good Bye Kidz HipHop"や"夕陽が落ちて行く前に"のなかで歌われるナイーヴな態度に僕は馴染めない部分もあるけれど、深く傷ついた経験は人を過剰に防衛的にもする。これらの鬼気迫る感覚は、彼がハードな経験を乗り越えてきたことを思わせる。
「ACID MDMA コカイン/オプションが無きゃ語れないPain/そんなに急いで何処へいくHipHop?/つきまとう暴力イリーガル/はく付けるよりスキル付ける」"Good Bye Kidz HipHop"
印象でしかないが、例えばダンス・ミュージック・シーンよりヒップホップ・シーンのほうがネガティヴな形でドラッグや暴力の問題が噴出する場合が多いと感じる。ここまで言わせる現実があるのもまた事実なのだ。
ハイイロ・デ・ロッシのラップは鋭く切れるペーパーナイフのようだ。繊細さと大胆さがあり、言葉の端々からは彼の野心が漲っている。タクマ・ザ・グレイトやバン、万寿といった彼らのクルー、BLUE BAGGY HOO RE:GUNZの仲間を迎えた"S.K.I.L.L.Z" で、下手なラッパーを蹴落とすかのように自分たちのラップの上手さを誇示している。ネプチューンズとJ・ディラの間を行くようなLegroの渋いトラックも面白い。
Graceという女性シンガーをフィーチャーしたラヴ・ソング"Honey"はスウィートなソウル・ミュージックのサンプリングとチョップから構築されている。JUELS というLAのトラックメイカーによる1曲だ。また、"Blue Bird Classic"ではミニー・リパートン"インサイド・マイ・ラヴ"をサンプリングしているが、彼らはこの定番ネタの淡いピンク色とブルーを溶け合わすことで独自の色を出している。
アルバムは全体的にメランコリックなトーンが強い。これまでにあまり見せることのなかったソウル・ミュージックの感性やBボーイらしいセルフ・ボースティング、攻撃性も聴くこともできる。また、慈悲というのは現在のハイイロ・デ・ロッシの主題かもしれない。いずれにせよ、「WE'RE THE SAME ASIAN」で脚光を浴びたラッパーの注目の新作である。