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K-the-I???

K-the-I???

Synesthesia

Fake Four Inc.

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三田 格   Aug 30,2011 UP

 マサチュセッツからL.A.に拠点を移し、前作から3年ぶりとなるケイ・ザ・アイ???ことキキ・シークのサード・ソロがリリースされた......のだけれども、いままで彼のことを知らなかった人には、むしろ、これまでの活動内容を教える気になれないない。それぐらい、彼のこれまでの作風からはかけ離れていて、一体、これはなんというジャンルに属するものなのだろうと考えてしまうほど新譜紹介の路頭に迷ってしまう。基本的には何かのムーヴメントに属している音楽が好きで、そのようにして想像界の奴隷と化していることにさしたる文句はないのだけれど、たまには作家性だけで音楽にやられてしまうことも悪くはないというか。とにかく、この、どこにも属さない楽しさは素晴らしい。

 ジ・オーブ風のふにゃふにゃとしたオープニングから、いまの季節にそぐわないガッシりとしたブレイクビーツにヘロヘロとインプロヴァイゼイションめいた無調のシンセサイザーが絡みつく。続く"もしも彼らを殴れないなら、彼らの仲間になれ"では一気にアブストラクな展開へと雪崩れ込み、"秋に近づかない"ではインダストリアル・ダブ・フォークをループさせ、激しいカット・アップの向こうからスカにヒップホップを混ぜ合わせたものが聴こえてくる(レゲトンとかダンスホールではない)。さらに"やる必要があってさえ?"ではトロピカル・タッチのインダストリアル・ブレイクビーツが後半から思いも寄らないムードのダブへと突入し、モンドを早回しにしているような"あなたは私を傷つける"や"サン・シャイン・オン・ミー"と、リズム・キープもどこへやら(ちゃんとしてますけどね)、そして、どこからともなく湧き上がってくる感慨を受けて、アンチコンからソールをフィーチャーして意外とまともなラップに聞こえる"サード・プラネット"へ。中盤の流れはどこか『ファンタズマ』を思い出すけれど......そう、このアルバムはアンダーグラウンド・ヒップホップの『ファンタズマ』と考えていいのではないだろうか。5秒ほど待ってみたけれど、どこからも反論がなかったので、そう認定してしまおう。ふはははは(©中村うさぎ)。

 後半は複雑なレイヤー構造から脱し、あくまでも打点の置き方を複雑怪奇にしたビート・フリークぶりを印象付けていく(とくにタイトル曲)。「社会的不適合」では、若干、初期の作風を思い出すものの、かつての自由度とは違う種類の自由を感じさせるところがあり、デビュー・アルバム『ブロークン・ラヴレター』(06)でたっぷりと聞かせてくれたジャズの再利用とはまったく違うところに関心が移っていることもよくわかる。また、エンディングに向かって曲の構造を単純にしていくことで、解放感を高めていくという意図も感じられ、実際、複雑に絡み合ったイメージを抜け切ったところでアルバムは終了する。とはいえ、そう簡単にすっきりさせてくれるわけでもない。『テルマ&ルイーズ』のように、気分が昂揚したところで、あえて結論が示されないまま途中で放り出される(これほど次にどんな音楽を聴こうか迷ったことはない)。

PS:......そうはいっても、このアルバムを聴いて、彼のこれまでの活動にも興味を持ってしまったという方には、〈マッシュ〉からのデビュー・アルバム『ブロークン・ラヴレター』とショートロックとのジョイント・アルバム『3・トゥ・3・ミリオン・ロボッツ・トゥ・コマンドー』(06)はお勧めしますが、セカンド・ソロにあたる『イエスタデイ、トゥデイ&トゥモロー』(08)はそれほどでもないので、どうしても気になる方はどーぞ。

三田 格