数年ぶりの国立。駅は改装中だった。
土生"Tico" 剛は「腹減ったからカレー食べる」と言った。僕はビールを頼んだ。ウェイトレスのお姉さんは土生君にも「お飲み物は?」と訊いたが、彼は「水があるからいい」と答えた。「もったいないし」......。
『太陽と花嫁』は日々の暮らしに必要とされるであろう愛を誘発する音楽だ。アルバムにはいろんな愛が詰まっている。
6月後半の曇天の昼下がり、国立の古くて品が良い喫茶店で、土生"Tico" 剛と会った。
家族は早めに九州に逃がして、俺は家にひとりでいてテレビ見ていたの。そんで頭おかしくなってきたから、ちょっと自然のヴァイブスを取り戻そうと思って、温泉に行って、そこで冷静に考えたの。
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■さっそくだけど、今回も良いアルバムで......、素晴らしかったですよ。
土生:ヤーマンっす。
■聞いた話だと、レコーディング中にちょうど地震があったんだって?
土生:そうだね。制作期間中にそれがあって。
■どんな感じだったんですか?
土生:それね、録音してるときじゃないけどね。その日にリハーサルがあって、で、俺は外で弁当食おうと思って...食おうと思った瞬間に来て。
■外で弁当食おうと思った瞬間というと?
土生:立川の警察署に出頭してて。
■ハハハハ、なんで?
土生:罰金のカネ払わなくて、呼び出し食らってたの。
■なんの罰金?
土生:交通関係。
■あー、交通関係。
土生:で、その帰りに国立で腹減ってたからカキフライ弁当大盛り買って食べようとした瞬間に、ガーっと(地震が)来て。カキフライ2コ落ちたんだよ。夜にリハーサルだったから、がんばってスタジオに行ったんだけど、誰も連絡取れずで。
■携帯繋がらなかったからね。
土生:ものすげー時間かかったね、スタジオまで。で、誰も来るわけないよね。電車もストップしてるから。(田村)玄(一)さんは車でスタジオに向かったらしんだけど、すごい渋滞で途中で断念して、結局家に帰るまで8時間かかったって言ってた。
■スタジオは遠いの?
土生:吉祥寺だから近いんだけど。
■じゃあまあそんなに。
土生:スタジオにポツリとひとりで、ふと、俺も練習してる場合じゃねぇじゃんと思って、また2時間ぐらいかけて帰ったの。
■リハっていうのは、もうアルバムを録音しはじめていたの? 録る前の段階?
土生:録る前の段階で、リハして良い感じになった曲は録っていって、また次の2~3曲をリハして録音するって感じで、いっきに全曲録るわけじゃないんだよね。震災前に録音してた曲も、もちろんあるよ。
■途中だったんだね。だいたい完成まで、どのぐらい残していたの?
土生:半分ぐらいかなぁ。
■半分ぐらい。
土生:震災直後でパニックだったから、いろいろメンバーと話したんだけど、「こんなときだから逆にやりましょう」みたいな。熱い想いがメンバーそれぞれにあったね。
■心強いね。
土生:そうそう。あらためて契りを交わしたんだよ。ちぎり......。
■福島第一原発の影響は?
土生:もちろんあったよ。家族は早めに九州に逃がして、俺は家にひとりでいてテレビ見ていたの。そんで頭おかしくなってきたから、ちょっと自然のヴァイブスを取り戻そうと思って、温泉に行って、そこで冷静に考えたの。
■なるほど。そういう大きなことがあったから、当初予定されていたものとは違った箇所が出て来きたと思うんだけど、どうなんですか?
土生:いや、自分ではわからない。たぶん意識していなくても、音に出ているんじゃないかと思うんだけど、とくに意識して何かを変えたってこともないから。
■あらかじめ曲は決まっていたから?
土生:そう、年明けに、たこ焼きパーティしながら、みんなでデモテープを聴いて。2月は練習して、アレンジして、で、良くなって来たら録音するって流れになってた。
■じゃあ、やることは決まっていたんだね。
土生:そう。
■とくに何か変えようとは思わなかったんだね。
土生:ただ気持ち的には強くなったね。みんな。
■ああ
土生:だから音にも、そんなところが出てるんじゃないかなと思うんだけど。
■『太陽の花嫁』っていうタイトルも決まっていたの?
土生:決まってない。
■それはあとからなんだ。
土生:うん、曲名はいっさい決まってなかったから。
■あー。
土生:最後の最後まで。
■なるほどね。
土生:デモの段階では曲名を決めないんだよね、言葉でイメージが固まっちゃうから。どんどんセッションしてくなかで変わっていくものだから、曲は。
■で、どうして『太陽の花嫁』っていうタイトルにしたの?
土生:究極の幸せっていうか、愛......溢れ出る愛。太陽は生命の源だしね。
■まあそうだね。生命の象徴というかね。
土生:そうなの。
■曲名も土生君がつけるの?
土生:いや~、曲名で俺の出番はないよ。リトテンは曲名の検閲が厳しくて。
■民主制だから(笑)?
土生:そうなんだよ。なかなか通らない。とにかく曲名決めるのが難関で、曲作るよりたいへんだっていう
■でも、さすがに今回は満場一致だった?
土生:そうだね。泣いてたね、みんな。号泣してたね。
[[SplitPage]]『太陽の花嫁』っていうタイトルは、究極の幸せっていうか、愛......溢れ出る愛。太陽は生命の源だしね。
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■リトルテンポって、すごくキャリアがあるバンドで......。へたしたら結成して20年ぐらい経っているでしょ。
土生:余裕で経っているね。学生の頃にいっしょにバンドやってた連中もいるからね。
■92年に結成だっけ? ラティチュードが1995年ぐらいでしょ。
土生:かなー。その前にシングルを出してるんだけどね。
■まあ、とにかくそのぐらいのキャリアがあるわけだけど、アルバムも10枚以上出してるし。で、『山と海』(2008年)以降、なんかすごく吹っ切れた印象受けるんだよね。
土生:うん。
■それまでのアルバムも俺はみんな好きなんだけど、『山と海』より前は、アルバムごとに工夫しているというか、初期の頃はヒップホップの影響が強いし、『ケダコ・サウンズ』(2001年)の頃は、こういうこと言うと嫌がるかもしれないけどラウンジーな感じもあるし、『スーパー・テンポ』(2005年)の頃はもっと躍動感が強調されている感じがするんだけど、『山と海』からは、タイトルが象徴的だと思うんだけど、削ぎ落とされた感じがあるんだよね。あえてベタな言葉を使っているというか。
土生:敢えてってこともなくて、自然に出てくるんだよね。
■そこはやっぱ、何か吹っ切れたってところじゃない?
土生:そうだね。うん。
■どういう部分が。
土生:自然でいいんじゃないかなっていう。何かこう大きな野望を抱いてとか、「ブチかましてやる」とかって感じじゃなくて。自然体でいたいな。
■その前は野望があったの(笑)?
土生:野望あったよ。紅白歌合戦に出演するとか(笑)。
■過去の作品を聴き直すと凝っているんですよ。
土生:すごい凝っているね。あの時代はサイケだった。
■なぜ『山と海』になったの?
土生:自然そのものに憧れてたね。街を否定するわけじゃないけど、いちばん必要なのは、ありのままの自然。ベタだけど、俺、ホントにそう思うんだよね。自然のなかで遊ぶのが好きなの。本来は自然といっしょに生きているわけだけど、都会で生活していると人間本来の感覚が麻痺してきちゃうんだよ。だから、なるだけ山と海に行って遊びたいなっていう気分だった。
■そういう、自然のままでやる、ありのままの自分たちで良いって、言葉でいうのは簡単だけど、実際にやっていくのって、また別のことだと思うんだけど。
土生:何も考えていない。考えていたらできないから。感覚じゃない。
■それは経験から来るものなのかな?
土生:そう、みんなそういう感覚だと思う。言葉じゃない世界。
■録音がやっぱ違うと思った
土生:そうだね。スタジオや録音の仕方で変わる部分は大きいと思うけど、結局、精神的な部分が大きく作用するよね。
■そこはミュージシャンが鍛えられていくってことなんだろうね。
土生:日々、修行です。
■曲は土生君が作ってるんでしょ? どんなふうに?
土生:俺ね、ゼロワンっていう時代遅れのキーボードがあって、16チャン打ち込めるのよ。それで、ベースラインだったり、リズムだったり、あとメロディだったりを軽くスケッチしておいて、で、そういうスケッチがいっぱいあるのよ、俺。
■へー
土生:そのなかで、イケてるなと思ったヤツを育てるわけ。で、ある程度まで自分で育てたら、みんなのところに持って行って、曲を育ててもらうの。
■そのスケッチっていうのは日常的にやってるの?
土生:毎日、定期的にはできないよ。突然の合コンもあるからね(笑)。
■ふーん。
土生:だからアレだよ、理論とか楽典みたいなので作っている人がいるかもしれないけど、俺はまったくそういう部分で作らないから。なんだろうな......ホントに......言葉では言えないね、それは。
■ああ。
土生:そんな高度なことをやってるつもりはぜんぜんないけど、とにかくイメージが膨らんでいくだけだからさ、いかにそこを広げるかって作業だね。
■『太陽の花嫁』は最近のスケッチを編集したって感じなのかな?
土生:いや、昔にできてた曲もあるし、1年なのか2年なのか、その期間はわかんねぇな。
■まあとにかく、土生くんの毎日の、その気分になったときのスケッチがベースにあるんだね。
土生:今回にいたるまで、いろんな人とセッションして、そんななかで曲が生まれたってこともあったし、アルバム用に新たに作ったヤツもあるし、すべて流れだね。
■作り方に変化はある?
土生:変わらない。
■変わらないんだ。
土生:うん、ぜんぜん変わらない。昔からデモ作るのはゼロワンだし、楽器弾きながやることが多いね。リズム流して、ベース弾いたり、パン叩いたり、ギター弾いたり。
■もともとはギターだもんね。
土生:そう、サイコビリー。
■ちょっと話しが戻るんだけど、福島第一原発がボカーンといったとき、けっこうミュージシャンみたいに自由に移動できる立場の人で東京離れた人は多かったじゃん。土生くんはそのときどう考えてた?
土生:俺はぶっちゃけ、仲間のいるところからは逃げられなかった。自分だけそうゆうことはできなかった。ただ、家族は避難させたよ。まだちっちゃい子供がいるから。放射能ヤバいから。でも俺はレコーディングを延期する気はなかったし、やりたくねぇってヤツがいれば、そうしたけど、そういうこと言う人はいなかったからね。
■でもミュージシャンという職業なら、わりと移動しやすいわけじゃん。
土生:俺個人で言うと、東京の人間だし、国立で生まれ育っているから、俺のふるさとは多摩、武蔵野なの、だから、そこを簡単に離れる感じではないね。あと俺は東京にいる仲間といっしょに音楽やってるから、それは大事な縁だと思ってるから、その縁を大事にしたいっていうのもあるよ。そこが俺の最大のポイントだね。縁で繋がっていて、金で繋がっているわけじゃないからさ。
■曲名の言葉のなかに、そういう......なんだろう、一生のうちに一度か二度あるかないかのような大きな出来事は反映されている?
土生:しているはず。
■ああ、そっちではしてるんだ。
土生:自然賛歌だから、リトテンは。
■ああ。
土生:どんくらい伝わってるのかわからないけど。"ときめき☆リダイアル"とか(笑)。
■はははは、それは自然賛歌とは言えないかもね(笑)。最高の曲だけどね。こういう名曲をおちゃらけたタイトルにするところがリトテンらしいね。
土生:いや、でもね、真剣に考えてみて、片思いの好きな子にリダイアルするときの気持ち、もう忘れてるでしょ? その感じ。
■リダイアルって携帯の文化だからね。俺はいまでもときめき☆手紙って感じだから。
土生:そこは融合してるんだよ。現代社会と。
■じゃあ、2曲目の"雨の日には"とか、含みがあるんだ?
土生:その先にストーリーがあるからね。雨の日には......野田さんは可愛いギャルとデートしました。相合い傘がとっても楽しかったで~す。とか。
■原発問題でいえば、雨の日には恐怖も加わっちゃったじゃない、僕らの日常のなかで。
土生:でも雨は本来綺麗なもんだからね。放射能の雨はイメージしてないね。もっとその先の綺麗な雨をイメージしてるよ。
■たしかに曲自体も綺麗な曲だし、それで、"水平線"とか"そよかぜ通り"とか、自然を連想させる曲名が多いんだね。
土生:そう、イメージしてるね。すごくポジティヴに。
[[SplitPage]]自然そのものに憧れてたね。街を否定するわけじゃないけど、いちばん必要なのは、ありのままの自然。ベタだけど、俺、ホントにそう思うんだよね。自然のなかで遊ぶのが好きなの。
■表現者って自分が抱えた重たさを表に出す人と出さない人がいるけど、土生くんは後者だよね。
土生:重たいもの、別にないからね。
■はははは、、そんな事ないでしょう(笑)。そこにリトテンの、大袈裟に言えば哲学みたいなものを感じるんだよね。
土生:そんなこと考えてないけどね。
■そんなことないでしょ。
土生:そんな暗くないからね、俺。
■それは暗い暗くないって......。
土生:うん、わかるよ、言ってる意味は。俺は確実に後者だね。
■でも、自分で聴いてる音楽には、そうした重さを出してるものだってあるじゃん。
土生:もちろん。
■でも、自分が作る作品は絶対にそうはならないんだよね。
土生:性格じゃないのかな。
■ホントに性格的なこと?
土生:だと思うよ。
■ますますそうなってる感じもするんだよね。10年前はもうちょっと重たさを出していたじゃん。子供たちに歌ってもらったりとか(VOICES OF FLOWERS )。
土生:だから天然になったんだよね。天然の状態に近づいたんだと思うよ。
■はははは。
土生:マジで。
■なるほど。
土生:ジャンルもどうでも良くなった。
■それは音楽に出てるよね。
土生:ジャンル越えだね。
■リトテンの音楽は、もはやエキゾティックに聴こえないんだよね。この国の音楽に聴こえるんだよ。
土生:DNAから発してるからね。
■はははは、
土生:俺も演奏で出稼ぎが多いから、日本のいろんなところ行くしさ、そういうところでたくさん自然のヴァイブスや人の情けを受けるからね。
■おそらくリトテンが表象している日本とは、そういう日本なんだと思うよ。
土生:東京以外はホントに面白いね、日本。
■前も言ってたよね。
土生:そういうエキスが入っちゃってるんだよ。理屈や言葉じゃない世界だね。
■土生くんはさ、片目が見えないじゃない。そのことは土生くんのなかでどれくらいの......。
土生:忘れてたね(笑)。片っぽが見えてれば充分じゃねーの。
■はははは、去年、こだま(和文)さんが本(空をあおいで)を出したじゃん。そのなかに土生くんの話しが再録されているんだよね。タケシの話しとして。
土生:まあしょうがないよね。自分で勝手にやっちゃった話だから。
■こだまさんが、そういうことを引き留めなかった自分を悔やんだって書いてたけど。
土生:無理無理そんなことは。
■ふーん
土生:まあでも、半分死にかけたからね。
■どのくらい入院してたの?
土生:けっこう入院してたかな。路上に止まって駐車してた車にぶつかったんだけど、すぐに記憶なくなって、その車の人が救急車呼んでくれて。
■いい人だったね。
土生:仁義がある、すごくいい人だったね。
■相手は大丈夫だったの?
土生:その人は、車から出てたんだよ。
■じゃあ、土生くんがひとりで突っ込んじゃったわけか。
土生:そう。
■その経験はやっぱ大きかったわけでしょ?
土生:そりゃそうだよ。死にかけたからね。三途の川でバーベキューしてきたよ。
■どんな思いだったの?
土生:あんま覚えてねぇかな。
■ブライアン・イーノが交通事故に遭って、入院先の病室のベッドのなかで雨の音を聴きながらアンビエント・ミュージックのコンセプトを考えたっていうエピソードがあるけど。
土生:へー、いい話だね。
■きっとそういう大きな事故って、音楽で表現している人にとって大きな契機になるでしょ。『ラティチュード』の頃はまだ事故してないでしょ?
土生:いや、『ラティチュード』の頃かなぁ。たぶんその頃だと思う......だったような気が......。頭を強打したんで覚えてねぇな。
■それでスティールパンにしたの?
土生:事故ったからじゃなくて、その頃まだ玄さんが正式メンバーじゃなくて、アルバムにゲストで参加してもらったりしてて、俺、パンすごく好きだったけど金がなくて買えなかったんだよね。そんな話したら玄さんが中古で安く譲ってくれて、それが縁で、そっからこう、花が開いていった。
■練習はどこでやったの?
土生:家でやってたよ。ぜんぜん問題ないよ。近所のバアちゃんも、「綺麗な音ねぇ~」とか言って、みかんくれたりしてたから。
■でも、そういう死にかけたことって、自分にどんな変化をもたらしたと思う?
土生:どうかなー。......まだ余計なこと考えるしね。(小さな声で)合コンしたいとかさ
■え?
土生:合コンしたいとかさ!
■はははは、またそんなこと言って。
土生:だから事故した当時は煩悩を削ぎ落としていたんだよね。それでも俗世間に戻ってくると、人間とはバカなもので、煩悩が生まれてくるんだ、やっぱり。あれしたい、これしたい......って。
■『ロン・リディム』はそう言われると、いちばん澄んでるのかな?
土生:そうかもしれないね。言われてみれば、めっちゃピュアだったかもしれない。
■じゃあ、『ケダコ・サウンズ』ぐらいは?
土生:『ケダコ』ぐらいになると、もう煩悩まみれなんだよ(笑)。
■そうは言いながら、その煩悩を捨てたときの土生くんも残っているでしょ。
土生:残ってるよ。そのイメージはつねに持っている。なかなかそうはいかないんだけどね。
■合コンは照れ隠しでしょ?
土生:なかなか実現しないからね(笑)。
■はははは、
土生:ぶっちゃけ、そんな時間ないんだけど。
[[SplitPage]]俺個人で言うと、東京の人間だし、国立で生まれ育っているから、俺のふるさとは多摩、武蔵野なの、だから、そこを簡単に離れる感じではないね。あと俺は東京にいる仲間といっしょに音楽やってるから。
■あと......結婚して、子供ができたっていうことも、リトルテンポを変えた要素だよね。
土生:それは大いにあるね。子供が生まれ、そこでやっぱ愛がでかくなるわけだから。
■物事を発するときの足下みたいなのが違ってくるしね。
土生:自分に対しての音楽じゃなくなっちゃうね。若い頃は、自分が心地よいとか、俺がいちばんカッコいいとか、そんなことばっか考えていたんだけど、逆にいま他人を笑かそうとか、楽しませようとか、なんかそういう気持ちのほうがでかいね。
■「ワイワイ祭り」もそうだよね。あれも『山と海』以降でしょ。そういうこともぜんぶリンクしてるでしょ。
土生:そうだね。
■あれはなぜ「ワイワイ祭り」なの?
土生:あれはもう、人間本来の歓喜を取り戻そうという。
■素晴らしいね、それは。
土生:マジにホントそうだよ。だから、ワイワイなんだよね。
■ワイワイって?
土生:ワイワイ、ガヤガヤ。みんなでワイニーダンス!
■俺、一昨年の日比谷野音でやった「ワイワイ祭り」は行って、すごく楽しかった。
今年はやるの?
土生:今年はリキッドルームで、9月16日(金)に、レコ発とワイワイ祭りをかねてやるから。
■今年で何回目?
土生:4回目だね。
■また野外でやって欲しいね。
土生:地方でもやりたいけどね。去年は国立でやって、さすがにキャパが狭いだろうって。
■ライヴハウスでしょ。
土生:そこがいいんじゃん、超ライブ&ダイレクトで。地元で、みんな一体となって、汗だくになってやるっていうね。
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■なるほどね。土生くんは『太陽の花嫁』のなかで1曲選ぶとしら何を選ぶ?
土生:やっぱタイトル曲だね。
■ああ。
土生:やっぱいちばん愛があふれてたね。あふれ具合がハンパじゃなかった。みんな泣いてたからね。
■今回はこのジャケットにも泣いたけどね。すごく良いよね、この絵。
土生:ジャケットのアイデアはベースの白水(生路)とテレパシー交換して小鳥が出てきたの。タイトルも何も決まってないときにパッと俺の心に飛んできたんだよ。いつもはタイトルが決まってから描くんだけど、今回はタイトルも何も言葉がない状態で、小鳥が出てきたね。しかもそれ......日本画だからね。
■いい絵だね。
土生:ベースの白水が描いてるんだよね。希望だね。
■たしかにね。じゃあ、最後に月並みで申し訳ないんだけど、読者にメッセージを言ってもらおうかな。
土生:あのー、随時合コン募集中だよ、みなさん。気軽に、現場であったら僕に声をかけてください。
■CDを買うように言わないと。
土生:いや、CDはコピってくれればいい。いいんだよ、買わなくたって。金ねぇよ、みんな。だからコピって聴いてくれ。
■アナログ盤も出るからね。
土生:そうだよ。若い子は音楽を携帯みたいのばっかで聴いてると耳が腐るから、アナログでいい音を体感してください。
■カッティングもロンドンなわけだよね?
土生:あったりめぇーよ(笑)。ケヴィンといっしょにね。間違いないよ、なにせ〈グリーンスリーヴス〉のカッティングやってた人だからね。
■それは間違いない。じゃあ、そこには〈グリーンスリーヴス〉と同質の溝が。
土生:そうなんです、刻まれている。ただ、正確な発売日が見えないんだよね。アメリカのプレス工場が混んでいるんだよ。
■あ、だっていまUSのインディはアナログばっかだよ。
土生:そうみたいね。
■あとカセットテープね。
土生:カセットいいね。俺もそれやりたいな。みんな、デッキ持ってるんですか?
■買ってるみたいよ。
土生:俺はずっとカセットだよ。デモテープ渡すのもカセットだし、カーステもカセットだし。炊事はカセットコンロだし(笑)。
■それはすごいね。決して贅沢な費用があるとは思わないけど、リッチな音を作っていると思うよ。
土生:気合いがあれば、そんなに金かけなくてもできるんだよね。
■そこはやっぱ熟練していくんだね。
土生:そこはやっぱ中央線沿線が鍛えてくれた。だって間違いないもん。俺たちが使っているスタジオも吉祥寺で、もともとは国分寺にあったし。中学でパンクやってたときに、そこで練習してたんだよね。それがいま吉祥寺に移って、録音とリハができる老舗スタジオになっているんだよね。それもやっぱ縁だよ。話し変わるけど、野田さんは配信で聴くの?
■基本的には聴かないけど、最近、アメリカのオッド・フューチャーっていって、配信でばっか作品出してるヒップホップの子たちの音楽にハマっちゃって、それを何本もダウンロードしたよ。そいつらの音楽はきっと土生くんも好きだと思うよ。パンクだよ。
土生:そういう風に新しいものが出てくるのは良いことだね。
■ホントにそうだね。じゃあ、今日はどうもありがとうございました。
LIVE情報
7月29日(金) 新潟: FUJIROCK 2011
9月16日(金) 東京: リキッドルーム 『太陽の花嫁』レコ発記念LIVE
Info : https://www.littletempo.com/ | https://twitter.com/#!/Little_Tempo




























