「Hot Release」と一致するもの

DJ RS - ele-king

<DJ SCHEDULE on MARCH>
3/1 BACK TO CHILL @asia
3/3 Chemical Monsters @ballo ballo
3/4 TOPSHOP 原宿 INSTORE DJ
3/10 BOY 3rd Anniversary Party @Chelsea Hotel & Star Lounge
3/24 SOUNDGIRL KILLA Release Party @Stock (神戸)
3/29 TO GOTHICS @WAREHOUSE 702
3/30 SOUNDGIRL KILLA Release Party @AIR (福岡)
3/31 Laguna Bass @MODULE

近年かなりお世話になっているトラック10


1
DJ NARROWS - Emancipate
ダークなガラージュを作らせたらこの人の右に出る者は居ないと思う。

2
DJ100mado - Kago no tori
100mado氏が先日のDommune出演時にかけた際衝撃を受けた一曲。後日フリーダウンロードで公開されmado氏のトラックだと知り更に衝撃を受ける。危ない。

3
JEUCE - As We Move (Kastle Remix)
特にここ一年間のKastleのトラックはずば抜けてイケてて外れが無い。切ない。

4
J-Sweet - Can't Stop My Grime
楽曲自体はだいぶ前にできていたはず。何年かずっと待って遂に先日リリース。タイトルも良い。

5
Wiley - I Luv U
なんだかんだでやっぱりファーストでしょう。

6
Boy Better Know - Too Many Man
これをかけない時が無いくらい勝手に自分のパーティーアンセムにしてる一曲。
ロンドン滞在時に国民人気の圧倒的な高さに驚いた。

7
Deadboy - U Cheated
この人ぶれなさすぎる。

8
Roska & Jamie George - Love 2 Nite
同じUKFでもDeadboyとは違って心底明るいRoska。

9
R1 Ryders - Hydraulic
ここぞという時に毎回かける一曲。年末に出たNew EPも良い感じ。

10
Swindle - Airmiles
最近のDUBSTEP路線も好きだがこの時のSwindleがダントツでかっこいい。またこういうテイストのトラック希望。

CUZ ME PAIN Compilation #2 Release Party - ele-king

 ジェシー・ルインズの音は、『ガーディアン』に言わせると「噴火する火山のサウンドトラックとしてのある種のドゥーム・レイデン・ポップ」だそうで(破滅に苛むポップ......とでも訳せばいいのか?)、まあ、何はともあれ、東京のレーベル〈コズ・ミー・ペイン〉のインパクトはじょじょにだが、確実に伝わっている。ジェシー・ルインズはUKの〈ダブル・デニム〉からインターナショナル・デビューを果たし、もうすぐUSの〈キャプチャード・トラックス〉からデビュー・アルバムが発表される。ビューティは〈クルーエル〉から12インチを出して、5月には同レーベルよりデビュー・アルバムが出る。いよいよ〈コズ・ミー・ペイン〉の時代か!
 レーベルは3月、2年ぶりのコンピレーション・アルバム『Compilation #2』をリリースする。チルウェイヴ、ダークウェイヴ、ウィッチ・ハウス......そしてその次を狙った内容で、ファーストにくらべてずっと躍動感のある、ダンサブルな内容になっている。ちょっと〈100%シルク〉あたりとも共振しているというか。ちなみにコンピにはロスの〈ノット・ノット・ファン〉からデビューしたSapphire Slowsも参加。
 3月9日にはそのリリース・パーティがある! ジェシー・ルインズはライヴ演奏する。ドゥーム・ポップな夜かどうかはわかりませんが(笑)、インディ・キッズならずとも、超注目なのは間違いない!

2012年3月9日(金)
―CUZ ME PAIN Compilation #2 Release Party―
at 三宿Web
OPEN/START 23:00-
DOOR 1,500円(1ドリンク付き)

■Live :
JESSE RUINS

■Dj : (A to Z)
APU (After Dark)
IWATA(Anarushin)
NITES (Jesse Ruins)
ODA (The Beauty / FaronSquare)
SCUM BOYS
TSKKA (Masculin)
YYOKKE (FaronSquare / :visited)

info:
[三宿Web] https://www.m-web.tv/index2.html


V.A.
CUZ ME PAIN Compilation #2
CUZ ME PAIN
発売日予定日:2012年3月14日

CUZ ME PAIN Compilation #2 特設サイト
https://cuzmepain.com/cmp2/

CUZ ME PAIN WEB
https://cuzmepain.com/


Tracklist
- Aside
1. Masculin - Ecstasy
2. Faron Square - Sugar Shake
3. Atlas Young - Multiply The Prairie
4. Jesse Ruins - Hera
5. Naliza Moo - Jealous Hearts
6. Nites - While Your Were Sleeping
(Hotel Mexico Remix)

- B side
1. :visited - Touch Your Heat
2. Sapphire Slows - Break Control
3. The Beauty - The Sorrow Of Parting
4. Scum Boys - Lava Lava
5. Nites - Moments Like This Fruit
6. :visited - Sunset Article (Magical Gang Remix)

東京発のインディ・レーベル〈CUZ ME PAIN〉のコンピレーション第2弾! USインディを中心にグローバルな広がりをみせるインディ・ダンス・アクトがここ日本にも! 〈CUZ ME PAIN〉お馴染みのメンバーに、話題のSapphire Slow (Big Love、Not Not Fun)、Jesse Ruins (Captured Tracks、Double Denim)、The Beauty (Clue-L)を収録、そして親交も深いインディ・レーベル〈Second Royal〉一押しのHotel MexicoとMagical Gangがリミックスで参加! 300枚限定ヴァイナル・オンリー!!

interview with Ken Sumitani - ele-king


STEREOCiTI
Kawasaki

Mojuba Underground

Amazon

 シカゴ/デトロイト・フォロアー、ミニマル以降のモダン・ハウスのなかで、いま、世界中から注目を集めているDJ/プロデューサーがステレオシティの名義で知られている炭谷賢である。
 東京を中心にDJとしてキャリアを積んできたステレオシティは、2008年にスペインの〈ディープ・エクスプローラー〉から「Citifunk EP」でデビューすると2009年にベルリンのドン・ウィリアムスが主宰する〈モジュバ〉からリリースされた「Early Light」が早くもスマッシュ・ヒット、ローレンスやダニエル・ベルのプレイリストにもあがったその野太いキックのディープ・ハウスは、発売から2年以上たったいまも国内各地にあるクラブやDJバーで鳴り響いている。こうしたことは、消費が早いクラブ・ミュージックのなかでは珍しいことだ。
 今回〈モジュバ〉からリリースされたファースト・アルバム『Kawasaki』はステレオシティが生まれ育った街である川崎を走る列車のフィールド・レコーディングで幕を開ける。そしてシカゴ、デトロイトへの愛情のもとに作られた粗野で荒々しくも繊細なディープ・ハウスが続いていく。美しいサウンド・スケープをもったアルバムなら良く見かけるが、タイトル曲の"Kawasaki"も含め、しっかりとストーリーが展開されていくアルバムは近年では珍しい。
 アルバムは3.11以前に作られたものであるが、職人的な細部へのこだわりで丹念に作りこまれた楽曲は時代性を超越する強度を持ったものだ。そしてこのご時勢に3枚組みのLPをリリースしたところにも意気込みを感じる。DJの腕もたしかなもので、自分と白石隆之さんとWHYでオーガナイズしているパーティ〈Sweet〉にもゲストで出演してもらった。

全盛期の〈MANIIAC LOVE〉はぶっ飛んでて面白かったよね。"SLOWMOTION"とかもハマってたよ。ハード・ハウスのパーティとかで、麻布の〈Mission〉とかもたまに連れてかれたけど、けっこう嫌いじゃなかった。

METAL:国内盤CDのライナーを執筆しているのは白石隆之さん。デトロイティッシュ・サウンドの日本人プロデューサーでは草分け的な存在ですよね。

STEREOCiTI:白石さんのことは、実はそんな昔から知ってたわけじゃなくて......実際に会う前に、白石さんの方からMyspaceでコンタクトしてくれたことがあったんだけど、実際に顔を合わせたのは去年。安田くん(WHY)が紹介してくれたんだよね? その頃、白石さんが長野の〈Human Race Nation〉から出したリミックス(G.I.O.N./Jack Frost - Takayuki Shiraishi Remix)がすごい好きで。それで白石さんのアルバム『SLOW SHOUTIN'』(2002年/Pickin' Mashroom)を買って聴いたら「2002年の時点でこんなことやってた人がいたんだ」ってびっくりして、すごく好きになって。で、それから自分のDJでも白石さんの曲を使ったり、LOOPの〈Sweet〉にDJで呼んでもらったりとか、交流ができていった感じ。

METAL:アルバムの話に入る前に、音楽的な背景を聞いておきたいんですけど。

STEREOCiTI:もともとブラック・ミュージックはジャズから入って。ジャズっていうのは、モダン・ジャズね。高1のとき、最初にコルトレーン聴いて、そこからずっとジャズ集めてて。ジャズ聴いて、なんだろ......音楽の「間」みたいなのを最初に意識したのかな。ギターでバンドもやってたよ。前に〈Deep Explorer〉からリリースした曲では、自分でギター弾いてる。今回のアルバムではギターは弾いてないけど、"A day"って曲でベースを弾いてる。

METAL:最初はレゲエのDJだったんですよね。

STEREOCiTI:そうそう(笑)。ボブ・マーリーが好きで。若いとき横浜で働いてた頃に、まわりの人種もレゲエが多くて、みんなヤーマン、ヤーマン言ってる感じで(笑)。そういうなかで育ってたから自然とレゲエが好きになって、ジャマイカの煙たい空気感とか、ダーティーでヤバい感じにも憧れたし、その流れでレゲエのDJをやりはじめた。ダンスホールね。その後もっとモダンなビートが好きになって、その流れとレゲエがうまくクロスオーヴァーした感じが面白くて。その直後にちょうどアシッド・ジャズのムーヴメントがあって乗っかって、その後トリップホップって流れ(笑)。それは学校(桑沢デザイン研究所)に通ってた頃だったんだけど、その頃学校の友だちなんかと六本木の〈Juice〉(現在はBullet'S)でイヴェントはじめたの。で、その頃、人を踊らせる究極はやっぱりハウスにあるんじゃないかと思って聴きはじめたんだよね。でもその頃はよくわからないからもうテキトー。ニューヨークもシカゴもUKもごちゃまぜで。それで、自分の好みを追っていったら、その頃の音ではテクノがそうで。それでデトロイトとか聴いて、DJでテクノをやってる頃に、〈MANIAC LOVE〉に入っていった感じ。

WHY:テクノを最初にいいと思ったのも「間」みたいな部分なんでしょうか?

STEREOCiTI:いやぁ、超踊れる、ぶっ飛べるみたいな。単純なところだよ、ほんと。

METAL:その頃の決定的な、強烈なパーティ体験ってあるんですか?

STEREOCiTI:全盛期の〈MANIIAC LOVE〉はぶっ飛んでて面白かったよね。"SLOWMOTION"とかもハマってたよ。ハード・ハウスのパーティとかで、麻布の〈Mission〉とかもたまに連れてかれたけど、けっこう嫌いじゃなかった。90年代の、ただれたパーティ感は面白いよね。初期のパーティ体験がずっと地下だったから、クラブ・ミュージックにはずっと地下のイメージ持ってる。

WHY:それで〈MANIIAC LOVE〉の"CYCLE"でハウスのDJをはじめた頃から、いまみたいなスタイルなんですか?

STEREOCiTI:デモテープ聴いてもらって「いいね」って言ってもらったのはハード・ミニマルなんだけど、実際"CYCLE"ではじめた頃は、いまで言うテック・ハウス。「テック・ハウス」って言葉大嫌いなんだけど(笑)。〈Prescription〉とか〈Guidance〉、〈KDJ〉とかが好きで。その頃のセットはディープ・ハウス......いまとあんまり変わらない感じのディープ・ハウスからスタートして、〈Paper Recordings〉とか〈Glasgow Underground〉みたいなUKっぽいっていうか、ちょっとグルーヴがあったまった感じで山崎さん(Sublime)かWADAさんに繋ぐ、という感じ。

WHY:ブースで照明をいじりながらWADAさんがDJやってる姿を見ていて、DJのやり方を覚えたって言う話でしたけど。

STEREOCiTI:やり方っていうか、クセね。WADAさんのクセはついた。 1曲1曲EQ全部違うし、出音をちゃんと聴くってところとかそうだし。ミックスの仕方は自分とはちょっと違うんだけど、テクノのミックスってこうやってやるんだ、っていうのは、全部やっぱりWADAさんから学んだかな。

METAL:僕の場合なんですけど、WADAさんのDJを近くて見てて、EQ以外で学んだのはディスコDJのメンタリティなんですよね。客もよく見てるし。

STEREOCiTI:わかるわかる、本当そう。エンターティナーというか、あれがDJだよね。

METAL:使ってるネタ自体は大ネタってほとんど使わないんだけど、場の雰囲気に合わせた踊らせ方をする。

STEREOCiTI:そうだね、それは本当に俺も学んだところ。場の流れを作るというか、場を見てるよね。好きな曲をかけるだけ、っていうようなDJいるからね、やっぱり。

WHY:その"CYCLE"時代や、TAKAMORI.Kさんとやってた"Better Days"の頃は、本名のSumitani名義でDJしてたんですよね。"STEREOCiTI"と名乗る経緯、由来は?

STEREOCiTI:10年ぐらい前にシカゴに1ヶ月ぐらい滞在してたの。シカゴに友だちが住んでて、そこに泊まってたんだけど、そのアパートメントの裏庭の壁にスプレーで「STEREO CITY」って書いてあって。アーティスト名はそこから来てる。で、その友だちの実家がデトロイトで。ちょうどサンクス・ギビング・デイの頃で、実家に帰るっていうからデトロイトまで一緒に車でついて行って。

METAL:シカゴ~デトロイト、どうでしたか?

STEREOCiTI:その友だちはドラマーで、彼の仲間たちがダウンタウンに住んでて、その連中がみんなトラック作ってたんだよね。やっぱりダウンタウンてもともと危なくて、人なんかあんまり住んでない......そこにしか住めない黒人しかいない場所だったんだけど、若いアーティストがどんどん引っ越してきて暮らし始めてる時期だったんだよね。だから結構白人も多かった。デトロイトでは、IBEX(Tony Ollivierra......Neil Ollivierra=The Detroit Escalator Companyの実弟)も一緒に遊んでた。後でこっちで会ったら覚えてなかったけど(笑)

METAL:リクルーズとかも同じ一派ですよね。

STEREOCiTI:リクルーズはあの辺の大学生で、たしかダウンタウンからはちょっと離れたところに住んでたんだよね。

METAL:デトロイトで「第二世代以降」と呼ばれる人たちとの交流があって、彼らがそこで作っていた音楽が、自分の核になってきた部分ってあるんでしょうか。

STEREOCiTI:全然ない。リクルーズは「この人すげえなぁ」と思って研究したところも実はあるんだけど......曲は好きなんだけど、ああいう白人っぽいグルーヴは、自分のやりたいところではなかったんだよね。それよりも、ハウスにしても黒人がやってるもの。当時だったらリック・ウェイドやケニー(・ディクソン)、セオ(・パリッシュ)、あの辺のもっさりしたハウスのグルーヴが好きで。ゴスペルっぽいハウスとか、エディ・フォークスとか。いまは逆にデトロイトのハウスよりもテクノのほうが好きなんだけど。
 黒人のグルーヴが好きなんだよね。ファンクというか、ずれた感じ、粘ってる感じが好き。グルーヴに関しては、一時期ノー・ミルクと一緒にすごい研究してたんだよね。ここをこうズラすとこうなる、みたいな。ディスコとか聴いて、「なんでこのグルーヴが出るんだろう?」とか研究したよ。だから自分の曲もイーヴンっぽく聴こえても実はイーヴンじゃない。個人的な好みだけど、きっちりイーブンに貼っつけてるトラックとかは、聴いた瞬間ダメ。あとドラムマシンのイーヴンと、シーケンス・ソフトとかで置いたイーヴンは全然違うんだよね。ドラム組む時も、ドラムマシンのノリそのままで作りたい曲以外は、全部自分で細かく組んでグルーヴ作ってるから。そういう作業は好きかな。

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10年ぐらい前にシカゴに1ヶ月ぐらい滞在してたの。シカゴに友だちが住んでて、そこに泊まってたんだけど、そのアパートメントの裏庭の壁にスプレーで「STEREO CITY」って書いてあって。アーティスト名はそこから来てる。で、その友だちの実家がデトロイトで。


STEREOCiTI
Kawasaki

Mojuba Underground

Amazon

METAL:じゃあアルバムの話に入ると、ファースト・アルバムのタイトルに「川崎」という、自分の地元の名前をつけたのは?

STEREOCiTI:ジャケにこんなでっかく「川崎」とかなってるから、そこをすごく押してるみたいになってるけど......最初このデザインが出てきたときはびっくりして(笑)。

METAL:自分のデザインじゃないんですか?

STEREOCiTI:違う違う。これは〈モジュバ〉のトーマス(Don Williams)のデザイン。「漢字はやだ」って言ったんだけど、「ヨーロッパでウケるから我慢しろ」って(笑)。だからジャケットの漢字バーン! に関してはホントは不本意なんだけど、タイトルを"kawasaki"にしたのにはそれなりの経緯や意味があって。なんだろう、自分の生まれ育ってきた場所や、昔から来た部分を、すごい引きずってる時期に作ったのね、アルバムの曲群を。作ってる途中で気付いたんだけど、地元に置いてきちゃったものっていうか、心残りもけっこうあったりして。すごい地元が嫌いで。ろくな街じゃないから。何もないし、文化もないし、良いところ何にもないから(笑)。早く出たいと思ってたんだけど、作った曲を後から見ると、どうしても「川崎」が色濃く出てしまっていたんだよね。

WHY:川崎が色濃く出ている部分って、どういうところなんですか?

STEREOCiTI:それは超個人的なところだから、実際に川崎っぽいかっていうとわからない。多感な時期を過ごした中で染みついた、拭えないものってことだね。それが、自然に吐き出されたビーツやメロディとかに表れていると思って。だから「これはちょっと、1回ケリをつけないとな」みたいに思って、そこでアルバムのタイトルを考えたときに自然と「川崎」って出てきた。「地元に恩返ししたい」とか「地元が好きだから/嫌いだから」とかじゃなくて、ただ自分の作品にそれがすごい出ちゃってたから、"kawasaki"っていうタイトルがいちばん自然にハマったっていうか。

METAL:川崎で生まれ育った自分が作った音楽だから"kawasaki"だっていうことですか?

STEREOCiTI:うん、本当にそんな感じ。アルバムタイトルに"kawasaki"ってつけることで、自分の中で収拾つかなかったいろんなものをうまくまとめられる感じがしたのね。だからタイトルはぶっちゃけ後付けで、川崎をイメージして作ったアルバムってことでは全然ないんだよね。だけど、さっきも言った川崎......それまでの自分ってことだけど、それが色濃く出すぎていたから、そこに収拾をつけたくて。例えばアルバム最後の"Day By Day"なんかはいちばん最近に作った曲なんだけど、この辺は自分で聴くと、ノスタルジックな感じがないというか、古い曲とはけっこう違ってて。

METAL:1曲目は、電車の音から始まりますよね。

STEREOCiTI:あれは貨物列車の音で、実家の近所の踏切で録音したの。南武線の浜川崎支線っていう、二両編成の路線があるのわかるかな? 一時間に一本しかない電車なんだけど、そこを貨物列車が一緒に走ってるのね。京浜工業地帯に貨物線が引き込まれてて、向こうで積んで、また出てきて、って、常に貨物が行き来していて。そのそばに住んでたから、地元にいるときは毎日毎日あの音を聞いてた。

METAL:で、電車の音にポエトリーが乗ってきますよね。どんな内容なんですか?

STEREOCiTI:川崎ってこんな街だよ、っていう。"This Town, it's Empty"っていう節があるんだけど、空っぽの街だよっていう。まぁ空っぽで何もないけど、子どもはどこでも同じように笑ってるし......っていうようなこと。だけどそれをみんなに知ってもらおうとは思ってなくて。自分で込められればよかったから、声を加工して、外人でも聞き取れないようにして。単純にイントロをつくりたかった、っていうのもあるし。

WHY:1970~80年代の川崎には公害訴訟とかありましたけど、子どもの頃は、公害問題も深刻だったんですか?

STEREOCiTI:いちばん深刻な時期は過ぎてたんだけど、ぜん息の子どもはまわりにいっぱいいたし。常に鉄粉が飛んでるから。空は毎晩真っ赤だしね。だから、日本鋼管(NKK。現・JFEエンジニアリング)で働いてる人のための町っていうか。経済においては、すごく重要な街ではあると思うんだよね。ただ日本の歪み......いま出ている放射能もそうだけど、公害問題ってのが、川崎にはもっと前からいまと同じようにあって。もっと辿ると戦争時代も、負けてるのに勝ってるぞ、って国がウソついててさ、ずっと同じだよね。

METAL:そういう視点は昔から持ってたんですか?

STEREOCiTI:昔は対して考えてなかったけど、単純に、大人になったらいろいろ考えるよね。

METAL:反原発デモにも参加してますよね。

STEREOCiTI:最近なかなか参加できないんだけど、やめちゃダメだよね。国に対してモノを言える機会ってそんなにないから、それをやめちゃいけないよね。効果もあると思ってる。やっぱり言っていかないと......日本人ってけっこう「言ってもしょうがない」って感じで、日本の腐った部分は変わんねえや、って諦めてる部分も多いと思うんだけどね。自分もそうだったし。でも発していかないとはじまらないからね。

WHY:アルバムは3.11の前にはできてたんですか。

STEREOCiTI:できてたね。

WHY:8曲目の"Downstream"って曲名、辞書で引いたら「使用済み核燃料の処理工程」という意味なんですけど、じゃあこれは偶然なんですね。

STEREOCiTI:ホント? それはちょっと、予言じゃない(笑)?

METAL:いやでも、あの曲の「闇」は僕も気になってましたよ(笑)。

STEREOCiTI:あれ、いちばんライヴ感っていうか、ノリで作った曲だよ(笑)。いちばんフロア向けっぽいかなと思ってるんだけど。"Downstream"ってのは、単純に水が川を流れていくようなイメージで。比較的最近作った曲なんだ。さっきも言ったように、アルバムの最後のほうはもう「川崎」からだんだん離れて、収束に向かってきたところなんだよね。今の気分に近い曲なんだ。ノスタルジックでもないし、メロディアスでもないし、もっと違う方向に向かってる。この曲でサンプリングしてるボイスはジム・モリソンなんだけど、これまた全然原発とは関係ないよね(笑)。

METAL:これ、ドアーズなんですか。

STEREOCiTI:うん。"An American Prayer"の最後の曲(An American Prayer/The End-Albinoni: Adagio)。オリジナルにレコーディングしたもの以外のボイスものは全部サンプリング。ネタ集みたいのはいっさい使ってなくて、サンプリングするってのは一応ポリシー。

METAL:デトロイト・エスカレーター・カンパニーの『Soundtrack[313]』が好きだっていう話があったじゃないですか。デトロイトのフィールド・レコーディングで作られたアルバム。

STEREOCiTI:あれはすごく好きだし、かなり影響を受けてるかもしれない(笑)。サウンド的にもだし、コンセプトとか、フィールドレコーディングの部分の印象とか。あれがダンス・ミュージックかというとまた微妙なところだけどね。俺の中でのデトロイトのイメージはあんな感じ。実際に行って感じた印象と近いね。

METAL:で、2曲目の"Expanses"からアルバム本編に入るわけですが、楽曲の構成は、基本的にはミニマル・テクノですよね。ハットの入り方にしろ、曲の展開にしろ。グルーヴはハウスと言ってもいいのかもしれないけど。同時に、サウンドスケープにはラリー・ハードに通じるような繊細的な部分もあって。そのふたつが核にあるのかな、と感じていたんですけど。

STEREOCiTI:ミニマル・テクノはあまり意識して作ったことないんだけど......逆にテクノ作りたいけどできない(笑)。自分が好きで聴いてて「こういうのやりたいな」って思ったのと、自分のやりたいように作ったら出てきた曲がまったく違ったのね。昔のムーディーマンみたいなざっくりしたのが作りたいのに、自分で作ってみたら音数も少なくて緻密な感じのものになってたり。だから「自分がやるのはこうじゃないんだな」って思った感じかな。

METAL:じゃあ、曲を作っていく工程で、今回のアルバムのような作風になった感じなんですか。

STEREOCiTI:いや、志向としては初めから。本当は初めからフロアで超機能するトラックとか作りたかったんだけど、うまく形にならなくて。で、生っぽい音を使ったりとか、自分で弾いた楽器と合わせて作ったりとかして、ようやく曲が完成するようになってきて。その辺が〈Deep Explorer〉から出したような曲だね。初期の曲はもっと生っぽいっていうか、ゆるいんだけど、本当はもっとエレクトロニックなのがやりたかった。で、だんだんその術を覚えてきたというか、作り方がわかってきて、いまみたいな作風になってきたって感じかな。

WHY:曲を作りはじめてから、楽曲が〈Deep Explorer〉からリリースされるまで、10年ぐらいのあいだがあるわけですよね。

STEREOCiTI:うん、ずっと曲作ってたけど、全然完成に至らなくて。なんでかっていうと、自分がいいと思う音楽のところまで、自分の曲を持っていくことができなかったから。

WHY:その10年のあいだ、どういう思いで曲を作り続けてたんですか。

STEREOCiTI:なかなか完成しないから「どうしたもんかな」ってずっと思ってて。いろんな人から「とりあえず完成させればいいんだよ」って言われたりしたけど、自分でいいと思わなかったら発表できないから、どこにも送ったこともないし。自分がさ、いろんな音楽を聴いてきて、いいと思う音楽と大したことねえなって思う音楽の差があって、自分のなかで「いい」っていうレヴェルまでいかない限り、自分で出す意味ないわけでしょ。中途半端で出す意味もないし。それなりにいろいろ聴いてきたわけだから、自分でやる以上は、自分のなかでOKを出せるレヴェルに行き着くまでは外には出せないな、っていう。でも微妙なラインで、「これどうなのかな? まぁ、いいと思うんだけどな」みたいなところで外に出し始めて、引っかかってくれたのが〈Deep Explorer〉やラス・ガブリエルで、「あ、これでいいんだ」みたいな。

METAL:まぁ、評価っていうのは、わからないですよね。

STEREOCiTI:音楽なんて、人に聴かせてナンボだから。自分だけのエゴで成り立ってるもんじゃないから、人の評価っていうのは大事なことだけど、自分のなかで、人に聴かせるだけのOKを出せない限りは外に出せないというか。そこまでに時間がかかったっていうことなんだよね。

METAL:自分の思うとおりに機材を使いこなせるまでにも、それなりの時間がかかりますよね。

STEREOCiTI:それもあるよね。まぁいまでも全部なんて使いこなせないんだけどね。

METAL:レイ・ハラカミさんなんかは、ひとつのソフトを、自分の身体として考えているっていう。

STEREOCiTI:そういうのはすごいと思う。ダンサーの表現みたい。

METAL:そう考えると、打ち込みと楽器演奏って、まったく変わらないんですよね。

STEREOCiTI:うん、それは変わらないと思う。自分の音楽ってディープ・ハウスみたいな感じでやってるけど、結局やってることはブルースだと思ってる。それを生っぽい、RAWな部分を前面に打ち出すんだったら生楽器やればいいわけなんだけど、もうちょっとロジカルなというか、構築的な部分でのブルースをやりたくて。あんまり機械的でもないし、かと言って生っぽくもないのがいいというか。1曲1曲に、必ず生っぽいっていうかライヴ感は残してる。一発で全部出して混ぜてって作るタイプではないから、そういう意味でのライヴ感はないんだけど、人間っぽさをどうしても入れないと気が済まないっていうか。フレーズ一発でも、そこに自分のソウルが投影されない限りは、いい曲できても「誰かの曲みたいだな」とか「かっこいいけど、なんか違うな」ってのは全部消しちゃうし。

METAL:アルバム聴いていても、曲自体にいっさい妥協がないですね。

STEREOCiTI:妥協はいっさいない。それは言い切れる。好かれる好かれないは別として、自分のなかでOK出せるところまではいってる曲しか出してないからね。本当にすごいなって思うアーティストがいっぱいいて、そこまではいけてないけど。生で弾いて表現できるのが理想なんで、そっちもこれからもっとやっていきたいし。

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川崎ってこんな街だよ、っていう。"This Town, it's Empty"っていう節があるんだけど、空っぽの街だよっていう。まぁ空っぽで何もないけど、子どもはどこでも同じように笑ってるし......っていうようなこと。

METAL:ブルースだと誰が好きなんですか。

STEREOCiTI:俺、ジミヘン好きなんだけど、もっとルーツ的なところでいうと、Tボーン・ウォーカーとか、ハウリング・ウルフとか......。

METAL:ロバート・ジョンソンは?

STEREOCiTI:ロバート・ジョンソンはねえ、好きなんだけど、自分の気持ちとはちょっと違うというか。ドラッギーだよね、あの人。アルバムを聴いてると、すごく暗ーいところに持ってかれる。やっぱり悪魔的というか(笑)。

WHY:その、闇に吸い込まれる感じって、賢さん(STEREOCiTI)の作品やDJの特徴だと思うんですけどね。アルバムでは"Expanses"が象徴してると思うんですけど......「心に影を落とす」っていう表現ありますけど、そういう感じでふっと暗くなる感覚って、世に溢れてる「ディープ・サウンド」のなかでも独特というか。さっき「ブルース」って言葉が出てきて、あぁ、あの暗さはブルースだったのか、って思ったんですよ。

METAL:これは白石さんの言葉なんですけど「闇の暗さの種類の違い」ってのがあって......。

STEREOCiTI:あ、それわかる。俺ね、モノ作るときとか、DJもなんだけど、「満たされない部分」ってのをすごい意識してて。その「足りない部分」をどう表現するかっていうのが自分も好きみたい。いっぽうではけっこう打算的な部分もあって、DJするときもそうなんだけど「人の記憶にどれだけ訴えるか」ってのをすごい意識してるんだけどね。

METAL:打算的ってことかわかりませんけど、アルバムのなかだと"A day"はすごくきれいな曲で、ローレンスが賢さんの曲を気に入ってるっていう理由が、これ聴くとすごくわかる感じしますね。

STEREOCiTI:これは代々木公園の曲なの(笑)。ちょうどあの辺住んでた頃に作った曲。昼間をイメージしてる曲ってあんまりないんだけど。映像的な音楽ってすごい好きだから、どうしても映像と絡めたくなるっていうか。例えば"Hotel Maroc"は、以前行ったモロッコの、華やかな表面の裏の、現地のベルベル人の私生活の土っぽいイメージで作った曲だし、"Klass"は、Naoki Shinoharaがやってる"klass"っていうパーティをイメージして作った曲。そんな風に、映像的なイメージから作ってる曲は多い。アルバム全体を通しての映像ってのは意識してないんだけどね。並べて気持ちのいい感じにしただけで。ただ最初の"kawasaki"と、最後の""Day By Day"は、全体の収拾をつけるために、イントロとアウトロで合わせて作ってる。やっぱりアルバムとして通して聴けるアルバムが好きで。アルバムとして成り立っていてすごい好きなのが、KDJの1stだったり、トータスの『TNT』とか。アルバムを通してひとつの世界観があるのを作りたかったんだよね。

METAL:白石さんなんかもまさにそういうタイプで、世界観、コンセプトの構築から入って、流れをつくって、っていうタイプですよね。

STEREOCiTI:俺はその逆。デザイナーだからかもしれないけど、元からある曲をどうはめていくか、どううまくまとめるかで映像やストーリーを作ったり、全体の辻褄を合わせていく感じなんだよね。まぁでも、深層に、芯に確実に流れている部分があるからまとめられるんだけどね。ホントにバラバラの曲たちではないからね。やっぱり自分で何百回も、死ぬほど同じ曲を聴きながら作ってて、それでもやっぱりいいな、何回聴いてもいいな、と思う曲だけを残してきたわけだから。

METAL:でもほんと、サウンド的、デザイン的な部分で取りざたされる作品は近年でもいろいろあるけど、こうしてコンセプトを立てて、しっかりストーリーテイリングされた作品ってのは、最近では珍しい種類のアルバムだと思うんですよ。

STEREOCiTI:そう言ってもらえるのも、自分がそういう映像的な部分が好きだし、ストーリーを作るのが好きだから、うまくデザインしてまとめただけで。さっき「打算的」って言ったのはそういう意味。

METAL:まぁでも、自身にとってもひとつのモニュメントというか、区切りというか。

STEREOCiTI:そうだね。いままでは後ろを見過ぎていたというか、これまでの精算に時間がかかっていたわけで。きちんと精算できたのかはわからないけど、一応の区切りにはしたいなぁと思っていて。

METAL:じゃあここから先は、まったく新しいことをはじめようと思ってる?

STEREOCiTI:そんなに理想があるわけでもないし、新しいことをやるぞ! みたいな気分ではないんだけど、単純に変わるだろうな、とは思ってる。

METAL:(唐突に、同席していたSTEREOCiTI夫人に対して)ステレオさんの曲は好きですか?

夫人:好きです。

STEREOCiTI:彼女のために音楽をやってるっていうのもあるから。アルバムのね、盤の内側にエッチングで文字が掘ってあるじゃない? 実はここにメッセージが入っていて。A面にしか入れてないし、これは言わなきゃ誰も気付かないと思うんだけどね。

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シーンを育てるっていう意識がクラブ側に薄いから人任せ......オーガナイザー任せ、外タレ任せになってるのをすごく強く感じる。そこは皆が協力して、いちばん変えていかなきゃいけないところだなぁと思ってて。

METAL:6月には、ベルリンとスウェーデンでDJしてきたんですよね。そのことも聞きたいんですけど。

STEREOCiTI:前回のベルリンは〈Panorama Bar〉だったけど、今回は〈Berghain〉の〈Garten〉でやった。夏だけ開ける野外スペースね。こっちでDon Williamsとやることが決まったんで、他にどこかヨーロッパでできないかな、と思っていろいろメールしてたら、前から好きだったスウェーデンの〈Aniara〉(レーベル)の連中が一緒にやろうって言ってくれて。街のなかのちょっとした森みたいなところで、彼らはそこで毎週のように野外パーティやってて。自分らでサウンドシステム持ち込んで、ビール買ってきて、告知してってスタイルで。その日も400人ぐらい集まったんだけど、それはすごい面白かったな。すごい雰囲気がよくて。彼らはドラッグもやらないからお酒だけで、ダーティーな感じはなくて、喧嘩もなくてピースフルで。最後のゴミ拾いまでクタクタになりながら一緒にやって。そういうの一緒にできたのがすごく。ノリも合ったし。
 ベルリンは2回目だけどとくにイエー! っていう感じじゃなくて、地元じゃないけど落ち着く場所みたいな感じだね。前に行ったときとは自分のDJの傾向も変わってきてる部分もあるんだけど、楽しくできたかな。前とは違って夏で、あったかいし、外だし、みんなゆるくて、ゴロゴロしてる人もいるし、コンテナのダンスフロアの中の人はガッツリ踊ってるし。今回は期間が短かったからあんまりいろんな場所は行けなかったんだけど、前よりも面白かった。ベルリンに対しては特別な感情はいまはなくて、すごい自然にすーっと入ってくる感じ。東京と全然似てないんだけど、すごく馴染むよね。電車はずっと走ってるしさ、俺らみたいな人にとってはパラダイスだよ。

METAL:ヨーロッパのパーティが東京と決定的に違う部分ってあるんですか。

STEREOCiTI:あのねぇ......(長考)。スウェーデンでいちばん感じたんだけど、ゲストを呼んだときのもてなし方が全然違う。めちゃめちゃもてなしてくれるっていうか、行った経験がある人はわかると思うんだけど、アーティストに対するリスペクトが全然違う。すっごいナイス。とにかく喜ばせようとしてくれるっていうか、メシにカネ払わせるな、とか。日本でももちろんあるけど、呼んだアーティストに対して、そこまでちゃんとアテンドしてる人ってなかなかいないな、って気がするんだけどね。逆に、気遣いが足りなかったような話の方をよく聞くからね。まぁでも、俺のまわりの人たちはそんなことないか。
 客の反応やパーティの雰囲気的にはそんなに変わらないと思うんだよね。ベルリンの連中に言うと「いや、日本とドイツは全然違う。ドイツの客は、キックが四つ打つのをずっときれいに続けてあげないとすぐ離れていっちゃう」とか言うけど......。

METAL:日本のDJのレヴェルって、別に低くないと思うんですけど。

STEREOCiTI:日本のレヴェルはね、高い! ドイツの連中がそうやって言うのも、俺は「いや、そうじゃないよ」ってすごい感じて。オーディエンスは本当に、おんなじなんだよ。ただDJが上手いか下手かなだけで。グルーヴちょっと変えてあげたりとか、展開つくってあげても、しっかりやればついてくるんだよ。日本に来る海外のアーティストがよく「日本人は耳がよくて、広くて、ノリもよくて」って言うじゃない? そうではないと思うんだよね。やっぱりそいつの腕次第だし。俺は、オーディエンスを見て「違わないな」ってすごく感じて。向こうが逆にシビアな部分もあって、オーガナイザー側は、〈Panorama Bar〉でもどこでも、遠くでずっと、客の動きも含めて見てるんだよね。それで良くないと、もう呼んでくれない。そういうシビアな部分はビジネス的にも確立されてるから、日本よりも勝負していかないとダメだろうなってのはある。でもオーディエンス側は全然変わらないよ。どっちも好きで聴きに行って踊ってる奴らなわけだから。

METAL:日本人のDJやトラックメーカーで、とくに注目してる人とかいるんですか。

STEREOCiTI:うーん......ひとり名前を出すといっぱい挙げなきゃいけなくなるからなぁ(笑)。誰だろうなぁ。みんないいからなぁ......。日本といえば、最近思うんだけど、クラブの看板パーティとかレジデントDJとか、クラブ側がDJが育てていくシーンってのがないじゃない? DJも決まった人を取っかえひっかえでさ。昔は「タテ枠」ってのがあって、金曜日は必ずこのパーティで、このDJで、ってのがあったんだけど。〈MANIAC LOVE〉の"CYCLE"にしてもそうだし。

METAL:箱やパーティが増えすぎたんですかね。

STEREOCiTI:やっぱり客が減って、クラブ側の経営自体が変わって、レジデントを育てる余裕がなくなったのかな。お抱えのパーティを持つよりも、いろんな客を入れて増やしていきたい、という発想が台頭したんだろうけど、クラブがいままさにやんなきゃいけないことは、レジデントを持つことだと思うんだよね。そうしないともう、客も離れてきてるし、単価も高いし、アーティストもどんどん日本から離れていってるし。シーンを育てるっていう意識がクラブ側に薄いから人任せ......オーガナイザー任せ、外タレ任せになってるのをすごく強く感じる。そこは皆が協力して、いちばん変えていかなきゃいけないところだなぁと思ってて。

METAL:僕も、震災後に〈eleven〉でIsolee、Adaとのパーティが流れて、その時にキヒラ(ナオキ)さん、RYOSUKEさん、KABUTOさん、YAMADA(theGIANT)さんを集めてパーティーやったんです。腕はこれでちゃんと入るような状態に持ってかないと、この先ないよねって。

STEREOCiTI:そうでしょ。外タレに頼り切ってるけど、曲がよくてもDJはそんな良くない人も多いわけでさ、日本人のほうがよっぽどいいんだし。日本人って輸入モノ好きだし、外タレだと人入るけど......って言ってもそんなに入んないけどね。でもドメスティックいいなってのはみんな気付いてるわけで。そこをもっとやっていかないと、先がないんですよ。やっぱり。クラブを、ある意味90年代みたいに戻していくというか、人を集めていくには値段も下げなきゃいけないし、DJのレベルも上げていかなきゃいけないし、クラブ側の意識ももちろん変えなきゃいけないし。それでこそオーディエンスがついてくるものだから。「オーディエンスが離れていっちゃった」ってそのせいだけにするものではなくて。怖いけど変えていかないといけない時期だと思うんだよね。
 ヨーロッパと同じことを日本もできるか、と言ったらそう単純な話ではないんだけど、やっぱり向こうは、エントランス・フィーは全部オーガナイザー側に返ってくるわけ。クラブ側はバーの収益だけで運営している。そういうシステムじゃないと、DJにはまずお金が入らないよね。DJにお金が入らないと、プロが育たないわけ。競争率が低いからレヴェルも上がらないよね。個々人はレヴェル高いのにいまひとつ勢いが出ないっていうのは、出てこれる場所がないからだよね。数ばっかり増えて、プロフェッショナルの意識が育たない。それがすごい致命的で。

METAL:DJっていうのは、本質的に必要経費がかかりますからね。もちろん、好きでやってるのが前提としてあるんですけど......。

STEREOCiTI:本当にそうで、そこにクラブが頼りすぎてる。もうちょっとアーティストが出てこれるシステムができないと。ギャラが1万、2万じゃどうにもなんないでしょ。でもやっぱりクラブ側も大変で、儲けが出てないからしょうがないんだけど。エントランスのフィーをDJ側に頼るんであれば、クラブ側はバーを工夫してもっと儲けようとかあってもいいけど、そういうの出てこないでしょ。もうちょっと切羽詰っていいと思うし。DJ側もDJ側でさ、もっと意識を高めてかないといけないと思うけどね。いままでのシステムがクラブシーンに定着しちゃってるから......。

METAL:経済市場の動きによって、そうならざるを得なかった部分もありますよね。

STEREOCiTI:そうそう、いちど保守的になっちゃったから、そこからなかなか抜け出せない。ひとつ思ってるのはさ、地方にいろんないいDJがいて、シーンもあるんだけど、彼らを東京に呼ぶのって難しいじゃない? 東京のDJが地方に出て行くことはあるんだけど、向こうの人をこっちに呼ぶシステムがあまりにもなくて、俺はそれをやりたいんだけど。やっぱり小箱とか中箱とかだとフィーの返りが少なくて、交通費とかギャランティーを出すのが、東京はすごい難しいんだよね。例えば〈LOOP〉の"SWEET"ぐらいの規模のパーティでもっと呼べればいいと思うんだけど。クラブはあまりお金を出せないし、こっちにも返りがないからお金を出せないし。それはやっぱり悪循環だし、日本全体が盛り上がっていかないよね。そこは何とかしたいな。

WHY:「『これぐらい集客が見込める』という裏づけがないから、地方からのゲストDJにはお金を出せない。外タレなら出せるかもしれないけど」という言い分ですよね。

STEREOCiTI:だってそれはさ、シーンがその人を紹介していかないと、人が入るようにならないわけでしょ。最初から入るわけないんだから。地価が高いっていうけど、もし地価が下がったらクラブがフィー下げるかっていうと、日本人の性格的にどうかなって思うけどね。

WHY:ベルリンはともかく、他の大都市と比べて東京の地価がそこまで突出して高いわけじゃないですもんね。

STEREOCiTI:そうそう。どこもそんなに安くないんだよね。それでも回してるからさ。じゃあ東京もお客を増やすためにはどうしたらいいかってことだよね。クラブ離れが激しい中で。野外ばっかりじゃん。まぁ夜中に遊ぶってこと自体がみんな......。

METAL:そこは僕強く言いたいんですけど、クラブで遊んでたほうが若くいられるんじゃないかと(笑)。

STEREOCiTI:夜遊びはたしかに老化防止になるね(笑)。俺もそう思う。

METAL:透さん、アゲイシさん、WADAさん、みんな若いですよね。DJやり続けてると、ああいうオヤジになれるって(笑)。

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俺、人の反応はもちろん見るけど、「あ、ノリ悪いからこっち行こうかな」っていうのはまずやらないし、そこで変えちゃうのは合わせすぎっていうか、それは違うと思っていて。


STEREOCiTI
Kawasaki

Mojuba Underground

Amazon

WHY:話を戻すと、賢さんが自分でやってるパーティは〈KOARA〉の":::Release:::"だったり、〈OATH〉の"日本オシロサービス"だったり、エントランスフリーの箱が中心だというのは、現行のシーンの問題点を改善するための動きであるわけですか。

STEREOCiTI:そうだね。週末にパーティをやるのは大変だし、お金かかかるし、ってのもあるけど、みんなからもお金を多くとらないでパーティやりたいっていうのがある。自分らのまわりにいるいいDJ、トップのDJたちを、どれだけお金かけずに提示できるかっていうのがひとつのテーマで。それによってクラブ側も影響を受けてくれて、エントランスでそんなにお金とれないなっていう風潮になってくれたら、っていう希望があるんだよね。〈Room〉の"moved"も、本当はエントランスで1500円とればいいんだけど、1000円でやってる。だから上がりが少なくて、やっぱりなかなか地方のゲストを呼べないんだよね。"moved"は一緒にやってるmaakoが転勤でいなくなっちゃうから一旦休むんだけど、"moved"はせっかく育ててきたいいパーティだから、maakoが戻ってくるまでひとりでやっていこうかな、っていうのも実は考えてる。

METAL:ご自身の、DJとしての話も聞きたいんですよね。

STEREOCiTI:自分のDJを何なんだろうって考えるときはあるんだけど、自分でわかるのは......。

METAL:まぁDJって、その場その場ですよね。

STEREOCiTI:基本はそうだよ、もちろん。だけど自分の好みで選曲して持っていくわけで、その選ぶ作業は自分の世界なわけだよね。俺、「現場の雰囲気に合わせてどうこう......」っていうのは、ぶっちゃけ関係ないと思ってて。単純にそのとき、現場にパーッと入った空気感で組み立てていけばいいと思うんだ。俺、人の反応はもちろん見るけど、「あ、ノリ悪いからこっち行こうかな」っていうのはまずやらないし、そこで変えちゃうのは合わせすぎっていうか、それは違うと思っていて。何ていうかな......DJも人対人だから、自分のエゴを出しすぎちゃいけないんだけど、自分のエゴなしでは成り立たないよね。そのバランスがすごく難しいんだけど。

METAL:レコードを選ぶ段階も場のひとつというか。

STEREOCiTI:そうだね。その段階で想像してるわけでしょ。この場面ではこれを持ってって、こういう感じでいけばいいんじゃないかな、とか。そこを現場で崩しちゃうのは違うなと思っていて。流れ的に組んでいくのはもちろん現場だし、現場の空気で変わりはするしそこが醍醐味なんだけど。だから適当にレコードを詰めて持っていくってことはまずしないしね。俺、DJの前は1週間ぐらいかけて選曲するし。

WHY:さっきアルバムの話で出た「人の記憶に訴えかける」っていう部分、改めて聞きたいんですけど。

STEREOCiTI:それはすごいあって。計算してやってるっていうか「ここでこうすればみんな好きなんじゃないの?」みたいなのはDJみんなあると思うんだけど、そこをわかりやすく出していく部分はすごいあるかな。結局、打算的なんだよね。あんまわかりづらい感じにはしないというか。俺、自分ですごいDJわかりやすいなと思うしね。

METAL:そこ、悩みませんか? 自分のキャラが明確になってくると、自分に飽きてくる部分ってのがあって。でも人を引きつけていこうとするときに、他人から見た自分の個性ってのはどうしても意識する部分ってあるじゃないですか。

STEREOCiTI:俺は単純に、そのときの気分で変わるのね。自分のなかですぐ飽きるから、自分に正直にやっていっても、飽きないようにできるってのは自分の強みかもしれないね。あと、自分のDJは、他の人のDJよりブレがあると思っていて。ブレというか振り幅ね。その時の気分で凄い変えてくるから。なんか意表をつきたくなる、みんなが思ってないところに行きたくなるっていうのはすごいあるんだよね。

METAL:たしかに、"SWEET"に初めて出てもらったときも、あそこまでピッチを落としてくるとは思ってなくて。ああいう「ディープなハウス」っていう括りでやってるパーティで、いちばんピッチが遅いときにいちばん盛り上がるっていうのは面白かったですね。

STEREOCiTI:あれもさ、ただ遅くすればカッコいいと思ってやったわけじゃなくて、それでなおかつ盛り上げるつもりで行ったから。BPMは関係ないんだよ、ってところをやりたかったんだよね。それにあのときは白石さんの曲を中核にして組み立てたから。そのときそのとき、自分のなかでテーマを置いていくんだよね。自分のなかで楽しまないとつまんないから。DJも表現として楽しみたいっていう部分があって。

METAL:そういえば震災後は、すぐにDJに戻れたんでしたっけ。

STEREOCiTI:DJは、1週間ぐらいしてから〈Combine〉でストリーミングしたの。それはすごく評判よくて、みんな「癒された」とか言ってくれて。

METAL:僕らの場合、約1週間後の3.19に初めて、一緒に"SWEET"やってたSCANDALって奴のパーティでやったんですよ。そのときに「不安のなかで踊ること」っていうのが相当重要だったと感じたんです。

STEREOCiTI:それはすごい感じた。

METAL:ダンス・ミュージックだったり、芸術の本来的な意味合いがしっかりわかったというか。普段のクラブで「エロス」っていうものは感じるけど、タナトス、死っていうのを初めて意識したときに、「ダンス」っていうのがこんなにも重要なものとして認識できた時間は、いままでの日本になかったと思うんですよ。デトロイトやニューヨークのスタイルは僕ら模倣してきたけど、そういう場所にあった死生観......例えばデトロイトだったら友だちが撃たれて亡くなるだとか......。

STEREOCiTI:ニューヨークやシカゴにもHIV問題があったわけで。

METAL:そうそう。アメリカにはつねにそういう形で「死」が間近にあったんですが、日本人は初めてそこをしっかり認識できたというか。

STEREOCiTI:たしかに。そういうときに「生」の楽しみをより実感できたというか、本当にそれを求めたっていうのはあるよね。音楽でともに涙を流すというような。基本的に現場主義だから、それまでストリーミングにはあんまり興味なかったんだけど、震災後に「いま自分ができることをやりたいな」と思ったときにストリーミングがあって、初めてやってみよう、と。そこでストリーミングに対する意識が変わった。あれはやって良かったな。ある程度自分に影響力が出てきて、それをわかった上でやったから。自分のエゴとかいうことではなくて、何かできることを考えた時にね。

WHY:震災の影響で、オーガナイズしていたパーティも流れましたよね。

STEREOCiTI:まぁでも、それはしょうがないと思ってる。たまに起こるんだよ、こういうことって。生きてると。ていうか、まだ「3.11」は終わってないし。

WHY:じゃ最後に"kawasaki後"というか、最近のフェイヴァリット・レコードをいくつか挙げてもらえればと。

STEREOCiTI:夏っぽいので5枚選んだんだけどね。うち2枚は、エドガー・フローゼ(Tangerine Dream)。こっちはブラジルかどこかの映画のサントラ。観てないけどすごい下らなそうな映画だよね(笑)。今度、〈Jazzy Sport〉から出すミックスCDに入れてるのがこの辺で。Interiorsは知ってる? これ細野晴臣さんプロデュースで、メンバーの野中英紀さんっていう人が、後に細野さんとフレンド・オブ・アースっていうユニットをはじめるんだけど。結構、マルチプレーヤーが好きなんだよね。この鈴木良雄さんもベーシストだけど、打ち込みからピアノからベースから、全部ひとりでやってて。

METAL:やっぱりシンセには魅力を感じるんですか。

STEREOCiTI:そうだね。ジャズとシンセの融合とか凄い好きだし。

METAL:やっぱり、シンセの魅力がテクノの魅力っていう部分ってありますよね。

STEREOCiTI:うん、それは絶対そうでしょ。打ち込みの部分が好きだから、今ここにいるわけで。この清水靖晃さんもそうだね。全部自分で打ち込んで、弾いて。この"案山子"っていうアルバムも夏がテーマみたいで、"セミ取りの日 "とか"海の上から"とか、ジブリっぽくていいよね。......全然黒くないセレクトだよね(笑)。まぁ、もともと黒いものに影響を受けてる人たちではあるんだけど。本当に黒くてグルーヴィンなところには、いまはちょっと飽きちゃってるんだよね。そこから派生した、より自分と近いものに今は寄ってる感じ。

METAL:やっぱり、日本的な情緒感みたいな部分は絶対にあるんでしょうね。

STEREOCiTI:うん、それは歳とればとるほど出てきた。感じざるを得ないし、それを拒否しなくなってきた。自分のなかで受け入れられるようになってきたかな。

KNK (Space of Bass / Enish) - ele-king

新譜を中心に2011年上半期ぐっときた宇宙曲10曲(順不同)


1
Hyetal - Phoenix - Orca Recordings

2
Helixir - Undevided - 7even Recordings

3
Boxcutter - LOADtime - Hotflush Recordings

4
Tropics - Give It Up - Planet Mu Records

5
Acid Burp - Asdacoke - THEM Records

6
Mesmer - Fearless - scarcityrecords

7
Pantha Du Prince - Stick To My Side (Four Tet version) - Rough Trade US

8
Kryptic Minds - The Things They Left Behind - Black Box

9
Jahcoozi - Read The Books(Ikonika Remix) - BPitch Control

10
Space of Bass - A Colourful Dive -Unreleased

Chart by JAPONICA 2011.05.18 - ele-king

Shop Chart


1

MAYER HAWTHORNE

MAYER HAWTHORNE NO STRINGS STONES THROW / US / 2011/5/12 »COMMENT GET MUSIC
LAの注目DJ/プロデューサー・ユニットCLASSIXXを迎えたオリジナル・ヴァージョンは、温かみあるメランコリックなメロディー/質感と 洗練のエレクトロニクスを同居させたレイドバック・トラックにMAYER HAWTHORNEの極上ファルセット・ヴォイスもばっちり健在する、これぞニュー・ソウル最前線な逸品!そしてタイトなヒップホップ・フレイヴァ注入に てブレイクビーツ・ソウルへとアップデートしたB面の御大JAZZY JEFFリミックスも見逃せません!

2

WILD RUMPUS

WILD RUMPUS CLOUDHOPPING / TIKKETY-BOO BITCHES BREW / UK / 2011/5/12 »COMMENT GET MUSIC
<BITCHES BREW>主宰の才女DJ COSMOとギタリストGARY LUCASによるユニット・プロジェクト=WILD RUMPUS、久々新作!フロアでの効力も存分に期待できるハード・エッジな約12分にも及ぶ長編アシッド・サイケ・ディスコA-1、そしてB-1では同 トラックを<CLAREMONT 56>主宰敏腕仕事人MUDDがアコースティック感ある鮮やかなバレアリック・ナンバーへとリミックス。もう一つのオリジナル・トラックとなるB-2は、 まるで温泉にでも浸かってる気分にさせる夢見心地の極上ドリーミー・ダウンテンポ・トラックでこれがまた本気最高!

3

HOLGER CZUKAY

HOLGER CZUKAY HIT HIT FLOP FLOP / HEY BABA REEBOP CLAREMONT 56 / UK / 2011/5/12 »COMMENT GET MUSIC
87年の傑作アルバム「Rome Remains Rome」収録のご機嫌チューン2曲をセルフ・リミックスした超限定7インチ!子供声をフィーチャーした遊び心満載の名曲「Hit Hit Flop Flop」と、スイングジャズ・ミュージシャンLionel Hamptonの「Hey Baba Re bop」にインスパイアされて作ったという名曲「Hey Baba Reebop」(←初めてシーケンサーを使った曲とか!)の2曲。

4

MAMPO

MAMPO VILLAGE SACRED RHYTHM MUSIC / US / 2011/5/10 »COMMENT GET MUSIC
2010年リリースのUN.CHAINED RHYTHUMSのボックスセットに収録されていたエクスクルーシヴ音源が7"シングルとして登場。無骨でヘヴィウェイトなベースライン、パーカッション が力強く交わりミニマルに攻め立てる90'Sライク・ハウス仕立てのフロア・ヒット確実な一枚!中盤以降からフィーチャーされるまさにJOE印の 流麗なキーボード演奏とのコントラストも実にお見事です。素晴らしい!

5

CHOPP MASTER FLOPP

CHOPP MASTER FLOPP DIRTY FUNK SURE SHOT / US / 2011/5/12 »COMMENT GET MUSIC
DJ SPINNAの変名エディット・プロジェクト=CHOPP MASTER FLOPP、待望の新作4トラックスEP!今回も誰もが知るサンプルソース古典~B-BOYクラシックスをカットアップ/ループ・エディット/マッシュ アップを駆使し豪快&痛快にブレイクビーツ化!ヒップホップ・スピリットが奥深くで息づいたある種原始的な荒々しく、そして大胆なエディット感覚 /手法が好感触な一枚です。12"リリースという体裁も嬉しいところ。

6

OBRIGARRD

OBRIGARRD OBRIWORLD 音韻王者REC. / JPN / 2011/5/4 »COMMENT GET MUSIC
名古屋の巨匠お二方による、ヒップホップ魂滾る傑作マージナル・ブレイクビーツ集!刃頭+YANOMIのミラクル・ユニッ ト=OBRIGARRD!祝ファースト・アルバム完成!南米/アフリカ/中東/アジア・・と世界各地に眠る民族/辺境音楽の数々を引っ張り出して は持前の高偏差値ヒップホップ流儀にてマージナル・ダンス・トラックへとアップデート!全国各地で高評価を得るライブのあのノリをそのまま落とし 込んだ、 OBRIGARRDの「今」が詰まった傑作。

7

TORN SAIL

TORN SAIL BIRDS CLAREMONT 56 / UK / 2011/5/12 »COMMENT GET MUSIC
UKロックバンドEARTH THE CALOFORNIAN LOVE DREAMのメンバーであり、SMITH & MUDDにもボーカルで参加していたノッティンガム出身のHUW COSTIN率いるニューバンド。スライドギターにハスキーなボーカルが哀愁を誘う、THE BYRDS、CSN、WIZARDS OF KANSASを彷彿させるウエストコースト・ロック~カントリー・ロック・サウンドで最高!カップリングはTIAGOによるリミックスを収録!

8

BANDA ACHILIFUNK & OJO

BANDA ACHILIFUNK & OJO I BELIEVE IN MIRACLES LOVE MONK / SPA / 2011/5/8 »COMMENT GET MUSIC
<LOVE MONK>が2011年新たに送り出す激注目スパニッシュ・バンドBANDA ACHILIFUNK & OJO、CDアルバムからのシングル・カット7"!永遠のクラシック・ナンバーJACKSON SISTERS"I BELIEVE IN MIRACLES"をスパニッシュ・ラテン・ファンク・カヴァーしたA面。極上です。そしてB面もこれまた鉄板ナンバーで本ネタ使用の関連作はどれももれ なくヒットのディスコ・クラシック"AIN'T NOSTOPPING US NOW"の爽快トロピカル・スパニッシュ・カヴァー!

9

MARCELLUS PITTMAN

MARCELLUS PITTMAN MARCELLUS PITTMAN EP LIFETIME GROOVE / GER / 2011/4/30 »COMMENT GET MUSIC
ご存知デトロイトの至宝が集結した伝説的ユニット3 CHAIRSの一角=MARCELLUS PITTMANによる「VERY LIMITED COLLECTORS RELEASE!」との一言のみ記されたレーベル/制作年等一切不明の謎に包まれた新作。そんな謎だらけの本盤ですが、内容のほうは期待通り(以上)のこ れぞ本家と言わんばかりの淡い鍵盤リフが舞う漆黒デトロイト・ハウス2発!これめちゃくちゃ良いです。

10

MARC MAC PRESENTS VISIONEERS

MARC MAC PRESENTS VISIONEERS APACHE / SHAFT IN AFRICA (ADDIS) BBE / UK / 2011/4/23 »COMMENT GET MUSIC
NAS"WORLD IS YOURS"、PHARCYDE"RUNNIN'"等ヒップホップ・クラシック中心としたジャズ・リメイクが多方面で話題となったMARC MAC(4 HERO)によるリメイク/カヴァー・プロジェクト=VISIONEERS、待望の新作は"APACH"と"SHAFT IN AFRICA"というこれまたヒップホップの中枢的大ネタを大胆リメイク!限定プレス。

Rick Wilhite & Theo Parrish JapanTour - ele-king

 デトロイトのソウルフルなハウス・ミュージックのファンには待ちきれない週末をふたつ紹介しよう。待望のアルバム『アナログ・アクアリウム』を発表したリック・ウィルハイトが1月末に来日する。そして、昨年の暮れに地味にリリースされたアルバム『スケッチーズ』(IGカルチャーやラリー・マイゼルもフィーチャーされたジャズ・アルバム)がじわじわと話題のセオ・パリッシュが2月のなかばに来日。どちらもブラック・ミュージック・ラヴァーズにとってはトーナメントのベスト4並みの重要なパーティ、翌日のことをいっさいに考えずに飲んで、踊ろう。

Rick Wilhite "ANALOG AQUARIUM" Release Tour

■2011.01.29(SAT) 東京 南青山 @Trigram
MAIN ROOM:
Rick Wilhite, Billion Dollar Boys Club (4 the love), Kenta (Time & Space)
SIDE ROOM:
Ken Hidaka (hangouter/Wax Poetics Japan), musiqconcierge (dB UKi/casablanca), Dave Clark III (UCC)
open : 23:00
Discount : 2500yen (contact : info@4thelove.net for discount)
Door : 3000yen
INFO : 4 the love https://www.4thelove.net
Trigram https://www.trigram.jp TEL 03-3479-2530

■2011.01.30(SUN) 横浜 @ Jack Cafe Bassment
- Freedom School presents THE DANCER vol.6 -
Special Guest DJ: Rick Wilhite
Special Guest Dancers: Stax Groove and Broken Sport
DJ: Downwell 79's(14catherine/Jazzy Sport Brooklyn), Kentaro Kojima(Freedom School), Keisuke Matsuoka
Live Painting: Tadaomi Shibuya
Food: Donuts and Hot Dog
Sake: Dareyame
Flower Decoration: Natsu
open 14:00 - close 21:00 再入場、出入り自由です。
Door 2000yen
INFO: Freedom School info@freedom-school.net
https://www.freedom-school.net/
045-664-0822(JACK CAFE BASSMENT) https://www.jcbassment.com/

RICK WILHITE (The Godson/3Chairs/From Detroit)
デトロイト・ハウス最強のユニット3 Chairs(スリーチェアーズ)。メンバーのセオ・パリッシュ、ムーディーマンと並ぶ第3の男が、Rick Wilhite(リック・ウィルハイト)だ。ムーディーマンが運営するKDJレーベルから96年にSoul Edgeでデビュー。デトロイトのレコードショップ『Vibes Rare & New Music』のオーナーを勤める傍ら、ソロ名義"Godson"としてもシカゴのStill Musicからシングルをリリース。昨年末にオランダのRUSHHOURレーベルからリリースしたショップと同名のコンピレーションはカルトヒットとなった。ファーストアルバム『ANALOG AQUARIUM』を2月9日にリリース予定。プログラミングソフトを用いずキーボードやハンドクラップをあえて「アナログ」な手法で取り込み、ディスコ、ジャズやアフロなど様々なサウンド・マテリアルを呪術的なビートに重ね合わせることによって「濃厚な黒さ」を感じさせる作品となっている。


Theo Parrish "SKETCHES" Release Tour

■2.18(FRI) Kyoto @club Metro
STILL ECHO meets Theo Parrish

Special Guest DJ: Theo Parrish
LIVE: daichi(based on kyoto)
DJ: KAZUMA(MO'WAVE), DJ PODD
LIGHTING: YAMACHANG(POWWOW, □)
FOOD: THE GREEN
open/start 22:00
Advanced 2500yen
Door 3000yen
Advanced Ticket at チケットぴあ (0570-02-9999 / 0570-02-9966 P-code:128-554)
ローソンチケット(ローソンLoppi L-code 52254)にて1/8より発売
JAPONICA music store(075-211-8580) newtone Records(06-6281-0403) Transit Records Kyoto(075-241-3077)
INFO: 075-752-4765(Club METRO) https://www.metro.ne.jp

■2.19(SAT) Gunma Takasaki @WOAL
DJ: Theo Parrish, K, ara
open 22:00
With Flyer 4000yen with 1Drink
Door 4500yen with 1Drink
INFO: 027-326-6999(WOAL) https://members3.jcom.home.ne.jp/woal
access: 湘南新宿ライン高崎駅(新宿/渋谷駅から乗り換えなし)

■2.20(SUN) Niigata @Under Water Bar Praha
DJ: Theo Parrish, 中沢将紫, HONDA(VINYLITE) and more
open 22:00
Advanced 3000yen with 1Drink
Door 3500yen with 1Drink
INFO: 025-249-2121(praha) https://www.peacemaker-inc.com/praha

■2.25(FRI) Hiroshima @SACRED SPIRITS
DISCO UNION "ROUTINE 9th ANNIVERSARY PARTY"
Special Guest DJ: Theo Parrish
Guest DJ: KZA(Force Of Nature)
DJ: DJ ABU
open 22:00
Advanced 4000yen with 1Drink
Door 4500yen with 1Drink
INFO: 082-544-4427 info@routine-net.com (ROUTINE) 
082-240-0505(SACRED SPIRITS)

■2.26(SAT) Tokyo @AIR
DJ: Theo Parrish(open-last set)
open 22:00
With Flyer 3000yen
AIR Member 3000yen
Door 3500yen
INFO: 03-5784-3386 (AIR) https://www.air-tokyo.com
Total Tour Info AHB Production 06-6212-2587 https://www.ahbproduction.com

CHART by JAPONICA 2010.06 - ele-king

Shop Chart


1

DJ NOBU

DJ NOBU 011 E.P. GRASSWAXX / JPN / 2010/7/3 »COMMENT GET MUSIC
ジャーマン・テクノ・シーンを牽引する世界最高峰のクラブ"BERGHAIN"でのプレイ等、ワールドワイドに活動の場を広げ邁進し続けるご存知<FUTURE TERROR>主宰DJ NOBU。今作も自身のプレイスタイルが滲み出たような野性味溢れる漆黒ディープ・グルーヴを披露!圧巻の濃厚密林トライバル"FRIDAY"に、C/W はセルフ・エディットによるズッブズブにハメ込まれるドープ・テック・チューンを収録!

2

HOLGER CZUKAY

HOLGER CZUKAY LET'S GET HOT CLAREMONT 56 / UK / 2010/6/16 »COMMENT GET MUSIC
クラウト・ロックの伝説グループCAN のベーシストであり、バンド解散後も活発なソロ活動を続けきたホルガー・シューカイ。その彼が1979 年にリリースした傑作アルバム「MOVIE」の1 曲目に収録された名曲"Cool In The Pool"のニューヴァージョンを2種収録!同アルバムに収録されていた超名曲"Persian Love"と共にLOFT CLASSIC としても知られ、DJ HARVEY をはじめ多くのDJ に愛され続けた名曲中の名曲。

3

ADMIRAL FREEBEE

ADMIRAL FREEBEE MY HIPPIE AIN'T HIP PLAY OUT! / BEL / 2010/6/26 »COMMENT GET MUSIC
DJ HARVEYリミックス収録!!ベルギーのシンガー・ソング・ライターADMIRAL FREEBEEを人気者DJ HARVEYが激烈エレクトロ・ディスコ・ダブへリミックス!この一曲だけで買いですっ!

4

DJ SPINNA

DJ SPINNA NIGHT CHANNEL -"AT NIGHT"NYC TIME- NIGHT CHANNEL / JPN / 2010/6/30 »COMMENT GET MUSIC
ジャンル無関係にフリースタイルなDJで世界中のダンス・フロアから愛されるDJ SPINNAによる渾身のミックスが到着!気になる内容ですが、自身による黒い感覚を元に一本筋の通った新旧レアグルーヴ、ディスコ、ハウスを縦横無尽に行き来し、さらに自身によるエディットも随所に挟み込んだ、隙の無い完璧なミックスに!この選曲、構成力、完成度、、脱帽の一言です。当店でもヘヴィー・プレイ中!!

5

DAICHI

DAICHI MBILITE EP RUDIMENTS / JPN / 2010/6/17 »COMMENT GET MUSIC
※JAPONICA限定特典!DJ DAICHIミックスCDR付き!ブギー、ファンク、ジャズ、ハウス、ブレイクビーツ・・様々なルーツ~ダンス・ミュージックの要素を高次元で昇華させ、あらゆる現場に対応できる柔軟さと普遍性を兼ね備えたハイブリッド・グルーヴ"MBILITE 2010"!C/Wには現場を知り尽くした御大DJ KENSEIさんによるオリジナルの雰囲気そのままにブレイクビーツ+αな絶妙なさじ加減でのクールなリミックスを収録!

6

AEROPLANE

AEROPLANE WE CAN'T FLY ESKIMO / BEL / 2010/6/26 »COMMENT GET MUSIC
ベルギーのニューディスコ~バレアリック・ユニットAEROPLANE、ホームレーベル<ESKIMO>より超絶ニュー・シングル・リリース!来るファースト・アルバムからの先行カットとなる本作。レゲエ/ダブ的なアレンジの光るベースラインにソウル・ネタからのヴォイス・サンプル、シンセ・コード、パーカッションとが絶妙に織り成す絶品ナンバー!これは片面プレスも頷ける即買級の完成度の高さ!

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JUZU a.k.a. MOOCHY

JUZU a.k.a. MOOCHY JUZU PRESENTS "MOVEMENT" EP2 CROSSPOINT / JPN / 2010/6/26 »COMMENT GET MUSIC
ビートダウン系トラックにRAS TWEEDによる神妙なポエトリーがハマったスペイシー・ダビーな"KOZA"、そしてノスタルジーなブルースハープが響き渡る"VITAL"とA面にはいかにもMOOCHYらしいダンス・トラックを収録。B面にはオリエンタル調のサックス、ギターが織り成す幻想的トラックにSHING02をフィーチャーしたラップ・ナンバー"GRACE"、そして内田直之によるダブ・ミックスを収録と全曲気合のこもった強力盤!

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DJ DUCT

DJ DUCT BACKYARD EDIT PT.3 THINKREC. / JPN / 2010/6/15 »COMMENT GET MUSIC
ビート/トラック・メイカーとしての確固たる実力に裏打ちされたオリジナリティ溢れるエディット・センスが国内はもとより海外からの反響も凄まじいDJ DUCTによる「BACKYARD EDIT」、第3弾となる今作はまさにシリーズ集大成と言わんばかりの超強力盤!いずれも現場感を意識し制作されたであろう極上トラック計5本収録です!

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V.A.

V.A. JP MASSIERA THE UNRELEASED YDNY / UK / 2010/6/30 »COMMENT GET MUSIC
フランス産狂気のサイケデリック&ディスコを手がけるカルト・プロデューサー、JEAN PIERRE MASSIERAの音源をPBR STREETGANG、BONAR BRADBERRY、SOFT ROCKSら現行ニュー・ディスコ/リエディット界隈人気者がトリビュート的な意も込めてリエディット!近年再評価著しいJEAN PIERRE MASSIERAによるマッドでサイケなこの変態的雰囲気、今のクラブ・シーンにもまさにドンピシャ!

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MARK E

MARK E SPECIAL FX MERC / UK / 2010/6/22 »COMMENT GET MUSIC
MARK Eによる本命路線、主宰レーベル<MERC>からのセカンド・シングル!80'Sライクな煌びやかなシンセ、ファットなビートでジワジワとビルドアップしていくビートダウン・ディスコ"SPECIAL FX"、中盤での爽やかな展開もこれからの季節にもぴったり!そしてC/Wにはシカゴ・ライクなファットなサウンドが光るテクノ・トラックを披露した"CHRISTO"!いやいや<MERC>からのMARK Eは気合入ってます!

intervew with Eccy - ele-king

ベンガ、スクリーム、キャスパ......超オールスター。それで2000人ぐらい入っていたのかな。で、若い女の子が、上は下着だけみたいな。ガン踊りしてて。

 初対面のわれわれが何故まず手はじめに童貞についての話を延々としたかと言えば、すべてはY氏が悪い。僕よりも20歳も年下のトラックメイカーは僕に向かって童貞にまつわる話をはじめ、僕は自分の童貞喪失について話す羽目になった。ことの経緯についてはご想像におまかせしよう。ただひとつ知ったことは、若い世代にとって"童貞"とういことが大きな問題となっているらしいということである。僕の世代では、思春期においてはそれがそれほど大きな問題意識になったことはなかった。

 さて、エクシーのUK体験談を聞くために僕はビールと呼ばれる背徳の液体の入った中ジョッキを持っている。この冒険心溢れるトラックメイカーは、2007年、彼が22歳のときにシンゴ02をフィーチャーした"アルティメイト・ハイ"によって広く注目されている。その後エクシーは......文学肌のラッパーをフィーチャーしつつ、ストリートというよりもどちらかといえばアーティな作品(『フローティング・ライク・インセンス』、『ブラッド・ザ・ウェイヴ』等々)を発表している。

 とはいえ、彼が現在、新世代においてもっとも興味深いひとりになりえているのは(彼と銀杏ボーイズとの繋がりはさておき)、音に対する彼の貪欲さにおいてである。とにかくエクシーは、欧米で起きている新しい動きにやたら敏感に反応する。彼がフライング・ロータス以降のエクスペリメンタル・ヒップホップないしはハドソン・モホークに対する回答のような、全曲インストによる『ルーヴィア・ミトス』を昨年末に出したことは、音の刺激に飢えている連中にしたら納得のいく話である。そして......アルバムのジャケでムーグのアナログシンセのつまみを乳首を触るような手つきでつまんでいる彼は、最近はヤマハのDX7を安くゲットしたと嬉々として語るような、いわば音フェチでもある。

 予想外だったのは、彼のそれまでのイメージからは想像できないほどのエクシーがパーティ・アニマルだったという事実だ。それは嬉しい事実である。彼は、昨年の10月にUKに渡っている。目的はひとつ、ダブステップのパーティで踊ること。

なんでイギリスに行こうと思ったの?

海外行ったのが初めてで。最初はロスとかニューヨークとか、普通にそっちに行こうかなと思っていたんですけど、一緒に行くことになったのがDJケイタっていう、バトル系のDJで、ドラムンベースが好きなヤツだったんです。そいつがロンドンに行くって言い出して、それで「じゃあ、行こうか」ってなった。どうせ行くならパーティに合わせようぜってなって。

行く前からダブステップやグライムみたいなのが面白いなとは思っていたんでしょ?

そうですね。ダブステップは1年前くらいからハマりはじめていて。

きっかけは?

ブリアル。でも、最初はいまほど面白さわかんなくて。それで漁っていくうちに、「けっこう面白いジャンルだな」と。そっからミックス聴いたり......。そのあと〈ハイパーダブ〉とか好きになって。日本にひとり、〈ハイパーダブ〉から出している人いるの知ってます? クオルタ330って。

面識はないけど知ってる。

あの人にオレらがやっているパーティの1回目に出てもらって。今度も出てくれるんですけど。で、〈ハイパーダブ〉が好きになった後、スクリームやベンガが日本に来たときに行ったりとか、いろいろ知識を付けたうえでロンドンに行って......みたいな。で、ロンドン、アムス、マンチェスターに行ったんですけど、いや、すごかった。

なにが?

6日連続でクラブに行ったんですけど(笑)。

1週間いて(笑)?

はい(笑)。

ハハハハ、誰もが通る道(笑)。

とにかく客がすごいっすね。

やっぱもっとパーティっぽい?

そうですね。

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じゃあ、順をおってお願いします。

まずモスクワに泊まったんすけど。アエロフロートのせいで(笑)。

空飛ぶロシアンルーレットね(笑)。

いまぜんぜんいいっすよ。ぜんぜん機体が綺麗。

そうだよね。ロシアは好景気だもんね。オレ、93年にイビサ行ったときにアエロフロートだったな。その頃、冗談で"空飛ぶロシアンルーレット"って言ってたの。モスクワの空港も酷かったしね。何もない。

あ、そこは変わらない(笑)。とにかく出発が6時間遅れたから、ロンドンに6時間遅れで着くのかなと思ったら、出る便がないって言われて。で、成田で、ロシアに着いたらホテルを用意しているからそこに泊まれと、ただし、そこは自分で交渉してくれと。で、初めての海外で、英語も喋れないのに交渉できるわけないだろうと(笑)。で、飛行機のなかでずっと英会話の本を読んでいて(笑)。で、行ったら行ったで、ちゃんとホテルが用意されていて、大丈夫だったんですけど。すげー、良いホテルだったし。

ロシアでクラブに行ったわけじゃないんだ?

行かなかったすね。それで、次の日にロンドンに着いて、すぐアムスに行かなきゃならなくて。

なんで(笑)?

そういう日程組んであったから。ちょうどアムステルダム・ダンス・イヴェント(ADE)やっていて。で、オレらより先に、ヨーロッパひとり旅しているヤツと合流して。1日目はそれで、スティーヴ・ローラーのパーティ行って。

誰それ?

Y氏:プログレッシヴ・ハウスのDJ。

Y氏の専門分野じゃないですか(笑)。

〈ワープ〉のクラークのパーティに行きたかったんだけど、すげーデカイところなんですけど、ぜんぜん入れなくて。それでクラブ探し回って。そしたらそこだけ入れた。で、次の日もアムスにいて。〈ワープ〉のラスティっているじゃないですか。あいつと〈ストーンズ・スロー〉のデイム・ファンクのDJに行って。

いいな~。

音はまあ、良かったんですけど、でも「日本とそんな変わんねーじゃん」と思って。で、次の日にオレとケイタはロンドンに戻って。で、〈ファブリック〉に行って。気合いを入れて前売りまで買ってたんですけど、疲れていて朝の3時まで寝ちゃって。で、「やべー、いまから行かないと終わっちゃうぞ」って。朝の4時に〈ファブリック〉に着いて。まあ、空気を楽しむぐらいだったんですけど。で、思っていたよりも子供向けのクラブみたいなイメージがあって。

観光客向けだよね。

そういう感じで。

やっぱ地元の連中が行くクラブがいちばんだよね。

そう。で、翌日は電車乗ってマンチェスター行って。マンチェのパーティが今回のベストでしたね。まあ、うちらそのパーティのために行ったようなものなんですけど。eBayでチケット買ってね。ウェアハウス・プロジェクトといって倉庫を使ってある期間やっているイヴェントなんですけど、毎週大物が来るみたいな。2フロアあって。まずメンツが凄くて。モードセレクター、ベンガ、スクリーム、キャスパ、ジョーカー、ラスコ、で、セカンド・フロアでメアリー・アン・ホブス、デイム・ファンク、ラスティ、ガスランプ・キラー、ノサッジ・シング......。

オールスターだね。

超オールスター。それで2000人ぐらい入っていたのかな。で、若い女の子が、上は下着だけみたいな。ガン踊りしてて。

モードセレクターはちょっと毛色が違わない?

違うんですけど、良かった(笑)。

いちばん良かったのは?

ラスコ。超パーティ野郎みたいな感じで。ガスランプ・キラーも良かったな。

ジョーカーは? まさにヒップホップ出身じゃん。

ケイタとジョーカーちょっと見て、ケイタが「ジョーカー、ダサくないっすか」って言うから、「ダセーなぁ」って(笑)。ほとんど聴かなかった。で、帰ってきていろいろ聴いていたらジョーカーがいちばん格好良くて(笑)。いまではオレ、ジョーカーがいちばん好きなんです(笑)。

ハハハハ。もっとも期待されているブリストルの新世代だからね。てか、もうすでにスターらしいよ。それこそG・ファンクから来てるんだよね。

へぇー。ダブステップって、出身がいろいろあって面白いっすよね。トランスっぽいヤツもいるじゃないですか。

テクノ出身者、ヒップホップ出身、レゲエもいるし、ハウスもいるし、ジャングルもいるよね。

でもやっぱ、いちばんは客の熱気だよね。同じこと日本でやっても絶対にこんな盛りあがらないなっていうのがあるから、「あー、こんなに反応してくれて、こんなに盛りあがってくれたら楽しいだろうな」と、やってる側の目線で思って。日本人のDJがあの場にいって、そこまで盛り上げることはできるだろうけど、向こうのDJがこっちに来て、あそこまで盛りあがるのは無理だろうなと。この先、何年後にはできるかもしれないけど。それをけっこう思って。
 で、マンチェスターのパーティで、普通に煙草吸っていたら、地元の奴らと仲良くなって。で、「うち来ない?」みたいな話になって。

ハハハハ。オレもまったく同じ経験ある。それでみんなでレコード聴くんだよね(笑)。

ベンってヤツのカップルとアンって女の子3人に声かけられて。だから「3人で行くのかなー?」と思って、」で、タクシーに乗って行ったら、すでに部屋には15人ぐらいいて(笑)。

ハハハハ。20年前と何も変わってねーじゃん(笑)!

ハハハハ、ホント、みんなグダグダで(笑)。

よくあれでポンドを保ってられるよね。

ハハハハ。で、ケイタのミックスをかけたらみんな上がって(笑)。「どこでDJやってんの?」とか訊いてきて。

何歳ぐらい?

若いっすね。オレより2個下ぐらいかな。20歳から大学生ぐらい。で、ベンの彼女のアンナってヤツだけしっかりしてて、定期的に紅茶入れてくるんすよ(笑)。

ミルクティーでしょ!

いや、それはちゃんと何が良いか訊いてくれて(笑)。

それで、帰りに紅茶買ったでしょ(笑)?

買った(笑)。

変わってないじゃん(笑)!

ハハハハ、楽しかったすね。

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Y氏:でも、日本でもそういう瞬間があったじゃないですか。

90年代前半とか?

Y氏:90年代の後半とかも。パーティが終わると、「代々木公園行こうよ」とか。「うちに来なよ」とか。

まあ、そうだね。

でも、日本では無理っすよ。

無理じゃなかった瞬間もあったわけだし。

でもいまは無理な気がする。

なんで?

まわり見てて、パーティ行くヤツが少ない。

残念だね。

クラブもカラオケの代わりになっちゃってるし。マンチェスターの奴らとか、あれしか楽しみがないんだろうなぐらいの気の入れようだったから。で、次の日はロンドンで、〈プラスティック・ピープル〉に行って。

〈プラスティック・ピープル〉?

それは地元密着型の濃いパーティ。

どこ?

えー、あれは......、ダメだ、ぜんぜん思い出せない(笑)。ロンドンで有名な駅って?

たくさんあるよ、パディントン、ノッティングヒル・ゲート、コヴェント・ガーデンとか(笑)。

えー、思い出せない(笑)。とにかく小箱で、でもファンション・ワン置いてあるみたいな。ミラーボールもなんもなくて、そこで毎週〈フォワード〉っていうダブステップのパーティをやってて。それに行って。メンツはMAワンっていうファンキーのDJ、で、ジンクやって。

おー、クラック・ハウス。

で、ジャック・ビーツっていうエレクトロ・ハウスっぽいのをやって、で、スクリームがやるみたいな。

ジンクのクラック・ハウスのコンピ、知ってる? 黄色のジャケのヤツ(「Crack House EP」)。

オレも買いました。

あのCDだけ聴いても現場がどんななのかわからないんだよね。

そうですよね。オレ、ジンク好きっすよ。

あれはホントにパーティ・ミュージックだよね。ちなみにそのパーティは何曜日?

日曜日っすね。オープンが大幅に遅れて、9時ぐらいから2時までやってましたね。で、そこ行ったら、今回初めて日本人がいて。「あれ日本人じゃないっすか?」ってケイタが言うから、で、訊いたら「そうだよ」って。で、話したら、その人がエナさんっていう、ゴス・トラッドなんかが出ている〈Back To Chill〉をやっている人で。共通の知り合いがすごくいっぱいいて、で、仲良くなって。

へぇー。

Y氏:よくロンドンのどのクラブ行っても日本人がいるって話聞くんだけど、ダブステップのクラブには滅多にいないよね。

ぜんぜんいないっすね。アジア人がいない。

アフリカ系はいるでしょ?

半々ぐらいでいますね。で、それが5日目で、で、6日目は「さすがにちょっとぐらい観光しようか」って話になって。で、結局レコード屋とかに行って、CDとTシャツを買って。そしたらまたエナさんに会って(笑)。

ハハハハ。行動パターンが同じなんだ。

そう。で、「今日の夜、ブリクストン・アカデミーでヤバいパーティがあるよ」って。それが16歳以上から入れるパーティで。

16から入れるっていいよな。

だから酒は売っていない。

なるほど。

で、ケイタと「どうする?」って。オレら、ドラムンのパーティをアムスで逃していて、ケイタがどうしてもドラムンで踊りたいって言い出して(笑)。「じゃ、行くか」みたいになって(笑)。

ブリストルって、中心地からは遠いからね。

遠いじゃないですか。だから終電で行って。そしたらガキんちょたちで溢れていて、あり得ないくらいの熱気で(笑)。

あんな広いところで。

あんなに広いところがガキんちょでいっぱいで(笑)。で、さすがにその日はもうオレらも疲れていたから隅っこのほうで休みつつって感じだったんですけど、誰かのDJになった途端、すべてのフロアから人が集まってきて。それがチェイス&ステイタスで。「うわ、こんなに人気があるんだ」って。

チェイス&ステイタス?

リアーナのダブステップやったり、スヌープのダブステップやったり。

ああ~。

すごかった。あんなに人気があるとは思わなかったね。

しかし16歳で行けるDJパーティがあるって良いよね。

しかも朝の5時ぐらいになると親とか車で迎えにきて(笑)。ドラムンでガン踊りしていた子供を迎えに来るって、「物わかり良すぎだわ」って(笑)。

それはハウス世代の親じゃないの? 「もう、しょーがねーな」みたいな(笑)。

しかし、月曜日に5000人の若いのが踊ってるって......。

健康的でいいなー(笑)。

ヴァイタリティ半端ないっすよね。〈プラスティック・ピープル〉で、白人のガキんちょがでかい黒人のセキュリティに超からんでいるんすよ。「おまえ出てけ」って投げ飛ばされたりしてるんすけど、すげー食いかかっていて。明らかに体格差もあんのに、「ファックユー」連発で、「こんなヤツ、日本人であんまいないなー」と思って。

へぇー。

とにかく、ダブステップ、こんなに踊ってる感じなんだーって、日本からはつかめなかったんで。それがもう、爆発してたんで。

レイヴ・カルチャーそのものなんだね。

それでオレも、自分でもダブステップやりはじめようかなと思って。

やってるじゃん、新作『ルーヴィア・ミトス』で。

それはダブステップというよりは......。

フライング・ロータス?

フライング・ロータス。

やっぱり。

そう、でも、もっとフォーマットにのったダブステップを作ろうと最近は思っているんですよ。

ダンス・ミュージックって、フォーマットがあるからね。

そうなんですよ。オレ、これ(『ルーヴィア・ミトス』)では好き勝手やってるだけなんで。もうちょい縛りあったうえで踊らせるっていうか、他のDJもかけやすくするっていうか。それって大事かなって。で、やってみたら面白かった。

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エクシー君のイメージって、やっぱキース・ジャレットのジャケの写真を自分のCDのアートワークに使っているように、すごくシリアスなさ、ある意味求道者的なさ(笑)。

この前もVJの人と飲んでて、「エクシー、おめーぜんぜん知性派じゃねーじゃん。下品だおめーは」って言われて(笑)。

ハハハハ。

やっぱ向こうの現場見ちゃうと、とくに。

それ、日本でもやって欲しいな~。

渋谷の〈プラグ〉で〈Coldsteel〉ってパーティやってます。2月5日に渋谷の〈プラグ〉でリリース・パーティかねてやりますよ。

行こうかな。

野田さんはクラブ行かないんですか?

ここ数年、子供ができてからはめっきり行かなくなったけど、嫌いになったわけじゃないからね。昔は毎週末行っていたし、ある時期はロンドンに隔月で行っていたよ。クラブとレコードを目当てに(笑)。だから今日の話はすごーくわかる(笑)。オレの世代はブリクストンと言えば、〈ロスト〉っていうテクノのパーティだね。上半身裸で壁によじ登るようなヤツがひと晩に20人ぐらいいるような(笑)。ロンドンはどこに泊まったの?

キングスクロスのあたりとか。

えー、そうなの! キングスクロスって、オレも昔よく泊まってたけど、娼婦や売人が立っているようなところだったんだよ(笑)。駅の反対側に倉庫街あって、あっちでもパーティがあったりして。

あー、あったあった。

で、いきなり『ルーヴィア・ミトス』の話に戻すと、過去2枚って、シンゴ02とか、マイク・ジャック・プロダクションとか、あるぱちかぶととか、文学肌のラッパーを入れているじゃん。それが、『ルーヴィア・ミトス』ではいっさいラッパーなしでやってるじゃん。そこはオレ、ラッパーの力を借りずに勝負してるなって思ったんだけど。

もともとインスト作品を出したくて。あとこれ、インストのシリーズなんですよ。ラッパーいないとさくさく曲作れるし。このアルバム、昨年の12月に出ているんですけど、ほぼ全曲9月に作っているんですよ。

すごいね。

すぐ出せるのがいいなーと。自分でミックスもしているし。

ロンドンに持っていかなかったの?

ミックス前だったんですけど、持っていきました。けっこう気に入ってもらえましたよ。

音を聴いてくれるのっていいよね。

そうっすね。

オレ、こないだタナソーとのトークショーでも言ったんだけど、音を面白がる文化って良いと思うんだよ。

オレ、ホント、意味とかどーでもいいと思っていて。

えー、意味あるラッパーばかり揃えているじゃん(笑)。

テーマとかどうでも良いと思ってて(笑)。

銀杏ボーイズが好きなくせに。

銀杏ボーイズは歌詞カード見ないでも言葉が入ってくるから好きなんですよ。うちのラッパーだとオロカモノポテチっていうのがいて、そいつがオレはいちばん入ってくるんですけど、正直、あるぱちかぶととか難しくて。

ハハハハ! 自分の作品でラップしてもらってるのに(笑)!

いや、もちろん良いんですけど! そこまでグッと来ない(笑)。

マジ(笑)? あるぱちかぶと、グッとくるじゃない。言葉でトランスさせるような感じでしょ。

ま、そうっすね。シンゴさんは、ライヴが好きっすね。ライヴが素晴らしい。あるぱちかぶとも、そろそろシンゴさんぐらいいってるのかなと思ってたんだけど、ライヴを観たらまだまだだった(笑)。

オレ、あるぱちかぶとのアルバムの1曲目、すごいと思ったけど。東京をラップしている"トーキョー難民"という曲。びっくりした。

はいはい。

あの風景の描き方はすごいよ。まあ、踊らせるってタイプじゃないけどね。で、ああいう優れたラッパーが身近にいながら今回はインストで勝負しているところにエクシー君のソウルを感じたんだよね。気が早いけど、次のアルバムが楽しみだね。

オレ自身も楽しみっすよ。なんか、〈テクトニック〉が気に入ってくれたみたいで。

えー、最高じゃない!

ピンチが気に入ってくれたみたいで。それで実は昨日、ぶちあがっていて。

それはオレでさえあがるよ(笑)。

このまま食らいついて、「シングル出そうよ」って言われるぐらいになりたいっすね。〈テクトニック〉、最高っすよね。

最高のレーベルのひとつだよね。昨年のコンピレーションも良かったし、ピンチのシングルあったじゃん。歌モノのヤツ。

「ゲット・アップ」っすよね。

そうそう。

あれで、グイードがリミックスしてるじゃないっすか。オレ、グイードがヤバくて。

ブリストルのジョーカーの仲間だよね。みんなまだ若いんだよね。

オレ、コンプリートしたんですけど。写真とかも、みんなかっこつけるんですけど、グイードだけがリーボックのジャージ着て突っ立ているだけで、リーボックってところがいい、イギリスっぽいな~って(笑)。

ハハハハ。ジョーカー、グイード、ジェーミー、あいつら、まだみんな20歳そこそこなんだよね。ジョーカーがいちばん若くて、たしか昨年の時点で20歳だったと思ったよ。

え、あいつがいちばん老けた顔しているのに(笑)。

ベンガやスクリームもみんな若いじゃん。13歳からDJやったり作っているわけでしょ。

あいつら若いっすよね。そういえば、〈プラスティック・ピープル〉の外で煙草吸っていたら、BMがやって来て、ゴミ袋を何度も轢いてて、頭おかしいヤツ乗ってるなーと思ってたら、車からベンガが出てきて、「おー、ベンガだ!」って(笑)。

いいな~、そんなことやっててレベル・ミュージックになっているところがいいよな~(笑)。

そうっすよね。しかもベンガとスクリーム、ヨーロッパのどこにもいますからね。ヨーロッパのいたるところのフライヤーに書いてある(笑)。

グラストンベリー・フェスティヴァルでもやって話題になってるもんね。ということで、エクシー君、がんばれ!

ハハハハ。

Eccy DJ Chart
  • 1. Hudson Mohawke / FUSE (Warp)
  • 2. Jinder / Youth Blood[12th Planet & Flinch Remix] (Trouble & Bass)
  • 3. Doshy feat.Raspe / Crtzl[Robot Koch Remix] (Robox-Neotech)
  • 4. Guido / Beautiful Complication (Punch Drunk)
  • 5. Rustie / Inside Pikachu's Cunt (Warp)
  • 6. Scuba / Twitch[Jamie Vex'd Remix] (Hot Flush)
  • 7. Rustie & Joker / Play Doe (Kapsize)
  • 8. Ikonika / Smuck (Planet Mu)
  • 9. Joker & Ginz Purple City (Kapsize)
  • 10. Zomby / Spliff Dub[Rustie Remix]- Hyperdub
  • 11. Skream / Trapped In A Dark Bubble (Tectonic)
  • 12. Bjork / Hyperballad[Eccy Dubstep Edit] (Nytebug)

※以下のサイトもチェック。
https://eccy.cc
https://www.slyerecords.com

また、昨年の12月から〈NYTEBUG〉という無料ダウンロードのレーベルを実験的にスタートしているで、そちらも是非。
https://nytebug.blogspot.com/


2010/02/05(Fri)
COLDSTEEL vol.5 @Shibuya PLUG
"あるぱちかぶと - ◎≠" and "Eccy - Loovia Myhots"
Double Release Party!!!!!!

-starring-
あるぱちかぶと
Eccy
Matt.B(Bass Science / Made In Glitch)
Quarta330(Hyperdub)
broken haze
haiiro de rossi
DJ KEITA
Notuv
Emufucka
小宮守

Flashback 2009 - ele-king

the techno of the year! ルシアーノ。

 いよいよゼロ年代も終わろうとしてる。あっという間すぎて、とりとめがなさすぎて、消化しきれてないこの10年。その様相をギュッと凝縮したようにまったくもってカオスで行く末もなにも不明瞭だった今年。いろいろ話していく中で"テクノはNGワード"というショッキングなトピックすら出てきたが、こうなったら行くとこまで行ってしまえという思いも湧いてきたのだった。

 そもそも40すぎのおっさん一個人が体験できることなんてたかが知れてるし、「それで総括なんてちょっとおこがましいだろ」わたしの中のガイアがそう囁く。実は去年も某ではなく亡R誌の総括企画でいろいろ違う立場、違う世代のひとたちと語らって結構収穫があったのを思い出し、さっそく身近で現場にいちばん近いひとたちに声をかけた。ひとりは〈ageHa〉で積極的に旬のアーティストを招聘し、日本のDJたちもバシバシ登用してるパーティ〈CRASH〉のオーガナイザーの荒木くん、もうひとりは貴重なアナログを試聴して買える店舗として渋谷でがんばっている〈Technique〉のテクノ担当バイヤー佐藤くん。ふたりとも、それぞれの視点でなかなか外からは見えないことを語ってくれた。その貴重な発言を織り交ぜながら、09年を振り返ろう。

 今年意外だったリヴァイヴァル現象のひとつは、ハード・テクノが復活の兆しを見せたこと。ちょっと前までは"最も需要のないジャンル"とまで言われたハードテクノ/ミニマルが、息を吹き返した。

 「自分がテクノを好きになるきっかけのアーティストのひとりで、ルーク・スレイターは毎年呼んでるんですけど、今年はPlanetary名義のアルバムも出て、ヨーロッパでも評判が良くて調子も戻ってきてるって話を聞いて、すごい嬉しかったですね。一時低迷してる感じもあったでしょう。実際好調だっていうのを反映するように、DJプレイ自体すごく良かったし。このあいだ〈Drumcode〉のパーティで来たAdam Beyerもハードだったけどテクノ! って感じのプレイで、燃えました」(荒木)

 ベルリンで"世界一"との称号を得るクラブ〈Berghain〉が核となったこの動き、ルークのPlanetary Assault Systems名義のアルバム『Temporary Suspension』 が〈Berghain〉の運営するレーベル、〈Ostgut Ton〉からリリースされ、またWIRE09のハイライトになったLen Fakiが同クラブの公式盤としてリリースしたミックスCDも素晴らしかった。両者とも、クリック~ミニマルの流れは意識しつつも、図太いキックを響かせハードなサウンドの復活を象徴していた。

 「レーベルだと〈Blueprint〉とか〈Downwards〉が復活して、リイシューも含めると結構な数がリリースされる状況です。硬質なテクノはきてますね。ただ、シーンがハウス的なものばかりになってしまった反動で、30歳前後のかつてのハード・ミニマルの隆盛を知ってる層がまた聴きだしたという印象で、若いひとが新鮮に感じてるということはないんじゃないかなぁ。このあいだのSurgeonのDJでもフロアの年齢層高かったし」(佐藤)

 昨年のリーマン・ショック以降の世界恐慌一歩手前という経済状況は、もちろんクラブ/音楽業界にも寒風を吹かせた。特に欧州では意識変革や時流とも相まってアナログ盤のセールスの激減という事態に結びつく。Native InstrumentsのDJ用ソフト開発に関わっている人物によると、ドイツでのヴァイナルの販売数は今年1/3にまで落ち込んだそうだ。しかし、日本の状況はどうかというと、意外に市場全体の規模としては急激に縮小してるわけではないという。

 「レーベルだと〈Cadenza〉、もしくはリカルド(・ヴィラロボス)絡みのものだと、100~200枚売れることもありますが、それが最大。昔はウチだけで数百なんてよくある数字だったんですけどね。普通のものは10~30枚とかですよ。ただリリースの数がものすごく増えて、だから全体としてはそこまでセールスが落ち込んでない。ドイツのディストリビューターのひとと話したら、やはり多くのレーベルがアナログは全世界で300枚くらいしか売れないと言ってますね。そうなると日本はマーケットとしてすごくでかいし、次の展開としてアジアをどうにかしようと考えてるみたいです。ただ、そこまでプレス枚数が減ると値段上げて売り切りでもペイできないだろうし、DJとしてブッキング増やすためのプロモーション・ツールになってきてる」(佐藤)

 実際のところアナログ盤を買うというのは、ある種の贅沢行為もしくは奇特な趣味になりつつあるのかもしれない。今年はまったく面識ない若い子と一緒にDJする機会が何度かあったけど、PCかCD-Rでやってるケースが大半で、ターンテーブルはもう物置場と化してるわ、カートリッジもついてないわ、隅のほうに縦置きされてるわで、なんとも悲しいブースだった。もっと名の知れたメジャーな箱でプレイしてるDJたちにしても最近は「アナログ使いますか?」と事前に確認されるとか、そうでなくてもデジタル・ソースで良く聞こえるようにPAが調整されていてアナログだとイマイチというケースも増えているそうだ。そして、11月末にはついにオーストラリア発で「パナソニックがテクニクスのターンテーブルの生産を中止する!」という噂までネット中を駆け巡り大騒ぎになった。ひとまずそれはガセと否定されたが、いつそんな状況になってもおかしくない、というのが現実か。

 09年の最大のフロアヒットがリカルドのレーベル〈Sei Es Drum〉から出たRebootの"Caminando"もしくはルシアーノが半年以上かけてプッシュし続けたMichel Cleis"La Mezcla"であることは疑いないだろう。両方とも、フォルクローレ・ミニマルという今年の一大潮流となったトレンドを規定するような仕上がりで、実際南米の楽曲をもろにサンプルしたトラックだが、目の付け所やループの組み方など絶妙でまさに時代にフィットした感があった。リカルドは現在もアナログ・オンリーでDJしているし〈Sei Es Drum〉はデジタル・リリースをやってない。ルシアーノは現場ではPCを使っているが〈Cadenza〉は大半のリリースでアナログ重視の姿勢を貫いている。日本でも石野卓球や田中フミヤといった影響力のあるプレイヤーがいまだアナログにこだわっているといったように、ロールモデルになるトップDJたちの姿勢によってなんとかまだ最後のエリアは死守しているという状態だろうか。なにせ、Loco DiceやChris Liebing、Josh Wink等の例を持ち出すまでもなく、ほとんどのインターナショナルDJはすでにデータでのプレイに移行しているからだ。

 「でも例えばDaniel Bellとか、Sascha Dive、Cassy、それとレーベル〈OSLO〉周辺のアーティストなんかはみんなアナログが大好きで、影響力あると思います。うちにも来るけど、ユニオンで中古盤買うのが楽しみみたいですね。ドイツだといい中古盤はあまりなくて、値段も高いからって。DBXなんて、ユニオンに行くために東京をツアーに組み込んでるんじゃないかな(笑)」(佐藤)

 さらに09年は、完全にインプロビゼーション的な手法を持ち込んだライヴを行うアーティストが成果を見せ始めた年だったとも言える。テクノのライヴというと、ラップトップとにらめっこというのが普通だったが、ついにそこから大きくはみ出すことをテクノロジーとアイデアが可能にした。例えば、年明け早々に日本でも見られるMoritz Von Oswald Trio(モーリッツ翁とマックス・ローダーバウワー、ヴラディスラヴ・ディレイのユニット)が数々のステージでの実験を発展させて素晴らしいアルバムに結実させたし、ルシアーノはレーベルの若手Reboot、Lee Van Dowski、Mirko Loko、Digitaline、そしてアルバムにも参加したハン・ドラムのOmri Hasonがそれぞれ演奏する音の要素、さらにはシンクロする映像をMac上のソフトで自在に操り、誰の音が流れているか一目でわかるように光でアイコン化するという画期的なステージAEtherを展開。世界中をツアーして驚かせた。ラップトップを使いながらもその場で自由に音を組み立て、多人数で空間を作りあげるという実験はほかにもRichie Hawtinが多くのプロデューサーたちと積極的に行っている。

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 さて、ele-king的にはあまり注目されない部分ではあると思うが、無視できない人気と勢力を維持しているのがエレクトロのシーンである。ベルギーで毎年行われている巨大テクノ・フェス"I ・ Techno"の公式コンピCDで、昨年Boys Noize、今年はCrookersがミックスを担当しているのは衝撃的だ。"テクノ"と銘打ってはいるが、実際のところメインどころで鳴っている音は巷でいうところのエレクトロが大半という事実。ある意味行くところまで行ってしまった"テクノ"のストイックすぎる音の対極にある派手で下世話でエネルギッシュなこの手の音が、昔でいうならレイヴ、ハードコアと同じような文脈で若いクラバーに支持されているのはよくわかる。〈WOMB〉が幕張メッセに出張して行う大規模イヴェント〈Womb Adventure〉は、2年目となる今年も、Richie HawtinとDubfireのユニットClick 2 ClickとDigitalismやDexpistolsが隣り合ってプレイするという普段のクラブ・イヴェントではなかなかお目にかかれない取り合わせを実現していた。

 「DEXのやってるレーベルの若いアーティストでMYSSっていう2人組がいて、まだ22歳くらいですっごい若いんです。ここ数年でDJはじめてガーッと人気が出てきたっていうヤツらなんですが、去年の〈Womb Adventure〉に行ってリッチー知らなかったですからね! でも、かけてる曲聴いてると結構テクノなんですよ。あれは衝撃的だったな。僕らとは全然成り立ちが違うんだなと思って。曲は耳で聴いて採り入れてても、それをテクノとは認識してないんでしょうね」(荒木)

 レコード店に足を運ぶのも、テクノのパーティで踊るのも、30歳から下というのが極端に減っているという。一方で、どんどん若い世代が飛び込んで育ち始めているのがエレクトロだと。極端ではあると思うが、同じ音でもテクノとラベルづけされるといきなり「暗い・難解」的なイメージで、人が呼べないという危惧があるからだって。なんたることだ! 今のエレクトロのDJやアーティストすべてが敬ってもいい"I'm a Disco Dancer"と"Popper"の生みの親であるChristopher Justさんなんて、いつのまにか「エレクトロの人気アーティスト」と宣伝されるようになっていたからなぁ......。

 では、テクノの文脈でまったく新しいひとたちが出てきてないのかというと、そんなことはない。ロンドンとベルリンを拠点とする世界最高峰のエレクトロニック・ミュージックのサイト「Resident Advisor」が先日発表した読者投票によるトップ100DJのリストをみれば、多くの大御所たちを押しのけてたくさんのフレッシュな名前を見つけることができる。Marcel Dettmann、Magda、Ben Klockといったミニマル勢、Dixon、Nick Curly、Omar-Sといったハウスを新しいカタチで提示する連中も元気だ。では、日本のアーティストは......?

 「海外でレコードでてるアーティストはたくさんいるんですよ。でも、日本のリスナーやDJはあまり日本人の作品プッシュしない印象ですね。メディアも取り上げないし、レコード出たからといって人気に火がつくわけでもなく、積極的にリリースしてるレーベルも〈Mule〉くらいですからね」(佐藤)

 う~ん、たしかに。〈Poker Flat〉からもリリースするRyo Murakami、〈Minus〉や〈Immigrant〉などからリリースするRyoh Mitomiなどポツポツと新しいアーティストはいるが......。「ベルリンでプレイと言ってもギャラもあまり出ず、帰ってきてからのプロモーションになるかなという感じでやりに行くというケースも多いですよね。自費でいいなら来いよ、みたいな。やはり向こうに住むくらいでないと、難しいかも」(佐藤)。Akiko KiyamaやDen等のように拠点をベルリンに移すアーティストも中にはいるが、やはり距離と言葉の問題、それはITがこれだけ発達して、世界が狭くなったと言っても20年前と変わらず大きな壁なのだ。「ただ、店という場所があるし、アーティストのサポートしたいんで、どこのレーベルにアプローチしたらいいかとかいろいろ相談にものるし、レコードが出たらバックアップできるように多めにストックして在庫切らさないようにするんです。そうやってうまくリリースにつながったり、少しでも活動しやすくなれば嬉しいですよね」(佐藤)

 今冬は気候も懐もずいぶん寒さが厳しい感じ。ついつい引きこもってぬくぬくしてても楽しいかもなどと自分をごまかしてしまいがちだ。特に今年後半一気に日本でもブレークしたTwitterのようなひととひとのつながりをうながす属人性の高いウェブサービスのおかげで、再会やあらたな出会いそんなもろもろが楽しい(テクノに限らずDJやクラブ音楽関係者もたくさんいる!)けれど、それでなにかを「わかった」気になってしまうのはいちばん危険。最後に、先日アルバムのリリース・ツアーを終えたDJ Tasakaがつぶやいていたツイートを転載しておこう。

 「各地で会った皆さんありがとう。どこもそれぞれかなりの手応え。特に印象的だったのは神戸と大分。09年の日本のテクノ・パーティに関しては"東京が中心でその他の都市はそれを追う地方"的図式で見てしまうと、本質を完全に見誤るだろうことがよくわかりました」

 「各地でパーティに熱意を持っている人達同士がリンクできる余地、まだまだありそうです。伝えて、広めて、続けるための環境作りに関して、みんな同じベクトル向いてる」

※ 月イチで国内外の旬なDJをフィーチャーする日本最大規模のテクノ・パーティ〈CRASH〉、来年一発目のオススメは2月に、〈Yellow〉や〈Unit〉を揺らし続けてきた〈REAL GROOVES〉との共催で、アルバムをリリースしたばかりのサンフランシスコのClaude VonStrokeなど多数のゲストを迎えてのフェス仕様で行うパーティ。詳細情報は〈ageHa〉もしくは〈REAL GROOVES〉公式サイトでチェックを!

 

■hot techno releases 2009

(ALBUM)
Moritz von Oswald Trio / Vertical Accent (Honest John's)
Planetary Assault Systems / Temporary Suspension (Ostgut Ton)
Len Faki / Berghain 03 (Ostgut Ton)
Mirko Loko / Seventynine (Cadenza)
Luciano / Tribute To The Sun (Cadenza)
Josh Wink / When A Banana Was Just A Banana (Ovum)
DJ Tasaka / Soul Crap (Ki/oon)
Laurence / Until Then, Good Bye (Mule Electronics)
Telephone Tel Aviv / Immorate Yourself (Bpitch Control)
Shakleton / Three EPs (Perlon)
Crookers / Put Your Hands on Me (Southern Fried)
Reboot + Sascha Dive / From Frankfurt to Mannheim (Cecille)
Mihalis Safras / Cry For The Last Dance (Trapez)
Tiga / Ciao! (Last Gang)
Peaches / I Feel Cream (Warner)
La Roux / La Roux (Polydor)
Jesse Rose / What Do You Do If You Don't? (Dub Sided)
Ben Klock / One (Ostgut Ton)
2000 and One / Heritage (100% Pure)

(SINGLE)
Cesar Merveille & Pablo Cahn Speyer / Descarga (Cadenza)
Mistress Barbara / Dance Me Till The End of Love (Iturnem)
Depeche Mode / Wrong (Magda's Scallop Funk Remix) (Mute)
Laurent Garnier / Gnanmankoudji (PIAS)
Nick Curly / Series 1.1 (8Bit)
Timo Maas / Subtellite (Cocoon)
Radio Slave / Koma Koma (No Sleep Part 6) (Rekids)
Electric Rescue / Devil's Star (Cocoon)
Sis / Mas O Menos (Titbit Music)
Felipe Venegas & Francisco Allendes / Llovizna EP (Cadenza)
Orlando Voorn feat. Obama / Yes We Can! (Night Vison)
Michel Cleis / La Mezcla (Cadenza)
RV feat. Los Updates, Reboot / Baile, Caminando (Sei Es Drum)
La Pena / 004 (La Pena)
Steve Bug / Two of A Kind (Pokerflat)
Markus Fix / It Depends On You (Cecille)
Bloody Mary / Black Pearl (Contexterrior)
Gavin Herlihy / 26 Miles (Cadenza)
DJ T / Bateria (Get Physical)
Sebo K & Metro / Saxtrack (Cecille)
Click Box / Wake Up Call (M_nus)
Chris Liebing, Speedy J / Discombobulated , Klave (Rekids)
The Mountain People / Mountain People 08 (Mountain People)
Deetron / Zircon+Orange (Music Man)
Tiga / Beep Beep Beep (Soulwax+Loco Dice Remixes) (Different)
Paco Osuna / Lemon Juice (Plus 8)
Proxy / Who Are You? (Turbo)
Adam Port / Enoralehu (Liebe Detail Spezial)
Jesper Dahlback / Roda Rummet EP (Acid Fuckers Unite)
Massimo Di Lena / Gypsytown (Cadenza)

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