「Thundercat」と一致するもの

Brainfeeder - ele-king

 8月17日に開催されるソニックマニアにてオールスターの集結がアナウンスされている〈ブレインフィーダー〉ですが、それに先がけ、8月10日~12日の3日間、同レーベルの日本初となるポップアップ・ショップが展開されます。また、8月18日から1週間限定で、フライング・ロータスが監督を務めた映画『KUSO』も上映されるとのこと。さすが10周年、てんこ盛りです。これはもう祭りと言っていいでしょう。この夏は思いっきり〈ブレインフィーダー〉に染まるべし。

フライング・ロータス主宰レーベル
〈BRAINFEEDER〉の10周年を記念した
日本初のポップアップ・ショップ開催決定!

         
フライング・ロータス初長編監督作品
『KUSO』の1週間限定上映も決定!

今年設立10周年を迎えたフライング・ロータス主宰レーベル〈BRAINFEEDER〉。サマーソニックに引けを取らない強力な出演陣が大きな話題となっている今年のソニックマニアでは、フライング・ロータス、サンダーキャット、ジョージ・クリントン&パーラメント・ファンカデリックという最高の布陣に加え、ドリアン・コンセプト、ジェームスズー、ロス・フロム・フレンズら、フライング・ロータスが激推しする逸材も集結させ、ステージのひとつを完全にジャック! そんな話題沸騰中の彼らから、新たなニュースが到着! ソニックマニア1週間前となる8月10日~12日の三日間に渡って、渋谷スペイン坂のギャラリー Xにて、日本初のポップアップ・ショップの開催を発表! ここでしか手に入らない10周年記念グッズやレアな輸入グッズ、入手困難だった人気グッズの復刻、さらにアート作品の展示や〈BEAT RECOREDS〉のガレージセールなども同時開催! 初日にはDJイベントも!


BRAINFEEDER X
ANNIVERSARY POP-UP SHOP

開催日程:8/10 (金) - 8/12 (日)
8/10 (金) 18:00-23:00
8/11 (土) 12:00-20:00
8/12 (日) 12:00-18:00

場所: GALLERY X BY PARCO

企画/制作: BEATINK Inc. / PARCO CO.,LTD.

BRAINFEEDER SPECIAL GOODS
10 周年記念グッズや限定輸入グッズなど、BRAINFEEDER グッズの販売

BRAINFEEDER ART EXHIBITION
BRAINFEEDER 関連のアート作品展示

BEAT RECORDS GARAGE SALE
BRAINFEEDER ほか、BEAT RECORDS 関連作品のガレージセールやグッズ販売

『KUSO』PREVIEW BOOTH
フライング・ロータス監督映画作品『KUSO』の一部映像解禁!

DJ EVENT
開催初日の夜にはオープニング・パーティを開催。BRAINFEEDER 好きのDJ がスペシャル・セットを披露

さらに、奇才フライング・ロータス初長編監督作品『KUSO』が、2018年8月18日(土)より渋谷・シネクイントにて1週間限定レイトショー上映決定! “史上最もグロテスクな映画”とも称され、サンダンス映画祭にて退席者続出の問題作、遂に日本公開!

※チケットは 各鑑賞日の2日前より発売予定。詳しくはシネクイント公式 HPをご覧下さい。
www.cinequinto.com/shibuya

BRAINFEEDER NIGHT IN SONICMANIA
featuring
FLYING LOTUS
THUNDERCAT
GEORGE CLINTON
DORIAN CONCEPT
ROSS FROM FRIENDS
JAMESZOO

08.17 FRI MAKUHARI MESSE
www.sonicmania.jp

Flying Lotus, Thundercat, George Clinton & P-Funk - ele-king

 こ、これはすごい。一昨年、ジョージ・クリントンとの契約が大きなニュースとなった〈ブレインフィーダー〉だけれど、その後しばらく音沙汰がなかったので、いったいどうなったのかとやきもきしていたファンも多いだろう。それがここへ来てとんでもないアナウンスである。今夏8月17日、SONICMANIAに〈ブレインフィーダー〉ステージが出現、フライング・ロータス、サンダーキャット、ジョージ・クリントン&Pファンクのビッグ3が一堂に会する――そう、ここ日本で。まるで夢のような話じゃないか。これはもう行く/行かないを迷うような次元の話ではない。これから半年間、首を長く長~くして待っていよう。

SONICMANIAに〈BRAINFEEDER〉ステージが登場!

フライング・ロータス、サンダーキャット、そして
ジョージ・クリントン&パーラメント・ファンカデリックが出演決定!

‘Brainfeeder Night In SONICMANIA’
featuring
FLYING LOTUS
THUNDERCAT
GEORGE CLINTON
...and more!!

ナイン・インチ・ネイルズ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、マシュメロという、SUMMER SONICに引けを取らない強力な出演陣が発表され、大きな話題となっているSONICMANIA。今回第2弾アーティストが発表され、フライング・ロータス主宰レーベル〈Brainfeeder〉ステージが登場することが明らかに!

昨年は自ら手がけた映画『KUSO』の公開や、短編アニメーション『ブレードランナー ブラックアウト2022』の音楽を手がけたことも記憶に新しいフライング・ロータス、最新作『Drunk』をリリースし、2017年の音楽シーンを象徴する存在と言っても過言ではない活躍を見せたサンダーキャット、そして言わずと知れたファンクの神様、かねてより〈Brainfeeder〉への参加が噂されていたジョージ・クリントンがジョージ・クリントン&パーラメント・ファンカデリックとして出演決定!

SONICMANIA 2018
2018.8.17
www.sonicmania.jp

2017年11月にMVと共に公開されたフライング・ロータスの最新曲“Post Requisite”
Flying Lotus - Post Requisite
>>> https://youtu.be/2XY0EHSXyk0

フライング・ロータスの長編デビュー映画『KUSO』の公式トレーラー
Flying Lotus - Kuso (Official Trailer)
>>> https://youtu.be/PDRYASntddo

映画『ブレードランナー2049』と、前作『ブレードランナー』の間を繋ぐストーリーとして渡辺信一郎が監督した短編アニメーション
「ブレードランナー ブラックアウト 2022」
>>> https://youtu.be/MKFREpMeao0

80年代を代表する黄金コンビ、マイケル・マクドナルドとケニー・ロギンス参加のリードシングル
Thundercat - Show You The Way (feat. Michael McDonald & Kenny Loggins)
>>> https://youtu.be/Z-zdIGxOJ4M

東京で撮影されたMVも話題となったアルバム収録曲
Thundercat - Tokyo
>>> https://youtu.be/QNcUPK87MnM

フライング・ロータス、サンダーキャット、シャバズ・パラセズによるプロジェクト、WOKEの1stシングル。ジョージ・クリントンが参加!
WOKE (Flying Lotus, Shabazz Palaces, Thundercat) feat. George Clinton - The Lavishments of Light Looking
>>> https://soundcloud.com/adultswimsingles/woke


label: BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
artist: FLYING LOTUS - フライング・ロータス
title: YOU'RE DEAD - ユーアー・デッド
release date: NOW ON SALE
cat no.: BRC-438
国内盤特典: ボーナス・トラック追加収録

本日リリース!
label: BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
artist: Thundercat
title: Drank
release date: 2018/02/02 FRI ON SALE
国内初回生産盤:スリーヴケース付
歌詞対訳/説書封入
BRC-568 ¥1,800+税

label: BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
artist: Thundercat
title: Drunk
release date: NOW ON SALE
国内盤特典:
ボーナス・トラック追加収録/歌詞対訳/解説書封入
BRC-542 ¥2,200+税

Thundercat - ele-king

 『Drunk』をリミックスしたから『Drank』……気が利いているのか、いないのか。ジャケの色彩はRPGで言うところの毒の沼のようになっております。サンダーキャットが今年発表した話題作『Drunk』のチョップド&スクリュード版、こちらすでに夏に公開されていたものですが、このたび正式にCDとしてリリースされることになりました。あなめでたや。発売は年明け後の2月2日。ドラッギーなパープルの沼に飛び込んで、ダメージ食らっちゃいましょう。

THUNDERCAT
年間チャートにも多数ランクイン!
2017年を代表する名盤『DRUNK』の
チョップド&スクリュード版『DRANK』が緊急オフィシャル・リリース決定!

ケンドリック・ラマー、ファレル・ウィリアムス、フライング・ロータス、マイケル・マクドナルド、ケニー・ロギンス、ウィズ・カリファ、カマシ・ワシントンら超豪華アーティストが参加し、続々と公開されている国内外の年間チャートでも上位にランクインしている最新アルバム『Drunk』の大ヒット、来日ツアー全日程ソールドアウト、フジロックでもフィールド・オブ・ヘヴンのヘッドライナーを務めるなど、2017年の音楽シーンを象徴する存在と言っても過言ではない活躍を見せたサンダーキャットから、今年最後のサプライズ! アルバム・リリースから半年後となる8月に公開されていた“チョップド&スクリュード版”『Drank』が来年2月2日(金)にまさかのオフィシャルCD化決定!

本作には、スクリュー職人、オージー・ロン・シー(OG Ron C)と、彼が率いるチョップスターズの一員であるDJキャンドルスティックが手がけた“Chopnotslop Remix”と名付けられたリミックス群を収録。チョップド&スクリュードとは、90年代にヒューストンのヒップホップシーンで生まれた独特のリミックス手法で、そのサウンドのファンだったというドレイクの2011年作品『Take Care』を、オージー・ロン・シーが“チョップド&スクリュード”リミックスして以降、再び活況を迎えているカルチャーであり、今年も様々な名盤がチョップド&スクリュード化された他、映画『ムーンライト』のサウンドトラックで、チョップド&スクリュードの手法が取り入れられ、チョップスターズもチョップド&スクリュード版『Purple Moonlight』をリリースしたことも話題となった。

DJキャンドルスティックは、『Drunk』のリミックスについて、海外メディアの取材に対し、「クリエイティヴな音楽をスローダウンさせることで、型破りなアイディアを生み出し、チョップド&スクリュードのジャンルを拡張させたいんだ。サンダーキャットの『Drank』はそのゴールにまさにうってつけの作品だった」とコメントしている。

サンダーキャットの大ヒット・アルバム『Drunk』のチョップド&スクリュード版『Drank』は、2月2日(金)にリリース! 計24曲のリミックスが収録され、小林雅明氏による解説書が封入される。オリジナル盤に続いてレア化必至の初回限定生産盤はスリーヴケース付。

label: BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
artist: Thundercat
title: Drank
release date: 2018/02/02 FRI ON SALE

国内初回生産盤:スリーヴケース付
歌詞対訳/解説書封入
BRC-568 ¥1,800+税

beatink: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9232
amazon: https://amzn.asia/0p60dyl
Tower Records: https://bit.ly/2BFlAF7


label: BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
artist: Thundercat
title: Drunk
release date: NOW ON SALE

国内盤特典:
ボーナストラック追加収録/歌詞対訳/解説書封入
BRC-542 ¥2,200+税

beatkart: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=2757
amazon: https://amzn.asia/aYsKnhw
Tower Records: https://bit.ly/2iYSAPT
HMV: https://bit.ly/2j8vVvH
iTunes: https://apple.co/2ki6RUY

TOYOMU - ele-king

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Thundercat - ele-king

 カマシ・ワシントンの『ザ・エピック』はじめ、ブランドン・コールマンの『セルフ・トウト』、テラス・マーティンの『ヴェルヴェット・ポートレイツ』、ジョセフ・ライムバーグの『アストラル・プログレッションズ』、マイルス・モズレイの『アップライジング』と、ロサンゼルスのジャズ集団のウェスト・コースト・ゲット・ダウン(WCGD)周辺作品が、ここ1、2年で続々とリリースされている。これらの作品は現在のLAジャズ・シーンの活況ぶりを物語るに十分だが、同じジャズ・サークルで共演も多い彼らの作品でも、たとえばスピリチュアル・ジャズのカマシ・ワシントンと、ファンク色の濃いブランドン・コールマンの作品では、たとえ演奏するメンツが同じような顔ぶれであっても、リーダーによって全く異なる作品、演奏になるところがジャズの面白さ、多様性を示している。このたび3枚目のソロ・アルバム『ドランク』を発表するベーシストのサンダーキャットことスティーヴン・ブルーナー、その兄で初のソロ・アルバム『トライアンフ』をリリースするドラマーのロナルド・ブルーナー・ジュニアも、このWCGDのメンバー。前述の『ザ・エピック』はじめ、フライング・ロータスの『ユー・アー・デッド』、ケンドリック・ラマーの『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』などにも参加している。彼ら兄弟の作品が奇しくも同じ時期にリリースされるのだが、やはり兄弟ということもあって共通項を見出せるアルバムである。

 とはいえ、今回のブルーナー兄弟の共演は、『トライアンフ』に収録された“テイク・ザ・タイム”でサンダーキャットが客演するのみ。『ドランク』には盟友のフライング・ロータスに、今までもサンダーキャット作品に参加してきたカマシ・ワシントン、テイラー・グレイヴスらが参加しているが、WCGD周辺メンバー自体はそれほど多く参加していない。サンダーキャットの前作『アポカリプス』(2013年)にも参加したチャールズ・ディッカーソンのほか、ディアントニ・パークス、ルイス・コール、デニス・ハムといった腕利きのセッション・ミュージシャンらが脇を固め、ミゲル・アトウッド・ファーガソンがストリングスを手掛ける。ケンドリック・ラマー、ファレル、ウィズ・カリファなどヒップホップ方面のゲストのほか(国内盤ボーナス曲にはマック・ミラーも)、“ショウ・ユー・ザ・ウェイ”ではドゥービー・ブラザーズのマイケル・マクドナルド、ロギンス&メッシーナのケニー・ロギンスと、1970年代初頭よりウェスト・コースト・ロックやAORを作り上げてきたシンガー・ソングライターふたりの参加が話題だ。ジャズ/フュージョンを軸に、ビート・ミュージックやドラムンベースなどクラブ・サウンドの要素も取り入れ、さらにAORをミックスさせてバレアリックなムードの作品も作ってきたサンダーキャットだが、そうしたAOR路線の拡大がマイケル・マクドナルドとケニー・ロギンスの参加に象徴されている。“ア・ファンズ・メイル”や“ラヴァ・ランプ”などもそうしたAOR路線の曲だ。しかしながら、サンダーキャット自身はAOR路線拡大の狙いからマクドナルドとロギンスにゲスト要請をしたわけではなく、単純に昔から彼らの大ファンだったことが理由だそうだ。サンダーキャットは1984年生まれの黒人だが、LAのようなミクスチャーが盛んな土地では、彼らの世代の黒人はAORや白人音楽を普通に聴いていたようで、我々が日本で想像するようなブラック・ミュージックのイメージも、実際はやや異なるものなのかもしれない。『ドランク』は一般的なブラック・ミュージックというより、ロックやAOR通過後のそれと言えるだろう。サンダーキャットが昔から影響を受けたと述べるジョージ・デュークやスタンリー・クラークにしろ、ジャズ畑出身の黒人ミュージシャンではあるが、ロックをはじめとした白人音楽を柔軟に取り入れ、いわゆるブラコン的な音でメジャーな成功を掴んだ人たちだ。今まではどちらかと言えばベース・プレイに第一の主眼点を置き、いかにその技巧を目立たせるかに注意を払ってきた感がなくもないサンダーキャットだが、シンセ・ファンク系の“フレンド・ゾーン”や“トーキョー”に顕著なように、今回はトータル・サウンドのプロデュースや作曲に重きを置き、同時にシンガーとしての能力を今まで以上に発揮したものとなっている。そうした音楽に対する軸足の置き方という点でも、ちょうど1970年代後半から1980年代にかけて、フュージョンからディスコ、ブラコン方面へシフトするジョージ・デュークの足跡とダブるところもある。余談だが、アルバム・ジャケットの写真は『地獄の黙示録』へのオマージュといったところで、今までの2枚のアルバムに「アポカリプス」という言葉を入れていたサンダーキャットの遊び心が表われている。

 一方、ロナルド・ブルーナー・ジュニアの『トライアンフ』には、前述のとおりサンダーキャットのほか、“センセーション”でマック・ミラーと黒人女性シンガーのダニエル・ウィザースがゲスト参加。そして、“ジオーム・ディオーム”にはジョージ・デューク本人がフィーチャーされている(ジョージ・デュークは2013年8月に亡くなっているので、恐らくそれ以前のセッションか、録音素材をもとに完成させた作品だろう)。彼のドラムはジャズやブラック・ミュージック的なそれと言うより、ロックの影響が強いものだ(ロナルドはサンダーキャットとともにスラッシュ・メタルのスイサイダル・テンデンシーズでも演奏してきた)。“トゥルー・ストーリー”や“テイク・ザ・タイム”あたりにそうした特性が表われており、またこれらではサンダーキャット同様にシンガーとしてもアピールをおこなっている。“チックス・ウェブ”はインストのフュージョン・ナンバーだが、これもロックからの影響が色濃い。ジョージ・デュークとの“ジオーム・ディオーム”もそうだ。ジョージ・デュークはジャン・リュック・ポンティと共演し、フランク・ザッパのマザーズで演奏したり、ビリー・コブハムとの双頭ユニットを組んだ時期もあるのだが、そうしたことを思い起こさせる曲と言えよう。そして、“シール・ネヴァー・チェンジ”や“ホエンエヴァー”あたりはウェスト・コースト・ロックの文脈から出てきたような曲だ。サンダーキャットの『ドランク』のAOR路線に呼応する曲と言えるかもしれない。長尺の“オープン・ザ・ゲート”は、AOR的な導入からフュージョン、プログレ風のジャズ・ロックへと展開していく。ほかにハウス・ビートにシンクロしたような“ダズント・マター”、シンセ・ファンク~シンセ・ポップ路線の“トゥ・ユー/フォー・ユー”があり、“センセーション”ではあたかもアース・ウィンド&ファイアを想起させるコーラスがフィーチャーされる。アースはLAのミクスチャー・カルチャーを象徴するような存在であり、真の意味でのフュージョン・バンドだった。ブラック・ミュージックにロックやAORの要素も取り入れた先駆と言える。ジョージ・デュークにしろ、アースにしろ、そうしたLAの音楽文化が、サンダーキャットにも、ロナルド・ブルーナー・ジュニアにも受け継がれていると言えよう。

interview with Thundercat - ele-king


Thundercat - Drunk
Brainfeeder/ビート

Hip HopJazz

Amazon Tower HMV iTunes

 偏狭になる社会に反比例するようにいまこそ豊穣な広がりを見せる21世紀産のソウル・ミュージックだが、そのもっとも甘い展開がこのひとから届くと想像していたひとは多くはなかったのではないか。これは嬉しいギフトである。
 卓越したプレイヤーであるがゆえに数多くのミュージシャンの作品に客演として招かれてきたサンダーキャットだが、近年ではケンドリック・ラマー『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』、カマシ・ワシントン『ジ・エピック』への参加が彼にとってとりわけ大きな刺激になったのだろうと想像される。それらの作品が高く評価されたのは、新しい世代によるブラック・ミュージックの歴史に対する敬意とそれゆえの編集の巧みさがよく現れていたからで、それはサンダーキャットがかねてから自らの作品において取り組んでいたことでもあった。であるとすれば、彼が自分の個性を踏まえてその先を目指したのはロジカルな展開だと言える。
 サンダーキャットにとっての「その先」とは、結論から言えば、アクセスしやすくよく編集された歌ものポップスと自らのベース・プレイとの融合であったことが『ドランク』を聴けば理解できる。先行して発表されたマイケル・マクドナルドとケニー・ロギンスが参加した“ショウ・ユー・ザ・ウェイ”の70年代西海岸AOR路線は人選の意外さもあって驚きとともに受け止められたが、それとてアルバムのなかでは一部でしかない。西海岸の要素が強めとはいえ、そこに限定されたものでもない。ファンク、ジャズ、これまでの作品にも見られたエレクトロニカやヒップホップの要素、果てはソフト・ロックまでが現れて、しかしすべてはメロウでスウィートなソウルのフィーリングのなかに溶けていく。ケンドリック・ラマーやウィズ・カリファ、ファレル・ウィリアムスがゲストとして参加し、フライング・ロータスやカマシ・ワシントンらがプロダクションに参加するなど『ドランク』にはその人脈の広さがよく表れているが、全体を貫くのはサンダーキャット自身によるけっして線が太いとは言えない歌である。その軽やかさが中心にあるからこそ、演奏のテクニック主義に走りすぎない心地よいフワフワしたムードが保たれているのだろう。曲数が多く一曲一曲が短めなのも特徴で、このことから連想されるのはフライング・ロータスの諸作だ。その緩やかに変化し続ける時間のなかで、様々な時代の様々な音楽的要素が消えては現れ、あるいは過去と現在が優しくミックスされ、リスナーをじっくりとスムースに快楽へと導いていく。
 先述のマイケル・マクドナルドやケニー・ロギンスにしても敢えて狙ったわけではなく、単純に好きだから呼んだ、という無邪気さがサンダーキャットならではの闊達さに繋がっているように思える。それを彼は「ファンタジー」と呼ぶが、であるとすれば、強固に築かれた壁を溶かしてしまうオープン・マインドの持ち主だけが辿りつける極上の逃避行がここにはある。

俺は間違いなく黒人なわけだから、もちろんその経験は反映されてる。いまの社会で起きている問題を肌で感じないわけにはいかないよ。でも世のなかのすべてがひどい状態にあるわけじゃなくて、いまは人間として俺たちは逆境に立たされているんだ。もちろん、この作品は黒人としての体験を反映しているけど、地球上のほとんどの人間は有色人種なんだ(笑)。

ツアー前のお忙しいところお時間ありがとうござます。日本でニュースを見ていると、トランプとその反対勢力のデモ映像がこの1週間流れっぱなしです。日本もたいへんですがアメリカはいますごいことになっているようです。この騒動についてどう思われていますか?

サンダーキャット(Thundercat、以下TC):いまの状況を自分でまだ消化しきれてないけど、ただ言えるのは最悪な状況だね。それくらいしか言えないよ。あいつの言動によって、もっとバカな行動を取ってる連中が増えてる。いまのところは希望の光は見えていないよ。

アルバムが、ものすごくスウィートで、温かく、あなたは「ファンタジー」という言葉で説明しているようですが、この甘くドリーミーなフィーリングがとても素晴らしく思えました。エレクトロニック・ジャズ・ファンクとユーモアが混在したスペイシーなデルフォニックスというか。

TC:そういう音楽に確かに影響されてるし、俺の音楽にはジャズ、ファンク、フュージョンの要素は入ってる。だから、そういう風に言ってもらってもかまわないよ。

実際は、どういうサウンドを目指していたのでしょうか?

TC:自然にでてきたものを曲として作り上げただけなんだ。いろいろなクレイジーな体験をしたんだけど、自然体で曲を作ったんだ。

ヴォーカルのメロディラインのみならず、アートワークも70年代的なんですが、なぜ70年代を引用するのですか?

TC:70年代の影響はあるし、もちろん70年代に影響されてるけど、俺は1984年生まれだから、70年代を経験したわけじゃないんだ。ちょっと答えづらい質問だな。ただ俺が使ってる音色から、俺の音楽に70年代のフィーリングを感じる人はいると思う。70年代の要素は入ってるけど、それがメインの要素というわけじゃないんだ。

それではジャケのコンセプトについて説明してもらえますか?

TC:ジャケのアイデアは、エディ・アルカザール(Eddie Alcazar)というアーティストにインスパイアされたんだ。彼は映画監督であり、カメラマンでもある。エディ・アルカザールの要素と〈Brainfeeder〉を運営しているアダム・ストーヴァーのアイデアを組み合わせた。このジャケは、ホラー映画と70年代のレコードのジャケの要素が混ざっている。でも、それだけに限定されてるわけじゃなくて、いろいろな捉え方ができるんだ。

昨年は、大統領選ともうひとつ、ブラックライヴスマターに代表される現代の黒人運動がありました。『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』や『ジ・エピック』、あるいはビヨンセの『レモネード』はこうした運動と(共感するしないはともかく)少なからずリンクしていたと思います。『ドランク』にはケンドリック・ラマーも参加してますし、またずばり“Blackkk”なる曲もあります。あらためて訊きますが、『ドランク』はファンタジーであり、政治や社会とは切り離されて考えるべきでしょうか? 

TC:俺は間違いなく黒人なわけだから、もちろんその経験は反映されてる。いまの社会で起きている問題を肌で感じないわけにはいかないよ。でも世のなかのすべてがひどい状態にあるわけじゃなくて、いまは人間として俺たちは逆境に立たされているんだ。もちろん、この作品は黒人としての体験を反映しているけど、地球上のほとんどの人間は有色人種なんだ(笑)。だから、“ブラック”主体のアルバムじゃないんだよ。“ブラック”という言葉はヘンだと思う。ブラウンの人だっているわけだし、どこで線引きするかははっきりしてない。俺は黒人なわけだから、もちろん黒人の経験としての経験は音楽や曲名に反映されてるね。

時速100キロぐらいで走っていく“Uh Uh”もいいんですが、“Bus In These Streets”なんかはソフト・ロックにも聴こえます。この眩さってどこから来ているんですか?

TC:自然に湧きあがった気持ちを曲に反映してるだけなんだよ。アルバムを作りながら、「今度は速い曲を作らなきゃ」とか、そういうことを意識してるわけじゃない。俺はAbletonを使って曲を作ってるんだけど、直感的に曲を作れるから、プロセスが早くなる。だから、曲を聴いてると、自分の思考の流れがわかるんだ。俺が曲を作った順序通りに作品を聞くと、すごく遅い曲から、すごく速い曲とかがあるから、作ったときの気持ちがわかるんだよ。

1曲1曲が短く、アルバムは50分で終わりますが、この意図するところはなんでしょう?

TC:そのときの思考の流れをそのまま曲に仕上げてるからなんだ。自分のアイデアを曲として書いた時に、それがたまたま短かったんだ。俺の場合、五線譜ではなくコンピュータで曲を書いてるけどね(笑)。フライング・ロータスの“Descent Into Madness”を作ったとき、もともとは3部作のコンチェルトみたいな曲だったんだ。“Descent Into Madness”はフライング・ロータスのアルバムに入ってるけど、その曲の一部だった“Inferno”が俺のアルバムに収録されたんだ。だから、もともとは壮大な曲だった。その壮大な曲の細かいピースを、それぞれの作品に入れているんだよ。だから短い曲があったり、5分の曲があったり、30秒の曲もあるんだ。

アイズレー・ブラザースのサンプリングを使った“Them Change”。クールでスローなファンク・ナンバーで、個人的には好きな曲のひとつなんですけど、この曲にメッセージはありますか?

TC:失恋したことはあるかい(笑)? この曲は、ガールフレンドに対する怒りを表現してるんだよ。心を傷つけられたことについての曲なんだ。人生において、俺はいろいろな形で心に傷を負ったことがあるよ。それを全部この曲で表現してるんだ。恋愛での失恋だけじゃなくて、いろいろな意味での心の痛みを表現してる。“Heartbreaks and Setbacks”という曲と似たようなテーマだよ。人生において経験する様々な逆境についてなんだ。

マック・ミラーが日本盤のボーナス・トラックにフィーチャーされていますが、彼についてコメントいただけますか。

TC:彼は仲のいい友だちだし、しょっちゅうコラボレーションしてるよ。彼は根っからのミュージシャン気質だけど、テリー・ボジオやカマシ・ワシントンみたいなテクニシャン系のミュージシャンじゃないんだ。でも、彼は身も心もすべて音楽に捧げてる。俺とマック・ミラーは長い時間かけてよく制作してるんだけど、その一部がインターネットで発表されてるだけなんだ。この曲をアルバムに入れたかったのは、俺とマックの人生において傷ついてる時期だったからなんだ。いまの音楽業界において、音楽ビジネスによって汚されていないアイデアを表現するのは難しいんだよ。この曲は、2人にとって本当に愛情を込めて作った曲なんだ。このレベルでクリエイトできたことに、2人とも喜びを感じてたんだ。この曲をアルバムに入れると決めたとき、彼は「アルバムに入れてくれて本当にありがとう」って言ってくれたんだ。マックのことは前からリスペクトしてるんだよ。

いっぽうで『ドランク』はブラック・ミュージックだけに特化しているわけではなくて、たとえば“Show You The Way”でのマイケル・マクドナルドとケニー・ロギンスの存在も、このアルバムをもうひとつの側面を象徴していると思います。彼らのどのようなところが魅力だと思いますか?

TC:彼らと仕事できて嬉しかったのは、長年彼らの大ファンだったし、彼らの音楽に心から共鳴していたからなんだ。彼らの人生経験が、彼らのソングライティングにダイレクトに反映されてるところが大好きなんだよ。彼らの人生を彼らの音楽から感じ取ることができたから、俺もそのアプローチにインスパイアされて、自分の人生を音楽で表現したいと思うようになったんだ。そういう意味で、ジノ・ヴァネリもそうだけど、彼らは俺の先生のような存在なんだよ。

Thundercat - ele-king

 新年早々、魅力たっぷりのアルバムが続いている。まずはザ・エックス・エックス、アンダーグラウンドではデムダイク・ステア、ブルックリン実験派としての意地を見せるダーティ・プロジェクターズ、いまの英国でもっともエネルギッシュな音楽=グライムの大物ワイリーの新譜、なにも変わらないことがむしろ変わることであるとでも言わんばかりの我らがスリーフォード・モッズ、そして、おそろしいほどドリーミーなソウルを展開するサンダーキャットの新作……そのふわふわで甘々のブラック・ソウル・ファンタジー……もちろん、いま絶好調と言っていいレーベルのひとつ、〈ブレインフィーダー〉からのリリースである。

再び迎えたブラック・ミュージック隆盛の立役者、サンダーキャット
待望の最新アルバム『Drunk』のリリース&来日ツアーを発表!
20曲以上収録の大作に、超豪華アーティストが勢揃い!

ケンドリック・ラマー|ファレル|フライング・ロータス|マイケル・マクドナルド|
ケニー・ロギンス|ウィズ・カリファ|カマシ・ワシントン
80年代を代表する黄金コンビ、マイケル・マクドナルドとケニー・ロギンス参加の新曲「Show You The Way」公開!

ここ数年のブラック・ミュージックの盛り上がりにおいて、誰もが認める立役者のひとり、サンダーキャットが、待望の最新アルバム『Drunk』のリリースを発表! 20曲以上を収録したこの大作には、ケンドリック・ラマー、ファレル・ウィリアムス、フライング・ロータス、マイケル・マクドナルド、ケニー・ロギンス、ウィズ・カリファ、カマシ・ワシントンら、シーンきっての人気者であるサンダーキャットでしか考えられない、超豪華アーティストが勢揃いしている。脇を固めるミュージシャン/プロデューサーにも、自身のプロジェクトKNOWERなどでも知られるプロデューサーのルイス・コール、人力ビートのパイオニアとも言われるレジェンド・ドラマーのディアントニ・パークス、そしてサンダーキャットとともにケンドリック・ラマー『To Pimp A Butterfly』に大きく貢献したSOUNWAVEらが名を連ねる。

今回の発表に合わせ、80年代を代表する名曲、ドゥービー・ブラザーズの「What A Fool Believes」を生んだマイケル・マクドナルドとケニー・ロギンスが参加した新曲「Show You The Way」が公開され、『Pitchfork』にて「Best New Track」に選出されている。このコラボレーションは、ケニー・ロギンスの息子がサンダーキャットのファンだったことから実現。ケニー・ロギンスの声がけで、同じく娘がサンダーキャットの大ファンだったというマイケル・マクドナルドまで参加することになったという逸話も、彼のキャラクターと非凡な音楽的才能を証明している。

きっかけは、俺がラジオ番組に出演してインタビューされたことだった。そのインタビューの中で「もし誰かと、どこかの島に取り残されるんだったら、誰がいいですか?」という質問をされたんだ。俺は瞬時に「ケニー・ロギンスとマイケル・マクドナルド」と返答した。そのときは冗談のように聞こえたかもしれないけど、ソングライティングの上で彼らに多大な影響を受けてるんだ。自分をもっと掘り下げることを彼らから学んだ。ラジオでその発言をしたあとに、俺のバンドのピアノ奏者のデニスが、ケニー・ロギンスと何度か演奏したことがあったから、「ケニーに連絡してみようか?」と言ってくれたんだ。信じられなかったね。そこから、ケニーの息子さんとメールをするようになって、いつの間にかケニーもメールに参加するようになったんだ(笑)。ケニーは一緒に音楽を作ることに興味を持ってくれた。俺はケニー・ロギンスとしゃべってるだけでビビッてたよ(笑)。彼は俺の音楽についてほとんど何も知らなかったけど、「僕の子供が君の音楽のファンなんだ。僕の子供が君のファンじゃなかったら、僕はここにいないよ」と彼が言ったんだ(笑)。実現しただけで俺はうれしかったね。彼と初めて会ってレコーディングして、彼が曲を聴き返してたら、彼が「マイケル・マクドナルドを呼ぼうかな」と言い出したんだ。そのときに、俺は本当にオシッコをチビるかと思ったよ(笑)。マジで冷静を装ってた。ケニーがマイケル・マクドナルドに連絡してくれたんだ。マイケルも、たまたま娘さんが俺の大ファンだったから、一緒に仕事をしてくれることになったんだ。ケニーとマイケルがスタジオに来たんだけど、ケニーは「何年間もマイケルに会ってないよ」と言ってた。どうやら、ふたりは10年以上も一緒に曲を作ってなかったみたいで、それにもびっくりしたね。ことの重大さに気づくと、正直心の中ではすごくビビったし、すごくプレッシャーを感じたよ。俺は彼らに曲のアイデアや、新曲、古い曲を聴かせたんだ。それから「Show You The Way」を完成させようということになった。
- Thundercat

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THUNDERCAT Presents
"DRUNK" JAPAN TOUR

さらに、今回のアルバム・リリースの発表に合わせ、単独来日ツアーも決定! これまで〈Brainfeeder〉のレーベル・ショウケースや、フライング・ロータス、エリカ・バドゥのバンド・メンバーとして幾度も来日をしてきたサンダーキャットだが、今回が初の単独公演となる。サンダーキャットの超絶ベース・プレイはもちろん、長らくバンド活動をともにしているドラマーのジャスティン・ブラウン、キーボード奏者のデニス・ハムという超一流ミュージシャン3人による縦横無尽なバンド・アンサンブルと強靭なグルーヴ、そして何より素晴らしい楽曲の数々とサンダーキャットの美しい歌声……そのすべてを至近距離で体験できるこの貴重な機会をお見逃しなく!

【東京】
2017.4.27 (木) LIQUIDROOM

OPEN 18:30 / START 19:30
前売 ¥6,000 (税込 / ドリンク代別途)

チケット詳細
[先行販売]
LAWSONチケット プレリクエスト抽選先行: 1/28 (土) 12:00~2/5 (日) 23:59
beatkart [shop.beatink.com]: 2/6 (月)~
チケットぴあ プレリザーブ: 2/6 (月) 11:00~2/13 (月) 11:00
イープラス・プレオーダー: 2/6 (月) 12:00~2/12 (日) 18:00
LAWSONチケット プレリクエスト2次抽選先行: 2/8 (水) 12:00~2/12 (日) 23:59
[一般発売]:2/18 (土)~
ローソンチケット (Lコード: 76628)、チケットぴあ (Pコード: 322-585)、イープラス [https://eplus.jp]、Beatkart [shop.beatink.com]
INFO: Beatink 03-5768-1277 / www.beatink.com

【名古屋】
2017.4.28 (金) 名古屋ブルーノート

1stステージ 開場17:30 開演18:30 / 2ndステージ 開場20:30 開演21:15
一般価格 ¥8,900 / 名古屋ブルーノートメンバーズ ¥8,500

チケット詳細
2/22 (水)~ 名古屋ブルーノートメンバーズ会員先行
3/1 (水)~ 一般予約受付開始
INFO: 名古屋ブルーノート 052-961-6311

【京都】
2017.4.29 (土) 京都METRO

OPEN 18:30 / START19:30 → 21:00 close 予定
前売 ¥6,000 (税込 / ドリンク代別途)
当日 ¥6,500 (税込 / ドリンク代別途)
早割 ¥5,500 (税込 / ドリンク代別途) [受付期間:1/27~2/2]←枚数限定!

チケット詳細
[一般発売]:2/18 (土)~
チケットぴあ (Pコード: 323-052) 、ローソンチケット (Lコード: 57107)、e+ [https://eplus.jp/]
[限定早割]
★一週間限定! 特別先行早割チケットを発売!!
¥5,500 ドリンク代別途 [受付期間:1/27~2/2]←枚数限定!
※『特別先行早割お申し込み方法』→タイトルを「4/29 サンダーキャット早割希望」
としていただいて、お名前と枚数を明記して 宛てでメールして下さい。
※枚数限定のため、キャンセルは不可となっております。何卒ご了承下さい。
INFO: 京都 METRO 075-752-4765 https://www.metro.ne.jp
Supported by α-STATION 京都FM

【大阪】
2017.4.30 (日) Conpass

OPEN 18:00 / START 19:00
前売 ¥6,000 (税込 / ドリンク代別途) ※未就学児入場不可


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サンダーキャット待望の3rdアルバム『Drunk』は、2月24日(金)に世界同時リリース。国内盤にはマック・ミラー参加のボーナストラックを含め、計24曲が収録され、歌詞対訳と解説書が封入される。初回限定生産盤はスリーヴケース付。iTunesでアルバムを予約すると、公開された“Show You The Way (feat. Michael McDonald & Kenny Loggins)”がいちはやくダウンロードできる。

label: Brainfeeder / Beat Records
artist: Thundercat ― サンダーキャット
title: Drunk ― ドランク

cat no.: BRC-542
release date: 2017/02/24 FRI ON SALE
初回限定生産盤:スリーヴケース付き
国内盤CD:ボーナストラック追加収録/解説書/英詞・歌詞対訳封入
定価:¥2,200+税

Jameszoo - ele-king

 〈ブレインフィーダー〉の勢いが止まらない。
 ジョージ・クリントンと契約を交わしたことでも話題沸騰中の同レーベルだが、5月にリリースされたジェイムスズーのデビュー・アルバムも、後世に長く語り継がれることになるだろう珠玉の1作である。まだフローティング・ポインツほどの知名度はないけれど、少なくともそれと同等か、場合によってはそれ以上のポテンシャルを秘めたオランダ出身の青年――それがジェイムスズーことミシェル・ファン・ディンサーだ。
 この期待の新星が、なんと11月に来日しちゃいます。11月25日(金)@CIRCUS TOKYO、11月26日(土)@CIRCUS OSAKA。ちなみに両公演にはSeihoも出演予定とのこと。
いまのうちに彼のパフォーマンスを堪能しておけば、将来お友だちに自慢できますYO!

〈Brainfeeder〉の現在の勢いを体現する怪作にして、
ジャズとエレクトロニック・ミュージックとを融合した音楽の1つの頂点ともいうべき傑作
『Fool』をリリースして大注目のJAMESZOO来日公演が決定!!

TOYOMU - ele-king

2015年音楽まとめ日記

St Germain - ele-king

 このレヴュー本編を書いたのは11月13日のパリ同時多発テロ前のことなので、意識的に取り上げたわけではないことを最初に断っておく。今回の事件については、さまざまな植民地を作るとともに多くの移民を受け入れてきた多民族国家としてのフランス共和国の背景、フランスとイスラム教徒やイスラム国家との関係などさまざまな要素が関わってくるのだが、政治だけでなくフランスの文化や芸術には多様な民族性が存在している。本作そのものは事件とはまったく無関係だが、イスラム圏の音楽を融合したフランスの作品ということで、結果的には何とも複雑な想いを抱かずにはいられない。その後、フランス政府はISとの戦争を始め、予断を許さない状況へ突入している。事件は終わったわけではないのでここでのコメントは差し控えるが、そのかわりにサンダーキャットが事件直後に発した「パリ」という追悼曲のリンクを以下に貼ることにした。
https://www.youtube.com/watch?v=GIMHOM2VSz8
https://ja.musicplayon.com/play?v=361659
https://soundcloud.com/brainfeeder/thundercat-paris

 1990年代からダンス・ミュージックを聴く人にとって、サン・ジェルマン(ルドウィック・ナヴァーレ)と言えばフレンチ・ディープ・ハウスの雄という答えが返ってくるだろう。ローラン・ガルニエ主宰の〈Fコミュニケーションズ〉、及びその前身の〈FNAC〉から、「アラバマ・ブルース」はじめ良質な作品を次々とリリースする90年代半ば。『ブールヴァール』シリーズに顕著なように、ジャズやラテンからの影響が強く、中にはDJカムに通じるようなジャジーなダウンテンポ作品もあった。当時のイギリスやドイツを筆頭としたヨーロッパでは、ジャズをキーワードにアブストラクト・ヒップホップやトリップ・ホップ、ドラムンベースからディープ・ハウス、デトロイト・テクノなどまでもが結び付いた時代だった。フランスでそうしたクロスオーヴァーな役割を担ったのが〈イエロー・プロダクションズ〉〈ヴァーサタイル〉〈Fコミュニケーションズ〉〈ディスク・ソリッド〉などで、それらを総称してフレンチ・タッチとも呼んでいた。

 そうした中、サン・ジェルマンはジャズ・ハウス・スタイルの洗練化にどんどん磨きを掛け、2000年には〈ブルーノート・フランス〉と契約し、名曲“ローズ・ルージュ”を含むアルバム『ツーリスト』を発表する。いまもジャズ・ハウスの傑作として語り継がれる1枚だ。しかしながら、『ツーリスト』は世界的にヒットしたものの、その印象があまりにも大きく、それからの活動では必ず引き合いに出されることになってしまう。2003年に〈ワーナー・フランス〉からトランペット奏者のソエルとのコラボ作『メメント』を出すものの、内容としてはラウンジ調のアシッド・ジャズというようなもので、音楽的には『ツーリスト』から後退したとも酷評された。そうした長いスランプの時代を経て、『ツーリスト』から早や15年という今年、サン・ジェルマンが復活作をリリースした。自身のユニット名をアルバム・タイトルとしたところに、改めて初心に帰るとともに、新生サン・ジェルマンという意思の表れが強く見える。

 新生サン・ジェルマンという点で、本作の大きな特徴としてアフリカのマリ共和国の音楽からの影響が挙げられる。ベルベル人系のトゥアレグ族に伝わるタカンバなどの伝統音楽をルーツに、現代性を取り入れていったのがソンガイ・ブルースで(砂漠のブルースとも形容される)、アリ・ファルカ・トゥーレ、アガリ・アグ・アーミン、ティナリウェイン、シディ・トゥーレなどの活躍で、近年は世界中から注目を集めている。ロバート・プラントからデーモン・アルバーン、フォー・テットやハイエイタス・カイヨーテなど注目するアーティストも多いのだが、フランスには昔からアフリカ移民が多く、アフリカ音楽が栄えてきた土壌がある。フランスとマリのアーティストがコラボしたドンソというユニットもあり、サン・ジェルマンの本作もその線上に位置する作品と言える。ナハワ・ドゥンビアはじめアフリカ出身のミュージシャンが多数参加し、生半可ではない本物のマリ音楽を自身の中に取り込んでいる。「シッティン・ヒア」や「リアル・ブルース」など、自身のルーツであるディープ・ハウスとソンガイ・ブルースの融合が基本にあるが、「ハンキー・パンキー」のように単なるハウス・ビートではないより自由なリズム・アプローチがあり、「ヴォイラ」や「ハウ・デア・ユー」のように密にブルースに根差した作品もある。タカンバを掘り下げることによって、「ファミリー・トゥリー」のようにジャズへの取り組みもより深いところで行われるようになった。もはや、『ツーリスト』の憑き物は完全に剥がれ落ちたと言っていいだろう。

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