ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Larry Heard 社会にはつねに問題がある、だから私は音楽に美を吹き込む | ラリー・ハード、来日直前インタヴュー
  2. Columns ♯5:いまブルース・スプリングスティーンを聴く
  3. The Jesus And Mary Chain - Glasgow Eyes | ジーザス・アンド・メリー・チェイン
  4. interview with Shabaka シャバカ・ハッチングス、フルートと尺八に活路を開く
  5. interview with Martin Terefe (London Brew) 『ビッチェズ・ブリュー』50周年を祝福するセッション | シャバカ・ハッチングス、ヌバイア・ガルシアら12名による白熱の再解釈
  6. claire rousay ──近年のアンビエントにおける注目株のひとり、クレア・ラウジーの新作は〈スリル・ジョッキー〉から
  7. interview with Keiji Haino 灰野敬二 インタヴュー抜粋シリーズ 第2回
  8. Beyoncé - Cowboy Carter | ビヨンセ
  9. 壊れかけのテープレコーダーズ - 楽園から遠く離れて | HALF-BROKEN TAPERECORDS
  10. Larry Heard ——シカゴ・ディープ・ハウスの伝説、ラリー・ハード13年ぶりに来日
  11. Free Soul ──コンピ・シリーズ30周年を記念し30種類のTシャツが発売
  12. Jlin - Akoma | ジェイリン
  13. Jeff Mills ——ジェフ・ミルズと戸川純が共演、コズミック・オペラ『THE TRIP』公演決定
  14. Bingo Fury - Bats Feet For A Widow | ビンゴ・フューリー
  15. まだ名前のない、日本のポスト・クラウド・ラップの現在地 -
  16. tofubeats ──ハウスに振り切ったEP「NOBODY」がリリース
  17. Jeff Mills × Jun Togawa ──ジェフ・ミルズと戸川純によるコラボ曲がリリース
  18. R.I.P. Amp Fiddler 追悼:アンプ・フィドラー
  19. interview with Keiji Haino 灰野敬二 インタヴュー抜粋シリーズ 第1回  | 「エレクトリック・ピュアランドと水谷孝」そして「ダムハウス」について
  20. Rafael Toral - Spectral Evolution | ラファエル・トラル

Home >  Interviews > interview with Manners - いるべき場所がない

interview with Manners

interview with Manners

いるべき場所がない

──マナーズ(見汐麻衣、石原洋)、インタヴュー

野田 努    Oct 17,2014 UP

マナーズという言葉自体が持ってる意味はありますが、この名前にした意味はないです。意味があるものがあまり好きじゃないということもあるんです。ただ単に「マナーズっていいな。これにしよ!」って感じで決めました。──見汐麻衣


マナーズ
Facies

Pヴァイン

Jazz RockPopPsychedelic Rock

Amazon iTunes

ちなみにマナーズには今後どのような予定が組まれているんですか?

見汐:曲を作ります。ライヴをやる必要性は感じるんですけど、それと自分がライヴをやりたいと思うことは違うので。リリース・ツアーなど以外ならライヴは最低でも年に6回くらいできればいいかなと……。いや、でもわかりません。たくさんやるかもです。

石原さんは、プロデューサーとしてつねに自分自信に高いハードルを課しているんですね。

石原:自分がやっちゃいけないこと、やってみてこれはやるべきじゃないこととか、そういうことはありますよね。それは音のチョイスもそうだけど、自分のなかにサウンドの扱いに対する基本理念みたいなものがあるんです。それに従ってやらないことはありますね。アレンジがある程度進んでいても途中でやめたりもします。いろんなことをやっているけど、それがあるから自分の色が出ているんだと思います。

(※以下、余談です)自分をストイックだと思いますか? 

石原:そんなことないですよ。

見汐:ストイックだと思います。

石原:ストイックという言葉はちょっと違うと思うな。

完璧主義者?

石原:終ったあとに、こうすりゃよかったって思いますね。

見汐:私はこの1、2年で話をするようになったので、先生みたいなところはありますけどね。

そう言われるのは嬉しくはないでしょう(笑)。

石原:でも、そう言われることも多いんですよ。年齢も上なほうなので。でも出来れば対等でいたいですよね。

見汐:ここ2年の間に、いままで聴いてきた石原さんが関係した作品もですし、いままで聴いていたレコードもそうなんですけど聴いていると聴き方が変わってくるんですよ。アレンジだったり、緩急の付け方だったり。いままで自分が意識して聴かなかったところに注目するようになってきてて、知らず知らずに影響を受けているんだなと思います。やっぱり先生みたいな感じですね。

石原さんは、レコードを全部で何枚くらい持っているんですか?

石原:すごく少ないですよ。多分2,000枚くらい。でもこの先、一生聴かないなってやつは処分してしまいますね。

尊敬できるプロデューサーは誰ですか?

石原:何かの作品をやっているときに、あの人だったこうするだろうな、とは考えます。だけど、プロデューサーにこだわって聴いたことはないんです。例えば、70年代にボブ・エズリンとか、ロイ・トーマス・ベイカーとか、現在プロデューサー としてあまり研究されたりかえりみられない人もいるわけですよ。ルー・リードの『ベルリン』みたいなドラマチックなものを作っちゃうボブ・エズリン、クイーンのセカンドやサードみたいに中域がみっちり入っていて、こみ入ってるけど理路整然と考え抜かれたアレンジをするロイ・トーマス・ベイカーとか。音のつまり方がすごいわけです。

オーディオ・マニアでしたか?

石原:レコードを買うのに忙しくて、普通のステレオを使っていた気がします。僕の場合は、中学のときにドイツ・ロックを聴いたのがデカかったと思います。ほとんどのライナーノーツを間章を書いていました。日本コロンビアのヴァージンも間章が書いていましたから。クラウス・シュルツとかファウストとか。当時は何を言っているのかよくわからなかったですけど、やばいものに手を出したと思いましたね(笑)。シュルツの『タイムウィンド』を評するのに、どうして西脇順三郎の詩が引用されるんだろうって思いました(笑)。いまみたいに情報もないしね。例えば、ライナー・ノーツに出てくるウィンドウペインとかカリフォルニア・サンシャインの意味を解するのに何年要したことか……(笑)。

あははは、そこは僕も同じです(笑)。カンの『タゴ・マゴ』の日本盤はどこでしたっけ?

石原:東芝ですね。『タゴ・マゴ』と『エーゲ・バミヤージ』が東芝。東芝はタンジェリン・ドリームやアモン・デュールも出してましたね。

リアル・タイムで買ってましたか?

石原:結構買いましたね。イギリスのプログレに飽きた友だちも買っていました。ファウストの『IV』の邦題が『廃墟と青空』ですからね。

すごいっすね(笑)。

石原:バタイユですからね(笑)。間章の入れ知恵でしょう。

実際のファウストには、もっと諧謔というか、ギャグも入っていましたよね。

石原:でも、間章的にはバタイユだったんでしょう(笑)。

アモン・デュールを中学のときに聴いてどうでしたか?

石原:よくわからなかったです。でも、わかんないから何回も聴くじゃないですか。最初に聴いたのは『野ネズミの踊り』の2枚組で、『ロック共同体』って邦題でした。

『Yeti』の邦題が『地獄』でしたっけ?

石原:『地獄』です。14、5歳とかだったから怖かったですね。

UKのプログレは聴かなかったんですか?

石原:ピンク・フロイドとかクリムゾンとか聴いていましたよ。ただ、友だちにひとり、クリムゾンでは満足できないという早熟なヤツがいて、もっとすごいものはないかと探したときに「俺はこれからドイツの音楽を聴く」と言ってね。僕はそいつに感化されて、レコード屋でアモン・デュールを見つけました。当時は、ドイツ・ロックと言えばノイとかよりもアモン・デュールのイメージが強かったんです。アモン・デュールは何故か今野雄二がライナーを書いていたし。間章はその頃はまだジャズにいたんじゃないかな。

マグマとかそっちのほうはいかなかったんですか?

石原:マグマは日本盤が1枚しか出てなかった。『呪われし地球人たちへ』っていうタイトルだったんだけど(笑)。それは立川直樹がライナーでしたね。

ジャズを聴くのは、そのあとですか?

石原:フリー・ジャズは70年代末から80年代半ばまでよく聴いていました。デレク・ベイリーとかエリック・ドルフィー、ミルフォード・グレイブスとか。ありがちですけど。

この話をはじめると終わりそうにないので、ぜひ、近々続きをお願いします。今日はどうもありがとうございました。

取材:野田努(2014年10月17日)

1234

INTERVIEWS