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Interviews

interview with Dornik

interview with Dornik

敗者としてのラヴ・ソング

──ドーニク、インタヴュー

質問作成・文:木津毅   Dec 10,2015 UP

 それは秘密の歌だった……それがドーニクの甘くとろけるラヴ・ソングのはじまりだった、ということである。ツアー・ドラマーとして活動していた彼の歌を発見したのはそのフロントにいたジェシー・ウェアーで、彼女の後押しがなければシンガーとして活動する気はなかったという。だから彼のデビュー・アルバムにあるのは野心からはほど遠いベッドルームのイノセンスであり、それはプリンスやマイケル・ジャクソンの物真似からはじまったものだったとしても、彼の内面のもっとも柔らかい部分に忠実なものだ。


Dornik

R&B

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 ドーニクのチルなR&B、スウィートなソウルとファンクは近年の傾向を思えば、やや遅れてやってきたという印象もなくもないが、そのぶん、チル&B、あるいはオルタナR&Bと呼ばれたもののひとつの到達点にいるとも言える。ドラマーとはいえ組まれるリズムはいたってシンプルで、ファルセット・ヴォイスとコーラスが徹底して中心に置かれている。そこに寄り添っていくシンセ・サウンドはバーのカクテルに反射するライティングのようにきらびやかで、どこか現実離れしている。そしてそこで歌われるのはたいてい、「彼女」や「きみ」の前に屈するばかりのか弱い男、敗者としてのラヴ・ソングである。近年のメール・シンガーによるR&Bが提示した現代性とは恋の敗者であることの快楽であり、そしてドーニクの歌はその純粋さゆえに、その心地よさに溺れることへの抵抗が一切ない。「強く強く強く みんな強くありつづけよう」と繰り返す“ストロング”は見事な反語である。

 ドーニクはもう脚光を浴びて、フロントマンとしてステージに立っている。作風は外の世界を意識したものに変わっていくだろうし、それに合わせてサウンドも歌詞のテーマも変わっていくと思われる。だからこのデビュー作『ドーニク』は、彼にとってもリスナーにとっても永遠に不可侵な領域として残ることになるだろう。

野心はなかったよ。あくまで趣味だったから。でも、こっそり思ったことはある、かな。僕が歌ったらひとはどう思うだろうか、って。

デビュー・アルバム『ドーニク』は堂々たるシンガー・アルバムになっていますね。

ドーニク(以下D):ははは。

フロントマンになろうという意志がなかったとは思えないくらいですが、アルバムを作る以前から歌うことが好きではあったのですか?

D:うん、やっぱり、好きだからやったんだと思うよ。それまでは趣味のようなものではあったけど、楽しんではいた。

基本、ひとりで歌っていたということですが。

D:そう。たまに思うよ、いまこれが楽しいと思うのは、みんながチヤホヤしてくれるからなのかな、とか(笑)。あんまり自信がなかったからね、他にひとがいいと思ってくれるかどうか。否定される場合だってある得るわけで……(笑)。でも……うん、趣味でやってたことだし、音楽を作るのは大好きだけど、フロントマンになることはべつに考えてなかった。

最初はドラマーだったあなたに、シンガーになるという希望や野心はあったんでしょうか。

D:野心はなかったよ。あくまで趣味だったから。でも、こっそり思ったことはある、かな。僕が歌ったらひとはどう思うだろうか、って。従兄弟の前で歌うと「よう、おまえ、歌うべきだよ!」って言われたし、そう言えば、従姉妹のひとりからは「あんた、いつか歌うことになるわよ」って言われたことがあるんだ。でも、そのときは「ない、ない」って……、じつはむかついて「歌うもんか! 僕はドラムでいく!」って抵抗したくらいでね(笑)。でも、彼女の言うとおりになったね。

歌はどうでしたか。同じように自由に自分を表現できると感じましたか。

D:もちろん! というのも、前から頭の中にアイデアがあったから、それを放出するって感覚だったんだ。ドラムのグルーヴとか、コードも頭にあったし、メロディなんかも外に出していくっていう感じで……。うん、これも間違いなく自分を表現するひとつの方法だよ。解放って感じ。自分自身を解放するように表現して、レコーディングして、そしたらそれをみんなが気に入ってくれるというオマケがついてきた(笑)。

歌いはじめるにあたってお手本にしたシンガーはいますか。

D:マイケル・ジャクソンとか……、つまり影響された人ってことだよね?

そうですね。

D:うん、マイケル・ジャクソン、プリンス、マキシ・プリースト……レゲエのアーティストだけど彼の音楽が大好きなんだ。子どもの頃、彼の音楽もずいぶん聴いて育った。あとはディアンジェロとか。うん、でもマイケル・ジャクソンとプリンス、だな。いや、マイケル・ジャクソンとプリンスとマキシ・プリーストかな……。

(通訳):マキシ・プリーストの名前はいままで出なかったですね(笑)。

D:そうだね(笑)。彼も大好きなシンガーで、あのヴォーカルはすごく好き。レゲエ的な背景の一部に彼がいる。

レコードに合わせて歌ったりしていたんですか?

D:うーん……うん。たぶん、ね。自分のベッドルームで、だけど(笑)。自分の部屋で。それにしても、マキシ・プリーストのことをすっかり忘れてたなあ。彼の大ファンなのに。うん、あとはマイケル・ジャクソンとプリンス。

僕はいつも「もっと早く生まれたかったなあ」って言ってた。そうしたら最高の音楽に囲まれていられたのに。

マイケル・ジャクソンやプリンスが超ビッグだった80年代は、振り返るときらびやかなイメージがあるんですが、あなたは80年代生まれでしたっけ?

D:1990年生まれだよ。だから80年代は生まれる前……というか、2日違いで80年代に間に合わなかった(笑)。誕生日が1月2日だからね。

(通訳):80年代を丸々見逃してしまったわけですね(笑)。

D:うん、僕は時代としては90年代の人、だね。

そんな未体験のあなたから見た80年代のイメージって、どんな感じですか。

D:同じだよ。ライトがピカピカしてる感じ。ギラギラしてて……っていうのが僕の80年代のイメージ。だからマイケル・ジャクソンとプリンスが、80年代という時代そのものだよね。すごく……(笑)、ファンキーで、直球で。

(通訳):あなたのご両親の時代、ですね。

D:そう、ふたりとも実際に体験してる。僕はマイケル・ジャクソンのビデオやプリンスのビデオを観て雰囲気を掴んでいた、という感じかな。僕はいつも「もっと早く生まれたかったなあ」って言ってた。そうしたら最高の音楽に囲まれていられたのに。いまも素晴らしい音楽はいっぱいあるけどさ。でも……結局、物事は繰り返すからね。「歴史は繰り返す」って言うから。

いまグレイトだと思う音楽は?

D:ジ・インターネット。彼らの大ファンなんだ。すごくいい。本当に素晴らしい。ジャングルも驚異的なアーティストだ。あとはケンドリック・ラマー。ディアンジェロも復活したね。復讐の復活劇(笑)、すごいアーティストだよ。マジで尊敬してる。

最近の男性シンガーソングライターにはR&Bに寄る傾向が見られて、トレンドになっているという声もありますが、あなたはどう思いますか。

D:うーん、あるね、たぶん。R&B系の曲は多いし、そういうのが戻ってきてる感じはする。ミゲルとかフランク・オーシャンあたりのことを言ってるんだと思うけど……。それがいまのムードらしい。いいことだよ。

あなたの曲では弱さや情けなさも率直にさらけ出されているように思えますが――

D:あはは。

これはあなたの生の感情がダイレクトに反映されたもの?

D:そうさ。あのときの僕の立ち位置だ。個人的な体験や、他の人の体験や……うん、男女問わず自分を表現できる時代、それを生きるあの年齢の人間ならではのね(笑)。

(このアルバムに反映されているのは、)あのときの僕の立ち位置だ。個人的な体験や、他の人の体験や……うん、男女問わず自分を表現できる時代、それを生きるあの年齢の人間ならではのね(笑)。

ラヴ・ソング?

D:うん、そうだね、ラヴ・ソング。若い10代の……いや、10代の終わりに書いた曲。次のアルバムでは、もっと主張したいことがある。

近年は男性シンガーが自身のフェミニンさを出すことを恐れなくなったし、あなたもそのひとりだと感じます。

D:うん(笑)。

あなたにとって、音楽にフェミニンさは必要なものですか?

D:そうなんだろうね。トレンドもあるし。

(通訳):いっぽうでは女性たちがもっとこう……

D:そう、独立してる(笑)。

それはラヴ・ソングの一種のマナーとして強調されたものなのでしょうか? それともあなたの一面?

D:ほんの一面だよ。いまの僕はまた別の場所にいる。

(通訳):そう?

D:うん、いまはいる場所がちがうんだ。

(通訳):どこにいる?

D:うーん、いまにわかるよ。すぐにわかる。

(通訳):つまり、もう次の作品に取りかかっているということ?

D:いくつかアイデアはあるんだ。まだきちんとまとめる時間を持てないんだけど、ちょっと声をメモっておいたり、インストで思いついたのを書き留めたりしはじめてる。ホテルの部屋でやったりしてるよ。ジェシー(・ウェア)とのツアー中はよくやってた。ショウが終わるとバスに乗り込んで、ベッドがこう、段々に重なっているところでアイデアをまとめたり。

(通訳):そういうツアーだったんですね! ああいうバス、何ていうんでしたっけ……。

D:ベッドが段々になってるやつ、ね。そこに小さなキーボードを持ちこんで、インストのアイデアを練ったりしてた。メロディとかも。だから、いくつか寝かせてあるやつがあるんだ。完成を待ってるアイデアが。でも、ファースト・アルバムはそういう意味で完成させるのが大変だった。なんか、昔に逆戻りするみたいな感じでさ。時間を遡って昔のアイデアを完成させるより、自分ではつねに先に進んでいたいんで、なんかヘンな感じだった。でも、もうすぐ新しいのを作れるから。

やりかたに正解はなくて、とはいっても、たいていリズムが最初に出てくるのはたしかだね。ドラムが最初、ってことになるのかな。

さて、そもそもがドラマーということで、リズムはこうあるべき、というような信念から音楽がスタートするんでしょうか。そこから曲を書いていく?

D:うーん、やりかたに正解はなくて、とはいっても、たいていリズムが最初に出てくるのはたしかだね。ドラムが最初、ってことになるのかな。でも、コードが頭にある場合もあるから、それに合わせてドラムを作っていくこともあるし、何が先であってもアリなんだ。正しいやり方、というのはない。ドラマーだ、というのは間違いなく影響してると思うけど。

このアルバムではシンプルなリズムでチルアウトな志向を強くしているように感じます。

D:うん、意味はわかる気がする。コード進行なんかは、いわゆるチルアウトしたスムースな感じだから。

それは意識的に?

D:いや、単純にあの時の自分の気分。それが表れただけだよ。僕はあらためて「よし、今日はこういう音楽を作るぞ」なんて考えたことないし、何であれその時に自分が感じているものが表に出てくるって感じなんで、「スムースでチルな感じのを作ろう」と思ったわけではまったくない。

(通訳):つまり、フィーリングのままにトラックをまず作って、リリックはその後なんですね。雰囲気に合わせて、ということですか?

D:うん、そういうこと。

(通訳):じゃあ、歌詞に女性的な面が表出したとしたら音楽に原因がある?

D:そのとおり。音楽に合わせたんだ。音作りやコード進行や、頭の中にあったメロディが、ああいう歌詞を導き出したんだと思う。そうじゃない曲もあったけど、そういう曲はわりと新しめで、アルバムにはフィットしない気がしたんだ。きっかけになったのが“サムシング・アバウト・ユー”っていう、かなり古い曲だろ?

(通訳):あれはどれくらい前の曲?

D:うーん、あれは4年前かな? ……うん、そう、ちょうど4年前だ、書いたのが2011年だから。その後に書いた新しめの曲は、あれとは収まりが悪かったんだよね。だからわざわざ昔にさかのぼって“ストロング”あたりを仕上げて使うことになったんだ。あれも同じ頃の曲だから。そんなわけで、使わずに取ってあるやつがまだあるから、これから完成させてやらないと。もっと最近のアイデアを使っていきたいし。あのアルバムは、自分ではもうずいぶん昔みたいに感じてるんだよね。次にいく準備は万端だ。

ところで、リズム面でもっとも大切にしていることは何ですか。

D:あんまり頭では考えてないんだよね……。

(通訳):ドラム録りから入るんですよね。

D:そうだね、まずはドラムを録るけど、場合によってはコードから入れて、ドラムは後ってこともあるよ。自分ではドラムを最初に入れておく方が好きで、その後にコード……とやっていく方が、その逆よりもやりやすい。コードが先にあると、ドラム・パターンにそのつじつまを合わせるのが大変だったりするから。まあ、どっちのやり方でもイケるし、実際、どっちもアリなんだけど……うん、やっぱり自然と出てくるのは僕の場合、ドラムみたいだね。

(通訳):パーカッション類も自分で?

D:うん、パーカッションもいくつかやるし、ドラム・キットと、あとは鍵盤を少々。キーボードは僕のメインの楽器じゃないから技術的には大したことないし、耳で覚えたんで、「こうしたい」というのが頭の中で鳴っていて、それを何とか鍵盤に移し替えるというやり方。譜面は読めない。ぜんぶ耳なんだ。頭の中で鳴っているのをそのまんま外に出そうとしてるだけ。

そうだなあ……いま、この瞬間に聴くとしたら『サイン・オブ・ザ・タイムス』だろうな。大好きなアルバムだ。

あなたはこのアルバムを「サマー・アルバム」だと説明していますね。

D:うん。誰かに「どんなアルバムですか?」って訊かれて、夏のアルバムだと思うって答えた記憶がある。

(通訳):いまもそう思う?

D:そうだね。それこそチルアウトした、夏のバーベキューって感じのヴァイブがあるんじゃない? フィーリングとして、ね。あるいは……いや、どうだろう、ちがうかな。季節を問わず聴いてもらっていいんだけど、僕にとってはやっぱり夏かな。ドライヴしながら、とか。僕が作りながら感じていたのはそれだから。僕の頭にあったイメージ、というか。ああいう夏の、チルアウトした……チルアウトした感じ。

(通訳):では次は冬のアルバム、ですかね(笑)。

D:かもね。まさに! 夏のアルバムにならないことはたしかだよ。

では、難しい質問です。もっとも好きなプリンスのアルバムは何でしょう?

D:まいったなあ、難しいよ、好きなのがいっぱいあって。ええと……1枚選らばなきゃいけないの? そうだなあ……いま、この瞬間に聴くとしたら『サイン・オブ・ザ・タイムス』だろうな。大好きなアルバムだ。でも、そのときによるんだ。うん、いま、最初に聴くとしたらそれ。

(通訳):あのアルバムの、どういうところが好きですか?

D:ファンキーなところ。めっちゃファンキー。中でも“ハウスクエイク”が好きなんだ。

もっとチャレンジして、とにかく上達したい。できるかぎりの道具を使いこなしてミュージシャンとして、アーティストとして成長していきたい。

プリンスは独りで何でもやってしまう人ですが、あなたもその方向を目指したい?

D:うん、もちろん! ああいうところを目指して成長していきたい。うん、やっぱりそうだよね。僕はひとをあてにするのが好きじゃないし、できることなら自分でね。だから、そのときの必要に応じてやっていけたら、ということだね。共同作業に対してもオープンに構えていたいし。でも、それは意図的にではなく、「この人といっしょにやらなくちゃ」っていうのではなくてフィーリングが合えば、ということ。こっちがオープンに構えているところにフィーリングのピッタリくる話があればいっしょにやるし、そうじゃなければ……ね(笑)。

(通訳):それはそれでいい、と。

D:うん。

現時点でミュージシャンとしてチャレンジしてみたいことはありますか。

D:挑戦してみたいこと……うん、すべてにおいてベターになること。ドラム・プレイもそうだし。実際、ドラムをプレイできないのは寂しいしね。ピアノももっと上手くなりたいし、ギターもね。ギターも独学でやってるんだ。そういうのにもっとチャレンジして、とにかく上達したい。できるかぎりの道具を使いこなしてミュージシャンとして、アーティストとして成長していきたい。

ピアノで曲を書くこともあるんですか。

D:たまに、ね。まだそんなにだけど、たまに書くよ。コードとかメロディはギターでも書いてみたいし、そのへんがチャレンジってことになるんだろうな。それに楽器が変わるとちがう書き方に繋がったりするんで、曲作りのまったく新しい世界が開けると思う。だから、自分にできるかぎりのことを学んでいきたい。それがチャレンジだね。

(通訳):可能性は天井知らず、と(笑)。質問に戻りまして、リズムでとくに惹かれるタイプのリズムってありますか。レゲエ、アフリカン、とエスニックなリズムにも親しんできたようですが。

D:僕は4つ打ちが好き。4つ打ちにハズレは無い。いい感じに鳴ってるドラムで4つ打ちっていうのが、いちばんハードなグルーヴだ。あれはたまらない! ハードって、プレイするのが難しいって意味のハードじゃないよ。とにかくパワフルだって意味のハードで、あれには踊りたい気分にさせられる。なんといってもグルーヴィだ。J・ディラ、とかさ。僕はJ・ディラの大ファンなんだ。彼のグルーヴは信じられない! どうかしてるよ。あと、クエスト・ラヴとかね。ああいうリズム……、シンプルに聴こえるけどじつは簡単じゃないし、普通の人がやれば普通になるけど、彼らがやるとじつに個性的で、ちょっとモタってたり走ってたり……ああもう、なんか説明できないよ! 要はフィーリング。フィーリングなんだよね。うん、ああいうのがまとめて大好きなんだ。

質問作成・文:木津毅(2015年12月10日)

Profile

木津 毅木津 毅/Tsuyoshi Kizu
音楽・映画ライター。1984年、大阪生まれ。2011年よりele-kingに参加し、紙版ele-kingや『definitive』シリーズにも執筆。

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