Home > News > UKオヤジ・ロックの逆襲 - ──この熱は単なる再結成ブームの余波ではない!
今年もフェスのラインナップ発表の時期がやってきた。
国内はもちろん、海外のフェスも続々と出演者の発表をはじめている。40代後半も終わりが近い僕にとっての今年最大のトピックはもちろんライドの再結成だ。
日本はいったいどっちなのかハラハラしながら発表をまっている。
そんな中、アール・ニューボールドというファッション・ブランドが今年の春夏シーズンのテーマに“MADCHESTER”(http://www.rnewbold.com/news/SS15-New-Season-Madchester-News.html)を掲げてきた。
しかもハッピー・マンデーズのアートワークを手がけてきたセントラル・ステイション・デザインのオリジナル・デザインを大々的にフィーチャーしている。ロゴ以外にも1988年リリースの名作『ならず者』のアルバム・ジャケットやタイポグラフィーによるメッセージなどを展開、折しも今年マンデーズは〈フジ・ロック〉に出演が決定している。
そしてシャーラタンズが3月に来日公演を行う。5年ぶりにリリースしたニュー・アルバム『モダン・ネイチャー』はメンバーの死を乗り越え、これまでのシャーラタンズのイメージを覆すような力作になっていた。
つい先日には〈サイコキャンディー再現ツアー〉中のジェーザス・アンド・メリー・チェインが『NME』のインタヴューで新作の制作を行う予定だという発言が話題となった。ニュー・オーダーもなんと〈ミュート〉から今年リリースする予定の新作がほぼ完成という。そういえば去年インスパイラル・カーペッツも20年ぶりのアルバムを出していた。
2014年はスロウダイヴの復活もあったし、あれ? ハウス・オブ・ラブもツアーやってる。ちょっと気になって調べてみたら、ワンダー・スタッフもジェイムスもステレオMC’sも、ノースサイドやファーム、テレスコープスまでライヴ・ツアーをやってるではないか! オアシス以外の〈クリエイション〉の主要バンドもマンチェ4大バンドもこの2015年に活動している、もしくは活動継続中だ。
90年代リヴァイヴァルもここまでくると単なる再結成ブーム以上のことに思えてくる。2010年の〈スクリーマデリカ20周年ライヴ〉から、ローゼズの再結成、マイブラのアルバム・リリースなどの大きな話題が毎年続いている、この現象はいったい何を物語るのだろう。
50年代のプレスリー、60年代のビートルズ、70年代のパンク、ポップ・ミュージックが多くの若者に夢を見せてきた。そこからバトンを受け取り、ダンスという武器を手にして新しい夢を見た90年代の若者たち。いまやオヤジとなった彼等は中年になり人生に悩み、さまよったとしても結局素直に立ち返るのは夢を見た日々だと気づいたのではないだろうか。そう思うと、再結成はロックのピュアネスを汚すものではなく、もう一度何かに挑戦するプロセスなのかもしれない。
そして、この現象を支えているのはオーディエンスに他ならない、ほんとにイギリスという国は音楽を愛している。うらやましい話だ。
さて、僕等オヤジ世代にとって最大の関心ごとはローゼズの行方だ。一度は挫折したヒーローが歓喜のカムバックを見せたのは記憶に新しい。僕は彼等がその先をどう見せてくれるのか固唾を飲んで見守っている、心の半分ではもうなにも起きないかもしれないと、ほんの微かに思いながら。
いや、しかし、これが単なる再結成でないと信じるならば、充分大人になった彼等は同じ過ちは繰り返さないだろう。
僕等は信じて待ってもいいはずだ。(与田太郎)