「Lea Lea」と一致するもの

LIL' MOFO - ele-king

めちゃかけたラブソング 2014

東京のいろんなクラブで毎週DJしてます、2015も宜しくお願いします。
PROFILE
https://soundcloud.com/lil-mofo-business

SCHEDULE
1/11 SUN BAR LA FAMILIA
1/14 WED CLUB OPEN
1/15 THU CLUB GARAM
1/17 SAT CLUB OPEN
1/17 SAT GRASSROOTS
1/23 FRI HEAVY SICK ZERO
1/30 FRI LIQUID ROOM

OG from Militant B - ele-king

チョコレートソウルサンデー 2014.12.30

ヴァイナルゾンビでありながらお祭り男OG。
レゲエのバイブスを放つボムを日々現場に投下。
Militant Bでの活動の他、現在はラッパーRUMIのライブDJとしても活躍中。

あけましておめでとうございます。
2015年もじゃんじゃんバリバリいくんでよろしくお願いします。
さて、、今回は前回と打って変わって甘甘歌物特集をお届け!!
窓の外は雪がちらつき、揺れる暖炉の炎を見ながら2人で毛布にくるまりココアを飲む。ニットのセータもオン(設定長っ!)そんな時に聴きたい曲を挙げてみました。カバー曲多めなので元曲を知ってる!ってなったりできて楽しいと思います。狙ってるあの子、愛するあの人と聴いてもらえたら幸いです。

1/6 吉祥寺cheeky "FORMATION新年会"
1/14 新宿open "PSYCHO RHYTHMIC"
1/24 青山蜂
1/31 京都metro
2/3 吉祥寺cheeky "FORMATION"
2/22 青山蜂

DJ20周年の年、2014年は素晴らしい年でした。感謝の気持ちをこの10曲に(順不同) 2014/12/16

まだまだ続くDJ道!21年目もどーぞよろしくお願い致します!!

>>DJ FUMI Schedule
2014
[12月]
12/20 DJ FUMI 20th ANNIVERSARY SPECIAL "en21" x "皆殺し" @福岡 今泉 BlackOut
12/31-01/01 "VQ Count down NYE party" @Nimbin (Australia_Nimbin)
2015
[01月]
01/02 "3rd Eye Productions presents "Indigo Evolution New Years Festival" @2hrs from Byron Bay
01/04 "Buddah Bar with Dachanbo" @Buddha Bar (Australia_Byron Bay)
01/16 "Dosen't Matter" @New Guernica (Australia_Melbourne)
01/23-26 "Rainbow Serpent 2015" @Lexton (Australia_Victoria)
[01/24 05:30-07:00 Saturday Morning on the Sunset Stage]
01/31 "MACHINE" @MY AEON (Australia_Melbourne)

[2月]
02/13-16 "EARTH FREQUENCY FESTIVAL" @Ivory's Rock (Australia_QLD)
[Friday Night]
02/21 "Vitamin Q" @AVALON (Australia_Gold Coast)

[3月]
03/06-09 "Maitreya Festival 2015" @TBA (Australia)
[Saturday Night]
03/21 "RESPONSE" @東京
03/28 "TBA" @北海道

 

 

Ariel Pink Parade! - ele-king

 アニマル・コレクティヴに見出だされたサイケデリック奇人にして、現USインディ最高峰のソングライターであるアリエル・ピンクが、ソロ名義では初となるフル・アルバム『ポン・ポン』をリリース。
 サン・ローランのキャンペーン・モデルに抜擢されるなど近年その存在感をセレブかつアーティに変化させた彼だが、本作においては憧れのキム・フォーリーとの共作を果たし、自らの揺るぎないバックボーンと彼独自の世界をあらためて示している。
 この一見しただけでは到底うかがい知ることのできない『ポン・ポン』の魅力を、ヴィジュアル、レヴュー、インタヴューの3本立て“パレード”でお伝えしよう。


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Dayzed Inn Daydreams
──アリエル・ピンクと『ポン・ポン』に寄せる9つのイメージ
デザイナー西村浩平の手掛けるブランド〈DIGAWEL(ディガウェル)〉制作のヴィジュアルを公開

Albun Review
Ariel Pink - Pom Pom
4AD / ホステス

ケヴィン・エアーズ? ピーター・アイヴァース? 言葉をすりぬけて踊る怪作ポップ・アルバムを吉田ヨウヘイと松村正人がつかまえにいく

interview
完熟サイケデリック!
──アリエル・ピンク、インタヴュー

キム・フォーリーと「ジェロー」の関係から日本人女性の結婚問題まで。人生をめぐってユーモアとアイロニーが半ばしもつれる、アリエル・ピンクの舌好調トーク

Sleater-Kinney - ele-king

 要するに、少年ナイフね。
 という乱暴な印象が長い間わたしの認識だった。このばばあはライオットガールというより、スリッツと少年ナイフの年代なのである。
 UKでは、USでライオットガールが出て来るずっと前からいろんな女たちがライオットしていた。政界ではマーガレット・サッチャーが男性閣僚に怒鳴り散らして暴れていたし、ケンジントン宮殿では皇太子妃ダイアナが不倫相手とテレフォン・セックスに興じて王室に中指を突き上げていた。「バンドマンの恋人やグルーピーでいるのはもう嫌。これからは、アタシたちが自分でやる」とライオットガールそっくりのことを言ってスリッツやレインコーツ、スージー・スー、ポリー・スタイリンらがパンク界に進出したのは70年代後半のことである。それが米国では90年代初頭だったというのだから、そのタイムラグは何なのだろうと思うが、わたしは米国には行ったこともないし、別に死ぬまで行かなくてもいいと思っているのでよくわからない。

 まあしかしスリーター・キニーが少年ナイフと違うのは、ベースレスな点だ。わたしは女を楽器に例えるならベースだと思っている節があり、トーキング・ヘッズのティナやINUの西川成子、わたしが十代の頃にやってたバンドにさえ佐藤姿子という肝の据わった女性ベーシストがいたのでそういう思考回路なんだろうが、ベースはバンド・サウンドの土台であり、夜道を照らす明かりのように進路を導き、圧倒的グルーヴ感を引き出す。まるで女そのものではないか。が、スリーター・キニーのサウンドにはベースが存在しない。女がいねえ。となればこっちが本物の少年ナイフなのだろうか。
 1997年の『Dig Me Out』は前作2枚のパンク臭さが抜けてロックに近づいたアルバムと言われている。ベースレスのダブルギターなだけにメロディアスなエモさがあるが、同時に粋なスカスカ感もあり、どこかトーキング・ヘッズあたりも髣髴とさせ、アルバム・ジャケットはキンクスのもじりだが、いかにもアメリカンである。
 1999年の『The Hot Rock』では「エモくてスカスカ」から表現法が拡大し、内省的な知性も見せる。ツイン・ギターでツイン・ヴォーカルのコリンとキャリーの絡み方が複雑になり、恋人だったという彼女たちの人間関係の進化が垣間見えるようだ。が、このアルバムはパンキッシュなものを求めるファンには評判が悪かったそうで、『All Hands On The Bad One』ではシンプルなロック・サウンドに戻っている。シングアロング的な曲が並んだ同作は、英国でも「彼女らが米国で最高のロック・バンドと呼ばれる理由がわかった」(byガーディアン)と絶賛された。『Dig Me Out』よりサウンドにどっしり感と粘りが出て、キンクスっぽいのは寧ろこっちだ。
 昔、カート・コバーンが「少年ナイフを聴いていると泣けてくる」と言っている映像を見たことがある。&スリーター・キニーを「US最高のバンド」と呼んだのも男性評論家たちだった。女子がいたいけにもギターを弾いて男世界でがんばってるからそのメッセージ性がUS最高に値する。というのであれば、それは評論ではなくポリティカル・コレクトネスだろう。        
 折しも2014年はフェミニズム流行りだった。エマ・ワトソンが国連本部でフェミニズム演説をし、テイラー・スウィフトは近年のフェミニストたちはPRが下手だったと指摘し、カール・ラガーフェルドはパリコレでモデルたちにデモ行進をさせた。英国版『エル』誌はフェミニズム特集号まで出している。
 欧米メディアはエマやテイラーを「新たなフェミニズムの象徴に相応しい、賢く美しい女たち」と絶賛し、「太った女はランウェイを歩かせたくない」発言で欧州で袋叩きにされたシャネルのカール・ラガーフェルドはスーパーモデルたちにプラカードを持って歩かせて「ヒップ」と称賛された。
 このばばあもこの歳になるとフェミニズムの盛り上がりは何回か見てきてるんだが、どうも現代のフェミニストはセレブ系ビューティー(『アナ雪』の姉ちゃんの方が人気があるのもそうだ)+パワーを持つ女でなれば当の女たちから支持されないようで、フェミニズムの世界もいよいよキャピタリスティックだ。それはまるで80年代の「マテリアル・ガール」が「フェミニスト・ガール」になって復活したようで、個人的好みを言わせてもらえば、わたしはブルーズのないフェミニズムを信じない。

         *******

 んなことを考えながらスリーター・キニーの再発版を聴いていると、「弱々しく迷わなければ女が全てを手に入れることは可能」というキャピタリスト・フェミニズムと、多くのものを持たない三人編成のスカスカしたサウンドとの落差には、妙にしみじみとしたものがあった。

 そのしみじみ感は、再結成した彼女たちの新譜を試聴させていただくにあたり、ブルージーな詫びさび感へと発展したのだったが、それについてグダグダ言うのは新年に持ち越したいと思う。

vol. 67:私的USインディの年間ベスト10 - ele-king

1. St. Vincent “St. Vincent” Loma Vista

今年、一番よく聴いたアルバム。アニー嬢の最新作は、まさに階段を駆け上がる素晴らしさ。ジャジーなプログレロックなギターは革新的で、デジタル社会を嘲笑うかのような風刺。アートワークの良さはもちろん、脚を大きく開いてギターを弾く、近未来のカルトリーダーを象徴したセルフタイトル。2014年は女性の活躍が目立ったが、彼女はその代表。
https://ilovestvincent.com

2. Dum Dum Girls “Too True” Sub Pop

Dee Deeの作品はどれも、定番ポップがどうあるべきかを理解している。歌詞から彼女の世界観を想像し、どのような思いを乗せているか考えてしまう。一山越えた感がある3枚目は、痛さ的には落ち着いたが、ライブでは、トリプルギターになり、更に音の厚さを増している。もっとこだわり続けそうな予感。
https://www.subpop.com/releases/dum_dum_girls/too_true

3.Mac Demarco “Salad Days” Captured Tracks

前作の“2”や “Rock and Roll Night Club”に続く、2枚目アルバムもレイドバックな細っこいマック節のギターチューン全開。4/1リリースのアルバムだけあって、ラブソング&ジョークが、成熟した感がある。アルバム・プレビューも然り、ヴィデオも然り、ワクワクさせられっぱなし。
https://www.capturedtracks.com/shop/_ct-release/ct-193-mac-demarco-salad-days-lpcd/

4. Unknown Mortal Orchestra  “ⅱ” Jagjaguwar

'Swim and Sleep (like a shark)'
'So Good at Being in Trouble'

この2曲をアイスランド・エアウエイヴスで聞いたときは鳥肌立った。丁寧にクラフトされた、スムースなローファイ・ソウル・サイケ・チューン。メインガイ、ルーベンのグルーヴィーなナチュラルさと、ドラマーのジンジャー・ベイカー(クリーム)のごとしのパフォーマンスに圧巻される。今更ながら良盤太鼓判。
https://unknownmortalorchestra.com

5. TV on the Radio "Seed" Harvest Records

2014年は、ストロークス、ライアーズ、ヤーヤーヤーズなどの00年代NYロッカーの名前を聞くことが多かった。その中の一つ、TVOTRの6枚目のアルバムは、LAに引っ越した事もあるのか、ボーカルTundeの声が軽やかに若返り、全体的にドライヴィンで軽快な曲が続く。「Young Liars」が与えたインパクトのように、このアルバムには何か希望、新しい時代の始まりのようにも感じる。ウィリアムスバーグを諦めた同志としては目が離せない。
https://www.tvontheradioband.com

6. Real Estate “Atlas Domino

既にベテラン行きに達した感のあるニュージャージーバンド。おかえり、と手を差し伸べるような、ノスタルジックなサバービアンロックな3枚目。マック・デマルコをもっと大人にして洗練させたような、空、地平線、サイドウォーク、ランドスケープなどの言葉を繰り返し、永遠の少年、ビタースウィートな物語が繰り返される。一息つきたい時に、最高の一枚。
https://realestateus.dominorecordco.com/realestateus/albums/13-01-14/atlas/

7. Cibo Matto “Hotel Valentine” Chrimera

10年以上の沈黙を経てリリースされたNY在住日本人女子デュオのニューアルバム。再結成が大ブームで、大抵はがっかりさせられる中、この作品は最高傑作だと思う。ゴーストのいるホテルをテーマに作られた10曲は、「チェックイン」から始まり「チェックアウト」で終わる。ロック、ヒップホップ、ラップ、ブラジリアンなどから影響を受けたサウンドを、彼女達の色に変換し、何でもできるゴーストという主人公の中に、2014年の世の中に対するアンチテーゼを見ることが出来る。
https://www.amazon.com/Hotel-Valentine-Cibo-Matto/dp/B00H7NN19U

8. Sonny and the Sunset “Antenna to the Afterworld” Polyvinyl

‘Dark Corners’(名曲!)は今年の初めぐらいに良く聴いていた。来年新しいアルバムも出るが、こちらをリストに加えたい。のっぽさんような雰囲気で、話すように歌うソニー・スミス。仲の良い友達が殺された事をきっかけに、死後の世界をテーマにに作ったアルバム。カントリー、A&Mなどの影響を感じさせつつ、科学の実験のような不思議な音を加える。歌っているより断然話している方が長い、そんな彼のキャラクターが突出したアルバム。
https://www.pastemagazine.com/articles/2013/06/sonny-and-the-sunsets-antenna-to-the-afterworld.html

9. Death Vessel “Island Intervals” Sub Pop

プロヴィデンス出身(現NYと行ったり来たり)のシンガーソングライター (元ストリング・ビルダー)、ジョエル・シボドーによるニューアルバムは、アイスランドで、シガーロスのヨンシーのパートナーであるアレックス・ソマーズがプロデュース。彼の独特のハイトーンヴォイスとフォーキーで澄み切ったサウンドは、穏やかで、忙しい現代社会をほど遠く感じさせるユートピア。
https://www.subpop.com/releases/death_vessel/island_intervals

10. Music Blues “Things Haven't Gone Well” Thrill Jockey

‘Hopelessness and Worthlessness’、‘Trying and Giving up’、‘Great Depression’、‘Death March’などなどタイトルだけでも、何処まで落ちるねーん! と突っ込みたくなるが、その通り!基本全曲ヘビーノイズで、聞けば聞くほど落ちる。今年、物事が嫌になった時よく聞いた。ハーヴェイミルクのベーシストの初ソロ。ライブは、楽しそうにやっていてホッとした。因みに彼も、ウィリアムスバーグ在住。
https://www.thrilljockey.com/thrill/Music-Blues/Things-Havent-Gone-Well

番外編でうちらのバンドもEPを出したので記述しておきます。
Hard Nips “Uncommon Animal” Self Release

NY女子バンドの最新作はモンスターをテーマにした4曲。この世の生き物でないものが、森の中をさまよい、メンバーを追いかけている感じ。前作までの男性プロデューサーから、女性に変わり全てメイドバイ女子。CDリリースはなくMP3リリースにスリーブが付く。
https://hardnipsbrooklyn.com

Lil Ugly Mane - ele-king

 ヴァージニア州リッチモンド在住のトラックメーカー兼ラッパー、トラヴィス・ミラーa.k.a.ショーン・ケンプによるリル・アグリー・メイン(Lil Ugly Mane)。残念ながら現在アクティヴではないようだ。トラヴィスはこのプロジェクトを封印してしまったらしい。この音源はわれわれにも馴染み深い日本人アーティストもリリースしている〈オーモリカ(Ormolyca)〉からの彼のダイイング・メッセージなのかもしれない。でもソノシートであり、フィーチャーされるメンツも相まって随分とスカムなメッセージではある(もちろんデジタルも販売中)。 一昨年にリリースされたホアクス(HOAX)とソーン・レザー(SEWN LEATHER)のスプリット音源、ヴィジュアル・アーティストのヴィニー・スミス(彼はなぜかくだんのソーン・レザーことグリフィンとともにこの夏、日本をドリフトしていた)によるアートワークが素晴らしかったソノシートといい、やる気のないフォーマットでの名盤というのもアホで最高だ。

 じつは、なぜか昨年のクリスマスはリッチモンドに滞在していたのだが、なんとも平穏な町であった。もとい不気味な平穏なのかもしれない。新興住宅と、巨大なモールとホームセンター、空き地、の繰り返しで構成される小きれいな町並みは刺激的とはいいがたい。
ここに住むトラヴィスの周囲にいいシーンがあるのだろうか?
 インターネット世代以降による新たなミュージック・シーンは近年のアメリカン・ラップ・ミュージックにも顕著に表れている。たとえばヴェイパーにおけるヴァーチャルの恐怖被害妄想を肉体的に具現化させてしまったようなデス・グリップスはその業を背負ったまま殉教してしまったが地下シーンはどうなっていたのだろう。

 ソーン・レザーとのかつてのクラスティー・ラップ・ユニット、ドッグ・レザー(Dog Leather)を経たDJドッグ・ディック(犬チン)はウィッチ・ハウスノリの歌モノから現在のニュー・メタル、ミクスチャー・リヴァイヴァルを想起させるような(恥ずかしいんだけども書くべきなのか迷っているテーマなのだけれども)スタイルに進化させているようだ。
 ブラセット・リサーチのイケてるシンセに蛆が這う最新PVはこれ。

 くだんのリル・アグリー・メインは生粋のスカム・ノイズ野郎であり、ソーン・レザーやDJドッグ・ディックとは長年近しいシーンをドリフトしていたようなので、この音源に収録されるトラックのような蛍光色の煙にまかれるような見事なコラボレーションを過去にも残している。
 LAのゴス/ウィッチ・ラップともいえる今日的なスタイルを実践するアントウォンもフィーチャーされるが、近年のLAのラップ・ミュージックで言えば僕は個人的にクリッピング(Clipping)の登場で他が霞んでしまっているんだけれども。
 アントウォンとLAのゴス・パーティに生息するようなキッズが制作したPVはこれ、なんだけども……。

 さらに飛躍して個人的に近年の若手であればこちらもアグリー・メインと親交の深いフロリダのデンゼル・カリー(Denzel Curry)のような方向性がサグいので好みである。

 しかしくどくどと紹介した以上をすべて押しのけるほどアグリー・メインのプロダクションとラップは素晴らしい。スクリューに乗る細かなハットと最高に邪悪に響く聴こえるカウベルの中毒性なのか、アメリカの若者のドリフター・ライフスタイルを象徴するような孤独なリリックなのか、彼のトラックには不思議と飽きることがない。彼の引退は少々早過ぎるのではないだろうか、と後悔は尽きぬが、同レーベルからリリース予定の豪華絢爛なボックス・セットの噂を聞けば、彼がいかにさまざまなシーンからリスペクトされ、僕と同じように帰還を求められているのかということがうかがわれる。

interview with Vashti Bunyan - ele-king


Vashti Bunyan
Heartleap[歌詞対訳/ボーナストラック1曲のDLコードつき]

インパートメント

Folk

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 イギリスのフォーク・シーンで伝説のごとく語り継がれてきたシンガー・ソングライター、ヴァシュティ・バニアン。まるで英国の深い森に住むフェアリーのような存在だった彼女の名が再びシーンをにぎわすようになったのは、1990年代末期だった。1970年にリリースされた唯一のアルバム『Just Another Diamond Day』が、当時のアメリカーナ〜フリー・フォーク系ミュージシャンたちの間で再評価され、それがきっかけとなって2000年に正式CD化。長い間、音楽シーンから遠ざかっていた彼女も、やがて活動を再開し、2005年にはなんと35年ぶりとなるアルバム『Lookaftering』を発表し、ファンを驚かせた。
 それから9年。またしても長い歳月が流れたが、通算3作目となるアルバム『Heartleap』がようやく登場した。新作発表にここまで時間がかかったのは、ほとんどの曲のアレンジと演奏、そしてプロデュースを自分一人でこなしたからのようだ(一部、ストリングスやギターなどでゲストが参加)。そのぶん、前作と比べてかなりプリミティヴかつインティメットな感触の内容となっており、たとえば、編集盤『Some Things Just Stick In Your Mind』(2007年)で現在聴ける60年代デビュー前のデモ音源などに似た印象すら受ける。まさに、手作りの織物のような愛らしさ。
 発売元の公式アナウンスによれば、これが最後のアルバムになると本人は語っているという。再び彼女は、森のフェアリーに戻るのだろうか……

“スウィンギン・ロンドン”は、他に類のないくらいインスピレーションが旺盛で創造性に富む時代だったわ。大好きだったし、関わっていたかった。ただし、他人の音楽ではなく、自分の音楽でね。たとえミック・ジャガーやキース・リチャーズの曲だったとしても、自分の音楽として関わっていたかったの。

今作が最後のアルバムになると宣言しているようですが、なぜこれでやめるのですか?

VB:やめるというか……1枚のアルバムに必要な分だけの曲を書き終えるためには、これから何年もの年月が必要になると思う。でも、その頃にはもうアルバムという形式はなくなるんじゃないかと思っているの。まあ、誰にもわからないことだけどね。

じゃあ、新しいアルバムは作らないとしても、音楽活動自体は続けるんですよね?

VB:自分がこれまで書いた曲を全てシングルとしてデジタル・リリースすることに興味があるわ。

全体的に、60年代にレコード・デビューする前の64年のデモ音源に近い印象を受けました。こういう素朴さ、透明感は、制作前から意図していたものなのですか?

VB:アレンジのたくさんの部分に膨大な時間を費やしたこのアルバムを、素朴とか透明感があるとは自分では感じないけど……でもたしかにこれは私の初期の頃、一番最初にレコーディングしていた頃にやりたかったことができた作品なの。あの頃私は楽譜を読めなかったし、書けなかったから、頭のなかにある楽器構成を現実化できなかった。でも、いまはできるわ。

長い休止期間を経た後の復活作だった前作『Lookaftering』は、ピアノ・サーカスなど実験音楽シーンで活躍してきたマックス・リヒターがプロデュースしてましたが、今回はセルフ・プロデュースです。その理由は?

VB:マックスと一緒に仕事をしたとき、彼から様々なことを学んだし、あの時間は私にとってとても価値あるものだった。私はあれ以来ずっと、自分でパソコンのソフトを使って曲を録音し、アレンジする方法を勉強してきた。そういった方法にとても興味を持つようになったわけだけど、私の場合、その制作プロセスにとても時間がかかるの。そんな自分に辛抱してくれとは、どんなプロデューサーにも頼めないわ。だから今回は、セルフ・プロデュースになった。前作では、マックスに対しては何の不満もなかったし、音楽的才能を惜しみなく提供してくれたマックスと他の若い仲間たちに出会えたことは、本当に運が良かったわ。皆、信じられないくらい素晴らしい人びとだった。

そもそも前作で、あなたとは縁のないように見えるマックス・リヒターがプロデュースを担当した経緯は、どのようなものだったんですか。

VB:『Lookaftering』は〈FatCat〉レーベルからのリリースだけど、当時マックスも FatCat に関わっていた。で、レーベル関係者が彼の存在を教えてくれたの。しかも彼は、その頃私と同じ町に住んでいた。彼のソロ・アルバム『Blue Notebooks』(2004年)を聴いた瞬間、私の新しい曲を取り扱ってくれるにふさわしい人だとすぐに思ったの。

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1968年のロバートとの旅物語は、私の次のプロジェクトね。私たちは、自由という夢を追って、家族や他の全てを捨て、ロンドンを離れたの。音楽業界で突き進むことに失敗したんだと思い至り、そこから離れたかった。もう録音なんかするまいと。

今回は、プロデュースだけでなく、大半の演奏と録音も自宅で自分でおこなったそうですが、とくに苦労した点、刺激的だった点は?

VB:作業途中で誰にも立ち聴きされず、スタジオの使用時間も制限されないようにするには、その方法しか考えつかなかったの。ただ、私がアレンジしたいくつかの楽器の演奏は、まずスタジオで別のミュージシャンが録音し、その音源が私の手元に届けられ、それを元に私が自宅で改めて演奏、再構成するという形で完成させた。だから、とても時間がかかったわ。

本当はロバート・カービーにアレンジを頼む予定だったのが、彼の死(2009年)で不可能になったということも、アレンジや演奏を自分でやった理由のひとつだったみたいですね。ニック・ドレイクの作品をはじめ、60年代末期から70年代にかけて、傑出したアレンジャーとして名を上げたカービーは、あなたのデビュー・アルバム『Just Another Diamond Day』(1970年)や、前作『Lookaftering』にも関わってました。カービーのアレンジのどういう点にあなたは惹かれてましたか?

VB:ロバートはとても面白く、素敵で、突拍子も無いけど最高のミュージシャンだったわ。パソコンなんて使わず、ピアノでアレンジしたものを紙の楽譜に書く人だったから、彼は自分の曲が実際にライヴで演奏されてから初めて耳にするのよ。すごい才能だった。そんな彼を失ってとても辛かったし、彼がこの世から去ってしまったことが、ただただ悲しかった。彼は、いま私が自分の曲で何をしたいのかちゃんと理解してくれていて、すぐにでも一緒に制作にとりかかろうとしていたところだったのよ。

今回も演奏に参加しているギタリストのガレス・ディクソンは、復活後のあなたが特に親しくつきあってきた音楽家ですが、彼との出会いの経緯や、彼の音楽家としての魅力について教えてください。

VB:『Lookaftering』リリース後、最初のライヴで伴奏してくれるギタリストを私が探している時に、これもまた〈FatCat〉がガレスのことを教えてくれたの。彼はとても洗練されたギタリストで、彼自身の曲もとても美しいのよ。彼は私の曲を繊細にとりあつかい、理解してくれるし、私が何を言わんとしているかもわかってくれるから、本当に助けられたわ。私たちは、ふたりとも楽譜が読めないから、お互いに発達させた私たちだけの音楽言語があるんだけど、他のミュージシャンたちが聞いたら笑ってしまうでしょうね。私たちだって、自分たちのことを笑っているし。

アルバム・ジャケットの絵は、今回もあなたの娘さんのウィン・ルイスが描いています。彼女の絵は、あなたの音楽にも刺激を与えているようですね。

VB:『Lookaftering』と今回の『Heartleap』に使った絵は、それぞれのアルバムの制作が終わるずっと前にウィンが描いていたものなの。どちらも、とても力強いイメージよね。『Heartleap』のジャケットに使った絵は「Hart's Leap」というタイトルで、しばらくの間私のパソコンのデスクトップの写真にしてたものなの。今年の頭頃、それを見つめていた時に、今作の最後に収録されているアルバム・タイトル曲「Heartleap」が浮かんだの。彼女の絵をアルバムのジャケットに使わせてもらうだけでなく、絵のタイトルも盗んで「Heartleap」という言葉に作り変えさせてもらえた私は本当にラッキーだわ。

ここで、昔のことについても、質問させてください。レコード・デビュー時のプロデューサー、アンドリュー・ルーグ・オールダムとは、どうやって出会ったんですか。

VB:1965年に、母の友人の女優さんが主催するパーティーで歌ったことがあったんだけど、アンドリューを知っているエージェントがたまたまその場にいた。彼女は、アンドリューが私の曲を気にいるかもしれないと思い、彼に紹介してくれたの。そして、その機会を与えてくれた彼女の事務所で、アンドリューを前に歌った。そしたらアンドリューは、ミック・ジャガー&キース・リチャーズの曲“Some Things Just Stick In Your Mind”を私が歌ったものをシングルとして出したいと言ったの。でも私は、自分の作品を録音したかった。だからそれ(“I Want To Be Alone”)がB面に入ったの。とてもわくわくした時期だったわ。

当時アンドリューは、第二のマリアンヌ・フェイスフルやフランソワーズ・アルディのような路線を狙っていたように見えますが、あなた自身はどうだったんですか。

VB:実は、そういう風に見られていたなんて、だいぶ後になるまで私自身は気づかなかったの。私を、アンドリューのマネージメントを離れたばかりのマリアンヌ・フェイスフルの代理だとメディアが書いていたのを見たときは、とても落ち込んだわ。当たり前でしょ。実際いまだって、彼女の名前が出てこない私のインタヴュー記事なんて、ほとんどないんだから。

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当時メディアが書いたような、子供向けの童謡などではなく、その時代のドキュメントだと彼らは理解してくれたの。発売当時は誰も感じとれなかったものを、いまの若い人たちが身近に感じとってくれる様子に、私はいつもびっくりさせられるし、うれしく思うわ。

デビュー当時の“スウィンギン・ロンドン”の雰囲気は、当時のあなたにとって心地よいものではなかったんですか。

VB:いいえ、そういうわけじゃない。他に類のないくらいインスピレーションが旺盛で創造性に富む時代だったわ。大好きだったし、関わっていたかった。ただし、他人の音楽ではなく、自分の音楽でね。たとえミック・ジャガーやキース・リチャーズの曲だったとしても、自分の音楽として関わっていたかったの。

その後、恋人のロバート・ルイスと共に、馬車で長い旅に出ました。スコットランドのルイス島のヒッピー・コミューンのことなど、たくさんの思い出やエピソードがあるんでしょうね。

VB:あの当時のことを話すには、一週間はかかるわ! 自分でも、書き留めたいとは思っているのよ。1968年のロバートとの旅物語は、私の次のプロジェクトね。私たちは、自由という夢を追って、家族や他の全てを捨て、ロンドンを離れたの。音楽業界で突き進むことに失敗したんだと思い至り、そこから離れたかった。もう録音なんかするまいと。でも曲は書き続けたわ。デビュー・アルバム『Just Another Diamond Day』に収録された曲のほとんどが、その旅のことだった。

その『Just Another Diamond Day』は、フェアポート・コンヴェンションやニック・ドレイクなどを手がけていたジョー・ボイドがプロデュースしましたが、彼とのとの出会いの経緯は?

VB:彼は、例の馬車の旅の途中、ちょっとロンドンで身を休めていたときに知り合った友だちの友だちだったの。私は、彼に会いに行って、何曲か歌ったわ。私たちがスコットランドの西海岸にあるルイス島までたどり着いて馬車の旅を終えたら、彼はその曲をアルバムとして制作すると約束してくれたの。彼は約束を守り、翌年(1969年)私たちはロンドンでレコーディングをしたのよ。

でも、『Just Another Diamond Day』をリリースした後、突然、音楽活動を止めてしまいましたよね。メディアにひどいことを書かれて失望したから、と聞いたことがありますが。

VB:その通りよ。アルバム制作からリリースまで、時間がだいぶかかり、リリースされた頃には自分の中で多くのことが変わっていて、作品は意味を失っていた。そして、メディアでも、子供の童話のようにとても軽くて、取るに足らないアルバムと評価された。私にとって、とても難しい状況だったわ。だから、再びレコードを作ったことは間違いだった、もう二度とやらないと自分に言い聞かせたの。それから長いこと、決してギターを手にしなかったわ。

そして1990年代、若い音楽家たちの間で『Just Another Diamond Day』が再評価されはじめました。それを知ったときの気持ちは?

VB:あの作品の価値をわかり、周囲にも広めてくれるような適切な人たちに私がやっと出会えたのは、2000年にアルバムを再発したときだった。『Just Another Diamond Day』は、当時メディアが書いたような、子供向けの童謡などではなく、その時代のドキュメントだと彼らは理解してくれたの。発売当時は誰も感じとれなかったものを、いまの若い人たちが身近に感じとってくれる様子に、私はいつもびっくりさせられるし、うれしく思うわ。

そういう若手音楽家、たとえばディヴェンドラ・バンハートやアダム・ピアースなどと自分のあいだには、どういう点で共通性を感じますか?

VB:ちょっと難しい問題ね……ただ彼らは、私の若い頃とは違って、精神的な強さを持った人たちだと思うわ。

復帰作『Lookaftering』の“Wayward”では、「自分は家を守って炊事や洗濯ばかりして過ごす人間ではなく、ブーツを埃まみれにしながら、気ままに果てしない道を旅する人間になりたかった」と歌ってました。隠遁後の主婦生活では、いろんな葛藤があったんでしょうね。

VB:そうね……あの曲は、家庭生活と自分の抱いていた夢のあいだに生じた葛藤の日々のことを書いたものなの。『Just Another Diamond Day』を作っている頃に最初の子供を授かり、その後の家庭生活では、もちろん我が子たちを溺愛していたけど、なんとなくいつも、自由な旅路に憧れていたのね。とくに、子供の学校生活がはじまった頃はね。

その主婦生活の20数年間は、音楽からは完全に離れていたんですか?

VB:そうね。それ以上の年月だったわ。ほとんど他の人の音楽を聴かなかったし、子供にも歌ってあげなかった。音楽的な要素のない教育を子供にしてしまったことは後悔しているわ。

前述どおり、今回の新作は、正式デビュー前の歌に近い印象を受けます。それはつまり、あなたはプロ歌手になる前から現在までずっと、ひとつの確固たる音楽的イメージや世界観を持ち続けてきたということなのかも……とも思うんですが。

VB:その通りよ。ほとんどの場合、その曲がどうあるべきなのかという自分だけのアイデアだけが頼りだし。つまり、自分の頭のなかでどう聴こえるかってことよ。初期の作品は、ギターだけでできたシンプルな構成だった。だってそれしか弾けなかったから。さっきも言ったけど、私は楽譜が読めないから、曲のアレンジはイメージできても、頭のなかにあるだけだったの。いまは音楽用ソフトとキーボードのおかげで、これまで考えもしなかった音楽構成を実現することができるわ。でも、昔同じことができたとしても、きっと最近の作品にかなり似たものだったでしょうね。

最後に、ヴァシュティという素晴らしい名前をつけてくれたご両親について教えてください。

VB:そうね、すごくユニークな名前を授けてくれたと思うわ! 私の兄と姉の名前は John と Susan で、普通のイギリス的名前なの。Vashtiという名前は、聖書に出てくる“気難しい”女性の物語に由来しており、最初は母のニックネームとして、次に父のヨットの名前として、そして最後になぜだか私に名づけられたの。私のファースト・ネームは Jennifer なんだけど、 Jennifer と呼ばれたことはないし、いつも Vashti だった。私の両親は素晴らしい人たちだった。ずっと昔に亡くなってしまったけど、もちろんいまも、いつも彼らのことを思っているわ。

死の黒は春の黒へ - ele-king

 現〈アンチコン〉を代表するビートメイカー、バスが、今年発表したEP『オーシャン・デス』でみせた意外な展開──ダークでミニマルなテクノ──は、音楽のモードばかりでなくもうひとつの“モード”にも接続した。〈ディオール・オム〉2015年春のビデオ・ルックブックのサウンドに、そのタイトル・トラックである“オーシャン・デス”が起用されたのだ。
 デイデラスの寵愛を受けるLAビート・シーンの鬼っ子、といった説明はすでに過去のものになっているが、当時もいまも、「どこか」のジャンルに繰り入れられることなく、アーティに、かつポップに、そしてオリジナルなフォームのもとに独自の世界をひらいてきたバスが、ファッションとの交差においてするどい緊張感をはらみながら魅せる音の色は、『オブシディアン』(2013)から引き継ぐ黒。3人の男たちのまとうディオールからは、そのつややかな黒をやぶって萌えいづる春の色がのぞいている。パリのクリエイティヴ・ユニットM/M (Paris)によるデザインが完璧なフレームを提供する、この欠けるところなきヴィデオをご覧あれ。



 Dior Homme 2015年春ビデオルックブックのサウンドに、Baths「Ocean Death」が起用されました!!

 ビデオに登場する、モデル達が佇むモジュラー式シーティングのデザインはビョークやカニエ・ウェスト、そして数多くのビッグメゾンとコラボレーションをした、パリを拠点に活動するクリエイティヴ・ユニットM/M (Paris)(エムエムパリス)によるもの。

 コレクションの世界を象徴するBathsの曲“Ocean Death”のエネルギッシュなビートにのって映像ははじまります。

■詳細
https://www.dior.com/magazine/jp_jp/News/アーバン-ミックス

■Baths『Ocean Death』

リード楽曲


ライヴ映像 (収録曲「Ocean Death」パフォーマンスは12分50秒から)



Baths
Ocean Death EP

Anticon / Tugboat

TowerHMVAmazon

作品詳細

https://www.tugboatrecords.jp/4912

・発売日:2014年07月16日発売
・価格:¥1,380+tax
・発売元: Tugboat Records Inc.
・品番:TUGR-015
・歌詞・対訳・対訳付き

■Baths
 LA在住、Will WiesenfeldことBathsは現在25歳。音楽キャリアのスタートは、両親にピアノ教室に入れてもらった4歳まで遡る。13歳の頃にはすでにMIDIキーボードでレコーディングをするようになっていた。あるとき、Björkの音楽に出会い衝撃を受けた彼は、すぐにヴィオラ、コントラバス、そしてギターを習得し、新たな独自性を開花させていった。大傑作ファースト・アルバム『Cerulean』は、LAのanticonよりリリースされインディ・ロック~ヒップホップリスナーまで巻き込んだ。満を持して2013年にリリースしたセカンド・アルバム『Obsidian』はPitchforkをはじめ各メディアから高い評価を得た。いまもっとも目が離せないアーティストと言ってもけっして過言ではない。


Scott Walker + Sunn O))) - ele-king

SCOTTO))) なる筋書き
Side:Sunn O)))倉本諒

 今年の春頃に「SCOTTO)))」とロゴのみのヴァイラル効果を狙ったウェブ・ページが〈4AD〉から表れ、音楽メディアを騒がせた。サンによる毎度スキャンダラスなコラボレーションは今回も大きな波紋を呼ぶのだろうか?
 その時どきの時代性を射抜く先駆的なコラボレーションを企ててきたサンは、もちろんドローン・メタル/パワー・アンビエントのバンドであるわけだが、僕はそれ以上に彼らをある種のカルチャー・ムーヴメントの立役者として捉えてきた。

 ヘヴィ、またはラウドと呼ばれるような音作りにおいて、その筋から絶大な信頼がおかれているアンプ──サン(sunn)だ──によって壁を築き、そのいまはなきメーカー・ロゴをそのままバンド名に冠し、カルトな垂れ流しドローン・ロック・バンド、アースへのトリビュートを謳うパロディ・バンドであったサン。彼らをはじめてコンテンポラリーな存在に仕立てたのは、2003年に発表したアルバム『White 1』でのジュリアン・コープとのコラボレーションだ。
 バーニング・ウィッチ(Burning Witch)、ソーズ・ハンマー(Thorr's Hammer)等で、ひったすらに重い、遅いメタルやハードコアを追求してきたスティーヴン・オマリーとグレッグ・アンダーソンがたどりついた、「スピードは死に、それでも地を這うメタル・リフとフィードバッグが延々とアンプから垂れ流される」という境地をカンテラの明かりで照らすようなジュリアンの朗読が冴える“マイ・ウォール”はいまも秀逸な響きを放っている。

 今回のスコット・ウォーカーとのコラボレーション『サウスト』を聴きながら、これまでのサンのコラボレーションに思いをめぐらせ、10年以上も前のジュリアンとの曲を振り返り見えてくるバンドの原点、それは舞台装置としてのサンだ。

 圧倒的な数のヴィンテージ真空管アンプとスピーカーの壁から放射される、まさに振動としての音波、やりすぎなスモーク、全身に纏うローブ、ギター・ミュージックの究極形にあるアンビエント化したロック・サウンド。舞台装置としてのサンのコンセプトは完成されている。それは文字通りショウとしての、エンターテイメント/見世物としてのロック史の、黒いパロディのようでもある。
 今回その舞台で披露された演目は、スコットとの、さながら『ファントム・オブ・パラダイス』のような悪夢のロック・オペラだ。フランスの舞台演出/美術家、『こうしておまえは消え去る』のジゼル・ヴィエンヌによるビデオ・クリップも発表され、ゴシックな舞台を彩っている。そもそもスティーヴンとピタによるKTLは当初ジゼルの演劇作品『キンダートーテンライダー(Kindertotenlieder)』の舞台音楽としてキャリアをスタートさせているわけだし、どうにも彼らはこういう方向性に強いようだ。
 10年以上前の“マイ・ウォール”でジュリアンがスティーヴンとグレッグの紹介を読み上げるセリフから、今回のスコットとのコラボレーションまでが、サンによる壮大なバンド活動計画の脚本のうち、とすら思われてしまうほど説得力を感じてしまう。

 過去のさまざまなアーティストたちとのコラボレーション同様、この作品が音楽のみならず、映画やファッション、現代美術など異なるフィールドを振動させてくれるのが楽しみである。

倉本諒

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ホラーと笑いのロック・オペラ
Side:Scott Walkerブレイディみかこ

 お。ポップになったじゃん。
 という表現が適切かどうかは不明だが、サンO )))と組んで聴きやすくなるアーティストというのもスコット・ウォーカー以外にそうはいないだろう。
 異色のコラボと言われるが、UKでは「すごくわかる組み合わせ」「もう音が想像できる」みたいなことが何カ月も前から言われてきた。思えば、スコットの前作『ビッシュ・ボッシュ』にもへヴィでオカルトなメタルっぽい音色はあったし、でも肉切り包丁を擦り合わせてきーきー言わせてた音がギターの音に変わったのだから、それはやはりポップになったのだ。が、だからと言ってスコット・ウォーカーとサンO )))のコラボに、ルー・リードとメタリカの『Lulu』のようなものを期待してはいけない。本作に比べれば『Lulu』はワン・ダイレクションのベスト盤のようなものである。
 わたしはだいたい音楽と名のつくものは何でも好きだが、一つだけどうしても駄目なのがメタルであり、のべつ幕無しギャーギャーわめくものが嫌い。という性格的なものだろうが、サンO)))の場合はわめくというより、唸ったり轟いたり歯ぎしりしたりという幅広い表現を追求しているのでスコットの声とは絶妙に合う。60年代には低音の魅力で売ったスコットも、前衛音楽に移行してからは妙な緊迫感のあるテノールを前面に出しており、本作は冒頭からまさにロック・オペラのようだ。
 スコットの音楽は映画的とも言われるが、たとえば、彼の『ティルト』以降のアルバムがタルコフスキー的だとすれば、本作はケン・ラッセルのロック・オペラ『トミー』だ。あれももともとはザ・フーのアルバムだったのに、ケン・ラッセルが映画化した途端にイロモノになったというか変なことになったが、スコット・ウォーカーもサンO)))と組んだ途端に変なことになった。ここでの彼は難解で崇高な芸術家ではなく、いい感じに力が抜けてイロモノ化している。

 歌詞にもそれは表れている。ああ見えて彼は以前からこっそり歌詞で笑わせることで知られていたが、『サウスト』ではそれが炸裂している。‟ブル”のソニック・ホラー風の緊迫した曲調でいきなり「leapin’ like a river dancer’s nuts(リバー・ダンスの踊り手の睾丸のように跳ね回っている)」などと歌われると、ぴょんぴょん跳ねながらアイリッシュ・ダンスを踊っている白タイツの男性を想像して吹きそうになったのはわたしだけではないだろうし、マーロン・ブランドが題材という‟バンド”でバシッ、バシッと鞭のパーカッションを使いながら「A beating will do me a world of good(ぶってくれたらとても僕のためになるのだけれど)」と劇的に歌い上げるのもナイスである。スコットは2008年にサンO)))からコラボの申し入れがあったときには断ったが、しっかりそれを覚えていてコラボ用の曲を書き溜めていたというのだから、きっとやりたくてウズウズしていたんだろう。

 2012年の『ビッシュ・ボッシュ』のレヴューを読み返していて、「スコット・ウォーカーはコードとディスコードの間にあるもやもやとした部分を追求している。この未知の領域は人間を不安にさせる。この不安に比べると、恐怖はまだいい。ポップだからだ」と自分で書いていたことに気づいたが、まさに『サウスト』の彼は、さらなる「不安」の探究を休み、よりポップな「恐怖」をやっているように思える。きっと彼はサンO)))という、それを形にする最高のパートナーを見つけたのだ。

 こうなってくると、気になることがある。それは、デヴィッド・ボウイやブライアン・イーノを羨望させたレジェンドが、このノリでつるっとステージに立ったりするのではないかということだ。そういうことを期待させるぐらい、本作のスコットは弾けている。そしてタルコフスキーよりケン・ラッセルのほうが100倍ぐらい好きなわたしにとり、本作は今年もっともチャーミングなアルバムだったと言ってもいいほど怖くておかしい。

ブレイディみかこ

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