「Dom」と一致するもの

「FREEDOMMUNE 0<ZERO>」 - ele-king

 ホワイト・ハウス、灰野敬二、非常階段、EYE、メルツバウ......これは英『WIRE』誌の表紙でもオール・トゥモローズ・パーティでもありません......ドミューン・フェスの出演者のいち部です。「ある意味オールスターだね!」と宇川直宏に言ったら「ある意味じゃなくて、オールスターだよ!」と言い返されました(笑)。まだまだこの後も出演者の発表があるようなので、気を抜かないように。

 よく人から「どうしたらドミューン・フェス(「FREEDOMMUNE 0<ZERO>」)に入れるんですか」と訊かれるんですけど、すでに先行予約は終了してしまったので、いちばん確実なのは本を買うことです。三田格編集長による公式ガイドブック『DOMMUNE オフィシャルガイドブック-1st[初回版]』を購入すれば入場券が付いています!
 その本の値段は......1575円です(この金額の入場料でジェフ・ミルズや富田勲やフィッシュマンズやDJノブなどが聴けると思っても破格でしょ?)。WEBサイトから予約できます。
 入場券付きの初回版はもちろん限定です。フェスに行きたいという人、悪いことは言わないから、お早めにどうぞ!! 

↓出演者やフェスの詳細、本の内容はこちらを。それじゃ、8月19日に川崎で会いましょう!!
https://www.dommune.com/freedommunezero/

 「ele-kingキャンペーン」も開催中のタワーレコード新宿店にて、「ele-king vol.2」の刊行を記念したトーク・イヴェントを開催します。
 野田&松村の紙ele-king編集チームに加え、今回はチルウェイヴの伝道師として「ele-king」でも多数の記事を執筆している橋元優歩さんが登場。

 「ele-king vol.2」発売記念トークショー
・出演者:野田努、松村正人+橋元優歩
・日時:2011年7月22日(金) 19:00~
・場所 タワーレコード新宿店9F NEWAGEコーナー 【観覧フリー】
・【お問い合わせ先】 TOWER RECORDS新宿店 03-5360-7811

 タワーレコード新宿店にて「ele-king vol.2」をお買い上げの方に特典引換券を配布いたします。トーク終了後、引換券をご持参のお客様には特典をプレゼント。
*引換券は無くなり次第配布終了となります。

・出演者の都合により、内容等の変更・イヴェント中止となる場合もございますので予めご了承下さい。
・対象商品の不良品以外の返品・返金はできませんので予めご了承ください。
・特典引換券をお持ちの方にイヴェント終了後、特典との交換をさせて頂きます。
・特典引換券はイヴェント時のみ有効とさせていただきます。特典のお取り置き等は出来ませんので、予めご了承下さい。
・特典引換券を紛失 / 盗難 / 破損された場合、再発行はいたしませんのでご注意下さい。
・イヴェント中は、いかなる機材においても録音 / 録画 / 撮影は禁止となっております。



Alfred Beach Sandal - ele-king

 アルフレッド・ビーチ・サンダル(以下、ABS)の音楽性を説明するとしたら、とりあえずは、シャムキャッツの夏目知幸による「カリブ海のキャプテン・ビーフハート」というコピー以上に的確なものはないだろう。あるいは、元〈ロウ・ライフ〉の浜田淳が編集人を務める『音盤時代』創刊号に二見裕志が寄せていた、70年代後半から80年代前半にかけて、プログレッシヴ・ロックのアーティストたちが、インプットをそれまでのジャズや現代音楽からワールド・ミュージックに、アウトプットを"重く暗い"ものから"軽く明るい"音楽へ切り替えたことについてのテキスト「トロピカル洞、その陰と陽」がそれを代弁してくれる。曰く、「この距離感、遠い異国のフレーズを自前の楽器で奏でることの快楽と違和感がないまぜになった確信のなさが、ぼくにはとても重要に思える。それはぼくの距離感でもあるからだ。照明や家具、さらにはカーテンの柄を変え、BGMの音楽を変えたところで、ぼくの生活は依然としてきのうのままなのだ」。

 ABSは北里彰久のソロ・ユニットで、この『いつかの、カリプソ』がデビュー・フルレンスになる。ちなみに、前身のバンド、モグサ・デルタは、サン・シティ・ガールズが『トラウト・マスク・レプリカ』をカヴァーしているような、ノイジーなローファイ・ファンクだったが、本作では、以前までディストートしていたエキゾティシズムへのこだわりを、よりアコースティックに表現することで、解放的な響きを獲得している。しかし、それは、"本物"に近付くのではなく、むしろ、変態性が露になったという意味で、だが。

 ただし、北里とドン・ヴァン・ヴリートが違うのは、バックのマジック・バンドが決して奴隷ではないということだ。それどころか、日々、セッションを繰り返し、複数のユニットを掛け持つ彼等のコミュニケーションの残像は、実に健康的なシーンのようなものさえ浮かび上がらせつつある。メンツを順に紹介すると、まずは、スティール・パンとトランペットでMC.sirafu。インディ・ポップ・シーンの顔役として知られるこの髭面の男は、コンテンポラリー・エキゾチカ・ロック・オーケストラこと"cero"や、NRBQとスライ&ザ・ファミリー・ストーンが合体したような"片想い"、中川理沙とのデュオ"うつくしきひかり"等、そのバイオグラフィーを書き出すだけで、ちょっとしたフェスティヴァルのようだ。次に、ベース、ギター、ピアノで伴瀬朝彦。ハートボイルドだが、チャックを閉め忘れているようなチャーミングさもある"アナホールクラブバンド"を率いる他、前述した"片想い"や、フランク・ザッパの意思を受け継ぐ"ホライズン山下宅配便"等、癖のあるバンドに名前を連ねている。そして、ABSのマス・ポップとでも名付けたくなる複雑なサウンドの要を担うドラムは、フリーフォームなプレイで注目を集めている一樂誉志幸。他にはサックスで遠藤里美、トロンボーンで川松桐子も。ちなみに、レーベルはイベント・スペース〈七針〉が運営する〈鳥獣虫魚〉で、八丁堀のオフィス街の地下にある、この、まるでアジトのような空間は、mmm、王舟、oono yuuki、麓健一といったモダン・アシッド・フォーク・ミュージシャンが出入りするライヴ・ハウス、またはスタジオでもあって、本作の楽曲の多くもここでレコーディングされている。コンクリートの下で、南の国を夢見ながら。

 それにしても、ceroの『world record』、アナホールクラブバンドの『泥笛』、ヴィデオテープミュージックの『Summer of Death』......と、この周辺で、屈折したエキゾティシズムがリアリティを持ちつつあるのは、一体、どういうことなのだろうか。とりあえず、この、変拍子に乗せて少年のような声で歌われる、何処かの国のいつかの物語は、放射性物質が降り注ぐプールサイドよりも、節電の要請を無視して、寒いぐらいクーラーをかけた部屋がよく似合うのはたしかである。こんな国に、こんな時代に関わりたくないんだ、とばかりに爆音で鳴らすことにしよう。

interview with Takeshi "Tico" Toki - ele-king

 数年ぶりの国立。駅は改装中だった。
 土生"Tico" 剛は「腹減ったからカレー食べる」と言った。僕はビールを頼んだ。ウェイトレスのお姉さんは土生君にも「お飲み物は?」と訊いたが、彼は「水があるからいい」と答えた。「もったいないし」......。
 『太陽と花嫁』は日々の暮らしに必要とされるであろう愛を誘発する音楽だ。アルバムにはいろんな愛が詰まっている。
 6月後半の曇天の昼下がり、国立の古くて品が良い喫茶店で、土生"Tico" 剛と会った。

家族は早めに九州に逃がして、俺は家にひとりでいてテレビ見ていたの。そんで頭おかしくなってきたから、ちょっと自然のヴァイブスを取り戻そうと思って、温泉に行って、そこで冷静に考えたの。


LITTLE TEMPO
太陽の花嫁

PヴァインE王

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さっそくだけど、今回も良いアルバムで......、素晴らしかったですよ。

土生:ヤーマンっす。

聞いた話だと、レコーディング中にちょうど地震があったんだって?

土生:そうだね。制作期間中にそれがあって。

どんな感じだったんですか?

土生:それね、録音してるときじゃないけどね。その日にリハーサルがあって、で、俺は外で弁当食おうと思って...食おうと思った瞬間に来て。

外で弁当食おうと思った瞬間というと?

土生:立川の警察署に出頭してて。

ハハハハ、なんで?

土生:罰金のカネ払わなくて、呼び出し食らってたの。

なんの罰金?

土生:交通関係。

あー、交通関係。

土生:で、その帰りに国立で腹減ってたからカキフライ弁当大盛り買って食べようとした瞬間に、ガーっと(地震が)来て。カキフライ2コ落ちたんだよ。夜にリハーサルだったから、がんばってスタジオに行ったんだけど、誰も連絡取れずで。

携帯繋がらなかったからね。

土生:ものすげー時間かかったね、スタジオまで。で、誰も来るわけないよね。電車もストップしてるから。(田村)玄(一)さんは車でスタジオに向かったらしんだけど、すごい渋滞で途中で断念して、結局家に帰るまで8時間かかったって言ってた。

スタジオは遠いの?

土生:吉祥寺だから近いんだけど。

じゃあまあそんなに。

土生:スタジオにポツリとひとりで、ふと、俺も練習してる場合じゃねぇじゃんと思って、また2時間ぐらいかけて帰ったの。

リハっていうのは、もうアルバムを録音しはじめていたの? 録る前の段階?

土生:録る前の段階で、リハして良い感じになった曲は録っていって、また次の2~3曲をリハして録音するって感じで、いっきに全曲録るわけじゃないんだよね。震災前に録音してた曲も、もちろんあるよ。

途中だったんだね。だいたい完成まで、どのぐらい残していたの?

土生:半分ぐらいかなぁ。

半分ぐらい。

土生:震災直後でパニックだったから、いろいろメンバーと話したんだけど、「こんなときだから逆にやりましょう」みたいな。熱い想いがメンバーそれぞれにあったね。

心強いね。

土生:そうそう。あらためて契りを交わしたんだよ。ちぎり......。

福島第一原発の影響は?

土生:もちろんあったよ。家族は早めに九州に逃がして、俺は家にひとりでいてテレビ見ていたの。そんで頭おかしくなってきたから、ちょっと自然のヴァイブスを取り戻そうと思って、温泉に行って、そこで冷静に考えたの。

なるほど。そういう大きなことがあったから、当初予定されていたものとは違った箇所が出て来きたと思うんだけど、どうなんですか?

土生:いや、自分ではわからない。たぶん意識していなくても、音に出ているんじゃないかと思うんだけど、とくに意識して何かを変えたってこともないから。

あらかじめ曲は決まっていたから?

土生:そう、年明けに、たこ焼きパーティしながら、みんなでデモテープを聴いて。2月は練習して、アレンジして、で、良くなって来たら録音するって流れになってた。

じゃあ、やることは決まっていたんだね。

土生:そう。

とくに何か変えようとは思わなかったんだね。

土生:ただ気持ち的には強くなったね。みんな。

ああ

土生:だから音にも、そんなところが出てるんじゃないかなと思うんだけど。

『太陽の花嫁』っていうタイトルも決まっていたの?

土生:決まってない。

それはあとからなんだ。

土生:うん、曲名はいっさい決まってなかったから。

あー。

土生:最後の最後まで。

なるほどね。

土生:デモの段階では曲名を決めないんだよね、言葉でイメージが固まっちゃうから。どんどんセッションしてくなかで変わっていくものだから、曲は。

で、どうして『太陽の花嫁』っていうタイトルにしたの?

土生:究極の幸せっていうか、愛......溢れ出る愛。太陽は生命の源だしね。

まあそうだね。生命の象徴というかね。

土生:そうなの。

曲名も土生君がつけるの?

土生:いや~、曲名で俺の出番はないよ。リトテンは曲名の検閲が厳しくて。

民主制だから(笑)?

土生:そうなんだよ。なかなか通らない。とにかく曲名決めるのが難関で、曲作るよりたいへんだっていう

でも、さすがに今回は満場一致だった?

土生:そうだね。泣いてたね、みんな。号泣してたね。

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『太陽の花嫁』っていうタイトルは、究極の幸せっていうか、愛......溢れ出る愛。太陽は生命の源だしね。


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太陽の花嫁

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リトルテンポって、すごくキャリアがあるバンドで......。へたしたら結成して20年ぐらい経っているでしょ。

土生:余裕で経っているね。学生の頃にいっしょにバンドやってた連中もいるからね。

92年に結成だっけ? ラティチュードが1995年ぐらいでしょ。

土生:かなー。その前にシングルを出してるんだけどね。

まあ、とにかくそのぐらいのキャリアがあるわけだけど、アルバムも10枚以上出してるし。で、『山と海』(2008年)以降、なんかすごく吹っ切れた印象受けるんだよね。

土生:うん。

それまでのアルバムも俺はみんな好きなんだけど、『山と海』より前は、アルバムごとに工夫しているというか、初期の頃はヒップホップの影響が強いし、『ケダコ・サウンズ』(2001年)の頃は、こういうこと言うと嫌がるかもしれないけどラウンジーな感じもあるし、『スーパー・テンポ』(2005年)の頃はもっと躍動感が強調されている感じがするんだけど、『山と海』からは、タイトルが象徴的だと思うんだけど、削ぎ落とされた感じがあるんだよね。あえてベタな言葉を使っているというか。

土生:敢えてってこともなくて、自然に出てくるんだよね。

そこはやっぱ、何か吹っ切れたってところじゃない?

土生:そうだね。うん。

どういう部分が。

土生:自然でいいんじゃないかなっていう。何かこう大きな野望を抱いてとか、「ブチかましてやる」とかって感じじゃなくて。自然体でいたいな。

その前は野望があったの(笑)?

土生:野望あったよ。紅白歌合戦に出演するとか(笑)。

過去の作品を聴き直すと凝っているんですよ。

土生:すごい凝っているね。あの時代はサイケだった。

なぜ『山と海』になったの?

土生:自然そのものに憧れてたね。街を否定するわけじゃないけど、いちばん必要なのは、ありのままの自然。ベタだけど、俺、ホントにそう思うんだよね。自然のなかで遊ぶのが好きなの。本来は自然といっしょに生きているわけだけど、都会で生活していると人間本来の感覚が麻痺してきちゃうんだよ。だから、なるだけ山と海に行って遊びたいなっていう気分だった。

そういう、自然のままでやる、ありのままの自分たちで良いって、言葉でいうのは簡単だけど、実際にやっていくのって、また別のことだと思うんだけど。

土生:何も考えていない。考えていたらできないから。感覚じゃない。

それは経験から来るものなのかな?

土生:そう、みんなそういう感覚だと思う。言葉じゃない世界。

録音がやっぱ違うと思った

土生:そうだね。スタジオや録音の仕方で変わる部分は大きいと思うけど、結局、精神的な部分が大きく作用するよね。

そこはミュージシャンが鍛えられていくってことなんだろうね。

土生:日々、修行です。

曲は土生君が作ってるんでしょ? どんなふうに?

土生:俺ね、ゼロワンっていう時代遅れのキーボードがあって、16チャン打ち込めるのよ。それで、ベースラインだったり、リズムだったり、あとメロディだったりを軽くスケッチしておいて、で、そういうスケッチがいっぱいあるのよ、俺。

へー

土生:そのなかで、イケてるなと思ったヤツを育てるわけ。で、ある程度まで自分で育てたら、みんなのところに持って行って、曲を育ててもらうの。

そのスケッチっていうのは日常的にやってるの?

土生:毎日、定期的にはできないよ。突然の合コンもあるからね(笑)。

ふーん。

土生:だからアレだよ、理論とか楽典みたいなので作っている人がいるかもしれないけど、俺はまったくそういう部分で作らないから。なんだろうな......ホントに......言葉では言えないね、それは。

ああ。

土生:そんな高度なことをやってるつもりはぜんぜんないけど、とにかくイメージが膨らんでいくだけだからさ、いかにそこを広げるかって作業だね。

『太陽の花嫁』は最近のスケッチを編集したって感じなのかな?

土生:いや、昔にできてた曲もあるし、1年なのか2年なのか、その期間はわかんねぇな。

まあとにかく、土生くんの毎日の、その気分になったときのスケッチがベースにあるんだね。

土生:今回にいたるまで、いろんな人とセッションして、そんななかで曲が生まれたってこともあったし、アルバム用に新たに作ったヤツもあるし、すべて流れだね。

作り方に変化はある?

土生:変わらない。

変わらないんだ。

土生:うん、ぜんぜん変わらない。昔からデモ作るのはゼロワンだし、楽器弾きながやることが多いね。リズム流して、ベース弾いたり、パン叩いたり、ギター弾いたり。

もともとはギターだもんね。

土生:そう、サイコビリー。

ちょっと話しが戻るんだけど、福島第一原発がボカーンといったとき、けっこうミュージシャンみたいに自由に移動できる立場の人で東京離れた人は多かったじゃん。土生くんはそのときどう考えてた?

土生:俺はぶっちゃけ、仲間のいるところからは逃げられなかった。自分だけそうゆうことはできなかった。ただ、家族は避難させたよ。まだちっちゃい子供がいるから。放射能ヤバいから。でも俺はレコーディングを延期する気はなかったし、やりたくねぇってヤツがいれば、そうしたけど、そういうこと言う人はいなかったからね。

でもミュージシャンという職業なら、わりと移動しやすいわけじゃん。

土生:俺個人で言うと、東京の人間だし、国立で生まれ育っているから、俺のふるさとは多摩、武蔵野なの、だから、そこを簡単に離れる感じではないね。あと俺は東京にいる仲間といっしょに音楽やってるから、それは大事な縁だと思ってるから、その縁を大事にしたいっていうのもあるよ。そこが俺の最大のポイントだね。縁で繋がっていて、金で繋がっているわけじゃないからさ。

曲名の言葉のなかに、そういう......なんだろう、一生のうちに一度か二度あるかないかのような大きな出来事は反映されている?

土生:しているはず。

ああ、そっちではしてるんだ。

土生:自然賛歌だから、リトテンは。

ああ。

土生:どんくらい伝わってるのかわからないけど。"ときめき☆リダイアル"とか(笑)。

はははは、それは自然賛歌とは言えないかもね(笑)。最高の曲だけどね。こういう名曲をおちゃらけたタイトルにするところがリトテンらしいね。

土生:いや、でもね、真剣に考えてみて、片思いの好きな子にリダイアルするときの気持ち、もう忘れてるでしょ? その感じ。

リダイアルって携帯の文化だからね。俺はいまでもときめき☆手紙って感じだから。

土生:そこは融合してるんだよ。現代社会と。

じゃあ、2曲目の"雨の日には"とか、含みがあるんだ?

土生:その先にストーリーがあるからね。雨の日には......野田さんは可愛いギャルとデートしました。相合い傘がとっても楽しかったで~す。とか。

原発問題でいえば、雨の日には恐怖も加わっちゃったじゃない、僕らの日常のなかで。

土生:でも雨は本来綺麗なもんだからね。放射能の雨はイメージしてないね。もっとその先の綺麗な雨をイメージしてるよ。

たしかに曲自体も綺麗な曲だし、それで、"水平線"とか"そよかぜ通り"とか、自然を連想させる曲名が多いんだね。

土生:そう、イメージしてるね。すごくポジティヴに。

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自然そのものに憧れてたね。街を否定するわけじゃないけど、いちばん必要なのは、ありのままの自然。ベタだけど、俺、ホントにそう思うんだよね。自然のなかで遊ぶのが好きなの。

表現者って自分が抱えた重たさを表に出す人と出さない人がいるけど、土生くんは後者だよね。

土生:重たいもの、別にないからね。

はははは、、そんな事ないでしょう(笑)。そこにリトテンの、大袈裟に言えば哲学みたいなものを感じるんだよね。

土生:そんなこと考えてないけどね。

そんなことないでしょ。

土生:そんな暗くないからね、俺。

それは暗い暗くないって......。

土生:うん、わかるよ、言ってる意味は。俺は確実に後者だね。

でも、自分で聴いてる音楽には、そうした重さを出してるものだってあるじゃん。

土生:もちろん。

でも、自分が作る作品は絶対にそうはならないんだよね。

土生:性格じゃないのかな。

ホントに性格的なこと?

土生:だと思うよ。

ますますそうなってる感じもするんだよね。10年前はもうちょっと重たさを出していたじゃん。子供たちに歌ってもらったりとか(VOICES OF FLOWERS )。

土生:だから天然になったんだよね。天然の状態に近づいたんだと思うよ。

はははは。

土生:マジで。

なるほど。

土生:ジャンルもどうでも良くなった。

それは音楽に出てるよね。

土生:ジャンル越えだね。

リトテンの音楽は、もはやエキゾティックに聴こえないんだよね。この国の音楽に聴こえるんだよ。

土生:DNAから発してるからね。

はははは、

土生:俺も演奏で出稼ぎが多いから、日本のいろんなところ行くしさ、そういうところでたくさん自然のヴァイブスや人の情けを受けるからね。

おそらくリトテンが表象している日本とは、そういう日本なんだと思うよ。

土生:東京以外はホントに面白いね、日本。

前も言ってたよね。

土生:そういうエキスが入っちゃってるんだよ。理屈や言葉じゃない世界だね。

土生くんはさ、片目が見えないじゃない。そのことは土生くんのなかでどれくらいの......。

土生:忘れてたね(笑)。片っぽが見えてれば充分じゃねーの。

はははは、去年、こだま(和文)さんが本(空をあおいで)を出したじゃん。そのなかに土生くんの話しが再録されているんだよね。タケシの話しとして。

土生:まあしょうがないよね。自分で勝手にやっちゃった話だから。

こだまさんが、そういうことを引き留めなかった自分を悔やんだって書いてたけど。

土生:無理無理そんなことは。

ふーん

土生:まあでも、半分死にかけたからね。

どのくらい入院してたの?

土生:けっこう入院してたかな。路上に止まって駐車してた車にぶつかったんだけど、すぐに記憶なくなって、その車の人が救急車呼んでくれて。

いい人だったね。

土生:仁義がある、すごくいい人だったね。

相手は大丈夫だったの?

土生:その人は、車から出てたんだよ。

じゃあ、土生くんがひとりで突っ込んじゃったわけか。

土生:そう。

その経験はやっぱ大きかったわけでしょ?

土生:そりゃそうだよ。死にかけたからね。三途の川でバーベキューしてきたよ。

どんな思いだったの?

土生:あんま覚えてねぇかな。

ブライアン・イーノが交通事故に遭って、入院先の病室のベッドのなかで雨の音を聴きながらアンビエント・ミュージックのコンセプトを考えたっていうエピソードがあるけど。

土生:へー、いい話だね。

きっとそういう大きな事故って、音楽で表現している人にとって大きな契機になるでしょ。『ラティチュード』の頃はまだ事故してないでしょ?

土生:いや、『ラティチュード』の頃かなぁ。たぶんその頃だと思う......だったような気が......。頭を強打したんで覚えてねぇな。

それでスティールパンにしたの?

土生:事故ったからじゃなくて、その頃まだ玄さんが正式メンバーじゃなくて、アルバムにゲストで参加してもらったりしてて、俺、パンすごく好きだったけど金がなくて買えなかったんだよね。そんな話したら玄さんが中古で安く譲ってくれて、それが縁で、そっからこう、花が開いていった。

練習はどこでやったの?

土生:家でやってたよ。ぜんぜん問題ないよ。近所のバアちゃんも、「綺麗な音ねぇ~」とか言って、みかんくれたりしてたから。

でも、そういう死にかけたことって、自分にどんな変化をもたらしたと思う?

土生:どうかなー。......まだ余計なこと考えるしね。(小さな声で)合コンしたいとかさ

え?

土生:合コンしたいとかさ!

はははは、またそんなこと言って。

土生:だから事故した当時は煩悩を削ぎ落としていたんだよね。それでも俗世間に戻ってくると、人間とはバカなもので、煩悩が生まれてくるんだ、やっぱり。あれしたい、これしたい......って。

『ロン・リディム』はそう言われると、いちばん澄んでるのかな?

土生:そうかもしれないね。言われてみれば、めっちゃピュアだったかもしれない。

じゃあ、『ケダコ・サウンズ』ぐらいは?

土生:『ケダコ』ぐらいになると、もう煩悩まみれなんだよ(笑)。

そうは言いながら、その煩悩を捨てたときの土生くんも残っているでしょ。

土生:残ってるよ。そのイメージはつねに持っている。なかなかそうはいかないんだけどね。

合コンは照れ隠しでしょ?

土生:なかなか実現しないからね(笑)。

はははは、

土生:ぶっちゃけ、そんな時間ないんだけど。

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俺個人で言うと、東京の人間だし、国立で生まれ育っているから、俺のふるさとは多摩、武蔵野なの、だから、そこを簡単に離れる感じではないね。あと俺は東京にいる仲間といっしょに音楽やってるから。

あと......結婚して、子供ができたっていうことも、リトルテンポを変えた要素だよね。

土生:それは大いにあるね。子供が生まれ、そこでやっぱ愛がでかくなるわけだから。

物事を発するときの足下みたいなのが違ってくるしね。

土生:自分に対しての音楽じゃなくなっちゃうね。若い頃は、自分が心地よいとか、俺がいちばんカッコいいとか、そんなことばっか考えていたんだけど、逆にいま他人を笑かそうとか、楽しませようとか、なんかそういう気持ちのほうがでかいね。

「ワイワイ祭り」もそうだよね。あれも『山と海』以降でしょ。そういうこともぜんぶリンクしてるでしょ。

土生:そうだね。

あれはなぜ「ワイワイ祭り」なの?

土生:あれはもう、人間本来の歓喜を取り戻そうという。

素晴らしいね、それは。

土生:マジにホントそうだよ。だから、ワイワイなんだよね。

ワイワイって?

土生:ワイワイ、ガヤガヤ。みんなでワイニーダンス!

俺、一昨年の日比谷野音でやった「ワイワイ祭り」は行って、すごく楽しかった。
今年はやるの?

土生:今年はリキッドルームで、9月16日(金)に、レコ発とワイワイ祭りをかねてやるから。

今年で何回目?

土生:4回目だね。

また野外でやって欲しいね。

土生:地方でもやりたいけどね。去年は国立でやって、さすがにキャパが狭いだろうって。

ライヴハウスでしょ。

土生:そこがいいんじゃん、超ライブ&ダイレクトで。地元で、みんな一体となって、汗だくになってやるっていうね。


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なるほどね。土生くんは『太陽の花嫁』のなかで1曲選ぶとしら何を選ぶ?

土生:やっぱタイトル曲だね。

ああ。

土生:やっぱいちばん愛があふれてたね。あふれ具合がハンパじゃなかった。みんな泣いてたからね。

今回はこのジャケットにも泣いたけどね。すごく良いよね、この絵。

土生:ジャケットのアイデアはベースの白水(生路)とテレパシー交換して小鳥が出てきたの。タイトルも何も決まってないときにパッと俺の心に飛んできたんだよ。いつもはタイトルが決まってから描くんだけど、今回はタイトルも何も言葉がない状態で、小鳥が出てきたね。しかもそれ......日本画だからね。

いい絵だね。

土生:ベースの白水が描いてるんだよね。希望だね。

たしかにね。じゃあ、最後に月並みで申し訳ないんだけど、読者にメッセージを言ってもらおうかな。

土生:あのー、随時合コン募集中だよ、みなさん。気軽に、現場であったら僕に声をかけてください。

CDを買うように言わないと。

土生:いや、CDはコピってくれればいい。いいんだよ、買わなくたって。金ねぇよ、みんな。だからコピって聴いてくれ。

アナログ盤も出るからね。

土生:そうだよ。若い子は音楽を携帯みたいのばっかで聴いてると耳が腐るから、アナログでいい音を体感してください。

カッティングもロンドンなわけだよね?

土生:あったりめぇーよ(笑)。ケヴィンといっしょにね。間違いないよ、なにせ〈グリーンスリーヴス〉のカッティングやってた人だからね。

それは間違いない。じゃあ、そこには〈グリーンスリーヴス〉と同質の溝が。

土生:そうなんです、刻まれている。ただ、正確な発売日が見えないんだよね。アメリカのプレス工場が混んでいるんだよ。

あ、だっていまUSのインディはアナログばっかだよ。

土生:そうみたいね。

あとカセットテープね。

土生:カセットいいね。俺もそれやりたいな。みんな、デッキ持ってるんですか?

買ってるみたいよ。

土生:俺はずっとカセットだよ。デモテープ渡すのもカセットだし、カーステもカセットだし。炊事はカセットコンロだし(笑)。

それはすごいね。決して贅沢な費用があるとは思わないけど、リッチな音を作っていると思うよ。

土生:気合いがあれば、そんなに金かけなくてもできるんだよね。

そこはやっぱ熟練していくんだね。

土生:そこはやっぱ中央線沿線が鍛えてくれた。だって間違いないもん。俺たちが使っているスタジオも吉祥寺で、もともとは国分寺にあったし。中学でパンクやってたときに、そこで練習してたんだよね。それがいま吉祥寺に移って、録音とリハができる老舗スタジオになっているんだよね。それもやっぱ縁だよ。話し変わるけど、野田さんは配信で聴くの?

基本的には聴かないけど、最近、アメリカのオッド・フューチャーっていって、配信でばっか作品出してるヒップホップの子たちの音楽にハマっちゃって、それを何本もダウンロードしたよ。そいつらの音楽はきっと土生くんも好きだと思うよ。パンクだよ。

土生:そういう風に新しいものが出てくるのは良いことだね。

ホントにそうだね。じゃあ、今日はどうもありがとうございました。

LIVE情報
7月29日(金) 新潟: FUJIROCK 2011
9月16日(金) 東京: リキッドルーム 『太陽の花嫁』レコ発記念LIVE
Info : https://www.littletempo.com/ | https://twitter.com/#!/Little_Tempo

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OUTLOOK FESTIVAL JAPAN LAUNCH PARTY - ele-king

ベース・カルチャー!
――OUTLOOK FESTIVAL JAPAN LAUNCH PARTY イン東京

 世界を席巻するベース・ミュージックの祭典「OUTLOKK FESTIVAL」のジャパン・ローンチ・パーティ、大阪のZETTAI-MU主催の同イベントの同日に、なんと東京でもPART2STYLE主催のもと開催決定!!

 今年で4度目にして既にヨーロッパ中のベース・ミュージック・ファンの話題の的となっているフェス、〈OUTLOOK FESTIVAL(アウトルック・フェスティヴァル)〉。その最大の売りはロケーションと出演者、そしてサウンドシステム。会場は近年新たなフェスティヴァル・シーズンの注目スポットとして盛り上がりを見せるクロアチア・イストラ郡の中心都市プーラにあるプンタ・クリスト要塞跡地(Fort Punta Christo)。18世紀に建造された当時を匂わせる赴きあるステージに加え、地中海を一望できるビーチ、そしてボートステージといった全部で6つあるエリア最高のロケーション、最高のサウンドシステムがさらにそれらを演出する。
 ラインナップもダブステップ、レゲエやダブ、ジャングル、ドラムンベース、グライム、ガラージ、ブロークンビーツ、エレクトロニカなど各シーンのレジェンドからアップカミングまで、300組を越すアーティストたちが出演。ベース・ミュージック・ファンにとっては、まさに夢のような4日間である。すでにチケットはSOLD OUTとなっており、現地ではプレミアチケットとなっている。

 その〈OUTLOOK FESTIVAL〉に今年は日本からGOTH-TRAD、RUB-A-DUB MARKETとPART2STYLE SOUNDの出演が決定した。そして、何とヨーロッパ各国でおこなわれているローンチ・パーティが日本に上陸! 
 西麻布elevenにて7/10(日)のイヴニング・タイムに開催されることが決定した。日本からのクロアチア出演組は勿論、UKからは昨年のO〈OUTLOOK FESTIVAL〉にも出演したオリジナル・ルーツ・ラガMACKA B、世界No.1のレゲエクルーMighty CrownからCOJIE、TCY RADIOなどBASSミュージックの啓蒙を積極的に行う☆Taku Takahashi、ex.Sugar SoulのアイコSUN、朝本浩文、MC CARDZのドラムンベース・バンド、KAM、クボタタケシ、RUMI、約1年ぶりにプレイするG.RINAも出演する。ベース・ミュージックのスペシャリストが揃いぶみ!!
 6時間のパーティーはOPENからCLOSEまで見逃せない内容だ!!

OUTLOOK FESTIVAL
JAPAN LAUNCH PARTY


7/10(sun) 17:00-23:00
Adm ¥2,500 With flyer ¥2,000
At 西麻布eleven
Info : 03-5775-6206

MACKA B (From UK)
GOTH-TRAD
PART2STYLE SOUND
RUB-A-DUB MARKET
COJIE from MIGHTY CROWN
☆Taku Takahashi(m-flo/TCY Radio)
KAM
クボタタケシ
G.RINA
RUMI
CHUCK MORIS
SKYFISH
Eccy
KEN-2DJ
ENDLESS(NEO TOKYO BASS)
MIDNIGHT ROCK

VJ : フジモトカイ
FOOD : 虎子食堂
SHOP : DISC SHOP ZERO

私どものレーベルPART2STYLE自体は日本でしか生まれ得ないようなレゲエ/ダブ/ダンスホール、はたまたどこでもない面白い音楽、カルチャーを軸に展開していて、まだまだ微力ながら今回に関しても東京のクラブにBASS MUSICを定着させたいと思い、開催をすることを決めました。

ATARI TEENAGE RIOT - ele-king

12年振りの新作『Is This Hyperreal?』を引っさげ元祖デジタル・ハードコア!ATARI TEENAGE RIOTが完全復活!フジロックでの来日を目前に控え、過去~現在~未来のアタリを最近新たに発見された秘蔵ライヴ映像と爆裂トークで完全徹底解剖!!!!!!!!!!
さらにアレック本人からのメッセージも上映!!!!!!!
モッシュ&ダイブの熱気を激震体感セヨ!!!!!!!!!!!!!

日時:2011年7月12日(火)OPEN 20:00 / START 20:30
会場:UPLINK FACTORY www.uplink.co.jp/factory/log/004039.php
料金:1000円(1ドリンク付)
内容:ATARI TEENAGE RIOT 秘蔵映像上映 & トークショー
上映映像:過去の秘蔵ライブ映像&PV、最新ライブ映像

トークショー出演者
2DD (Audio Active )
唐沢真佐子(ex.snoozer)
AKIRADEATH

アップリンク・ファクトリー
〒150-0042 東京都東京都渋谷区 宇田川町37-18トツネビル1F 03-6825-5502 uplink.co.jp
more info : https://goo.gl/3JtGL

Katy B - ele-king

 きざしは数年前からあった。最初に気がついたのはM.I.A.の『カラ』に収録された"XR2"だった。「1992年にあなたはどこにいた?」と、2007年のセカンド・アルバムで彼女は言っている。翌年にはゾンビーがすべてのトラックを1992年当時の機材によって作ったアルバム『Where Were U In '92?』をアクトレスのレーベルからリリースしている(インナーでは当時のレイヴ・トラックメイカーたちへの敬意を表している)。そして今年はフレンドリー・ファイアーズのセカンド・アルバム『パラ』だ。セカンド・サマー・オブ・ラヴ・リヴァイヴァルは――そこには残念ながらサード・サマー・オブ・ラヴという言葉はない――本気だ。この秋には、先日このサイトでインタヴューがアップされたテリー・ファーレイが音楽を監修するレイヴ映画『ウィークエンダー』が公開される。UKではあの時代が見直されているのだ。良いことだと思う。我々は、ダンス・ミュージックを通じて人が集まることの大切さを学んだ。集まればそこに公共空間が生まれた。それがこの文化のもっとも重要な点だった。

 まあそんなわけで、ダンス・ミュージックが蒸し返しているUKでは、ポップ・フィールドにおいてもその影響が出ているのは周知の通り。21歳のキャサリーン・ブライアン、ケイティ・Bを名乗る彼女は現代のレイヴ・ディーヴァ、ダブステップ世代のポップスターである。
 が、たとえばザ・KLFの"3AMイターナル"の、あるいはゴールディーの"インナー・シティ・ライフ"のヴォーカリストの名前を覚えている人はいるだろうか。"グッド・ライフ"のヴォーカリストの名前すら忘れられているかもしれない。レイヴ・ミュージックにおいてヴォーカル・パートはだいたい匿名的か、へたしたら消耗品だ。それは理にかなった話で、レイヴとはステージよりもダンスフロアが主役だったからだ。
 そういうわけで、ケイティ・Bはむしろ古典的なディスコ・ディーヴァに近いと言えるのかもしれない。ドナ・サマーからロレッタ・ハロウェイといった昔ながらのダンス系シンガーの系譜で、しかしまあ、そのプロダクションをかためているのがベンガやジンク、ジーニアスやスクリームといったUKのダブステップ/ハウス/ガラージ/ファンキーの売れっ子プロデューサー連中になっただけとも言えるのだが、アルバム・タイトルが言うように、彼女は自分の"任務"というものをよく理解している。とにもかくにも「踊らせるわよ」という任務に忠実なのだ。
 目的がはっきりしている潔さはこの音楽に勢いを与え、本当に魅力的なものにしている。歯切れが良いし、彼女が欧米で好かれる理由も理解できる。換言すれば、彼女はレイヴ・ディーヴァのように個性を失うことなく歌う、ポスト・レイヴ・ディーヴァだとも言えよう。

 ケイティ・Bはタワーレコード新宿店でも売れていると、売り場の方は言っていた。ヴォーカルの歌メロはR&Bそのものだが、バックトラックがガラージやファンキーというだけでもずいぶんと印象が変わるもので、とにかく新鮮なポップスに聴こえる。「いいねー!」と思わず手を叩きたくなる感じだ。そういえば、ちょうど数週間前にマンションの前の道路を暴走族が彼女が歌う"パーフェクト・ストレンジャー"を爆音でかけながら猛スピードで走っていたが、気持ちは痛いほどわかる。これはまさに飛ばしたくなるような曲だ。
 "パーフェクト・ストレンジャー"は、周知のようにマグネティック・マン(ベンガ+スクリーム+アートワークによるスーパー・グループ)がはなった大ヒット・シングルだが、曲で歌っているのはケイティ・Bなので、彼女のこのデビュー・アルバムにも収録されている。同じように昨年先行リリースされた"ライト・オン"にはミズ・ダイナマイトのファスト・ラップがフィーチャーされている。"パーフェクト・ストレンジャー"が暴走的な爽快感のある曲なら、こちらはふたりの女性の"強さ"を見せつけられるような、見事なまでにキャッチーな曲だ。
 アルバムで多くのプロダクションを作っているジーニアスは、UKガラージ/UKファンキーのプロデューサーとして10年のキャリアを持っている実力者で、彼はクラブ通いのポップ・アルバムに見事な起伏を付けている。ベンガは4つ打ちのキックドラムの入ったポップ・レイヴを手掛け、ジンクはファンキー調の曲とクラック・ハウス調の2曲を提供している。アルバムの最後に収録された"ハード・トゥ・ゲット"は"パーフェクト・ストレンジャー"とともに、もっとも激しくレイヴを訴える曲だが、同時にケイティ・Bの"明日"を予感させる素晴らしい曲だ(キーボードを弾いているのは、日本人プロデューサーのマコト)。曲の最後で彼女は半分笑いながらアルバムの参加者たちの名前を呼んでいる。そのリラックスした感じもまた、大物ぶりを思わせる。

 重たい一撃がお好きな方に、ZETTAI-MUからのダビーなお知らせです。
 UK最大のダブの祭典『UNIVERSITY OF DUB』をはじめ『SUBDUB』『Exodus』などのレジテンツを務めるヨーロッパ・トップのルーツ&カルチャー&ダブ・サウンドシステム、アイレイション・ステッパーズ(IRATION STEPPAS)が今年も来日!
 9月にクロアチアで開催されるヨーロッパ最大のベース・ミュージック&サウンドシステム・カルチャーの祭典〈OUTLOOK FESTIVAL〉のジャパン・ローンチ・パーティとして、首謀者エクソダス(EXODUS)も来日決定!

::Cast::
IRATION STEPPAS (SUB DUB from Leeds.UK)
KURANAKA 1945 (Zettai-Mu.JP)
EXODUS(OUTLOOK FESTIVAL / EXODUS from Leeds.UK)

@ sunsui
Info tel: 06-6243-3641(sunsui)
ADDRESS: 大阪市中央区東心斎橋1-12-20
心斎橋シキシマビル B1F
WEB SITE : https://www.sunsui.net/

OPEN/START. 20:00 - CLOSE 24:00

● ADV. ¥1,800YEN (1ドリンクチャージ別途500円)
● W/Fryer. ¥2,100YEN (1ドリンクチャージ別途500円)
● DOOR. ¥2,300YEN (1ドリンクチャージ別途500円)

★ 前売りチケットは"ZETTAI-MUWEBSITE"および "sunsuimart"でのみ購入頂けます。

https://www.zettai-mu.net/news/1107/0710_sunsui/0710_sunsui.html


★アイレイション・ステッパーズ(IRATION STEPPAS)

 IRATION STEPPASは UK最大のDubの祭典『UNIVERSITY OF DUB』のレジテンツをABA SHANTI-Iなどとともに務めるイギリスおよびヨーロッパでトップのNew Roots Reggae、Dubのサウンドシステムである。Mark IrationとDennis Rooticalの運命的な出会い以来「Scud Missile」「Killamanjaro」のキラー・チューンをはじめさまざまなレーベルから数多くのビッグ・チューンをリリース、世界中のサウンドシステムにおいてヘヴィ-・プレイされている。
 また「Kitachi」の変名でIRATION=DUBを護るかのようにアブストラクトな作品を『REACT』よりリリースし、UKインディーズ・チャートにおいてスマッシュ・ヒットを出している。彼等の分厚いヒストリーの中でも近 年 彼等が主催する『SubDub』と『Exodus』のふたつのダンスは、Horace Andy、Johnny Clark、Zion Train、Vibronics、Adrian Sherwood、Dread Zone、Twincle Brothers、Scientist、Mad Professor、Lee Scratch Perryなどの数多くの素晴らしいアーティストを迎える New Roots Reggaのダンスの頂きとなっており、かたや Digital Mystikz(DMZのホーム・ダンス)をはじめ、Rusko、Caspa、SkreamなどなどからUK最強のサウンドシステムと最大のリスペクト を受ける、Roots&Cultue,Dubのサウンドシステムから派生したと言われるDubstepミュージックの世界最高峰 として 2011年現在 っとも盛り上がっているダンスである。
 2ndフロアーには Shy FXやRagga Twinsといった往年のJungle、D'N'Bのアーティストも多数出演することや、例年ソールドアウトのクロアチアで開催される世界最大・最高峰の ベース・ミュージック&サウンドシステム・カルチャーの祭典〈OUTLOOK FESTIVAL〉をはじめ、Nightmares On Wax とのツアーも成功させるなど、ヨーロッパでもっとも注目を集めているサウンドシステム!

9月1日(木)~4日(日)に、クロアチア"Fort Punta Christo(プンタ・クリスト要塞跡地)"にて開催されるベース・ミュージックの祭典「OUTLOOK FESTIVAL 2011」の開催に先駆け、ヨーロッパ各地で開催されているローンチパーティが日本にも上陸!!!
https://www.outlookfestival.com/

Bon Iver - ele-king

 その声と歌は、森の奥から響いた――それが、男が「良き冬」と名づけた物語の始まりである。ノース・カロライナでやっていたバンドがダメになり、恋人と別れ、病気に罹った男は故郷ウィスコンシンに帰り、父親の狩り用のキャビンにたった一人で籠り、心身の傷を静かに撫でるようにして、いちど敗れた音楽の夢を噛み締めるようにして、雪に閉ざされた小屋でひとりで曲を作り、歌った。「愛だけが取り残されて」......。
 その男――ジャスティン・ヴァーノンの歌の背後にあった物語は、彼のボン・イヴェールとしてのデビュー・アルバム『フォー・エマ、フォーエヴァー・アゴー』のことを説明するとき、必ず触れられるものである。その痛切な、しかしある種の古風なエピソードは、その音楽の幽玄の美を説明するのに適っていたからである。それは基本的には、世の中から逃げるようにして孤独に浸った男が鳴らすには打ってつけの、弾き語りのフォーク・ソングだった。が、自身の声を何度もオーヴァーダブして重ねたコーラスと、アンビエントの音響を意識したような静謐なムードが彼の音楽にある種の神聖さを与えた。そして何よりも、ウィスコンシンの長すぎる冬の終わりをじっとひとりで待つような、孤独の温かさと穏やかさがそこにはあった。2007年にひっそりと自主制作として発表されたアルバムは、2008年の正規盤を経てやがてゼロ年代のクラシックの一枚になる。

 ジャスティン・ヴァーノンは一見アメリカのどこにでもいそうな、朴訥で気のいい、髭面で長身の木こりのような青年である。しかし僕は、彼と彼の音楽を知れば知るほど、彼が活動の幅を広げれば広げるほど、彼と彼の音楽に夢中になっていった。ジャスティンは自由な感性と才能に溢れたミュージシャンだった......もっと言えば、彼はいまのアメリカのインディ・ミュージックの豊かさを象徴するような存在である。フィメール・ソウル・シンガーに影響を受けたというそのエモーショナルなファルセット・ヴォイスはときにアントニー・ハガティと、ときにニック・ドレイクと、ときにロバート・ワイアットと比べられ、その歌声を様々なアーティストとの共演で披露した。ポスト・ロックとゴスペルとドローンを組み合わせた実験的な音のピースとしての声を聞かせたヴォルケーノ・クワイア、粘り気のあるギター・ソロを鳴らしたGayngsでの活躍。自身の"ウッズ"という曲ではジェームズ・ブレイクよりも早く声をオート・チューンで変調したゴスペルをア・カペラでやった。そしてその"ウッズ"がカニエ・ウエストの耳に止まり......そのヒップホップ・スターの最新作ではかなりの部分で(サンプリングではなく)ミュージシャンとして貢献することになる。ジャスティンの音楽家としての興味と敬意と愛情は多種多様な音楽へとつねに開かれていて、そして実際にそれはいくつもの成果を生んだ。

 セルフ・タイトルを冠したセカンド・アルバムは、ジャスティンが単なる素朴なフォーク・ミュージシャンではないことが存分に証明され、また、彼の出自となった物語も過去になった状況が整えられた上で、まさに「満を持して」放たれた一枚である。彼はいまはひとりではない。彼が信頼し、愛する音楽仲間と本作を作り上げた。インディ・ミュージック・ファンのあいだでは本作に対する期待はほとんど異様なものにまで膨れ上がっていたが、もちろん僕もそのひとりだ。
 1曲目、"パース"のイントロで叙情的なギターの音がコーラスと重なり、そして勇ましいドラムがそこに加われば、その期待が何ら的外れでなかったことが明らかになる。左右から聞こえてくるホーン、ノイズ、ストリングス、ギター、ドラムが情熱的に響くなか、それ以上にジャスティンがソウルフルに切ないメロディを歌う。「愛するひとはまだ生きている」......。
 もはやシンプルなフォーク・ソングはひとつもない。多くの曲ではジャスティンのポスト・ロック的な好みが反映されており、音響的な配慮が隅々まで行き渡ったものとなっているが、それだけでは説明できない多様さと複雑さが本作にはある。フォークが静かにジャズと手を取り合った"ホロシーン"、カントリーめいたギターがドラムと走り出す"タワーズ"、和音の変化と打楽器の清潔な響きで聞かせるワルツ"ミシカント"、アンビエント的な意匠のなかジャスティンの声の低音と高音の応酬となるもっとも実験的な"ヒノム、テキサス"、ピアノとストリングスが神秘的なムードを醸す"ウォッシュ."......。すべての曲でそれぞれ違う音の姿を見せながら、独特の甘さを持ったジャスティンの声の魅力で一本芯の通ったものになっている。シングルの"カルガリー"はノイジーなエレクトリック・ギターをかき鳴らしながら、ここでも情熱的に声を絞り出してメロディを何よりも主役にしてみせる。ラストの"ベス/レスト"は、なんと80年代の「アダルト・ポップ」を彷彿とさせるようなムーディなシンセ・ポップを皮肉ではなくロマンティックに鳴らした1曲だが、これもソングライティングによっぽど自信がなければ出来ないことだろう。どんなに音を拡張させようとも、ボン・イヴェールはエモーショナルな「歌」でなくてはならない――そんな揺るぎない決意を本作から感じる。

 このアルバムは、前作の物語がちょうど終わったところからはじめられているという。それはつまり、孤独の季節を後にしてゆっくりと、幾分躊躇いながらも世界に向けて歩を進め始めるドキュメントだということだ。歌詞は抽象的で謎めいているが前作同様詩的で、いくつかの都市の名前がつけられた曲名が示唆的だ。ここには痛みも傷もまだ感じられるが、それを抱えたままで歌の主人公は世界の様々な風景を見つめている。「......そしてすぐに気づいた/自分が特別でないことを/ハイウェイの通路のはるか上空/(氷に閉ざされたふらふらの休暇)/何マイルも先が見えた/何マイルも何マイルも」"ホロシーン"

 ボン・イヴェールは、なかば偶然にアメリカのいち地方から発掘された名もなき青年の歌だった。だが、それはゆっくりと人びとの歌となった。ジャスティン・ヴァーノンはかつて自分を傷つけた世界に再び心を開き、そのミュージシャンシップでもういちどそこを愛した。デビュー作に収録された"ザ・ウルヴス"という曲をライヴで演奏するとき、ジャスティンは観客にコール&レスポンスを要求する。「失ったかもしれないものは――」、かつての孤独の呟きは大合唱になって再現され、そしてこう続けられる。「僕を妨げたりはしない」
 その通りだった。『ボン・イヴェール』は新たな季節の訪れを告げるアルバムだ。『フォー・エマー』で抑えられていた感情と音がここでは堰を切ったように溢れ出し、そこから見える色鮮やかな風景の美しさに僕は震えずにはいられない。

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