「Lea Lea」と一致するもの

ダブステップ人生(DUBSTEP FOR LIFE) - ele-king


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1ST ASCENSION

GURUZ

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 こんにちは。
 レーベルGURUZ主宰のDJ Doppelgengerです。

 僕がDUBSTEPのDJをやりはじめたのが約5年前。それからいまを比べれば、随分と認知は広がったように思えます。当初はBack To ChillとDrum&Bass sessionsぐらいしかDUBSTEPのパーティがなかったですし、DJの数もまだ少なかったのを思い出します。僕は幸いなことにそのなかでプレイをすることができ、多くの国内、そして海外アーティストとも共演することができました。

 そのなかで記憶に新しいのがDJ PINCH。Techtonicといういまや有名なUK DUBSTEPレーベルを主宰する彼との交流は、すごく貴重な時間でしたね。彼は僕と同じ境遇、クリエイターでもありDJでもありレーベルマネージメントもおこなっており、れでいて、あれだけ多くの作品を輩出し世界で認知させてきた経緯など、いろいろ聞かせてもらいました。

 一緒に居て思い浮かんだ言葉は「情熱」。
 例えば、1枚のレコードやCDを出すことにも、実に多くの労力と時間、そして覚悟が必要です。ひとつひとつ、その思いが詰まったレコードたち。PINCHのレコードバッグはすべてDubplate(テストプレスの白盤。なかにはアンリリースも多々!)だったのが衝撃でした。
 それと針がSHUREの44Gを使ってたんですよね。何でこんな針圧も弱く、ハウリングしやすい針を使うのか? Dubplateは通常のレコードよりも溝が浅いので、ortofon等の針圧の強いものだと溝がえぐれてすぐに盤がダメになってしまうからなんです。なもんで、リハも相当入念に行ってましたね。これだけ自分の曲からリリース、そしてDJセットまで、すべて究極を追求し、それをスピーカーを通じて聞き手に届けている......本場のDUBSTEP、そのひとりの姿勢を魅せて貰いました。

 これは例として、海外DUBSTEPアーティスト全般、皆オリジナル思考がすごく強くあって。それって音楽云々以前のとても大切な部分であり、人と違う自分だけのものを追求するっていう大切な行為だと思います。

 DUBSTEPが海外でこれだけ大きくなった背景には、このオリジナル思考を随所に感じます。まだそれほど歴史は短いにしても、この枝分かれ具合にしろ、スタイルにしろ、細分化の早さがそう物語ってますね。

 聞いたことあるかもしれませんが、Digital Mystiksが主宰するパーティDMZはあまりに尋常じゃないBASSを出すので、入口で耳栓を配るそうです。イカレてますよね(笑)。けど、そこでのサウンドは相当やばいらしく、平気で数千人のクラウドが集まるとか。やっぱヨーロッパのクラブシーンの個性、そしてレヴェルの高さは凄いですね。
 やってる人は解ると思いますが、オリジナル志向って度胸や覚悟も必要なんですよね。自分や仲間の、それも未マスタリングのアンリリースの曲って音質もバラバラだし、鳴りも同じくマチマチですし。スタイルも何処にも属さない、誰も知っちゃいないような曲ですし。けど、それをプレイすることってすごく大事なんですよね。

 たとえ未完なものでもいいんです。いまを全力で追及した結果を1曲に封入し、それを現場でかけるって行為が大切なんじゃないかと。

 最初の頃は、なかなか良い結果は出ないでしょう。それだけ、自分の曲でフロアを納得させる事って簡単じゃないですから。けど、作り続け、かけては直し入れてを繰り返し、そしてプレイし続ければやがて「この曲好きです!」っていうのが出てきます。そこでようやく長年かけ続けてきた意味が出てくるわけであって。そして、「自分の音」ってものが確立され、DJとしても一脱出来るんじゃないかと。全体がそうなっていけば、それぞれの個性がもっと出て、パーティの盛り上がり方も変わってくると思うんです。自分らの曲でアンセムが出来たりして、やがて独自の文化が生まれると思うんですよね。

 日本のDUBSTEPは、徐々にそれが浸透していっているように感じられます。今年僕は1st Album『Paradigm Shift』をリリースして、国内ツアーで全19カ所を回ってきたんですが、随所でそういったアーティストと会うことが出来て。人数は少ないながらも、オリジナル曲で勝負してるDJもいました。
 そして、そんな仲間に声をかけて集まった曲をすべてリリースしようと思い、年末の12/22にコンピレーションアルバム『1st Ascension』をリリースすることになりました。

 今回最年少だと17歳と20歳の兄弟デュオSeimei&Taimei。僕が知り合った頃、兄のSeimei君は19歳だったんで、クラブに入れないっていう話で(笑)。そして弟のTaimei君はまだクラブ行けないそうです......。
 しかし、曲聴いてびっくりですよ。若い柔軟な脳みそってここまで吸収しちゃうんだなーと。DUBSTEPが好きだという気持ちが全面に出ていて、それが随所で感じられて、見ててこっちも刺激になりますね。深夜クラブには行けないけど、彼らなりにやれる場を探して、早い時間帯のU20のパーティに出演したり、自分でUstream配信したり。この情熱は見習うべきですね。是非彼らの曲、聴いてみると良いですよ。そして彼らを例に、若いクラブミュージック好きな人、いますぐ曲作りにチャレンジしてみるといいでしょう。着手は早いに越したことが無いし、若い方が覚えるもの速いです。時間も余裕あるだろうし。

 話戻しますね。

 あと、栃木にB Lines DelightというDUBSTEPクルーがいます。
 彼らも凄いですね。何が凄いって、メンバーほぼ全員が曲作ってて、それを現場でしっかりかけてるんですよね。東京以外でここまで成熟したクルーは彼らぐらいしか現状居ないと思います。それぞれやばい曲作りますし、なかには海外ラジオや有名DJがかけている曲も保有してます。

 コンピにも彼らのなかからSivariderとRyoichi Ueno、Negatinが参加してます。とくにRyoichi Uenoの曲「Brain」はラッパーの志人君の声がサンプリングされてて彼の諭すような声と重厚なビートが合わさって、いままでに無いDUBSTEPサウンドが出来たと思います。志人君に聞かせたところ、快くOKしてくれて。嬉しかったです。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとう!

 それに加え、今回は沖縄出身のアーティストが3組います。DUBGYMNER、Helktram、CITY1。それぞれ別々に知り合ったんですけどね。昔から何故か、沖縄の人とは縁が深いです。それってやっぱ土地柄というか、沖縄って全般的に個性が強い場所だと思うんですよね。
それが音楽にもやはり反映されてて、3人とも全然違った個性ながらも、かっこいい曲作ってきますよ。DUBGYMNERのMONDOってやつはDJもやってて、BUD RYUKYUっていうDUBSTEPパーティも主宰してます。僕もツアーで足を運ばせて貰ったんですが、凄く良いパーティでしたよ。沖縄DUBSTEPシーンの先駆け的なパーティでしたね。

 あと、これはBack To Chillを通じて知り合った100mado、DEAPA、DUBTRO。とくに100mado「Indian Zombie」はかれこれ2年前ぐらいからプレイしており、それを自分のレーベルからリリース出来て、すごくうれしいですね。僕のDJを何回か聴いた事のある人は、絶対に耳にされてる曲だと思います。DUBTROもじわじわと頭角を現してきてますしね。

 これは制作秘話? ってほどでも無いんですが、マスタリングはこれまたBack To ChillクルーのENA君にやってもらいました。やはり同じジャンルに精通しているだけあって、実に理想的な音に仕上げてくれました。
 彼と作業した1日も、いろんな意味で面白かったですね。エンジニアワーク見てるって面白いですよ。制作とはまた違う視点で。使ってるケーブルやら機材、電源やら、スピーカーとか吸音材とかの話もして。かなりマニアックな話でした。ついでにですが、ENA君のアルバムが来年7even Recordingsからリリースされます。これもかなり凄い内容で、国内外で話題になる事でしょう。

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 こんな感じで、自分を取り巻くDUBSTEPアーティストの皆さんと協力して、今回こういったリリースが出来る訳でありまして、なんとも感慨深い気持ちですね。しかも「国内初の日本人DUBSTEPコンピレーション」という名目まで! ありそうで無かったんですよね。これが。そして12月22日。マヤ暦が終焉を迎えるこの日を敢えてリリース日とさせて頂きました。タイトルも『1st Ascension』。これは、JAPANESE DUBSTEP新時代の幕開けという裏テーマが隠されています。

 これを皮切りにレーベルGURUZからどんどん日本人DUBSTEPをリリースしていく予定です。何故か? DUBSTEPが好きだからですよ。
 これ、PINCHにも同じ質問してこう返ってきたんですよね。シンプルかつ響いた言葉、僕も使わせてもらいます。

 もっといろいろなスタイルがあって良いと思うし、さまざまな解釈があってこそ、DUBSTEPだと思います。それこそ、いま大きく言えば二極化してるブロステップとディープ系ダブステップ、それぞれが盛り上がるって大事なことですよ。
 いまのシーンを見てると、ブロステップの流行が目に入りますね。こないだのスクリレックス公演なんか3000人SOLD OUTらしいですね。僕は正直、ブロステップに関しては好きではないです。聴く努力はしましたけど、サウンド然り、どうも馴染めないです。けど、それはそれでそういったシーンが出来たという現実は受け止めてますし、彼らの功績もまた凄いですね。ただ、いまそれがアメリカで流行ってる、だから正しい、というわけではないと思います。日本人はとくにメディア操作に操られ過ぎです。
 シーンが虚空の肥大をして過度のビジネス傾向に陥り、魂の無い音楽が蔓延して、結果、何も残らないっていうね。それではならんのです。
 僕はDUBSTEPを大事にしたいんですよね。だからこそ、そこに魂、そしてメッセージが宿っているかどうか? ってことにはサウンドクオリティと同等に気持ちの比重を置いてますね。

 これは自分に対する課題でもあると思ってます。いまの僕視点でのDUBSTEPが果たして正しい道なのかどうか、これは時間が経たないと解らないじゃないですか。それだし、僕が提唱しているDUBSTEPでもきちんとビジネス出来る環境を作らなきゃいけないって思うんです。
 これはUK DUBSTEPシーンを見ていてもそう。例えば先に言ったPINCHやMALAみたいなアーティストが、 いまの日本のシーンで成功出来るとは到底思えない。しかし、彼らは向こうじゃトップアーティストであって、音楽で生活を賄っているわけで。

 これを日本でやろうって「無理だ」って言葉が大多数ですけど、そう言って動かないでいては何も変わらない。畑は耕さないと、芽はいつまでも出てきませんから。僕はDUBSTEPとこれからも長く付き合っていきたいです。そのためには少しずつ、ひとりずつ納得、共感してもらって土壌を作って行く事が今の自分がすべき事だと思ってます。サウンドクオリティの向上は当然ながら、それとともにリスナーの聴くレヴェルも向上させていく必要性は感じてますね。

 だから、僕はレーベルを立ち上げたというのもありますし。GURUZからもっといろいろな日本で暮らしているDUBSTEPのクリエイターを世に知らせていきたいなと。そして、もっとこの国で起こっているドープなDUBSTEPのシーンの実情を国内外共に伝えていきたいんですよね。これだけ世界で大きな波となってるDUBSTEP、だけどそれって日本の場合、大衆には僕らがやってるDUBSTEPというのが現状あまり見えてないと思うんですよ。先に言ったブロステップ然り、表面的なものでストップしちゃってる。

 これを広めるって容易では無いですよ。一人対全国ですから。しかし、不毛だからこそチャレンジしたいっていうね。あきらめたらそれまで。前進すれば道は拓ける。これは音楽云々以前の、人としての生きる姿勢の選択であって。地道に時間かけてでも、道を拓く覚悟ですよ。

 パーティにおいては、東京だとDrum&Bass sessionsやBack To Chillなんか、音響も素晴らしいですし、日本最高峰のDUBSTEPが聴ける現場と言えるでしょう。最新の国内外のDubplateもガンガンかかってるし、DUBSTEPのいまを知るにはうってつけのパーティと言えますね。まだ行ったことの無い方、そして若いDUBSTEP好きな方は是非、足を運んでみるといいでしょう。大箱でしか体感出来ない極太BASSを体全身で感じれば、DUBSTEP本来の素晴らしさを知ることでしょう。

 最後に、12月22日のリリース日に、僕の地元大宮でリリースパーティも開催します。僕がいま思う新鋭アーティストを揃えた奇跡の一晩となることでしょう。サポートは地元のDUBSTEPクルーMAMMOTH DUBがしてくれてて。彼らとは共に3年、地元でパーティを開催してきて。大宮は年々DUBSTEPが育っていってる感をビシビシ感じますね。オリジナル曲もどんどん増えてるし、この日はかなりの数のオリジナル曲がスピンされるでしょう。都内からも近いですし、是非皆さん遊びに来て下さい。
JAPANESE DUBSTEPの新たな一面をここで垣間見ることでしょう。

 東京でのリリパは2月を予定。詳細をお楽しみに! ほか、地方公演もいろいろ入ってきてます。スケジュールは以下の通り。各地の皆さん、またお会いしましょう!

 それでは、DUBSTEP FOR LIFEでした。
 PEACE.

DJ Doppelgenger - DJ SCHEDULE
12/1 Version @ CACTUS (乃木坂)
12/8 Drum&Bass Sessions @ UNIT (代官山)
12/22 [ 1st Ascension ] Release Party @ 444quad (大宮)
12/31 Countdown Party @ 444quad (大宮)
1/13 TBA @ Circus (大阪)
1/20 Dubstep Area @ The Dark Room (福岡)
1/25 TBA @ TBA (長野)
2/1 TBA @ TBA (東京)
2/23 TBA @ Bangkok (タイ)
3/2 TBA @ Rajishan (静岡)

■2012 DUBSTEP sellection 10
MALA / MALA in Cuba (Album)

今年一番好きなアルバム。
これだけポップに、かつ相当凶悪なベースを鳴らしたアルバムってこれぐらいなのでは? ダブステップとキューバ音楽とのコラボ、これは楽しい1枚でした。

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GOTH TRAD / NEW EPOCH (Album)

言わずもがな、GOTH TRADのニューアルバム。
前作MAD RAVER'S DANCE FLOORから世界へと進出し、研ぎすまされた次のビジョンを見させてもらいました。
RESPECT。

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Swindle / Do The Jazz (12inch)

DEEP MEDIからの新たな刺客Swindle。
彼の持ち味のJAZZがふんだんに盛り込まれた、新しいスタイル。
これは斬新だった。

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ENA / Analysis Code (12inch)

これまた、何処にも属さない全くオリジナルスタイルを提唱した問題作。
来年出るアルバムも、かなり物議を醸し出しそうな予感。
これからの進化がどうなるのか、予測不能で楽しみです。

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Shackleton / Fablic 55 (MIX)

ミックスながらも全曲オリジナルでの編成。
これは凄い。呪いステップですね。世界観の統一具合、クオリティ、完璧でした。

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KRYPTIC MINDS / THE DIVIDE (12inch)

ミニマルテクノ+ダブステップ。
凄くシンプルながらもフロアライクなテッキースタイル。
こういうダブステップもどんどん出てほしい。

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DUBTRO / MIND HUMAN (Compilation)

Back To ChillクルーDUBTROのニューチューン。
これはUK ダブステップレーベル [ MIND STEP ]コンピレーションからの1曲。
これまでのDUBTROを越えた感がありました。

KILLAWATT & THELEM / kaba (12inch)

KILLAWATT好きですね。他もだいたい好きです。
ダンジョン系ダブステップ最高峰。

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V.A / 1st Ascension (Compilation)

僕が見てきた日本のダブステップが此処に。
今、日本のアンダーグラウンドダブステップの実情を知りたいのならば、これを聴いてほしい。

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DJ Doppelgenger / Paradigm Shift (Album)

今年リリースした僕の1stアルバム。
僕のアーティスト人生も大きく変わった、2012年、一番心に残る一枚となりました。

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DJ Doppelgenger ( GURUZ )

15歳からDJキャリアをスタート、そして2008年よりDJ Doppelgenger名義でDubstep DJとしての活動を開始する。世界各国を放浪した経験を基に、ワールド感漂う独自の音楽観をDubstepというフィールドで表現している。東京を代表するBass Music Party『Drum&Bass Sessions』@代官山UNITのレジデンツとして出演。そして、2009年より地元埼玉でMAMMOTH DUBを開催し、多くのアーティストを招聘している。これまでにrudiments、subenoana等のレーベルよりmix、trackをリリース。

Chart JET SET 2012.12.03 - ele-king

Chart


1

Slow Motion Replay Presents Dunk Shot Brothers - Love Me Tender Ep (Smr)
早くも、HikaruやMr.Melody、やけのはら等がプレイするなど、前作同様のヒットを予感させるエディット集が到着しました。様々なシチューエーションでばっちりハマるレコード・バック内のスタメン確定な1枚です。

2

Maxmillion Dunbar - Woo (Rvng Intl.)
Beautiful Swimmersの片割れにして、Future Times主宰者のAndrew Field

3

Greg Foat Group - Girl And Robot With Flowers (Jazzman)
これまでの作品は全て即完売で先行シングルも大ヒット。エレガントでサイケデリックでグルーヴィーな独自の世界を進化させた、待望のニュー・アルバムが遂にリリース!!

4

七尾旅人 - サーカスナイト (felicity)
2012年リリースの最新作『リトルメロディ』より名曲「サーカスナイト」がアナログ盤で登場!!名曲オリジナルVerに加えて、向井秀徳、Mabanua、Luvraw&btb、Grooveman Spotによるリミックスも収録!!

5

Will sessions - Xmas Break (Funk Night)
素晴らしく骨太な楽曲に加え、今回は赤と緑のラベルで完全クリスマス仕様です!!

6

Lusty Zanzibar - Empress Wu Hu Remixes (Glenview)
100枚限定で先行リリースされたVakula & Oeによるリミックスに加え、気鋭Volta Cabによるリミックス+オリジナル・トラックを追加収録した話題の一枚が到着。

7

Pepe California - Yureru - Dj Nozaki's Pure Pleasure Control Mix (10 Inches Of Pleasure)
Mick「Macho Brother」のカルト・ヒットも記憶に新しい"10 Inches Of Pleasure"から話題沸騰の新作第二弾が無事到着。2010年に自主レーベルからリリースされたPepe California最新アルバム『White Flag』収録曲をレーベル首謀Dj Nozakiがリミックス!!

8

Star Slinger - Ladies In The Back Feat Teki Latex (Pias)
フィジカル12"第1弾『Dumbin'』のメガヒットも記憶に新しいマンチェスターのStar Slinger待望のソロ第2弾には、シカゴのベース人気者Chrissy Murderbotによるジューク・リミックスも搭載です!!

9

Dntel / Herbert - My Orphaned Son - Die Vogel Remix (Pampa)
音響ハウス帝王Lawrenceのリリースでもお馴染み、天才Dj Koze率いる越境ミニマル・ハウス名門Pampaから、看板デュオDie Vogelと主宰による極上リミックスを搭載した特大傑作が登場です!!

10

Echocentrics Feat. Grant Phabao - Echocentrics Remixes (Ubiquity)
名門Ubiquityお抱えの人気バンドEchocentricsの1st.アルバム収録曲をGrant Phabaoがジャマイカン・リミックス!!

Crystal Castles - ele-king

 クリスタル・キャッスルズのメイン・ソングライターであるプロデューサー、イーサン・ケインには、音のテクスチャーというよりは、音を音としてあらしめる諸条件について、独特の感覚や嗜好性があるのではないかと思う。ジャケットこそファッショナブルで小奇麗だが、このカナダの男女エレクトロ・ユニットには、デビュー作『クリスタル・キャッスルズ』のころから、セカンド『II』のゴシックな気味悪さ、今作『III』の死のモチーフに通底するダークなヴァイブと攻撃性があった。それは音質よりも音圧に表れていて、ちょっと神経にさわるような不快で苦しい圧迫感と、その向こうにぽっかりとできた真空との意図の見えない入れ替えによって、聴く者に衰弱を強いる。セーラムなどウィッチハウス的なムードもあるが、実際にクラブの経験がなかったというバイオもふくめ、シーンでも異色な存在感を放っていた。
 アリス・グラスのヴォーカルへの加工もとても猟奇的で、ただズタズタとチョップされているというよりは、なにか実際に物理空間へのダメージを与えているような......彼女の身体が刻まれ、あるいは打撃を受けているような、そしてそのなまなましい感触が突如無感覚になってしまうような、空気そのものへの作用/不作用を感じさせる。 今作でも"レス・オブ・ゴッド"や"ペイル・フレッシュ"などにおいては、彼女の声は幾重にも遮断されて異様な間接性のなかで響かせられている。なぜそうしたいのか、そこにあまり音楽的野心がないように思われて筆者は戦慄する。そうするように駆動しているのはほとんど彼の狂気とも言うべきもので、クールだと思っていたり、方法的な新しさやテクニックの高さを示すものだと思っていたりするのではなく、ただそうしたいのだろうということの異様な説得力に筆者は打ちのめされるほかない。「僕らはイクイップメントよりも虫やゴーストにたかられ荒らされる方を好む」というのはイーサンの言葉だが、虫やゴーストとは理性の外側からやってくる彼の狂気の喩であることは明白だ。そのことが、フォームとしてはわりとストレートなエレクトロであり、旬を過ぎたようにも思われる要素、また先鋭性よりもあくまでポップ・ミュージックであることが優先された楽曲を、彼らの無二の音楽性として転換する。何枚アルバムを重ねようが、この狂気が封じられないかぎり、クリスタル・キャッスルズの音が古びることはないだろう。

 音は虫に侵されたいと欲望するのかもしれないが、詞に繰り返し現れるのはむしろ「浄化」のモチーフである。「clean」という語が何度となく使用されている。「わたしは不純なものを浄化する」「あなたの傷を濯ごう」("ケロシーン")、「あなたをピュアに、あなたをきれいにしなければならない」("プレイグ")のほか、"チャイルド・アイ・ウィル・ハート・ユー"にも出てくる。この負のマッチポンプもまた、彼らの音の中核を成すものだと言えるだろう。祈りや教会的な意匠にもことごとく腐敗と浄化のイメージが交互にあらわれている。彼らの録音が、壊れたキーボードを拾ってきて、それを直して音を出すところからスタートするというエピソードはとても興味深い。「壊れ」は傷みや不浄に重なり、「修繕」はまさにクリーンを意味するだろう。彼らが音をつくるという営みは、狂気のために破れた部分の修繕し、またその縫い目が狂気によって破られることのリフレイン、つまり彼らの生そのものなのではないか。よって、タイトルは『Ⅲ』だ。それは繰り返され、続いていくものなのだ。主題が作品ごとに変わろうはずがない。彼らが地元トロントで、地域労働奉仕の仕事(犯罪を犯した人間が罪を償う為に行う奉仕活動、だそうだ)を通して知り合ったという馴れ初めを、こうした部分に重ねるのは安直だろうか。

interview with LOVE ME TENDER - ele-king

夜目が覚めて自分が最悪な人間だと思ったとき
思い出して欲しい
街は下水道やサーカスのように面白い場所だということを
ルー・リード"コニー・アイランド・ベイビー"


LOVE ME TENDER
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 街を歩くのは楽しい。とくに夜更けから朝方にかけては。僕にiPodはいらない。頭のなかにはたくさんの音楽が鳴っているから。
 ラヴ・ミー・テンダーのデビュー・アルバム『スウィート』が完成した。彼らは正真正銘のシティ・ポップス・バンドだ。彼らの先行シングル「トワイライト」は、本当の意味での今日の渋谷の道玄坂の裏側の世界が描かれているが、アルバム『スウィート』はそれをさらに発展させている。ドリーミーでダンサブルなソフト・ロックをバックに、ロマンティックな週末の夜の片隅の出来事の断片、休日のドライヴ、そしてビルの谷間に輝く朝日を描いている。
 ラヴ・ミー・テンダーは、ドラムを叩きながら歌を歌っているMAKIを中心に、サブカル界隈では賞賛とディスのリツイートを浴びている鍵盤担当の高木荘太、ふだんはDJをやっているサックスのACKKY、ベースのTEPPEI、ギターのARATAの5人から成る。彼らは、渋谷......といってもあんまりおしゃれ感のない裏通りの、そのまた裏通りの雑居ビルのなかにあるDJバーを拠点に登場した。クラブ・カルチャーは、いまや欧米でも、ホーム・パーティやウェアハウス・パーティといったアンダーグラウンドな広がりを見せている。より、地下に潜伏しながら堂々と音楽をやっているという、逆説的な態度を示している。ラヴ・ミー・テンダーの本質もそこにある。

いや、もう、ルー・リードの"ワイルドサイドを歩け"の感じじゃないですか。(高木壮太)

"メスカリーター"からはじまっているのが良いと思ったんですよね。〈メスカリート〉という場所は、まあ、知る人ぞ知る秘密の場所であり続けたわけじゃないですか。それがこう、明るみにでることはどうだったんでしょう?

壮太:いや、もう、ルー・リードの"ワイルドサイドを歩け"の感じじゃないですか。

ハハハハ。もう、カミングアウト、カミングアウト(笑)! まあ、それはともかく、この10年というのは、クラブ・カルチャーがかたやアゲハのようなビッグ・クラブにになって、その片方でDJバーのようなものが増えていった10年だと思うんですけど、 ラヴ・ミー・テンダーはそういう、増えていったDJバー文化から出ていったバンドなんだろうなと思ったんですね。そういう意味で、"メスカリーター"からはじまるのはもっともだなと思いました。

壮太:いやー、僕も最初、"メスカリーター"といったときはびっくりしましたよ。いまさらなんか語ることがあるのかって。

マキ:はははは。

壮太:どうなんですか、ラヴ・ミー・テンダー=〈メスカリート〉になっているんですか? お抱えバンドのように。

いや、それはもうそうでしょう。モータウンにおけるファンク・ブラザーズみたいなものでしょう。

マキ:他にもバンド、いますけどね。

壮太:他にもいるけど......、俺たちなの?

マキ:そうなっちゃいましたね。

壮太:だったら光栄です。すごいバンドいっぱいいるのに。

マキ:ニビルブラザースでもミシマでもない。

壮太:〈メスカリート〉の名前を汚さないようにしないと。

マキ:汚さないように。先輩に怒られないようにね。

そこは意識しているんですか?

テッペイ:レペゼン・メスカってことですか?

そう。

テッペイ:そこは俺、逆ですけどね。

まったくない?

テッペイ:むしろあれを壊したいですね。もう最近はメスカって言わないようにしてますからね。

堂々と歌っているじゃない(笑)!

テッペイ:いや、前に若い子から、友だちに「メスカ行こうかな」って言ったら「危ないから行かないほうがいいよ」と言われたと聞いたこともあって、もう絶対に言いたくない。悪いほうにとらえられている。

マキ:ホントにね。

なおさら、そこは良いほうに解釈してもらわないとですよね。世間の評判を覆しましょうよ。

壮太:浄化作業ですよ!

アッキーはもう長年DJをやってるわけですが、DJバー文化についてどう思ってますか?

アッキー:それはね、耳が肥えている人、10人ぐらいの前でやることじゃないですか。すごいうるさ型の人たちの前で、がっつり10時間とかやる、みんな訓練をしているんで(笑)。そういうDJカルチャーはそれ以前まではなかったかもしれないですね。

奥渋谷だけじゃなく、下北沢にもあるし、いろいろありますよね。けっこう名前のあるDJが、10人や20人でいっぱいになってしまうような空間でDJをやっていますよね。

アッキー:あれもう、うるさ型の人たちの前で、どれだけ濃いものを聞かせられるかっていうことだと思います。

マキ:修行だよね。

アッキー:朝3時以降とか、狂っちゃいますからね。それでも自分は淡々とやらなきゃいけない。

マキ:時空がゆがむ瞬間というんですか。

アッキー:解像度の上がり具合が、朝3時以降、クラブとはちょっと違う。クラブはだいたい5時や6時で閉まってしまうけど、DJバーは昼までやったりするじゃないですか。

たしかにね(笑)。

マキ:そこからさらにどん欲な人だけが残るっていうか。

アッキー:だからそれを毎晩マキちゃんとかが見てたから。

壮太:渋谷で一番遅くまで開いてる店。

アッキー:やっぱり、僕はDJバーに聴きに行くのが好きですね。

アラタ:たんに年齢層が、そのひとたちが高くなってきてるっていうのもあるんじゃないですか。

それも一理あるけど、だけどクラブはクラブでやっぱりたくさんできてて、そっちが好きなひとはやっぱりそっちに行ってたから。かたや、それとは違ったベクトルでもって、DJバーがたくさんできたなあと思って。

壮太:たとえば、ひばりが丘なんかにもDJバーが2軒あるんだけれども、そこはDJブースがインテリアになってるらしいんですよね。でも、DJバーといっていい流行ってる小バコは昔からあったでしょう。2丁目の〈ブギー・ボーイ〉とか。吉祥寺の〈ハッスル〉とか。

2丁目の〈ブギー・ボーイ〉って懐かしいねえ。

壮太:店にキースへリングがいてビール奢ったらTシャツに絵を描いてくれた。

ゲイ・ディスコですよね。

アッキー:新宿だったじゃない、文化的に。でもいまは、東京のなかでも吉祥寺、渋谷、って分散してきてて。

このあいだ三茶がすごいって聞いたよ。

アッキー:三茶もあって。そういう広がりっていうのはここ10年なんじゃないですか。で、地域性によってノリがぜんぜん違うんですよね。それが不思議、なんか(笑)。

壮太:昔何かだった店がああなってるの? 昔の若者はどこで溜まってたの? DJバーに来てる若者は。

アッキー:いや俺クラブだったからわかんない。DJバーとか行ったことなかったから、昔。

テッペイ:小バコなんじゃないの。10年前から、〈グラスルーツ〉に似たような店がいっぱいできたような感じがする。

アラタ:ああ、〈グラスルーツ〉ね。

壮太:〈グラスルーツ〉も最初ヒカルくんが回して誰もいない、客もいないって感じだったけど、平日でもみんな店にちょこちょこ行くようになって、超盛り上がるようになって。その後に三茶のバーもできたしさ、みんな繋がってたじゃない。〈グラス〉と三茶ってとくに。で、それのチルドレンな感じでしょ。

アラタ:〈フラワー〉とか関係ないじゃん、でも。あそここの間14周年で。〈グラス〉が15周年で。

壮太:そうだね。

〈フラワー〉って何?

アラタ:三茶の重要なバーなんですけど。六本木のとは違って。

ああ、聞いたことある。

アラタ:ポンタ秀一とかもよく来るらしくって。

テッペイ:〈グラス〉とか三茶で言うと初期の〈DUNE〉じゃん。小バコで盛り上がるみたいな。

メンバーのみんなは、どちらかというとDJバー的な密室的な、濃い空間が好きで。

アラタ:おしゃべりが好きっていうのがあるかもしれないですね。

マキ:おしゃべりですね、みんな。

テッペイ:テクノとかハウスとか、昔のクラブとかだと住み分けがあったかもしれないけど、DJバーだとハードコアのTシャツ着てテクノで踊るとか、そういうのを見て「お、カテゴライズされてなくて超おもしれー」と思って。デカいレイヴ行くよりも、そっちのほうが早いんですよ。ひとが集まってるから。

なるほどね。いま地方にもほんと増えているよね。それはあるシーンを形成しつつあるのかなという感じがするんですけど。でも、今回のアルバムの1曲目を"メスカリーター"にしたのはなんでなんですか?

アラタ:チルドレン・オブ・メスカリートとしての誇りじゃないですかね。

宣言というか。

壮太:いや単純に曲調なんじゃないの(笑)?

はははは。

壮太:メッセージ性なんかないでしょ(笑)。

マキ:あれはすごくわたしの気持ちが入っていて。

テッペイ:ライヴでもいつも1曲目でやっていて。

マキ:そう、なんか1曲目ぽい感じがして。

壮太:曲はデモ・テープの並びの通りなんですよ。デモ・テープに耳が慣れちゃったから、もうこれでいいや、みたいな。計算してないですね、この順は。

"ロマンティックあげるよ"がボーナス・トラックみたいな。

マキ:みたいな扱い。

壮太:俺はずっと反対してた、最後まで。

マキ:ははは、外圧が(笑)。

こうやって意見が分かれたとき、誰がまとめるんですか?

アッキー:まとまんないですね。まとまんないままぐちゃぐちゃーと進行していく。それが面白いんじゃないですか(笑)?

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時空がゆがむ瞬間というんですか。(マキ)
解像度の上がり具合が、朝3時以降、クラブとはちょっと違う。クラブはだいたい5時や6時で閉まってしまうけど、DJバーは昼までやったりするじゃないですか。(アッキー)


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神泉とか、その辺が曲のなかで舞台になってるじゃないですか。これはマキちゃん個人のものなのか、それともバンドで共有しているものなんですか?

マキ:バンドでも共有してるとは思いますけど、わたしはすごく濃い感じであの街にいたんで(笑)。どうしてもそういうワードが出ちゃいますけどね。

奥渋谷系とかって書いてるけど、実際は――。

壮太:神泉ですからね。渋谷じゃないですからね。

まあそうですよね。あの辺で、〈メスカリート〉やラヴ・ミー・テンダーの影響で何か生まれたりしたんですか?

マキ:何にも生まれていない。

ははははは、砂漠として(笑)。

壮太:巨大すぎて。ブラック・ホールだから。

マキ:ちょっとヘッドショップとかで、"マリフレ"がかかるぐらい。

一同:はははははは!

マキ:みんなにサンプルをこうやって渡してたから。

壮太:富裕層が朝3時ぐらいに物凄く狂ってるのを見てびっくりしたんですけどね。

アラタ:あと道玄坂が観光地化してるよね。

テッペイ:あそこ日光みたいじゃん、もう。

アラタ:黒人の人たちがタクシーのバンパーの上に乗って跳ねてたり、酔った白人のスーツの人たちが「俺は大使館職員なんじゃー」っつって警察官に絡んでたりするのを見たりすると、「敗戦国だなー」と思って。

はははははは!

テッペイ:たぶんまだ見れてない部分がいっぱいあると思う。うちらはたぶん、けっこうピースですよ。あんまり暴力とかなくて。もっと怖い部分とかあると思うし。

いやいや、でもみなさんじゅうぶん見てらっしゃるんじゃないですか。これはオフレコだけど、それこそ小林とかがさ、得体の知れないカラオケ・バーから悪酔いした客を引き連れてきて、緊張感が走ったり。

壮太:それはピースのほうですね。

テッペイ:アリのほうですね。

でもわけわかんないじゃない(笑)。

マキ:わけはわかんないですけど、受け入れてねじ伏せるみたいな感じで、けっこうピース。まとまりますね。あんまり暴力とかはね、3年に1回ぐらいしかないよね。

テッペイ:最近はさ、だって合法系はみんな暴力に行くじゃん。

まあその話は後でしようかなと思ってたんですけどね。でもバーってお互いの距離感が近い分だけ、いい面もあるけど、逆に言うと、それこそ一見さんという言葉があるように、入りづらいっていうのがあるじゃない?

壮太:どうしてもね、バーはそうじゃないですか。常連はお互いの悩みごとや弱点を知ってて仲良くなれるんじゃないですか。一回そういうイニシエーションを経ないと、常連にはなれませんね。入りづらいと言えば入りづらいですよ。俺も〈メスカリート〉とか絶対ひとりじゃ行けないですよ。

テッペイ:みんな一見さんじゃん、最初は。

アッキー:いやでも、誰かに連れて来られるんじゃない?

マキ:わたしも誰かに連れて来られて、すごい勢いでバーンってドア開けたのが最初なんですよ、やっぱり。すごいベロベロで。もう2回目場所も覚えてない、みたいな。

じゃあマキちゃんも偶然入った?

マキ:そうですね。その前にほかの〈メスカ〉のパーティでまあいろいろ出会って。

壮太:俺もコバに「中途半端な店があるから行こう」って言われて。

(一同笑)

アッキー:海の家からずっと繋がってるんだよね。

マキ:わたしも海のパーティが最初。

アッキー:そのときぐらいから、だんだんこういうゆるいサークルというか、いまの仲間ができていった感じがする。

壮太:〈スプートニク〉ができる前に、あの場所でパーティやってたから。2000年ぐらいの話なんですけど。

そうなんだ。誰が主催してやってたの?

壮太:コバがやってたのかな。

アッキー:でももう〈スプートニク〉なんじゃない? それって。たぶんそれの流れだよ。

でも、音楽をやるっていうのは、ある意味バーとは逆ですよね。もうちょっと不特定多数に投げかけるものじゃないですか。バーの閉鎖感とバンドとの開放感と、っていうのはどうなんでしょうね。

壮太:でもバーはあくまでも使い勝手のいい部室として使ってるから。

ははははは。

テッペイ:いや、むしろ逆ですよ。それを変えたくて、いま帯でDJ入れてるんですよ。同軸にしたくて。いままでギャップがありすぎたから。

アッキー:それ〈火曜メスカ〉でしょ?

テッペイ:そう〈火曜メスカ〉の話。ほかの曜日は知らないけど。

〈火曜メスカ〉って?

アラタ:火曜だけ俺らが〈メスカ〉を開けてるんですよ。いま俺とテッペイなんですけど。まあ部室状態で。

テッペイ:1時とかに開けてたから、「それヤバい」っつって、せめて午前の前から開けるようにして。23時とかに開けて、DJもふたりぐらい呼んで、実験的にやってます。

壮太:社会性を持たせたくないってこと?

はははは。

マキ:社会性って(笑)。

だいたい僕の世代だとバーって「ぼったくりバー」っていうイメージがあるからね。中途半端に行ったらヤバいっていう。

マキ:たしかに、いくらかわかんないし。

バンドがデビューしたのが去年ですよね。で、お店を中心にしてみんながいて。この10年に街っていうのはどういう風に様変わりしたと思いますか? 

マキ:変わったのかなあ......。

あんまり思わない?

マキ:自分も変わっちゃってるから(笑)。

いや(笑)。だってさ、昔はさ、平気で公園通りの雑居ビルに個人商店が作れたわけだけど。

マキ:たしかに。自分も10年でだんだん奥のほうに移動してるかもしれないですね、行動範囲が。

壮太:駅の近くとかチェーン店しかないわけですよね。で、駅から離れるにつれて個人商店が増えていくっていう構造なわけでしょ、繁華街って。

その離れる距離がどんどん広がってるよね。

壮太:奥に行けば行くほどディープになるという。どこでもそうなんじゃないかな。新宿でも池袋でも。駅前は和民とかケンタッキー・フライドチキンとか、なんかそういうのばかりで。奥のほうに行くとだんだん変なバーが出てくる。

アッキー:でも職質の回数は増えたよね。

マキ:奥のほうは増えたよね。

壮太:〈エイジア〉の通りは渋谷署のボーナス・ステージですよ。

はははははは!

壮太:マリオの地下の面みたいな。コインざくざくの面。

マキ:あそこは防犯カメラがないから。ラブホ街って、だからおまわりさんがすごい多いの。

壮太:なるほど。

アッキー:スケボーで街を移動できなくなりましたね。

そういう意味で言うと、街から猥雑なものをどんどん排除しようっていうのがこの10年であったと思うんですけど。たぶん〈メスカ〉なんかはそういう砦となって(笑)、ふんばっているんだろうなと。

マキ:でも不思議だよね。何にも起こらないっていうか。

壮太:〈エイジア〉の通りみたいなプラスイオンがガンガン出てるとこに行くと、ちょっともう。そういうときはBunkamuraの入り口に行って、Bunkamura見ながらタバコ吸って、「俺はスノッブ、俺はスノッブ」って思う。

一同:ははははは!

プラスイオンって(笑)。去年『トワイライト』を出して面白いリアクションはありましたか? 

壮太:ぜんぜん知らないライヴ・オファーが増えましたね。全部アウェーで。

テッペイ:夜が合うって言われる、ツイッターとか見てる感じだと。

いや、そりゃそうでしょうね。

テッペイ:いや、昔「海が似合う」とか言われてたんで。

アッキー:ええー、そんなことないでしょ。

マキ:そんな時代あったの?

テッペイ:実際海とかでやってたじゃん。新島とか。

アッキー:知らないバンドと対バンすると、びっくりする。

アラタ:でも、クラブの夜中でバンドがうちらしかいなくて、DJとかじゃなくて、たとえば〈新世界〉とかで夕方から夜にいると、知らない客層がいて、それはすごい新鮮。

ああー。〈新世界〉のお客さんなんかはどうです? けっこう受け入れられてる?

アラタ:世代が近いのか、意外とMCがウケる(笑)。あともっと若い世代もいて。

マキ:若いよね。

アラタ:呼ばれて行くと、意外と対バンで面白いのがいたりとか。

アッキー:イン・ジャパン(Inn Japan)とやったときとか、面白かったですね。

イン・ジャパンって?

アッキー:高円寺の〈クラブライナー〉っていうけっこうちっちゃいライヴハウスがあって、イン・ジャパンって言うバンドがいて。

アラタ:サブカル臭が強い感じ。

壮太:メタ・ヘヴィメタ・バンドですね。

※小林=コバ(渋谷で汚い遊びをしている人でこの人を知らなければモグリ)

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何にも生まれていない。(マキ)
巨大すぎて。ブラック・ホールだから。(高木壮太)
ちょっとヘッドショップとかで、"マリフレ"がかかるぐらい。(マキ)


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自分たちよりも若い世代のリアクションなんかはどうでした?

壮太:ほとんど若いですよ、どこ行っても。

テッペイ:うーん、でもウケるのサブカル系ばっかっすね、なんか。

(笑)。

テッペイ:ほかに見るものがないからこっちを見てくれてる、みたいな。〈メスカ〉といっしょだな。メンヘラの最終砦みたいになってるという。

アラタ:だからジャズトロニカにいるような綺麗なお姉さんはいないよね。

テッペイ:そう、いない(笑)。

アラタ:客層が羨ましい、ほんとに。

テッペイ:一瞬かわいい子だとしても、なんかここ(手首)に巻いてたりとかする感じでしょ(笑)? だから勘繰っちゃうよね、全員。

アッキー:OLが買わないってこと?

アラタ:OLはジャズトロニカ。

でも、これだけ危うい言葉を使ってたら、それはやむを得ないというか。それは敢えてわかっててやってるでしょう?

アッキー:わかっててやってるところも、個人的にはありますよね、やっぱり。

それは手ごたえとして、伝わるものなの?

アッキー:伝わってるとは思うんですけど、誤解してるひとが多くて。

どういう風に?

アッキー:壮太くんの人格イコールうちのバンドみたいな。

はははははは!

アラタ:それは違うっていう。

壮太以外:それは違う!

アッキー:でもそれを考えると、壮太くんはいまサブカルの砦なんじゃないかっていう。それは違うって言ってますけどね。

テッペイ:かあちゃんから「あんたのバンドのひと、ドラッグの話しかしないけど」とか言われて。

壮太:(爆笑)

えっ、そんなこと言われたの!?

テッペイ:それ親父の還暦祝いのときで。

でもお母さんがそこまでわかるってすごいよね!

テッペイ:だからラヴ・ミー・テンダーで検索すると、壮太くんのツイッターが出てくるらしくて。ツイッターのやり方までは知らないと思うんだけど、見れるのは見れるじゃないですか。そのせいで、じいちゃん家住めなくなったからなあ......。

アラタ:ははははは! そうなの(笑)!?

テッペイ:だってオッケーが出て、その次の日いきなりダメになったから。

アラタ:でも壮太くんの荷物は置いてあるっていう。

壮太:知らないっすよ。

テッペイ:そうやって情報を得るのが、いまはいろんな入り口があるじゃないですか。そうなっちゃうのはしょうがないんですよね。それはそれで面白いんですけどね。そういう広がり方をしていて。

そこでどのぐらい伝わるかっていうのは難しい話だなとは思うんですけど。

壮太:いちばん反響があったのはele-kingですよ。でもあれ音楽の話してないですけど(笑)。結局だから怖いもの見たさとかそういう感じで(笑)。

いや、そんなことないですよ(笑)。「コード進行が好きで」とか「細野さんが大好きで」とか、ちゃんと話してるよ。

マキ:ちょっとだけありましたね。

壮太:それがちょっとしかないからそこが映えるんですよ(笑)。

いやいや。めちゃくちゃ音楽の話してたよ。

壮太:ひひひひ。

でも普通、アレじゃないですか? ここまであからさまにドラッグねたを表現するっていうのはさ。ほかにそういうバンドがいないからでしょう?

テッペイ:いや意識してないですよ(笑)。

壮太:今回はしませんよ。もう卒業しました。

アラタ:うちのバンドは合法ドラッグ・覚醒剤は禁止ですから。

マキ:はい、そうですね。悪いものはちょっとやめていこうか。

なるほどね。シングルほど直球な言い回しはしてませんが。でも今回は控えめながらも、相変わらずそのスタンスは貫いてるなっていうふうに思ったんですけど。

テッペイ:曲もそうですね。ぜんぶなんかこう、中和した感じですね。たぶん、いままでよりも。

あくまでもラヴ・ミー・テンダーの確固たる主題なわけでしょう?

アラタ:いや、ぜんぜんそんなことは......(笑)。

マキ:ないですよね。

テッペイ:でもわかんないよね。次のテーマはもしかしたら子どものことばっかりになっちゃうかもしれない。

マキ:そうなっちゃうかもしれない。いやでも、出産こそドラッグかもしれないんで。

ああ、それはほんとにそうらしいよ。

マキ:それを期待してる。気持ちいいならやってやる! みたいな。

男性陣:(爆笑)

その前に究極の痛みを乗り越えての気持ちよさらしいですけどね。

テッペイ:デトックス(笑)。

マキ:デトックスで(笑)。

壮太くんみたいな、肝の据わったひとはともかくとして――。

壮太:いや、肝据わってないですよ。

ははははは。

壮太:俺ここ3年でうろたえてる姿を見られてるんで。

テッペイ:それ女関係だけでしょ? 女関係以外はすげー肝座ってますよ(笑)。

はははは(笑)。自分たちより下の世代からどういうリアクションがあったの?

アラタ:あるのかなあ......?

テッペイ:ライヴのあとにブログを書いてたのがあって、たぶん若いやつだと思うんだけど、そこには「演奏はすごい良かったけど、怖かった」って。

はははははは。

テッペイ:たぶん免疫がないひとから見たら、見た目どうこうじゃなくてオーラみたいなのがダメみたいで。だからそういうひとは次ライヴ来ないのかなあと思っちゃって。演奏はいいんだけど、うーんみたいな、そういうのはあるのかなって。

壮太:わかるわかる、でも。怖いって言われるよ。ただ年がいってるからじゃないの?

テッペイ:うん、それもあると思う。

それはどういう意味なんだろうね。

壮太:感情移入ができない。

マキ:ふふふふふ。

昔で言うと、スピード・グルー&シンキというかね。

テッペイ:免疫がないものに接すると、さいしょパーって来るじゃないですか。わーって。そのあとにそれを好きになるか嫌いになるかは、そのひと次第だと思うけど。

アラタ:つけ胸毛じゃなくて、つけリストカットみたいにしたほうがいいかもしれない、うちらは。

壮太:くくくく。

あとはパロディもあるわけでしょう? それを嗤うっていう。

アッキー:根本的にユーモアっていうのはすごくあるかもしれないですね。シリアスというよりは、なんちゃって感は。

なんちゃって感はすごくあるよね。だってHBでやってるマキちゃんと、ぜんぜん別なわけだから。こんなにメンバーに個性の強い方が集まっていて、レコーディングはうまくいったんですか?

壮太:いきました。

マキ:はい。でも出前がちょっとね。

テッペイ:壮太くんがピザがいいって言い張って、ほかのひとが違うっていう。

そこでもめるんだ(笑)?

アッキー:マキちゃん魚ダメだから寿司もダメだし。

マキ:出前問題がけっこう大変でしたね。

前に2枚を出したことによって、自分たちで自信を得たことはあったんでしょうか?

テッペイ:技術的なことですけど、3作ともエンジニアが違ったので、いままでのふたりも良かったんですけど、メリット・デメリットがあったから、今回それぞれ自分の楽器に関しては録りやすくなったと思うけど。自分の音をこうしたほうがいいっていうのがわかったんで、そこは早かったと思う。

マキ:もともと時間もないし、そういう意味ではけっこうどんどんどんどん進めていけましたけどね。

アッキー:やっぱ週1でリハーサルに入ってたのは良かったと思ってますけどね。週1で、4時間。

マキ:部活っぽく。

歌詞はどうなんですか? 

マキ:そうですね。日々の生活のなかではっと思いついたことを書きとめて。

"リバウンド"も。

マキ:まあそうですね。

テッペイ:あれはもう"DIET"のアンサー・ソングを作ろうっつって。

ああ、なるほどね。"ムードウーマン"とかね、いいですね。これムードマンへの返答として(笑)。

テッペイ:まったく意味ないです(笑)。ムーディだからじゃないですか。

壮太:俺の作った映画にムードウーマンって出てくるの。架空の人物。

マキ:そうそう、あれに出てくる。

ラヴ・ミー・テンダーを面白がってくれればいいなと思うんで、怖がられたっていうのはちょっと残念だなと思って。

マキ:あと怒られたりとか。

怒られるっていうのは何なんですか?

アラタ:どこのイヴェント行っても「こんなのめんどくさいよねー」とか言いながら、結局最後まで残って飲んでて。スタッフからしたら「早く帰んねーかなこいつら」みたいな(笑)。もうベロベロになってて。

アッキー:電気がバーッとついて「早く出てってください」っていう(笑)。

マキ:「いつまで飲むつもりなんですか」みたいなね、多いよね。どこでも。

テッペイ:楽屋で怒られたこともあったもんね。ステージで弾き語りか何かやってて、「静かにしてください」って。楽屋でうちらで盛り上がってて、声が全部なかに漏れてたみたいで(笑)。

アラタ:でもそれはお店の問題で。

テッペイ:ねえ?

アラタ:それを「静かにしろ」っていうのはおかしいでしょう。

マキ:いや、迷惑でしょ(笑)。

ははははは。

アラタ:〈FEVER〉の楽屋は最高ですね。

もうちょっと軋轢を起こすのかなって思ったんですよ、僕は。日本は冗談が通じないじゃないですか。冗談を、わりと真顔で怒ったりとか、笑ったら怒ったりとか。

マキ:怒られてますね。

テッペイ:いやあ、一番コアな部分は突かないようにしたいですよね。壮太くんがやりそうだけど。

なるほどね。壮太くんはそれを狙ってるでしょう?

テッペイ:壮太くんはうまくやってるけど、でも俺らがストッパーの役ですよね。たまにそれをぶっ刺しすぎてるから、「そこはやべえ」っつって(笑)。

壮太:デモの映像を使ったPVとか、すごい叩かれましたね。

マキ:そう、叩かれましたね。炎上しちゃって。

テッペイ:違法のモデルガンを3丁持ってて。しかも道玄坂の交番の前で撮ってたから(笑)。

だははははは。

アラタ:それデモじゃないじゃん。

マキ:それは"メスカリーター"だ。

そういうのは、バンド内では「しょうがないねー」っていう感じですか。

マキ:(笑)まあいっかー、みたいな。

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わけはわかんないですけど、受け入れてねじ伏せるみたいな感じで、けっこうピース。まとまりますね。あんまり暴力とかはね、3年に1回ぐらいしかないよね。(マキ)
最近はさ、だって合法系はみんな暴力に行くじゃん。(テッペイ)


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自分たちがやろうとしてることと、世のなかとの距離を改めて感じたところはあるのかな?

壮太:ライヴハウスとかでやりづらいですね。

ほう。なんでですか?

壮太:昔から嫌いなんですよ、ライヴハウスが。システム自体が。

それは音響的な問題?

壮太:いや音響的な問題じゃなくて。だってお金払って行かないでしょう、ライヴハウスに。「今日ライヴでも観ようかな」って。自分の知り合いのバンドが出てるなら行くようなもんで。本来は「ちょっと音楽でも聴きながらビール飲みてえな」ぐらいの感じなのに。

アラタ:アメリカとかね。

マキ:うん、そういう風に入りたい。

壮太:そうじゃなくて、なんか貸しスペースみたいになってるから。

テッペイ:客も下手したら入れ替え制みたいになってるもんね。

壮太:興味ないときのお客さんって、エレベーターの階数表示見てるみたいな表情でそのバンド見てるじゃないですか。「耳栓しろよ」っていう。ああいうのイヤですね。

クラブは雑多なひとが集まるから、そこはホントにライヴハウスとの違いだよね。

壮太:そうなんですよ。お客さんと一緒の高さでやって、俺たちが演奏してるときもお客さんがバラバラの方向向いて踊ってるみたいな状況のときが一番好きなんだけど。

マキ:うんうん。

ラヴ・ミー・テンダーにとって、もっともコアにあるものというか、中核を成すものは何だと思いますか?

アッキー:マキちゃんじゃないですか、やっぱり。

ほう......いやそれこのあいだも言ってましたよね。じゃあマキちゃんの次は?

テッペイ:最初はアフター・スクール感、放課後の感じって言ってたよね。

壮太:自分たちでもわからない。話し合ったこともないし。

「こういうことを歌ってるけど、ドラッグ・ソングのバンドだとは思わないでほしい」と言ってるわけじゃない? 

壮太:バンドが音を紡いでいるところ。バンドの部活感。その、何て言うんですかね。バンドとはこういうものですよ、というものを見てほしいですね。

バンドの部活感?

壮太:何て言うんですかね、典型的なバンドだと思うんですけど。集まってアンサンブルするときにどんなことが起こるかっていう。すべて起こってますから。

アッキー:誰かが大統領じゃないっていう感覚というか。誰かひとり出てるわけじゃないっていうか。

バンドの面白さっていうこと?

アッキー:マキちゃんはすごく象徴的なんだけど、演奏とかそういう部分で言うと、全員が同列というか。

アラタ:バンドやってるのが楽しいっていうことじゃないですか(笑)。

テッペイ:楽しそうに見られれば一番いい。

でもマキちゃんはHBもやってるわけだから、ラヴ・ミー・テンダーやらなくてもいいわけじゃないですか。

マキ:あ、そうですね、あはは。

(一同笑)

じゃあHBとラヴ・ミー・テンダーの違いは何ですか?

マキ:違い。違いはもう......それは全然違いますね。ギャル・バンドと。

アッキー:あれはやっぱり女子高でしょ。

マキ:女子部。

でも世のなかにはすごくバンドが数多くいるわけじゃないですか。ラヴ・ミー・テンダーは存在する必要はないじゃないですか。

アッキー:存在してないのかもしれないです。

(笑)ほら、これはCDの売り上げに直結する質問をしているつもりなので。

テッペイ:そうやって外向いちゃうとキリがないじゃないですか。

いいじゃないですか(笑)。

壮太:どうなんですか、アンディ

いやアンディはアンディなりに解釈してるんだから(笑)!

マキ:アンディが言う通りなんじゃないかな(笑)。

アラタ:でもまあ、たとえば下北で演劇系のひとたちとミュージシャンのひとたちをざっくり分けると、こういう言い方すると悪いけど演劇系のひとたちは頭でっかち。芝居論の話をしたりとか。ミュージシャンのほうがもっとバカというか、考えてないっていうと語弊があるけど、ほんと楽しいからやってる。快楽主義的な傾向が強いというか。

マキ:そうだよね。

アラタ:あるじゃないですか、そういうの。

はいはい。

マキ:終わらない討論を朝までやってる感じ。

そうそう。

マキ:そういうのじゃない。もっとくだらないことで朝までいるっていう。

アラタ:楽しいとしか言いようがない。

マキ:そう、楽しいからやってる。

アラタ:ほかのバンドとの差別化ってことで言われちゃうと、まあどのバンドも楽しいからやってんだろうなっていう。

アッキー:でも洗練されたポップ・ミュージックをやりたいっていうのが......俺はあるんだけどどうなの?

それすらも共有されてない(笑)。

アラタ:まあ洋楽志向ではある。

アッキー:それを通ったAOR感みたいなそういうことが。

AOR感はあるね。

アッキー:日本独特のポップスもあるじゃないですか。僕は80年代の終わりぐらいから見てるけど。そういうのはちょっとねじれ度が違うと思うんですよね。たとえばなんだろう、ボ・ガンボスとかフィッシュマンズとかが残したものを、そのまま置き換えたって子たちもたぶんいたりして。でもそことは違うっていうか何ていうか(笑)......。言いづらいな。

アラタ:AORとかそういうので言ったらさ、流線形とかキリンジとかのほうがそうかな、って。あれよりもうちょっとうちらのほうが綻びがあるっていうか、何だろうね。自分たちのことを言葉にしようとすると難しい。「どんなバンドやってるの?」って言われたら答えられない。

テッペイ:そう、俺も言えない。

アラタ:ざっくり歌ものメインでインストもある、みたいな(笑)。

なるほどね。どうですか、壮太くんは?

壮太:いやだから、奥渋谷系ですよ。渋谷の奥のバーで醸成されたもの。実際そうなんだから。それがどういうプロセスを経てそうなったかはちょっと説明できないですけど。そう思ってくれたら。メンバー募集で集まったバンドでもないし、ここでしかないケミストリーがあったわけで。そうとしか言いようがないですね。

テッペイ:まだ途中だからね。

壮太:バンドだけが落下傘で落ちてきたわけじゃなくて、周りの人脈とか細かいバー同士の繋がりとか、そういうのが全部くっついてる。ファミリーを形成してるわけじゃないけど、どうしてもそういうの濃厚ですよね。

まあそうだよね。だから、ちょっと硬い言い方になっちゃうけど、コミュニティ的なところもある。

壮太:そうですね。

ちなみにアルバム・タイトルは誰が決めるんですか?

マキ:あ、あたしが。今回は。

『スウィート』ってしたのはとくに意味があるの?

マキ:えっと、あんまりないんですけど。友だちがニューヨークに行ってて、帰ってきたときにお土産でくれたポストカードに、「LOVE ME TENDER SWEET」って書いてあって。それで、「これだ!」って(笑)。

ははははは。自分たちの音楽を形容するのに今回ぴったりかなって?

マキ:はい。ぴったりで。すごくピンと来ちゃったので、それにしちゃいました。

ところで、今日はみなさんが来るまでにアッキーと話してたんですけど、6日付のロイター通信によると、アメリカの2州でマリファナが合法化されたという。

アラタ:まあ連邦法が変わんないとっていうところではありますけどね。

まあそうだけどね。ただ、いわゆる多数決で嗜好目的の大麻の是非が問われたときに決まったっていうのはね。住民投票で可決されたっていうのは初めてのことなので。ここ数年のアメリカの大麻合法化の動きはすごいじゃないですか。それはいい悪いの問題じゃないですよ。日本ではもちろん違法ですからね。でも、まず情報として日本のニュース番組でそういうものがまったく報道されていない不自然さというかね。

壮太:いや、簡単ですよ。大麻の是非以前に、ドラッグの会話自体がタブーなんですよ。たとえばカニバリズムってあるじゃないですか、人間がひとを食うっていう。あれは日本人は話題にするでしょ、「お前人間の肉食える?」「いや」「腹減ってたら食うかも」っつって。でも欧米だとそういう話自体が禁止ですよ。おおっぴらには。そういう話題に触れること自体がひととしてマナーに反するみたいな。日本でのドラッグがそうですよ。ドラッグの是非論とかやってもしようがないですよ。ドラッグの話題に触れることがタブーだから。

逆に日本は少女ポルノに寛容でしょ。たとえばマッシヴ・アタックの3Dが反戦運動をやったときに、何でイギリス政府が彼を捕まえたかって言うと、少女ポルノですよ。

壮太:ええー。

ドラッグじゃなくてね。そっちのほうが向こうだと罪が重いから。こうした文化の差っていうか、きっとそういうことも含めて、ラヴ・ミー・テンダーは投げかけてるのかなっていう風に思うんですよ。

壮太:解禁して安くなるなら万々歳ですけど。俺はその問題を考えるけど、解禁しても吸うひとは増えないと思いますよ。

アラタ:それはそうよ。

日本文化の異分子ではあり続けようとしてるとは思うんですよ。アゲインストしてないにしても。

壮太:でもたしかに東京にしか居場所がないですね。もうどこにも住めません。東京じゃないと自分みたいなのの居場所がない。受け入れてくれるところが。

テッペイ:東京の数店舗しかない(笑)。

(一同笑)

テッペイ:そういう話は毎回してますけど、そこを直接曲に入れたくはないです。重くなるから。

いやいやわかりますよ。

テッペイ:だからたとえば、全曲スウィートな曲調だったらタイトルを『スウィート』にはしてなかったと思うし、そのギャップは絶対出したい。

そういう意味で言うとね、コンセプト自体がすごくギャップがあるよね。一番清潔感のある日本のポップスのスタイルを取りながら、いちばんタブーなことを言ってるっていうね。

アッキー:でもそれも意識してたわけじゃないですね。結果的にそうなっちゃったっていう。

ああ、そうなんだ。

壮太:なんか、カシミアのセーターを着てまつ毛の長いおぼっちゃんがいつもナイフ持ってるとか、そういう感じ。

ははははは!

壮太:そういうのあるじゃないですか。フリッパーズ・ギターとかもそうだったと思うし。

※アンディ(LMT担当の敏腕A&R)

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今回はしませんよ。もう卒業しました。(高木壮太)
うちのバンドは合法ドラッグ・覚醒剤は禁止ですから。(アラタ)
はい、そうですね。悪いものはちょっとやめていこうか。(マキ)


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ああー、なるほどなるほど。じゃあ、みなさんは自分たちのリスナー像っていうのは見えてる部分ってあるんですか?

壮太:オタクが聴いてるっていうのはあるんですけど――。

えっオタク聴いてる!? 

壮太:オタクは聴いてると思いますよ。

テッペイ:俺のイメージは、ヒップホップとか何かを20代前半で飽きたひとが寄り道して聴いてる感じがするかな。

壮太:フュージョン・ファンとかシティ・ポップ・ファンは聴いてないと思います。

マキ:怒られるよ、だって。

壮太:なんちゃってシティ・ポップ、なんちゃってフュージョンだから。本格派のひとは聴かないと思いますよ。聴くひとは変わったバンドと思って聴いてるんじゃないですか。

いまの壮太くんのなかで、とくに問題意識みたいなものがあったら教えてください。

壮太:社会的にですか? やっぱりシリアスになりすぎてるくせに、すごくカジュアルになってて、インテリが迫害されているし、かと言って冗談も通じないし、窮屈になるいっぽうですね。

ああ、なるほどね。たしかに。

壮太:俺とか完全に知性のひとなんですけど。キャラクターはフクロウみたいな感じなんですけど。ぜんぜんそういうのは受け入れられなくなってるなあと。尊敬されない。

ははははは!

壮太:もの知ってるとバカにされるっていう。

アラタ:いやそれ、日ごろの行いなんじゃないでしょうか(笑)?

壮太:そのくせ冗談が通じない。戦争コメディとかがぜんぜん作られなくなった。昔はあったでしょ。『M★A★S★H』ぐらいまではあったじゃないですか。朝鮮戦争ぐらいまでの戦争パロディは。湾岸戦争とかを舞台にした戦争コメディとか全然ないじゃないですか。アフガニスタンを舞台にしたものとか。

ああ、でもイギリスはありそうだよね。

アラタ:アメリカも『ヤギと男と男と壁と』っていうやつは、あれはイラク戦争だよね。あれはけっこう面白かったけどね、脱力してて。

アッキー:なんかあったよね、湾岸戦争でコメディ。アイス・キューブが出てたやつだと思うけど(注:デヴィッド・O・ラッセル『スリー・キングス』だと思われます)。

壮太:アメリカ大統領選もわけのわからない泡沫候補が出なくなった。昔はスパイダーマンの格好したやつとか、出てたのにいつも。キャプテン・アメリカの格好したやつとか。

アラタ:日本もね、参議院選でUFO党がどうとかあったよね。

壮太:そういうのがなくなってきてると思います。

息の詰まりそうな場面っていうのはどんなときに思いますか? 日々?

壮太:日々。

なるほど。じゃあ......。

壮太:自分がいま大恋愛をしているからかも。街を歩くとみんなうつ病に見える。

ははははは! 自分は楽しいのにっていう。アラタくんも恋愛中だっけ? 恋をしているほうがテッペイくん?

マキ:そうです。

じゃあアッキー、ほかに言い足りないことがあれば言ってください。脱法ハーブについてでも何でも。

アッキー:うーん......合法はやめたほうがいいですよね。

マキ:やめたほうがいいですね。

壮太:仕組みはわからないけど、これだけバッドな症例がいっぱい報告されるってことはやっぱ統計学的にもおかしい。

アッキー:若いひとが死ぬってニュースを聞くのはやっぱイヤですよね。

また脱法ハーブっていう言い方もイヤだよね。

アラタ:存在自体が姑息。法の抜け穴でっていうのが何か。存在してる過程自体が姑息だし、やだなあって。キマり方が孤独に陥るキマり方だし。

それで儲けてるひともいるわけだからね。

アッキー:DJバーはぜんぶ、合法ハーブを店で吸うのを禁止にしたほうがいいですよ。

DJバーで吸ってる?

アッキー:うーん、吸ってるひともいる。

アラタ:合法だからね、堂々と吸える。

とにかく、合法には手を出すなと。

アッキー:そういうプロパガンダをしてもいいんじゃないですか、DJバーが。

アラタ:身近でもね、20年覚醒剤をやってたひとが、最後は合法に手を出して死にましたからね。

ああ、危険なんですね。

アラタ:覚醒剤もすごく危険なドラッグなのに、それをちゃんと20年コントロールしてやってられるようなひとですら。キングギドラだっけ? そういう銘柄があるらしくて。

それはどういうやつなの?

壮太:バス・ソルトとして売ってるんですよ。

奇妙な世のなかだよね。

アッキー:ねじれがすごいですよね。

壮太:ラボの技術が法律を制定する速度を上回ったって、ただそれだけしょう。新薬を作る速度のほうが、法律を制定する速度より速くなったからこの現象が起こってて。そのいたちごっこはいままでもあったけど。ちょっとだけ化学式を変えて、新薬だっていうのは。この先はどうなるか予測がつかないです。

なるほどね。わかりました。今日はいろいろ話を聞きましたが、ラヴ・ミー・テンダーは基本的には、すごくロマンティックな音楽だと思ってるから。

マキ:ありがとうございます。

テッペイ:ラヴです、ラヴ。

壮太:化学式はやりません。

言い方は悪いですけど、すごくバカなことをやってるでしょう、この歌詞にしても(笑)。敢えてバカなことをやっているのはなにゆえなんでしょう?

壮太:計算してやってるわけじゃなくて、ほんとにイノセント感の表れだと思ってます。

テッペイ:冗談が好きなんですよ、ただただみんなほんとに。へへへ。

なるほど、わかりました。そんなところでしょうか。

アッキー:最後に一言。

お、なんですか?

アッキー:脱法には愛がない。これ、壮太くんが言った名言だと思ってます。

壮太:言ってたっけ、俺?

いいですね。バンド名がラヴ・ミー・テンダーってぐらいだからね。本質はあくまでそっちにあるってことですね。ではどもありがとうございました!

一同:ありがとうございました!

LOVE ME TENDER "SWEET" RELEASE PARTY ~また逢う日まで~
2012.11.28 (WED) SHIBUYA WWW
OPEN 18:00 / START 19:00

LIVE: LOVE ME TENDER / ホテルニュートーキョー / LUVRAW & BTB
DJ: 二見裕志

ADV 2,500 yen (+ drink fee) / DOOR 3,000 yen (+ drink fee)
TICKET: e+ / LAWSON [L: 70179] / WWW

INFO: WWW 03-5458-7685 https://www-shibuya.jp
LOVE ME TENDER https://lovemetender.mond.jp

Photodisco - ele-king

聴いていて気持ちの良い、最近の楽曲を選びました。
よろしくお願いします。

■2012/11/12 CASSETTE TAPE - EP "BETA" Release!!!
https://diskunion.net/portal/ct/detail/IND11111

■Profile
https://p-vine.jp/artists/photodisco

■Photodisco Official Website
https://www.photodisco.net/

■YouTube
https://www.youtube.com/user/Photodisco

最近、よく聴いてる音楽10選


1
Madalyn Merkey - Scent - Siren

2
How To Dress Well - Total Loss - Ocean Floor For Everything

3
Teams - Dxys Xff - Stunts

4
Wishmountain - Tesco - Dairy Milk

5
Toro Y Moi - June 2009 - Talamak (First Version)

6
V.A. (100% SILK) - The SIlk Road

7
KINK GONG - XINJIANG

8
Southern Shores - New World - Sankasa

9
Piano Overlord - Aninha Mission - En Sveno

10
ICE CHOIR - AFAR - Teletrips

こんにちは、マシューデイヴィッド! - ele-king

 アメリカ、ロサンゼルスを代表する非営利ネットラジオ局、ご存じ〈dublab〉の日本ブランチdublab.jpが、MatthewdavidとAnenonを招聘しての楽しいイヴェントを開催!

 「はじめはアンビエント・サイケのカセットを作ろうと思っていた」......のちに〈ダブラブ〉を通して本格始動した〈リーヴィング・レコーズ〉の立ち上げに際して、マシューデイヴィッドは創設メンバーのジェシリカ・モリエッティと長い時間をかけてサウンドのキュレーションを行ったという。ほぼ全リリースに及ぶというマスタリング作業を通じて、彼はズブズブに夢見心地なサウンドを確立し、鮮やかなレーベル・イメージを提示した。いまそれは時代と切り結びながらより広いリスナー層へと波及しつつある。彼の周辺にはサン・アローなど刺激的なアーティストも多く、現在のLAのもっともおもしろい部分を体現する存在としても今回の初来日は貴重であり、学ぶところは多いはずだ。一方のアネノンは〈ダブラブ〉のDJとしても活躍する新鋭プロデューサー。サックスとピアノが印象的なEP『Acquiescence』につづき、アルバム『Inner Hue』をリリースして間もない新鋭であり、やはりLAのエレクトロニックなシーンとの関わりが深い。
 詳細は明らかになっていないが、この企画ではマシューによる音楽制作についてのワークショップもあるという! 企画自体が彼らの来日公演であるという以上の性格を持った複合的なカルチャー・イヴェントであり、その他のワークショップや上映会等を含んだ意欲的なものだ。ライヴとあわせて楽しみたい。

LAからは、dublabに深く関わる2アーティスト、MatthewdavidとAnenonを招聘します。
Matthewdavidは、Flying Lotus率いるBrainfeederに所属し(アルバム『Outmind』をリリース)、LAでいま最も神秘的なレーベルといっていいLeaving Recordsを主宰しています。
Anenonは2011年のRed Bull Music Academyにも招待されたアカデミックなキャリアをバックボーンに持つプロデューサーで、レーベルNonprojectsを主宰しています。
日本からは、今年LAに赴きdublabにもライヴ出演したBUN/Fumitake Tamura、dublabでエソテリックなDJミックスを配信しているShhhhhというdublab.jpの核となるアーティストに、ワールドワイド に活動するChihei Hatakeyamaを迎えます。

また、当イヴェントは単にライヴやDJのみならず、子供のためのワークショップの開催や、dublabが制作した映像作品の上映など、複合的 な催 しとなります。開催場所となる東京芝浦の新しいコミュニティ・スペースSHIBAURA HOUSEにもぜひご注目ください。

詳細→ https://www.shibaurahouse.jp/event/dublab-jp1/

■dublab.jp & SHIBAURA HOUSE present
"Future Roots" feat. Matthewdavid & Anenon


Matthewdavid


Anenon

■日時
2012.12.9(日)
13:00~
WORKSHOP for children
14:30~
WORKSHOP feat Matthewdavid
16:00~20:30
Live:
Matthewdavid
Anenon
Bun / Fumitake Tamura
Chihei Hatakeyama

DJ:
Shhhhh

■場所
SHIBAURA HOUSE/ 1F, 5F
東京都港区芝浦3-15-4

■料金
1500円(出入り自由、中学生以下無料、ワークショップ参加の場合:2000円)

主催:dublab.jp(https://dublab.jp)/ SHIBAURA HOUSE
協賛:Sound & Recording Magazine
サウンドシステム:Forestlimit
協力:PowerShovel,Ltd

*子供のワークショップには、必ず保護者の方が同伴の上、参加ください。保護者1名に付きワークショップ参加料金は2000円となります (16時以降の音楽イヴェントも入場いただけます)。申込フォームは詳細が決まり次第用意します。

Kaoru Inoue - ele-king

9/12に個人名義では3枚目になるアルバム「A Missing Myth」と、10/24にギタリスト小島大介とのユニット"Aurora Acoustic"の新作「Harmony of the Spheres」とベスト盤「The Light Chronicles」を、全て自主レーベル「Seeds And Ground」よりリリースしました。「A Missing Myth」のCD盤は限定生産とはいえ一ヶ月強で在庫がなくなるという、自分でも驚くべき結果となりました。真摯に音楽を作ることで応えてくれる人々がどんな時代状況でもいるという、もしかしたら当たり前のことに改めて気づかされ勇気づけられました。来年に向けさらなる制作もプランしつつ、今後もDJやライブをやり続けます。

11/3 @ Vision 1st Anniversary
11/4 Life Music @ Time Out Cafe & Diner
11/10 "A Missing Myth" Release Party @ Nattsu (Takamatsu)
11/17 "A Missing Myth" Release Party @ Troop Cafe (Kobe)
11/24 Komamo 2012 @ 東京大学駒場際
11/24 Blafma @ eleven (Aurora Acoustic)
12/1 Groundrhythm 10th Anniversary @ AIR
12/8 "A Missing Myth" Release Party @ Labo Underground (Miyazaki)
12/15 "A Missing Myth" Release Party @ Add (Sendai)
12/21 "A Missing Myth" Release Party @ Orb (Nagasaki)
12/23 "A Missing Myth" Release Party @ Yebisu Ya Pro (Okayama)

https://www.seedsandground.com
https://soundcloud.com/kaoru324

CHART


1
Mungolian Jetset - Smells Like Gasoline - Smalltown Supersound

2
Kaoru Inoue - Etenraku - Seeds And Ground

3
Kaoru Inoue - Ground Rhythm (The Backwoods Remix) - Seeds And Ground

4
Awane - Atom - Seeds And Ground

5
Secret Circuit - Jungle Bones (Prins Thomas Bonus Beat) - Internasjonal

6
Tornado Wallace - Rainbow Road (Lewie's Bowser Castle Remix) - Instruments of Rapture

7
Bepu N'Gali - I Travel To You - International Feel

8
Den Ishu - High U Gonna Feel - Supernature

9
Chymera - Death by Misadventure (Album) - Connaisseur

10
Kaoru Inoue - Malam - Seeds And Ground

Chart JET SET 2012.10.29 - ele-king

Shop Chart


1

Greg Foat Group - Girl And Robot With Flowers (Jazzman)
11年のシングル、アルバムは一瞬で完売。エレガントでサイケデリックでグルーヴィーな独自の世界を進化させた話題の新作が登場です。即完売必至の1000枚限定プレス!!

2

Frank Ocean - Thinking About You (Unknown)
2012年にアルバム『Channel Orange』で公式デビューを果たしたR&bシーンの注目株Frank Oceanによる"Thinking About You"の5リミキシーズ! どれも原曲を生かしたナイスな仕上がり!

3

Martha High & Speedometer - Soul Overdue (Freestyle)
Vicki Andersonをカヴァーした大ヒット・シングル続く待望のアルバムは、ソウル/ファンク名曲の数々をカヴァー。

4

Egyptian Hip Hop - Syh (R&s)
鮮烈なデビューから早くも2年。遂に出たアルバムから500枚限定の7インチが登場!!

5

Kendrick Lamar - Good Kid, M.a.a.d City
玄人をも唸らせるフリースタイル・スキルを持つ若手ラッパーが、Cd/mp3音源でのリリースやDrake, 9th Wonder等の客演を経て、遂にAftermathからメジャー1stアルバムが投下されました!

6

Stepkids - Sweet Salvation (Stones Throw)
2011年の1st.アルバムが高い評価を得た西海岸の腕利きトリオ、Stepkids。年明けリリース予定のセカンド『Troubadour』からの先行12インチが到着です!!

7

Enzo Elia - Balearic Gabba Edits 3 (Hell Yeah)
Enzo Elia自身の主宰する要注目のイタリアン・レーベルから、ヴァイナル・オンリーで展開される大人気シリーズ"Barearic Gabba Edits"第三弾!

8

Beauty Room - Beauty Room ll (Far Out)
A.o.r.、ブルーアイド・ソウル、ソフトロックまで取り込んだ、洗練を極めた究極の都市型音楽が誕生!!

9

La Vampires With Maria Minerva - Integration Lp (Not Not Fun)
ごぞんじ100% silk主宰者Amanda Brownのソロ名義、La Vampires。当店超ヒットのItal、Octo Octaに続くコラボ盤は、ロンドンの女性クリエイターMaria Minervaがお相手です!!

10

Sir Stephen - House Of Regalia (100% Silk)
12"「By Design」が最高だったニュー・オーリンズの鬼才クリエイターによる8曲入りアルバム。アシッド・ハウス~ヒップ・ハウス~アーリー・90's・ハウスを極めた入魂の全8トラック!!

Pete Swanson - ele-king

 紙エレキング7号にてインタヴューをおこなったピート・スワンソンが「狙ったぜ!」というようなニュアンスで語っていた最新12インチはお馴染み〈タイプ〉から。
 じつは7号の編集会議の際、当初インタビュー候補としてあがっていたのはピートではなくプルリエントことドミニク・フェルノウであったのだが、プルリエントの近年の作品、およびコールド・ケイヴでのナル感がちょっとアレなんでピートにしないッスか? と僕が個人的にゴリ押ししたのだ。三田さんにアレも最近ピコピコじゃん! と言われ、聴いていなかった彼の『マン・ウィズ・ポテンシャル』を聴いてたしかに予想以上のピコピコ感ではあるものの、決して彼のピコピコはいまにはじまったものではなく、イエロー・スワンズ時代から隙あらばノイズ・エレクトロ・セットであるダヴ・イエロー・スワンズで存分にヴォコーダー、ノイズ、ドラムマシンを駆使したダンサブル・ノイズを展開してきたわけだ。え? テクノイズって言うの? なんかモッサイなーそのターム......ちなみにダヴ・イエロー・スワンズの「Live During War Crimes」のシリーズでのリリースを率先しておこなってきたスウェーデンの〈リリース・ザ・バッツ〉は今年をもって活動を停止するので興味がある方はいまのうちにゲットすることをお薦めする。またひとつ良質なレーベルが消えていく......

 そして先日のele-king TVにて敬愛するカネイトやジェイムス・プロトキンの話題の際、三田さんが仰っていた「切迫してユトリが無なさすぎるサウンドはしばしばキツイ」というニュアンス。
 たしかにその通りだと思う。しかし超個人的なことを言えば僕はカネイトを聴いているときもそのサウンドを聴きながら死にてー、とか殺してー、とか思ってるというよりは(思ってるときもあるよ)暗すぎてマジウケルー。みたいな感覚で聴いていることが多い。はたまたバーズムの出所後初の音源を聴いたときもそのあまりの純粋ブラック・メタルっぷりに、教会燃やして人殺しといてコイツ全然反省してねーよ(爆)......とか。自分にとってのリアリティのなさが作り上げる距離感、それがユーモラスに思われるわけだ。シリアスすぎるサウンドだからといってシリアスに聴く必要などない。その聴者が作り上げる距離感もまた重要なのだ。

 そういう意味でこのピート・スワンソンの『プロ・スタイル』は演奏者、サウンド、聴者の距離感を逆手に取った作品に僕には思えるのだ。
 まずこのジャケにやられる。そしてタイトルにやられる。「A1. Pro Style A2. Pro Style (VIP) B. Do You Like Students ?」
 そして針を落としてスピーカーから放出される『マン・ウィズ・ポテンシャル』の延長線上のラディカル・テクノ・サウンドに腰を抜かす。この冷たいスピード感、いわゆるところのシャブ感みたいなモンはあたかもノルウェジャン・ブラックメタルのそれを思わせる......コ、コレがプロスタイルッスかピート先輩......と、思わず自宅でブチ上がりながらも呟きそうになってしまった。
 彼自身が言うところの音楽における究極性であるノイズを、これほどまでポップに仕上げてしまうセンス、それは彼と作品との距離感に他ならない。ピート・スワンソンはこのダヴ・イエロー・スワンズからつづくテクノイズ・スタイルとイエロー・スワンズからつづく超ハーッシュなフォークのようなスタイルの音源をほぼ交互にリリースしている。それは純粋に彼に尽きせぬインスピレーションがあるのと同時に(控えめに言っても彼の作品はどれも情念的だ。)自らがつくり上げるサウンドのなかに身を包まれていたいという欲求なのだ。
 それは往々にしてプロセスの段階でカタルシスを迎えるものである。完成した作品はつねに必ずひとり歩きをはじめる。ピートにはおそらくマスタリング・エンジニアとしての客観性が完成させた自身の作品をユーモラスに茶化すゆとりがつねにあるのだと僕は思う。まぁ、すごい漠然としたニュアンスで言えば、むちゃくちゃブルータルな音源をつくって、これが俺の想いだ!......って言うんじゃなくてこんなんできちゃったけど笑える? みたいな。

 そもそも最近の〈タイプ〉自体にそんな雰囲気が漂っている。この変化は個人的に大歓迎だ。ちなみに冒頭でさんざんな言い方をしたドミニクであるが、〈タイプ〉からリリースしている彼の最新プロジェクト、ヴァチカン・シャドウにはハマっている。〈ノット・ノット・ファン〉のブリットもゴリ押ししてたけども、彼のローブドアの昨今のサウンドを聴いていると納得だ。ドローン・ミュージックを通過したエレクトロとビートの再構築に僕はワクワクされっぱなしである。

Sacred Tapestry - ele-king

Vektroid=Polygon WizardVektordrum=LASERDISC VISIONS=MACINTOSH PLUS=情報デスクVIRTUAL=FUJI GRID TV=INITIATION TAPE=ESC不在
 が与えられたとき、
Vektroid=〈NEW DREAMS LTD.
 が成り立つので、
〈NEW DREAMS LTD.〉=New Age-Psychedelic-Chillwave=Vaporwave
 であることより、
Vektroid=Vaporwave
 が言える。

 そう、ヴェイパーウェイヴとは、Vektroidを名乗る、アメリカ在住と思しき謎の人物による自作自演行為である。これが確かであるなら、ヴェイパーウェイヴは同時代の現象とはとても呼べないばかりか、小規模なアンダーグラウンド・コレクティヴでさえない。いわば偽装、詐術である。人がウェブ上に人格を持ちこんで以来、いわゆる「ネカマ」を標榜するユーザーが常に一定数、存在しているが、最初はそのような悪戯心からはじまったのであろうヴェイパーウェイヴも、少しずつ自らの意味付けを重くしていき、おそらくは自然な呼吸ができなくなってしまったのだろうと想像される。電子音楽史的には、ソロ活動者の伝統的な変名活動の一種と見るかもしれないが、この尋常ではないアカウント数は、ちょうどSNS上でサブ・アカウントや裏アカウントを取得し、陰口やエゴ・サーチ(ウェブ上自己検索)に耽る現代人の奇妙な分裂性、そしてそれを生む抑圧の構造に似ている。

 彼(彼女?)への追跡は、いまのところふたつの作品で行き詰まる。ひとつは、今年の5月に本人名義(Vektroid)でリリースされている『Color Ocean Road』で、同作のBandcamp上でのタグが、Vektroid(ヴェイパーウェイヴ)に関するほぼすべてのネタバレになっているが意味深だ。そして、いまさら隠すまでもないのか、最初からVektroid のSacred Tapestry名義であることが明記され、8月にSoundcloud上でのストリーミング・リリースとなった本作『Shader』が、〈NEW DREAMS LTD.〉という擬似レーベルの一応の区切りらしいのである。いわゆる「なかの人」であったVektroidが、このような撤退の素振りを見せている理由はいくつも推測される。悪ふざけでやっていたことが発見され、無視できない規模に広がってしまってビビッてしまったとか、単純に(超ニッチな規模とは言え)有名になってしまってウザくなったとか。もちろん、翻弄される私たちを見て、いまごろベッドの上で笑い転げている可能性もあるが......。

 この音楽に今日まで手を出さなかった人のために最低限のことを確認しておくと、ひと昔前の企業紹介ヴィデオの人畜無害なBGMを悪意でリミックスし、その残滓を無国籍でグロテスクなオフィス・カームとしてグチャグチャに混ぜ合わせたような産物だと思ってもらえばいい。ピッチ操作(スクリュー)された日本語音声や、意味が含まれているのか判断できない漢字の無作為なカット&ペースト、あるいは、使い古されたテレビ・コマーシャルの背景や古いコンピュータの起動音を引用したような痕跡も散見される。本作はその集大成とも言える内容だ。
 冒頭、日本の航空会社(?)のコマーシャル・ナレーションをスクリュー・ループさせた" LD・VHD "からはじまり、本作をヴェイパーウェイヴの作品と認識することが可能になる。だが、以降の曲でVektroid はそこを離れていく。続く"花こう岩 Cosmorama"では、動物の声や環境音などを散りばめつつ、"ドリーミー"以降、"移住"、"新たな夢 Spirited Child"では、最終的にはアンビエントに、互いに曲の区別がつかないくらい抽象的に、テンポ・ダウンしながらドロドロと覚醒していく。いわば前掲したタグのうち、new ageとpsychedelicがひたすら強調されていると言える。本作をヴェイパーウェイヴの終わり、そしてポスト・ヴェイパーウェイヴの始まりとするなら、その先にはさらに際どい世界への接近が待っているのかもしれない。
 ラストとなる"凍傷"は、ヴォイス・サンプルの操作という、一見、ヴェイパーウェイヴ的手法を悪乗りさせただけの音で、しかし私たちはそのような音でどこまでトリップできるのか、試しているようでもある(曲の後半部は凄まじい距離をゆらゆらと飛んでいく)。 かつてのヒッピーが目を付けた東洋の神秘主義と直結するのか、しないのか、分からないが、本作のサイケ趣味は相当の深度を行っていると言える。初期の活動で優先させていた、ある種のリラクゼーション・ミュージックとしての効用は、ここではサイケデリックの快楽主義に逸れているが、ロー・アートとしてのカウンター精神は引き継がれている。

 こうしたネタバレが済んだためか、「ヴェーパーウェイヴは終わった」と『Tiny Mix Tapes』が報じているが、これにはそれなりの根拠がある。2011年の11月以降、Polygon WizardとしてのYouTubeへのアップロードは途絶えているし、これ以降、〈Beer on the Rug〉からの有料配信/フィジカル・リリースが増えている一方で、本当に悪ノリしていたころのZIPファイルの削除がはじまっているのだ。目下、もっとも怪しいのはMEDIAFIREDやMIDNIGHT TELEVISION、COMPUTER DREAMSなどの「いかにも」な名義のアーティストだが、これらがどこまで繋がっているかは分からない。Vektroidの別名義かもしれないし、単なるフォロワーかもしれない。もっとも、ここまでやればどれだけ疑われても仕方がないとも言え、わざわざロシアのSNSであるvkにアカウントを取得した░▒▓マインドCTRL▓▒░が、今年の6月からヴェイパーウェイヴのネタバレ的投稿を続けているのも気にかかる。
 
 すべては気まぐれの愉快犯だったのだろうか? いか、仮にそうだとしても、ごく個人的な自己相対化の体験として、ヴェイパーウェイヴに出会って以降、それまで聴いていた音楽の聴こえ方がまったく違うものになってしまったことは強調しておきたい。ゼロ年代後期に『Pitchfork』が中心となって盛り立てたUSインディの音楽が、オルタナティブと呼ばれつつもどこか形骸化してしまったことを強引に暴き立てるような、問答無用の暴力性をそこに含意として感じたのだ。いわば、旧来の音楽環境が「本当に」荒廃したあと、つまり『Pitchfork』的なインディ音楽でさえも存続が危ぶまれるような季節が到来したときに、どのような音楽が立ち上がるのか、その最悪のシミュレーションを見せられているようなのだ。また、90年代の前半的な価値観に注がれる視線の向こうには、科学がまだギリギリのところで無邪気に、未来への希望として信じられていた頃の記憶を掘り起し、それをあえてディストピア的な反論として突き付け返しているようでもある。
 
 まったく......自分で書いておきながら、本当に妙な時代になったものだ。ヴェイパーウェイヴ----ウェブをシーンの中心に据えた最初の、小さな、そして本格的なこのアンダーグラウンド音楽は、ゼロ年代以降に生じた星の数ほどのマイクロ・ジャンル(音楽の部分的な傾向に依拠した曖昧な細分化カテゴリー)をめぐる2010年代以降の可能性、その示唆を多分に含んだ最初の衝撃(アンダーグラウンド2.0)だったと言える。
 残された〈Beer on the Rug〉を中心としたポスト・ヴェイパーウェイヴはこれからも展開していくにしても、同時代のムーヴメントやそれに代わる何かがどのように提起されるか、私はその一端を見た気がした。つまり、ある新しい音楽が「現象として面白い」という以前に、「本当に現象なのかどうかさえ分からないから面白い」ことがあり得るのだということを!
 もっとも、ヴェイパーウェイヴは多くの音源が2011年に流通し、その起源は音楽的にはJames Ferraroではないかと言われている。そうした文脈を踏まえた上での体系的な研究結果は、斎藤辰也君がいつか発表してくれるだろうが、個人的にはむしろ、本作におけるnew ageとpsychedelicの拡張路線の延長に立つ存在として、〈AMDISCS〉というレーベルに注目しているが、その話はまた今度。いまはただ、この悪趣味なサイケデリック・ミュージックの奥底に沈んでいたい。どこまでも、もっともっと深く。すべての音が溶け、その意味を失くしてしまうまで----。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140