「Lea Lea」と一致するもの

[UK Bass Music, Darkwave, etc] - ele-king

Darkstar - Timeaway



 『ノース』への大胆な方向転換の直後に〈ハイパーダブ〉から〈ワープ〉へ移籍したダークスターによる2年ぶりの新曲。ヴァイナルは11月20日に発売される(https://bleep.com/release/39342-darkstar-timeaway)。野田編集長はいまだにデュオだと思っていたみたいだが、『ノース』の時点ですでにヴォーカルにジェームス・バタリーを迎えたトリオになっている。
 プロデューサーにはワイルド・ビースツ/スペクタクルズ/エジプシャン・ヒップ・ホップなども手がけたリチャード・フォーンビーを起用しており、「イギリス北部ペナイン山脈のどこか深いところ」にある「ヴィクトリア調のジェントルの邸宅」を借りて録音されたアルバムは、来たる2013年初頭にリリース予定とのこと。
 この録音場所がなるほどと思えるほど、"タイムアウェイ"の旋律は、荘厳なエコーでメランコリーなイメージを讃えている。ダブステップ期もいまは昔。たださえ意外な方角へ舵をきった『ノース』以上にヴォーカルとハーモニーがフューチャーされ、いくぶんか明るくなった印象もあるが、陰鬱さを讃える美学はよりいっそう磨かれている。

 ダークスターのYouTubeアカウントには、レコーディング中のスローモーション映像にドローン/アンビエント風で静かな音楽を添えたものが"Nowhere"として4つアップされている。

 忘れもしない2011年4月9日、ロンドンはショーディッチにあるヴィレッジ・アンダーグラウンドというヴェニューにて、ダブステップのダも知らなかった僕がダークスターを観た。日本では聴いたことがないほどバカデカいベース音に全身を震わせられたとき、心臓を潰されて死ぬかと本気で思った。おおきな教会を改修したような広い会場。酒で酔っ払い喋りまくる、カルチャーめいたオーディエンス。機材トラブルによる1時間近くの遅延を経て、不穏な空気が拭えないなか、殺気だちながら透き通った目の青年が喉を震わせた。

 日本でのステージが実現することを期待しよう。


Dazed and Confused Live PART 2 with Darkstar & Gang Gang Dance

 これは先述の〈DAZED LIVE〉での映像。ダークスターはもちろん、トリのSBTRKTも凄かった。1時間以上も時間が押した結果、ギャング・ギャング・ダンス終了後には25:30近くなりオーディエンスは続々と帰ってしまった。ガラガラの会場にイラついていたように見えたが、SBTRKTは圧倒的にベスト・アクトだった。

Trimbal - Confidence Boost (Harmonimix)



 ロンドンのグライム系ラッパーであるトリンバル(元ロール・ディープ・クルー、基本的にはトリム名義)と、ジェームス・ブレイクの別名義ハーモニミクスによる作品のミュージック・ヴィデオ。ツイッターを見ていても、発表されると同時に瞬く間に話題となっていた。リリースは〈R&S〉から。撮影は、ザ・トリロジー・テープスの記事でも紹介したロロ・ジャクスンである(と、このようにウィル・バンクヘッドの陰がロンドンの地下水脈では散見される)。
 ミスター"CMYK"がトリムの叩きつける言葉を名義のごとくハモるその後ろでは、ノイズが大胆にブーストしている。

ポーズをとれ。
アイツがどれだけ信頼を寄せていようと知ったこっちゃないなら。
ポーズをとれ。
ガール、自分の服を着て自分がイケてると思ったなら。
ポーズをとれ。
きみが問題を抱えているなら、気にするな、
誰も知ったこっちゃない。
ポーズをとれ。ポーズをとれ。
Strike a pose.

 ポーズをとっているのかはわからないが、時折出てくるジェームス・ブレイクがイケメンであり可愛いことは間違いない。

Eaux - i



 〈ソーシャル・レジストリー〉に在籍していた気高く美しいシアン・アリス・グループ(Sian Alice Group)は解散してしまったが、そのメンバーであったシアン・エイハーンとベン・クルックにステフン・ウォリントンが合流したトリオがオー(EAUX)だ。
 11月に発売される新作EP『i』からタイトル曲が先行公開された。以前にリリースしていた両A面7インチ『Luther / No More Power』はダークなシンセ・ポップで、それこそ女性ヴォーカルの気高いダークスターという印象だったが、今作はほぼインストゥルメンタルである。ドラムがいないため、打ち込みのリズムにベンのギターやステファンのシンセを被せるかたちに落ち着いている。シアンは1音節の語を繰り返し発語する。

i i i i i i i i i
gotten gotten gotten gotten

 ジ・XXの新譜の先行試聴会で思い出したのが、サウンドこそ違うが、似た編成のオーだった。こちらはメランコリーを秘めていながらも甘美な部分を見いださせようとはせず、むしろ厳しさをたずさえる姿勢は、シアン・アリス・グループから通じているものだ。
 これだけではまだなにも分かる気がしないので、EPの発売を待ちたい。

Eaux - Luther

Zomby - Devils

https://twitter.com/ZombyMusic/status/256219187247210496

 ゾンビー(Zomby)が1分半ほどの新曲"Devils"をツイッター上で突如フリーでリリースしている。おそらくアルバムには収録しないということなのだろう。ゾンビーが「5人目のビートルズ」と称える亡き父親を弔った『デディケイション』とはずいぶん違う忙しなさがある。EP「Nothing」にも高速ビーツのトラックはあったが、今作にはより不安を煽るような態度がある。
 ツイッターも相変わらず順調に挑発的でブッ飛ばしているし、次のアルバムはダークで扇動的なものになりそうだ。

 他にもホット・チップのアレクシス・テイラーから、彼がチャールズ・ヘイワード/ジョン・コクソン/パット・トーマスとともに組んでいるアバウト・グループ(About Group)のアルバムが完成したということと、彼のソロEPが12月にドミノからリリースされるという報告を受けました。これは喜ばしい。

 ちなみに、今日ご紹介したアーティストはすべて〈ザ・トリロジー・テープス〉主宰のウィル・バンクヘッドと関わりがある。

Chart - DISC SHOP ZERO 2012.10 - ele-king

越境ビーツ Selection #01

ひとつのジャンルにこだわっていては見落としてしまいそうな"越境"ビーツ&サウンドを、ワールド・ミュージックの感触を持った曲を中心に10曲。
https://discshopzero.tumblr.com/post/25012657366


1

LHF - EP3: Cities Of Technology (Keysound) /
ロンドン裏通りの移民感を感じさせるユニットの2枚組大作CDからのカット。世界の一都市としてのロンドン・ワールド・ミュージックとでも言うべき4曲。

2

SYNKRO - Broken Promise EP (Apollo) /
ジャジーなムードとエレクトロが持つウォームでクール(この2つが共存するのが素晴らしい~)な柔らかさが魅力のEPの中で、4の民族パーカッションが響くアンビエントが越境。

3

GUIDO - Flow / Africa (State Of Joy) /
自身のレーベルを立ち上げての2作目。親指ピアノ的フレーズも交えつつリズムが斬新な3のアフリカ感は新しいと思います。

4

MENSAH - The Gambia (Deep Medi Musik) /
タイトル通りにアフリカンなポリリズムがオールドスクールな感触も混ぜつつ表現されたキラー・エレクトロfromブリストル。

5

TUNNIDGE - Dark Skies / Tribe (Deep Medi Muzik) /
クラクラするようなベース音と催眠術のような男声ヴォイス、そしてシャープなスネアが覚醒を呼ぶ1もイイですが、タイトル通りトライバルさを前面に出した2がキラー。ダブステップを超えてます。

6

DISTAL - Booyant / Amphibian (Tectonic) /
ジュークを解体しファンキーな要素も加えた展開。1で聴かせてくれたサウンドをさらに解体した2は、ジューク感もありますが、よりトライバルなサウンドを指向するDJに上手く混ぜ込んでイッて(イカせて)欲しいです。

7

FUNKYSTEPZ - Trouble (Hyperdub) /
スクウィーな感触のアシッド味も加わったクレイジーなUKファンキー・サウンド。1のチープなシンセが生む中東感も◎。いずれもフロアでも効力発揮間違いなしの3曲。強力!

8

KAHN - Way Mi Defend / Azalea (Box Clever) /
ブリストルの要注目プロデューサー。レゲエの声ネタを使いつつ、3連パーカッションとシャープなワンドロップ・スネアが水滴のように深さを強調させる1。このレーベルは全て要注目。

9

DARLING FARAH - Body (by CivilMusic) /
デトロイト出身UAE経由、現ロンドン在住の20歳によるアルバム。4/4ビートのテクノ・サウンドをベースにしつつ、チルアウトでディープに洗練されたデトロイト・ソウル~ダブ・テクノを展開。5のテック・サンバが最高。

10

ADRIAN LENZ / SANDMAN - Cover Me / No Prisoners (Blank Mind) /
スペインはグラナダ発という2人の、ソカをベースにしたダークでマッドな1枚。ヤバイデス。

倉本諒 - ele-king

Dreampusherというワンマン・バンドで今年から後ろ向きに活動しています。愛称はドリシャです。
先日M. Geddes Gengrasとのセッションをレコーディングしました。気が向いたら形にします。

Crooked TapesからはNNF主催Britt BrownとAlex Brownによる負のオーラ全開のデュオ、Robedoorの"City of Scum"と、Metal Rougeの"Live Dead Elk"をリリースします。
というかもうしてます。ウェブの更新が億劫なだけです。
https://crooked-tapes.com

ジャケのアートワーク及び刷りを手掛けた若手Samantha GrassのLPが〈NNF〉から出ました。2ないし3色x500枚以上のいままでにない量で初めて腰をやられました。
DIYの肉体の限界に挑みます。

他もろもろ、あくまでコッソリとやったり目論んだりしているやらいないやらしてます。

2012 summer-autumn Smoker's Delight


1
M.Geddes Gengras / Personable LP (Peakoil)

2
Pete Swanson / Alone Together #5 7'(Emerald Cocoon)

3
Sean McCann & Matthew Sullivan / Vanity Fair LP(Recital One)

4
Sewn Leather / Feel The Lack CS(Chondritic Sound)

5
Ras G / El-Aylien Pt. II : C.razy A.lien 7'+CS(Leaving Records)

6
OM / Advaitic Songs LP (Drag City)

7
Sylvester Anfang II / John Changs Komische Hand : Moordende Maan 7'(the Great Pop Supplement)

8
Swans / The Seer LP(Young God)

9
Villains / Road to Ruin LP(Nuclear War Now !)

10
EYEHATEGOD / New Orleans is the New Vietnam 7'(A389 Recordings)

Chart JET SET 2012.10.09 - ele-king

Shop Chart


1

Light's - Tropical G Ep (Who Knows?extra) /
Crue-l Records主宰の瀧見憲司によるエディット専科、Who Knows?の別ラインが到着。担当するのは、2012年夏にリリースし、大ヒットしたミックスCdの特典7インチにLight's Editとして、エディット作品を提供してた沖縄在住の某Dj。

2

Yoshio Ootani - Jazz Abstractions Ep (Black Smoker) /
Gonno Remix収録! 2012年3月にリリースされた『Jazz Abstractions』からオリジナル・トラック、3曲とCd未収録の強力リミックスを加えた12インチ・シングルが到着。

3

Yo La Tengo - Stupid Things (Matador) /
ごぞんじUsインディの至宝Yo La Tebgoの約3年ぶりとなる新録曲!2013年発売予定のアルバムに先駆けて限定ヴァイナル・リリースです。オリジナルも名曲ですが、Eyeによるリミックスもヤバイことになってます。

4

Chrome Canyon - Elemental Themes (Stones Throw) /
Pbwがまた新たな才能をフックアップ! Apes & Androidsのキーボーディストとして活動するNyのMorgan Zによる別動プロジェクト=Chrome CanyonがStones Throwよりリリース。

5

Reggaelation Independance - Africa / Dubrica /
正式なリリースもないまま出演したフジロック2011で話題を呼んだバンドのファースト7インチEp。黒田大介氏も絶賛したという、日本人離れしたアフロ・ダブ・レゲエ・インスト!!

6

Lord Finesse & Dj Mike Smooth - Funky Technician Instrumentals (Slice Of Spice) /
Lord Finesseが唯一Dj Mike Smoothとのデュオとして発表した90年のデビュー作が、一連のLord Finesse7"シリーズで話題を席巻したSlice Of Spiceからリリース!

7

The Dubless - Jamkaret / Blackkite (Room Full Of Records) /
吉祥寺発、DextraxのRyo Of DextraxとAuto PilotのUznkによる不定期ユニット、The Dublessの初のアナログ作品。本作も重量盤(180g)にてお届けです。

8

Rune Lindbaek Ft.Kurt Maloo - Wonder (Drum Island) /
Cos/mes、Seahawkes、Raymang、Rune Lindraek & Oyvind Blikstad等のリミックス収録!ノルウェイ屈指のプロデューサーとしてもお馴染みのRune Lindbaekの12インチ。

9

Lauer - Mascat Ring Down (Beats In Space) /
Running BackやPermanent Vacation、Brontosaurus等からのリリースでも知られる気鋭ジャーマン・プロデューサーLauerによる先鋭的ディープ・ハウス作品!

10

Downtown Party Network - The Returning ft.James Yuill (Is It Balearic?) /
Downtown Party Networkが満を持してIs It Balearicより、Time And Space、Prins Thomasリミックスを収録した待望の12インチをドロップ!

ALEX FROM TOKYO (Tokyo Black Star, world famous NYC) - ele-king

www.alexfromtokyo.jp

https://soundcloud.com/alexfromtokyo
https://www.facebook.com/pages/Alex-From-Tokyo/
https://soundcloud.com/tokyoblackstar
https://www.facebook.com/pages/Tokyo-Black-Star/
twitter: @alexfromtokyo

9/21 @nublu (NYC)
9/27 Better on Foot @ Red Maple (Baltimore)
10/11-10/22 ヨーロッパ・ツアー
10/30-11/26 日本ツアー

September 2012 indian summer in NYC ecclectic top 10


1
Adrian Sherwood-Survival & resistance LP [On U-Sound]
この夏からずっと家でループで聴いてる素晴らしいダブ・アルバムです!

2
Lindstrom-Ra-ako-st (smalltown supersound)
Lindstromの新アルバムからの久々のダンス・フロアー・キラー!

3
Bing Ji Ling & Alex from Tokyo-Not my day [unreleased]
7月の日本ツアーからずっとプレイしているNYCで一緒に制作したTommy Guerreroバンドの一員でもあるNYC在住のミュージシャンBing Ji Lingとのコラボ作です。

4
Junior Boys- I guess you never been loney (Moody remix) [white label]
Junior BoysとMoodymanによる最強コンビによる不思議でたまらないディ-プな世界です!

5
Hot Chip-How do you do (Todd Terje remix) [domino]
勢いが止まらないTodd Terjeによるまたもやのユーロ・クラブ・アンスムです!

6
Bobby Womack-Love is gonna lift you up (Julio Bashmore remix) [XL]
伝説のソウル・シンガーBobby Womackの黒いヴォーカルをブリストルの話題のUK nu houseの新星Julio Bashmoreがモダンでエレクトロニックにアップリフトしたダンスフロアー・キラーです!

7
Kaoru Inoue-Groundrhythm (The Backwoods remix) [ene records]
日本の野外パーティを思い出してくれる大好きな日本人クリエーターの2人がお届けする最高に気持いいオリエンタルでトリーミーな空間ハウスです!

8
Mitchbal & Larry Williams-Jack the house (Frankie Knuckles remix) [still music]
あのシカゴ・ハウスの名曲のFrankie Knucklesによる幻の未発表リミックスが何と再発として12"カット! これぞHouse Musicです!!

9
Ry & Frank Wiedeman-Howling (Innervisions)
AmeのFrankとLA在住の作曲家&歌手Ryによる今っぽい非常に個性的であるフォーキでロック色の暖かいエレクトロニック・ソウル・ハウス・アンセムです! この間FrankとAmsterdamのクラブTROUWとプレイした時にFrankがライヴのラストで演奏した時にとても盛り上がって鳥肌が立ちました! 次のInnervisionsの新作は何とIan Pooley「Compurhythm」です。

10
Michael Kiwanuka - Tell me a tale (Polydor)
話題のロンドンの若手新世代天才ギタリストーMichael Kiwanukaによる素晴らしい曲です! まさにロンドンを思わせる傑作で、ここ最近の新譜で一番心に来たライヴ演奏曲です。昨日のNYCでの初公演のライヴもとても素晴らしかったです。Jimi Hendrixの"Waterfalls"のカヴァーも感動的でした!

弓J (S) - ele-king

音攻めパーティ「S」@KOARAを不定期開催でオーガナイズ。次回は12/30に年末SP。
奇数月第3火曜「SUPER DRY!」@KOARA、偶数月第1水曜「Radical Simplicity」@bar Jamにレギュラー参加。
その他、都内各所にて活動中。

twitter | S blog

S chart


1
Dense & Pika - Bad Ink - Dense & Pika

2
Frak - 888 - Kontra Musik

3
Rhadoo - Cum oare(intoarcese) - Understand

4
Adam Beyer & Alan Fitzpatrick - Tor - Drumcode

5
Tommy Four Seven - Sevals(Terence Fixmer Mental Drive Remix) - Create Learn Realize

6
Sutekh - Ubu Rex - Orac

7
Jacob Korn - It(Original Mix) - Mild Pitch

8
Planetary Assault Systems - Gt(P.A.S Drone Sector Remix) - Mote Evolver

9
Roger Gerressen - Inked Jester - Wolfskull Limited

10
Alex Cortex - Emergence - Pomelo

Patti Smith - ele-king

 パティ・スミスが『Banga(バンガ)』収録曲の解説をしているヴィデオを見ていると、アート系企業とか、ちょっとエッジーな建築事務所とか、そういう組織の女性幹部がクライアント企業の重役にプレゼンしている映像を見ているような錯覚に陥ってしまう。
 映像中のこの女性幹部の説得力は相当なものだ。プレゼンのベテランであるのは間違いない。しかも、業界の酸いも甘いも知った上で、自らの組織の染みも汚れも知り抜いた上で、それでもまだ自分の仕事を愛しているような感じが伝わる。企業の創設者のひとりなのかもしれない。「汚らしい倉庫にね、寝袋持ち込んでスクワッターみたいに泊まり込んで、そうやってはじめた会社だったの。もう30年以上も前の話だけど」と、ワイン片手に微笑しながら部下に話したりすることもあるかもしれない。
 思えば、このパンク界の女性幹部のプレゼン力は、経験によって洗練されたとは言え、昔から確実にそこにあったのだ。Articulate。という言葉があるが、わたしにとってパティ・スミスの魅力は常にそれであった。エモーショナルなポエトリーを叩きつけて来るイメージの一方で、彼女が感情に流されて聞き取り不明の言葉を吐くことはなかった。詩人にしてはロジカルでArticulateで、説得上手だった。女性幹部の座まで駆け上れたのも、その能力があったからだろう。

 エイミー・ワインハウスの死や日本の震災といった時事ネタ的な楽曲のモチーフからは、子供たちを育て上げ、夫も亡くしたパティが、ひとりで居間のソファに座ってCNNを見ている姿が浮かんで来る。寂しい。という時期はとっくに過ぎ、満たされて、幸福なのだろう。それは、加齢とともに、優しく深く澄んで来た彼女の声を聴いているとわかる。
 レニー・ケイやジェイ・ディー・ドハーティなど昔ながらの馴染みの面子を集めて、自宅近くのElectric Lady Studiosで録音したという『Banga』は、サウンド的にはひたすらシンプルにローリング・ストーンズであり、ボブ・ディランだ。タイトル曲『Banga』でのジョニー・デップとのコラボにしても、ジャック・スパロウ船長の父親がキース・リチャーズであることを考えれば、一貫性はある。
 ひとりでぼんやりCNNを見たり、感動した本や映画や友人たちのことを考えてみたり、旅先で撮った写真を見ながら空想に耽ったりしつつ書いたポエトリーに、昔から大好きなバンド風の音をつけて、家の近所のスタジオで歌ってみたの。というアルバムは、まるで自宅の居間の延長である。が、「俺はベッドから革命をはじめる」と歌ったバンドがいたようにロックに自宅性はつきものだし、そう言えば、英国には好きなバンドや映画、友人などの写真を集めた"マイ・フェイヴァリッツ"のコラージュを作って部屋に飾っている女の子がよくいるが、『Horses(ホーセス)』がそうだったように、『Banga』もパティ・スミスの女子コラージュなのだろう。で、女がそのコラージュをもっとも綺麗に作成できるのは、まだ男や子供に振り回されずに済む時期か、それら全てが終了してひとりになる時期か、のどちらかなのかもしれない。ゴダールの映画に出演したり、本を書いたり、TVドラマに出たりする合間に、タルコフスキーや『ハンガー・ゲーム』、マリア・シュナイダーなどの写真を切り取って、彼女はせっせとコラージュを作っていたのである。

 ところで、その女子コラージュに付けられた『Banga』というタイトルは、ロシア作家の本に出て来る犬の名前だそうで、この犬の飼い主は、キリストを殺した男として有名なローマ総督ピラトだという。小説中のピラトは、キリストを死なせてしまった罪の許しを2000年間待ち続ける設定になっているそうで、Bangaという犬も、飼い主の傍らに2000年間辛抱強く寄り添い続けるという。
 要するに、忠犬ハチ公みたいなタイトルではないか。『Horses』で自由奔放でしなやかな荒馬のように登場したパティも、ついに老年は忠犬ハチ公に落ち着いたか。と思いながら何十年ぶりかで『Horses』を聴いてみると、一発目の彼女の肉声がこう言っていた。

 Jesus died for somebody's sins but not mine.

 偶然にしてはできすぎだろう。
 が、そう言い切ることもできないのは、どうもパティ・スミスという詩人は、いろんな局面でこういう辻褄が宿命的に合ってしまう人のような気がするからだ。
 いずれにしろ、馬とハチ公は呼応するアルバムのようだ。もう何十年も『Horses』なんか聴いてない。という中年の方々には、併せて聴くことを強くお勧めしたい。

新ジャンル用語解説 - ele-king

問題:以下のアーティストをジャンル別に分けよ。ジュリア・ホルター、アイコニカ、アクトレス、ハイプ・ウィリアムス、ダニエル・ロパティン、ジェームス、フェラーロ、ジャム・シティ、ワイルド・ナッシング。
答え:無理。理由としては、ジュリア・ホルターをひとり見ても、シンセ・ポップ、アンビエント、ノイズ、いろいろある。ダブステップ系に括られるアイコニカにしても、フットワーク、エレクトロ......。ハイプ・ウィリアムスやダニエル・ロパティンにいたっては、スクリュー、ニューエイジ、ダブ、シンセ・ポップ、ジャム・シティはUKガラージ、サイケデリック、ドローン、ワイルド・ナッシングはシューゲイズ、ドリーム・ポップ......(以下、略)。

 1980年代後半から1990年代にかけてのジャンル用語を振り返ってみる。シカゴ・ハウス、デトロイト・テクノ、ガラージ、アシッド・ハウス......このあたりからジャンル用語は噴出する。アンビエント・ハウス、ガバ・ハウス、ハード・ハウス(NYのコマーシャル・ハウス)、ヒップ・ハウス(ラップ入りのハウス)、そして舞台をUKに移すと、バレアリック・ハウス、アシッド・ジャズ、プログレッシヴ・ハウス(トランスとほぼ同義)、テクノ、ハード・テクノ、ジャーマン・トランス、ゴア・トランス、インテリジェント・テクノ(大いなる失敗作)、ハード・ミニマル、ミニマル・ダブ、トライバル・ハウス、ディープ・ハウス、そして1994年当時もっとも問題視されたトリップ・ホップ(多くのアーティストがこう呼ばれることを嫌悪した)、そして、さらに多くの批判を促した用語としてIDM(レイヴで踊っている奴はバカという視点に基づく)がある。
 さらにまた、ハンドバッグ・ハウス(その名の通り、ちゃらいハウス)、ジャングル、ドラムンベース、ダークステップ、2ステップ、ビッグビート、ドリルンベース(駄洒落のきいたネーミングだった)、ブレイクコア、ポスト・ロック、グリッチ、アブストラクト・ヒップホップ、ブロークンビーツ......、当時はこうした用語解説を依頼されたものだった。
 ゼロ年代のダブステップ以降もまた、こうしたジャンル用語シーンが活性化している。ことインターネット・ユーザーにとっては、これらは知識というよりもある種のシニカルな情報との戯れでもある。

 たとえば、「hypnagogic(ヒプナゴジック)」、これは2009年の『Wire』誌が言い出しっぺのタームで、ポカホーンティッド、エメラルズ、マーク・マッガイア、ダックテイル、ジェームス・フェラーロなどがその例として挙げられている。おわかりのように、ほぼ同じときを同じくして出てきたある世代の共通的な感覚を『Wire』なりに言い表したタームだ(要するに、正確に言えば、感覚を指す用語で、ジャンル名ではない)。

 ちなみに『Wire』は、「ポスト・ロック」というタームを1990年代後半に生んでいる。これが日本では長いあいだ誤用されている。
 そもそも「ポスト・ロック」とは、トータス周辺に象徴される音で、つまり主義主張を訴えていたロック文化とはまったく別の(まさにポストな)方向性を持つ音楽を意味する。さらに言えばジャズやクラウトロック、さもなければ現代音楽にその源泉を求めている。ゆえにモグワイやシガー・ロス、65デイズ・オブ・スタティックスのような、歌手がいないインストというだけで、基本やってる音はロックな連中にまで「ポスト」を冠するのは間違っている。
 フリー・フォークも同じように、かなり曖昧に日本の音楽ライター界では使われている。これも『Wire』が出自で、この場合の「フリー」とは、フリー・ジャズの「フリー(即興)」に近いニュアンスだった。ゆえにサン・バーンド・ハンド・オブ・ザ・マンのような即興性の高い音楽はフリー・フォークと呼べるが、デヴェンドラ・ヴァンハートは昔ながらのフォークであり、フリー・フォークではない。
 こうした誤用はときには「ま、どうでもいいか」で済ませるが、ときには済ませられないこともある。音楽としての「フリー」を目指しているバンドにとってフォーク(アコースティックな響き程度の理由から)と呼ばれることは、ひとつの解釈という話しではなく、誤謬そのものだ。旧来のフォーク・スタイルに「フリー」が冠せられるのもあんまりである。

 music is music........あったり前だが、音楽を楽しんでいるときにジャンル用語を気にしているリスナーがいると思ってはいない。それでも僕がこうしたジャンル用語をわりと面白がるのは、それら情報のカオスから生まれたタームが、音楽を語る言語の停滞を阻止する役目を果たし、新しい問題提起へと連続させるからだろう。単純な話、これは人の好奇心を煽る。昔はよく、商売熱心なレコード会社やレコー店もジャンル用語をでっちあげたものだったが......(デス・テクノとか、サイバー・トランスとか、あるいはレイヴという言葉さえもジュリアナ東京に差し替えたりもしたが、ことの善し悪しはともかく、それによって売り上げが伸びたのは事実)。

 たしかに新ジャンル用語はときにリスナーを困惑させる。IDM(インテリジェント・ダンス・ミュージック)というジャンル名が出てきたとき、「何がインテリジェントだ」と、最初は抵抗があった。が、もうどうでもいいやと思って使っている。IDMという用語の普及とともに、その音楽性も急速に拡大したという事実を前に、「それで通じるなら、ま、いいか」と、「便宜上」使うことにした。IDMをやっていれば知的だとは決して思っていない。 
 最近では、「chillwave」もやっかいなタームだった。「chillwave」はブロガー発の新ジャンル用語として定着した最初の例となったわけだが、その契機となったウォッシュト・アウトやトロ・イ・モアの初期音源(つまり、ネタありきの音楽)からはずいぶん離れたところでも使われている。
 「chillwave」とは、いわば素人の作ったタームだ。それはデジタル文化における情報発信の自由がもたらした最初の結実だ。音楽を楽しんでいる素人の作ったブログから生まれた造語と、レーベルから送られてくる情報のコピー&ペーストで構成される音楽情報サイトと、どちらが文化的に有益だろうか。いずれにせよ、それがどんなに陳腐に見えようが、今日の新ジャンル用語の氾濫は、アンダーグラウンド・シーンの活況を反映しているのである。

 以下、興味がある人のみ参考にしてください。そして、間違い/追加項目があったら教えてください。

screw:わかりやすく言えば、ウルトラマンに出てくるゼットン星人の声だが......音楽の世界では、いまは亡きヒューストンのDJスクリューの編み出した技から来ている。ゆえにジャンル用語ではなく、グリッチと同じように、テクニック用語である。ピッチを落としてミキシングするだけだが、独特の幻覚性が得られることから、ゼロ年代半ば以降から現在にかけて、いろんなシーンで流行っている。オリジナル・チルウェイヴとクラウド・ラップがスクリュー・リヴァイヴァルをうながしている。



footwork(juke):シカゴの速くてくどい、ハードなダンス。チョップとドラムマシン。強いコミュニティ意識から生まれたジャンル用語。DJネイト、DJロック、DJダイヤモンド、DJラシャド等々。彼らの汗は、欧州や日本へも飛び火している。また、こうした固有の地域から生まれたジャンルには、他にもメンフィスの「crunk」、南アフリカの「shangaan electro」、ディプロが見つけた「new orleans bounce」などがある。



UK funky:グライムのハウス化。ソカのセンスが混じっている。ロンドン在住の友人によれば、ほぼ20歳以下限定のノリだとか。

brostep(filthstep):レイヴ仕様のダブステップ。もともとはダブステップもブローステップも同じ場所にいたはずで、こうした識別こそジャンル用語のネガティヴな作用だと言える。ハンドバッグ・ハウスよりはマシだが......。

dream pop:ドリーミーな宅録音楽。チルウェイヴ、クラウドラップ、ヴェイパーウェイヴと違って、盗用すなわちサンプリング主体ではない。ビーチハウス、ピュリティ・リングス、ナイト・ジュウェル、ツイン・シスターほか多数。

cloud rap:ドリーミーかつヒプナゴジックなラップとトラックで、クラウド・ストレージのような共有ファイルからがんがんに音源をダウンロードして作っている、サウンド的にもクラウド(雲のよう)なラップ。リル・B(本人は自分の音楽を「based」と呼んでいる)、メイン・アトラキオンズ、クラムス・カジノ、エイサップ・ロッキー、オッド・フューチャーなどなど。また、「trill wave」という言い方もあって、クラウド・ラップのラップがあるかないかという説明がされている。ストーナー・ラップとも親和性が高いが、別に大麻を主題としているわけではない。



dark wave:コールド・ケイヴのような、ゴシック調のシンセ・ポップ・リヴァイヴァル。ちなみにコクトー・ツインズ系のような気体のような音、マジー・スターのようなウィスパー系を、欧米では、エーテル系(ether、英語読みではイーサ)と呼んでいる。

witch house:冗談めいた、ちょっと痛いジャンル名のひとつ。簡単に言えばゴシックなハウス。ブリアルの影響下で生まれ、スクリューを取り入れている。oOoOOが有名で、ほかにもセーラムとか、†‡†とか、恐怖モノですな。



vaporwave:クラウド・ラップのように、ネットからダウンロードした音源の再利用によって作られているモダン・サンプリング・ミュージックの第三の波。グローバル資本主義への批評性、もしくは抵抗とも解釈されている。ひとつの文化現象としても興味深い。情報デスクVIRTUAL 、インターネット・クラブ、マッキントッシュ・プラス等々。



Burial follower:これは筆者が勝手に言っている。ジャンル名ではなく、ひとつの傾向。悲しく、ダークで、ヴォーカルを加工するところに特徴を持っている。ホーリー・アザー、バラム・アカブ、マウント・キンビー、ダークスターなどなど。クラムス・カジノも、共通の感覚を有している。

drone folk:ギターでドローンしながら歌うことだが、なんとなく雰囲気を指し示す、曖昧なターム。そもそもフォークとは、ポップスと比較して言葉表現が自由なことから、詩的な言語を使えるジャンルとして発展している。ドローン・フォークは、必ずしも一音で構成されているわけではないし、言葉の詩学ももたない。ときにポポル・ヴーといったドイツのコズミックの系譜とも関連づけられる。グルーパー、モーション・シックネス・オブ・タイム・トラヴェルなどなど。



haunted R&B:ハウ・トゥ・ドレス・ウェルをはじめ......ジャンル名というよりは今日顕在化している感覚。ウィッチ・ハウスと同じようなものか。サッド・コアとかね。



dark minimalism:シャックルトンの絶大な影響力によって拡大している。雨後の竹の子のようにこれからも出てきそうな気配。

dark industrial:デムダイク・ステアやレイミ、ブラッケスト・エヴァー・ブラックのようなインダストリアル・リヴァイヴァル。





 一時期は「post dubstep」とはなんだったのかとよく訊かれたが、僕なりに説明すれば、ブリアル以降のハウスのBPMに合わせたベース・ミュージックで、ピアソン・サウンドやジョイ・オービソンなどその一部はテクノやハウスに回帰しているから、その過程だったともいまなら言えるか。
 また、〈ワープ〉の若手としてはダントツに才能がありそうなハドソン・モホークは、少し前は「wonky」などと呼ばれていたが、いまでは死語となりつつある。

Meditations Chart 2012.09.03 - ele-king

Shop Chart


1

Outer Space - II (Blast First Petite)
シンセに取り憑かれた面々によるシンセ狂のための1枚。EmeraldsのJohn ElliottによるOuter Spaceの2nd! アートワークも音の世界観も全てがコスミッシェで美しい。

2

Trouble Books & Mark McGuire - Trouble Books & Mark McGuire (p*dis / Inpartmaint Inc.)
来日の記憶も新しいMark McGuireと、Trouble Booksのフォーク/アンビエント人気作がCD化! 抜群の相性で心地良いアンビエンスをサラサラと流してくれます。コーラスも心地良い。

3

Moon B - Moon B (Self Released)
新人ベッドルーム・ファンク作家の自主カセット。SFV Acid系ユルユルな感覚と抜群のエレクトロファンクを備えた逸材!

4

Uku Kuut - Vision Of Estonia (Peoples Potential Unlimited)
ソビエト出身のファンク作家による80年代音源を収録したLP作品がPPUより。ジャズ/ファンクから滲み出る緩いアンビエンスが絶妙な、夜景/南国/リゾート/都会を思わす極上の宝石集!

5

John Cage Shock - John Cage Shock (Em Records)
出ました、Cage初来日公演の録音が解禁です! どれも破壊力抜群で、ノイズ好きに悶絶の内容になっています。このLPの他3種のCD版もあり。

6

Brenda Ray - D'Ya Hear Me! (Em Records)
新ルーツロックレゲエの名盤Walattaに続いてこのEmからは2作目。初期集となる本作は、レゲエ、ファンク、ロックと前作より幅広い層に広がるであろう逸品でしょう。

7

Eliane Radigue - Feedback Works (Alga Marghen)
仏ミニマリストEliane Radigue嬢の69年~70年制作フィードバック曲を集めた決定版。ARP系ドローンとは一味違う地響き持続音は絶品です。

8

d'Eon - LP (Hippos In Tanks)
カナダの新鋭プロデューサーd'Eon初のフルレングス。メロディもさることながら音使いが歪。ただのR&Bシンセには終わらない狂った酩酊度合いの1作!!

9

情報デスクVIRTUAL - 札幌コンテンポラリー (Beer On The Rug)
New Dreams Ltd.首謀者、米在住の女の子の最新フィジカル作。直訳日本語とセガサターンを駆使した、チル/スクリュー/ポップ/衛星放送/SNSなヴェイパーウェーヴ!

10

Celer - Lightness And Irresponsibility (Constellation Tatsu)
東京在住のアンビエント作家Celerによる2012年春の録音もの。ジャケットの桜の花そのものな、穏やかでしっとりとしたドローンを収録。

ジョン・フルシアンテ - レター・レファー

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ジョン・フルシアンテ - PBXファニキュラー・インタグリオ・ゾーン

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 『レター・レファー(Letur-Lefr)』『PBXファニキュラー・インタグリオ・ゾーン(PBX Funicular Intaglio Zone)』というふたつの作品のリリースをめぐって、ジョン・フルシアンテはその思いを自身のブログに滔々と書き綴っている。「ジョン・フルシアンテ・ドット・コム」に掲載されたその文章は、彼の情熱と熟考のあとを生々しく伝える内容で、ファンのみならずひろく音楽リスナーの間でも話題になっている。

 レッド・ホット・チリ・ペッパーズというモンスター・バンドに在籍し、ことにソングライティングにおいてその音楽性の多くを担ってきたフルシアンテが、そこを脱けてめざした天地はどのような場所か。

 彼は2004年前後からはオブセッシヴなまでに数多のソロ・ワークスをリリースし、さまざまなアーティストと交流しながら腕を磨き、あくまでストイックに自らの目指す音を探求し続けてきた。バイシクル・シーフのジョン・クリングホッファー、マーズ・ヴォルタのオマー・ロドリゲス・ロペス、ヴィンセント・ギャロ。彼らとのイマジナティヴな共同作業を経て、今作に登場するのはMC、RZAやウータン・クラン・ファミリーの若手たちである。音のうえからみても、シンセやドラムン・ベースに彩られたこのキャリアにおける異色作からは、彼がいま目にしているものが過去ではないということが、ひしひしと伝わってくる。

 また、それはたんにロックからエレクトロニック・ミュージックへの転向という単純なモード・チェンジでもない。「シンセ、シーケンサー、ドラム・マシンに対するエキサイトメントをギターにも向けられるようになった」......自らのなすべきことについての真摯な思考と試行の果てに、この数年を音楽のプログラミング修行にあててきた彼が、ふたたびギターに向かい合うという物語までもが、この作品の背景にはふくまれている。

 ブログによれば、作品タイトルには彼の音楽ヴィジョンの一端が象徴として示されているようだ。思弁的な文章じたいも、彼のキャラクターに深く触れることができるものである。国内最速でその翻訳をお届けしよう。


Part.1

みなさん

 新作が2枚リリースされることになった。
 最初に『Letur-Lefr』というEPを、その次に『PBX Funicular Intaglio Zone』というLPがつづく。僕がヴォーカル、すべての楽器の演奏、そしてエンジニアを担当しているんだ。EPには何人か友達がヴォーカルで参加しているんだけど、そのほとんどがMCだ。LPにはゲストがひとり参加しているけど、その他は僕がヴォーカルを担当している。

 僕はこの音楽をプログレッシブ・シンセ・ポップだととらえている。だからと言って、そういうサウンドの作品に仕上がっているというわけではなくて、今作の基本的なアプローチを反映しているということだ。さまざまな音楽スタイルを組み合わせ、エレクトロニック楽器を使うことで、自分独自の音楽フォームをクリエイトしてるんだ。

 『Letur-Lefr』は2010年のもので、『PBX』は2011年に制作された。『Letur-Lefr』はコンピレーションみたいなもので、『PBX』の構想を練っている最中に作った楽曲をセレクトしたものだ。EPの楽曲は連続してレコーディングしたものだ。それぞれの作品は内容がまったくちがうものだから、LPをリリースする前に、“Walls And Doors”という曲をフリー・ダウンロードとして提供する。“Walls And Doors”は『PBX』の7ヶ月前にリリースされたけど、アルバムの方向性を予知していたんだ。“Walls And Doors”は最初はアルバムに入れると思っていたけど、入れない方がアルバムにとってよかった。

 『Letur-Lefr』は7月4日に日本でリリースされ、北米は7月14日、その他の国では7月16日にリリースされる。EPはプレオーダーできるけど、アナログ、CD、カセット、そして32ビット、FLAC、MP3などのフォーマットでこのリンクから購入できる。

 『PBX Funicular Intaglio Zone』は日本で9月12日、北米では9月25日、その他の国では9月24日にリリースされる。『Letur-Lefr』と同様、『PBX Funicular Intaglio Zone』もアナログ、CD、カセット、そして32ビット、FLAC、MP3などのフォーマットでリリースされる。

 『PBX』のプレオーダー・リンクは8月上旬に発表する予定だ。

ありがとう

ジョン

Hello people,

There are two new John Frusciante records coming out. The first is an EP entitled Letur-Lefr, and the second is an LP entitled PBX Funicular Intaglio Zone. I sing, play the instruments and am the engineer. The EP features a few friends on vocals, mostly MC’ing. The LP has one feature, the rest of the vocals being my own.

I consider my music to be Progressive Synth Pop, which says nothing about what it sounds like, but does describe my basic approach. I combine aspects of many styles of music and create my own musical forms by way of electronic instruments.

The tracks on Letur-Lefr are from 2010 and PBX was made in 2011. Letur is a compilation, a selected portion of music I made that year while PBX was conceived as an album, the songs having been recorded in succession. The records are very different from each other, so prior to the release of the LP, I will make available a free download of a song called Walls and Doors. This song pointed the way towards PBX, but was recorded 7 months earlier. I always took it for granted that Walls and Doors would be part of the record, but as it turned out the record was better off without it.

Letur-Lefr will be released in Japan on July 4th, in North America on July 17th, and in the rest of the world on July 16th. You can pre-order the EP, which will be available on vinyl, CD, cassette and in 32 bit, FLAC and MP3 digital formats here https://johnfrusciante.com/letur-lefr/

PBX Funicular Intaglio Zone will be released in Japan on September 12th, in North America on September 25th and in the rest of the world on September 24th. Like Letur-Lefr, PBX Funicular Intaglio Zone will be available on vinyl, CD, cassette and in 32 bit, FLAC and MP3 digital formats.

We will provide a pre-order link for PBX sometime in early August.

- Thanks, John

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Part.2

Album Titles

 「PBX」は内部のコミュニケーション・システムを意味する。自然界だと、ビジネスやオフィスではなく人間の内部にも似たようなシステムがある。「Funicular(フニキュラー)」とは、ふたつのケーブルカーが1本のケーブルに繋がれていて、ひとつのケーブル・カーが上がるときに、もう1台が下がる仕組みのことだ。音楽というのは、さまざまなレベルで常にそれと似たことが起きている。「Intaglio(インタリオ、沈み彫り)」は彫刻におけるひとつのテクニックなのだが、彫刻家が作品の裏側から彫ることで、徐々に見物人には前面から肖像がレリーフで見えるようになる。しかし彫刻家は、前面とは対極のアングルから肖像を彫っているわけだ。僕が魅力を感じる音楽には、これに似たアプローチが取り入れられていて、このアプローチが多ければ多いほど好きになるのだ。「Zone」は、自分の感情と身の回りの環境が一体化し、他の世界がすべて消えてしまう心理状態のことだ。この4つの言葉を組み合わせることで、僕のクリエイティブ・プロセスを深いところまで描写できるのだ。

 「Letur-Lefr(レター・レファー)」という言葉は、ふたつの異なるものが連結部分によってひとつになることを意味している。それは、アルバムの1曲目がアルバムの最終曲の続編であることに象徴されている。

PBX refers to an internal communication system. There is a natural version of this, wherein the “business or office” is a person. A funicular involves two trams connected by a cable, one going up while the other goes down. All music perpetually does this on many levels simultaneously. Intaglio is a technique in sculpture where one works on the opposite side of the image, whereby the image will eventually appear to the spectator in relief, but the angle the sculptor works from is the negation of that. In music that I like, an approach analogous to this was employed, the more so the better. Zone refers to a state of mind wherein the rest of the world seemingly disappears, and nothing matters but the union of one’s immediate surroundings with one’s feelings. These four words linked together go far to describing my creative process.

Letur-Lefr for me signifies the transition of two becoming one, notably symbolized by the first song on the album being the sequel to the album’s last.



Part.3

My Recent History

 エレクトロニック・ミュージックを作り、エンジニア作業もすべて自分で手掛けたいという夢を実現することに、5年前から真剣に取り組みはじめた。その10年前から、僕はさまざまなタイプのシンセサイザー・ミュージックやサンプリング・ミュージックを模倣してギターをプレイしていた。マシンの言語は、マシンをプログラミングする人に新たな音楽ボキャブラリーを与えたことに気がついた。過去22年間に生み出されたエレクトロニック・ミュージックは、新たなリズム、メロディ、ハーモニーの原理を導入した。以前はプログラミングで作られたエレクトロニック・ミュージックを聴いても、どのようなプロセスで曲が作られたかが解明できなかった。80年代のマシンや、90年代のトラッカー・ソフトウェアを熟知している人たちは、理論的なアプローチでプログラミングをしていたが、僕がポップ/ロック、ジャズ、クラシックから知っていた理論とはちがう体系のものだった。手と楽器の密接な関係性は、ミュージシャンが作り出す音楽の基礎となっているが、ポップ/ロックを演奏する上で、自分の頭が手によってコントロールされている傾向が強いことに気づいて、それを修正したいと強く願っていた。マシンの知能と人間の知能が刺激し合って、その相互作用によって生まれる音楽に僕は強い関心を抱くようになった。

 2007年から僕はアシッドハウスで使用される機材やハードウェアのプログラミングを学ぶようになった。7ヶ月間は何もレコーディングしなかった。その後は、10個の機材を同期させ、ミキサーに通してCDバーナーに録音するようになった。最初は実験的アシッドハウス・ミュージックを作っていたが、ロック・ミュージックで学んだスキルはいっさい使わなかった。僕は伝統的なソングライティングに興味を失って、音楽をクリエイトする新たな方法を見つけたいと感じていた。マシンに囲まれ、次々とマシンをプログラミングし、その興味深いプロセスを楽しんだ。それまでは筋肉を使って楽器を演奏していたが、同様に数字を使ってマシンをプログラミングする作業が楽しくなった。数学的で理論的な方法でリズム、メロディ、サウンドに取り組むようになったため、これまで無意識に使っていたスキルが徐々に意識的になった。

 その後は2人の友人と演奏するようになったわけだが、これまでひとりでリビング・ルームでやっていたことを仲間とやるようになった。この編成はいまでも僕の性分に合うバンドだと考えている。

 仲間と演奏するようになった直後から、僕はコンピューターを使用するようになった。最初は、僕がハードウェアで作り出していた音をレコーディングするためにコンピューターを使っているだけだったが、徐々にコンピューターがメインの楽器になった。僕の制作方法と考え方に特化した理想的なスタジオも同時に作り始めた(この作業は今も進行中)。この時期に作っていた音楽はCDバーナーに録音していた音楽よりも冒険的なインスト・アシッドハウスだった。コンピューターで2曲レコーディングしてから、自分が作り出している新しい音楽が“プログレッシヴ・シンセ・ポップ”という言葉にふさわしいと感じはじめた。当時作っていた音楽では、アシッドが中心的要素だった。

 1年ほどコンピューターを音楽制作に使うようになってから、自分のヴォーカルを導入するようになった。それまでは、ギターとヴォーカルをエレクトロニックに取り入れたくないと考えていた。僕が大好きなタイプのエレクトロニックのルールに基づいた音楽を作りたいと思っていたからだ。ギターとヴォーカルをエレクトロニック・ミュージックとミックスすると、以前僕がやっていたポップ/ロック・ミュージックのソングライティングとギターのルールに戻ってしまうから、避けたかった。エレクトロニック・ミュージックをギターやヴォーカルとブレンドしたら、エレクトロニクスが僕の曲、ヴォーカル、ギターの補助的な役割になってしまうと考えていた。そのアイデアには不快感を覚えた。僕はロック・ミュージシャンとしての経験が長かったので、ロックのルールが優先されてしまい、新しいことを発見するペースが遅れてしまうと考えていた。“ルール”という言葉を使うときは、特定の音楽スタイルを定義づけ、その境界線を設定する根本的原理や抽象的現象を指しているわけであって、その境界線のなかで人間はクリエイティブな探求をしているわけだ。

 ソングライティングは続けていたが、必要性を感じたときに、そしてその方法で表現しなければいけないときに曲を書くようにしていた。僕は長年、曲を量産することでソングライティングのスキルを磨くものだと考えていたが、それが違うということに気がついた。最近は、ソングライティングというのは呼吸のように、自然に起きるものだということが分かった。最初のうちは、事前に作曲した曲をレコーディングする作業が窮屈のように思えたが、新たな曲作りのメソッドを吸収し、プログラミングのスキルとスピードも上達していたので、インストを作っていたときと同じくらいヴォーカルとギター入りの曲のレコーディングが楽しくなった。この時期に『Letur-Lefr』の曲をレコーディングし始めた。このときはまだロックの要素は遠ざけていたが、R&Bとヒップホップは自然と僕がやりたかった音楽にブレンドできることがわかった。ソングライティングとプログラミングを統合する上で、R&Bは有効な方法だということに気がついた。ヴォーカルがインスト・トラックを支える曲作りの方法を見つけることができたわけだが、その逆ではないことが僕にとって重要だった。

 この時期が経過すると、僕は新たなアプローチでギターを演奏するコンセプトを練り始めた。そのために定期的な練習が必要だった。その数年前は、レイヴやシンセ・ポップのレコードに合わせて練習することが多かった。僕がやりたかった音楽では必要性を感じていなかったため、ギターを演奏するための筋肉を訓練させるような練習はしたくなかった。僕の妻のセカンド・アルバムで特定の演奏法がしたかったので、定期的に練習していた。しかし、その後に僕はまったく新しいギター演奏のアプローチを発見することができた。僕のメインのエレクトロニック楽器はMC-202だったが、最初の頃は202をプログラミングするときは、ギターの知識を使ってプログラミングしていた。しかし、長く202を使ったことで、僕のギタリストとしての知識と202奏者としての知識が同じレベルになり、僕のギター演奏が202のプログラミング方法に影響されるようになっていた。ギターを演奏するとき、ロック・ミュージシャンとしての指と筋肉の使い方から完全に離れることができるようになっていた。違うギターに変えたということもあるが(Yamaha SG)、202を使うときは指のポジションによって音符を演奏するわけではないので、そのアプローチによってギターを演奏する新しいアイデアが芽生えていた。この時点から、ギターが完全に僕がやろうとしている新しい音楽と一体になった。ギターに対する新しいアプローチが見つかり、音を加工する新たなテクニックを吸収していたので、シンセ、シーケンサー、ドラム・マシンに対するエキサイトメントをギターにも向けられるようになった。したがって、僕はロック/ポップスの音楽理論を他の好きな音楽要素と同じように、僕の音楽に応用できるようになった。考え方が変化したので、クリシェを避けることを意識する必要もなくなった。新しい癖が身についていたので、そこから様々な新しい音楽的方向に進むことができた。古い癖は完全に捨て去っていた。コンピューターも完全に僕にとって楽器になっていたので、ドラムンベース(そしてその他の作りたかった音楽的スタイル)も僕の音楽に完全に取り入れられるようになっていた。この時期から、僕は過去のエンジニアリング・スタイルを理解できるようになっていたので、新旧のプロダクション・スタイルを、様々な音楽スタイルと同様に組み合わせられるようになった。数ヶ月が経過すると、僕は『PBX Funicular Intaglio Zone』をレコーディングし始めた。何年間も僕は1曲ずつ制作するアプローチをとっていたが、新たなプロダクションの経験を積んだことで、ひとつの作品のコンセプトの中で完全に没頭しながら制作できるようになっていた。この時期から僕が長らく求めていたバランスを見つけることができた。ボーカルと曲の構造があっても、ミュージシャンとして完全に自由でいられる境地に達していた。

 『PBX』では僕が何年も前に頭の中で想像していた音楽的要素の組み合わせが実現しているが、当時はどうやって形にすればいいか分からなかった。純粋に音楽に取り組むチャンスを与えられたことが幸運だと思っているし、音楽ビジネスの中に長年いても、音楽に集中することができたことに感謝している。僕は長年レコードを聴きながら演奏したり、曲を書いたり、夢見ることにほとんどの時間を費やすことができた。それを手助けしてくれた人々にとても感謝している。

 最後に、アシッド・ミュージックは僕にとってよい出発点となった。そこから徐々に、僕はワンマン・バンドとしてあらゆる音楽的スタイルを自由に組み合わせられるようになったわけだから。

ジョン

I started being serious about following my dream to make electronic music, and to be my own engineer, five years ago. For the 10 years prior to that, I had been playing guitar along with a wide range of different types of programmed synthesizer and sample based music, emulating as best as I could, what I heard. I found that the languages machines forced programmers to think in had caused them to discover a new musical vocabulary. The various forms of electronically generated music, particularly in the last 22 years, have introduced many new principles of rhythm, melody, and harmony. I would learn what someone had programmed but their thought process eluded me. Programmers, particularly ones fluent on machines from the early 80s and/or tracker programs from the 90s, clearly had a theoretical foundation in their employ but it was not the theory I knew from pop/rock, jazz or classical. The hands relationship to the instrument accounts for so much of why musicians do what they do, and I had come to feel that in pop/rock my mind was often being overpowered by my hand, which I had a strong desire to correct. I was obsessed with music where machine intelligence and human intelligence seemed to be bouncing off one another, each expanding with the incorporation of what it received from the other.

In 2007 I started to learn how to program all the instruments we associate with Acid House music and some other hardware. For about 7 months I didn’t record anything. Then I started recording, playing 10 or so synced machines through a small mixer into a CD burner. This was all experimental Acid House, my skills at making rock music playing no part in it whatsoever. I had lost interest in traditional songwriting and I was excited about finding new methods for creating music. I’d surround myself with machines, program one and then another and enjoy what was a fascinating process from beginning to end. I was so excited by the method of using numbers much in the same way I’d used my muscles all my life. Skills that had previously been applied by my subconscious were gradually becoming conscious, by virtue of having numerical theoretical means of thinking about rhythm, melody and sound.

Then I began a musical relationship with two friends, wherein I could do basically the same thing I had been doing in my living room, only with other people. This continues to be a band which is perfectly congruent with my nature.

Right after we started playing together I started using a computer. Initially it was just something to record what I was doing with hardware but it eventually became one of my main instruments. I gradually built up a studio ideally set up for the specific ways I work and think (this is a continual work in progress). The music I did at this stage was a more adventurous kind of instrumental Acid House than what I’d been doing onto CD, and by the time I recorded my second song on a computer, I was aware that Progressive Synth Pop was an accurate description of what I was doing. Acid was nevertheless the central musical style involved.

After a year or so on the computer, I occasionally began using my voice again. Prior to this, incorporating guitar and singing had posed a problem because I wanted to make music based on the rules, as I perceived them ? inherent in the various kinds of electronic music I loved ? and did not want to blend this with what I previously did with songwriting and guitar wherein many rules of pop/ rock music would then naturally be employed. If I’d attempted to blend the two at that time my electronics would have served as support to my songs, voice, and guitar. This idea was repugnant to me. Because I was so much more developed as a rock musician, rocks characteristics and rules would have dominated, thereby slowing down the rate at which I was discovering new things. To be clear, when I say rules, I mean the underlying principles and abstract phenomena which define a particular style, marking its boundaries and limits, within which exists an area proven to be worthy of human creative investigation.

I continued to write songs, but only when I had to out of necessity, because something had to be expressed that way. I no longer looked at songwriting as a craft to prolifically hone, as I had for so long. In these recent years, it is just something that happens sometimes, a natural thing, like breathing. At first, recording pre-written songs felt like a restriction, but I eventually found myself having acquired enough new work methods of my own and enough skill and speed at programming that when I recorded a pre-written song I had as much fun as when I made instrumentals. This is the point at which the tracks on Letur-Lefr were recorded. I was still steering clear of most rock music characteristics, but R&B and Hip Hop were blending well with the various types of music I was combining. R&B seemed to me a path through which to integrate my songwriting with my programming, being that I could do it in such a way that the song served as support for the things I was doing instrumentally ? and not the other way around ? which was very important to me.

As this phase passed, I began developing a concept for a new approach to playing guitar, which required regular practice. For the preceding couple of years, practice consisted of playing along with this or that Rave or Synth Pop record or whatever. I didn’t see a point in developing my playing musculature-wise because there was no call for that kind of playing in my music. I originally was practicing in a disciplined manner because I wanted to play a specific way on my wife’s second record. But I found an approach to the instrument, which was brand new for me, in which I saw a lot of room to grow. My main melodic electronic instrument being the MC-202, I had gone through a long period where my knowledge of guitar informed much of my 202 programming. But I had now reached a point where I thought as much like a 202ist as I did a guitarist, and my guitar playing was now being informed by my knowledge of the 202. I was using the muscles I was developing in a way completely divorced from the way I used them as a rock musician, partially because I switched to a different type of guitar (a Yamaha SG), but mainly because my musical ideas stemmed from my understanding of an instrument on which the choice of notes is not limited by the position of ones hand. So at this point guitar became fully integrated into my music. The combination of having a new approach to the instrument, combined with all the ways I was now well versed at processing sound, resulted in my having the same excitement about guitar that I had long had for my synths, sequencers and drum machines. This, and other factors, resulted in my being able to pick and choose specific musical principles from rock/pop to apply to my music, just as I had been applying specific aspects of every other type of music I love. I no longer had to be concerned with avoiding cliches because I just didn’t think that way anymore. I had developed new habits which were taking me all kinds of new places, and the old habits were now foreign to me. Also the computer had now become an instrument for me, so Drum n’ Bass (as well as a number of other styles I’d been reaching for) had now become fully integrated into my music. At this point, I also had begun to grasp the characteristics of engineering styles of the past, allowing me to combine aspects of old and modern styles of production just as I’d been combining different styles of music.

A few months into this period, I began the recording of PBX Funicular Intaglio Zone. For years I had just approached everything one song at a time, but my experience in production now allowed me to comfortably work within a record concept while remaining completely absorbed in the process. By this time, I had found the balance that I’d been searching for, wherein the presence of a vocal and the structure of a written song actually provided me with additional freedoms as a musician.

Aspects of PBX are the realization of combinations of styles of music I saw in my head many years ago, as potentials, but which I had no idea how to execute. I’m so happy that I’ve had the opportunity to focus exclusively on music for music’s sake, and also so thankful that I got to spend all those years active in the music business whilst keeping my head in music all the time. I was free to spend most of my time playing along with records, writing, and dreaming. I have so much gratitude for everyone who made that possible.

In summary, Acid served as a good starting point for me, very gradually leading me to be able to combine whatever styles of music I want, as a one man band.

- John

(訳:バルーチャ・ハシム)

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