「下津光史」と一致するもの

ele-king presents "ANTI GEEK HEROES" - ele-king

 もう何回も言ってることだけど、日曜は下北沢THREEで遊ぼうぜ!
先日告知したele-king本誌最新刊vol.10連動イベント「アンチ・ギーク・ヒーローズ」のことですよ。な、な、な、なぁぁぁんと、LowPass、カタコトに加え、ele-kingに欠かせないマン・オブ・タレント、踊ってばかりの国の下津光史(a.k.a The Acid House.)の出演が決定! イエー、ロックンロール~!

 さらにはDJに、いまや売れっ子のライター二木信が登場。某ラップ・ユニットのミックステープではフリースタイルで客演するなど、垣根を超えた活動をするこの男が一体どんな曲をスピンするのか......見所と言えば、もしかしたらこれが一番の......いやいや、新人カタコトを見て欲しい!

 というわけで、今週末、8月25日(日)、18時開場!
 マジ、頼みます。みんな、下北沢THREEで遊ぼう!



ele-king presents "ANTI GEEK HEROES"
8.25 (sun) 下北沢 THREE
OPEN 18:00 / START 18:30
ADV / DOOR 2,000 yen (+ drink fee)
LIVE: LowPass / カタコト / 下津光史(踊ってばかりの国)
Opening ACT: バクバクドキン
DJ: 二木信

*公演の前売りチケット予約は希望公演前日までevent@ele-king.netで受け付けております。お名前・電話番号・希望枚数をお知らせください。当日、会場受付にてご精算/ご入場とさせていただきます。
INFO: THREE 03-5486-8804 www.toos.co.jp/3


踊ってばかりの国 - ele-king

 ジェイク・バグの音楽が鳴り止んで、照明が落ちる。4人のメンバーがステージに登場する。下津光史はアコースティック・ギターを抱えている。ボブ・ディラン調のコード進行による1曲目は、数ヶ月前にも聴いた。思い出す。そのときも、この忌々しい曲によって僕は吸い込まれたのである。
 「ケープタウンの孤児だったら」「誰が父親かも知れず」、そして、生まれてきたことを否定される僕は銃を持つというその歌を、聴いている誰もが、南アフリカの子供について歌っているなどとは思わないだろう。連続射殺魔としての、それは自分たちのことだと思って聴いているのだ。僕はビールをぐいと飲み込んだ。意識は勝手に音楽に集中している。音楽に身を委ねよう。踊ってばかりの国の再活動ライヴの初陣、いまこの国の、最高のロック・バンドの演奏ははじまったばかりなのだ。
 きのこ帝国のときほどではないが、ほぼ満員だった。前列のほうに突進するかどうか考えているうちに曲はどんどん進行する。初期の楽曲(ラヴソング調のものが多い)が休み無しで演奏されていく。昔から追いかけていそうなファンがのっている。絞り染めの地に反核マークのプリントされた、レトロなTシャツを着ている下津光史は、いつもなら「ビール飲みてー」とか言い出す時間帯になっても、黙々と演奏している。ドラムのケンちゃんが申し訳程度にひとことふたこと、あとは曲、曲、曲。
 僕をもっとも燃え上がらせたのは、新曲"東京"と"踊ってはいけない"のメドレーからだ。初めて聴いた"東京"には、いま僕がこのバンドを好きな理由がはっきりと表れていた。つまり、「くそだ」ということをひたすら繰り返していること。くそだ、くそだ、くそだ。こういうわめき散らしている若者を見ると、良識ある大人は、「世のなかそんなにくそばかりじゃないよ」と説きたくなるのだろう。実際、CD屋には、「世のなかそんなにくそばかりじゃないよ」という音楽ばかりが並んでいる。だから、「くそだ」は必然なのである。隣で見ていた三田格が何を思って「泉谷しげるだ」と言ったのかはさっぱりわからんが、ある種の「吠え」のようなものを感じ取ったのかもしれない。


 "踊ってはいけない"は、曲と言葉で、しっかりとオーディエンスを踊らせた。"サイケデリック・ベイビー"も良い曲だった。ちょうどそのとき、幻覚ではなく、「"世界が見たい"は、現代の『カメラトーク』である」と2年前に僕に講釈をたれたDJのヨーグルトが前列で踊っているのがわかった。本来ならこういう曲はDJカルチャーの側からもっと出て来てもいいのではないかと思うのだが......ベテランDJがこの曲で踊っている光景も悪くない。ピースである。
 圧巻はアンコールの"セシウム"だった。「犬が死んだその日から~」という出だしが最高だ。これは、現代日本が生んだ最高のパンク・ブルース、言わば墓掘り人の12小節である。ラップをやっている人たちは社会問題を主題にすることが多い。ロックをやっている人たちにもいる。311以降は、ポリティカルにならざるえない状況が続いている。"セシウム"を名曲にしているのは、この曲に込められたニヒリズム、ひとつの意見ですべてを塞がれてしまう状況に風穴をあけるような舐めた態度、そして、それらをひっくり返すようなユーモアがあることだ。忌々しいまでに最悪だが、笑える。くそだが、価値観が変わるかもしれない。(この"セシウム"に関しては紙エレキングの最新号で水越真紀が秀逸な論考を書いているので、ぜひ読んで欲しい)

 会場の照明がついて、ふたたびジェイク・バグが流れる。サムシング・イズ・チェンジイン、チェンジイン、チェンジイン......何かが変わっていく、たしかに変わっていく。本当はこのレヴューを、僕は「E王」にしたいところだが、ここをデフォルトにこのバンドを見守っていきたい。

ele-king vol.10  - ele-king

〈u-25新世代特集〉
〈インタヴュー〉福田哲丸(快速東京)、下津光史(踊ってばかりの国)
ジェイク・バグ、THE OTOGIBANASHI'S     他
※電子書籍版へのアクセスキーがついています

踊ってばかりの国 - ele-king

今週の木曜日、7月11日は、代官山ユニットへ行こう。踊ってばかりの国、新ベーシストの通称シド・ヴィシャス加入後の、公式では最初のワンマン・ライヴだ。会場に行って、歴史的なライヴを目撃したことを友だちに自慢しよう。日本にもストーン・ローゼズに負けないくらい最高のチンピラ・バンドがいるってことを知ろう。名曲「踊ってはいけない」で踊ろう。自慢の新曲「東京」がどれほどのものかしっかり聴こう。下津光史を大笑いしてあげよう。ステージでビールを飲ませるな。会場内で、ele-kingも物販やります! たのむから買ってください。

https://odottebakarinokuni.com

代官山Unit
OPEN : 18:30
START : 19:30
CHARGE : ADV 2,500yen (ドリンク代別)

ele-king vol.10 - ele-king

■アンチ・ギーク・ヒーローズ──神にならない神々

 新しいエレキングはすごいよ。何がって、おそらくこれから、この国の音楽シーンを面白いものにするであろう、"未来"を表紙にしているから。そいつらは、このハードな時代のリアリティを直視しながら、自分たちが好きな歌を生き生きと歌っている。いま世のなかが酷いことになっていようがどうだろうが、たったいま、この瞬間、この時代が連中(そして我々)の生きている時代なんだ。
 君も、ライヴハウスやクラブから聴こえる音に耳に傾けてみればわかるよ。20代前半の連中がいまやっていることが、いかに素晴らしい"未来"を感じさせるものなのか。ためしに彼らの言葉を読んで欲しい。若い連中はPCを万能の道具だとは思っていないし、ツイッターにも依存していない。酷い時代なりに、面白いことを探して楽しく生きている。自分の言いたいことを言っている。セシウムや風営法についても、虚無や生き方について。
 紙エレキングの『vol.10』。表紙は、福田哲丸(快速東京)と下津光史(踊ってばかりの国)。特集は「アンチ・ギーク・ヒーローズ──神にならない神々」。
 ◎インタヴュー:福田哲丸、下津光史、ジェイク・バグ、THE OTOGIBANASHI'S、ミツメ、Fla$hBackS、マヒトゥ・ザ・ピーポー、カタコト。

■ベッドルーム・チルアウト──最強の「部屋聴き」スタイル 2013

 小特集もある。今年の前半の洋楽で話題となったインクやライに代表されるチルなサウンド。最高にユルいチルアウト・ミュージック特集。名付けて「ベッドルーム・チルアウト」。世界中が注目する新作を控えたウォッシュト・アウトのロング・インタヴュー、夏がよく似合うニュージーランドのソウル・ジャズ・ダブ・バンド、ファット・フレディーズ・ドロップのインタヴュー。最強の「部屋聴き」をガイドする、部屋聴きディスク・ガイド40!

 ※他にも注目記事があるります!

■Sk8ightThing、ロング・インタヴュー
必読! 我らがヒーロー「スケシン」本紙初登場です!!! UKのゾンビーも虜にする、世界が注目する日本のストリート・ファッション界のカリスマ・デザイナー(生きる伝説級)が、相棒のトビー氏と共に音楽について熱く語る。本誌のための書き下ろしの作品もアリです。

■保坂和志×湯浅学「音楽談義 その1」
同世代人でもあるふたりの巨匠が、ビートルズとローリング・ストーンズの話を皮切りに、邦楽洋楽と音楽話に話を咲かせる! とくに保坂和志がここまで音楽について話したことはいままでなかった。

■これは便利! 購読者限定の電子書籍アクセスキー付き!
アナログ盤に付いているダウンロード・コードみたいなものですが、これがすごい機能。スマホ、PCですべて見れます。検索機能も付いています。通勤/通学中にお気軽にエレキングが読める!
恐縮ながら、今号、価格が100円上がっています。しかし、実際この電子版を見ていただければご理解いただけるはずです。電子版だけでも価値アリです。

■新連載もスタート!
web ele-kingでも大人気、UKカルチャーのご意見番・ブレイディみかこ&BL批評の最強刺客・金田淳子が登場します。

購入はコチラ

そういうわけで、今号も、どうぞよろしくお願い申し上げます!!

(ele-king スタッフ一同より)

Mouse on Mars × group_inou × OORUTAICHI - ele-king

 悔しいっす!!!!! 先にやられました。国境を超えた12インチ・スプリット・アナログ盤をDUM DUM LLPが作ってしまいました。しかも、マウス・オン・マーズ、group_inou、オオルタイチの3組によるヴァイナルで、再マスタリングをオウガ・ユー・アスホールの仕事で知られる中村宗一郎氏に依頼するほどの気合いの入れよう。
 収録は、Mouse On Mars「HYM」、group_inou 「ORIENTATION(95's Hip Hop mix)」remixed by 5ive(COS/MES)、OORUTAICHI「Sononi」。アートワークも格好いいです。
 売り切れ必至なので、マジで欲しい人は早めに買ってくださいね。

【DUM-DUM PARTY 2013】
Curated by ele-king & DUM-DUM LLP

日時:2013年6月29日(土)
会場:渋谷O-WEST BUILDING(O-WEST・O-nest・7th FLOOR 三会場同時開催)
開場/開演:15:00(22時終演予定)
出演:
Mouse on Mars(ドイツ)
OORUTAICHI
快速東京
きのこ帝国
group_inou
SIMI LAB
下津光史(踊ってばかりの国)
スカート
砂原良徳(DJ)
ミツメ
森は生きている
YAMAGATA TWEAKSTER(韓国)
渋家(shibuhausu)Exclusive
OL Killer
OGREYOUASSHOLE
大貫憲章
THE GIRL+
...and more!
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チケット:¥6,300(税込 / 全自由 /1ドリンク代別)
※3才以上有料
来場者全員特典:特製ZINE
チケット:5/11(土)発売
チケットぴあ(0570-02-9999)
LAWSON TICKET(0570-084-003)
イープラス(https://eplus.jp/)
※ディスクユニオン、各ライブハウス、高円寺DUM-DUM OFFICE店頭でもお求め頂けます。
........................................................................
イベント特設サイト:https://party.dum-dum.tv/


■Mouse on Mars Japan tour 2013

2013.6.28(金)
会場:大阪LIVE SPACE CONPASS
開場:19:30 開演:20:00
共演:OORUTAICHI

2013.6.30(日)
会場:渋谷WWW
開場:18:00 開演:19:00
共演:Y.Sunahara

■DOMMUNE出演
MOUSE ON MARS来日 × ヤン・ヴェルナー・ソロ・アルバム『BLAZE COLOUR BURN』発売 記念!!
初登場!MOUSE ON MARSの実験音楽・音響肌、JAN ST. WERNERの貴重なソロ・パフォーマンス!!

出演者:JAN ST. WERNER
https://www.dommune.com/


[info]
◎DUM-DUM LLP(公演に関する問合せ)
https://www.dum-dum.tv
◎DISK UNION(アナログに関するお問い合わせ)
https://diskunion.net/

 なんだかよくわからなくなってきた。下津光史がステージに上がるまで酒を我慢できるか、勝負しようじゃないか。もちろん編集部は「飲む」に賭ける。
 ele-king編集部(ライター募集中!)とDUM DUM LLP(コック募集中!)によるパーティ、「DUM-DUM PARTY 2013」の追加出演者が決まりました。オウガ・ユー・アスホール(OGRE YOU ASSHOLE)ザ・ガール、そして、OLキラー、そして、大先輩である大貫憲章さん!
 という、なんだかよくわからないことになってきた。だけどもういちどよく考えてて欲しい。このイヴェントの主役は、長州がコック長を務めるバーベキュー大会であり、ディスクユニオンが1日限定でオープンする宝物ありのレコード100円市なのだ。きのこ帝国も快速東京もマウス・オン・マーズでさえも、長州がコック長を務めるバーベキュー大会のツマミに過ぎない。つまり、この倒錯したバレアリック感は、当日来てもらうしかないということである。ele-king編集部(デモ音源募集中!)からひと言あるとすれば、最初から飲み過ぎないでくれ、だ。
 この1ヶ月、よい子を続けたお陰で、スゲー、メンツが揃った。あらためて、この下にある、出演者の名前を見て欲しい。
 渋谷のビルを貸し切ってのレコード100円市とバーベキュー大会、よろしくお願い申し上げます。こないだも書いたように、出入り自由なので、腹減ったら外で食べれるし、飽きたら映画館に行けばいいし、酔いたければ飲み屋もある。まったく、ファッキン・ブリリアントなパーティだ。

※なお、出演者も一般募集しています。ジーザス&メリー・チェインが初来日したとき、フロント・アクトを一般募集したのと同じ。出演者として参加ししたい人も同時募集です。自薦・他薦問わず! 
 ただし、6/29(土)のスケジュールが空いていて、渋谷でライヴができることがマストです。ele-king編集部(友だち募集中!)とDUM-DUM LLP(お客さん募集中!)で相談した上で、出演してほしい方にはこちらからご連絡します。応募はこちらのフォームから!↓
https://system.formlan.com/form/user/dumdumparty/2/


■DUM-DUM PARTY2013
Curated by ele-king & DUM-DUM LLP
イベント特設サイト:https://party.dum-dum.tv/

日時:2013年6月29日(土)
会場:渋谷O-WEST BUILDING(O-WEST・O-nest・7th FLOOR 三会場同時開催)
開場/開演:15:00(22時頃終演予定)
出演:Mouse on Mars(fromドイツ)、OORUTAICHI、快速東京、きのこ帝国、group_inou、SIMI LAB、下津光史(踊ってばかりの国)、スカート、砂原良徳(DJ)、ミツメ、森は生きている、YAMAGATA TWEAKSTER(from韓国)、Kamikaz(Clockwise)、LANG LEE(from韓国)、ダエン(from福岡)、渋家(shibuhouse)、Exclusive、Ned Collette (fromオーストラリア)、DJ Yogurt、OGRE YOU ASSHOLE、THE GIRL+...and more!
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チケット:¥6,300(税込 / 全自由 /1ドリンク代別) ※3才以上有料
来場者全員特典:特製ZINE
チケット:5/18(土)発売
ぴあ (P:201-745)
LAWSON(L:70170)
イープラス(https://eplus.jp/
DUM-DUM OFFICE(高円寺)、SHIBUYA O-WEST/O-nestの店頭で購入の方は¥5250で販売
※ディスクユニオン店頭でもお求め頂けます。

◎DUM-DUM LLP https://www.dum-dum.tv
(イベント/チケット/公演に関する問合せ/担当:野村、嶋津)


きのこ帝国 - ele-king

 GW真っ直中のこどもの日の夕刻、初夏の香りの漂う下北沢は、びっくりするほど若者たちで賑わっている。人混みを避けるように、僕は菊地祐樹と茶沢通りのコンビニで待ち合わせた。「しかしあれだね、この爽やか休日の、幸福そうな若者で溢れている町中を、若きニート=菊地と廃人のおっさん=僕が一緒に歩いているのも、面白いというか、なんというか」「ハハハハ、そうですね」......とか笑いながら、下津光史の弾き語りを聴くために風知空知へと向かった。
 下津は、「俺はいま禁酒しんてるんや。もう2週間もやで」と言って、我々を迎えた。席について、演奏を聴きながら、しばらくして僕は言った。「キクリン、下津の禁酒がいつまで続くか賭けないか?」「いいですよ」「俺はさ、もってあと1週間。今週末には飲んでいると思うね」「僕は、実はすでに飲んでいるに賭けます」......と話していたちょうどそのときだった。数曲歌え終えた下津は、ステージの脇にギターを置くと、足下に置いてあったミネラルウォーターのボトルを指さして、「なんやねん、この液体は。なんで透明なんやねん」とわめきながら、「俺が欲しいのは、もっと色がついているやつや」と声を荒げたあとに、子猫のような声で「すんません、コロナ、1本もらえますか」とスタッフに言った。

 翌日の6時過ぎ、場所は代官山UNIT、若者とおっさんは、きのこ帝国のワンマン・ライヴを見に行った。チケットはソールドアウトだったので、当たり前だが、ものすごい人だった。酸素が薄く感じるほど、超満員である。
 自分たちがどう見られるかばかりを気にするバンドが多いなか、きのこ帝国は、人目など気にせずに自分たちのやりたいことをやってきている。それがこのバンドの最大の強みだと思う。
 僕がこのバンドを初めて見たのは、およそ1年前の、5月26日の下北沢GARAGEだった。小さいライヴハウスに、お客さんが20人いるかいないか、しかもその場にいる20人は対バンのお客、そんななかでの演奏だった。それでも8月に下北沢のERAで見たときには、50人以上はいただろうか、それなりに埋まっていた。
 だいたい、100人も入れば埋まるようなライヴハウスで演奏を見ていると、身内の多いバンドかそうではないバンドかがわかるものだが、きのこ帝国は後者だった。いつもの取り巻きがいるわけではないし身内でわいわい盛り上がっている感じもない。そんなきのこ帝国は、この1年で、代官山UNITをチケット売り切れの満員にするほどのバンドとなった。地道なライヴ活動と2枚のCD、自分たちの音楽だけで。

 ドアを開ければそこは人垣だった。フロアの、僕は前へと突進して、最初はステージの近くで聴くことにした。ライヴは、テルミン(あらかじめ決められた恋人たちへのクリテツさんによる)電子音を響かせながら、"足首"ではじまった。じっくりと音を重ねがら、ゆっくりとアップリフティングしていく。さあ、ノイズ・ギターにまみれた魂のドラマのはじまりだ。
 ステージにいるのは1年前と変わらないきのこ帝国だった。愛想のない佐藤がいて、愛想の良いギターのあーちゃんがいる、物静かでシャイなふたりの青年がリズムを支えている。たまにあーちゃんが喋るくらいで、ほとんどMCはなく、淡々と演奏は続く。
 変わったのは、聴きに来ている人たちの数だったが、バンドはその夜もまた、ストイックだった。しかし、3曲目の"夜鷹"の孤独な思いが反響すると、おそらくは多くのオーディエンスの感情は、ゆるみはじめ......、ストロボの激しい点滅のなかで演奏された"暇つぶし"でたくさんの耳と心は釘付けにされた。我慢できずに、大粒の涙を流している人もいた。

 きのこ帝国が素晴らしいのは、血みどろの恋愛劇、傷つけあい続ける人間関係を勇気を持って描いているからである。傷つけ、傷つき合うことを忌避するあまりだろうか、歌のなかでも、あるいは休日の下北沢でも、オブラートに包んだような人間関係ばかりが目につくようになった。しかしときには、当人たちの望んだことではないにせよ、それが真剣であればあるほど、こと恋人同士とは傷つき合うことから逃げられないものだ。それは心を重層的なものにさせる。佐藤の歌には、その重層性がある。魂の地層をほじくり返すように彼女が歌うとき、オーディエンスの内部もほじくり返され、自らのそれに気がつくのだ。
 途中、僕は前列から退避して、後半は最後列で聴いた。"春と修羅"はアルバムよりもライヴ演奏のほうが、僕にはよく聴こえた。わめき散らされる感情は、生で聴いたほうがいい。いちばん後ろまでいって立っていると、すぐ隣には、色のついた液体を片手に持った下津光史がいた。
 1時間半ほどの演奏が終わるとアンコールが2回あって、2回目のアンコールでは新曲をやった。フロアを埋め尽くしている多くが若く、男女比率6:4ぐらいだったろうか、それほど女性客が目に付き、開演中にツイッターをしているような輩はものの見事ひとりとして見なかった。

追記:きのこ帝国から涙を完璧に吸い取って、歯切れ良くポスト・パンク
へと変換するとサヴェージズになるのだろうか......というのは飛躍し過ぎだろうねぇ。

下津光史 - ele-king

 着いたのは8時過ぎ。案の定、下津光史は、缶ビールを持って、良い感じに酔っぱらっていた。彼をライヴのトリにしてはいけない。この恐るべき23歳は、踊ってばかりの国のライヴの最中でも、終盤になればビールを欲する。他人とは思えないし、そして、そんなことで彼を賞賛したいわけでもない。
 しかし、この、長身の金髪のど不良は、たとえ瓶ビールをラッパ飲みしながらステージに現れても、リズム感を失わず、ギターと歌でグルーヴを作り、目の覚めるような歌を歌うことができる。

 ありきたりの、芸のない表現だが、彼の音楽からは、忌野清志郎、山口冨士夫、ジェフ・バックリィが見えるだろう(本人は憂歌団を主張するが)。日本にジェイク・バグがいるのか? と問われれば、下津がいると僕は答える。ソロであろうとバンドであろうと、そのくらい、この不良のライヴ演奏からは、彼がいまのところ残している録音物以上のエネルギーを感じる。飲み屋で酔っぱらって、自由に振る舞いすぎて、怖いお兄さんに一発二発ぶん殴られても翌日にはケロリと歌っているようなタイプの男だ。インターネット・ロマン主義にありがちな去勢された感じがない......というか、彼にはインターネットがそもそもない(笑)。ゆえに、本当は、こんな若いどチンピラの歌など笑ってやりたいのだが、......いや、でも目指す理想は、笑ってばかり国だ。真夜中を笑い飛ばせ。

 下津は、今日の日本のU23(ヒップホップのLOWPASS、オーバーエイジ枠として哲丸、大阪のSEIHOなどなどが入る)のなかでも、もっともニヒリズムを抱えているように見受けられる。目をまんまるにして、腹の底から怒っているように見えるが、しかしこの青年の音楽は、決して絶望のド壺にハマることがない。『コブラの悩み』やタイマーズの頃の清志郎を彷彿させる......"踊ってはいけない"や"セシウム・ブルース"は、ありがちな、ひとりよがりの政治的主張を越えて、多少のおかしみをもって抵抗している。あるいは、「人生はただの罰ゲーム」と彼が歌うとき、しかし彼の声と歌が、人生は罰ゲームなんかではないと言っているように聴こえる。
 
 僕がどうして下津光史のライヴにいるのか説明しよう。昨年のある晩のこと。電車で哲丸と一緒に帰る途中に、「同世代でもっとも好きなバンドはなに?」と訊いたところ、間髪入れず、「踊ってばかりの国」と言われたので、さっそく僕は、当時下津が住んでいた、都内某所の取り壊し寸前のクソ古いビルの地下のスタジオに彼を訪ねたのだ。それがきっかけだった。真冬だというのに、寝具などどこにも見あたらない、衛生とはかけ離れた、汚く、冷たいスタジオのなかで、寝起きの彼を二度襲撃した。「寒くないの?」と訊いたら、「裏技があるんですよ。寒くなったら、ギターアンプの電源を入れるんですよ」と真顔で答えたのが下津だった。
  
 踊ってばかりの国は7月に再活動するそうで、アルバムは年内にはリリースされるらしい......。未来は明るいかもよ。


John Beltran - ele-king

 ジョン・ベルトランは、デトロイト・テクノ第2世代として登場して、もっとも地味~な存在だったのに関わらず、結局、20年後のいまも作品が楽しみにされているひとりとなった。先日リリースされたムードマンのミックスCDの1曲目が、彼の1996年の名作『テン・デイズ・オブ・ブルー』から選ばれているように、ジョン・ベルトランの繊細かつ小綺麗な音響とメロディは、タイムレスだ。
 ジョン・ベルトランの中途半端なアンビエント・テイスト、中途半端なクラブ・テイストは、もうすぐ新作がリリースされるゴールド・パンダのいる領域と重なる。美しく、そして、どちらでもない感覚がベルトランの魅力であることに間違はない。10年ほど前、クラブ・ジャズからの賞賛のなかで発表した、自身のラテン・ルーツを強く意識した〈ユビキティ〉時代の作品も悪くはないが、僕は、中途半端なアンビエント・テイスト、中途半端なクラブ・テイストを持った彼の曖昧な領域で鳴っている音楽のほうが好きだ。重たくもなく、軽くもない。ごくたまに、自分のなかの嫌な部分が、闇の部分が、ある種ネガティヴな思いが、決して作品では出てこない、あるいは出さないタイプのアーティストがいるが、ベルトランは典型的なそれである。彼の音楽は何を聴いても優しい夢の国。スタイルに多少の変化があるだけだ。
 ベルトランは、2011年にオランダの〈デルシン〉から彼のアンビエント風の楽曲を編集した『アンビエント・セレクションズ 1995-2011』をリリースしている。オリジナル作品ではないが、前作『ヒューマン・エンジン』から5年ぶりのことで、昨今のポスト・ダブステップにおける90年代風回帰、ないしはアンビエント・ミュージックのささやかな流行がベルトランの復活をうながしたのだろう。
 7年ぶりのオリジナル作品となる『アメイジング・シングス』は、彼がソフトウェアを使って初めて作った作品だという。そして、アルバムは彼のふたりの子供に捧げられている。この7年のあいだに、彼にはふたりの子供ができた。他人事ではないように思えるし、そうしたモチヴェーションゆえか、彼の夢の国はさらにまた輪をかけて夢の国となった。クラスターで言えば『ゾヴィゾーゾー』、レデリウスの素朴な愛情。

 最近は、踊ってばかりの国の下津光史から「野田さんって実はテクノ知ってるんですね」と言われ、快速東京の哲丸からも「デトロイト・テクノって何?」と言われたということもあって、書いた。
 そして、最初は影が薄く、地味~にスタートした人が、20年経たとき、気がついたら最高に眩しく輝いていたということもある、そのことを23歳の君にも伝えたかった。

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