「Low」と一致するもの

 デッドビートと言って「おっ」と反応する人は、かなりの玄人。
 とはいえ、90年代末からどどどと出てきたベーシック・チャンネル・フォロワーのなかで、POLEに続いて、音にうるさい玄人たちから評価されたのがカナダのデッドビートだった。ことダブ好きにとっては、こと低音好きにとっては、デッドビートはいわばダブのレフトフィールド、つまり本物なのである。
 彼の新作は、かつてリズム&サウンドのMCとして名を馳せたティキマンとの共作。このリリースにともなう来日が来週金曜日、南青山ORIGAMIにてあります。
 共演は、ゴストラッドとレベル・ファミリア。ウルトラ硬派最新ダブの夜へようこそ。

3/21(金) DEADBEAT “The Infinity Dub Sessions” Release Party公演概要

 現行ミニマル・ダブのトップランナー、Deadbeatのリリース来日公演開催! さらにGOTH-TRADがExclusive Techno Setを披露し、なんと秋本“HEAVY”武士(ex.Dry&Heavy)とのユニットREBEL FAMILIAもライヴを敢行! 進化を続けるダブの最新型を体感せよ!

 ベルリンを拠点に活躍しScape、Wagon Repair、Cynosure、Musique Risqueeをはじめとする数多くの著名レーベルからリリースを重ね、ライヴ・アクトとしてもSonar、Transmediale、MUTEKといった世界各地のビッグ・フェスティヴァルに出演するカナダ人アーティスト、DeadbeatがTikiman名義でも知られているSt.Hilaireとのコラボレーション・アルバム『The Infinity Dub Sessions』をひっさげの来日!

 Deadbeatを共演をするのは、彼以上のアーティストは居ないといっても過言ではない日本が誇るサウンド・オリジネイター、GOTH-TRAD。なんと今回はなかなか聴く事ができないExclusive Techno Setを披露!! ミキシングを自在に操り、様々なアプローチでダンス・ミュージックを生み出し、MALA主宰によるレーベルDeep Medi Musikから数々の楽曲をリリース。ヨーロッパ~アメリカ~カナダ~オーストラリア~アジアでのツアー等、現在、日本人アーティストの中で年間最も世界中からオファーされ賞賛を浴びているアーティストの一人であるGOTH-TRADとDeadbeatの共演は見逃せません。

 さらに、そのGOTH-TRADと秋本“HEAVY”武士(ex.Dry&Heavy)とのユニット"REBELFAMILIA"がORIGAMIでLIVEを敢行!!!
 野外フェスティバルMETMORPHOSEでの衝撃のデビュー・パフォーマンスにはじまり、FUJI ROCK FESTIVAL等のGIGを経てROSSO、BOOM BOOM SATELLITES、ゆらゆら帝国等と共演。REGGAE LEGENDのMAX ROMEOとの楽曲など、今までリリースしたアナログはことごとく即日完売しオーディエンスから熱烈なプロップスを集める。その名を世界に轟かせる日本が世界に誇るREBEL FAMILIAが、ORIGAMIに新たな1ページを刻む。

 絶え間なく進化を続けるダブの世界最新型を体現するトップ・ランナー達がオンリーワンのサウンドシステムを持つ表参道ORIGAMIに集結する! 強力なスピリットを伴った力みなぎるダブ・テクノ、ベースミュージックの夢の共演をお見逃しなく。

[日程] 3/21(Fri)
[公演名] DEADBEAT “The Infinity Dub Sessions” Release Party
[OPEN] 22:00
[PRICE] 3,500yen

[出演]
MAIN FLOOR:
DEADBEAT
REBEL FAMILIA
GOTH-TRAD -Exclusive Techno Set-
DJ MIKU
SHIGETO TAKAHASHI

GALLERY FLOOR:
ngt. (rebel base)
SHIMAMU (Chord Memory)
HIROMI NOGUCHI (groundrhythm)
KATORI YOSHITAKA (Flowers)

[会場名] ORIGAMI
[住所] 〒107-0062
東京都 港区 南青山 3-18-19 FESTAE表参道ビルB1F(表参道交差点)
[電話] 03-6434-0968
[URL] https://origamientertainment.jp/
[facebook イベントページ]
https://www.facebook.com/events/1410325882558580/

DEADBEAT (BLKHRTZ / ~Scape / Wagon Repair / from Berlin)

 ベルリンを拠点に活躍するカナダ人アーティストScott Monteithのソロ・プロジェクトであるDeadbeat。Monolakeとのコラボレーション「Atlantic Waves」やStephen Beaupreとの「Crackhaus」としても知られる彼は、これまでにWagon Repair、Cynosure、Musique Risqueeをはじめとする数多くの著名レーベルからリリースを重ね、ライヴ・アクトとしてもSonar、Transmediale、MUTEKといった世界各地のビッグ・フェスティヴァルに招かれている。
 かつてScottは、数々のソフトシンセを開発しシーンの先端を切り開いてきたモントリオールのソフトウェア製作会社Applied Acoustics Systemsに務めていた。その最先端デジタル技術に関する広い知識と創作への深い探究心によって産み出されるサウンドはハウスやテクノから切れ味鋭いデジタル・サウンドによるダンスホール、または超重量級のダブまで変幻自在。名門レーベル~Scapeからリリースされた3枚のアルバムはBasic Channel系譜の金字塔作品としてカルトな人気を得ている。
 また、2008年発表のアルバム『Roots And Wire』は、Tikimanをフィーチャーしたダブ・ベースのトラックからテッキーなミニマル・テクノまでを展開。まったく新しい進化型ベルリン・サウンドはネクスト・ダブ・サウンドとして世界中のリスナーから絶賛された。
 2009年秋にはBEAMS RECORDSがスタートさせたコンセプチャルなミックスCDシリーズ『aLive 01』の第1弾アーティストとして作品を提供。エクスペリメンタルなスタイルに攻撃的で根太いグルーヴが独創的な内容となっている。
 2010年にリリースしたミックスCD『Radio Rothko』ではマスタリングにBasic Channelのエンジニアとして名高いPoleことStefan Betkeを迎え、現行ミニマル・ダブの集大成ともいえる作品を発表している。
 2011年には自身のレーベルBLKRTZをスタートさせ、アルバム『Drawn And Quartered』をリリース。また翌年にソロ名義8枚目のアルバムとなる『Eight』をリリース。2013年にはNYブルックリンのレーベルThe Agricultureの主宰のEscape ArtことJames Healyが新たに立ち上げたレーベルAir Textureのアンビエント・コンピレーション・シリーズ『Air Texture Volume III』をDJ Oliveと共に担当。
 そして2014年の3月にはTikiman名義でも知られているSt. Hilaireとのコラボレーション・アルバム『The Infinity Dub Sessions』をBLKRTZからリリースすることが決定している。


interview with Ana Tijoux - ele-king

ラテンアメリカは、自立のために絶え間ない闘いを繰り返し、非植民地化のために必死で生きている。私たちの微笑みを壊す、キャピタリズムの沈黙の支配を前にしながら。


Ana Tijoux (アナ・ティジュ)
Vengo(ベンゴ)

MUSIC CAMP

MUSIC CAMP

 ラテン・ヒップホップといえばマイアミやニューヨーク、ロサンゼルスのラテン系ルーツを持つアーティストたちによるスペイン語のヒップホップを思い浮かべる人のほうが多いのではないだろうか。それも間違いではないが、すべてではない。ここでは、いままで大々的に語られることがなかった、反米運動やグローバリズムに抵抗するために確立されたラテンアメリカのアンダーグラウンド・ヒップホップついて説明したい。
 2000年代初頭、ブラック・パンサー思想を継承するキューバのフェスティヴァル、「ブラック・オーガスト」は、エリカ・バドゥ、ザ・ルーツ、モス・デフ、コモン、ファット・ジョーらを含む米国のアーティストたちとキューバやラテンアメリカのアーティストたちが参加し、国を越えたアーティスト同士の交流を目的にした、伝説的なイベントだった。その動きに触発され、2005年からラテンアメリカじゅうのアンダーグラウンド・ヒップホップのアーティストを集めた、サミット的フェスティヴァル、『クンブレ』がベネズエラで始動する。同国では前大統領のウーゴ・チャベス政権による、ゲットーでのヒップホップを媒介にした教育や社会活動が政策を行っており、クンブレもその一環だった。そして、ドミニカ共和国、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、チリ、プエルトリコなどラテンアメリカ全域に『ヒップホップ・レボルシオン(ヒップホップ革命)』と呼ばれる大きなムーヴメントが広がり、2010年ごろまで活発化していた。

元大統領チャベス政権のヒップホップ政策により生まれた、ベネズエラのオクマレ・デ・トゥイという村の少年たちによる、ヒップホップ・クルー、ムーチョクモの曲〈Nuestra Juramento(俺たちの誓い)〉。
ベネズエラでは、現大統領、ニコラス・マドゥロ政権への反体制デモが起こり、紛争状態と米系大手メディアは報道する。一刻も早く同国の混乱が治まることを願うばかりだが、そんな今でこそ、表向きに報道されていなかったチャベス政権の活動を伝えるこのビデオを紹介したい。

 そんなラテンアメリカ全域を巻き込んだムーヴメントの功績により、メッセージと高い音楽性を持つヒップホップ・アーティストが着実に増え、現在ではメジャーとアンダーグラウンドの垣根もなくなりつつある。
 プエルトリコのデュオ、カジェ13はヒップホップ、レゲトンを自在に操り、ポップ・シーンを股にかけるメジャー・アーティストの代表といえる。2013年末に発表されたミュージック・ビデオ、「Multi_Viral」は、ウイキ・リークスのジュリアン・アサンジとレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのギタリスト、トム・モレロがゲスト参加した曲であり、パレスチナのベレンを舞台に、ビデオ撮影が行われた。もちろん、そこには反キャピタリズムのメッセージが込められている。

カジェ13「Multi_Viral」。カジェ13の戦闘的ラップと、ジュリアン・アサンジの朗読、トム・モレロのロックギターが炸裂。

 メジャーに君臨しながらも、プエルトリコの米国からの独立のために活動し、大胆なメッセージを放つ彼らは、ラテンアメリカのみならず、世界中に刺激を与えている。

 また、英国のDJジャイルズ・ピーターソンは、かねてからキューバの首都ハバナのアーティストたちと組んだプロジェクト「ハバナ・クルトゥラ」の活動を2009年から継続しているが、そこには、ヒップホップ・グループのロス・アルデアーノスやドブレ・フィロのビートメイカー、エドガロ・プロドゥクトー・エン・ヘフェら硬派なアーティストたちが参加している。

エドガロ・プロドゥクトール・エン・ヘフェ「VIDA」

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グラミーにノミネートされただけでも、嬉しくて狂いそうだった。だっていままでに、ノミネートされたチリ人アーティストは私でふたり目だったし、決してメジャーではないチリの文化やヒップホップを世界に知らしめるための扉が開いたと思った。


Ana Tijoux (アナ・ティジュ)
Vengo(ベンゴ)

MUSIC CAMP

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 ラテンアメリカのコンシャス・ラップが、もはやマニア向けなものではないことを示すのが、チリのMC、アナ・ティジュの活躍だ。
 ジャイルズ・ピーターソンのレーベル、ブラウンズウッド・レコーディングスのコンピレーション、『Brownswood Bubblers』にも曲が収録され、アルゼンチンの鬼才音楽家、グスターボ・サンタオラージャが率いるグループ、バホフォンド・タンゴ・クラブの『Supervielle』や、ウルグアイのシンガー・ソングライター、ホルヘ・ドレクスレールの最新作『Bailar en cueva』にも参加し、コロンビアを拠点とする英国人DJ、クアンティックとコラボレーションしたEP「Entre Rejas/Doo Wop(That Thing)」を発表するなど、さまざまなジャンルのアーティストからのラヴ・コールを受けている。

 米国グラミーのラテン・オルタナティヴ部門で、2作目『1977』(2011年)と3作目『ラ・バラ』(2012年)で、二度もノミネートされていることも、彼女が注目を集めるきっかけとなった。だが、アナは明らかに先進国の音楽界でトップになることをゴールとはしていない。

 筆者は2011年に、アナにインタヴューする機会を得たのだが、それは彼女のアルバム『1977』がグラミーにノミネートされたロサンゼルスでの授賞式直後だった。惜しくも受賞は逃したが、彼女にとって、それは重要な問題ではないというように、こう言った。

「グラミーにノミネートされただけでも、嬉しくて狂いそうだった。だっていままでに、ノミネートされたチリ人アーティストは私でふたり目だったし(2000年にロックバンド、ラ・レイが同部門でノミネート)、決してメジャーではないチリの文化やヒップホップを世界に知らしめるための扉が開いたと思った」

 グラミーで、アナがラップする機会を得たことには深い意味がある。というのも、米国の新自由主義に踊らされた、アウグスト・ピノチェトが1973年に起こしたチリの軍事クーデターにより、フランスに亡命した活動家の両親から1977年に生まれた女性こそが、アナ・ティジュだったからだ。アナの一家は、ピノチェト政権崩壊後の1993年に、チリへと戻った。発言や表現の自由を得た現地の若者たちのあいだで、産声をあげたヒップホップに、彼女は魅せられていった。
 だからこそ、米国の、世界中から注目される音楽の祭典で、彼女の抵抗のライムが響き渡ったことは、歴史的な出来事だったのである。

アナ・ティジュのアルバム『1977』に収録された同名曲。トム・ヨークがお気に入りとTwitterで発言して話題になった。

「私は母国で政治のために闘った両親の娘であることを誇りにしている。日々の会話のなかや、育て方にも彼らのポリシーが現れていた。私がヒップホップを選んだのは、言葉を書くことが大好きで、それをリズムに合わせることも、音楽そのものも好きだから。そして何よりも自分のメッセージを的確に表現できるから。私にとって音楽はセラピー、エネルギーであり、感覚、怒り、羞恥、喜び……つまり、すべての感情をひとつにするもの」

 アナ・ティジュの2作目の『ラ・バラ』は、ピノチェト政権末期の1990年3月にチリで公布された教育基本法により、教育の民営化が進み、学生や教員たちにとって不利な状態が続いていた状況を打開するため、2011年に学生運動が激化した頃に制作された。デモの参加者はのべ120万人以上。中心となるのは中高生を含む学生たちだ。
 同アルバムのシングル・カットされた曲、“ショック”は、不正を繰り返す権力者たちへの怒りと、世の中を変えようと立ち上がる者たちへの惜しみないリスペクトを込めた曲だ。それは、クーデターや大惨事といった衝撃に便乗し、復興や改革の裏に入り込む資本主義にメスを入れる、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クラインの著書『ショック・ドクトリン』にインスパイアされ作られたという。“ショック”のプロモーション・ヴィデオは、実際に占拠されている学校で撮影され、主人公は、運動に参加している学生や関係者たちの姿だ。衛星テレビ局アルジャジーラでも、アナの勇気ある行動は大きく取り上げられ、“ショック”はチリの学生運動に欠かせないテーマ曲となった。

アナ・ティジュ 『ショック』のPV(日本語字幕付き)

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私のなかで、南とは北からの度重なる圧力に立ち向かう抵抗の力だと意識している。ラテンアメリカとアフリカの歴史は非常に似通った部分があり、それは音楽的にも交差している。アフリカはすべての母だと意識しているし、それを拒むのは、私たちの歴史を拒むことになる。

 そして、3月9日にリリースされた最新作の『ベンゴ』(「私はやってきた」の意味)は彼女の決意とともに出現したアルバムといえる。リリックは、グローバリズムやキャピタリズムに抵抗する姿勢を示しているのはもちろんだが、前作よりも、ルーツやコミュニティの大切さ、自治、環境問題や女性の人権についてを深く物語っている。
 まさに南からの声明ととれる同作について、アナ・ティジュが、メール・インタヴューに答えてくれた。

「アルバムタイトルとなった同名曲“ベンゴ”はその構想の段階からメロディもメッセージも、とても自然な形で生まれた。友人たちとの日々の会話のなかで、私たちのアイデンティティについて語ってきたことが原点となった。この曲は、アルバムの根幹について要約しているものだと思ったの」


Ana Tijoux (アナ・ティジュ)
Vengo(ベンゴ)

MUSIC CAMP

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 アルバムのアートワークには、メキシコ革命の戦士やサパティスタ民族解放軍の乳飲み子を抱えた女性、チリを含む南米を拠点にする先住民族マプーチェの老女、そしてアナの子どもの頃と重なる少女の姿が描かれている。闘い続ける女性たちの姿が並んだ、素晴らしいイラストだ。

 「チリ人アーティストのパブロ・デ・フエンテが手がけた。最終的にこのイラストのコンセプトはほとんど彼が決めたものだけど、事前に私たちは人生やこのアルバムに収録された曲について語り合い、それを彼がイメージして描き上げた。だからこそすごく美しいものになったの」

 今作は、南のルーツを感じさせる音がふんだんに入っているのが特徴だ。アンデス地方のフォルクローレで使われるケーナやチャランゴのざわめきと、太いパーカッションの振動や、美しいクラシックやジャズの旋律と交わり、豊かなバンドサウンドとなっている。そこに載せられた鋭いライムが聴く者の心に突き刺さる。

「ラテンアメリカ由来の楽器を加えたのは、ずっと前から自身に問いかけてきたテーマからだった。私たちのルーツに回帰するためには、どうやって音楽で向き合えるのかを模索した結果だった。このプロジェクトに、かつて共演したことがなかった異なるジャンルの演奏家たちが参加し、経験を共有できた。そのプロセスは、実に豊かでパワーに満ちたものだった」

 学生運動が沈静化したように見えるチリの現況だが、先住民の土地利権問題などは根本的には解決していない。同国の状況について、アナはこのように語る。

「チリは現在欠陥を抱えた困難な状況にある。それは恒久的に信頼性を失ってしまった状態なの。いままでの不当な歴史で受けた、数々の深い傷口を広げたまま、なんとか確立している場所。政府が誠意を持った解決に向かって動いていないあいだに、この複雑な怒りを込めた私たちの隔たりは大きくなっていくいっぽう。ラテンアメリカは、自立のために絶え間ない闘いを繰り返し、非植民地化のために必死で生きている。私たちの微笑みを壊す、キャピタリズムの沈黙の支配を前にしながら」

 本作で、白眉といえるのが、ラテンアメリカとアフリカを意識したリリックが印象的な〈Somos Sur〉(「私たちは南」)だ。

「私のなかで、南とは北からの度重なる圧力に立ち向かう抵抗の力だと意識している。ラテンアメリカとアフリカの歴史は非常に似通った部分があり、それは音楽的にも交差している。アフリカはすべての母だと意識しているし、それを拒むのは、私たちの歴史を拒むことになる」
 さらに、同曲に参加する、パレスチナの血を引く、英国人MC、シャディア・マンスールの畳み掛けるようなラップに圧倒される。シャデイアはアラブ圏初の女性MCとして知られている。
 「シャディアのラップを聴いたときに、強烈な印象を受けた。彼女の力強い言葉のなかに、絶え間ない熟考を読み取った。私は彼女と何かやらなければいけないと心に誓った。私たちは以前から交流はなかったものの、最初にコンタクトをとったときから、瞬発的に理解しあうことができた。私たちの世界へ向ける目線は同じであり、彼女は素晴らしい音楽家である以上に、人生の同志であると感じる」

 言葉と音をしっかりと握りしめ、地上にやってきたアナ・ティジュ。彼女の南からの視線は、きっと日本のリスナーの心を打つだろう。

「このアルバムに命を吹き込むため、共有するために、招いてくれるところにはどこへでも行きたい。日本でも『ベンゴ』が発売されたことに感謝している。私の友人たちでもある米国のヒップホップのアーティストたちは、日本でツアーしたこともあるんだけれど、リスナーが真摯で、ブラック・ミュージックやヒップホップ文化の背景にも理解があるって感動してたの。心からあなたたちの大地を訪れたいし、あなたたちの文化を知りたい。そして音楽と言葉によってもっと近づきたい」

カタコト - ele-king

 カタコトって何者? 快速東京のメンバーがいるとかいないとか?
 YANOSHITの言葉を借りれば「♪カタコトのカは快調~/カタコトのタは体調/カタコトのコは好調~/カタコトのトはトウチョウ~?」(“Man In Da Mirror”)とのことで、あるいは『bounce』誌のインタヴューによれば「カタコトっていうのは概念なんですよね。いわば宗教……ですよね」(MARUCOM)とのこと。ううん? まあ彼らがそう言うのであればそういうことなのだろう……。

 とにかく。カタコト、超待望のファースト・アルバムである『HISTORY OF K.T.』をプレイすれば、このヤングでギャングなボーイズが何者かなんてことはどうでもよくなってしまう。『HISTORY OF K.T.』はとんでもなくゴキゲンでグルーヴィで──もっとも重要なことに、底抜けに楽天的だ。
 だってこのご時世に「♪安心なのさ/安心なのさ/安心なのさ/安心なのさ~」(“からあげのうた”)なんてだれが歌えるのだろう(とはいえもちろん「こんなループに乗せて歌う日本の平和な音楽」というアイロニカルな一節は無視すべきではない)? ふざけたおしすぎて意味不明で笑かしてくれる謎のブックレットやスキットにはいったいどんな意味が? ……つまり、カタコトにしか表現できないへんてこな抜けの良さ=大衆性が、アルバムにはぎゅうぎゅうに詰まっている。
 元気の良さとふざけっぷりはティーンだった頃のオッド・フューチャーの悪ガキどもと同じくらいだ。でもカタコトは露悪的な猟奇趣味じゃない。というよりは、橋元さんが書いているように(https://www.ele-king.net/review/live/003305/)「コミカルな妖怪たち」あるいはオバケみたいな「はっきりした正体不明さ」でもって肯定的な開放感をめいっぱい呼び込んでいる。

 “Man In Da Mirror”にはビースティ・ボーイズとB級ホラー映画が、VIDEOTAPEMUSICを迎えた“リュックサックパワーズ”にはローファイと裏山の冒険が、“G.C.P”にはファンクとパンクが、“魔力”にはサイケデリックと超能力が、“からあげのうた”には童謡が、“Starship Troopers”にはアシッド・フォークと昆虫採集が、“ピアノ教室の悪魔”には学校の怪談とゲームボーイがそれぞれひしめきあっている。そして、どの曲にも映画と食べ物とヒップホップへの愛が詰まっている。それは、何かの間違いでそういったものをぜんぶ洗濯機に投げ込んで回してしまって、ぐっちゃぐちゃのかっちかちのぴっかぴかの一塊の何かとして取り出されたような、ストレンジで強引なラップ・ロックとして形成されている。

 もちろん僕らをそわそわさせるあの名曲“まだ夏じゃない”も、ゴキゲンでキュートなお宝探し冒険譚“Gooonys”もパワーアップして再録されている。とくに“Gooonys”は最高だ。カタコトというバンドをよく表している。
 YANOSHITはここで「心が未だにTeen-age/もしかしたらと思った大人が大冒険」なんてヴァースをぶちかましていて、RESQUE-Dのフックは「鎖繋がれてるモンスター」「悪餓鬼6人集めて映画にすれば大人が感動する」といった具合だが、果たしてカタコトはティーネイジャーの心を持った大人なのか、それとも「悪餓鬼」なのか、はたまた鎖に繋がれた「モンスター」なのか? もしも「モンスター」だったとしたら大変だ。いまに鎖をぶっちぎって僕らに襲いかかってくるかもしれない……。

 『HISTORY OF K.T.』は愉快痛快な一撃だ。スチャダラパーとRIP SLYMEの王座を奪うのは、もしかしてカタコトなんじゃないの? そんなことまで想像させるだけのポップネスとユーモアがきらきらと炸裂している。

Nicolas Bernier - ele-king

 2013年、世界的なメディア・アートの祭典〈アルス・エレクトロニカ〉において「デジタル・ミュージックス・アンド・サウンド・アート」を受賞したアーティストがモントリオールのニコラス・ベルニエである。作品の名は「フリークエンシーズ (a)」。「音叉」の震動を音響的に拡張させる装置/テクノロジーを用いたサウンド・アートだ。

 音叉の物質的な震動によって生成する響きは、既存の(90年代後半以降、PCのHD内での音色生成・エディットや、エラーによる偶然性の活用=グリッチを用いた)ポスト・デジタル・ミュージック作品と似て非なる魅力の音を生み出すことに成功している。氷のようなクールなビジュアルと、透明なガラスに反射する光のようなクリスタルな音の生成と持続は、観るものに静かな衝撃を与えるだろう。インターネットでダイジェスト映像が公開されているので、そちらをご覧になっていただきたい。この装置の概要がわかるはずだ。


frequencies (a) | nicolas bernier from Nicolas Bernier

 本盤は「フリークエンシーズ (a)」の音源化である。リリースはリチャード・シェルティエが主宰するサウンド・アート・レーベル〈ライン〉。タイトルに「フラグメンツ」とついていることからも、実際のインスタレーションの音をエディットしたものと思われる。

 ニコラ・ベルニエは、この作品を「純と不純の二分法に関するシリーズ」と述べている。この「純」とは何か。音叉によって生まれる響きのことか。事実、彼は「音叉は純粋な正弦波に近いサウンドを生成するオブジェクト」と語ってもいる。では「不純」とは何か。それが人間によるエディット・コンポジション、もしくはコンピューターによるフリーケンシーな音色の生成のことであろうか。純=音叉とアナログ、不純=コントロールとマシンとは、いささか粗雑な解釈だろうが、ひとつの補助線を引くことくらいはできるだろう(それにしても音叉という本来、調律を行う器具を用いて、このような非平均律的なノイズを生み出すというコンセプトがユニークだ)。

 私見だが、「純と不純の二分法」という概念は、本シリーズ作品のテーマでもあるようにも思える。そう「フリークエンシーズ」はシリーズ作品なのだ。アルス・エレクトロニカ受賞作品「フリークエンシーズ (a)」は、音叉による震動を音に変換する独自のシステムを用いたインスタレーション/サウンド・アート作品。そしてシリーズ2作め「フリークエンシーズ(シンセティック・バージョン)」は、同じシステムを用いたラップトップによるデジタル・ミュージック作品。こちらも動画がある。


frequencies (synthetic variations) | nicolas bernier from Nicolas Bernier

 本シリーズの音源化は、まずは、2013年に、フランスの実験音楽レーベル〈エントラクト〉から「フリークエンシーズ(シンセティック・バージョン)」がリリースされたことにはじまる。〈ラスター・ノトン〉的な律動感に満ちたトラックばかりの傑作で、コンピューター制御されたトラックが脳髄をバキバキに刺激していくアディクティヴなアルバムである。そして2014年、〈ライン〉から『フリークエンシーズ (a / フラグメンツ)』も発表された。これでまだ発表されていない第3部を除き、第1部「(a)」と第2部「(シンセティック・バージョン)」が音盤/音源化されたことになる。

 個人的には、ニコラス・ベルニエの新作が〈ライン〉から出るというアナウンスを知ったときは軽い驚きを感じたものだが、同時に納得もした。ベルニエは〈ホーム・ノーマル〉などからポストクラシカル/アンビエントな、可憐なアルバム『Music For A Piano / Music For A Book』(2012)などもリリースしていたので、〈ライン〉からのリリースは意外に感じるものの、彼のライヴやインスタレーションの動画を観ると、エクスペリメンタルな楽曲をコンスタントに発表していたし(こちらにいくつかの動画がまとまっている。https://vimeo.com/nicolasbernier)、そのうえ13年のアルス・エレクトロニカ受賞が追い風にもなったであろう。さらに〈エントラクト〉からの本シリーズの別バージョン音源の完成度の高さを考えると、〈ライン〉のラインナップに加わることは納得がいく。そして〈ライン〉としても、そのレーベル・カラーに大きな変革をもたらす重要なアルバムになるのではないかとも思えるのだ。

 では〈ライン〉的なるものとは何か。それは音響の建築的(アーキテクチャー)設計によるサウンド/アートの再設定というものではなかったか。聴こえないほどの微音=震えを、建築的な音の構造論から設定し、新たな音環境を構築すること。それがレーベル初期の思想であったように思われる。それらは主宰リチャード・シェルティエらの作品のようにロウワーケース・サウンドなどと呼ばれもした。

 そのブームのようなものが去った後も〈ライン〉はいくつもの方法論を模索しながら、やはり「音/響のアーキテクト的な再設定の思考」を進めてきた。00年代中盤以降〈ライン〉はもはや微音量にこだわってはいなかった。彼らが、その時期以降に実践してきたことは、「音楽的ではないドローン」の環境的・美学的な音響生成であったように思う。12kが「音楽的なドローン」=アンビエントへと向かっていたこととは対照的であった。

 しかしこの2014年最初のリリースにおいて、〈ライン〉は、非音楽的ドローンをエステティックなレベルに持っていくという一連の実験・実践とは異なるコンセプトをプレゼンテーションしてきたように思う。それはどのような変化なのか。一言で言うならば、音の物質的な震動を再生成することではないか。同時リリースされたディスクが、環境音からほとんど鳴っていないような静寂と震えを生み出すフランシスコ・ロペスの音源データ(7時間分)を収録したクロニクルDVDであったことも示唆的だ。そう、2014年、〈ライン〉は、音の「震動」に焦点を当ててきた。

 となると、ベルニエのこの作品のどこが「震動」的なのか。いうまでもなく、音叉の震えから純粋な電子音響を生成しているところである。この作品は、一聴したところ透明な電子音が持続と変化と切断の中でコンポジションされるポスト・デジタル・ミュージック作品に聴こえるし、たしかに、コンピューターによって制御されてもいるのだが、しかし、その音は、音叉とその装置の接触による物質的な震動なのだ。それこそが、ほか(の電子音響作品)にはない、新しさに思える。事実、本盤の響きをよく聴いてみると、そのトラックを満たしている震動には、微細なアナログ感があり、それがフェティッシュな音の快楽を生んでいる。デジタルな音の生成とアナログで物質的な音の震動の交錯とでもいうべきか。

 アルバムは33分程の1トラックだが、音は変化を繰り返すので飽きることはない。冒頭からガラスを弾くような響きが間をおいて繰り返され、残響から別の音の層が空気のように生まれ出ていく。さらに打撃音が持続の中に打ち込まれ、光のようなアンビエンスの層と融合する。透明な打撃と持続。微細なノイズの粒。微かなノイズから生まれるクリッキーなリズム。パチパチとした細かいリズムに、ガラスのカーテンのような音の交錯。それらはまたも非反復的な打撃音ともに消え去っていくのだが、そこからさらに氷のように冷たく透明なサウンド・カーテンやマイクロ・ノイズが幾層にも生まれ出る……。

 個人的には、やはり9分から12分あたりで展開されるクリッキーなリズムと、砂時計のような微細なノイズと空間を揺らすような透明な音が交錯するあたりが好みだが、全33分、どの瞬間も、透きとおっていて、美しい緊張感がある。そのクリスタルな音の持続は電子音楽と非電子音楽の間を越境し、音の磁場・震動・環境は、マシニックな緊張と官能性の中で見事に刷新されている。まさに2014年、ポスト・デジタル・ミュージックの最前線。必聴のアルバムである。

 最後になったが、ニコラ・ベルニエは、ボールドというインプロ・ノイズ・ユニットとしても活動しており、昨年はカセット作品『FMV/SHR』を発表した。こちらもインターネットにパフォーマンス動画がアップされている。まるでボードゲームをプレイするかのように3人向かい合ってのラップトップでパフォーマンス。ユニーク極まりない。


JAY DANIEL - ele-king

 昨年、デビュー・シングルをセオ・パリッシュ(今日のハウス・シーンにおいて、おそらくもっとも影響力のある人)のレーベルから発表、そして来週にはデビューアルバムをカイル・ホールのレーベルから出す予定の、若干23歳、ジェイ・ダニエルが初来日する。まずはこのボイラールームでのDJを見てくださいよ。ちゃんとレコードとターンテーブル使っているし。

 

 お母さんが、カール・クレイグが作ったガラージ・ハウスの傑作、“スターズ”で歌っていたナオミ・ダニエルだって事実だけで、往年のファンには大受けだったジェイ・ダニエルだが、そのバイオに相応しく、DJの腕もたしかだ。90年代後半のムーディーマンとセオ・パリッシュのタッグのように、2010年代、彼とカイル・ホールが、シーンに新しい風を送る。渋谷モジュールでの1回キリのDJ。 伝説の夜に、GO THERE!


■2014.3.15(土) module

Dope Dive -JAY DANIEL-

23:00~

2000 (with flyer) | 2500/(door)

Jay Daniel (Fundamentals / Sound Signature)
Tommy (Technique/V.)
DJ MUCKY (Vinylists)

Shota Tanaka (Beaten Space Probe/Disco Deviance)
Ryo Nakahara (Ranamusica / Lighthouse Records)
Masashi Matsu i(L.S.S TRAXX / Loudspeaker Survey)
DJ STOCK (World Spin / JMC)


ミツメ - ele-king

 団地を切り取ったミニマルなカヴァー・アートが目を引く。規則正しく等間隔で並んだベランダには、それぞれ洗濯物、室外機、あるいは植物なんかが見えている。これはたとえば、この『ささやき』に収められた“公園”や“ボート”、“3年”の曲調のようなほほんとした単調さを持った生活感や、『eye』までのカヴァー・アートの少々感傷的でノスタルジックな感覚を想起させる。
 あるいは。アンドレアス・グルスキーがスーパーマーケットを切り取ったあの冷たいミニマリズム(そういえば、ポール・トーマス・アンダーソンは『パンチドランク・ラブ』のなかでグルスキーへのオマージュを捧げていた)のような居心地の悪さや気味悪さも感じられる。それは昨年のザ・ストレンジャーのアルバム・カヴァーのようなディストピックな閉塞感とも地続きにある、のだろう(大友克洋の『憧夢』も思い出される。「団地」というものはあまりにも多くの意味を孕んでいる)。
 『ささやき』のジャケットをLPサイズで眺めていると、微笑ましい生活感と悪夢のような冷たい反復との間で引き裂かれそうになり、くらくらと目眩がする。

 ミツメの3作めとなる『ささやき』はそういった両価性を持ったアルバムで、ミツメはここで弛緩と緊張とがともに存するような音楽を奏でている。
 “公園”や“ボート”にはふにゃふにゃと緩みきった気怠い反復があり、たとえば“ボート”には楽天的でトロピカルな感覚すらあるが、「ずっと前から 気にしてたけど/いいよ」「道連れにして うやむやになる」と諦めきった倦怠感が充満している。そして、“停滞夜”や“テレポート”などに特徴的だが、川辺のクルーナー・ヴォイスには深く深くリヴァーブがかけられ、口を開ききっていないようなそれこそささやくような──歌唱法でもって、ますますゴーストリーでこの世ならざる繊細さが表現され、空気へと分散し溶け込もうとしているかに感じられる。
 昨年のシングル『うつろ』について僕は「虚無感」「妙に重たくて気怠く、隙間だらけだが粘っこいグルーヴ」「ダーティでルーズで未整理な音」と書いたが、『ささやき』ではそういった感覚や方向性をさらに深化させているようだ。先の“ボート”などの他に“コース”や“クラーク”といったシンプルでルーズなロック・チューンでは(とくに後者で)ペイヴメントのようなだらけたグルーヴを展開しており──つまりこういった演奏ができるということは、ミツメの4人のアンサンブルはいまもっとも息があっているということなのだろう。

 一方、“いらだち”では『BGM』や『テクノデリック』の頃のYMOのドラム・サウンドを、“ささやき”では『青空百景』の頃のムーンライダーズのギター・サウンドをそれぞれ思い起こさせ、他にも“停滞夜”や“number”といった曲ではニューウェイヴへの指向性を一層深めている。ギター、ベース、ドラムスないしドラム・マシンが刻むミニマルなリズムがこういった楽曲の中心を占め、抑制や禁欲の美意識がゆき届いた緊張感、緊迫感を放っている。

 『ささやき』はどの曲も短く、収まりのいいエンディングを迎えないまま唐突に終わる。いくつかのインタヴューでは、プリプロ段階で録音したデモに残された偶発的なミスやフレーズをレコーディングにおいて再現した、ということが語られていたが、『ささやき』にはリハーサルを録音したプライヴェート・テープといった趣すらある(“ささやき”のドラムスを聴いてみよう。タムの捌き方やハイハットの開閉にはまるで演奏中に叩き方を考えながら叩いているかのような不安定さがある)。だけれども、だからこそ、ここには異様な緊張感と弛緩とが奇妙に同居している。
 アルバムを聴き終えたあとには、カヴァー・アートから感じるそれと相同の居心地悪さ、薄気味悪さが残るだろう。『うつろ』で踏み出したニュートラルでフラットでどっちつかずのグレーゾーンのその先で、霧と煙に取り巻かれて、ミツメは茫漠とした奇妙な像を結んでいる。

Asusu (Livity Sound / Project Squared) - ele-king

Asusuが3月29日に-Flower War- Life Forceで初来日する。彼はPeverelistとKowtonと同じレーベルでライブユニットである”Livity Sound”のメンバーで、UKブリストルから、ベースミュージック以降のシーンにテクノやハウスの実験精神を持って、ダブステップやダブの最良の部分を組み合わせたサウンドを追求し続けている。昨年はLivity Soundのセルフタイトルアルバムや、Pevとの共作シングルといった傑作をリリースし、2013年のRA Pollではレーベル部門で見事1位に輝いた。Asusuは3月28日(金)に豊橋Quark、29日(土)原宿The Sad Cafe STUDIOでは、90年代初頭より20年以上にも渡り、国内でオープンエアパーティー、ウェアハウスパーティーのカルチャーを根付かせてきたLife Forceに登場する。3月26日(水)にはDOMMUNEへの出演も予定されている。Asusuによるテクノとハウス、ガラージュ、ダブステップが融合した現行ブリストルサウンドをAsadaのサウンドデザインで是非体感してみてほしい。

Asusu Tour Dates
3/26 (水) Life Force Presents BROADJ at DOMMUNE, 渋谷
3/28 (金) Paranoid at Grand Space Quark, 豊橋
3/29 (土) -Flower War- Life Force at The Sad Cafe STUDIO, 原宿

限定前売りチケット発売中 -Flower War- Life Force 3/29 (土)
Feelgood Shop

Asusu
Soundcloud | Facebook | Twitter

Life Force

a top 10 of old and new bits I'm playing at the moment...


1
Zenker Brothers - Vamp Like - Tresor

2
Iori - Wave - Phonica White

3
Kobosil - Aggregate - Unterton

4
Photek - Glamourama - Science

5
Hodge - Renegades - Ytivil Dnuos

6
Batu - Spooked / Clarity(Dismantled) - Ytivil Dnuos

7
Skudge - Wonder Stories - Skudge

8
DJ Dozia - Pop Culture #1 - Ovum Recordings

9
Elgato - We Dream Electric - Elgato

10
Rashad Becker - Traditional Music of Notional Species - PAN

踊ってばかりの国 - ele-king

 ニュー・アルバム『踊ってばかりの国』が絶好調。いよいよジャパニーズ・ロック・シーンに乱入かと、上昇気流に乗っている踊ってばかりの国ですが、ele-king12インチ・レーベル(通称、VINYL FOREVER series)の第一弾として、「踊ってはいけない国 EP」が3月5日にリリースされます。
 リミキサーは、踊ってばかりの国ファンを自認するDJヨーグルトさん。これ、予約だけでアマゾンのアナログ盤チャートの1位になったほどなので、こう言うのもナンですが、見つけたら迷わない方が良いと思います。
 ただでさえ、最近の日本は安部首相のおかげで海外からの評判落としまくり、そこへきて、まがりなりにもオリンピックをやるという都市でナイトクラビングができないなんて、外国から来たお客さんに呆れられてしまいますよね。
 
 なお、踊ってばかりの国は3月7日からツアーがあります。九州、北海道、東京、神戸──お近くの方はぜひライヴに足を運んで、下津君や林君をひやかしましょうね。

 2014年3月7日(金)福岡県 Queblick
 2014年3月14日(金)北海道 COLONY
 2014年3月30日(日)東京都 下北沢GARDEN

 2014年4月6日(日)兵庫県 music zoo KOBE 太陽と虎


※以下、おまけ。先日 本人から届いた季節外れの年間チャートです。

■下津光史(踊ってばかりの国)2013年間ベスト10

1. Christopher Owens - Lysandre
2. Kirt Vile - Wakin On A Pretty Daze
3. Foxygen - We Are the 21st Century Ambassadors of Peace & Mag
4. The Strokes - Comedown Machine
5. King Krule - 6 Feet Beneath the Moon
6. Vampire Weekend - Modern Vampires of the City
7. Jake Bugg - Shangri La
8. Yuck - Glow & Behold
9. Blood Orange - Cupid Deluxe
10. Toro Y Moi - Anything In Return

最近伊達眼鏡をかけはじめました。昨年に引き続き、どうも、踊ってばかりの国の下津です! ちなみに最近はセーターも着てます! 先日、踊ってばかりの国のセルフ・タイトルのニュー・アルバム『踊ってばかりの国』が発売されたので聴いてね! 3月30日に下北沢ガーデンでツアー・ファイナルをやるので来てください! 待ってまーす! イェー!


ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 - ele-king

 ネブラスカ州といえばスプリングスティーンのアルバムを思い出すひとも多いだろうが、南部でも西部でももちろんベイエリアでもなく、中西部を描くことは何かアメリカの本質に迫るようなところがあるのだろう。ネブラスカ出身のアレクサンダー・ペイン監督が故郷の風景を豊かな白黒映像で映す『ネブラスカ』は、しかし、スプリングスティーンと言うよりもスフィアン・スティーヴンス『イリノイ』に近い。パーソナルであると同時に優れたフィクション性があり、ユーモラスでペーソスに溢れていて、そして前作『ファミリー・ツリー』よりも踏み込んでアメリカの老いを語っている。

 そもそも、冒頭で高速道路を徘徊していて警察に保護されてしまう老人=父を、アメリカン・ニューシネマ以来の俳優ブルース・ダーンが演じているという時点で、その姿に20世紀のアメリカからの遺産を嗅ぎ取ってみたくなる。だから『ファミリー・ツリー』は夫と妻の物語だったのに対して、『ネブラスカ』は典型的に父と息子の物語なのである。宝くじで100万ドルが当たったという出版社のインチキ広告を真に受けた父がモンタナからネブラスカまで行くと言うので、仕方なく息子が連れて行くうちに両親のルーツに出会うこととなる。典型的なロード・ムーヴィーでもあり、ペイン監督がアメリカ映画の伝統を強く意識していることは疑いようがない。
 しかしながら、そうして描かれるネブラスカの町はどうだろう。親子は親戚を訪ねることになるのだが、ほとんどが老人たちで彼らはほとんど喋ることもなく、あとは無職者とか……。ハリウッド映画が描いてきた豊かなアメリカと遠いのは当然だが、たとえばヴィム・ヴェンダースが異邦人の目線で描いた叙情的なアメリカとも決定的に異なっている。アメリカの内部で育った人間が見た、どうしようもなく寂れていく田舎の風景がここにはある。僕は、スフィアン・スティーヴンスが『ミシガン』でデトロイトの産業の衰退を慈しみをこめて歌っていたことを思い出す。映画は父の過去を見つめながら、忘れ去られていく中西部で生きた人間たちの気配を立ち上がらせる。



 しかしそんな寂れた町の住民にまで父は(アメリカが誇る名優のブルース・ダーンが!)、「哀れだ」と言われてしまう。長い間飲んだくれて、気がつけばすっかりヨボヨボの父は、本当にそれほど同情されるべき存在なのだろうか? 息子を演じるコメディアンのウィル・フォーテは父を見ながらずっと、なんとも困った表情をするばかりである。
 そしてその困り顔は、わたしたちがアメリカの斜陽を見るときのそれであると、映画の終わりのほうで明らかになる。どうしてそんなにも父が100万ドルにこだわったのか、口数の少ない彼がようやく明らかにするとき、悲しいとも愛おしいとも言いがたい、説明できない感情が沸きあがってくる。だから、アメリカの遺産の多くを受け取っているであろう「息子」であるわたしたちは、「たくさんのものを、たくさんのものをもらってるよ!」とスクリーンのなかの「父」に向かって心のなかで叫びながら、親子の旅を笑顔で見送るのである。落ちぶれていくアメリカに対する、同情と哀れみ、慈愛と懐かしさが複雑に絡み合ったわたしたちの想いを、こんなにも正確に浮かび上がらせる映画作家はアレクサンダー・ペインを置いて他にいない。

予告編

Ásgeir - ele-king

 ソチ五輪はロシアで弾圧されるゲイたちに心を飛ばしつつ、主にカナダや北ヨーロッパの髭面の男たちを応援していた。とくに、2回目の転覆にもめげずに3回目の滑走をしたカナダのボブスレー・チームの不屈さと(心身両方の)逞しさには涙したのだが、せっかくオリンピックなんだから日本選手以外もテレビでもっと放映すればいいのにと思う。若者が洋楽から離れるわけですね。とはいえ、冬季五輪は北欧の住民たちを身近に感じられるのがいい。スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド……強豪選手が山ほどいて、遠い北国の彼らの情熱に痺れることができる。しかしアイスランドは……というか、アイスランド、出てたっけ? (調べたら出てました。5人。)

 音楽ファンにとってはアイスランドと言えばビョークとシガー・ロスがあまりにビッグなためそのイメージが強いけれども、ときどき、エレクトロニカやフォークなどでワールドワイドな才能が飛び出してくるのが面白いところだ。本稿の主人公であるシンガーソングライター、アウスゲイルはかの地から飛び出して久々に大きな注目を集めている存在である。21歳。しかも生まれ育ったロイガルバッキというところは40人あまりの集落だというから、間違いなく、この音楽がなければ彼の存在に触れることはできなかったろう。
 本作はアイスランドで国民的大ヒットとなったデビュー作『ディールズ・イ・ドィーザソッグン』の英語版で、英訳詞を担当したのがアイスランドに移住したジョン・グラントだという。僕がアウスゲイルに興味を持ったのはまさにグラントを媒介としてだが、本作自体がそういう構造になって出来上がっている。英語が母語ではないひとが歌う発音は英語を母語としない人間にはとても聞き取りやすく、だから本作は日本とアイスランドとの距離を一気に飛び越える。メロディがとてもキャッチーなフォークトロニカ・ポップで、青年が歌う素朴な愛や風景はとても親しみやすい。ファルセット・ヴォイスということもあって、そのフォーキーでほどよくアンビエントな音はボン・イヴェール+シガー・ロスのヨンシーのソロといったところ。5曲目の“ワズ・ゼア・ナッシング?”なんかはボン・イヴェールそのままだと言ってもいい。それが悪いということではなくて、ボン・イヴェール以降のフォークをマジメにポップ・ミュージックにする新人が、アイスランドから出てくること自体が興味深い出来事に感じられる。
 ジョン・グラントがコスプレをして登場するヴィデオがなんだかシュールな“キング・アンド・クロス”がもっとも完成度の高いナンバーだが、1曲のなかでボサノヴァやエレクトロニカ、フォーク、カントリーが手際よく配合されているのは見事というほかない。アウスゲイル自身の強い個性はいまのところ際立ってはいないけれども、そもそものアイスランド語の歌詞も彼自身によるものではなくて、ライナーノーツによれば72歳の彼の父親によるものだそうだから、彼自身の内面や魂を吐露するタイプのシンガーソングライターではないのだろう。これもMORと言えるのだろうか、とても耳に優しいポップスで、心がざわついているときよりも平穏なときにすっと馴染む。アイスランド語版も聴いてみて、なるほどそちらのほうが神秘性は高く聞こえたが、アウスゲイルのアーティスト性には英語版のカジュアルさもとても合っているように思う。
 アルバムにはこれからの展開の予感が散見され、ボン・イヴェールのようにポスト・ロックに接近もできるだろうし、ビョークのようにエレクトロニックなダンス・サウンドだってできるだろう。ジョン・グラントに触発されてヘヴィなソウルをやるかもしれない。オリンピックが終わってしまえば応援していた選手の4年後の年齢をすぐ考えてしまうが、アウスゲイルにはもちろん引退の心配なんてない。アイスランドの集落から世界に広がる未来ばかりがある。それにしても……早く4年後にならないものだろうか(ピョンチャン!)。

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