「IO」と一致するもの

 滞在中、朝まで飲んで歌って……の英国在住の保育士でライター・コラムニストのブレイディみかこが、『いまモリッシーを聴くということ』(ele-king books)、『子どもたちの階級闘争』(みすず書房)などの発刊タイミングで一時帰国、TBSラジオの〈発信型ニュース・プロジェクト〉「荻上チキ・Session-22」に5/18(木)、25(木)の2週にわたり出演、なぜモリッシーに注目したのか、なぜいまモリッシーを聴くべきかを荻上チキさん、南部広美さんと語ります。無事、ブライトンに戻れたのだろうか……

TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」
(月~金・22:00~23:55)
https://www.tbsradio.jp/ss954

※ブレイディみかこは5/18(木)、25(木)の「セッション袋とじ」コーナーに出演します。

Cornelius - ele-king

 振り返ってみよう。あまりにも「ローディッド」ゆえに(再発不可能なほどサンプルデリックな)フリッパーズでの『ヘッド博士の世界塔』を経て、片足をアシッド・ジャズに突っ込んでいたコーネリアスとしてのデビュー・アルバム『The First Question Award』(1994)、ヒップホップからの影響とメタル趣味の悪ふざけの(再発不可能なほどサンプルデリックな)『69/96』(1996)、過去(サンプリング)を再構築することで明日に響く『Fantasma』(1997)、クラフトワークのアコースティック・ギター・ヴァージョンとも呼べそうなミニマルの美学『Point』(2001)、その延長線上で展開されるエクスペリメンタル・ポップ集『Sensuous』(2006)──そして2017年6月28日、通算6枚目のオリジナル・アルバム『Mellow Waves』がリリースされる。『Fantasma』でも『Point』でもない、コーネリアスの新境地が待っている。タイトルは『Mellow Waves』。ファーストEPにしてアルバム1曲目の“あなたがいるなら”(作詞:坂本慎太郎)は、PV公開(監督:辻川幸一郎)。配信も開始。

 セカンドEP「いつか / どこか」(いまのうちに断言しておこう。これは“Star Fruit~”に匹敵する名曲!)は5月24日発売。2017年前半のクライマックスは6月28日に聴ける。


『Mellow Waves』
発売日:2017年06月28日
価格:¥2,800(本体)+税
規格番号:WPCL-12660
1. あなたがいるなら
2. いつか / どこか
3. 未来の人へ
4. Surfing on Mind Wave pt 2
5. 夢の中で 
6. Helix/Spiral  
7. Mellow Yellow Feel  
8. The Spell of a Vanishing Loveliness
9. The Rain Song  
10. Crépuscule


コーネリアス特設サイト
https://sp.wmg.jp/cornelius/

RIKI HIDAKA - ele-king

 巷では天才か、奇人か、魔人か、などと噂され、ここ1~2年で着実に関心を高めている期待のアシッド・ローファイ・フォーク・ロッカー、リキヒダカ情報です。
 6月上旬、広島と愛媛でジム・オルーク × 石橋英子との共演あります。これは見たい、聴きたい。行ける人羨ましいです。
 もうひとつ、Giorgio Givvnのレーベルから、2014年に制作された幻のアルバムの発売となりました。2枚組の透明紫色のヴァイナル。ジャケも音もヤヴァイです。

日時:6月6日 (火)
会場:広島クラブクアトロ
OPEN:18:00
START:19:00
料金:前売¥4.000 / 当日¥4.500 (+1drink order)
出演:ジム・オルーク × 石橋英子 × 日高理樹
*取り扱い:ローソンチケット、チケットぴあ、e+(イープラス)、エディオン広島本店プレイガイド、タワーレコード広島店、STEREO RECORDS

日時:6月8日 (木)
会場:愛媛どうごや
OPEN:18:00
START:19:00
料金:前売¥4.000 / 当日¥4.500 (+1drink order)
出演:ジム・オルーク × 石橋英子 × 日高理樹
*取り扱い:どうごや 089-934-0661、more music 089-932-3344、まるいレコード 089-945-0132、RICO SWEETS & SUPLLY CO.089-947-0125、ふるぎやきっかけや”肉”

★問い合わせ

STEREO RECORDS
info@stereo-records.com


Riki Hidaka
Lucky Purple Mystery Circle
QQQQQQQQQ
9QLP-0001
2LP (PURPLE VINYL)
2017年5月17日(水)発売

【組曲ゲノム】
https://www.youtube.com/watch?v=wrqhrv0C41k

【夜の街】
https://www.youtube.com/watch?v=Ey6J7eBRfE0

【私の頭の中のロックンロール音楽】
https://www.youtube.com/watch?v=G3e6Cm8JG08

NEO TOKAI ON THE LINE - ele-king

 YUKSTA-ILLというMCはいつも驚きと感動をくれる。YUKSTA-ILLを知る15年以上も前に、先輩がL.L.COOL Jが、「OLD SCHOOLっていうのは敬意を込めて人が言う事なんだ。HIP HOPは常にNEW SCHOOLであり続ける事なんだ」ってインタビューで言っていた。そう教えてくれた。この発言は何に載ってたかも分からないし、確認もできてないから、本当にそんな事言ってるのか分かんないんだけど、凄く感銘を受けた。進化していくものがHIP HOPだと思う。もうOLD SCHOOLとかNEW SCHOOLなんて言葉もあまり使わないし。YUKSTA-ILLが敬愛するPAPOOSEの“ALPHABETICAL SLAUGHTER”は1より2の方が圧倒的に凄まじい。ALPHABETの頭文字でA to Zで順番にライムする1と2があるその曲は、YUKSTA-ILLの作るHIP HOPを理解するのに重要だと思う。是非聴いて欲しい。2が出た時、ちょうどYUKSTA-ILLと一緒にいたことはYUKSTA-ILLの作るHIP HOPに自分をよりのめり込ませてくれたものだ。


YUKSTA-ILL
NEO TOKAI ON THE LINE

Pヴァイン

Hip Hop

Amazon Tower HMV iTunes

 コアなヘッズと変わることなく、YUKSTA-ILLという名前を聞いたのはUMBに出ている頃だった。今作品でも重要なSKITとして収録されているFACECARZという三重のHARD CORE BANDを介してその名前を聞いたと記憶してる。決勝でバトルに出ている数回のタイミングはいつも予定があって見に行けてないのだけれど。映像になっている、ERONEとのUMB決勝大会でのバトルはお互いのラップが進化していく瞬間と歴史が収められている。勝ち負け以上の側面を当事者以外が感じることができる数少ない貴重な資料だと言い切れる。バトルへの肯定も否定も超えたものがそこに存在してる。2ndアルバムになる『NEO TOKAI ON THE LINE』に収録されているMCバトルに関して言及した、“GIFT & CURSE”では今のバトル・ブームへの辛辣な意見をラップしている。それは一般的に軽くなった「DIS」って言葉への「DIS」。美学のない消費をHIP HOPは否定する。KRS-ONEの『SCIENCE OF RAP』にある「朝起きたら鏡を見て俺はラッパーだって言う」。ラッパー十ヶ条のようなものを信じること。飲み会でのバトルの真似事を同列にする事は違うと、改めて公言する。その意味を『NEO TOKAI ON THE LINE』は教えてくれる。

 また、自分が敬愛するラッパーの言葉を引用させてもらう。RAKIMは「自分の友達の話を、有名でもない自分の友達の話をRAPをして曲を作れば、まるで近くにある話のように聴いてる人が思うことができる。それがHIP HOPだ」というようなことを言っていた。これは、出典は忘れたけど、自分が2016年に読んだRAKIMのインタビューか何かで言っていた事だ。凄く分かりやすく言えば、有名なラッパーだけれど、BIG Lを誰もが知ったのはGANG STARRの“FULL CLIP”だ。名もなき黒人の声を今もラッパーは歌っている。#BLACKLIVESMATTER という問題をHIP HOPを通して聞く。TOKAIの話を、HIRAGENというラッパーの事をYUKSTA-ILLを通して知る。パーソナルなストーリーに落とし込めば“RIPJOB”というこのアルバムに入ってる曲でYUKSTA-ILLがどんな仕事をしていて、どんな事をして、今、何をして何を考えてるかを知れる。自分はその話を前から知っていたんだけど、この曲の方が、情報量は多い。

 最初に名前を挙げた三重、鈴鹿のHARD CORE BAND 「FACECARZ」。アルバムの中の地元のことを歌った“STILL T”、“HOOD BOND”。その間にFACECARZのライヴ中のMCを収録したSKITが入る。自分は、東京や名古屋や彼らの地元である鈴鹿でもなく、関東の郊外にあるライヴハウスでFACECARZのライヴを見たことがある。その話をする前に言うけど、FACECRAZは日本を代表するHARD CORE BANDで地元の三重県鈴鹿でも、東海地方の中心地である名古屋でも、日本の首都である東京でも、日本でも、NYでも世界を相手にしてもトップのHARD CORE BANDだ。そのFACECARZが関東郊外の国道沿いのライヴハウスでMCで鈴鹿の事を、誇ってライヴ中に話していた。それは地元とHARD COREそのもので、それが繋がる話。このアルバムのその部分や、全体に流れるYUKSTA-ILLのラップは、その土地にいないものに対して、その土地への興味と強さを感じさせてくれる。DETROITにCOLD AS LIFEってHARD CORE BANDがいるんだけど、その1stアルバムのTHANKS LISTが頭に浮かぶ。まだかっこよかった頃のURのMAD MIKE、そして、J DILLAやSLUM VILLAGEが載っていたTHANKS LIST。

 音楽は音楽そのもの。HIP HOPはHIP HOPそのもの。それだけの強さと魅力が全て。それは勿論だと思う。でも、それ以上のものを感じられたら、それを否定するより肯定した方が最高だって言った方が楽しめるし、いい事あるに決まってる。このアルバムの“LET'S GET DIRTY”はPUNPEEのトラックに、featで参加するSOCKSの炸裂するパンチラインは「KEITH MURRAYみたいにセットアップジャージ」だって。最高にHIP HOPで楽しんだもん勝ちだと思う。今まで書いてきたこの文章放棄できそうだもん。でも、YUKSTA-ILLのラップなYUKSTA-ILLは何も変わってない。

 DIVERSITYって2016年からよく聞く。実際、多様性なんて無かったりするものがあふれてる。ただ肯定しても、ただ否定しても単一性も多様性のどちらも感じられない。ラッパーとしてステージに立つ生活、仕事や家庭の生活。ラージとスモール。派手と堅実。矛盾してるものが普通に存在するのが現実。それをYUKSTA-ILLは、YUKSTA-ILLとして、本名のONE OF THEMではなく、このアルバムでRAPする。『NEO TOKAI ON THE LINE』というタイトルの2枚目のアルバムは、だからこそ独立することができる。YUKSTA-ILLというラッパーがここで語るストーリーは、過去、未来、現在を鈴鹿という場所を純然たるファクトとして存在させる。

 「最初にYUKSTA-ILLは感動と驚きをくれる」と書いた。YUKSTA-ILLが作ってきた音楽、地元のグループであるB-ZIK、TOKAIを席巻したTYRANT、ソロとしてのファースト・アルバム、『QUESTIONABLE THOUGHT』、その中で産まれた「TOKYO ILL METHOD」、多くのフィーチャリング・ワークス、2016年末にリリースされた『NEO TOKAI ON THE LINE』。それらはどれもが繋がっていて、どの方向にも辿ることができる、「点が線になる」を綺麗に感じることができると思う。でも、そう思った瞬間に、YUKSTA-ILLの新たな側面があらわれる。このアルバムの最後に唐突に始まる“CLOSED DEAL”のように。掻き乱される。

 NETFLIXで、MARVERLの『LUKE CAGE』でMETHOD MANがラップしてる事って街の事で、それって世論とは相反するし、細かい事は矛盾してるけど、強くて最強で感動したんだけど。そこに出てくる看護婦がいて。RZAが監修してる『IRON FIST』に看護婦として出てきて、「この人、看護婦役で流行ってるのかな?」って思ったら、話が繋がってるっぽくて。そういう、そこまで細かくないけど、説明ないのがエンターテイメントでいいなって、うなづくような納得が最高だなって思った。WU-TANGとMARVERLとNETFLIXが繋がってる事には感動しないし、いまだにKUNG FUUとHIP HOPの関連性とか分かりたいとも思わないんだけど。特に『IRON FIST』で、唐突にHIP HOPかけながら修行してるのとか、理解を超えてるって思うけど。「うわっ」って思いながらも、手を引けないような。受け取る側の許容量を超えた感動って確実に存在すると思う。その許容量を超えたっていう時の一線って意識してない一線だから、定義しようとしたらできないものだけど、確実にある存在を感じることのできる一線だと根拠なく言えるものだって、俺は人に言える。

 YUKSTA-ILLの『NEO TOKAI ON THE LINE』は、そういう一線を超えた作品。最初に、何曲かを聴いた時に、漠然とした感動と、凄まじい衝動を覚えた。けれどもすごく普遍的で。でも、その普遍的な一線はどこにあるのか分からないとも思う。だから、聴くたびに、新たな何かを感じるんだけど、アルバムが幕を閉じた時に、それをいつまでたってもつかめない。聴いてる時はすごくその輪郭を感じられる。このアルバムを作るトラックもゲストも自由にその色を描いてるんだけれど、合わせることも打ち消すこともなくYUKSTA-ILLが存在している現実的だけれど、何か違う世界なのか、次元なのか?気になるんだけど、自然すぎて、再生されている時にその場所にいる。聴き終わって帰ってきた時に、頭に何かが残る。

 今日出たアルバムを、確信して「クラッシック」と言い切る。3本マイクだったアルバムが「クラッシック」として今、存在している。中古盤の棚に¥100で売ってる「クラッシック」がある。買うことのできないクラッシックがある。誰かだけのプライベートな「クラッシック」の存在を知ってる。YUKSTA-ILLの『NEO TOKAI ON THE LINE』は今出ているものが廃盤になっても、REMASTERING盤や廉価版が出る「クラッシック」になるだろう。新たな価値が発見される日が来る日をYUKSTA-ILLは何度迎えるだろうか? YUKSTA-ILLはその日が来る事を知っている。

Kelly Lee Owens - ele-king

 セルフ・タイトル、そしてセルフ・ポートレイトとなるジャケットの色はグレー。このグレー、という感覚がケリー・リー・オーウェンスのエレクトロニック・ミュージックである。すでに「テクノの白昼夢」、あるいは「ドリーム・ポップとアンビエント・テクノのミックス」などと評されているが、彼女が作り出す夢はいろいろなものが混じり合いながら変幻していく。

 ケリー・リー・オーウェンスはウェールズ出身のプロデューサーで、かつてヒストリー・オブ・アップル・パイというインディ・バンドでベースを弾いていたが、のちにダニエル・エイヴリーのデビュー・アルバムにヴォーカルで参加するという少しばかり変わった経歴の持ち主だ。シンプルながらよくデザインされたアンビエント・テクノを収めたいくつかのシングルで注目を集め、そして何と言ってもジェニー・ヴァルの“Kingsize”のフロアライクなリミックスで話題となり、ノルウェーはオスロの〈スモールタウン・スーパーサウンド〉とサイン。本作がデビュー作だ。
 初期ビョークに比較する向きもあるようだが、それよりも近年活躍する女性プロデューサー陣とのリンクを連想させる部分が大きい。『エクスタシス』以前のジュリア・ホルター、ジュリアナ・バーウィック、あるいはローレル・ヘイロー……といった、自身の声や歌をどのように電子音楽に絡めるかという命題に非常に意識的な作家と同期しているように聞こえるのである。女声というのは楽曲のなかでよくも悪くもアイコニックに変換されがちで、エモーショナルに歌ってしまうといわゆる「ディーヴァ」のようにすぐに見なされてしまう。そうした罠から逃れるように、オーウェンスも先述のプロデューサー陣の慎重さに習うように自らの歌声にリヴァーブを施したり重ねてループさせたりすることによって声を音響化し、異化している。アーサー・ラッセルにオマージュを捧げるその名も“Arthur”はその最たる例で、まさにラッセルを連想させる水中のような音響のなかで断片化した彼女の声がこだまするアンビエント・テクノだ。だがいっぽうで、たとえばジュリアナ・バーウィック辺りの徹底ぶりに比べるとオーウェンスの場合は比較的輪郭を伴いながら「歌」の形を取っているトラックも多く、“S.O”、“Lucid”、“Throwing Lines”などはディーヴァ化を周到に避けながらも、聴き手の意識をメロディに預けることも許している。ジェニー・ヴァルを迎えた“Anxi.”がその方向性ではもっとも秀逸なトラックで、音響化された声と歌とが交互に立ち現れ、ミニマルな風景を柔らかく変貌させていく。やはりもっともあり方として共振しているのはジェニー・ヴァルなのだろう。

 対して硬質なビートとブリーピーなサウンドで聴かせる“Evolution”や“CBM”、フォークトロニカ期のフォー・テットを連想する簡素な反復とチャーミングな音色が特徴の“Bird”など、そもそも声の問題を度外視したトラックも興味深い。彼女自身の音のコア――それに一貫した態度――は、このアルバムではそれほど強調されていない。全編通してサイケデリックに心地いいのは違いないが、フワフワとsomewhere betweenという表現がずっと続いている感じなのだ。
 単音のベースとシンセが効果的に重なっていく“Keep Walking”は、タイトルと音で彼女の表現をよく言い表していると思う。白黒はっきりつけないある種の保留状態を保ったまま、とりあえず「歩き続ける」こと。ベッドルームとフロアの間のどこかでウロウロすること。彼女の音楽が優れて逃避的なのはたんに心地いいだけでなく、聴き手にグラデーションのなかで浮遊することを許しているからだ。このデビュー作だけではこの先どのような地点を目指していくのかはまだわからないが、その、未定であること自体の魅力を湛えた1枚である。

Spoko & Aguayo - ele-king

 2016年の音楽シーンを特徴づけたトレンドのひとつに、ゴムがあった。南アフリカのダーバンで生み出されたその音楽はクワイトの影響を受けているとも言われるが、いわゆるハウスの文脈よりもむしろベース・ミュージックの文脈に位置づけた方がしっくりくるサウンドで、うなり続ける低音ドローンやダビーな音響、グライム的な間の使い方、それらによってもたらされる奇妙なもたつき感など、なるほどコード9が興味を持つのも頷けるというか、そこにはたしかに「これこそが新しいトレンドだ」と騒がれるに足るじゅうぶんな要素が具わっていた。その潮流の一端は、コンピレイション『Gqom Oh! The Sound Of Durban Vol. 1』にまとめられている。

 そんなゴムの盛り上がりに触発されたのだろうか。昨年リリースされたDJスポコとDJムジャヴァによるEP「Intelligent Mental Institution」は、まるで「ゴムの前には俺たちがいたんだぜ」と宣言しているかのような、自信に満ち溢れた1枚だった。自らの音楽を「バカルディ(=酒)・ハウス」と呼称するスポコは南アフリカのプロデューサーで、近年は〈True Panther Sounds〉やJクッシュの主宰する〈Lit City Trax〉といった米英のレーベルからも作品を発表している。興味深いことに彼は、シャンガーン・エレクトロのドンであるノジンジャとも親交があったらしい(なんでも彼からエンジニアリングを学んだそうだ)。そのスポコの相棒を務めたムジャヴァの方も同じく南アフリカ出身のプロデューサーで、10年ほど前に“Township Funk”で世界中にその名を轟かせたハウス・レジェンドである。『RA』によれば、その“Township Funk”でパーカッションを担当していたのがスポコだったそうだから、彼らの交流はかなり古くまで遡ることができるのだろう。そのふたりが久しぶりにがっつりと手を組んだ「I.M.I」は、強烈なドラムとメロディアスなシンセが絡み合う最高にダンサブルな1枚で(“King Of Bacardi”や“Sgubhu Dance”の昂揚感といったら!)、王者の貫禄とでも言うべきか、とにかく矜持にあふれたEPだった。
 そのスポコが次にパートナーに選んだのがマティアス・アグアーヨである。アグアーヨは、自身のアルバム『Ay Ay Ay』が出たのと同じ2009年に、ムジャヴァの“Township Funk”のリミックスを手掛けているので、今回のコラボには前兆があったということになるが、スポコと共同作業をおこなうのはこの「Dirty Dancing」が初めてのはずだ。〈Kompakt〉というブランドの名を耳にすると、ある特定のミニマル・サウンドを思い浮かべてしまう人もいるかもしれないが、アグアーヨはそういうイメージの束縛から自由なアーティストで、チリ出身ということもあってか、彼の作品からは独特の「辺境」性を感じ取ることができる。したがってわれわれは、スポコの「バカルディ・ハウス」がアグアーヨのその「辺境」性と衝突したときにいったいどのような化学反応が起こるのか、という期待に胸を膨らませて本作を手に取ることになる。

 結論から言ってしまえば、この「Dirty Dancing」では何か特別なミラクルが起こっているわけではない。“Something About The Groove”におけるエルビー・バッドの参加が如実に物語っているが、良くも悪くも本作は、「バカルディ・ハウス」と欧米のハウス/テクノとの「出会い直し」(あるいは「再会」)といった趣に落ち着いている。そりゃまあ奇蹟なんてそんなに頻繁に起こるものではないから、しかたがないといえばそうなのだけれど、とはいえタイトル曲“Dirty Dancing”で繰り広げられるふたりのシンセの応酬や、あるいは“Taxi Rank”の不思議な疾走感からは、まだ見ぬ新天地の雄大な景色を想像することができる。
 成功するかしないかはひとまず脇に置いておいて、こういう特異なもの同士の接続それ自体はこれからもどんどん為されていくべきだろう。周縁的なものと周縁的なものとが出会ったときに奇蹟的に発生するかもしれない、豊穣なる余剰を夢想すること――それは音楽を享受する愉悦のひとつである。きっとゴムの次に到来するトレンドも、そういう刺戟的な出会いのなかから生み出されるに違いない。

 昨秋〈Honest Jon's〉からリリースされたアルバム『Disclosure』は、ダンスの機能性と音響のフェティシズムとを兼ね備えた佳作で、作り手のセンスの良さが伝わってくる素敵なアルバムだった(これもレヴューを書く機を逃してしまった1枚)。
 カッセム・モッセことグンナー・ヴェンデルはライプツィヒのテクノ・プロデューサーで、これまで〈Workshop〉や〈The Trilogy Tapes〉といった尖ったレーベルから作品を発表してきている。なんでも、ウータン・クランとペイヴメントとURを同時に愛す変わり者だとか。この俊英の出演するオールナイトのクラブ・イベントが5月19日に開催される。会場は代官山ユニット/サルーン。他の出演者も豪華だし、いやこれは行きたいね。

Millennium People presents
KASSEM MOSSE, RESOM, DJ NOBU, KABUTO

アンダーグラウンド・ヒーロー KASSEM MOSSE (カッセム・モッセ)による2年振りとなる東京でのライヴ、DJ NOBU と KABUTO による一夜限りの B2B セット、カッセムの盟友 RESOM (レゾム)が出演する刺激的なクラブ・ナイト。

開催日:2017年5月19日(金)
開場/開演時間:open / start: 23:30
入場料金:early bird: 2,000yen | adv: 2,500yen | with flyer: 3,000yen | door: 3,500yen
出演者:Line Up /

KASSEM MOSSE [Live]
RESOM
DJ NOBU (Future Terror) B2B KABUTO (DAZE OF FAZE)

HARUKA
1-DRINK
S-LEE

https://www.m-people-agent.com/millennium-people-presents-kassem-mosse-resom-dj-nobu-kabuto/

東京・代官山の UNIT/Saloon にて “Millennium People presents KASSEM MOSSE, RESOM, DJ NOBU, KABUTO” が開催

UNIT Floor は、ハードウェアを駆使したリアルかつ生命感あふれるライヴでクラウドを魅了し続けるアンダーグラウンド・ヒーロー KASSEM MOSSE (カッセム・モッセ)と、KASSEM MOSSE の地元ライプツィヒ時代からの友人で、「反ナショナリズム/反差別主義」を掲げるベルリンのクラブ〈:// about bank〉のレジデントDJであり、オブスキュアでレフトフィールドな選曲によるストレンジなプレイに定評のあるフィメールDJ、RESOM (レゾム)のふたりをドイツから招聘。対するは〈Future Terror〉主宰 DJ NOBU と、元〈Future Terror〉、現〈DAZE OF PHAZE〉主宰の KABUTO による一夜限りの B2B セット。

Saloon Floor は、6月に初の欧州ギグを予定している〈Future Terror〉の Haruka、Disco / House / Techno / Bass の境界を彷徨いながら、最近は更にピッチダウンした Electro Funk から Digital Dancehall まで展開する DJ 1-DRINK、DJ NOBU の新パーティ GONG の第1回にも出演した〈Riddim Noir〉主宰、新星 S-LEE の3組。

シーンきっての異才たちが結集して織りなすファットなグルーヴとユニークなリズム、アヴァンギャルドなエレクトロニック・サウンドが交錯する刺激的な一夜となるだろう。


【出演者紹介】

■ Kassem Mosse (Workshop, Honest Jon's, Ominira)

〈workshop〉からのリリースによりブレイクしたライプツィヒが誇る若手プロデューサー、グナー・ヴェンデル aka カッセム・モッセは、いまドイツで最も熱い実力派アーティストのひとりである。オマー・S の〈FXHE〉、ドイツの〈Laid〉や〈Mikrodisko〉、UKの〈nonplus+〉などからもアヴァンギャルドながら、ファンキーな魅力も併せ持つエレクトロ~ディープ・ハウス~テクノの傑作トラックを多数発表、カルト的人気を得ているアンダーグラウンド・ヒーローだ。同郷の盟友 Mix Mup とのユニット、MM/KM として〈The Trilogy Tapes〉からのリリースも評判になっており、自身のレーベル〈Ominira〉からも多様なスタイルの作品を発表、昨年は名門〈Honest Jon’s〉から実験的なアルバムを出し話題になるなど、非常に精力的ながら独自のスタンスで活動を続けているユニークな存在。また、パフォーマンスにおいても一点に留まることがない。つねにセッティングや内容を変え、2回と同じことはしない、まさに「ライヴ」感満点なセットだ。特に Kassem Mosse 名義ではヒップホップにも通じるラフなビート感、自然と身体が動いてしまうグルーヴを備え、何度見ても新しさを発見させてくれる。

https://ominiraisfullofnoises.org
https://osresonance.net
https://www.facebook.com/kassemmosse
https://twitter.com/KareemMoser

■ Resom (:// about bank)

この1~2年で急に頭角を現してきたように見える(かもしれない) Resom (レゾム)は、ベルリンではよく知られた存在だ。反ナショナリズム、反差別主義を掲げる、ベルリンの中でも特にリベラルなスタンスのクラブ、〈:// about bank〉のレジデントDJを長年務め、ライプツィヒでの学生時代からの友人であるカッセム・モッセや Mix Mup (ミックス・マップ)らを陰で支えるブッキング・エージェントとしての顔も持ち、それ以外にもつねに様々なイベントのオーガナイズや、制作に関わってきた。音楽業界における女性の地位向上のためにも行動する、フェミニストでありアクティヴィストでもある。そのDJスタイルは一言では形容しがたい、非常に独特なもので、ジャンルで言えばアンビエントからエレクトロ、歌物からミニマルまで非常に幅広く縦横無尽にミックスしていくのだが、ただ色々かけているというのではなく、彼女の中で明確なイメージやテーマがあり、それをもっともオブスキュアでレフトフィールドな選曲によって紡ぎ出していくような、まったく予測不可能ながら、いつも彼女らしいちょっぴりストレンジな高揚感に到達させてくれるのである。Ben UFO や DJ NOBU も絶賛する彼女の個性を、ぜひ一度体験してみて欲しい。

https://www.residentadvisor.net/dj/resom
https://soundcloud.com/resi-resom
https://www.facebook.com/resom


【リリース情報】

アーティスト: Kassem Mosse / カッセム・モッセ
タイトル: Disclosure / ディスクロージャー
レーベル: Honest Jon's / Pヴァイン
品番: PCD-24562
発売日: 2016.10.19
価格: 2,400円+税
解説: Yusaku Shigeyasu

[Tracklist]
01. Stepping On Salt
02. Phoenicia Wireless
03. Drift Model
04. Galaxy Series 7
05. Collapsing Dual Core
06. Monomer
07. Galaxy Series 5
08. Aluminosilicate Mirrors
09. Long Term Evolution
10. Molecular Memories
11. Purple Graphene

https://p-vine.jp/music/pcd-24562


TOYOMU - ele-king

Current top 9

Jeff Parker - ele-king

 去る4月に最新ソロ作『The New Breed』の日本盤がリリースされたジャズ・ギタリスト、ジェフ・パーカー。彼はトータスのメンバーとして有名ですが、ソロとしても魅力的な活動を継続しています。その彼の来日公演が来週から始まります。スコット・アメンドラ・バンドやトータスのステージも含めると、なんと14公演もプレイする予定です。詳細を以下にまとめましたので、ぜひチェックしてください!



■SCOTT AMENDOLA BAND featuring
 NELS CLINE, JEFF PARKER, JENNY SCHEINMAN & CHRIS LIGHTCAP

会場:COTTON CLUB
日程:2017年5月11日(木)~5月13日(土)
時刻:
●5.11 (thu) & 5.12 (fri)
[1st. show] open 5:00pm / start 6:30pm
[2nd. show] open 8:00pm / start 9:00pm
●5.13 (sat)
[1st. show] open 4:00pm / start 5:00pm
[2nd. show] open 6:30pm / start 8:00pm
出演:Scott Amendola (ds), Nels Cline (g), Jeff Parker (g), Jenny Scheinman (vln), Chris Lightcap (b)

* ウィルコのネルス・クラインとともにスコット・アメンドラ・バンドの公演に出演。

https://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/scott-amendola/


■Jeff Parker『The New Breed』発売記念ミニ・ライヴ、トーク&サイン会

会場:タワーレコード 渋谷店 6F
日時:2017年5月14日(日) 16:00 start
出演:Jeff Parker (Jeff Parker & The New Breed, TORTOISE), 柳樂光隆 (Jazz The New Chapter) ※インタヴュアー

* 〈HEADZ〉主催のインストア・イベントに出演。今回の来日公演のなかでは唯一のソロ・ライヴ。

https://towershibuya.jp/2017/05/01/95261


■TORTOISE

会場:Billboard LIVE TOKYO
日程:2017年5月15日(月) & 2017年5月17日(水)
時刻:[1st] 開場 17:30 開演 19:00 / [2nd] 開場 20:45 開演 21:30

会場:Billboard LIVE OSAKA
日程:2017年5月19日(金)
時刻:[1st] 開場 17:30 開演 18:30 / [2nd] 開場 20:30 開演 21:30

* ビルボードライブ東京およびビルボードライブ大阪にてトータスの単独公演が開催。

PC: www.billboard-live.com
Mobile: www.billboard-live.com/m/


■GREENROOM FESTIVAL ‘17

会場:横浜赤レンガ地区野外特設会場
日程:2017年5月21日(日)

* GREENROOM FESTIVAL ‘17の2日目、〈GOOD WAVE〉ステージにトータスとして出演。

https://greenroom.jp

【リリース情報】

アーティスト: Jeff Parker / ジェフ・パーカー
タイトル: The New Breed / ザ・ニュー・ブリード
レーベル: International Anthem Recording Company / HEADZ
品番: IARCJ009 / HEADZ 218
発売日: 2017.4.12
価格: 2,000円+税
日本盤ライナーノーツ: 柳樂光隆(Jazz The New Chapter)
※日本盤のみのボーナス・トラック Makaya McCraven Remix 収録

[Tracklist]
01. Executive Life
02. Para Ha Tay
03. Here Comes Ezra
04. Visions
05. Jrifted
06. How Fun It Is To Year Whip
07. Get Dressed
08. Cliche
09. Logan Hardware Remix (produced by Makaya McCraven)

https://www.faderbyheadz.com/release/headz218.html


【関連盤ご紹介】

アーティスト: Jamire Williams / ジャマイア・ウィリアムス
タイトル: Effectual / エフェクチュアル
レーベル: Leaving Records / Pヴァイン
品番: PCD-24617
発売日: 2017.4.19
価格: 2,400円+税
解説: 柳楽光隆(Jazz The New Chapter)
※日本盤限定ボーナス・トラック2曲収録

[Tracklist]
01. Who Will Stand?
02. The Fire Next Time
03. Selectric
04. Truth Remains Constant
05. Dos Au Soleil
06. Chase The Ghost
07. Wash Me Over (Pollock's Pulse)
08. In Retrospect
09. Futurism
10. [ Selah ]
11. Children Of The Supernatural
12. Illuminations
13. The Art Of Losing Yourself
14. Collaborate With God
15. Collaborate With God (Drums and Strings Mix)
16. Triumphant's Return

* ジェフ・パーカー『The New Breed』にも参加するドラマー、ジャマイア・ウィリアムスによるデビュー・アルバム。

https://p-vine.jp/music/pcd-24617

Oto Hiax - ele-king

 まったく新しい様式を発明したから素晴らしい。かつてないサウンドを鳴らしてみせたから優れている。たしかにそういう評価のしかたはある。あるいは、最近の傾向を反映しているから重要である。こんな時代にこんなサウンドを鳴らしているからこそ価値がある。そういう判断のしかたもある。でも、当たり前の話ではあるが、そういう基準からはこぼれ落ちてしまう作品だってある。特に目新しいわけではない。何かの波に乗っているわけでもない。でも、完成度自体はきわめて高い――Oto Hiaxのこのアルバムはまさにそういう「こぼれ落ちてしまう」作品だ。どうしても何らかの文脈を用意しなければならないのであれば、「90年代リヴァイヴァル」あるいは「00年代リヴァイヴァル」といった言葉をあてがうこともできるだろう。そのどちらにも当てはまってしまうところがこのアルバムの魅力でもあるのだが、しかしどうにもこの作品からは、そういうふうに「整理されてしまうこと」を拒むような不思議な温度が感じられる。
 Oto Hiax は、シーフィールの中心人物として90年代の音楽シーンに多大な痕跡を残したマーク・クリフォードと、ループス・ホーント名義でおもに〈Black Acre〉から作品を発表してきたスコット・ゴードンのふたりから成るユニットである。2015年に自主リリースされた最初のEP「One」の時点では、「とりあえずコラボしてみました」という印象が強く、まだ方向性の定まっていない感のあったかれらだが、ラシャド・ベッカーがカッティング&マスタリングを手掛け、名門〈Editions Mego〉からリリースされたこのファースト・アルバムは、その多彩な音響の実験とは裏腹にしっかりとしたまとまりを持っている。アンビエント、ドローン、シューゲイズ、サイケデリック、ノイズ、ミュジーク・コンクレート、ミニマル……本作にはさまざまなジャンルやスタイルの要素が盛り込まれているけれど、それらの音の群れをひとつの作品としてまとめ上げているのは、牧歌性である。
 このアルバムでは、ぬくもりのあるシンセやフィードバックがどこまでもノスタルジックな風景を現出させている。その繊細な情緒は、はかなげな電子音がよく晴れた穏やかな午後のイメージを呼び起こす冒頭の“Insh”から、すぐに聴き取ることができる。細かく切り揃えられた電子音がセンチメンタルなコードのなかを流れいき、そこにときおり鋭利な刃物が紛れ込む2曲め“Flist”なんかは、ゆったりと水中を漂っているかのような心地良さを与える。こうした牧歌性は、フィードバック・ノイズとエコーが極上のシューゲイズ的サイケデリアを錬成する5曲め“Creeks”にもっともよく表れており、そのたゆたう音の波のなかでわれわれはただただ安らかな光にくるまれることになる。

 しかしこのアルバムはただ夢見心地なだけではない。フィードバックを背後に具体音が舞い踊る3曲め“Dhull”や、民族的な高音とドローンに支えられながらさまざまな音の展覧会が催される4曲め“Eses Mitre”、もこもこした低音としゃらしゃらした高音が耳をくすぐる小品“Bearing & Writhe”と、トラックが進むごとにアルバムはミュジーク・コンクレートの側面を強めていき、それは9曲め“Lowlan”でひとつの山場を迎える。フィードバックとドローンの上をノイズが転がる7曲め“Littics”や、センチメンタルなコードの往復運動をバックに打撃音が乱れ舞う8曲め“Thruft”などでは、シューゲイズとミュジーク・コンクレートが同時に追究されている。ギターが電子音との一体化を目指しているかのような10曲め“Hak”もおもしろい。
 ノスタルジックでドリーミーなムードのなかに、即興的でノイジーな、ある意味では破壊的でもある要素が巧みに散りばめられている。このアルバムのなかを行き交うさまざまな音たちは、生の喜びを祝福すると同時にその喜びに疑いの眼差しを向けてもいる。音たちは交錯しながら、一方で牧歌的な風景を現出させつつ、他方でその素敵な夢の景色に小さな引っかき傷を刻み込もうとする。情緒に頼り切るのでもなく、かといってエクスペリメンタリズムに振り切れるのでもない。感傷と実験との絶妙な共存。
 このアルバムはけっして後世まで語り継がれるような「傑作」の類ではない。が、確実にある一部の人びとの耳を捉え、いつまでもその記憶の隅っこに留まり続けるだろう。ただ垂れ流しているだけでもじゅうぶん心地良いが、じっくり聴き込めば多くの発見がある。すでにさまざまな佳作や話題作が出揃ってきている2017年の音楽シーンだけれど、2月から3月にかけて個人的にもっともよく聴いていたのがこの Oto Hiax のアルバムであった。きっとこれからも何度も聴き返すことになるだろう。白熱する年間ベスト・レースからは「こぼれ落ちる」、地味ながらも愛おしい1枚である。

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