東京滞在フランス人2人に創始された〈Jazzy Couscous〉の初リリースが発表されました。〈Jazzy Couscous〉のコアメンバーは、AlixkunとKlodioです。
Alixkunは、もうみなさまにはお馴染みですね。ハウスや和物DJであり、ele-kingのライターであり、『House Definitive』にも寄稿しています。はっきり言って、日本の中古市場においてジャパニーズ・ハウスの値を上げたひとりです。余計なことしないで欲しいです。DOMMUNEにも90年代和ハウスのDJミックスで出演したことがあります。
Klodioはハウスシーンの新プロデューサーであり、デトロイト・ハウス、ジャズ、ソウル、とにかく黒い音に影響されたプロデューサーです。今回の「Toktroit」EPでは、彼の影響元であるデトロイトと東京の雰囲気を交えて、ソウルフールなバイブを提供しています。ele-kingとしては、初期URハウスの色も多少あって、ハイウェイでフールスピードなナイトドライブをイメージした“First Car”と“Futako Tamagawa”がおすすめです!
今後Hugo LX, Brawther、寺田創一などの曲もリリースされる予定です。Toktroit EPは4月10日リリースされます。ヨロシクね。
「CEã€ã¨ä¸€è‡´ã™ã‚‹ã‚‚ã®
「雑草は、静かにその庭に乱入するのだ」
ジャック・ラザム
彼らがあらかじめ悲観的だったことを君がまだわからないと言うのなら、僕は君の首根っこをつかまえて、目の前にOPNの『レプリカ』のジャケを叩きつけてあげよう。終わりなき複製空間のなかで君が手にした鏡に映る骸骨こそ、そう、君自身の姿だ。2012年にジャック・ラザムがジャム・シティ名義で発表した『Classical Curve』を思い出して欲しい。君はあのとき、J.G.バラードの小説の主人公のように、都会の夜の、大企業のビルの巨大なエントランスのぶ厚いガラスにバイクごと突っ込んだ。中庭の植物が暗闇のなかの不気味な生き物のように見える。ジャンクメール、ジャンクフード、ジャンクワールド、ジャンク・ミュージック……カーテンを閉めて無料のオンライン・ポルノ動画を見ている、ピンク色の空の下……
エレキングのvol.16の巻頭ページに、僕はどうしてもジャック・ラザムの最新写真を載せなければならなかった。トレンチコートを着て、彼は墓場の真ん中につっ立っている。いわばゴスだ。コートには、彼自身の手製のパッチワークが見える。腕には「 LOVE IS RESISTANCE(愛は抵抗)」という言葉が巻かれている。胸には「PROTEST & SURVIVE(抗議して生き残れ)」と書かれている。僕は思わず笑ってしまった。
笑って、そして押し黙ったまま、ジャム・シティのセカンド・アルバムを聴き続けた。タイトルは『庭を夢見る』。ヒプナゴジックなイントロダクションを経て、ノイズとビートとシンセ音と、アンビエントとベースと、さまざまなものが混じり合い、やがてラザムの物憂げな歌が入って来る。
この世界には狼が入り込んでいて
その牙を午後の布団カバーに食い込ませてる
でもこれは彼には初めてのことじゃない
“A Walk Down Chapel”
チルウェイヴと呼ばれるものもインダストリアルと呼ばれるものも、逃避主義であることに変わりはない。ダーク・サウンドもまた然り。EDMも、テクノも、ハウスも、ダブステップも、ダンスを通じてエクスタシーを得るという体験においては同じものであるように。
もともとポップ・ミュージックそれ自体が夢の劇場だ。過酷な現実から逃れたいがために人は音楽を聴く。それを政治的無関心と括るのは乱暴だろう。
『庭を夢見る』は、そういう意味で掟破りの1枚だ。ここには、逃避でも快楽でもなく、「ステイトメント」がある。それはパンク・アティチュードと呼ばれうるものかもしれない。『Classical Curve』は音響/ビートの作品だったが、ラザムは今作においてそこに言葉と歌を加えている。
それが望まれたものだったのかどうかはわからない。バイクごと突っ込まれて粉々になったガラスのように、衝突して、砕け散ったUKガラージの、インダストリアル・シンセ・ファンクを期待していたかもしれない。『庭を夢見る』はクラブ・フレンドリーなアルバムとは言えない。
しかし、ここには望みはしなかったが逃れがたい感動があるのだ。
歌のなかでラザムは「僕らはアンハッピー(不幸)なのか?」と繰り返す。vol.16のインタヴューで、「これはファレル・ウィリアムスの“ハッピー”への回答なのか」という問いに対して、「そうではない」と彼は答えた。そう捉えてもかまわないけど、僕はファレルが大好きだとラザムは語っている(このインタヴュー記事はぜひ読んでいただきたい。階級社会について、ブレイディみかこと同じ意見を彼は述べている)。
アルバムは、しかしアンハッピーではない。僕の大きな間違いは、ビートインクからコメントを急かされたとき、深く聴き込みもせずに、これを「メランコリー」などと表現してしまったことだ。
少し前まで僕はコンピュータを操る子供だった
“Today”
ハイパー大量消費社会がディストピアにしか見えなくなったとき、ドリーム・ポップと政治的抗議は、不可分になりうるのだろうか。チルウェイヴと路上での直接行動は適合しうるのだろうか。部屋のカーテンに火をともせと彼は歌う。矛盾を受け入れろ。アルバムの言葉は彼と同世代、つまり若者に向けられている。“Crisis”は、おそらく4年前の暴動に関する歌だ。
君はマイ・ガール
君を破壊者と呼ぶ人もいるだろう
だけど悲しみだけじゃ君は満足できないんだ
“Crisis”
シニシズムというものがここにはない。望みはしなかったが逃れがたい感動と僕は先述したが、アホみたいな言葉に言い換えれば、それは彼の純真さである。僕がぼんやりとしている間に、こうして君は、空からひとつそしてまたひとつ星が消えていくことを知った。壊されて、砕け散ったコンクリートがジャケットの上に散らかっている。何を取り戻すべきかは、ラザムにはわかっている。庭だ。美しい心が絶え間なく悲鳴を上げている。星々が消えていくのを見るためだけに生きているのではないと、この夢想家は歌っている。このアルバムは新しい商品ではない。論理的なネクストだ。
庭を夢見る──なんて暗示的なタイトルだろう。
![]() Wedding Mistakes Virgin Road |
音楽をやることがけっしてイケてることにはならない時代に、それはむしろ本来的な自由さを取り戻しているともいえるかもしれない。格好よかろうが悪かろうが、カネになろうがなるまいが、やりたいからやるというあり方がデフォルトになった世界のほうが、音楽に多様性を生むという意味ではすぐれている。音楽不況というが、それは旧来的な産業システムにおける話であって、いまインディの層はかつてなく豊かだと言うこともできる。
音楽の自由さを広げている要素はそればかりではない。情報環境の変化もある。ここに登場するような彼らにとって、そもそもアルバムをつくるということは盤をプレスすることではなくなっている。いまとなっては目新しいことではないが、彼らが「ファーストが出て……」などと語るときの「出る」というのは、ネット上にまとまった音源がアップされるというだけのことだ。それが「ジャケ」を持ったアルバム作品として当然のように認識されるようになったのが2000年代なかば、いわゆる「ネットレーベル」の流行以降。なんら資本の影響を受けることなく、かつレーベルというかたちを通してキュレーションされることで、シーンをもつくり得る力を持った作品たちが山のように登場し、主役になる時代の幕開けである。そして、それこそがThe Wedding Mistakesたちが生まれてきた場所でもある。MiiiとLASTorder、それぞれ独立してキャリアを持つふたりのプロデューサーによって結成されたこのユニットの背景には、ネットレーベルの風雲児たる〈Maltine Records(マルチネ・レコーズ)〉などの存在がある。同レーベルの古参であるMiiiはもちろんだが、今作のアートワークを手掛けたおじぎちゃん(セーラーかんな子とのDJユニット、ぇゎモゐとしても活動)を彼らに結びつけたのも〈マルチネ〉のtomadだという。そして、すこし離れたシーンで活動しながらも、それらに寄せるシンパシーはLASTorderも変わらない。社会全体としていい時代かどうか知らないけれど、世知辛くはあっても音楽的には二重に自由な環境を彼らはのびのびと泳いでまわっている。
配信のみで昨年発表されたThe Wedding Mistakesのアルバム『Virgin Road』がフィジカル・リリースされた。そう、商業性のあるステージやフィジカルが流通する場所との行き来も自由である。インタヴュー中、ふたりの口から洩れた「逆にっていうのが嫌い」という考え方が印象的だった。過剰な情報空間において、メタなふるまいによってではなくまっすぐに喜びを得たいという気持ちには、切実に共感を抱く。ポスト・インターネットの感性だからこそつかめる純真さが、そこには顔をのぞかせている。Miiiのギークなブレイクコア、LASTorderの正統派にして抒情系の「ニカ」、音楽的にはさまざまな対照を持っているが、彼らはそうした地平に生まれたドリーミーなミュータントとして、ミューテイトするウエディングとして、明るい音響を築き上げている。
インタヴューのラストでティーザー音源をお聴きいただけます
■The Wedding Mistakes / ウエディング・ミステイクス
MiiiとLASTorderにより2013年に結成されたユニット。2014年11月にリリースされたデビュー作「Midnight Searchlight EP」はiTuensエレクトロニックチャート1位を記録。2015年2月にファースト・アルバム『Virgin Road』をリリース。
https://theweddingmistakes.com/virginroad/
LASTorder
2013年に発表したファースト・アルバム『Bliss in the loss』はタワーレコードでも大きく展開されロングセラーを記録。今年の7月には〈PROGRESSIVE FOrM〉よりセカンド・アルバム『Allure』をリリース。数々のリミックス制作も行う。
Miii
10代から楽曲制作を行い、〈Maltine Records〉の古参としてイベントには毎回出演、2枚のソロ作品を残す。日本屈指のハードコア/ベースミュージック・レーベル〈Murder Channel〉からファースト・アルバムを6月にリリース。東京女子流、夢見ねむ(でんぱ組inc.)等の公式リミックスも手がける。
中学生くらいのときは、ちょうどミクシィとかが出はじめたときだったんですよ。ミクシィはミクシィ・レヴューっていうのがあって。(Miii)
■(『ele-king vol.15』を差し出しながら)お若いおふたりですが、紙の音楽雑誌を読んでいた記憶とかってあったりするんですか?
Miii(以下、M):『DTMマガジン』を買って読むくらいですね。
■おお、本当に実用的な読み方というか。
M:そうですね。音楽専門誌みたいなものを読んでいなくて。
■LASTorderさんはどうですか?
LASTorder(以下、L):『サンレコ(サウンド&レコーディング・マガジン)』。
■やっぱりおふたりとも機材よりなんですね(笑)。
M:機材を眺めて、「コレめっちゃほしい!」みたいなことを、ずっとやっていましたね。
■ははは、いまは「今月このアルバムを聴かなきゃ」ってことを紙で確認するような感じはないですかねー。
M:でも、ディスク・レヴューのコーナーがいちばん好きなんですよね。
■なるほど、それはわかりますね。興味はどっちかというと邦楽よりでした? 洋楽よりでした? ……まあ、そういうふうに括ることの是非はおいといて。
L:俺は邦楽よりだったかな。
M:中学生くらいのときは、ちょうどミクシィとかが出はじめたときだったんですよ。ミクシィはミクシィ・レヴューっていうのがあって、そういうのを見るのが好きでした。
■それはアマゾン・レヴューみたいなものの黎明にあたるようなものですかね?
M:そうですね。新譜情報もインターネットで探していました。
■あー。やっぱりそこは隔世の感が(笑)。だから、隣は何を聴く人ぞってね、「今月聴くべきアルバム」というような認識を、みんなで共有してるわけじゃないですよね。「今月はレディオヘッドの新譜がある」とか(笑)。
M:じゃないですね。
■なるほど。それでは雑談はこのあたりにしまして。おふたりはそれぞれソロ活動がスタートなわけですけれども、そもそも畑違いなアーティストであるという印象があるんですよね。The Wedding Mistakesって名義は、「ふたりのウェディングがミステイクだ」というような意図があるとか?
M:名前は雰囲気というか語感でつけたものなんですが、最終的にそういうものだったのかと思わなくもないですね。ふたりでやろうとなったのも、そもそもは僕がLASTorderに声をかけたんですけど、かたやネット・レーベル、かたやCDをリリースしているという、ぜんぜんちがうところにいたので。
L:あとジャンル的にも。
M:そうそう。だからそこをくっつけたらおもしろいなというのはありましたね。
かたやネット・レーベル、かたやCDをリリースしているという、ぜんぜん違うところにいたので。(Miii)
■「異なったものの出会い」という認識はあったわけですね。LASTorderさんはどうでしょう?
L:エレクトロニカで同い年くらいのトラックメイカーって俺のまわりにすくないので、ネット・レーベル周辺には若いひとが多いから、友だちになってみようという感じで。ツイッターで近づいたりとかイヴェントに行っていたりしていたら、「いっしょに作ろう」って急に言われた感じですかね。
■なるほど。それぞれのジャンルに固有の文法があると思うんですけど、おふたりは互いにそれほど共有してはいないと思うんですよね。それで、自然と制作上の役割もちがってくるような気がするんですが、ふたりの役割分担というと、LASTorderさんがウワモノ、Miiiさんがリズムみたいにすごくザックリで考えていいんですかね?
M:まさにその通りですかね。
■お互いの役割について、何か話し合いみたいなものはあったんですか?
M:デモが送られてきて、それに展開をつけたり、ドラムをこっちで足したり変えたりして返して、それにまたレスポンスがくるみたいな形もある。初めから上とビート、つまり僕がビートを送って、それにメロディを付けて戻してくるみたいなパターンもありますね。最初はデモがあって、ふたりでそれを伸ばしていくことがメインでした。
■それぞれに対して期待した役があると思うんですが。
M:僕は綺麗だけれど割れている……エレクトロニカというか、ノイズよりの音楽がすごく好きでした。それを自分でやるには限界があったので、LASTorderに打ち込みとかウワモノとかで耽美な雰囲気を出してもらって、そこに僕が壊れたビートをのっけたいという願望がありました。それから、LASTorderはちゃんとメロディが書けるひとなので、そういうところも求めていますね。
■メロディね! 特徴ですよね。あと、“ハー・ミステイクス(Her Mistakes)”とかではヴォイス・サンプルがフィーチャーされているじゃないですか? ああいうのってLASTorderさんなんですか?
L:そうですね。
とにかくメロディを作るのが好きなので、メロディをのせることは、毎回、無意識的にしちゃっていますね。(LASTorder)
■へえー。HMVさんの無人島に持っていく俺の10枚、みたいな企画(無人島 ~俺の10枚~)を覚えていらっしゃいます? おふたりがそれぞれアルバムを挙げていらっしゃいますよね。あれをちらっと拝見しまして。LASTorderさんご自身の曲は、全体としてはエレクトロ・アコースティック志向というか。
L:はい、そうですね。
■で、この無人島リストを見ますと、ジュディ・シル(Judee Sill)からはじまって、ベン・フォールズ(Ben Folds)からモリコーネ(Ennio Morricone)、Shing02さんにテリー・ライリー(Terry Riley)まで入っていますね。まずポップ職人的なものに惹かれてるんだなって思ったんですよ。そしてそういうものを志向しつつもミニマルなものに引き裂かれるという。
L:その通りです。全部言われちゃいました(笑)。
■ハハハハ。そのポップ職人というところをもうちょっと訊きたいんですけれども。さっきの、メロディが強いという話とも重なってくると思います。目指しているようなアーティスト像もそのへんに?
L:目指しているアーティスト像はぼんやりしていますが、とにかくメロディを作るのが好きなので、メロディをのせることは、毎回、無意識的にしちゃっていますね。
■無意識的な感覚なんですか?
M:それ、わかる。彼からは、どんな曲にも何かしら主旋律っぽいのがついて返ってくるんですよね。
■なるほど。ポップ・ソングってフォームを、コンポーザーとして作っていきたいという意識なんですか?
L:たぶんそうだと思います。
■そうすると、エレクトロニカという流れのなかだと、また少し変わっているというか。
L:エレクトロニカと言わせていただいているんですけど、そこまでエレクトロニカをやっていることでもないっていうか。
■そういう感じもしますけどね。コキユ(cokiyu)さんとも親和性があるのがわかりますし、活動されている領域もそういうところなんだなっていう。ところで、ジュディ・シルなんて本当に深くて知性的な声だったりしますけど、ここでの“ハー・ミステイクス”のヴォーカル・トラックって、ある意味その真逆みたいな、薄さを持った音だと思うんですね。そういう声や音に対する憧れはあるんですか? ジュディ・シルが好きなら本来逆なような気もしますけど。
L:憧れはたしかにあるんですよね……そういう薄い感じには。でもそういうやり方や、ピッチを上げて散らす感じの音は、やり飽きているというか。ちゃんとした声を入れたいと思っていたりはするんですよ。
■へぇー!
L:けっこう手持ちのものがないというか、機材とかが少なかったりとかしてなかなかできないんですけど……。自分で声をかけて誰かの歌を録るということもあまりないですし。
■肉声ヴォーカルへの、一種のアンチというわけではなく?
L:そうなんです。アンチとかではないですね。
■なるほど、正直でいらっしゃいますね。では、ボカロとかはどうですか?
L:ボカロとかは通らなかったんですけど、もし出会っていたらいまごろはバリバリPな感じになってたかもしれない(笑)。最近はそんな気もしてきた。でも偶然、ぜんぜん聴かなかっただけっていう。
■ははは、素通りしちゃったわけですね。
ボカロとかは通らなかったんですけど、もし出会っていたらいまごろはバリバリPな感じになってたかもしれない(笑)。(LASTorder)
L:どこかで避けていたのかもしれないですけど。
M:僕もボカロはぜんぜん通ってないんですよ。やっぱり、意外と流行っているといえば流行っているけれど、触れないでいいといえば触れないでいいというか。聴かなくても意外となんとかなるという感じですね。
■すごくフラットに考えてみれば、ボーカロイドっていうのはただの音声ソフトというか、シンセサイザーなわけじゃないですか? しかもけっこう魅力的で使いやすい。でも、それを通らないっていうときには、暗にその奥にある何かを否定しているんじゃないですか?
M:ニコニコ動画のボカロPのカルチャーとして、ということですよね、たとえば。
■そうそう(笑)、ちょっと意地悪な質問ですみません。一概には括れませんけれども、彼ら「P」のようなプロデューサーの音やあり方に対するおふたりの感想や評価がどんなものなのか、すごく興味があります。どうでしょう?
僕はもともと音ゲーとかから入って、なんだかんだでネット・レーベルにたどり着いたんですよ。(Miii)
M:いろいろありますけど、僕のイメージ的には、RPGとかで別の大陸に行くともっと強いモンスターがいるという感じですかね。物語を進めて行くと強いモンスターが出てくるという感じ……同人とかボカロの界隈ってそういうイメージがあります。僕はもともと音ゲーとかから入って、なんだかんだでネット・レーベルにたどり着いたんですよ。それぞれが別の島だけど、それぞれに大ボスというか、めちゃくちゃ強い、上手いひとがいて。で、その奥にも上手いひとがたくさんいる。 だけど、自分がそこまでたどり着くために経験値が足りないし、パワーもないという自覚もあって。避けているというとあれなんですけど、あまり交わらないようにしています。だからアーティストとして尊敬しているひとはいます。同年代にかめりあって子がいるんですけど、彼は同人とかボカロとかの流れのひとで、メロディも作れるし、過激でとんがっているもの作れるみたいな。そういう人材が、あっちにはいっぱいいるんですよ。そういうのは向こうのカルチャーにいないと得られないのかな、というのはあります。
■なるほどなあ、“あっち”は分母がでかいし、エネルギーもあると。あと、音っていうよりも歌詞だったりイラストだったりも重要だし、それがいわゆる集合知ってやつでできあがるという、時代性としての鋭さもありますよね。LASTorderさんは、あちらの界隈を音楽というよりもカルチャーとして見ている感じですか? L:僕はそっちの界隈とも繋がりがなくはなくて、初音ミクのリミックスをやってみたりもするんですけど、みんなやっぱり……、言っていいのかわからないけれど……
■言うだけいっときましょう。
L:お手軽に曲がひとつできるじゃないですか? 歌があって歌詞があってって。だからもっと手間をかければよくなるものがいっぱいあると思います。サウンド面ですぐれたひともいれば、ソング・ライティング面で優れているひともいたり、歌詞はそんなに詳しくないですけど上手いひともいるんでしょうね。ソング・ライティングが上手いひとが、サウンドも歌も全部お手軽に自分でできちゃうからそれですぐに作品を出せちゃう。いろんな可能性がいっぱいあります。ニコニコ動画を見たりしていると、ぜんぜん再生数が少ないやつでも歌がよかったりすることもあったりするし。
■聴いているところは「生のヴォイスか」とか、そういう音質みたいなものじゃなくて、メロディとかですか?
L:そうですね。
■だったら必ずしも人格があり、美しい深みを持った人間の声である必要もない、と……ジュディ・シルとか書かれていると、声とか人間の歌礼賛なひとなのかなってちょっと思ってしまうので。
L:聴くぶんにはって感じですね。作っているときに、そうやって意識することはまったくないです。
■なるほど。LASTorderさんとかが、ひとの声をどういうふうに考えているかに興味があったんです。
L:じつはそんなに……。何か考えるようにします。
M:ハハハハ!
子どもがパンク・ミュージックにハマるみたいなものですかね。ちょうどブレイクコアがあって、いまだに生きながらえているのがすごくおもしろくて。(Miii)
■いやいや。逆に興味深かったです! いろんな思いがあって、生の声を避けているのかなと思ってたものですから。しかるに、Miiiさんのほうもおうかがいしたいと思うんですけれども、Miiiさんはもうなんというか、ブレイクビーツですよね(笑)。
M:そうなんですよ。
■おふたりともルーツがはっきりとわかる。そういう意味でもおもしろいです。たとえば、同じようにMiiiさんの「無人島~」のリストを参照させていただくと、ヴェネチアン・スネアズ(Venetian Snares)はもちろんとしてナース(Nurse with Wound)とかworld's end girlfriend(ワールズエンド・ガールフレンド)も入ってましたよね。だからノイズ志向もあるんですけど、かといって、中村一義とか七尾旅人なんかはすぐれたポップ・ソングの作り手でもある。だから、ドリーミーなものやメロディ的なものにも憧れがありそう。
M:そうですね。楽器ができないので、そういうアーティストさんには純粋に憧れがあるし、中村一義とか七尾人は中学高校時代にめっちゃ聴いていたので、普通に大好きなんですよ。やっぱりメロディもすごいし、歌詞もめちゃくちゃいいし。
■そしたら、いかにもバンドとかはじめそうですけれども?
M:あー、なんか……
L:ひと付き合いができないんでしょう?
M:ハハハハ。
■そんな(笑)。ドライなツッコミが入りましたね。
M:その通りです。
■なるほど。ひとりベッドルームでプロデューサーをやることを選んだと。
M:あと、バンドとかをやる以前にパソコンがあって、それで調べてなんとなく曲も作っていたから、「それでよくない?」みたいな感じでしたね。
■なるほど。あと、やっぱり音ゲー的なものってブレイクビーツだったり、ブレイクコアだったりっていうものとの親和性が高いですよね?
M:そうだと思いますよ。曲が1分とか2分とか短いじゃないですか? そのなかで、ひとをどれだけ惹きつけるかという要素を考えなくちゃいけないし、だからこそ展開が突拍子もなくなるというか、変な感じになっていくんだろうなと思います。
■音楽メディアがカバーしている範囲の外に独特のシーンがあって、独特の進化をしていますよね。ところでブレイクビーツってなんであんなに死なないんですかね? ずーっとありますよね。
M:ブレイクコアが全盛期だった2006年くらいってちょうど中学生だったんですけど、日本人でもいいアーティストがたくさん出ていて、そのへんがいちばんおもしろかったです。それこそヴェネチアン・スネアズみたいなちゃんとした音楽というか、レヴューの対象となるようなヤバいアーティストから、著作権完全無視のマッシュアップとか、本当にヒドいアーティストもたくさんいたけど、その全体がかっこいなという感じがあって。とくに〈マルチネ〉の初期も、いまでは「スカム」期みたいに言われるけれど、当時は「すげぇかっこいいことをやってる」と思って聴いていたので。自分にとってはそういうルーツというか、子どもがパンク・ミュージックにハマるみたいなものですかね。ちょうどブレイクコアがあって、いまだに生きながらえているのがすごくおもしろくて。
■そういうカオスみたいなものに若い心が共鳴してシーンが盛り上がっていた感じはよくわかりますけどね。
M:いま聴いてみても、変なドラムンベースを入れていたりとか、BPMが200のものとかを普通にやっているんですよね。なんだかんだカッコいいなと思っていまも見てます。
メロディを信じるしかないという感じだったので。音楽に話せる知り合いができたのも最近なんです。(LASTorder)
■なるほど。LASTorderさんはどうでした?
L:僕はシーンに憧れたりとかっていうことが逆になかったんですよ。
■淡々とひとりで?
L:だからメロディを信じるしかないという感じだったので。音楽に話せる知り合いができたのも最近なんです。小中高なんて、友だちとは音楽の話なんてまったくしていませんでしたからね。自分が不勉強で周りの状況に疎いということもあるので、最近はひとから教えてもらって勉強させてもらってます。
■最近はツイッターのタイムラインで音楽を聴くという感じで、スピードや情報の広がり方・受け取り方が以前とは大きくちがっていると思うんですが、2005年とかってまだそういうものが出てきているわけでもないですよね。当時、情報へはどうやってアクセスしていったんですか?
M:何をやってたかな……。IRCチャットっていう……
■やっぱり、みんなちょっとしたオタクなんですね。
M:そうそう。僕は完全にそっちでした(笑)。
L:そういうのあったよね(笑)。
M:だから、いまでいうラインみたいな感じですかね? チャンネルっていう部屋みたいなものが用意されていて。
L:疎いけど、さすがにチャットはわかるよ!
M:そういうチャットがギークっぽくなったものがあって、周りでチームを組んだりして、たわむれたりって感じでしたね。
■年齢層は若いひとばっかりなんですか?
M:多いのは20代とかでしたよ。
■じゃあ、Miiiさんはちょっと早熟な感じ?
M:そうですね。僕が12、13歳のときでそのなかではいちばん若かったと思います。
■ちなみに部活は(笑)?
M:部活は……、中学のときは吹奏楽部でした(笑)。
■おっと! 楽器ができるじゃないですか!
M:それが、チューバだったんですよ(笑)。
L:ハハハハ!
■それは潰しがきかねぇ(笑)。
M:「チューバをやっていました」って言っても、周りは「チューバ……?」みたいな感じなので(笑)。
■LASTorderさんは何部だったんですか?
L:バスケ部でした。
■そうなんですか? じゃあリアルが充実していらっしゃる?
L:バスケってそんなにイケてないですよ。普通に運動しているくらい。高校は帰宅部でした。
■音楽を作りはじめたのはいつぐらいなんですか?
L:ピアノを4歳くらいのときにはじめて、なんか鍵盤で曲を作っていた記憶はボヤッとあるんですけど、ちゃんとDTMをはじめたのは高2くらいです。
■おお、クラシックの素養もあると。ピアノで弾いて好きなった作曲家というとどんなあたりですか?
L:ピアノを弾いているときはぜんぜんおもしろくなかったんですよ。なんでこんな難しいのを弾かなきゃいけないんだって感じで。“ラ・カンパネラ”(フランツ・リスト)とか練習してたんですよね。そこからあまり好きになれずに、10歳から12歳のときはロック系が好きでした。でも、自分で曲を作るようになってから、あのときに練習していた曲がどんなだけすごかったってわかったんですよ。雰囲気的にはドビュッシーとかサティとかに魅かれますね。
■じゃあ何というか、ギークと……
M:ギークとメインストリームでしょう? だってコピバンとかやってたんでしょう?
L:コピバンやってたね。
M:僕はやってないからさ。
■へぇー! それって素敵なウェディングじゃないですか。ストーリーとしても、いいですね。
M:最初はバックグラウンドとか何も知らなくて、ただ「いい曲だね」って思っているだけだったんですよ。ふたを開けてみて、普段は絶対に出会うことのない遭遇だったんだとわかりました(笑)。 [[SplitPage]]
極端にポップになるか、わかりづらくなっちゃうかばかりで。そうじゃない「ごっちゃ感」を2013年のなかでやりたかった。(Miii)
■ハハハハ。なるほど。いろいろと見えてきたようですごくうれしいんですが、ではこのアルバムについて。今回はフィジカルで出るということですが、バンドキャンプでのリリースが2014年ということでいいですかね?
M:そうですね。
■実際の制作年でいうといつぐらいの曲から入っているんですか?
M:2013年の6月くらいからの音源ですね。
■じゃあ出会ったタイミングくらいにできた曲もあるんですね。以前から温めていたそれぞれのネタみたいなものもあるんですか?
M:それもあるんですけど、最終的にお互いでちょっとずつ手を加えてウェディング~の曲にしました。
■その頃というと、ダンス・ミュージック界隈で盛り上がっていたのは……ジュークとか?
M:そうですね、旬のてっぺんみたいな感じですかね。僕はずっとダブステップとかブローステップとかが好きで、自分でもつくったりしてましたけど、ジュークは進んでやることはなかったです。でも、たとえばウエディングで曲をつくるときに、「試しにジュークっぽいことやってみようか」っていうようなやりとりはありましたし、そのくらいの距離では時流についていっていましたね。
■なんか、自分たちの趣味をひたすらかたちにしましたっていうよりも、ある程度2013年っていう時代性のようなものも意識しているように感じるんですが。このころどんなものを聴いてました? あるいは、このアルバムでこんなことをやりたかったという目的なんかがありましたら教えてください。
M:僕がやりたかったのは、world's end girlfriendがいま僕らの年代だったとしたらどんなことをやるだろう……ってことですかね。あんなバランスのアーティストっていまあまりいないような気がするんですよ。もっと極端にポップになるか、もっとわかりづらくなっちゃうかで。それこそ〈ロムズ(ROMZ)〉系の存在もいないですし。そういう「ごっちゃ感」を2013年のなかでやりたかったということは、なんとなくあるかもしれません。
■へえ、なるほど。
M:なので、当時聴いていたダブステップだったりの要素はちょこちょこ入れていたりしますし、ポストロックっぽいものも入れてみたり──
■おお?
M:当時は下火だったとは思いますけど。
■そう思いますよ。へえー! なんでだろ、ウエディングを紹介する文章で、ときどき「ポストロック」って言葉を見かけるんですけど、わたしそこだけはよくわからないんですよね。
L:それは、君の責任だよね。最初にポストロックみたいなこともやりたいとかって言ってたから、それがプロフィールとかに残っちゃって。
■いや、突っ込んでるんじゃなくて、そんなルーツがあるんならおもしろいなと。だって、この10年もっともダサい音楽だったわけじゃないですか……その、個々のバンドの話じゃなくて、一時代前のものがいつだっていちばんダサいみたいなとこがあるから。
M:ははは! いや、でもたしかにこの10年間下火だったから出してきたかったっていうような気持ちはあったんですよ。
L:でも結局、やってみたらとくにポストロックにならなかった。
■ははは! いや、そうですよ。どこまでをポストロックと呼ぶかですけど、去年は10年選手たちがけっこういい新譜を出してきたり、シガー・ロスも幻のファーストが国内盤で出たりね。また見直されて、カッコよくなるんじゃないかと思いますから。
M:僕はゴッドスピード(Godspeed You! Black Emperor)とか好きだったんです。
■おお、なるほど。復活してますね。
M:2012年の新譜(『'Allelujah! Don't Bend! Ascend!』)はあんまりピンとこなかったですけど……。
L:まあそうやってポストロックだなんだ、って言ってて最初につくったのが、このアルバムの1曲め(“Preface”)なんですけどね。次につくったのが5曲め(“So Hot”)。それで俺は、ポストロック……やんなきゃいけないの? って思って、“Her Mistakes(ハーミステイクス)”のもとを渡したんです。「ぽい」やつを渡そうと思って。で、これで好きにやって、って。
M:そうだねー。
L:それで、無理やりギター入れたりして。
■ああ! ギター入ってますよね。そういうことだったんだ。
M:そういうことじゃないっては思いつつ(笑)、でもポストロックって言葉は入れたくて、でもしばらくして消えていきましたね。僕たちのなかで関係なくなった(笑)。生音でやるという意味でなら、いまでも興味なくはないんですが。
■なるほど(笑)。謎が解けました。ではもとの質問に戻ると、LASTorderさんは2013年に何を聴いていました?
L:僕は坂本慎太郎さんとか──、あれ? 2013年じゃないですかね? ずーっと聴いていました。 (※ソロ1作めは『幻とのつきあい方』2011年、2013年リリース作はシングル「まともがわからない」)
■へえー、そうなんですか。
L:僕自身はまだあまりクラブ・ミュージックに接近してはいない時期でした。
■たとえばTofubeatsさんだったりSeihoさんだったりは「対日本のポップ・シーン」っていうようなわりとデカいスタンスがありますよね。〈マルチネ〉という共通項もあるので、とくにトーフさんなんかはそれほど縁遠いアーティストではないと思うんですが、そういうスタンスはあまりThe Wedding Mistakesにはなさそうですね。この作品はどんなところに向かって放たれたものだと思います?
M:うーん、それこそ、僕が中学生当時エレクトロニカとかを聴いて衝撃を受けた、あのインパクトを持ったものになればいいなと思いました。10年経ったいまでもその頃の影響がみんなにウケたらすごくおもしろい……というか、いまその頃の音とか記憶ってウケるのか? みたいな。
■ははは、リヴァイヴァルっていうより、自分的にはルネッサンスみたいな?
M:はは、そうかもしれないですね(笑)。
彼は彼の世界がすごくあるので、彼から出てきたものは僕はあまり突っつかないんです。(Miii)
■LASTorderさんは? そのへんの感覚はふたりのあいだで共有されているものなんですか?
L:そう……かもしれない。
M:彼は彼の世界がすごくあるので、彼から出てきたものは僕はあまり突っつかないんです。そのほうがおもしろくなるんだろうなって思っていました。
L:できちゃったものを、ずらっと並べていくという感じもやっぱりあったので、どんな相手に向かって投げかけたものかというと、あまり顔は浮かばなくて。
■わりとカジュアルなものなんですね。いつかふたりでつくったものがアルバムになるんだろうなっていう思いはありました?
L:あまり思っていなかったかもしれない。
M:曲がたまったからそろそろ出そうかという部分もあったと思います。そこもアルバムのおもしろさではありますよね。貯まってきたからそろそろ出そうか、といってパッケージしただけでもそれなりのものに見えてしまったりする。だからこそ、CD盤と同じように、ジャケットをおじぎちゃんにお願いしたりとか、リミックスを入れたりとか、しっかりと外枠を固めるようなことはやりました。
■ああ、フィジカルはないけどフィジカルの盤みたいに、っていうのは意識されたわけですね。ところで、曲名は後づけかもしれないですけど、全体をとおして眺めると、なんとなく「ウエディング」ってコンセプトを立てているようにも感じられるんですね。そういうテーマ性はどうです? 意識してました?
L:文字、タイトル部分は僕が担当しました。僕としては、(この作品における)音についての方向性がまだもうひとつ見えてきていない気がしていたので、目に見える部分だけでも統一感を出したいなと思って。
M:アルバム・タイトルはすごく悩んだんです。そのとき「ヴァージン・ロード」ってすごくおもしろくない? って話になって。ウエディング・ミステイクスでヴァージン・ロードって、なかばギャグですよね。
■ははは、ミステイクなのにねーって(笑)。
M:そうそう、そんなノリですよ。
■なるほど、では曲名も、曲ひとつひとつにあらかじめ付与されていたものじゃないんですね。できたあとに加えられた物語というか。
M:そう……ですね。
■「結婚」って、近代以降は自由恋愛とセットで考えられてきたものだったりもするじゃないですか。でも、いま必ずしも憧れるような響きは持っていないというか、そうロマンチックなものではないと思うんですね。「婚活」とか少子化問題とかいろいろ出てきて。だから「The Wedding Mistakes」ってその意味でもちょっと批評的にきこえるというか。なんなんですか、「ウェディング」って?
M:うーん、そうですね。「永遠の愛」とかって、めっちゃ誓いづらいと思うんですよ。結婚式とか神父さんまでいたりして、いちおう儀式的にやったりしますけど、しんどいものでもあると思うんですよね。恋愛は3年しかつづかないとかも言うし。結婚って、僕個人としてはロマンチックなものだと思うし、好きな制度ではあるんですけど、正直、矛盾したものもいっぱい抱えているよなとも感じます。「結婚は人生の墓場」なんていう人もいるわけで。だから、僕的には理想だったりするけど、そううまくはいかないよなっていう皮肉が含まれているかもしれません。
L:……。
■ははは! Miiiさん、質問に対して噛み砕いて考えてくださったんですよね? ありがとうございます。LASTorderさんの沈黙は、Miiiさんの見解への違和感?
L:いえ、そんなに重く考えていたのねという……驚きです。 (一同笑)
L:僕にとっては結婚ってまだまだ遠いことで。
M:それは、そうだけど。
L:「永遠の愛」って口から出てくるとは思わなかった。ノリかなって……。
M:ああ、そう、ほんとには誓えないから、儀式として誓っておいて、じつのところはノリみたいな。でも、まだ当事者じゃないからあんまり言えないけど。だからユニット名に「ウエディング」って単語を入れるのはおもしろいというか意外というか、言葉選びとして気にした部分ではあります。
「逆に」っていうのが嫌い。(LASTorder)
■はい、はい。その、結婚なにかヘンだなってところが一般的に共有されているから気になる名前なんでしょうね。でも最初に名前きいたときは、それこそウエディング・プレゼント(Wedding Present)とかから来てたりするのかなって思って。ギター・ポップ寄りなユニットなのかと思いました。ぜんぜんちがいましたね。
L:そうですね。ギター・ポップ……。あと、それこそ渋谷系みたいなものはあまり知らないというか、聴かないよね?
M:そうだねえ。
L:それから、シティ・ポップとか。
■おお、トレンドじゃないですか。でも、いま渋谷系を標榜する人たちはむしろ90年代のJポップを掘ったりしてるんじゃないですか? まあ、標榜してるわけじゃないかもしれないですけど、それに当たるような人は。
L:僕は90年代のJポップなら大好きですよ。
■あ、そうなんですか?
M:僕も、最近のちょっとアーバンな感じのノリのものとかはあんまり聴かないかもしれません。シティ・ラップとか。
■えっと、「シティ・ポップ」って言葉でどういうものを指してます? そもそもが曖昧な言葉のようですけど、でも荒井由実とか、あるいははっぴいえんどとかを指しているのか、いまのバンドを指しているのか、よくわからなくて。
M:そうですね、最近のバンドとかのことですかね。もともとのシティ・ポップとか、アーバンな感じのものに憧れて、それが音になっているんだろうなって思うんですが、僕自身は東京生まれだけど「アーバン」な生活圏ではなかったので、そのへんの憧れにはそもそも疑いがあるというか。最終的には田舎に住みたい思いもあるし……。僕らくらいの年齢だと、そもそもその時代のこと知らないじゃないですか?
■なるほど。いまの人は、その見たこともないなかば架空の都会性を、逆におもしろがるようなところがあるんだと思いますけどね。昔はもっとベタに憧れたかもしれないですけど。
L:その「逆に」っていうのが嫌い。
■おおっ。
L:ヴェイパーウェイヴとかもそういうところありますよね。「逆におもしろがる」って……それって……なんなの。
M:それは、僕もわかるなあ。「逆に」っていうのは、いっこ上に立とうとしてるわけでしょ? そんなふうに考えなくても、90年代なら90年代で、いいものがあればそれは聴けると思うんですよ。それこそ中村一義とか僕は大好きですし。僕も、そういう感覚を無視した掘り返し方はしたくないですね。
■中村一義は、「逆に」の思考をすべて吹き飛ばしてきた人だと言えるでしょうね。
M:ああ、そうかもしれません。
■「逆に」っていうのは修羅の道で、いちどそれを言いだすとさらに上の「逆に」が際限なく出てくるから、超頭がいいか、それをはね飛ばす強さがないと死んじゃいますね。それでも行ってやろうというのもまたひとつの極道かなって思いますけど。ただ、「逆に」が嫌いだって言えるのは……ちょっと感動しました。
L:僕が普段から90年代の後半のJポップが好きって言っているのは、それは、実際に体験しているからなんです。幼稚園とか小学校の低学年の頃とかに、月に2回レンタル屋さんに連れていってもらって、ランキングの上位10位を借りてきて、それをダビングしてずっと聴くっていう毎日だったんです。本当に心から鈴木亜美とか好きなのに、いま同い年の人とかに「(鈴木亜美)いいよね」って言って、「いいよね」って返してもらったりしても、何かちがう感じがいつもするんです。そう言っている目線が。
同い年の人とかに「(鈴木亜美)いいよね」って言って、「いいよね」って返してもらったりしても、何かちがう感じがいつもするんです。(LASTorder)
M:あー! わかった。言ってることしっくりきた。
■なるほどー。
L:「あー、亜美ね!」って言われるときの……。たぶんそのときに「逆に」の感じが働いているんだと思うんです。
M:あー! うんうん。
L:こっちは逆もなにも……
■ははは! マジだっていう。
L:そう。バカなの、俺? って思っちゃう……。
(一同笑)
L:ちょっと、共有できてるのにできてないみたいなところがすごくあるし。単純に、トラックがよくできてるとかっていうような見方をしてたりもするんだろうけど。それに、……まあ、いいや。
■(笑)いやいや、話しましょうよ。
L:僕、あゆ(浜崎あゆみ)と宇多田(ヒカル)の同時発売の日とか、ちゃんと並んでますから。 (※浜崎あゆみ『A BEST』、宇多田ヒカル『Distance』の同時発売。2001年)
■ああ、えっと……、ふたり同学年ですよね。Miiiさん何歳ですか?
M:13、4年くらい前ですかね? 8歳とかですね。
■おお。そのころ何がいちばん熱かったです?
M:うーん、Jポップとかは聴いてなかったですね。ゲームやってました。
■なるほどね。音ゲーとかも。
M:そうですね、いろいろやりましたけど、『beatmania(ビートマニア)』を買って。それが原体験といえば原体験ですね。
■うーん、Miiさんはじつにルーツがはっきりしてますね。
L:俺は原体験はポケビ(ポケットビスケッツ)だよ。
M:それはさすがに、僕もテレビは観てた。
■ああ、音楽というか芸能というか、テレビから出てきたものですね。そういう記憶は少なからず影響しているんでしょうね。
そのころからコラージュ──いまで言うネットの雑コラ感っていうか──はちょっと流行っていて、でもおじぎちゃんのはちょっとそういうまわりのものとはちがう感じがして。(Miii)
■さて、先ほどもちょっと話題に上がりましたが、ジャケットのデザインがおじぎちゃんさんなんですよね。とても素敵なんですが、おふたりともアニマル・コレクティヴ(Animal Collective)とか好きだったりします?
M:いや、好きっていえるほどはわからないですね。
■なるほど。初期の作品のアートワークをアグネス・モンゴメリ(agnes montgomery)という人がやっているんですが、その人の作品のポスト・ヴェイパーウェイヴ・ヴァージョンって感じがするんですよね、おじぎちゃんさんのジャケは。
M:へえー。
■コラージュなんですが。感性にも似たものがあるなと思うんですよ。
M:当時おじぎちゃんが自分のタンブラー(Tumblr)にどんどん画像を上げていたんですよ。コラージュでした。そのころからコラージュ──いまで言うネットの雑コラ感っていうか──はちょっと流行っていて、でもおじぎちゃんのはちょっとそういうまわりのものとはちがう感じがして。統一感というか、テーマみたいなものがあって、そのなかで色調とかも合わせてくる感じ。そこに自分たちの音に合ったイメージを持っていたんです。〈ROMZ〉のジョゼフ・ナッシング(Joseph Nothing)の、目の切り抜きがたくさん散りばめられているジャケット、あの気持ち悪いけど美しいという感じに衝撃を受けたんですけど、あれを見たときのことを思い出したんですよ。そういう、僕の源流にあったイメージとかインパクトが刺激されたというか……。それでお願いしました。
■へえー。それこそコラージュはメタな編集作業でもあると思うんですけど、おじぎちゃんさんのとかアグネスのとかは、もっと肉そのものというか、そういうものを信じている感性なのかなと思いました。
M:やっぱり、ちゃんと考えられていたり、まとまっているものが好きなので、「できるだけ意味をなくそう」みたいなものとか、そういう感じのコラージュにはピンとこないというのが正直なところですかね。
■なるほど、イルカとか、ヘンな塑像とかね(笑)。
M:あー。シーパンク(Seapunk)は……、嫌いじゃないですけども。
L:俺、髪を青くしてたことある。
■え?
L:なんか、Seihoさんのイヴェントで、髪を青くしていったら安くなるやつがあったから。
(一同笑)
M:あー! あったかも。ウルトラデーモン(ULTRADEMON)のリリパとかかな。
■ははは! 懐かしい。動機が安いなあ。LASTorderさんはジャケットとかアートワークについてディレクションした部分はあるんですか?
L:俺は……、ないかなあ。でも俺は俺でおじぎちゃんを見つけていたんですよ。それで、よくよくきいたらけっこう近いところで活動していて。それで、何かいっしょにできないかなと思っていたら、なんとなくあちらも似たことを思っていたみたいで。
■へえ。
L:だから、だいたいさっきの説明と同じなんですけど、ちゃんと意味のあるものを感じるなと思って、共感するというか。
■ふたりはけっこうバラバラなんだなと思いましたけど、同じようなところもあって、おじぎちゃんというのはそれを理解する補助線のような気もしてきました(笑)。
L:「こうしてください」ってふうにとくに注文していないんです。
M:そう、音源を送ったくらいで。
L:ウエディング・ドレスじゃないけど、そういう雰囲気の花のイメージがきて、あらためて、「ああ、自分たちはThe Wedding Mistakesなんだな」って思いました。
■わたしもこの感じ、とても好きですね。
ソロの音はあまりゆがませたくないので……。だから、どちらかというと自分の音を押しつけている感じです。(LASTorder)
■さて、このユニットは一時的なものなんでしょうか? 期間限定のコラボみたいな。
M:えっと、正直な話、僕らが出会ったのが大学2年か3年のときで、もう卒業になるんですね。だからこの先忙しくなるだろうし、とりあえず1年半くらいやって、1枚2枚作品をつくって、楽しかったねって感じで終わろうと思ってたんです。だけど、こんなふうにリリースしてくれるところも見つかって、いまはちょっと長期的にやろうかというふうに思ってます。
L:俺も……、続けたいし、次はもっと作り込んだものをつくりたい。もっと、さらにいいものをって思える感触がいまのところあるので、まだやっていくつもりですね。
■自分ひとりだとやれない部分が相手の中に見えているということですかね。
L:それがはっきりしたし、それを言いやすくなりました。
■お互い評をもっと訊きたいですね。相手から盗んだ能力とかないんですか?
L:盗んだ能力は……ないですね。
M:(笑)
■でも、データをもらってるわけだから、ある意味では盗み放題ですけども。
L:いや、データはこちらから渡すだけで、それを全部あっちが加工するんで……。
M:でも、たまにあげてんじゃん。こっちのも。
■ははは!
L:でも、わざわざそれを解体したいという感じではないです。ソロの音はあまりゆがませたくないので……。だから、取り入れるということはなくて、どちらかというと自分の音を押しつけている感じです。
■Miiさんは?
M:僕も押しつけられているということに関してはとくに何も、というかもっとやってくれって思ってるし、彼には自分の世界観がしっかりとありますから。僕は知識を体系的に取り入れて、それをどう生かしてブレイクコアとかの方程式で壊すかっていうようなことをやっていたので、LASTorderからもらった素材をどういじるかっていうところに熱量があるんですよね。だから彼から送られてきたものについては全面的に信頼しているし、もし何かやろうとするなら、彼に言うんじゃなくて、自分で解体してどうかしたいって思います。 このアルバムでいえば、2曲め“ドラマティック・ビヘイビア(Dramatic Behavior)”とかは展開が突拍子もないんですけど。これははじめの1分半くらいの音をもらって、それをどう壊したらおもしろいかなって考えて、ジュークぽい低音を入れたりとか、最終的にゆがんだブレイクビーツを突っ込んでみたりとかしました。それはこっちで全部やったことなんですけど、そしたらすごく喜んでくれたし、ライヴでやってもすごくハマる曲になって。
LASTorderからもらった素材をどういじるかっていうところに熱量があるんですよね。(Miii)
■ああー!
M:そのときくらいから、こっちでどうやるかというスタンスができあがっていった気がします。
■たしかに2曲めは、ふたりともの個性がケンカするわけじゃないけどはっきり出てきてぶつかり合ってますよね。ほか、手ごたえのあった曲はどのへんです?
M:“スルー・オール・エタニティ?(Through All Eternity?)”とかもそうですかね。好き勝手やっている感じです。
■ああ! Miiiさんの面目躍如! って感じの曲ですね。
M:そうそう、そうです!
■で、LASTorderさんのメロディ性がより効いてくる。
M:当時はまだサウンドクラウド(SoundCloud)に曲を上げつつ、ライヴもやりつつっていう感じだったので、1曲めがまずサンクラに上がっていて、次に“ハー・ミステイクス(Her Mistakes)”が上がって、次、急にベースが入ったらおもしろいと思って。それで“スルー・オール・エタニティ?(Through All Eternity?)”を作ったんです。だから、特異点でもあります。
■なるほど。では、この中にヴォーカルが入ったりなんて展開は今後考えられますか? すでにふたりともそれぞれのやり方で“歌っている”人たちではありますが。
M:歌は……考えてます(笑)。でも、そっちはまた別の方法論になりますから。デジタルでアルバムを出した後に『ミッドナイト・サーチライト・EP(Midnight Searchlight EP)』っていうEPをつくったんですけど、そっちは1曲だけがっつり歌ものが入ってるんですよ。でもそれはわりと僕らのいつものスタイルじゃなくて、僕が歌詞とかもつくって、編曲をふたりでやったっていう曲なんです。それで、ちょっと色合いとしては今回のアルバムとちがうものになってるんですね。だから歌をやったらまたちがったおもしろさが出てくるかもしれないと思っていて、次はそうなるかもしれないですね。
■歌ものって……R&B寄りなものとか?
L:というよりは、Jポップというか。
M:Jポップだけど、ちょっと毒というか、エグみのあるものを混ぜるので、おもしろい感じになるかとは思います。
L:そうですね……。でも、そういうものもやりつつ、また今度アルバムをやるとなったら、それはそれでちゃんとやりたい。歌ものかどうかというより、もっとちゃんとつくったものをやる。
■ああ、ポジティヴな展開が期待できそうで、素晴らしいです。
歌をやったらまたちがったおもしろさが出てくるかもしれないと思っていて、次はそうなるかもしれないですね。(Miii)
■ライヴはどんなふうにやってます? バースとウワモノで分かれて、けっこう即興的なかたちでふたりがセッションするんですか?
M:そこは僕の力不足もあって……、即興的に合わせるっていうのはまだできていないんですよ。鍛えたいところなんですけど。
■おお、じゃそんなふうにやってきたいなって思いはあるんですね。……チューバ、やったらいいじゃないですか(笑)。
M:チューバかあ……!
(一同笑)
■そこからすでにベースだったんですね。
M:いま思えば(笑)。
■どうですか? ライヴについては。
L:いまライヴで悩んでいるような部分が大きいのはたしかですね。僕ひとりではそれほどライヴをしないので……。
M:月1回くらいがちょうどいいペースかと思いますけどね。
L:月1より、もうちょっとやったほうがいいんじゃない? CDを出したことで、CDを手に取ってくれた人がライヴに来たらいいなと思うし。
■ちなみに、CDはタワレコさん渋谷だったら何階に置かれたいです?
M:いまは4階(クラブ系など)に置いていただいているんですよね。希望するとしたら……そうだなぁ、たとえばJポップのフロアとかにも置かれたいですね。
L:Jポップって、邦楽のロックのバンドとかも同じフロアにある?
M:うん、いっしょなフロア。
L:じゃあ、ちょっと置かれたいです。でも4階に置いてくれるのはうれしい。
■6階(エレクトロニカなど)とかは?
M:ああ、それもうれしいです。多義的なというか、ハードコアっぽい要素すら入っている作品なので、いろんな聴かれ方をしてほしいし、いろんなひとに聴いていただきたいですけどね。
■もちろんそうだと思うんですけども、たとえばインターナショナルな展開は考えていないのかなと思いまして。べつにウエディングは特殊なキャラクターで売っているというわけではなくて、普通に国内外関係ない音楽のつくり方、発信をしてるように感じるので、海外レーベルから出したいみたいな気持ちがないのかなと。
M:海外でも認められればうれしいなというくらいで。あんまり詳しくはないんです。
L:海外でウケるのかどうかっていうのは知りたい。でも、海外の人たちにウケそうなもの、って思って作ってないから……。
■なるほど。今日は意外にドメスティックな一面というか実像を見れてよかったです。なんか、とても自然なスタンスでいまという時代に音楽をつくっているなって思って。
M:そうですね、でも自分で聴いていて、日本人ぽい音楽なんじゃないかって思ってます。うまく言えないけど、日本人っぽい感情の出し方、つくり方。
自分で聴いていて、日本人ぽい音楽なんじゃないかって思ってます。うまく言えないけど、日本人っぽい感情の出し方、つくり方。(Miii)
■ああー。抒情性みたいな部分とか?
M:海外の音楽って、もっと音とかリズムとか一個一個の要素が太くて、それ全体でグルーヴをつくったりするところがあるという感じがします。こっちは、いろんな情報を配置するだけで、あとは聴くほうがその中から何を聴くのかを選んでいるというか……。だから、叙情みたいなものもそこから選んで聴き取るのかもしれないし。そういう意味ではメッセージといえるようなメッセージはないかもしれないというか。そこには多義的な、いろんな情報の層があるだけで。
■ああー、たくさん神様がいる国、みたいな。八百万の。仏様もいっしょくたみたいな。
M:歌詞とかの情報量も多いし、情報の海があるだけって感じ……。つくる側の目線で言えば、自分は「この音だ」っていうのをドーンと出すのは正直なところ得意じゃないし、どんな音を足していったのかということもわりと感覚的で、理屈にもとづいたものではないし。
■なるほど。
M:感覚的な話になってしまいましたが……。
■いえいえ、音楽ですからね。言葉で言えれば音楽である必要もないし。ではリミキサーのHercelot(ハースロット)さんついておうかがいして終わりましょうか。
M:そうですね、もう、すごく好きなアーティストで、高校のころから崇拝していて。この曲(“Marriage for Dance”)については、トイポップみたいな可愛い要素をたくさん入れていただきましたけど、ご自身は「ロムズ・チルドレンだ」って言ってるくらい〈ROMZ〉が好きな方で、このリミックスはそういう人にお願いしなきゃ収まらないっていう思いはありました。
■LASTorderさんは?
L:俺は……、というか、Hercelotさんにお願いしようと言い出したのは俺で。
M:そうですね。それを聴いて、たしかにそうだって思ったんです。
■不思議ですね(笑)、ほんとにふたりは、バラバラで凸凹で、でも妙にシンクロしてる。ヘンなウエディングですよ。
この映画に関してはコラムで何度か書かせていただいてますが、最近はエロくてグロい音楽活動もなさっておられるという菊地凛子さんと、わたし(注:ブレイディみかこ)の息子がなぜか母子役で共演。などという市井の地べた民の身にとんでもないことが起きてしまった奇跡の作品であり、それが遂に東京開催のイタリア映画祭で上映されることになりました。
で、日本の事情を知らないレオという監督さんが、水曜日の午後2時半なんて中途半端な時間に入れられたんだけど誰も来なかったらどうしよう。とビビっておられるので、「4月29日は日本のバンク・ホリデーです」と伝えるとちょっと安堵されたようですが、なにしろ若き新人監督のこと、「遠い極東の国でガン無視されたらどうしよう」と不安を募らせておられるようなので、こうして母ちゃんがニュース欄にまではみ出して来てしまいました。
本作の見どころは何と言っても、エキセントリシティやオブセッションを芸風にしてきた菊地凛子が、幼い子供との悲しい別れを体験する母親の役を地味&静かに、ある種のぬくもりさえ漂わせながらナチュラルに演じておられる点で、これは彼女のファンにとっても新たな顔の発見になるのではないでしょうか。共演者には、ハリウッド版『ドラゴン・タトゥーの女』でルーニー・マーラを手籠めにして大復讐される極悪非道な変態弁護士を演じた(映画ファンの方々には「あー、あの人」と膝を打っていただけるでしょう)ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン(本作では善人役です)や、BBCドラマ『ロビン・フッド』で乙女マリアン役を演じた(こちらも英国在住歴が長い方々には膝を打っていただけるでしょう)ルーシー・グリフィスらがいます。また、オスカー受賞のエディ・レッドメインはイートン校出身でウィリアム王子のご学友、ベネディクト・カンバーバッチも名門私立ハーロウ校出身でリチャード3世の血縁、などと俳優の上流階級化が叫ばれる現代のUKにあって、子役のケン・ブレイディは底辺託児所卒園という輝かしい経歴の持ち主であり、ASDAの3ポンドTシャツを着て出演しております。
さらに、本作の美術&衣装を担当したミレーナ・カノネロは今年『グランド・ブタペスト・ホテル』の衣装デザインで4度目のオスカーを受賞しました。菊地凛子演じる日本人女性の心情の変遷と衣装の色彩の変化が美しくシンクロしていることに注目していただきたい。
また、編集はミヒャエル・ハネケ監督の長年のコラボレーターであるモニカ・ヴィッリ(『愛、アムール』『ピアニスト』)が担当し、統括プロデューサーのエルダ・フェッリはジョン・ライドンの唯一の主演映画『コップキラー』のプロデューサーというだけでなく、第71回アカデミー賞で外国語映画賞、主演男優賞、作曲賞を受賞したイタリア映画『ライフ・イズ・ビューティフル』のプロデューサーでもあります。
こっそりすごい人たちが集まって作った映画なのですが、如何せん宣伝力がありません。日本の配給会社も決まっておりません。ご興味をお持ちの方は母ちゃんにご連絡ください。まずはイタリア映画祭でお会いしましょう(って、わたしは現地におりませんが、監督と菊地凛子さんはおられます。舞台挨拶もあります。また、会場でいかにも場違いな感じの肉体労働者風の爺さんを見かけたら、それは95%わたしの博多の親父です)。
イタリア映画祭2015
『ラスト・サマー』特別上映 4月29日(水・祝)14:30~
https://www.asahi.com/italia/2015/works.html#z
東京会場:有楽町朝日ホール
東京都千代田区有楽町2-5-1 マリオン11階
https://www.asahi-hall.jp/yurakucho/access/
※有楽町マリオンの映画館チケット売場横のエレベーターで11階までお越しください。
※東京会場チケット情報はこちらへ
https://www.asahi.com/italia/2015/tickets_tokyo.html
2010年に、名門〈ニンジャ・チューン〉からアルバム『エスクモ』をリリースしたエスクモことブレンダン・アンジェリード。〈ワープ〉や〈プラネット・ミュー〉などからも配信や12インチ盤でシングルをリリースする彼のサウンド・プロダクションは、アモン・トビンも絶賛したほど。
本作はそんな彼の5年ぶりの新作アルバムである。まず、リリースが〈R&S〉傘下の〈アポロ〉からという点に注目したい。〈アポロ〉はアンビエントやダウンビート専門レーベルである。よって本作もアンビエント作品と言われている。が、一聴してわかるとおり本作はアンビエントというよりは、アンビエント風味が加味された良質なエレクトロニック・ポップ・ミュージックといった趣である。
個人的に興味深かった点は、そのポップネスの中に染み入るように鳴っている「陰り」だ。は、ブレンダン・アンジェリードはLA在住とのことだが、彼の音からは、たとえばティーブスのようなLA的の抜けるような明るさが希薄である。どこか曇り空を想起させる音とでもいうべきか。いわばLAというよりはUK的、そんな印象なのだ。幻想的であっても天国的ではない。むしろ灰色のアトモスフィアを感じてしまう。サイケデリックなジェイムス・ブレイク? そんな印象もある。
とはいっても本作は、難解で実験的な音楽ではない。先に書いたように、心地よいシンセ音とリズム/ビート、ヴォーカル曲なども織り交ぜて構成されたポップ・アルバムである。だがそれゆえ曲調や曲が醸し出す雰囲気としてのブリティッシュっぽさを感じてしまうのだ。このような彼の個性はどうして生まれたのだろうか。
どうやらブレンダン・アンジェリードは2001年の9.11以降、いわゆる陰謀論にハマり、世界各地を旅するうちに、この地に落ち着いたようだ。ゆえに一種の内面性や漂流性のようなものが染み付いた人物なのかもしれない(このアルバムには彼が世界各地で録音した音なども使われているという)。そう考えると彼の音楽特有の「陰り」の意味もわかってくるような気がする。
同時に本作は明確なコンセプト・アルバムでもある。曲の配置や流れに物語性を強く感じるはずだ。「太陽、月、地球が主役で、絶対的に不完全な人間の、無駄を完全に省いたシンプルな人生の中でどのようにその役目を果たしているかを描きたかった」と彼は語っている。つまり一種のニューエイジ、生活観としてミニマリズムな思想があるのだろう。
実際、1曲め“SpVce”は、惑星の誕生を描くSFのオープニングのような壮大なシンセフォニックな曲調である。続く2曲め“コンバッション”は、どこか00年代のエレクトロニカ・シューゲイザーのような曲だ。3曲め“ブルー・アンド・グレイ”も、淡いピアノのバッキングから始まるヴォーカル曲。この曲で、アルバムの「物語」が宇宙から個人の内面にズームアップしたような印象を持った。4曲め“マインド・オブ・ウォー”もヴォーカル曲である。このアルバムの主人公の身の回りにおきるさまざまな事件に対する心の葛藤を描いている曲のように聴こえる(アルバム名どおりに!)。5曲め“タマラ”は、フィールド・レコーディング音に、ピアノのメロディが重なるポスト・クラシカルな曲。ピアノ内部のハンマー音のようなサウンドが微かに聴こえ、どこかニルス・フラームも思い出す。シンセや電子音がレイヤーされており非常に繊細な曲といえよう。この曲を挟みアルバムは後半へ。民族音楽的なドローンから幕を開ける6曲めにして、アルバム・タイトル曲“SOL”は本作の最重要トラックである。事実、アルバム中、もっともエクスペリメンタルで先鋭的な曲だ。だが、いわゆる難しさはない。むしろ心地よさを感じるサウンドでもある。そしてアルバムの「視点」は、この曲で個人からいったん離れ、1曲めのように俯瞰的な視点で曲を鳴らしているように思えた。微かなノイズに交じり、ときおり聴こえてくるピアノのアルペジオが美しい。続く7曲め“ザ・ライト・オブ・ワン・サウザンド・ファーネス”も、エクスペリメンタルなアトモスフィアを漂わす曲。無国籍な雰囲気はいっそう研ぎ澄まされ、リズムとシンセのメロディの交錯が素晴らしい。トラック中盤から曲調はダイナミックに展開し、いわば世界を一気に駆け巡るような感覚を味わえる。8曲め“フィード・ファイヤー”は再びヴォーカル・トラック。淡いシンセのパッドと具体音の折り重なりが見事だ。シンセによるオーケストレーションも効果的である。9曲め“ザ・サン・イズ・ア・ドラム”はアルバムという物語のクライマックスを彩るドラマチックなトラックだ。ヴォーカルも入るが曲の中の1いち要素として溶け込んでり、天空を駆け巡るようなカタルシスと地上へ落下するようなカタルシスを満喫できる。そして10曲めにしてラスト曲“キャント・テイスト”は、静謐なピアノ主体のヴォーカル曲だ。ときに激しく展開しながらも、しかしアルバム=物語のエンディングに相応しい穏やかな雰囲気で(唐突に?)幕を閉じる。
このように本作はヴォーカルからインスト、ビート・トラックからアンビエントまで、じつに多彩な曲調を織り交ぜながら展開していくアルバムに仕上がっている。たしかに惑星と人間、さらには(曲名から想像するに)エネルギー問題という壮大なコンセプトがあるのだろうが、アルバムを聴いた印象でいえば、まるで私たちが暮らす一日のサウンド・トラックのようでもあった(まったくタイプのちがう音楽だが、デリック・ホッジ『リブ・トゥディ』に似ているようにも思えた)。宇宙規模の俯瞰の視点から個人の生活や内面に寄り添ったパーソナルな音楽まで一気にズームアップする感覚がある。映画でいえばテレンス・マリックの『ツリー・オブ・ライフ』のように。とはいえ、先に書いたように難解なアルバムではない。不穏さを湛えながらも、とてもポップなアルバムに仕上がっている点は、やはり重要だ。
その意味で、本作には、まるで毎日のサウンド・トラックとして繰り返し聴ける耐久性がある。ブレンダン・アンジェリードは「全体を通して前作に比べ物語的」と語っているが、本作のサウンド・トラック性を表した言葉といえよう。
流して聴いてもいい。その緻密なサウンド・メイクに聴き込んでもいい。シンフォニックでシンセ・サウンドには、昨今の人気のシンセ・ウェイヴ的な音との連続性もあるが、サウンドで聴かせるというよりは、きちんと「作曲」された端正な音楽なのである。事実、オーケストラ用に作曲したトラックも本作には入っているという。そんなシンセ・サウンドに加え、見事なビート・プログラミング、ヴォーカル・エディットまでエレクトロニックな技法の限りが尽くされ、どんなシュチュエーションでも、何度聴いても飽きることのないアルバムに仕上がっている。そう、本作『SOL』もまた前作『エスクモ』のように、何年も多くのリスナーに聴き継がれる作品となるのではないか、と思える。
チルウェイヴからインダストリアル/ダークウェイヴへと舵を切ったジェシー・ルインズが、5月20日、リミックス・アルバムを出す。
リミキサーのメンツには、Black Rai、Taquwami、食品まつり、あらべぇ、sanm、DJ Soybeans、Djwwww、LSTNGT、Nicole Brennan、Schwartz Brotchen、Castration Fear、Ultrafogなどなど、最近の彼の幅広い音楽性と、いろんなジャンルと繫がっていくどん欲ささが反映されていると言えるだろう。
現在の日本のシーンを知る上でも、注目のリミックス盤だ。

Jesse Ruins
The Other Type of Heartless
2,200Yen + tax /
CAT No: MGNF-1024
限定盤にはオリジナル盤のカセットバージョンが付きます。
Jesse Ruins - Truth of D (Taquwami Remix)
https://soundcloud.com/jesse-ruins/truth-of-d-taquwami-remix
Jesse Ruins - She is in Photo SNS (あらべぇ Remix)
https://soundcloud.com/jesse-ruins/she-is-in-photo-sns-remix
以下、ジェシー・ルインズ本人がコメントを寄せてくれました。
「Jesse Ruinsが3年前にCaptured Tracksから音源をリリースしていたことなんか、もうみんな忘れたかもしれないし、僕も忘れそうなくらい少しづつ音楽性も変わってきてて、でも3年も経ったら変化していくのも当然かもですね。Cold Nameなどの別名義とかもそうで、そのときそのときの好きな音楽を反映させながら作りたい音楽が変わっていくのは自分的にすごく楽しいです。
最近始めた新しい名義CVNはこんな感じです(https://soundcloud.com/cvntrack)。
こちらもこれからリリースが控えてるので、楽しみにしててください。
最近は聴いてるもの→やっと買えたMarshstepperの12インチなどAscetic Houseの周辺もまだまだ聴きつつ、LoticなどJanusの周りやYoung Echo界隈のFuckPunkのレコードもすごく良くて。あとはAhnnuの新しいカセット楽しみ。
で、今回のリミックスアルバムの人選なんですが、名前は知ってるけど初めて話す方とか、新しい出会いが最近多く、ライヴやDJなど一緒になって繋がった人などを中心に人選させていただきました。
先行公開してるTaquwamiくんは去年のリミックス盤でも声をかけてたんですが、タイミング合わず今回ようやくということで。最近の彼らしいビートに元の素材がうまく溶け込んでて突然降ってくる甘いメロディも癖になります。
他にも食品まつりさん、あらべぇくん、DJ Soybeans/Schwartz Brotchen、Djwwww/Nicole Brennan、sanm、Ultrafog、LSTNGT、Castration Fearさんなど国内勢に加えてBlack Rain、Violence、Orphan Swordsの海外勢もみんなオリジナルの楽曲と言っても違和感ないぐらいに個性が強く出ています。是非買って聴いてください」
Nobuyuki Sakuma (Jesse Ruins / CVN / Cold Name(R.I.P.))
■リリース・パーティ
The Invention of Solitude #8 <Jesse Ruins "The Other Type Of Heartless" Release Party>
日時 5/31 OPEN/START 18:00
場所 KATA [LIQUIDROOM 2F]
出演 Jesse Ruins , 食品まつり aka Foodman , LSTNGT , sanm , Ultrafog , CVN , あらべぇ(DJ) , Naohiro NIshikawa (DJ) , and more.
チケット: DOOR 2,000 / ADV 1,500
問い合わせ先: https://www.kata-gallery.net/
アイシス(ISIS)のアーロン・ターナー。この先もずっと頭が上がらないだろうなって思うのは、おそらく彼と出会わなければ、自分の人生は大きく異なっていたであろうから。なんにもない状態でフラフラとLAに訪れたのに、多くの素晴らしい人たちとの出会いのきっかけを与えてくれたのはアーロンに他ならない。そういった意味では個人的に今回のMammifer / Daniel Mencheのツアー・サポートに指名されたことは本当に光栄なことである。
昨年11月に最新アルバム、『スタトゥ・ナッセンディ(Statu Nascendi)』を発表したマミファー(Mammifer)はアーロン・ターナーと妻であるフェイスによるユニットである。彼らが暮らす、雄大な自然に囲まれたシアトル郊外のヴァショーン島を感じさせるアンビエンス、アーロンによるギター・ドローンとフェイスの美声とピアノ・アンサンブルによる幽玄なサウンドは、本作ではこれまでになく洗練された形で完成されている。
彼らのクリエイティヴィティはいつだって留まるところを知らない。アーロンが昨年新たに結成したスマック(SUMAC)の『ザ・ディール(The Deal)』もまたヘヴィネスとミニマリズムをアイシスとは異なった形でアップデートさせていると言えるし、彼を含むポストメタル・オールスターズバンドであるオールド・マン・グルームも同タイトルで異なる内容を収録した2枚のアルバム、『ジ・エイプ・オブ・ゴッド(The Ape of God)』を発表したばかりだ。
フェイスもまた、オークイーター(Oakeater)のアレックス・バーネットとのデュオBarnett + Colocciaで前作『Retrieval(リトライヴァル)』に引き続き〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック(Blackest Ever Black)〉からの新作リリースを間近に控えている。〈BEB〉レーベルの現在進行形暗黒電子音楽に新たな歴史を刻む傑作を約束しよう。一足先に拝聴したが、まるで異界への呼び水のようなサウンドだ。
多忙なスケジュールのなか行なわれる、2年半ぶりとなる今回のマミファーの来日は、シアトルのベテラン・ノイジシャン、ダニエル・メンチェ(Daniel Menche)と同行する。自作楽器やフィールド・レコーディングをサウンド・ソースとしたライヴ・パフォーマンスは、過去の来日公演に訪れたオーディエンスを圧倒させている。マミファーによるレーベル〈シージ(SIGE)〉から発表されている近年の音源ではパイプオルガンやホーンを多用した見事なドローン・アンサンブルを聴かせてくれていたので今回どのようなパフォーマンスをみせてくれるのか、非常に楽しみである。
ツアー初日となる大阪公演では、各方面から絶賛されるセカンド・アルバム『リズム&サウンド(Rhythm&Sound)』を発売したばかりのGoatの日野氏によるミュージック・コンクレートとテクノを融解させるYPY、〈スーパーデラックス〉での東京公演はボリスのスペシャルなセット、〈スープ〉での最終日にはドイツでの凱旋を終えたばかりのエンドンがパワーアップしたサウンドシステムで競演する。僕は大阪公演ではソロ、東京では普段のデュオ編成で異なるセットをおこなうつもりだ。各公演で繰り広げられる異世界へ足を踏み入れてはいかがであろうか?
■3/26(木)
大阪: 東心斎橋Conpass w/ YPY、DREAMPV$HER (Lonely pushin' set)
open 18:30 / start 19:00
前売 3,500yen / 当日 4,000yen (ドリンク代別)
問い合わせ: Conpass 06-6243-1666
■3/27(金)
東京: 六本木Super Deluxe w/ Boris
open 18:30 / start 19:00
前売 3,500yen / 当日 4,000yen (ドリンク代別)
問い合わせ: Super Deluxe 03-5412-0515
■3/29(日)東京: 落合Soup w/ DREAMPV$HER, ENDON
open 18:00 / start 18:30
前売 3,000yen / 当日 3,500yen (ドリンク代別)
問い合わせ: Soup 03-6909-3000
■チケット
2/7(土)より下記にて発売開始
大阪: ぴあ(P:255-709)、ローソン(L:56291)、e+、会場
東京/六本木: ぴあ(P:255-738)、ローソン(L:70293)、e+、会場
東京/落合: 会場、Daymare
本日17時より! ジェフ・ミルズによる音楽を背景にして、世界初公開となる“音楽に関連するアバンギャルドなオブジェクト”が展示される。「バトル オブ ロスアンジェルス」に端を発したヒステリアを再現した「Investigative Walls」、オリジナルのアナログ・レコードを使用した「Tomorrow + X」、「The Visitor」と「The Visitor」の使用時に着用するオランダ人デザイナー、ユロエン・フォン・トゥイルがデザインしたスーツ「The Stranger」……。
百聞は一見に如かず。日本科学未来館での館長毛利衛氏とのコラボレーションによって、ある意味ではもっとも「宇宙に近い」場所になった湾岸、そこにたたずむ寺田倉庫にて開催される、一夜かぎりの展示会を見逃すことなかれ!
エレクトロニック・ミュージックのパイオニアとして知られるジェフ・ミルズ(1963年アメリカ、デトロイト出身)は常にエレクトロニック・ミュージックを芸術として捉え、音楽とその進化に対するユートピア的思想を広めるべく活動を続けてきました。
近年では、各国オーケストラとの共演。日本科学未来館館長/宇宙飛行士 毛利衛氏とコラボレイトした音楽作品『Where Light Ends』の発表。ジャクリーヌ・コー監督、ジェフ・ミルズ主演のアート・ドキュメンタリー・フィルム『MAN FROM TOMORROW』の公開など、その活動はもはや音楽という枠組みにはとどまりません。
今回、世界に先駆け日本で初公開されるミルズの最新アート作品は、1942年にロスアンジェルスで起きたUFO目撃事件「バトル オブ ロスアンジェルス」という出来事にインスパイアされプロダクトデザイナー、スズキユウリ氏の協力のもとに制作された、かつてないデザインの音楽機材「The Visitor」です。
今回3月23日(月)に天王洲アイル 寺田倉庫で開催される展示会「WEAPONS:—音楽に関連するアバンギャルドなオブジェクトの小さなしかし強力なエキシビション」では、50年代のフィルム・ノワールを基調にしたセッティング、ミルズによる音楽を背景に「バトル オブ ロスアンジェルス」に端を発したヒステリアを再現した「Investigative Walls」、オリジナルのアナログレコードを使用した「Tomorrow + X」、「The Visitor」と「The Visitor」の使用時に着用するオランダ人デザイナー、ユロエン・フォン・トゥイルがデザインしたスーツ「The Stranger」を世界初公開展示します。
ジェフ・ミルズの来日に合わせた一日限りのエキシビション。当日はジェフ・ミルズ本人による各オブジェクトの解説やトークショーも企画しております。
■JEFF MILLS presents
WEAPONS
– a small but potent collection of music affiliated avant-garde objects
「WEAPONS:—音楽に関連するアバンギャルドなオブジェクトの小さなしかし
強力なエキシビション」
開催日時:2015年3月23日(月)19:00 – 22:00
会場:天王洲アイル 寺田倉庫 G1号5F 特設会場
〒140-0002 東京都品川区東品川2-6-10
チケット:1500円
販売: Peatix : https://weapons.peatix.com
発売日:3月9日(月)17:00より開始
主催:Axis Records
制作:UMAA Inc/ TodaysArt.JP
協力:寺田倉庫株式会社、Gibson Guitar Corporation Japan
展示内容
1.The Visitor
1942年ロサンジェルスで起きたUFO目撃事件「バトル・オブ・ロサンジェルス」にインパイアされデザインされた、スズキユウリ氏とのコラボレーションによる全く新しい形のドラムマシーン。世界初公開。
2.The Stranger
Jeff MillsがThe Visitor 使用時に着用するためにオランダ人デザイナー、ユロエン・フォン・トゥイルがデザインしたスーツ。世界初公開。
3. Battle of Los Angeles
1942年ロサンジェルスで起きたUFO目撃事件「バトル・オブ・ロサンジェルス」に関するオブジェクト。世界初公開。
4.Tomorrow + X
Jeff Mills が制作した白いアナログ盤(すべて違う内容の音楽が刻まれており、世界に2枚づつしか存在しない)を使用したインスタレーション。
5. Investigative Walls
「バトル・オブ・ロサンジェルス」に関わるヒステリアと1940年代のイメージを表現したインスタレーション。世界初公開。
[人間性は好奇心と探究心によって進化してきた。思考と想像が実現する方法を見つけ出したときに不可能は可能になる。つまり夢見ることによって何事も可能になるという理論が私たちの想像力をよりたくましくしてきたと言える。間接的にでも我々に未来の姿を想像させてくれるサイエンス・フィクションはこれからますます評価されることになるのではないだろうか。
—ジェフ・ミルズ
■ジェフ・ミルズ
1963年デトロイト市生まれ。
高校卒業後、ザ・ウィザードという名称でラジオDJとなりヒップホップとディスコとニューウェイヴを中心にミックスするスタイルは当時のデトロイトの若者 に大きな影響を与える。1989年にはマイク・バンクスとともにアンダーグラウンド・レジスタンス(UR)を結成。1992年にURを脱退し、NYの有名 なクラブ「ライムライト」のレジデントDJとしてしばらく活動。その後シカゴへと拠点を移すと、彼自身のレーベル「アクシス」を立ち上げる。1996年に は、「パーパス・メイカー」、1999年には第3のレーベル「トゥモロー」を設立。現在もこの3レーベルを中心に精力的に創作活動を行っている。
Jeff Millsのアーチストとしての活動は音楽にとどまらない。シネマやビジュアルなどこの10年間、近代アートとのコラボレーションを積極的に行ってきている。2000年、フリッツ・ラングの傑作映画「メトロポリス」に新しいサウンドトラックをつけてパリ、ポンピドゥーセンターで初公開した。翌年にはスタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」にインスパイアされた「MONO」というインスタレーションを制作。2004年には自ら制作したDVD「Exhibitionist」を発表。このDVDはHMV渋谷店で洋楽DVDチャート一位を獲得するなどテクノ、ダンスミュージックの枠を超えたヒットとなった。2007年、フランス政府より日本の文化勲章にあたるChavalier des Arts et des Lettresを授与
2012年には主催AXIS RECORDSの20周年記念として300ページにおよぶブック「SEQUENCE」を出版。2013年には日本独自企画として宇宙飛行士、現日本未来館館長毛利衛氏とのコラボレーションアルバム「Where Light Ends」をリリース。同時に未来館の新しい館内音楽も手がけた。
2014年、Jeff Mills初の出演、プロデュース映像作品「Man From Tomorrow」が音楽学者でもあるジャクリーヌ・コーの監督のもとに完成。パリ、ルーブル美術館でのプレミアを皮切りにニューヨーク、ロンドンの美術館などでの上映が積極的に行われており、DVDとしても発売。
2015年前半はルーブル美術館オーデトリアムでのレジデンシーイベントで毎回違うアーチストのコラボレーションを行い 映像、音楽、コンテンポラリーダンスを駆使し今までにないパフォーマンスを披露している。
■スズキユウリ プロフィール
1980年東京生まれ。ロンドン在住。明和電機で5年間のアシスタントを経て、2006年、文化庁新進芸術家海外留学制度により、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに入学し、「音楽とテクノロジー」をテーマに作品制作を行い、現在はサウンドアーティスト、プロダクトデザイナーとして活躍している。近年のプロジェクトに「Juke Box meets Tate Britain」(Tate Britain、ロンドン、2013-14)、「Garden of Russolo」(Victoria and Albert Museum、ロンドン、2013)、「Ishin-Den-Shin for Disney Research」(2013)などがある。「color chaser」「Ototo」MoMA collection認定(2014)
テレンス・パーカーは、デトロイト・テクノ/デトロイト・ハウスにとって大先輩のひとりである。彼はディスコの時代からヒップホップ時代を経て、彼の地でもっとも早くハウスをスピンしたプロのDJだ。デリック・メイからURまでみんながリスペクトしているし、まだ無名だったムーディーマンをいち早くフックアップしたのもテレンス・パーカーだった。また、千葉のDJノブが初期においてもっとも大きな影響のひとりがパーカーである(パーカーはフューチャー・テラーに敬意を表する意味で、〈チバシティ〉なるサブレーベルを発足したことがある)。
このデトロイトの重鎮は、世界の気まぐれなのか、周期的に地球に近づく彗星なのか、何年かにいちど、ものすごく脚光を浴びるときがある。2013年、ハウス・リヴァイヴァルがあらゆる位相で起きたときに、彼はいきなり表舞台に躍り出て、2014年に15年ぶりのアルバム『Life On The Back 9 』を発表した。さらにまた、つい先日は、ハウスの名門〈King Street Sounds〉からミックスCDを出したばかり。
来日DJは4月4日。場所は渋谷のAIR。デトロイト仕込みの、ファンキーで、ソウルフルなDJを聴きたくないかい? だったら行こう。
4月4日(土)
Deeep Detroit Heat
TERRENCE PARKER MIX THE VIBE RELEASE PARTY
10PM | ¥3500 w/f ¥3000 AIR members ¥2500 Under 23 ¥2500 Before 11:30PM ¥2000 After 6AM ¥1000
MAIN: Terrence Parker (from Detroit),
DJ NOBU (Future Terror | Bitta),
DJ SHIBATA (探心音 | the oath),
You Forgot (UGFY Records)
LOUNGE: haraguchic (DAWD | FFF),
Wataru Sakuraba, Akinori Shimura, Akey, Tatsuoki (Broad | Crept)
NoMad: CUTS, Tatsuya Ouchi (Drop), ABULA (choutsugai), HIROMI NOGUCHI
“MIX THE VIBE”のリリースツアーで待望のDJがAIR初登場
90年代からリリースを重ね、王道ハウス・ミュージックの象徴的存在となってきたミックスCDシリーズ“MIX THE VIBE”。TERRENCE PARKERがコンパイルを務めたその最新作がリリースされる。拠点であるデトロイトのアーティストたちに「もっとも凄いDJは誰か?」と聞くと、必ず名前が挙がるほど彼のプレイスキルは高く評価されており、現地では超絶テクニックを誇るJEFF MILLSとも並び称されるほどの名声を獲得している。AIRには、これが待望の初登場。昨年はCARL CRAIGのレーベルからのリリースも実現して話題となった男の、スリリングなプレイを体感せよ。そして共演には、TRRENCE PARKERの初来日を実現させたDJ NOBUも登場する。
■Terrence Parker

キャリア35年以上を誇り、電話の受話器をヘッドフォンとして使用する独特のDJスタイルと、テクニカルなスクラッチで知られるデトロイトきってのテクニシャン、オリジネーターの一人である。2014年、Planet E/Defectedよりアルバム 『Life on The Back 9』をリリース。
※ミックスCDにも注目!
Terrence Parker
Mix The Vibe: Terrence Parker - Deeep Detroit Heat
King Street Sounds / Nite Grooves
ハウスの名門〈King Street〉からのMix The Vibeの記念すべき20作目は、デトロイトのカリスマDJ、テレンス・パーカーが登場。その卓越した感覚と技量に支えられた独自のグルーヴは、ハウス・ミュージックの枠に留まることなく、全てのクラブ・ミュージック - ダンス・ミュージックのファンにアピールするだろう。
2015/4/4にNEW EP『4.5』を1年半ぶりにリリース!
https://www.mad-agascar.com/news/701.html
https://soundcloud.com/tickles-yukikamata
LIVE
4月4日土曜日 Shibuya 7th floor
open/start/18:00/18:30
door/1000+1d
LIVE
・CHUB DU
・tickles
・pepe california
DJ
・蟻(moph records)
・TSUTCHIE(SHAKKAZOMBIE)
・KENKOU
ラジオから流れてきて欲しい10曲
![]() 1 |
Dosh-Kit and Pearle https://www.youtube.com/watch?v=Yq7mWUpNM2M |
|---|---|
![]() 2 |
Jim O'Rourke-LIfe goes off https://www.youtube.com/watch?v=ZEwumKlZi9M |
![]() 3 |
Combo Piano-Cheap Imitation https://www.youtube.com/watch?v=RbwC7cn8bss |
![]() 4 |
Mice Parade-And Still It Sits In Front Of You https://www.youtube.com/watch?v=KCaFWgNOjgE |
![]() 5 |
Chilly Gonzales-OTHELLO https://www.youtube.com/watch?v=QJzMyeeqt24 |
![]() 6 |
Bonobo-Cirrus https://www.youtube.com/watch?v=WF34N4gJAKE |
![]() 7 |
Juana Molina-Quién? https://www.youtube.com/watch?v=n1TJ92-2894 |
![]() 8 |
Isolée-Allowance https://www.youtube.com/watch?v=BNXv5LtUcoo |
![]() 9 |
The Books-Smells like Content https://www.youtube.com/watch?v=ZHNArEfBKdc |
![]() 10 |
TOMI LEBRERO https://vimeo.com/12532815 |




