「IO」と一致するもの

OG from Militant B - ele-king

ラガマフィンエクササイズ!

快速東京 - ele-king

 この天気、嫌ですよね〜。湿度は高いし、外で遊べないし。さてさて、このしけたご時世に、気前のいい話が舞い込んで来ました。
 いまや若者から絶大なる共感をかき集めていると言われるロック・バンドの快速東京は、本日7月6日の22時より、ニュー・アルバムを無料ダウンロードにてリリースします。アルバム・タイトルは『レッドブルー』。録音場所はレッドブル・スタジオ。こちらに最新インタヴューが載っています。(DL情報も記載アリ)
 https://www.redbullstudios.com/tokyo/articles/kaisoku-rapid-recording-free-download-with-kaisoku-tokyo
 無料だし、友だちにも教えてあげましょう。
 なお、このアルバム・リリース記念として7月17日の金曜日、新代田FEVERにてワンマンライヴもあります。これまた無料です(ただし、2ドリンク代がかかります)。
 チケットはメール予約のみで、ごめんなさい、もう間に合わないかもしれないけど、いちおうメールアドレスを。(kaisoku_ticket@fever-popo.com
 

15.07.17 (Fri) 快速東京ワンマン“おおいそぎ”
at新代田FEVER
OPEN19:30/START20:00
ADV ¥0(+2drink)
ーーーーー
<快速東京HP>
kaisokutokyo.com

Kahn & Neek Japan Tour 2015 - ele-king

 〈dmz〉がブリクストンではじまって10年、ロール・ディープの『イン・アット・ザ・ディープ・エンド』のリリースから同じく10年が経とうとしている。UKアンダーグラウンドにおいてダブステップやグライムが「最先端」の音楽でなくなってから久しいが、それでもなおリスナーの心を掴んで離さないのは、10代でそれを体感した第2世代の目覚ましい活躍があってこそ。今回初めて来日するカーンとニーク(ともに20代なかば)がいなかったら、いまの若者の多くがレコードを買いはじめることはなかった、かもしれない。

 すくなくとも、ふたりのレーベル〈バンドゥールー〉から、レコードのみでリリースされた“パーシー”を持っていない方はかなり後悔した方がいい(僕も持っていない)。あまりにも多くのクラブで流れてスマッシュ・ヒットした1枚であり、スカスカだが図太いグライムのビートとクセになる声ネタを、「若者だけの音楽にしておくのは、もったいない」と、ある音楽評論家も評している。

(ここで、主催者から届いた“パーシー”の冒頭が使われたツアーCMをどうぞ!)

カセットでのミックスの発表、レコード・オンリーのリリース、手刷りのアートワーク、地元ブリストルのクルーだけで構成されたコレクティヴ、ヤング・エコーでの活動など、カーンとニークを語るうえで出てくる要素は多いが、ネット至上主義に抗うかのようなDIYスピリットは、間違いなく彼らの魅力のひとつだろう。当然、ふたりのようにラディカルに活動をするアーティストは、日本になかなか来ることができない。「来日公演」が溢れかえる昨今において、カーンとニークを本場ではなく日本で見ることは大きな意味を持つことになりそうだ。

 ツアーは7月17日に函館からはじまり、18日に小樽、19日に京都、20日に福岡、24日に東京、翌日は名古屋で開催される。ブリストル特集を予定している21日のドミューンの前半に、カーンとニーク本人が登場する予定なので、ふたりについてもっと知りたい方はそちらもチェック。各イベントともその地域のスペシャリストたちが出演するので、会場が近い方は是非足を運んでほしい。東京公演には今回から始動するイベント〈BS0〉の企画にもたずさわる、ビム・ワン・プロダクションとソイ・クルーの面々に加え、カーンとも交流がある〈バック・トゥ・チル〉の100マド、若手グライムDJのサカナが出演する。

AFX - ele-king

 『Analoard』シリーズはよりシンプルでグルーヴ重視しているからAFX、「Fenix Funk 5」はよりプログラミングされているからエイフェックス・ツイン名義って彼は言っていたけれど、それぞれの名義との違いって、あんまないんだよね。いかれたアシッドを追求したコースティック・ウィンドウ名義ほどの名義による際だった特徴はなかったような。ただ、AFX名義は、よりラフで、好きなように実験している感はあるかも。あるいは、紙エレキングのインタヴューで、もうAphex Twin名義はないかもと言っているから、そういうことかもしれないし、たんに契約上のことかもしれないし。
 ま、とにかくリチャード・D・ジェイムス様がまたもや新作を出すわけです。リリースは8月18日、タイトルは『ORPHANED DEEJAY SELEK 2006-2008』。『Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP』も良かったから、期待しちゃいましょう!

トレーラー映像&新曲「serge fenix Rendered 2」はコチラ!
https://www.beatink.com/Labels/Warp-Records/Aphex-Twin/BRE-51/

 以下、情報拡散たのむぜ。

完全復活を遂げたエイフェックス・ツインこと
AFX名義で10年振りとなる新作のリリースを発表!!!
新曲とトレーラー映像が公開!

昨年9月、エイフェックス・ツインの13年振りのオリジナル・アルバム『Syro』をリリースし、僅か4ヶ月後には同じくエイフェックス・ツイン名義で『Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP』をリリース、その直後『Syro』がグラミー賞を獲得するなど、長い沈黙を破って以降、怒涛の勢いでリリースを続けているリチャード・D・ジェイムスが今度はAFX名義で新作をリリースすることが決定。新曲「serge fenix Rendered 2」とトレーラー映像が公開された。

「Analogue Bubblebath」や後に「Digeridoo」と改名された「Aboriginal Mix」をはじめとする初期の代表曲、アシッド・ハウスやデトロイト・テクノへのオマージュ、そして代名詞であるドリルンベースのアプローチが初めて本格的に姿を現したときにも使用されるなど、リチャードのキャリアを語る上で欠かせないのが、このAFXプロジェクトである。『ORPHANED DEEJAY SELEK 2006-2008』と冠された本作は、2003~2005年にかけてリリースされた『Analoard』シリーズから10年振りとなるAFX名義での最新作である。

90年代オマージュに溢れるアートワークはもちろんザ・デザイナーズ・リパブリックが担当。国内盤にはオリジナル・ステッカーが封入され、初回生産盤のみアナログ盤を模した穴開き特殊紙ジャケット仕様。なおタワーレコードでは購入者にオリジナル・クリアファイル、HMVではオリジナル・ロゴ・バッヂ、diskunionではオリジナル・ジャケットデザイン・バッヂ、amazonではオリジナル・ロゴ・マグネットをプレゼント。また対象店舗でアルバムを予約するとさらにオリジナルAFXロゴ・ステッカーがもらえる。


interview with The Orb(Alex Paterson) - ele-king


THE ORB
MOONBUILDING 2703 AD

Kompakt / ビートインク

AmbientDubTechno

Tower HMV Amazon iTunes

 ジ・オーブの新譜が、すごく良い。これはちょっとした事件だ。彼らの作品だから当たり前のこと? もちろん、そうだ。だが、もはやその名を知らぬもののないアンビエント・テクノの第一人者であり、20年以上も活動しつづけるベテランが、こんなにも新鮮で、それでいて濃厚で、そのうえ生き生きと音の遊びとファンタジーを満ち溢れた現在進行形のアルバムを生み出したのだ。ここにはカビの生えたアンビエント・テクノなトラックなど1曲たりともない。

 同時にベテランだからこそ作り得る味わいも魅力的だ。まるで20世紀音楽の濃厚なスープとでもいうべきか。テクノを基調に、ダブ、ジャズ、ディスコ、エレクトロ、電子音楽、サントラ、ムード音楽など、さまざまな音楽のダシが見事に溶かされた絶妙な味わいがたまらない。「ミュージック・コンクレート・テクノ」とでも形容したいほどである。
まさに彼らのスキルのすべてが投入されたかのような驚異的な本作。あの傑作『オルヴス・テラールム』(1995)に匹敵するアルバムだとも思うのだが、どうだろうか?

 今回、われわれはジ・オーブのアレックス・パターソンに、この新作について質問を投げかけてみた。ブラックユーモアを繰り出しつつも、彼はこの作品への手ごたえを語っている。SF、月、〈コンパクト〉、制作の日々、サンプリング、ビート、DJ、盟友トーマス・フェルマンのことなど、本作をより深く聴くためのカギが、ここにある。壮大な20世紀音楽のカオスの中に込められた「音楽」とはいったい何か?

■The Orb / ジ・オーブ
アレックス・パターソンを中心に結成され、現在はトーマス・フェルマンとの二人体制にて活動、アンビエントやダブをキーワードにハウス/テクノのあり方を追求しつづけてきたベテラン、ジ・オーブ。両者の完全コラボ・アルバムとして〈KOMPAKT〉からリリースされた『OKIE DOKIE IT'S THE ORB ON KOMAPAKT』から10年、ジ・オーブ名義のフル・アルバムとしては『BAGHADAD BATTERIES』以来6年振りとなる、全世界待望のニュー・アルバム『MOONBUILDING 2703 AD』が本年2015年発表された。

グルっと大きくサイクルが周回した一枚というか。本作に至る道のりというのは長く複雑なストーリーだったんだ。

通訳:もしもし。

アレックス・パターソン(以下AP):うん?

通訳:取材をはじめてもオッケーですか? なんだか眠たそうな声ですけども……。

Ap:いや〜、大丈夫。俺はいつもこういう感じなんだ。

わかりました。それでは最初の質問です。新作『ムーンビルディング 2703 AD』は、大変素晴らしいアルバムで感動しました。さまざまな音楽的な要素を詰め込みつつも最高にジョイフルで快楽的。この作品が、これまでのアルバムと比べて、もっとも「変わった」と思うのはどのような点とお考えでしょうか?

Ap:うーん、もっとも変わったところといえば、ここしばらく俺たちはジ・オーブ以外の人びとといろんなコラボレーションをやってきたんだ。リー・“スクラッチ”・ペリーとかデイヴィッド・ギルモア、そしてユースといった面々だな。
 ところがこの新作は俺たちだけで作ったアルバムだ。その意味では『バグダッド・バッテリーズ』(2009)に非常に近い。あれはごく小さなイギリスのレーベルから発表したために、とても露出度が低くて、ほとんど知られていないような作品なんだけども――。だけど今回の自分たちは、このアルバムをプロモートするのに最適なレーベルを選んだっていうのかな。〈コンパクト〉のことだけど、彼らとは2005年にいっしょにアルバム(『オーキー・ドーキー・イッツ・ジ・オーブ・コンパクト・ディスコ』)をやったことがあってね。あのアルバムもトーマス(・フェルマン)と俺のふたりだけで作った作品だったから、その意味でもグルっと大きくサイクルが周回した一枚というか。そうはいっても、俺たちがいわゆる「成熟した」ってわけじゃなくて、ジ・オーブの最初のアルバム5枚でやったあらゆる要素を引っ張ってきて、それらを用いつつ、より新しく、かつ、もっとハッピーなサウンドをクリエイトしてみたっていう。

制作にはどれくらい時間がかかりましたか?

Ap:ハッハッハッハッハッ! まあ、実際、信じられないくらい長い時間がかかったよ!ほぼ4年を費やした……というのも、このアルバムと並行してほかのプロジェクトにも取り組んでいたからね(長く息を吸い込む)。
 もともとはロンドンにある〈コヴェント・ガーデン・オペラ・ハウス〉(※ロイヤル・オペラ・ハウスのこと)のために、とある音楽作品を作っていたんだ。ところが保守党(Tories)が最初に政権を握ったところで(※2010年に行われた総選挙。保守党党首デイヴィッド・キャメロンが英首相に就任し、今年の総選挙でキャメロンは再選され首相2期めに入っている)、連中は緊縮財政政策の名の下にいろんな規則や規制、予算削減案を打ち出していった。そこで芸術活動に対するさまざまな政府助成金も打ち切りになり、俺たちもまた――まあ、なにも俺たちだけって意味ではなくて――、そのプロジェクトそのものが立ち消えになってしまった。
 で、オペラ・ハウス側はそれまで作ってきた音楽の一部を俺たちに返却することになり、そこで俺たちはその音楽ピースの中からなんとなく「オペラ的」と呼んでいた要素群を排除して、こうして『ムーンビルディング 2703 AD』というアルバムが手に戻ってきた、ということだ!
 だから、本作に至る道のりというのは長く複雑なストーリーだったんだ。しかも、この企画(最初のオペラ企画および『ムーンビルディング 2703 AD』)と並行して、俺たちはリー・“スクラッチ”・ペリーとも仕事していたわけで。

通訳:この4〜5年は非常に多忙な時期だったようですね。

Ap:ああ、そうだね。それに、俺たちはその間にツアーもやっていたわけで。その忙しさのツケは、いま、間違いなく回ってきてるわけだけど(笑)。

俺はそのとある本から視覚的なインスピレーションを受けた。『月を作ったのは誰?』 ってタイトルのものなんだ。……「コンスピラシー本」に近いものだと思うけど。

今回のアルバム、音の変化がシーンの変化のようでとても映像的、というか映画を観ているような感覚になりました。何かインスピレーションを受けた映画などはあるのでしょうか?

Ap:いや、映画はないな。ただ、ある本があって(ちょっとおかしそうに)……。ということは、俺はそのとある本から視覚的なインスピレーションを受けた、音楽的なアイデアを本からもらったってことになるのかな? ともかく、その本は『フー・ビルト・ザ・ムーン?(Who Built The Moon?)』(「月を作ったのは誰?」)ってタイトルのものなんだ(※クリストファー・ナイト、2005年)。

通訳:いわゆる科学系の論文/リサーチ本なんですか? それともフィクションやSF本?

Ap:そうだなぁ、それよりも「コンスピラシー本」に近いものだと思うけど。

通訳:(爆笑)最近出版された本なんですか?

Ap:ああ、わりとまだ最近の本だよ。グーグルで調べてごらん。すごく興味深い本だから。で、あの本の大まかな内容というのは、月にまつわる神話というか、「地球の培養器としての月」という考えを述べたもので。
 月というのは、かいつまんでいえばそういう役割を果たしているんだよ。月によって地球の潮の満ち引きも生じているんだし、時間の測定にも月の満ち欠けが使われている。だから、俺たちは月の動きに従って生きているわけだ。で、月の周期にあたる28日間の中で、俺たちにはさまざまなことが起きる。それで、あの本の説は「われわれが知るこの月というのは人類のために造営されたもの、人類が現状どおりに棲息するために存在する惑星である」といった固定したアイデア/セオリーを打ち破って、何通りもの別のセオリーを導入するものだっていうね。「ほかにもこういう場所は何千も存在するにちがいない、月は無数に存在するんだ」って考え方だよね。
 で、そうした月のような存在は、スーパー・エイリアンたち、人類の文明を作り出した「超宇宙人たち」によって造り出されたものだ、と。

とても興味深いお話です(笑)。では次の質問です。本作は『オーキー・ドーキー・イッツ・ジ・オーブ・コンパクト・ディスコ』以来、久しぶりに〈コンパクト〉からのリリースですよね。もう少しだけその経緯などを教えてください。

Ap:そうだね、自然な流れだったよ。今回は俺たちとしても「〈コンパクト〉が出したいのなら、ああ、ぜひ!」って感じだったし。〈コンパクト〉との1枚めのアルバムは、「俺たちが〈コンパクト〉のために作品を作るとしたらこういうものだ」というのを提示する内容だったっていうのかな。
 だけど今回の新作は、そうした「規則」みたいなものにいっさい縛られなくてよかった。とくに4曲めの“ムーンビルディング 2703 AD”がそうなんだけど、あのトラックは曲が進むにつれてものすごく妙な感じになっていく。ほとんどジャズというのか、一部にダブまで混じってくる。だから「ひとつのミックス/音楽の混交体」として考えれば、ある意味すごいミックスなんだけど、そうは言ってもやっぱり最終的に多彩な要素を持つミックスの中にもテクノ・ビートの鼓動は一定してドクドク続いている。それに天使の奏でるような美しいストリングスだって聞こえるわけだし。うん、ほんと、これ以上、いうことなしだろ? ってもんだよ。

「ひとつのミックス/音楽の混交体」として考えれば、ある意味すごいミックスなんだけど、そうは言ってもやっぱり最終的にテクノ・ビートの鼓動は一定してドクドク続いている。

で、〈コンパクト〉そのものについていえば、そもそも俺たちとの相性は最高なわけだ。いうまでもなく、音楽作品のリリースを通じて彼らのことはとてもよく知るようになったし、それにトーマス(・フェルマン)は、アーティスト個人として2000年代初頭あたりから〈コンパクト〉と付き合いがあったんじゃないのかな?
 だから今回彼らとやることになったのは、古い友人に久々に再会して、そこでまたいい感じでウマが合った、みたいなもので、万事好調。それに〈コンパクト〉の連中もこのアルバムをすごく気に入ってくれている。うん、それは素晴らしいボーナスだよ。というのも、俺たちは――というかこのプロジェクトの進行そのものが、当初の予定よりもずいぶん遅れていたから。

通訳:〈コンパクト〉は、あなたたちをしっかりサポートしてくれている、と。

Ap:ああ、まったくその通り。ばっちり支援してくれてるし、それにこうした関係というのは、双方向に作用するものだから。

『ムーンビルディング 2703 AD』というアルバム名にはどのような意味、もしくはイメージが込められているのでしょうか?

Ap:それはさっき触れた本について話した部分ってことになるよね。オービアンズだとか、月は地球の培養器だとかいうアイデアとか。それにSF本をたくさん読んでいるような人間なら、彼らなりにSFな物語を作り上げることができる。べつに書物にかぎらずSF映画たくさん観ているってことでもでもいいんだけど。その手の本の書き手としては、フィリップ・K・ディックは非常に良い作家だ……。もちろん、いま言ったのはあくまでSF界のわかりやすい「たとえ」として挙げただけのことだよ。べつに彼(=P.K.ディック)がこのアルバムの参照点になってる、というわけじゃないんだ。それよりもこの作品ではさっき話した『フー・ビルト・ザ・ムーン?』って本、あれが大きい。

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リー・“スクラッチ”・ペリーはもうとにかく完全なる「天才」だったね。で、ミスター・ギルモアに関して言えば、彼は「閉じた孤高の人」って感じだったというか。


THE ORB
MOONBUILDING 2703 AD

Kompakt / ビートインク

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メタリック・スフィアーズ』(2010)でデイヴィッド・ギルモア、『ジ・オーブザーバー・イン・ザ・スターハウス』(2012)でリー・ペリーとコラボレーションを行いましたが、それらの経験が本作に与えた影響などはありますか?

Ap:そうだなあ……フブブブブブブゥ〜ッ・ブルルルルブブブッ!(と唇を震わせながら、考え込んでいる模様)どうなんだろう? そういうのって簡単には答えにくい質問というか、というのも、何もかもがお互いに影響・作用しているわけだし、波紋みたいなもので、何もかも誰もかもが影響しあうし、いま、君のやることだってすべてに影響を与えているわけだし(笑)。
 だけど、まあ、リー・“スクラッチ”・ペリーのほうが、実際に「誰かと出会った!」って体験だったといえるかな。というか彼と対面する前から、彼の音楽からもそういう衝撃は感じていたんだけど。対してデイヴィッド・ギルモアは、なんだかんだいっても「ピンク・フロイド」だったっていうかな。
 えー、ともあれ! 彼らと実際にいっしょに仕事してみた経験がどうだったかと言えば、「英雄視している人間には、(会うと幻滅させられるから)実際に会わないにかぎる」ってのはよく聞くフレーズだけども、そのうちのひとり──これはリー・“スクラッチ”・ペリーのことだけど、彼はもうとにかく完全なる「天才」だったね。で、ミスター・ギルモアに関して言えば、彼は「閉じた孤高の人」って感じだったというか。「(重々しい口調で)俺様はデイヴィッド・ギルモアだ」みたいなノリで(笑)。こっちはグウの音も出ないよな。まあ、彼に対して失礼にならないように説明したまでだけども(笑)。
 ああ、そうだ! つい先週の話だったんだけど、ピンク・フロイドの現時点での最新作を共同プロデュースしたユースから連絡をもらってね。彼は目下のところデイヴィッド・ギルモアの新作ソロの共同プロデュースみたいなことをやっているところで、そのデイヴィッドの新作曲のリミックスをいくつかやってみないか、と誘いを受けたばかりなんだ。

通訳:おお、そうなんですか。

Ap:ジャジャーン! ジャーナリストさんにはうれしい「ホットな」ニュースじゃない?

通訳:これは明かしてもいんですか?

Ap:ああ、べつにかまわないんじゃないの?

俺たちも成熟して、いまやこうしてさまざまな歌のエレメントをひとつにして、その上で映画めいたシナリオへとまとめることができるようになったわけだよ。

今回のアルバムのトラックは、かつてのジ・オーブのスタイルを踏襲するかのように4曲とも長尺ですね。

Ap:オールド・スクールに陥らないようにしたってことだよ!(※このスタイルはジ・オーブの古典的なスタイルなので反語的な冗談)。
まあ、こういう構成にした点について、現時点ではいっさい批判の声は上がってなくてね。といずれこのアルバムが一般に広まることで、将来的には何らかの批判もされるだろうとは思うけど、そうは言ってもこのアルバムは非常に好調だし、そのうちに俺たちの耳に入ってくるであろう批判の声が届く前の、いまのこの段階では、聴いた誰もが気に入ってくれている。素晴らしいことだ。
 で、アルバムの曲を長いものにしたのは意図的なものだ。あれらの楽曲をオーパス(クラシック音楽で使われる作品番号:opのこと)みたいなものにしたかったんだ。要するにクラシック音楽作品のそれだよね。4分台の曲だとか6分台の曲っていうふうに。これはダンス・トラックです、これはポップな曲です、という具合に切れ切れで表示されるものではなく、これはひとつの「オーパス」であり、トータルな音楽作品なんだ、と。
 だから俺たちも成熟して、いまやこうしてさまざまな歌のエレメントをひとつにして、その上で映画めいたシナリオへとまとめることができるようになったわけだよ。その「映画的」という点は、すでに君自身も指摘してくれた話なわけで。うん、われながら今回は巧みにやれたなと思う(笑)! そう感じられること自体、いまの音楽界においては「ナイスなボーナスがついてきた」ってことなんだけどさ。
 で、そうだなあ、あとはもう映画むけのいい音楽を探している日本の映画プロデューサー氏が声をかけてくれるのを待つのみっていうか。こっちは準備万端だからね、お待ちしてます! (冗談っぽい、うさん臭い客引きを思わせる口調で)「これ、いいでしょ? どうです? やってみません?」(笑)。

通訳:プロデューサーの誰かがこのインタヴューを読んでくれるのを祈りましょう!

さまざまな音楽的な要素、テクノからエキゾ/エスノ、ディスコからダブまでが1曲の中に詰め込まれており、まるでミックスCDを聴いているように驚き満ちていました。このような長いトラックを作っていくにあたって構成のようなものを決めて作っていったのですか? それともいくつかの断片のようなものをDJのように繋いでいく手法だったのでしょうか?

Ap:そもそも、これはすべてサンプリングから成り立っている作品だ。俺が言いたいのはそれだけだな。で、そこから君たち自身で回答を導き出してもらいたいな。それくらいシンプルな話だよ。
 まあ、サンプリングだという点は、どれも非常に巧妙に隠してあるし、俺たちは何もかもすっきりと小綺麗にまとめていったわけだけども。

通訳:なるほど。アルバムの制作にこれだけ長い時間がかかったのも、道理なわけですね。

Ap:そうそう! ほんとそう。4年もかかったっていう。

ポップ・ソングの構成というのは「ヴァース/コーラス/ヴァース/コーラス/コーラス/コーラス/フィニッシュ!」みたいなものだけど、対してこの作品というのは、なんというか、すべての要素が思うままにいろんな方向に向かっていき、しかも好き勝手に戻ってくるみたいな構成で(笑)。

今回、ビートの組み方や音色が(とくに2曲め“ムーン・スケープス2703 BC”など)、これまでのジ・オーブとはちがう印象を受けました。新しいビートを創るということを意識されましたか?

Ap:っていうか、それはつねにそうなんだって! 俺たちは絶対に同じサウンドは繰り返し使わないし、トラックごとに別のサウンドへ、いや、サウンドばかりかBPMや楽曲の構成すら変えていく。その変化というのも君が前の質問で指摘してくれたことだけども。
 で、まあ、この話は今回のアルバム向けの取材で、毎回出てくる一種の「繰り返しのテーマ」みたいなものになっていてね。ひとつの曲の枠組みの中に、さらにまた別の構成が入れ子のように含まれているんだ。ポップ・ソングの構成というのは「ヴァース/コーラス/ヴァース/コーラス/コーラス/コーラス/フィニッシュ!」みたいなものだけど、対してこの作品というのは、なんというか、すべての要素が思うままにいろんな方向に向かっていき、しかも好き勝手に戻ってくるみたいな構成で(笑)。だからなんだよ、曲の尺がいちいち長いのも。それ以外に理由はないし。自分たちでもこういう作品をやっていてハッピーだし。同時に人びとも大いに喜んで聴いてくれてる気配もあって。
 うん、俺たちとしてもこの作品でいい成果を達成できたと思っているんだよ。(批判が出てこない)いままでのところは、ってことだけども。

4曲め“ムーンビルディング 2703 AD”はどこかモンドでエキゾチカな雰囲気から始まり、まるで世界旅行と時間旅行と音楽旅行を同時にするような感覚を味わいました。まるで「アンビエント・テクノのマーティン・デニー」のような雰囲気でした。

Ap:それは素晴らしい褒め言葉だね。

この曲を作るうえでコンセプトのようなものはありましたか?

Ap:うーん、俺とトーマスとの作業の仕方は、とても流動的で自然に流れるようなものなんだよ。俺たちの場合はあれこれ話し合ったりすることなく、とにかくやってみる。だから、俺たちふたりはいったんスタジオに閉じこもるとほかの誰も寄せつけなくなる。ガールフレンドも友人連中も消える。すべて追い払ってしまうんだよ。で、食べ物なんかもスタジオ内に持ち込んで、そうやって文字どおりスタジオに5日間住み込みで、ひたすら作業する。
 それはものすごくハードな作業だよ。俺たちは、スタジオに詰めている間は大体朝10時か11時ごろに起きて作業を開始して、午後2時ごろに昼食のためのブレイクを挟んで4時ごろにスタジオに戻る。そこから、サッカーの中継が混じることもあるな。じつは俺たちはどっちも大のサッカー・ファンなんだよ。だからテレビでサッカーの試合を観戦したりもする。ってのも、スタジオにいる間は何もかもから切り離されているわけで、ああやってサッカー試合を見ることで頭のスウィッチをしばし切ってリラックスできるし、テンションの高い状態から離れられるからね。
 で、またスタジオ作業に戻り、夕食をとった後に午前2、3時ごろまで仕事を続ける。そうして再び朝が来て、前の日と同じ作業パターンを繰り返す。で、作業の3、4日めあたりには、それまでの成果を聴いてもらうべく、ほかの人間をスタジオに呼ぶこともあるかな。俺たちはいつだってこういうやり方で作ってきたんだ。そうだなあ、かれこれこういうプロセスを20年近く続けてきたことになる。だからコンセプトっていうのは、俺たちが1日くらいをかけて何かに取り組んでいるうちに徐々に明らかになってくるようなものだ。しかもそこから実際にレコーディングするのに1年くらい費やす。

俺たちふたりはいったんスタジオに閉じこもるとほかの誰も寄せつけなくなる。ガールフレンドも友人連中も消える。文字どおりスタジオに5日間住み込みで、ひたすら作業する。

 このアルバムは完成させるまでに非常に長い時間がかかった作品だし、じつは、はじめた時点で手元にあったオリジナルのパーツを、俺たちは取り去ってしまったんだよ。そうした箇所は消えてしまって、もはや存在しない。そもそものアイデアはガイダンス程度というか、絵を描くときに近いっていうのかな。最初に描いた素描はあるわけだけど、その上に絵の具を重ねるからスケッチは見えなくなってしまう。だからほんと自分自身に見えているものの大まかな輪郭/ガイドラインに過ぎないんだ。ところがそうやって続けていくうちに、俺たちふたりにはやがてより大きな全体図が浮かび上がってくる。どうだ、参ったか! ってもんだよ。

日本盤にはボーナストラックが“ムーン・クエイク 1””、“ムーン・クエイク 3 ”の2曲が収録されています。これはアウトテイクのようなものでしょうか?

Ap:いいや、ちがうね。ってのも、俺たちはライヴでたくさんのミックスをやる。便宜上、番号をつけて呼ぶことにすれば、“ムーン・クエイク 2”だの“-4”、“-7”といった具合に、このいわゆる“ムーン・クエイク”・ミックス群がいくつも存在するんだ。それこそ35秒のものだってあるし。
 というわけでいろんな類いのサンプルを、エイブルトン上で曲の最後か何かにまとめて突っ込んで、俺たちはそのままレコーディング作業を続行していくことにした。自分たちでも何が出てくるかわからない状態のまま、いま言った特定のサンプル群のどのパーツが顔を出すか見てみることにした。“ムーン・クエイク”・ミックスの一部は、そういう過程の中から生まれたものなんだよ。要するに完全なるインプロってこと。コンピューターの能力を試すべくやってみた、そういうものだね。

では、“ムーン・クエイク 2”も存在する?

Ap:存在する……のかもしれないよ? あー、うん、俺には聴いた覚えがあるね。

ここ2、3年で何度かフランスを旅したことがあったんだけど、たぶんあの国にはいま現在でベストなクラブ・シーンが継続中だと思う。

これまでのジ・オーブは、作品ごとに「イギリス的」か「ドイツ的」といった音楽的な印象がありましたが、今作はイギリス的な雰囲気の中にドイツ的なビートが絡むように感じました。今回のアルバムではどんな景色をイメージしましたか?

Ap:そうねえ、「月世界に暮らす人びと」ってものじゃないの? で、それもまた、いま君が言ったような「ドイツ的/イギリス的」って考えから離れようってことだったんだろうし。
 そうは言ったって、俺たちはどちらも、それぞれにドイツの音楽から、そしてイギリスの音楽から影響を受けているのは間違いなくて。ただ、一方で俺はレゲエ・ミュージックから強く影響を受けたし、対してトーマス(・フェルマン)はジャズから大きく影響された。かつ、俺たちはどちらもアメリカ産ヒップホップを愛してもいる。それに俺はもうちょっとクールな領域も好きで、たとえば日本からは実験的なバンドがいくつも出て来たし、彼らはすごく興味深いと思っているよ。
 それにここ2、3年で何度かフランスを旅したことがあったんだけど、たぶんあの国にはいま現在でベストなクラブ・シーンが継続中だと思う。だからフランスの連中はドイツを越えたってことなんだけど、なのに誰もフランスのいまのクラブ・シーンについては語ってないっていう(笑)! それって奇妙な話だよな。だけど、俺たちにとっての最近のベストなショウ、過去3年間でのベスト・ギグと言えば、ひとつはパリ。もうひとつはリヨンで行ったライヴのふたつだったね。うん、彼らは素晴らしいよ。

今回のアルバムには不思議と「50年代」の雰囲気を感じました。50年代のSF映画やモンドなエキゾチックな電子音楽が現代のテクノでよみがえったような。50年代的な雰囲気を意識されましたか?

Ap:いや、それはなかったね。ただ、潜在意識の中ではそういうことは起きるものだろうっていう。ってのも俺たちはどっちも50年代生まれだから(笑)。それで充分な答えになってるんじゃないの?

通訳:なるほど(笑)。

Ap:うん、っていうか、見事な回答だよな。以上。

サンプリングという行為そのものを理解できるか? っていう。ミュージシャンの多くは、サンプリングが何なのかをまったく理解していないからね。

今回のアルバムでもサンプリングを多用されている、ということでしたが──

Ap:そうなのかもね〜(笑)?

先ほどそうおっしゃっていたので、サンプリングを多用したアルバムと考えることにして(笑)、サンプリングはサウンドにどんな効果をもたらすものですか?

Ap:サウンドそのものへの効果は極めて小さいものだよ。だから、サンプル音源の中からちょっとしたビートや細かなノイズだけを選び出して、それらをもとに俺たち自身のオリジナルな音楽を作り出していくわけだから。ドラム・キットを所有してドラムを叩きまくるってのに、ちょっと似てるんだ。要するに俺たちは細かなサンプル群をバシバシぶっ叩いて、そこから自分たちの音楽を作っている。

通訳:サンプリングからまったく別の音楽を作り出すというのは、気の遠くなるような作業ですね。

Ap:いや、だけどもサンプリングに長けた人間にとっては、あれはすごく有用なテクニックなんだよ。やるのが難しいかどうか云々といった話ではなくて、とにかくサンプリングという行為そのものを理解できるか? っていう。ミュージシャンの多くは、サンプリングが何なのかをまったく理解していないからね。で、そういう状況は俺としては大いに好都合! ってもんだ。うん、ほかの連中が無知なままの世界ってのは、俺は大歓迎だ。
 だからってなにも「サンプリングを使いこなせるからその人間は賢い」って言いたいわけじゃないんだよ。ただ、ほとんどの人間は「ビート」が何かをわかっちゃいないからね! 彼らはテンポを維持することすらできないし、したがって、彼らはDJをやることもできない。というのも、DJをやるときはふたつの異なるトラックをミックスするわけだし、テンポがズレてたらそれすらできないだろ? で、俺はたまたま、そういうことができるスキルを持った人間のひとりだっていう。
 だから俺たちがスタジオで作った音源のマッシュアップをやってみるときにしても、俺たちはその場でさまざまなリズム群を作り出すことになるわけだけど、ふたりとも自動的にわかるんだよ。同じピッチと同じチューニングへと、すぐに落ち着くことができる。というのも、俺たちはその面をしっかりとモノにしているから。
 だから(薄笑い)、4小節くらいのループを引っ張ってきて、それをサンプリングするみたいなお手軽なものじゃないってこと。俺たちがやっているのは、それこそミリ単位の、1秒程度の微小なサンプル音源っていうレベルの話だし、そこからその音源を別の何かに置き換えることだってできるし、もっと大きな何かへと発展させることも可能なんだ。ほんの小さい、短いサンプル音源がハイハット・サウンドにまで化けることだってあるんだしね!

4小節くらいのループを引っ張ってきて、それをサンプリングするみたいなお手軽なものじゃないってこと。

通訳:それは辛抱強い作業ですね……。

Ap:辛抱強さというのはいい性質だよ。で、まあ、基本的に俺たちは、あらゆる類いの音源をベースにして、それらをワイドなハイハット・サウンドにまで膨らませていった。だから、(サンプリングを使えば)何だってやりたいようにやるのが可能だ。とはいってもいま挙げたのはあくまで「例」であって、サンプリング・ソースは何も音楽作品に限った話じゃないしね。日常的なありふれた音からだって、サンプルをやることはできるんだよ。

最後の質問です。このアルバムに限らずですが、おふたりが長く共同作業をしていくうえでコツのようなものはありますか?

Ap:それぞれがちがう国で暮らすってことだね。

通訳:しょっちゅう彼と顔を付き合わせないですむ、という(笑)。

Ap:その通り! キモはそういうこと(笑)!

interview with Satoshi Tomiie - ele-king


Satoshi Tomiie
New Day

Abstract Architectur

House

Tower HMV Amazon

 ハウス・ミュージックの生みの親、フランキー・ナックルズにその才能を認められ、ハウス・シーン興隆の時代から現在まで世界の第一線で活躍しつづけるサトシ・トミイエ。90年代に世界中のハウス/R&Bファンから熱い支持を受けたデフ・ミックス・プロダクションズで不動のキャリアを確立した彼は、その豪華でソウルフルな表現から離れることをみずから選び、脱皮するようにスタイルを変化させてゆく。
 日本人でありながら、黒人文化から派生したハウス・シーンの中心で活躍した彼にとって、歌、とはなにか。なぜ徹底的に音を削ぎ落としてゆくのか。PCでのDJからレコードに回帰して見えてくるものや、いまだからこそアナログ機材に向き合うおもしろさ──。先日発表されたばかりのセカンド・アルバム『New Day』について、そして現在のハウス・シーンの状況も含めた幅広い内容について訊ねることができた。

東京出身のDJ、プロデューサー。1989年、故フランキー・ナックルズとの伝説のコラボレーション作「Tears」でデビュー。NYへ渡りDEF MIX PRODUCTIONS の一員としてハウス・ミュージックの礎を築き、ロバート・オーウェンズなどのアーティストとのコラボや、『Renaissance: The Masters』シリーズなどのミックス作品の発表、坂本龍一、デヴィッド・ボウイ、マイケル・ジャクソン、マドンナ、マライア・キャリー、U2ら有名アーティストへのリミックス・ワークなど、25年を超えるキャリアをつねに一線で活躍してきた。2015年、セカンド・アルバムとなる最新作『New Day』をリリースする。

いまは何でもできるから、逆に何でもできないほうに行ったのかもしれないです。

今回アルバムを聴かせていただいて、以前からの印象もあるのですが、ものすごく削ぎ落された曲作りを追求してらっしゃる印象があり、またシカゴ・ハウス的な雰囲気も感じました。収録曲のリミキサーにシェ・ダミエ(Chez Damier)やロン・トレント(Ron Trent)、DJスニーク(Sneak)といったシカゴ勢も起用していますし。でもデフ・ミックス・プロダクションズ(Def Mix Productions)に加入してバンバンやってらっしゃった頃のトミイエさんとは対極的な音ですよね。ただ、その当時もシカゴ・ハウス、というものも存在していたわけで……。この当時のトミイエさんにとっては、シカゴ・ハウスというのはどんなふうに聴こえていたのでしょう?

サトシ・トミイエ(以下S):たぶん、ちょうどこのときは、そういう流れが80年代の中盤から終わりにかけて盛り上がったあとだったので、ちょっと違うものをやりましょう、みたいなところはあったのかなと。時代的にも、すこし音を重ねる感じのプロダクションが流行っていましたよね。いろんなNYのリミキサー、たとえばマスターズ・アット・ワーク(Masters At Work)でも、ちょっと音が重なった感じで、すごいメロディがいっぱいあって。あと(シカゴ・ハウスに対して)こんなにシンプルでいいの? みたいな気持ちでしょうか。じつはそっちの方が難しかったりするんですけどね、ミニマルの方が。でも作っているほうは、時代的に考えても機材がいっぱい使えるようになって、かつそれで一日50万もするスタジオで作業をするのがわりと普通になるなかで変わっていったんじゃないでしょうか。

ただ、いまのトミイエさんはひとつひとつの機材やハードウェアと向き合って、シカゴ・ハウス的というか──たとえばラリー・ハード(Larry Heard)がシンセとか、打ち込みのものでしかできない美学みたいなものを追求していったような方法をとっておられるな、という印象があります。

S:いまはDAWだから、回しっぱなしにして、適当にやって、「いまのよかったな」ってところを取って、そこから曲を構築するみたいなことができる。以前もテープでできたけど、ループとか、その場でサンプラーで録って、とか、えらく面倒くさかった。だからそういうところよりは音のレイヤーなんかで違いを出そう、というほうが多かったですね。たぶん、そういう意味では使える機材にも左右されているのかもしれない。
で、いまは何でもできるから、逆に何でもできないほうに行ったのかもしれないです。制限があった方がチャレンジしようとするので。たとえば、シンセひとつでどこまでできるか、とか。実際はシンセひとつだけじゃなくて、DAWがあって、そのなかでいろいろできるから、なにかを中心にしていろいろ足していこうというようなこともできるし。で、あとはやっぱりこう、マウスで編集したりだとか、すごく感覚的ではないし。

そう、その、「感覚的」っていうところに最近は向かってるのかな、というイメージがすごく強いですね。

S:そうですね、もともと感覚的ですけどね(笑)。で、たとえばマウスだったら1回に1個のパラメータしか動かないのに対して、手だといくつか同時にできたり。いわゆる偶然性みたいなものを、いまはどんどん記録できるので。音をどんどん足さなきゃならないんじゃないかって迷っている時期もあったんですよ。この少ない機材でいいのか、みたいな。でもなるべく音を削ぎ落す方向に行って、それがいまはもう、迷いがなくなった。最初のアルバムが出て、ちょうど15年経ったんですけど、その間にどんどん音が薄くなっていったから。で、ひとつひとつの音をこう、立たせるほうにね。

今回のアルバムは、家で聴くと優しい印象もありますが、大バコで機能する鳴りを考えてらっしゃるなと思ったんですよね。トミイエさんはもう何千人規模の場所でのギグも多いですから、じゃあどういう音が鳴って気持ちいいのか、とか、そういう点をすごく意識してらっしゃるなあとは感じたんですけれど。

S:まあ、そうなんですけれども、音楽によって全部が大バコ対応ではないから。とはいえミキシングとかエンジニアリングは、もう、一生勉強なので。いまでも「こうすればいいのか!」という発見はあるし。僕はエンジニアリングの教育は受けてなくて、人がやっているのを見て、「ああ、こうやってやるのか」みたいに学んでいったので、けっこう適当なところもあるんです(笑)。


ミキシングとかエンジニアリングは、もう、一生勉強なので。

そのあたりが、いま楽しい、っていうことなのですかね?

S:そうですね、楽しい。またそうやって突き詰めると、アナログのアウトボードがいっぱい欲しいな、とか思ったりね。(実際は)プラグインでほとんどやってますけど、アナログをわっと並べるみたいなのも楽しそうだな、とか。でもメンテも大変だしね。メンテは大変だよ、もう、暑くなるしね。

Instagramで、ウーリッツァを弾いてらっしゃいましたよね。ウーリッツァとかもけっこうメンテナンスとかって大変ですよね?

S:ローズも以前から持ってるんだけど、ウーリッツァのほうがリードが折れやすいので、それもあって最近までゲットしなかったんです。いまでもパーツは買えるし、パーツ自体大した金額ではないんですけどね。アンプも含めて基本的な構造はシンプルなので直そうと思えばけっこう自分でもいけそうですけど。

今回ウーリッツァでソロを弾いたものも入れてらっしゃいますよね。“Odyssey”とか。

S:“Cucina Rossa”はリアルなウーリッツァ弾いてますが”Odussey”のソロには間に合わなかったので、あれは、ヴァーチャル音源。手で弾いてますけどね。でも、そう言ってしまうと結局のところはプラグインでいいじゃん、っていう話になるんだけど、実機はやっぱり楽しいので。そういうところですね。突き詰めれば、できるかできないか、ではなく、楽しいか楽しくないか、というところにいってしまいますよね。

“Cusian Rossa”でチェリストの方に多重録音してもらったとのことですが、そういう手間というのも楽しいというか、それがおもしろいという部分もあるということですね。

S:もちろん。以前ならオーケストラで、「せーの!」ってやってたことを一人のミュージシャンでできる。すごいなあと思いますね。しかもスタジオは3~40年前のスタジオで、そのときあったのと同じ機材でね。まあ、ああいうことができるのはPro Toolsがあるからなのだけど。
でも、当時やろうと思わなかったのは、同じ作業をするのにテレコが3台とか4台とかいるから、 作業効率的に考えてむしろオーケストラ25人雇った方が早い、みたいな。そういうテクノロジーの進化とこれまでにある技術の融合というところが、まあ、おもしろいかなと。で、いろいろできるからこそ、音がどんどん減ってゆく。

生音を今作に入れたのは、そのストリングスだけですか

S:結局そうですね、他にやってないですね、たぶん。

あとはもう、シンセと、ドラム・マシンと。

S: そうそう、そうですね。


やっぱり自分が楽しめないものは、人に対しても説得力がないと思うから。

トミイエさんを昔から知ってらっしゃる方には、デフ・ミックス・プロダクションズ(Def Mix Productions)ってピアノの印象がすごく強いので、トミイエさん自体にもピアノのイメージがあるかと思います。でも、ピアノを使った作品ってあんまり作っていないですよね。

S:まあ、一回やったからいいかな、っていうところがあるかな。

ダンス・ミュージックにおいて、ピアノの使われ方のパターンがけっこう決まってきてしまっている……っていったら変なんですけれども、そういうところにチャレンジ性がないからやらないのかな、って思いました。

S:そうですね、その通りです。

なんかもう、バンバン、と(和音を)打って、バンバンと盛り上げて、軽くヒットになってしまう。そういうことはできてもやらない、っていう話ですよね。

S:たぶん、自分自身アガらないと思うので。それをやってもね。

では基本的には自分自身がアガることしか、やれないっていう?

S:まあ、じゃないと音楽がよくならないと思うので。やっぱり自分が楽しめないものは、人に対しても説得力がないと思うから。「あんまり美味しくないと思うけど、どうぞ」みたいな(笑)。作っている人は「まあまあかな、でもみんな好きらしいしどうぞ」みたいな感じだとね。

でも、トミイエさんも感じてらしてらっしゃると思うんですけれど、多くのクリエイターが、売れるだろうからっていう要素を、「これが売れるよね」っていう感じでつくっていたりもしますよね。

S:いや、どうかなあ

純粋に楽しんでやってると思います?

S:EDMとかで売れてるものを作る人たちは、あの曲を作るのがすごい楽しいんだと思いますよ。

ああ、でもスティーヴ・アオキ(Steve Aoki)とかデヴィッド・ゲッタ(David Guetta)とかも、これからはディープ・ハウスをやる、なんて言っていたという話も聞きますよね。

S:飽きたんじゃない(笑)? 新しいディープ・ハウスっていわれているものを聴いたけれど、EDM延長線上にある感じで、少し地味になったヴォーカル・ハウスというか。そういうやつを長く聴いている人が聴くと、なにこれ? みたいな。

あの、〈スピニン・レコード(Spinnin’ Records)〉から出ている曲が、「ハウス」って書いてあるけど、音はEDMじゃん、っていう?

S:そうそう。だから、たぶん、ブランドを変えてるだけで。

私はそれが、売れつづけたいのかなっていうふうにみえちゃうんですよね。

S:まあ、それはそうでしょう。でも、トランスをやっている人が、「俺の音楽はトランスではない」って言っているようなこともあると思うんですよね。ずっとトランスで終わりたくない、っていう。以前に比べたらぜんぜん人気がなくなってきてるから、そう言われたくないというのもあるんじゃないかな。
あとはもう、やってて飽きたとか。まあ、やってる音楽は同じで、レーベルだけ違う、ってことじゃないかな。こう、ステッカー張り替えてね。


いつの時代もあることだけど、「ハウス」だと売れないけど「テック・ハウス」って付けると売ける、とかね。

まあ、そういう感じは言えますよね。ハウスって言った方が売れるんじゃないか、っていう。

S:そうそう。なんか、いつの時代もあることだけど、「ハウス」だと売れないけど「テック・ハウス」って付けると売ける、とかね。〈Beatport〉とかのタグ付けで。それで今度は「テック・ハウス」じゃなくて「ディープ・ハウス」という名前が売れ線ということになると、同じ音楽なのに「ディープ・ハウス」って付ける。

そうですね、試聴してても、「ディープ・ハウス」と「ハウス」、ジャンル分けで聴いても、なんかもう意味がわからなくなってくる(笑)。

S:そうそう。マーケティングがかなり絡んでくるから。でも音楽そのものはそんなに変わらなかったりするので。

そうなんですよね。トミイエさん自身としては、タグ付けするとしたら今回のアルバムはどれにしますか?

S:もう、昔からずっと、「いまどんな音楽やってるの?」「ハウスです」みたいな。結局は「ハウスです」って言ってますね。〈Beatport〉でもそうしていると思いますよ。でも、たとえばマーケティングにおいては「ディープ・ハウス」にしろとか、そういうのはあるかもしれないですね。

私はタイトル曲の“New Day”が本当に好きなんですよね。10年前とかに主流だった、まあいまでも私が聴いているUSハウスとかはそうですけれど、こう、歌ががーって盛り上がったら同じようにトラックが盛り上がって、という歌ものハウスとは対照的で。“New Day”はヴォーカルにしても、歌い上げるというよりはちょっと抑制されたというか、すごく繊細というか。で、トラックもそれに合わせていっしょに盛りあがっていくというよりは──

S:淡々としている。

ええ、逆に熱を冷ましていくことで美意識が生まれていくというような。本当に、トミイエさんは歌ものがお上手だな、と思うんですよね。

S:じつは、そんなに好きじゃないかもしれないですね。歌を作るのが。

そうなんでしょうね、って思うんですけれど。

S:(笑)


ヒップホップのときがそうだったんだけど、やっぱり、文化から入っていかないと簡単に理解できないような気がして。

その、歌っていうものに熱を入れすぎてないと言うと言いすぎかもしれませんが、歌をひとつの楽器のような解釈で考えていらっしゃるから、ああいうバランスができるのかなって思っていて。

S:そうです、その通りです。歌物は、たとえばソウルフルな歌物とかも過去にはやってたんですよね。でも、そういうのが実際にできる/できないではなく、なんて言うのかな……、ちょっと文化的な問題もあるから、ブラック・カルチャー的な。音楽が好きでも、自分がやるとなるとちょっと違うかな、というところもあるし。いわゆる「ソウルフル・ハウス」みたいなね。昔はけっこうあったでしょう? 黒人白人問わず、ソウルフルな歌のやつで。

もうTraxsourceでいまでもバンバンだしているような。

S:そうそう。で、ヒップホップのときがそうだったんだけど、やっぱり、文化から入っていかないと、簡単に理解できないような気がして。たとえばコミュニティ感とか。ヒップホップなんて本当にね、地元のあんちゃんが集まって、ムーヴメントを作り出したというようなところがあるでしょう? で、音はカッコいいけれど、そういうところで最終的には入っていけないのかなっていうのもあって、ヒップホップからハウスにいったんです。はじめはヒップホップでスクラッチやってたのね。それで、ハウスに出会ったときに、こっちの方が合ってるかも、って思った。それは、もっと音中心というか、なんて言うのかな、匿名性があったからというか。解ります?

わかります、もっとこう、ひとつの人種だったり文化だったりに固執していないような感じというか?

S:なんか、自分的に近いような気がして。

教会で歌ってる、みたいなのや、ポジティヴに生きよう、とか、そういうところで自分は生まれ育っていない、という?

S:そうそう。だから音楽そのものにとどまらない、ヒップホップのカルチャーそのものが自分の文化じゃない気がして。自分は生まれも育ちも東京の郊外でヒップホップのコアな文化とはもちろん無縁(笑)、どんなに音がカッコいいと思っても、音の先にあるカルチャー的なものは遠くにいるしやっぱりちょっとわかんないよな、って思っていました。黒人音楽への興味や憧れからダンス・ミュージックに入ってきてるんだけれど、最終的には、そこのコアなカルチャーの一員ではないので。ただそこから生まれてきた音楽や方法論とかは好き、っていうことなんだけど「これはもしかして、俺のやることではないかもしれない」っていうのは、やってみてわかったことです。少しずつエレクトロニックなほうに行ったのはその反動ですね。

ただ、最近の〈Beatport〉でウケている、たとえばテール・オブ・アス(Tale Of Us)みたいな感じの──私はああいう世界観は好きなんですけれども──

S:自分も好きですけど、音楽的にはロック方面から来てる感じしますよね。たとえば、〈ライフ・アンド・デス(Life & Death)〉とか。あとはテクノとかでも最近人気な人たち。言ってみればプログレッシヴ・ハウス的な。

マセオ・プレックス(Maceo Plex)とか?

S:マセオ・プレックスもそうだし。文脈的にいうなら、ダンス・ミュージックといっても、いわゆるソウル・ミュージック系ではなくてどっちかというとロックだと思うので。だからビートが似てて、使ってる楽器も似てるけど、いわゆるソウルフルさとは違う印象。

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少ない音でいかにおもしろくするか、っていうほうに行ってますね。「グルーヴ感、命」みたいな、方向なんですけど。


Satoshi Tomiie
New Day

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そうですね、でもその“New Day”に関しては、黒か白かというよりはなんか違う──わからないんですけれど、黒いという印象ではなかった。

S:あれもヴォーカリストがロックの人だし。ソウルフルなものというよりも、なんかこう、ああいうヴォーカルが、当時作ってたものに合ったので、ばっちりかな、って。

そういうロック的な歌で、“New Day”みたいなヴォーカルものをつくるっていうことに対してはどうですか。バンバン作っていこう、っていう感じでもあまりない?

S:ない。ないっすね(笑)。

やっぱり、インストをこう。

S:インストで、より、音を少ない方向に。まあ、少ない音でいかにおもしろくするか、っていうほうに行ってますね。「グルーヴ感、命」みたいな、方向なんですけど。

ただ、やっぱりフロアで機能するグルーヴ感っていうのを作るとなると、どうしても足したくなりますよね。

S:そうですね、その通りです。

それを、足さずに足さずに、いかに作っていくかっていうことですね。

S:まあ、フロアで機能するだけのグルーヴは残しつつ、っていうことです。そこがメインで。で、無駄なものじゃないんだけど──あってもいいんだけれど、なくてもいいものってありますよね? そのなくてもいいものを削ぎ落していったときに、何ができるかなっていうことも考えているかもしれません。まあ、たとえばドラム楽器。自分の作った曲のなかでも「あれ、これってこの3トラックだけ聴くとカッコいいな、で、この、これとこれ、この3つのトラックを足すと、ぜんぜん違ったグルーヴ感だな」って、そういうのがあるでしょ。その3トラックで聴いているグルーヴ感みたいなところをちょっと延ばして、そしたらどこまでできるかな、みたいな。そういうことがおもしろいなって思います。逆に、機械でいろいろできちゃうから、音が少ない方が一音一音が立っていく。そっちのほうがおもしろいなあって思わないですか?
本当に、何でもいいから作れ、っていうのは簡単だから。ループとかそのへんにいくらでも落ちてるし、できあいのものもいっぱいあるし。音なんて、前みたいに一生懸命作らなくてもいいし。だったらね、逆にそういうほうがやってておもしろいわけじゃないですか。
でもアルバムに関して言えば、「ダンスフロアで機能する」という、自分のやってきた音楽の前提が見えるものではありますね。曲と曲がフロウするように、という。DJセットでやる場合も、1曲掛かって、その一方でぜんぜん関係ない曲が掛かって、ってなっちゃうと、踊ってるほうも踊りにくいしね。それを自分の作品でやるには、こうかな、って。

えっと、アルバムの中でもアシッド音を? ええとTB-303、いまはTB3を使ってらっしゃるんですかね?

S:TB3持ってないです。TB303昔から持ってて当時から使ってますけど、アシッド音はSH-101でもけっこう近い音出せるし、あと、Jupiter-8でもやったし。いろんなので出せるからいろんなシンセでやってます。


当時最初聴いたときに、なにこれ、延々と同じシンセが鳴ってて、ドラムがときどき出たり入ったりして、で、12分とかあるでしょう? あの頃に聴いて「ああ、すごいな」と思った印象があって。

12年に〈Systematic〉から出されてた“Straight Up”を聴いたときも思ったのですが、すごく上品で洗練されたアシッド・ハウスを作られている印象があって。トミイエさんにとってのアシッド音って、どういう位置づけなのでしょう?

S: DJピエール(DJ Pierre)の〈トラックス(TRAX)〉のやつとか(※)、当時最初聴いたときに、なにこれ、延々と同じシンセが鳴ってて、ドラムがときどき出たり入ったりして、で、12分とかあるでしょう? あの頃に聴いて「ああ、すごいな」と思った印象があって。
※フューチャー(Phuture)/“Acid Trax”

あ、それに対しての衝撃みたいなものは、もちろんあった、と。

S:もちろん。最初は何がカッコいいのかぜんぜんわかんないぐらい「なにこれ!?」 みたいなところから入っていって(笑)。逆にまったく新しいスタイルのものって、そういう反応もあると思うんですよね。で、アシッド・ハウスもいろいろあるから、いろいろ聴いていくうちに、あ、なるほど、ってなんとなく文脈が見えてきました。たぶんTB-303を買ったのは、二束三文、3万円しなかったような時代、80年代だったような気がしますが、その時から持ってはいても、やっぱり打ち込むの大変だし、MIDIもついていないし、シンクがめんどうだし、みたいなところもあって。SH-101と同時にスタジオには置いてあったのですが、長い期間放ったままでぜんぜん使わなかったですね。

最近TB3などのAIRAシリーズが出ましたが、シンクがしやすくなりましたよね。先日Rolandのスタジオにも行かれたみたいですが、どうですか? 実際に触ってみて。

S:(AIRAシリーズは)いくつか持ってますよ。System-1と、TR-8を買いました。TR-8はアップグレードすれば1台でドラム・マシーン4台分の音が出て便利だし、いろいろ機能がついていて、デジタルだからあたりまえだけどメンテナンスしなくていい。自分が持っている909より音がシャキッとしているんだけど、たぶん、909の実機も新品を買った時点ではあれに近い音がしたんだろうと思うんですよね。30年も経っていると、コンデンサーとか駄目になりますからね。自分のTR-909はかなり「枯れた」音がしてましたが、いまメンテナンスしてもらっているので、帰って来たときどんな音になってるか楽しみですね。TR-8とかはライヴとかで使えたらいいなとも思っています。

そういえば、7月にパリでケリ・チャンドラー(Kerri Chandler)といっしょにDJをやりますよね。

S:やりますね。

ケリ・チャンドラーは、最近はあまり日本には来てないのですが、以前来日していた際はブースに機材をならべて、DJ中にキーボードを弾いたりしていました。

S:うん、やってましたね。

で、今度いっしょにされるということで、ライヴという話もありましたけれど、DJ中にたとえばそういった、ビートとシンクできるAIRAみたいなものを使って、ぱっとしたインスピレーションをDJに組み込むというのは考えてらっしゃいますか?

S:DJに組み込むというよりは、やるならちゃんとライヴでやりたい。きっとDJ中にやると中途半端になってしまうので。DJをコンピューターでやって、っていうだけならば可能かもしれないけど、レコードもかけてとなると、「ああ、レコード終わっちゃった」みたいになってしまいそうで(笑)。ライヴでやることについては考えています。アルバムの曲でもいいし、またまったく別のちがう曲を用意してもいいし。でもライヴを、聴く感じの場所ではなくダンスフロアでやるならば、もう少しそれに対応した曲を新しく作ったほうがいい気もします。


全部(ライヴを)ハードウェアでやったらおもしろいかも、という話をしてます。

ビートにエッジが立っている、という感じの?

S:そうですね、ダンスフロア対応の、グルーヴ的なものを意識した曲。あともうひとつ考えてるいのは、イビザに住んでる友だちのトゥッチーロ(Tuccillo)が機材オタクで、ほんとうにハードウェアが大好きみたいで、たくさん持っているから、そんな彼と、全部(ライヴを)ハードウェアでやったらおもしろいかも、という話をしてます。そのための曲を作って、ハードウェアだけでライヴをやろう、っていう。
でも、またさっきの話に戻るけれど、シンクの問題という点だけでも、ハードウェアが前より使いやすくなったと思いますね。昔はバッチリ合わなかったから。シカゴ・ハウスのレコードとか聴いていると、ずれていくでしょ? たとえばあの、リル・ルイス(Lil Louis)“フレンチ・キス”だと、フィルインが曲のあいだじゅう、ちょっと遅れて鳴ってる。あれはあれで、味、なんですけどね。ただ、いまはコントロールが簡単になったから、ハードウェア使っても、そういうストレスが少ないからいい。メンテナンスしてるあいだに、「あ、今日一日終わっちゃった」で、明日になったら「もういいか」みたいなことが、やっぱりありましたから。

実際にはいま1曲にどのくらいの時間を使っているんですか?

S:時期的には2年経っているのもあるし、そうでないのもあるし、もっと長いのもありますね。やったりやらなかったり、あと、やってみて、うーん、やっぱりちょっと置いておこうって放置して、何ヶ月たってからまたやる、みたいな。だから、実働は3日程度かもしれません。逆に、短い時間にたくさん作る、という方法も、ちょっとちがった方向でおもしろいかな、とは思うんですけどね。ぱぱぱっと作れる、熟考していない曲。早く作れる人は、本当に早い。グティ(Guti)とかもすごい早い、音質とか、エンジニアリングとか、まったく気にしていないから(笑)。早いから数多くの曲ができるし、そうなるとたくさんリリースしたくなる。でも、そんなにリリースもできないから、結局ライヴや自分のパフォーマンスでしか使わない曲が増えていく、っていう。
でも、早く作るか、時間をかけて作るか、というのは、クオリティ・コントロールをどこにもっていくか、ということだから。僕は性格的に、ぱっとできたものを、こんなものでいいや、っていうのはできない質なんです(笑)。でも、それでできたほうがいい場合もあるのでしょうね。パッとできたもの。それはそう思います。

わかりました。ちょっとDJの話もききたいのですが、最近アナログを買ってらっしゃいますよね。トミイエさんはレーベルもやってらっしゃるから、必ずしもレコードのほうが音がいいってわけではないっていうのを知っていると思うのですが、それでも最近アナログを使いはじめるようになったっていうのはどうしてなのでしょう?

S:理由いろいろありますけど、いちばん大きいのは、デジタルで売っていない、アナログでしか出ていない曲がけっこうあるから。以前はレコード屋さんにときどき行って、アナログ・オンリーのレコードを買ったら、それを録音してデータにしてTraktoで掛けて、というのを繰り返していたのですが、面倒で。だったら最初からレコードで掛けたらいいじゃん、って思ってやってみたら、やっぱり楽しかった。そこからレコード屋に行く回数も増えていって。あと、いまはヨーロッパでのベースでもあるパリでは、レコ屋にチャリで行けるっていう地の利も働いてますね。


僕は基本的には、いまここにいるところがベースだって感じです。今日は東京だし。

今作がリリースされるのは〈アブストラクト・アーキテクチャー(Abstract Architecture)〉というトミイエさん自身の新しいレーベルで、NY/ベルリンがベースだそうですね。

S:レーベルの拠点について言わなきゃいけないからそう言いましたけれど、僕は基本的には、いまここにいるところがベースだって感じです。今日は東京だし。

あの、今作はリミキサーにベルリンの系のリミキサーとかを起用されてますし、ベルリン・ベースとのことですし、最近アナログも買っているそうなので──

S:ファッションっぽいよね(笑)。

いえ、ファッションぽいというか、ベルリンでの活動を考えてらっしゃるのかな、と。ベルリンでDJをするときにパソコンでDJをするとブーイングされるという話をよく聞きますし、そういう状況を意識しての動きなのかな、と。

S:じつはいまレーベルを手伝ってもらっている人が、フランス人だけれどベルリン・ベースなんです。それで(レーベルの拠点について)ああいう表現になった。でも、ヨーロッパのなかでプレイする場所がかたよっていたりするから、いままでそんなにやってないところで、もっとプレイしたいな、というのはあります。ベルリンもそうだし、パリとか。実際には、年に1回ギグがあるかないか、とか、そういう場所がけっこうある。ドイツ、フランスが、なぜかとても弱いんで。

なんか(その2つの国は)アナログが強いイメージはありますね。フランスもなんかちょっとそういうイメージがあります。

S:僕自身は、どんなフォーマットでDJしなくてはいけないっていうことはなくて、べつにTraktorでもいいじゃん、その人が好きなフォーマットでやればいいと思うのだけど。昔は100%レコードだったけれど、いままたレコードを掛けはじめると、レコードってコンピューターでの掛けかたと違ってくるのでそれがけっこうおもしろかったりするんですよね。デジタルだと、基本的にはプロモでもらっているのも毎回同じレーベルだし。デジタルにはない、みんなが持っていないものを探したい。少し違った物を混ぜることによって、いままで馴染みがある音楽に対して違った見方もできるし。
つまり、音楽的におもしろいほうに行った、っていうことです。実際にレコード屋にいくと「こっちのジャンルの方面に行くと、こんなものがあるんだ」みたいなことがデジタル配信とは違った方向で解りやすくていいし、自分でもリリースするようになったら、「どんなの出てるかな」って意識するじゃないですか。デジタルで、プロモをもらってBeatportで買い物する、みたいなのとは、また別のカルチャーがある。でも、ちょっと、「エリート的」な部分もあるから。

アナログが、っていうことですよね。

S:うん、俺のほうが偉いんだ、みたいなのが見える。それがちょっと鼻につくけれど(笑)。


(カセットは)昔は音が悪くて嫌だったけど、いまは逆に他のものが音がいいものばかりだから。

今回カセットも作るじゃないですか。カセットも、アナログも似たような感じがありますよね。

S:そういったちょっとしたエクスクルーシヴ感もあるよね。

「カセットで持ってるんだぜ」みたいな感じですよね。

S:それよりも今回アルバムをカセットでリリースしてみようと思うきっかけになったことがあって。実家にはいま母親が一人で住んでいるんだけど、一人だし一軒家からマンションに引っ越そうってなったときに、物をいろいろ整理しなきゃいけなかった。そうしたら子どもの頃に聴いてたジャズのカセットがいっぱい出て来て。NYに持って帰って当時録音したライヴのテープとか聴いてたら、軽く20年近く使ってなかったメディアだけに、知ってるのに新鮮、っていう再発見。制限がある音も独特なんだけど、ああいう昔のメディアをおもしろがってくれる人が世の中にいるし、それならば作ってみよう、ということになった。カセット自体は昔親しんだメディアなので、こんなところに戻ってきたんだな、というのもあります。スタジオ作業とかでも、テープの独特の質感とか生かせたらおもしろいかもとか思ってます。

カセットの鳴り、ということですよね。

S:昔は音が悪くて嫌だったけど、いまは逆に他のものが音がいいものばかりだから。

いまのようにクリアじゃないぶん、よけいに心地いい?

S:そう。たぶん、アナログ/レコードを好きなのは、それが理由でもある。同じようにちょっと高域の音が出ない感じで、あたたかくて。まあ実際には制限があるからなんだけれど。すこし上がひずんだりするのが楽しいし、カセットもその意味ではアリかな、と思いますね。

マスタリングに関しては全部同じですか?

S:マスタリングは、使ったスタジオでは全部で3種類作ってくれたんです。1つめは普通のデジタルの卓を通したもの。2つめが、ミキサーからハーフ・インチのテープを通して一回録音したものを再生して、またミキサーに戻したもの。そうすると、テープのサチュレーションがかかったりして違った効果が得られる。それから、デジタル配信用の音が大きいマスタリング。つまりマスタリングの行程でも、アナログというのを意識してました。でも、ちょっとテッキーな“0814”っていう曲の場合だと、テープを通すとアナログっぽすぎて上が丸くなりすぎてしまったので、ミキサーから直球のものを使いました。曲に合わせてマスタリング方法を選んで、それらをまとめて、ひとつのアルバム・パッケージにしたんです。そういう行程もおもしろいなあ、と思って。前にはなかった形だし。

では、3つのマスタリングの種類の中から、曲ごとに選んでいったんですね

S:あ、でも(配信用の)パキッとした物は使わなかったです。

これからの配信のリリースでも使わないんですか?

S:使わないですね、というのは、テープを通したものと、そうでないものでアルバムを組んでいったから。テープを通したものは配信用のマスタリング処理をしていないんです。
でも、音が大きいほうがいいですか?

(A&R)栃折氏: いや、とくに問題は。

S:まあでも、配信とか、音が大きい方がいいのかな?


試聴サンプルは配信対応のパキッとしたのを提出する、というのも手かもしれない。で、実際にダウンロードしてもらうのは、ちゃんとした音、というか、音圧を上げる処理をしすぎていないもの。

デジタル配信がはじまった当初は、音が大きいほうが、音がいいように聴こえてしまう感覚は否めませんでしたが、最近は試聴する側も聴きなれているので、パキッとするからいい、っていう印象も薄れてきた感じはします。

S:でも配信の試聴は、結局、ビットレートが低いから、もしかしたら音がデカくなる処理をしたほうが、iTunesとかの試聴用サンプルに出すのにはいいのかもしれない。

曲を試聴をしているときに、コンプがきつめで大きな音の曲が続いた後に、コンプがゆるめの曲が流れると、ちょっと弱い感じに聴こえてしまう、って言うことですよね。

S:そう考えると、試聴サンプルは配信対応のパキッとしたのを提出する、というのも手かもしれない。で、実際にダウンロードしてもらうのは、ちゃんとした音、というか、音圧を上げる処理をしすぎていないもの。サイトによっては1分の試聴用を出すところがあるでしょ、そこならできるから。TraxsourceやBeatportは勝手に(試聴用ファイルを)作るから、そういう対応はできないけれど。そうそう、ドイツのアナログ売っているDecks Records (https://www.decks.de) から、1分の試聴サンプルを要求されて、めんどうだなあ、って思いながら作ったんですよね。ディストリビューターに作ってくれって言われて。レーベル運営ってけっこう、音楽以外にやることがいっぱいあるんですよね。

(レーベル業務を)自分でやってらっしゃるんですか?

S:ほぼ自分でやってます、アシスタントみたいなのはいるけど。細かいこともけっこうありますね。まあ、自分でやらないと気がすまないっていうのもあるんですけど。大変です。
でも、このアルバムが(新レーベルの)一発めだから、まだそんなにやることが膨大というのではないし、ディストリビューターがやってくれるところもあるので、なんとかなるかと。(このレーベルについて)考えているのは、展示が入れ替わる、ギャラリー的なことを目指していて。いまはこの時期で、いまはこのアルバムの展示をやっていて、いろいろアルバムに関するものとかもあって、次は人とのコラボレーションを、というような。自分でギャラリーを持って、そこで展示をやる感じですね。普通のレコード・レーベル、というより、プロジェクトに近い。つまり、「次はこの人、その次はこの人」といったかたちでいろんなアーティストのリリースをするトラディショナルなレーベルとは、ちがうかもしれないです。普通に、A&Rをやって、デモを集めて、みたいないつもの形は、〈SAW Recordings〉でいままで通りやればいい。新しいレーベルでは、そうではないことをやろう、と。
それにしても今回は、タイミングといろんな人に恵まれて、よかったですね。ヴィジュアルもカッコいいのができたし。リミキサーとかも、いいタイミングで、いろんな人とできたという。ありがたいことです。


(東京は)音を作っている人もかなり増えたし、外国に行っちゃった人も含めて、シーンみたいなものも前よりおもしろくなっていると思う。他のメインな街に比べるとパイは小さいけれど、好きな人がずっと続けている、みたいなところもいいと思います。

先日、トミイエさんといっしょに来日したマーヤン・ニダム(Maayan Nidam)の“New Day”のリミックスは、いつ頃のリリースになるんですか?

S:いま”New Day”のビデオを作ってるんですけど、マーヤンのリミックスは、それを含めたパッケージでおそらく冬に近い頃になると思います。で、他にもいくつかリミックスを依頼しているので、それがまとまり次第ですね。その前にもう一枚、アルバム・サンプラーみたいのをリリースするんだけれど、それはまあ夏、8月ですね。“Landscape”って曲で、自分とフレッド・P(Fred P)がリミックスしています。ヴァイナル・オンリーで出るんですけど。「サンプラー」と言っても、1曲のヴァージョン違いを収録しているのだから、ちょっと「シングル」っぽいですね。日本は先行発売で早かったんですけど、アルバムが6月に出て、8月にアナログが出て、という流れでアピールしていこうかと。

リミキサーの人選は、アナログの鳴りがわかっているアーティストに依頼した、ということなのでしょうか?

S:というよりは、この曲にはこの人が合うかな、って選んでいったのが、結果的にはアナログを掛けたり、長くやったりしてる人になった。たとえばロン・トレントも長くやってるから、ぴったりの音になったし。あまり「flavor of the month(いま旬のもの)」的な人よりは、長くやっていて、わかっている人のほうに振れたから、結局は流行っぽいひとはリミキサーにはいなかったですよね。ただ、自分自身も、まさか20何年やっていて、ロン・トレントにお願いするとは思わなかった。

親交はあったのですか?

S:20年くらい前になんかいっしょにやろうよ、って話をしたんですけれど、それがやっと実現した感じですかね。

最後に、トミイエさんから見た東京というのはすごい窮屈に感じるとは思うのですが──

S:いや、僕がはじめた頃から20何年経ってるので、アーティスト、音を作っている人もかなり増えたし、外国に行っちゃった人も含めて、シーンみたいなものも前よりおもしろくなっていると思う。他のメインな街に比べるとパイは小さいけれど、好きな人がずっと続けている、みたいなところもいいと思います。
あと、インターナショナルに活動している海外のDJが、東京に来るとけっこうみんな楽しい思いをして、帰ったらみんなに「東京よかった」って自慢してるんですよね。いまは DJが世界中にあふれてるから、中途半端なレベルだと東京に呼んでもらえなかったりすることも多いと思う。だから、東京に行ければステイタスだし、「東京は最高だった」と自慢する。それはうれしいことだし、そうやって言ってもらってるうちに、東京でどんどん楽しいこと、おもしろいことをやっていって、シーンを上げていく感じに出来たらいいんじゃないかな。日本がクールだとみんなに思ってもらえているうちにね(笑)。


Derrick May - ele-king

 デリック・メイで踊ったことのない人の言うことを信用しちゃいけない。1年に1回はデリック・メイで踊らなければ気が済まないという人は世界中に多く、また、来れば必ず行くという人も少なくない。海外のクラブ・シーンからは、どんどん若手が出てくる。プロデューサーも、そしてDJと呼ばれている人も。良い曲もたくさん出てきている。しかし、本当に良いDJと呼べる人って、いったいどれほどいるの? 

 たとえば、つねに安易に使われている(そして僕も安易に使っている)「ジャズ」というタームがある。「ジャズ」を、もし、ヨーロッパとアメリカとの抜き差しならぬ文化的衝突の絶え間ない反復によって芽生えるものという、まあ、クリシェですが、この古典的なクリシェを使わせていただくなら、デリック・メイのDJはジャズである。このスリルは、申し訳ないが、EDMにはない。あの優秀なジェイミーXXにさえも、あるわけではない。
 音楽は、ただ詳しい奴が正しいってものではないし、あっさりと特定の文化で制度化されてしまうほど小さなものではないのであるよ。簡単に括られてしまうもの、そう簡単に模倣されるものではないんだ。つねに、制度化されるようとする力を突き破ろうとするものだ。無心になってデリック・メイを聴きな。

7/18(SAT) -TECHNO-
HI-TEK-SOUL JAPAN TOUR 2015
10PM | ¥3500 w/f ¥3000
AIR members ¥2500 Under 23 ¥2500
Before 11:30PM ¥2000 After 6AM ¥1000
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MAIN:
DERRICK MAY (TRANSMAT | from Detroit)
and more

<『Innovator』のリイシュー決定!>
デリック・メイの超名盤『Innovator (UHQCD edition)』は7月15日(水)にリリース。また本再発盤のリリースに合わせ、日本で初めてデジタル配信も解禁される。

デトロイト・テクノのオリジネーター、デリック・メイの80年代後半から90年代初頭の12インチを網羅したベスト盤的作品であり、正真正銘の大名盤『Innovator』が待望の再リリース!本CDには、デリック・メイ本人によって2008年にリエディット&リマスタリングが施された音源が収録され、通常のCDプレイヤーで再生可能なまま、オリジナルマスターの音質を極限まで忠実に再現するUHQCD(Ultimate High Quality CD)仕様を採用。究極の名盤を、最高音質で楽しめるプラチナム・エディションとなっている。さらに90年代のデトロイト・シーンを語る上で最も重要なデリック・メイの主宰レーベル〈Transmat〉の大判ロゴ・ステッカーが封入される。

<Derrick May>
クラフトワークやPファンク同様に、「これを知らずして音楽語れるの?」という次元のDJ/プロデューサー。デトロイト・テクノを一躍有名にしたというよりも、あまりにも多くの人間を幸せな気持ちにさせた「ストリングス・オブ・ライフ」の作者として知られている。
もちろん欠点もある。彼の最大の間違いは、1991年以降、まともな曲を発表していないことである。最大の武器は、人を踊らせること。うまいDJというものがどういうことかを知りたい人も聴いたほうがいい。素晴らしいDJとは、人間性そのものがファンキーなのよ。エロティックなのよ。人間として面白くない奴が、PCだろうがターンテーブルだろうがそつなくやっても、いろいろ情報を収集してDJをやったとしても、実はたいして面白くないでしょ。長年DJカルチャーを見てきて、本当にそう思う。


vol.74:アメリカの法律が変わった日 - ele-king

Pride week 2015 NYC-celebrate Brooklyn -Paris is burning
プライド・ウィーク2015ーセレブレイト・ブルックリンーパリは燃えている

 毎年この時期になると、訪れるプロスペクト・パーク。NYは夏になるとたくさんの野外コンサートが行われるが、ブルックリンを代表するプロスペクト・パークは、音も良いし、行くまでの道のりが全面緑(公園)で、それだけでも気分が高揚する。バンドのラインナップが豪華で、過去には、ベル・アンド・セバスチャン、ワイルド・フラッグ、ミッション・オブ・バーマ、テッド・レオ、チボ・マットセイント・ヴィンセントなどのバンドを見た。

 バンドを見たければ一番前まで行けるし、ピクニック気分でレジャーシートをひいて寛げるし、家族やカップル、グループで楽しめる場なのである。

photos: Via celebrate Brooklyn Facebook

 今年初めてのプロスペクト・パークのイベント(著者にとって)は、映画『Paris is burning (パリは燃えている)』。70~80年代のニューヨークにおけるゲイ・ピープルのダンス・カルチャーを描いたドキュメンタリーで、ドラッグ・クイーンたちが様々なダンス・スタイルを生み出し、黄金時代を築いていた当時のニューヨークのクラブ・シーンが描かれている。公開されたのは1990年で、今年2015年は25周年にあたる。

 偶然にも、この日6/27は、全米で同性婚が合法化した歴史的な日で、監督や関係者は、「今日、アメリカの何処でも結婚できるようになった。我々は、大きな一歩を踏み出した。これからも性、人種差別など、様々な社会問題をなくしていけるように、そして今日25周年を迎えたこの映画を、素晴らしい公園で上映する機会に恵まれた事に感謝する」と挨拶すると、会場からは割れんばかりの拍手。たくさんの人びと、老若男女が笑顔でひとつになった瞬間だった。

 この週は、プライド・ウィークで、ただでさえ人びとは、1年でもっとも華やかな週を過ごしているのに、同性婚の合法化で、お祭りムードにはさらに磨きがかかった。

 上映前は、映画のシーンと同じように、映画のキャスト・メンバーたちが美しい衣装を着て、ダイナミックなダンスを披露した。圧倒的なファンもたくさんいて、名前を叫んだり、歓声が絶えない。最後にはステージからフロアに降りて、一般客も交えてダンス・パーティ状態になった。こうして見ると、ドラッグ・クイーン文化は25年前と変わっていない。みんなの目は輝いていて、個性的な衣装ダンスで、自分を最大に表現している。

 映画上映がはじまると、知ってるキャスト・メンバーたちが映るたびに歓声が上がり、ダンスが披露されるたびにまた歓声。なかにはセリフを覚えていて、一緒にセリフを叫ぶ人までいた。映画だが、ライヴを見ているような生々しいショーで、人びとがシーン毎に反応する。25年経った今も同感覚で鑑賞できるのは、ゲイ・カルチャーにやっと時代が追いついた証かもしれない。アメリカの重要な法律が変わった日に、歴史的なイベントに参加できたことを誇りに思う。

photos: Via celebrate Brooklyn Facebook

interview with Low Leaf - ele-king


LOW LEAF
AKASHAALAY

Pヴァイン

JazzElectronic

Tower HMV Amazon iTunes

 2000年代よりロサンゼルス周辺の音楽シーンはおもしろく刺激的なサウンドを作り出してきたが、とくに近年はフライング・ロータスをはじめとした〈ブレインフィーダー〉勢の活躍がクローズアップされることが多い。フライ・ローも参加したケンドリック・ラマーの『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』、同作やフライ・ローの『ユー・アー・デッド』でも演奏したカマシ・ワシントンの『エピック』、サンダーキャットの最新EP「ザ・ビヨンド / ホエア・ザ・ジャイアンツ・ローム』など、今年の話題作もLAが中心だ。
 そんなLAから、またひとり注目すべきアーティストが登場した。フィリピンの血筋のロウ・リーフは、ハープ、ギター、ピアノなどを演奏し、またビートメイカー、シンガー・ソングライターとマルチな活動を行う若い女性アーティストだ。彼女の名前が知られるきっかけとなったひとつに、フライング・ロータスの2010年作『コスモグランマ』でのキーボード演奏がある。また、2014年はマーク・ド・クライヴ=ロウの『チャーチ』でハープを演奏し、キング・ブリットとの共作「ア・ライト・ウィズイン(A Light Within)」も出している。自身でも自主のEPやアルバムをいろいろ発表しており、2011年の『クリサリス(Chrysalis)』はLAのビート・シーンにも通じる要素を持つ作品で、たとえば〈ブレインフィーダー〉のティーブズなどに共鳴するところも感じさせていた。また、〈ロー・エンド・セオリー〉でもライヴをし、ラスGなどとロンドンの〈ボイラー・ルーム〉に出演するなど、LAのビート・シーンとはいろいろ繋がりも見られる。

 今回、日本デビュー作となるアルバム『アカシャーレイ』のリリースを機に、ロウ・リーフへのメール・インタヴューを行った。そこでLAシーンの話などもいろいろ訊こうと思ったのだが、どうやら彼女自身は「ある特定のシーン」にカテゴライズされることを望んでいないようだ。マーク・ド・クライヴ=ロウらとの共演にしても、LAという土地が作用したのではなく、彼女いわく「同じ原子が自然に惹かれ合った」とのこと。その出で立ちからしてそうなのだが、どうもスピリチュアルなライフ・スタイルを持つ人のようだ。また他者との比較で、LAで活動する中国人女性アーティストで中国版ハープにあたる古典楽器の古筝演奏家ベイ・ベイや、女流ハープ奏者の先人でフライング・ロータスの大叔母にあたるアリス・コルトレーンや、ドロシー・アシュビーなどの話題を振ろうと思ったのだが、そうしたことも避けられてしまった。彼女のアーティストとしてのスタンスとして、他者との比較や関係性で音楽を評価されるのではなく、あくまでオリジナルな存在としてありたい、そんな自身にこだわる姿が言葉の端々から伝わってくる。

■Low Leaf / ロウ・リーフ
LA を拠点とし、ハープ奏者、ギタリスト、シンガー、ビートメイカーとして活動する女性マルチ・アーティスト。フライング・ロータスの『コスモグランマ』にはキーボードで、マーク・ド・クライヴ=ロウの『チャーチ』にはハープで参加、最近ではラスG など、一時期を“LAビート・シーン”とのつながりを深める。2012年のセルフ・リリース・シングル「GiGA GAiA ‎」以降、いくつかの作品リリースによってゆっくりと注目を集めている。先般、2014年に発表されたものの、アナログ・メディアと配信でしかリリースのなかった作品『アカシャーレイ』のCD盤が日本盤としてリリースされた。

思いつくかぎりのどんな血統なんかよりも、木や植物や自然が私の同族のように最近は感じる。

ロサンゼルスのフィリピン系アメリカ人とのことですが、どのような環境で育ち、音楽を作るようになったのでしょうか?

ロウ・リーフ(Low Leaf、以下LL):ロサンゼルから30分ほど離れたヴァレイというところで育ったの。クラシック・ピアノを弾いていて、曲はギターで書いてテープレコーダーで録音していて、それからすぐにパソコンに移行したけど、それは私が16歳のとき。18歳のときには独学でビートを作っていたわ。

アメリカで活躍する東南アジア系の女性アーティストでは、マレーシア出身のシンガー・ソングライターのユナなどがいます。また、LAなどカリフォルニアにはフィリピンはじめ東南アジアやアジア系の人も多く、とくにフィリピン系ではターンテーブリストのDJ Qバートが有名です。あなたもそうしたコミュニティから出てきたアーティストと言えるのではないかと思いますが、自身ではルーツであるフィリピンという国について、どのような意識を持っていますか?

LL:まず私自身は神の創造物であり、この現世では一時的な身体の中に収められたものだけど、そもそも人間も動物も神聖な存在なのよ。自分の直接の先祖たちには申し訳ないけど、思いつくかぎりのどんな血統なんかよりも、木や植物や自然が私の同族のように最近は感じる。だって私はたしかに過去の出来事から生まれたわけだけれど、それに縛られているわけじゃないでしょ。私は曲を毎日書いていて、自分の本当のルーツは16世紀にスペインのフェリペ2世が、フィリピン諸島をそう名づけるよりずっと前の宇宙に拡張していくわけ。そして、ロサンゼルスでは人間や思想に多様性があるから、とても興味深い場所だと思う。自分はここに身を落ち着つけていて、周囲の人との繋がりも感じるんだけど、同時にどこか外国にいるような気分にもなる。

ハープ、ギター、ピアノなどを演奏し、またビートメイカー、シンガー・ソングライターとマルチな活動を行っていますね。ピアノは幼少時代のクラシックのレッスンで身につけたそうですが、それ以外はほぼ独学で身につけたのですか?

LL:クラシック・ピアノを習っていて、時間がたつとバッハやベートーベン、ショパンを弾くようになったの。ギター、ハープ、それとビート・メイキングの方法は、曲を作っていくなかで独学で身についたものよ。

その頃に影響を受けた音楽、好きだったアーティストなどは?

LL:う~ん、そのときにとくに聴いていた曲を限定するのは難しいわ。いままで私が聴いてきたものすべてが、自分の耳をかたちづくって拡張もしてくれたのよ。だから、特定の誰から影響を受けたというわけではないわ。


深く聴けば聴くほど、ひとりのアーティストと他のアーティストたちとのちがいは、けっしてシンプルなものじゃないってわかるでしょう?

ロサンゼルスの外部の人間が、よく「LAビート・シーン」とラベル付けしてしまう偏見や憶測についてどのように感じますか?

LL:それって外国とのインタヴューでよく訊かれるトピックなのよ。外からの視点だと、革新的でクリエイティヴな部分に目がいきがちで、そうしたことがたくさんあるように映るものなの。それでエレクトリック・ミュージックの音楽家をひとつにまとめてしまうことは仕方ないかなって思う。これはロサンゼルスに限らず、世界のどこでも同じだと思う。
そして、どんなジャンルでもいいんだけど、深く聴けば聴くほど、ひとりのアーティストと他のアーティストたちとのちがいは、けっしてシンプルなものじゃないってわかるでしょう? ジャズの世界だと、熟練した耳がなければプレイヤーのちがいが聴き分けられないようにね。同じような音を持ったアーティストが山ほどいることもたしかだけど、どんなタイプの音楽にも深く聴けるものって絶対にあるよね。たとえそれが、ある人たちからは嫌われているタイプのものだとしてもね(笑)。

あなたの作品を振り返ると、2012年の「GiGA GiGA」はエレクトリックなビート感が強く、同年の「アルケマイジング・ドーン(Alchemizing Dawn)」はフォークなどの要素が強いオーガニックな作品集で、2013年の「アンアースリー(UNEARTHly)」はスペイシーなエレクトロニカ・サウンド、2015年の新作『Diwata Mantraz vol. I』はメディテーション・ミュージックという具合に、作品ごとにさまざまなスタイルを見せていますね。どれもがあなたの世界だと思いますが、どうしてこんな多彩な音楽が生まれてくるのでしょう?

LL:いちばん新しいリリースが、いつもそのときどきの「私」にもっとも近い音なんじゃないかな。いまままでリリースしたものは、当時の私のスピリチュアルな成長の記録にすぎない。だからその意味では、それらは永遠に私の音だとも言えるし、もうそうじゃないとも言える。地球上で生きているかぎり、新たなヴァイブレーションが巻き起こり、そこで私は実験を繰り返して音楽を作っていくと思う。


地球上で生きているかぎり、新たなヴァイブレーションが巻き起こり、そこで私は実験を繰り返して音楽を作っていくと思う。

2014年に制作された『アカシャーレイ』は、“Umaga”に代表されるように、あなたの持つ民族的、土俗的な要素がもっとも色濃く表れたアルバムではないかと思います。また、“Bahay Kubo”や“2b1wd Eternal”などフィリピンのタガログ語で歌う作品もあり、アルバム・タイトルはサンスクリット語でエーテルを意味する「アカーシャ」と、タガログ語で捧げものを意味する「アレイ」から来ています。フィリピンに捧げた作品集とのことですが、それによって土着的なモチーフの作品が生まれてきたのでしょうか?

LL:『アカシャーレイ』はフィリピン人へのヴァイブレーションに満ちた貢物にしたかったの。2012年にフィリピンの森で超自然的な体験をしたんだけど、そのときから自分自身のフィリピン人としてのルーツが何なのかを明らかにしたいと渇望するようになって、そこからインスピレーションを得た。市街地から離れて探検をはじめてしまえば、森はとても神秘的な場所だったわ。だからアルバムはいまもまだ生きている、そしてもうこの世にはいない両方の先祖に捧げているの。

“Rise Up”や“2b1wd Eternal”は民族音楽やミニマル、そしてサイケやクラウト・ロックなどの要素がミックスされたユニークな作品です。カリフォルニアはそもそもサイケ発祥の地で、あなたにもそうした要素が自然に備わっているのでしょうか?

LL:それはちがう。サイケデリックな様式だとかドラッグなんかじゃ、私の音楽が生まれてくる場所のほんの表面にしか触れることができない。そこは天国のようなとても神聖な領域で、そこから私の音楽はインスパイアされて湧き出てくるのよ。そして、私もまだ完璧にそこへ辿り着いたわけでもない。

『アカシャーレイ』はフィリピン人へのヴァイブレーションに満ちた貢物にしたかったの。

 サイケについての質問は、サンフランシスコ出身のピーキング・ライツにも共通するものを感じたからだったのだが、ロウ・リーフのスピリチュアリズムは一般的なサイケ感覚とはまったく異なるものだということがわかるだろう。『アカシャーレイ』全体を見ると、民族的モチーフをエレクトロニック・サウンドに取り入れることに成功しており、近年の作品ではクラップ・クラップの『タイー・ベッバ』、モー・カラーズの『モー・カラーズ』、イベイーの『イベイー』などと同列で語ることができるものだが、もちろんロウ・リーフの中にはそんな観点など存在しないだろう。そして、“セット・ミー・フリー”や“アズ・ワン”はシンガーとしての魅力が詰まった曲で、とくに“アズ・ワン”にはポップなフィーリングが感じられる。“Kami Ang Mga Tao”の歌声はビヨークを感じさせるものだ。同世代の女性アーティストでは、ハイエイタス・カイヨーテのナイ・パーム、ソニームーンのアンナ・ワイズなど、ポップ性と実験性、それと牧歌性や幻想性を同居させる人がいるが、ロウ・リーフもそうしたユニークな個性を持つシンガーだ。“アセンション(Ascension)”にはサン・ラーを思わせるコズミックで混沌とした世界があり、最後は牧歌的な“ライフ・イズ・ピース”と、『アカシャーレイ』はロウ・リーフがいままで発表してきたアルバムの中でも、極めて幅広い表情を見せてくれる作品集となっている。また、自然や宇宙などをより意識した作品集で、その点ではシアトルのジーサティスファクションなどに近い雰囲気を感じる。

 いずれにしても、彼女はそうした比較を好まないので直接的な質問はしなかったが、そのかわりに最近よく聴くもの、インスパイアされるものとして、自然界の音、クリスタル・シンギング・ボウル(メディテーション用のお椀のような楽器)、ワールド・ミュージックなどを挙げていた。そして、次回作についてもすでに制作を進めているようで、〈フレッシュ・セレクツ〉から夏の終わりか秋の頭ぐらいリリースする予定とのこと。彼女いわくいままでで最高傑作になるとのことなので、そちらも期待したい。

〈ATP〉が次の時代に見つめるもの - ele-king

 オール・トゥモローズ・パーティーズ(ATP)といえば、2000年代のインディ・ミュージックを語る上で避けて通ることのできないフェスである。2001年のモグワイを皮切りとして、各時代の曲がり角に立つアーティストたちにキュレーターを務めさせてきたこの催しは、時を経るごとに、ただ音楽の祭典であるという以上の意味合いを強めるかに見える。それは、ポスト - ロックの地平に、ノイズ、サイケデリック、エレクトロニカ、フォーク、ヒップホップ……その他さまざまなエクスペリメンタリズムを合流させ、先の15年の音楽史においてもひとつの揺るぎないパラダイムを築いたといえるだろう。
 さて、そのATPのレーベル〈ATPレコーディングス〉から、スクリーミング・ティー・パーティーのKoichi Yamanohaによるエクスペリメンタル・フォーク・プロジェクト、グリム・グリムのデビュー・アルバムがリリースされることが発表された。日本人アーティストのリリースとしては初となるそうだが、名だたるバンドの作品をリリースし新たな音を世に問うてきたATPが、次の時代に何を見ようとしているのか、その視線の先に注目したい。
 というわけで、8月に国内盤がリリースされるデビュー・アルバム『ヘイジー・アイズ・メイビー』の無料試聴のお知らせです。

世界中で数多くの音楽ファンやアーティストから高い評価と信頼を得る英国発・音楽の祭典オール・トゥモローズ・パーティーズ(ATP)のレーベルからリリースされる初の日本人ソロアーティスト、グリム・グリムのデビュー・アルバムが6/22~6/29と期間限定で全曲試聴開始!

8月5日には日本盤の発売も決まり、元Canのダモ鈴木やTOY、Faust、Veronica Fallsのメンバーなどグリム・グリムを指示する各アーティストや著名人から声が集まっている。日本盤ボーナス・トラックにはともにロンドンを拠点に活動している盟友BO NINGENをバックバンドにフィーチャリングし、カトリック教会の聖堂でレコーディングされた楽曲を収録。

世界で活躍する孤高の天才が世に放つアシッド・フォークの傑作、ぜひ聴いてみてください!

■全曲視聴サイト
https://www.loudandquiet.com/2015/06/exclusive-stream-the-debut-lp-from-grimm-grimm/

■最新ミュージック・ビデオ「Tell The Truth」
https://youtu.be/LN90PyBs2aU

■コメント

狂騒のお茶会から飛行船で一人飛び立つ。それは宇宙船だった。
砕けた鏡を集めて作った自家製の万華鏡。それが歌だった。
不条理のループを越えて届けられた、時代の声。
コウヘイ・マツダ(BO NINGEN)

憂愁で美しいハーモニーに、エキセントリックで掴みどころのないエレメントが絶妙に溶け混ざった楽曲達。例えていうなら、突然恋に落ちて動けなくなった感覚に似ているわね。 
ジェラルディン・スウェイン(Faust)

Koichi Yamanohaによって創られる普遍的な音楽を他のアーティストと比べたり、過去に発生したムーヴメントでカテゴライズしたり比べるのは難しい。
奴は右足を過去に、左足を未来に突っ込んでいる。
ジェイムズ・ホーア (Veronica Falls)

彼の音楽には、魔法にかかったみたいに惹きつけられる力がある。呪われたオルゴールを開けて、そのメロディーを一度聞いたら二度と忘れられないだろう。
トム・ドゥーガル (TOY)

グリム・グリムを聴きながら
夢は永遠に続き 宇宙の中にとけ込んで行きます。
ダモ鈴木(ex- Can)

つい口ずさんでしまう普遍的な名曲の数々。Hazy Eyes Maybeは聴き終わると、もう一度はじめから聴きたくなるアルバム。
サイモン・フィン(Simon Finn )

「狂気に満ちた夢。怯えながらも、わたしはその夢に惹かれ続けている。Grimm
Grimmの無垢なメロディーを唱えるたびにわたしはその狂気に満ちた夢に引き込まれていく。」 
多屋 澄礼(Twee Grrrls Club)

永遠に響き渡る、アシッドで洗われたその至福
英NME紙

グリム・グリムは独りの男が、心の風車を静かに廻して奏でた音
英Q Magazine

カンタベリーのトラッド・フォークに、ダークで 不確かな無重力感がミックスされた奇跡のサウンド。
英国LOUD AND QUIET紙

■Grimm Grimm / Hazy Eyes Maybe
グリム・グリム / ヘイジー・アイズ・メイビー

発売日 : 2015年8月5日(水)
定価 : ¥2,300 + 税
品番 : PCD- 93925
解説:岡村詩野 / 歌詞対訳:Kayoko Haruyama
<収録曲>
1.Kazega Fuitara Sayonara (MV有)
2.Tell The Truth (MV有)
3.Driving Overflow
4.Teleportation
5.Last Word Is Mine
6.Hazy Eyes Maybe (MV有)
7.Robert Downey Syndrome
8.Walk Into The Cold Water With You
9.Knowing
10.Youth From Muswell Hill (MV有)
+ 日本盤ボーナス・トラック

■Grimm Grimmプロフィール
グリム・グリムは2010年に解散したイギリスのロックバンド、スクリーミング・ティー・パーティーのKoichi Yamanohaによるエクスペリメンタル・フォーク・プロジェクト。日本詩、英詩両方の曲があり、美しくも憂愁あふれる楽曲を主体に、透明感ある歌声にテープ・ディレイがかかったアコースティック・ギター、アナログ・シンセサイザーがサイケデリックでドリーミーな独特な世界感へ広がりをみせる。14年夏にはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズ等が設立したピックポケット・レコーズから7inchシングル「Kazega Fuitara Sayonara / Tell The Truth」をリリース。そしてデビューアルバムとなる今作はDIY精神溢れる姿勢により数多くの音楽ファンやアーティストから高い評価と信頼を得る英国発・音楽の祭典オール・トゥモローズ・パーティー(ATP)が運営するATPレコーディングスからリリースされる。


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